JP2003191621A - インクジェット用被記録材、これを用いた記録物、及び記録物の使用方法 - Google Patents

インクジェット用被記録材、これを用いた記録物、及び記録物の使用方法

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JP2003191621A
JP2003191621A JP2001395222A JP2001395222A JP2003191621A JP 2003191621 A JP2003191621 A JP 2003191621A JP 2001395222 A JP2001395222 A JP 2001395222A JP 2001395222 A JP2001395222 A JP 2001395222A JP 2003191621 A JP2003191621 A JP 2003191621A
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ink
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water
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JP2001395222A
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English (en)
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Kenichi Miyamoto
憲一 宮本
Kenichi Mori
憲一 森
Chikao Morishige
地加男 森重
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニジミが少なく、かつラミ特性の優れたイン
クジェット用被記録材、及び特に顔料インクを用いてイ
ンクジェット記録した場合に、印刷品位に優れる記録物
を提供すること。 【解決手段】 シリコン系界面活性剤を含有しかつ多孔
質構造を有するインク受容層を、基材上に設けたインク
ジェット用被記録材であって、前記シリコン系界面活性
剤は、下記式で定義されるHLBが8以上で、かつ25
℃での水への溶解度が静置30分で20質量%未満であ
ることを特徴とするインクジェット用被記録材。 HLB=(界面活性剤の親水基の質量)/(界面活性剤
の総質量)×20

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録における記録特性およびラミ特性が良好であるインク
ジェット用被記録材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューターの性能向上および
コンピューターの普及とともに、ハードコピー技術が急
速に発達した。ハードコピーの記録方式としては、昇華
転写記録方式、電子写真方式、インクジェット方式等の
方式が知られている。
【0003】中でも、インクジェット方式によるプリン
ターは、カラー化、小型化がしやすいこと、印字騒音が
低いことから、オフィス、ホーム、パーソナルコンピュ
ーター等の端末として、近年急速に普及しつつある。さ
らに、銀塩写真に迫る記録品質の向上、大型化の容易さ
から、大型看板、特に電飾看板等の産業分野への応用が
期待されている。
【0004】インクジェット方式によるプリンターは、
ノズルから被記録紙に向けてインク液滴を高速で噴射す
る方式である。そのため、インクジェット方式による印
刷は、ハードの性能だけではなく、インクの性質、イン
クジェット用被記録材の性質、さらにインクとインクジ
ェット用被記録材との相性により大きく左右される。
【0005】インクジェット記録に使用されるインク
は、像を形成する着色剤と着色剤を分散又は溶解させる
ための液媒体(主に、水)を必須成分とし、各種の分散
剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整
剤、防カビ剤、記録剤の溶解又は分散安定化剤等が必要
に応じて添加される。
【0006】着色剤としては、直接染料、反応染料、酸
性染料、塩基性染料、食用色素、分散染料、有機顔料、
無機顔料が使用されている。そのため、インク製造メー
カー及びインクの種類により性質が大きく異なる。ま
た、染料を水に溶解した染料インクは鮮やかな画像が得
られるが、耐候性に劣るという問題がある。顔料を水に
分散した顔料インクは耐候性に優れる。近年、顔料イン
クの特性が向上し、画像の鮮やかさ、目詰まり等の安定
性が改良され、一般的に使用されつつある。
【0007】一方、インクジェット用被記録材として
は、染料インク及び顔料インクに対して記録品質を満足
させるべく、各種のものが提案されている。例えば、
(1)顔料と樹脂を含有した多孔質層を支持体上に設け
たもの(特開昭55−11829号公報、特開昭56−
157号公報、特開昭56−99692号公報、特開昭
56−148582号公報、特開昭56−148583
号公報、特開昭57−107879号公報、特開昭57
−126691号公報、特開昭58−136480号公
報、特開昭60−222281号公報、特開昭62−2
33284号公報、特開平3−56552号公報、特開
平3−24905号公報、特開平2−76775号公
報、特開平4−128091号公報、特開平5−221
115号公報)、(2)水溶性樹脂を支持体上に設けた
もの(特開昭59−45188号公報、特開昭60−5
6587号公報、特開昭60−234879号公報、特
開昭61−172786号公報、特開昭61−1899
85号公報、特開平1−190483号公報、特開平4
−263984号公報、特開平4−201595号公
報、特開昭63−162674号公報)、(3)透明支
持体上に不透明な受理層を設けて画像を記録した面と反
対の面から鑑賞するバックプリント方式(特開昭61−
92885号公報、特開昭61−40181号公報、特
開昭61−135786号公報、特開昭61−1480
91号公報、特開昭61−148092号公報、特開昭
61−35275号公報、特開昭61−35276号公
報、特開昭61−35986号公報、特開昭61−35
988号公報、特開昭61−35989号公報、特開昭
61−92886号公報、特開昭61−135787号
公報、特開昭61−135788号公報、特開昭61−
49884号公報、特開昭61−49885号公報、特
開昭61−57378号公報、特開昭61−41587
号公報、特開昭61−41588号公報、特開昭61−
41589号公報、特開昭62−222885号公報、
特開昭62−222887号公報)、等が提案されてい
る。
【0008】これらの中で、インク受容層がインク吸収
層とインク通過層の2層以上の構成からなるインクジェ
ット用被記録材を、インク付与面と鑑賞面を逆にしたバ
ックプリント方式で使用する記録物は、鑑賞面が基材側
であることから均一な光沢が得られ高画質に見え、か
つ、記録面から光を照射するとコントラストの高い電飾
看板が得られるという特徴がある。
【0009】しかしながら、上記のバックプリント方式
で使用するインクジェット用被記録材は全てのインクに
対して良好な記録が得られるわけではない。特に、顔料
インクを用いた場合には、インク通過層にインク中の顔
料が吸着されるため、反射濃度の低い記録になるという
問題がある。さらに、インク通過層はインクを通過させ
るために多孔質構造とすることが必須であり、擦過性等
の表面強度が弱く施工時に傷が入る等の実用上の欠点が
ある。表面強度を強くするためには粒子の比率を下げる
方法が考えられるが、その場合にはインク通過性が不良
となりニジミ等の問題が発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来の問題点に鑑み、ニジミが少なく、かつラミ特性
の優れたインクジェット用被記録材、及び特に顔料イン
クを用いてインクジェット記録した場合に、印刷品位に
優れる記録物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができたインクジェット用被記録材及びそれを用
いた記録物とは、以下の通りである。
【0012】すなわち、本願発明のインクジェット用被
記録材は、シリコン系界面活性剤を含有しかつ多孔質構
造を有するインク受容層を、基材上に設けたインクジェ
ット用被記録材であって、前記シリコン系界面活性剤
は、下記式で定義されるHLBが8以上で、かつ25℃
での水への溶解度が静置30分で20質量%未満である
ことを特徴とする。 HLB=(界面活性剤の親水基の質量)/(界面活性剤
の総質量)×20
【0013】また、本発明の記録物は、上記インクジェ
ット用被記録材のインク受容層面に、顔料インクを用い
てインクジェット方式で記録することを特徴とする。
【0014】また、本発明の記録物の使用方法は、前記
記録物を、インク受容層の反対側の基材面から鑑賞する
バックプリント方式で使用することを特徴とする。
【0015】さらに、本発明の記録物の使用方法は、前
記記録物を、インク受容層側から光を照射して電飾看板
に使用することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、基材は特に限定されるものではない
が、例えばポリエステルフィルム、ポリスチレンフィル
ム、ポリプロピレンフィルム、ナイロン、ポリカーボネ
ート、ノルボルネン、ビニロン、アクリル等のプラステ
ィックフィルム又はシート、ガラス、および前記基材を
2種類以上貼り合わせたものが挙げられる。
【0017】これらの基材の中でも、耐熱性及びコスト
の面から、ポリエステル系フィルムが好ましい。より好
ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであ
る。好ましい基材の透明度は、透過の光学濃度で0.1
以下である。透過の光学濃度が0.1よりも大きい、す
なわち、透明性が低い場合には、印刷後に鑑賞面である
基材側から観察すると白ボケた印刷物になり好ましくな
い。
【0018】前記ポリエステルとは、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジ
カルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させ
て製造される樹脂である。
【0019】前記ポリエステル樹脂のペレットを真空乾
燥後、押出し機で溶融し、Tダイスよりチルロール上に
静電密着させながらシート状に押出し、未延伸フィルム
を得る。次いで、機械的強度等の点から二軸延伸するこ
とが好ましい。延伸方法としては、チューブラ法延伸、
同時二軸延伸、逐次二軸延伸等が挙げられるが、平面
性、寸法安定性、厚みムラ等から逐次二軸延伸が好まし
い。逐次二軸延伸法の具体例としては、ポリエステルの
ガラス転移温度(Tg)〜(Tg+30℃)で、長手方
向に2.0〜5.0倍にロール延伸し、引き続き、12
0〜150℃で倍率を1.2〜5.0倍にテンター延伸
する。さらに、延伸後に220℃以上で3〜8%緩和さ
せながら熱固定を行なう方法が挙げられる。
【0020】フィルムには、用途に応じて滑材、着色
材、蛍光増白剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤などを添加することも可能である。
【0021】本発明においては、表層と中心層を積層し
たいわゆる複合フィルムとしてもよい。その方法は特に
限定されるものではない。しかし、生産性を考慮する
と、表層と中心層の原料は別々の押出機から押出し、1
つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1
軸方向に配向させる、いわゆる共押出法による積層がも
っとも好ましい。
【0022】本発明において、基材の厚みは特に限定さ
れるものではないが、25〜250μmの範囲が好まし
い。基材の厚みが25μm未満の場合にはフィルムの腰
が不十分となり、一方250μmを超える場合にはフィ
ルムの腰が強すぎるため、施工性に問題が発生する。
【0023】本発明において、このような基材上にイン
ク受容層を設けることによりインクジェット用被記録材
が得られるが、基材とインク受容層の間にアンカー層を
設けることが好ましい。アンカー層とは、基材とインク
受容層の密着性を向上させることを目的とする層であ
る。層を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、
ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂など
の化合物、共重合物及びそれらの混合等が適用可能であ
る。
【0024】アンカー層中には、滑り性の改善、インク
受容層との密着力向上を目的として各種の粒子を添加し
ても良い。例えば、シリカ、カオリナイト、タルク、炭
酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、
カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、等の無機粒
子、アクリル、ナイロン、スチレン、ポリエステル、ベ
ンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の有機粒子が挙
げられる。さらに、アンカー層には、必要に応じて、界
面活性剤、帯電防止剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線
吸収剤等を添加してもよい。
【0025】また、アンカー層を設ける方法としては、
グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、
スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフ
コート方式、ブレードコート方式、リバースロールコー
ト方式など通常用いられている方法が適用でき、フィル
ムの製膜工程でアンカー層を設けるインラインコート方
式、製膜後にアンカー層を設けるオフラインコート方式
が例示される。これらの中で、インラインコート方式
が、コストの点で好ましい。
【0026】本発明において、インク受容層はインク吸
収層とインク通過層の少なくとも2層から構成されるこ
とが好ましい。インク吸収層とは、インク通過層表面に
付与されたインクがインク通過層中を通過した後にイン
クを素早く吸収、定着する機能を有する層である。イン
ク通過層とは、表面に付与されたインクを吸収、定着せ
ずに下層のインク吸収層に導く機能を有する層である。
【0027】インク吸収層としてはインクを吸収できる
ものであれば特に限定されないが、顔料インクを用いて
記録する際に、インク中の溶剤のみならず顔料も吸収で
きる粒子と結着剤から主に構成される多孔質構造を有し
ていることが好ましい。
【0028】粒子としては、シリカ、カオリナイト、タ
ルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオ
ライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチン
ホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、等の無機粒子、アク
リルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニ
ル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブ
タジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン
/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタ
アクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿
素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリ
ルフタレート系、ポリエステル系等の樹脂粒子が挙げら
れるが、インク吸収性に優れる吸水性ポリマー粒子が好
ましい。
【0029】吸水性ポリマー粒子としては、自重の50
〜1000倍程度の吸水性を有する粒子が好適に使用で
きる。吸水性ポリマー粒子の平均粒子径(走査型電子顕
微鏡法)は特に限定は無いが、0.1μm以上10μm
以下が好ましい。さらに好ましくは、0.5μm以上3
μm以下が好ましい。吸水性ポリマー粒子の平均粒子径
が10μmよりも大きい場合にはベタ印刷した際に、イ
ンク吸収性にムラが発生したり、印刷されたドットの真
円性が劣ったり、また、未印刷部との境界が不均一にな
るという問題が発生する。一方、吸水性ポリマー粒子の
平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合には、インク
中の顔料を吸収することができないため、印刷後に鑑賞
面である基材側から観察した際に白ボケた印刷物になり
好ましくない。
【0030】吸水性ポリマー粒子の製造方法としては特
に限定はないが、具体例として以下が挙げられる。水溶
性ビニル単量体及び架橋性単量体を含有する水溶液を、
疎水性界面活性剤を含む有機分散液中に乳化させ、次い
でラジカル重合開始剤等を用いて乳化重合させることに
よって、吸水性ポリマーの油中水型(W/O型)エマル
ジョンを製造できる。このエマルジョンを乾燥固化させ
て吸水性ポリマー粒子を分離した後にインク吸収層を形
成するコート液に混合しても良いが、W/O型エマルジ
ョンの場合には、エマルジョンのままインク吸収層を形
成するコート液に用いることが好ましい。
【0031】水溶性ビニル単量体としては、カチオン性
吸水性ポリマー粒子の場合にはジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)
アクリレートの中和塩又は4級化物、ジメチルアミノメ
チル(メタ)アクリルアミド及びジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミドなどのようなジアルキルアミ
ノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
アニオン性吸水性ポリマー粒子の場合には、(メタ)ア
クリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イ
タコン酸、マレイン酸、フマル酸、アリールスルホン酸
などが挙げられる。
【0032】架橋性単量体としては、水溶性ビニル単量
体と共重合可能なものであればよく、例えば、N,N’
−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベン
ゼン、(メタ)アクリル酸ビニルなどのジビニル化合
物、メチロール(メタ)アクリルアミドなどのビニルメ
チロール化合物、アクロレインなどのビニルアルデヒド
化合物及びメチルアクリルアミドグリコレートメチルエ
ーテルなどが挙げられる。
【0033】吸水性ポリマー粒子としては、インクがア
ルカリ性の場合にはカチオン性吸水性ポリマー粒子を、
インクが酸性の場合にはアニオン性吸水性ポリマー粒子
を用いるのが吸収量及び吸水速度の観点から好ましい。
【0034】これらの吸水性ポリマー粒子として、アニ
オン性ではアコジェル−A(三井サイテック株式会社
製)、カチオン性ではアコジェル−C(三井サイテック
株式会社製)が市販されている。
【0035】インク吸収層中には結着剤として各種の樹
脂を混合することが好ましい。混合方法としては、吸水
性ポリマー粒子を主体とするコート液を塗布して形成し
た被覆層上に、結着剤を含有するコート液を塗布するオ
ーバーコート法、あるいは吸水性ポリマー粒子を主体と
するコート液に結着剤を混合して塗布乾燥させる方法が
ある。好ましくは製造工程の少ない後者の方法である。
【0036】混合する結着剤としては、各種のものが使
用できるが、具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹
脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ
ビニルピロリドン、メチルセルロース等の化合物及びそ
れらの混合等が適用可能である。好ましくは、アクリル
系樹脂である。
【0037】また、インク吸収層中に活性水素を有する
化合物を含有させることにより、インク吸収層とインク
通過層の界面で、(後述する)インク通過層に含まれる
結着剤を構成するブロック型イソシアネートとの架橋反
応が起こり、両層の密着性を向上させることができる。
【0038】吸水性ポリマー粒子と混合する樹脂の比率
としては、質量比(吸水性ポリマー粒子/樹脂)で99
/1〜25/75が好ましい。より好ましくは95/5
〜40/60である。混合樹脂の比率が99/1よりも
少ないと、膜強度の向上が不十分となる。また、混合樹
脂の比率が25/75よりも多い場合には、多孔質構造
を形成することができなくなる。インク吸収層を多孔質
構造にすることにより、顔料を分散した顔料インクを使
用して記録しても顔料がインク吸収層の内部まで進入す
ることができ、発色濃度を向上させることができる。
【0039】本発明でいう多孔質構造とは、主に粒子と
結着剤から構成した石垣構造のことであり、内部に空洞
が多数存在し、また空洞が表面から内部にまでつながっ
ている構造のことを意味する。
【0040】インク吸収層には、インク吸収能力及び他
の物性を損なわない程度に各種の添加剤を加えても構わ
ない。例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線
吸収剤、無機顔料、有機顔料、界面活性剤、カチオン性
ポリマー等が挙げられる。
【0041】インク吸収層を設ける方法は特に限定され
ないが、グラビアコート方式、キスコート方式、ディッ
プ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エ
アナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロ
ールコート方式、バーコート方式など通常用いられてい
る方法が適用できる。
【0042】インク吸収層のコート量は特に限定されな
いが、下限は1g/m2が好ましく、特に好ましくは2
g/m2である。上限は50g/m2が好ましく、特に好
ましくは10g/m2である。コート量が1g/m2より
も少ない場合には、インク吸収性が不足してニジミ等の
問題が発生する。一方、コート量が50g/m2よりも
多い場合には、不透明となりやすく、鑑賞面から観察し
た場合に画像の鮮やかさが低下する。
【0043】本発明のインクジェット用被記録材は、イ
ンク吸収層上に少なくとも1層のインク通過層を設ける
ことが好ましい。インク通過層は主に粒子と結着剤で構
成され、多孔質構造にすることが好ましい。インク通過
層に含有させる粒子としてはシリカ、カオリナイト、タ
ルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バ
リウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、有
機白色顔料、ベンゾグアナミン粒子、架橋ポリスチレ
ン、架橋アクリル粒子、水酸化アルミニウムなどの粒子
等が挙げられるが、水分を吸着しない有機粒子(非吸水
性粒子)が好ましい。また、インク通過層の厚みを薄く
してもある程度の隠蔽性が得られる、屈折率の高い粒子
が好ましい。
【0044】本発明において、非吸水性粒子とは、自重
の10質量%以上の水を吸収しない粒子のことであり、
水の吸収性は表面付着水程度であり、かつ、実質的に粒
子内部に水分を吸収して膨潤しない粒子を意味する。
【0045】本発明において、上記非吸水性粒子を結合
する結着剤は、活性水素を有する化合物とブロック型イ
ソシアネートを反応させて得られた樹脂を主に含有する
ことが好ましい。
【0046】活性水素を有する化合物(以下、活性水素
化合物という。)としては、例えば、公知のポリオール
などが挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリ
コール、1,6−ヘキシレングリコール、ブタンジオー
ル、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコー
ル、ソルビトール、しょ糖などの多価アルコール、これ
らの多価アルコールあるいはポリアミンにエチレンオキ
サイド又はプロピレンオキサイドを、あるいは両者を付
加重合して得られるポリエーテルポリオール類、ポリカ
ーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオー
ル類、さらに上記多価アルコールと例えばアジピン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、
フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸などの多塩基酸と
を反応させて得られるポリエステルポリオール類、ポリ
ブタジエンポリオール類、アクリルポリオール類、ヒマ
シ油、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオ
ールにビニルモノマーをグラフトして得られるポリマー
ポリオール類、エポキシ変性ポリオール類などが挙げら
れる。これらの中で、耐候性等の点でアクリルポリオー
ル類、ポリエステルポリオール類が好ましい。
【0047】前記ブロック型イソシアネートは、イソシ
アネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック
剤によってブロック化してなる化合物である。ブロック
剤としては、フェノール、クレゾールなどのフェノール
系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシ
ム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキ
シム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジア
セチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオ
キシム系ブロック剤、アセトアニリド、ε−カプロラク
タム、γ−ブチロラクタムなどの酸アミド系ブロック
剤、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メ
チレン系ブロック剤、ブチルメルカプタンなどのメルカ
プタン系ブロック剤、コハク酸イミド、マレイン酸イミ
ドなどのイミド系ブロック剤、イミダゾール、2−メチ
ルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤、尿
素、チオ尿素などの尿素系ブロック剤、ヒドラジン、エ
チレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−
ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等のヒ
ドラジン系ブロック剤、N−フェニルカルバミン酸フェ
ニル等のカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミ
ン、アニリン等のアミン系ブロック剤、エチレンイミ
ン、ポリエチレンイミンなどのイミン系ブロック剤など
が挙げられる。
【0048】これらの中で、オキシム系、ヒドラジン
系、活性メチレン系ブロック剤等の低温解離タイプのブ
ロック型イソシアネートが好ましい。フェノール系等の
高温解離タイプのブロック型イソシアネートを用いた場
合には、十分な架橋効果を得るために高温で長時間を必
要とするため、基材の黄変あるいは熱シワ等の問題が発
生しやすくなる。
【0049】上記ブロック化する前のイソシアネート化
合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネー
トもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
の如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレン
ジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネート
の如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソ
シアネートもしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機
ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイ
ソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル
樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各
有機ジイソシアネート同士の環化重合体、さらにはイソ
シアネート・ビウレット体等が挙げられる。これらの中
でも、黄変等の問題が少ない点から、脂肪族系イソシア
ネート化合物が好ましい。
【0050】ブロック型イソシアネートと活性水素を有
する化合物との比率は、活性水素に対して1〜3倍のN
CO当量であることが好ましい。イソシアネートの量が
1倍当量よりも少ない場合には十分な架橋効果が得られ
ず、逆に3倍当量よりも多い場合にはインク受容層が脆
くなる。
【0051】ブロック型イソシアネートのブロック剤の
解離を促進するには硬化触媒が好適であり、好適な硬化
触媒として、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2
−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチ
ルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチ
ル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチル
ヘキサン酸鉛などの有機金属触媒などを挙げることがで
きる。
【0052】非吸水性粒子と結着剤の比率は、質量比
(非吸水性粒子/結着剤)で2/1〜20/1の間であ
ることが好ましい。さらに好ましくは、3/1〜15/
1である。粒子量が2/1よりも少ないと、粒子間の隙
間が結着剤で埋まりインクが通過しにくくなる。また、
逆に粒子量が20/1よりも多いと、インク通過層の強
度が低下してしまう。
【0053】ブロック型イソシアネートと活性水素を有
する化合物とを反応させて得られる樹脂は、結着剤に対
し50〜100質量%含有させることが好ましい。前記
樹脂の含有量が50質量%よりも少ないと、表面強度を
強くするという効果が十分に得られにくくなる。
【0054】本発明では、インク受容層にシリコン系界
面活性剤を含有させる必要があり、特にインク通過層に
含有させることが好ましい。シリコン系界面活性剤は、
インク通過層を形成するときのレベリング、消泡等の効
果があるが、本発明ではインクのニジミ抑制として機能
する。
【0055】インクのニジミを抑制するためには、シリ
コン系界面活性剤の下記式で定義されるHLBが8以上
で、かつ25℃での水への溶解度が静置30分で20質
量%未満であることが必要である。 HLB=(界面活性剤の親水基の質量)/(界面活性剤
の総質量)×20 なお、本発明において、「25℃での水への溶解度が静
置30分で20質量%未満である」とは、シリコン系界
面活性剤2.0gにイオン交換水8.0gを加え25℃
にて30分間静置後、シリコン系界面活性剤の水への溶
解性または分散性の程度を目視観察し、シリコン系界面
活性剤の半分以上が未溶解または未分散であることを意
味する。
【0056】界面活性剤は、一定の大きさの親水基と疎
水基を分子内に有する構造からなる。界面活性剤の親水
性または疎水性のバランスをHLBと呼び、非イオン性
界面活性剤のHLBは0から20の範囲である。HLB
の値が大きいほど親水性が高く、HLBの値が小さいほ
ど疎水性または親油性が高い。
【0057】本発明においては、シリコン系界面活性剤
のHLBは10以上が好ましく、特に好ましくは11以
上である。HLBが8より小さすぎると、界面活性剤が
疎水性を示すようになり、水性インクのはじきにより、
むらやニジミが発生する。
【0058】また、シリコン系界面活性剤は、25℃で
の水への溶解度が静置30分で20質量%未満であるこ
とも、ニジミの点から必要である。好ましくは、前記界
面活性剤が半分以上未溶解または未分散の状態であり、
特に好ましくは全く未溶解または未分散の状態である。
【0059】シリコン系界面活性剤の25℃での水への
溶解度が静置30分で20質量%以上であると、インク
ジェット方式で被記録材の多孔質構造のインク受容層に
水性インクを噴射した際に、インクが定着(インク受容
層内で乾燥)するまでの間に、インクが、インク受容層
中に過剰に溶解して存在する界面活性剤と混和し続ける
ことで、ニジミが発生する。
【0060】しかしながら、25℃での水への溶解度が
静置30分で20質量%未満であっても、上記で定義し
たHLBが8未満であるシリコン系界面活性剤を用いた
場合には、水性インクを用いてインクジェット方式で記
録した際に、ニジミのほかに、印刷面から光を照射せず
に非印刷面から目視で記録像を観察した際に記録像の印
刷品位が低下する。さらに、印刷面のラミ強度、及び擦
過性も低下する。
【0061】本発明では、インク受容層中にシリコン系
界面活性剤を含有させることが必須であるが、表面張力
が低下する効果を有するものであれば、その他の界面活
性剤を併用しても構わない。例えば、フッ素系界面活性
剤が挙げられる。
【0062】シリコン系界面活性剤としては、アルキレ
ンオキシド変性シロキサン、アルキル・アルキレンオキ
シド変性シロキサンなどが挙げられる。
【0063】フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エ
チレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフ
ルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキ
ルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウ
ム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレ
ンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルア
ンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸
塩、パーフルオロアルキルりん酸エステル、パーフルオ
ロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアル
キルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物など
が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併用し
て使用することができる。
【0064】シリコン系界面活性剤をインク通過層に含
有させる場合、シリコン系界面活性剤は、インク通過層
の固形分に対して1〜20質量%含有させることが好ま
しく、より好ましくは2〜10質量%である。シリコン
系界面活性剤の含有量が1質量%よりも少なすぎる場合
には、インク通過性を向上させる効果が不十分となり、
逆に含有量が20質量%よりも多すぎる場合にはインク
通過層の強度が低下する。
【0065】インク通過層を設ける方法は特に限定され
ないが、グラビアコート方式、キスコート方式、ディッ
プ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エ
アナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロ
ールコート方式、バーコート方式など通常用いられてい
る方法が適用できる。
【0066】インク通過層の塗布量は特に限定されない
が、電飾看板として使用する場合には適度な隠蔽性が必
要となるため、得られるインクジェット用被記録材の透
過の光学濃度が0.3〜0.5になるように塗布量を調
節することが好ましい。透過の光学濃度が前記範囲の場
合には、通常使用される電飾装置で最適なコントラスト
のある電飾看板が得られる。透過の光学濃度が0.3未
満の場合には、非印刷部の白さは優れるが、印刷部も薄
い画像になり不鮮明な電飾看板になる。一方、透過の光
学濃度が0.5を超える場合には、非印刷部が黒くな
り、全体的に暗い電飾看板となる。
【0067】また、本発明においては、基材の、インク
吸収層を設けた面とは反対側の面に各種の加工を施して
も構わない。例えば、帯電防止処理、粘着加工、隠蔽性
付与層、紫外線吸収層、ハードコート等が挙げられる。
【0068】本発明のインクジェット用被記録材に対し
て使用されるインクは、水を主成分とする水系インクで
あればよい。この水系インクは、像を形成する着色剤と
着色剤を分散又は溶解させるための液媒体(主成分が
水)とを含有していればよく、必要に応じて各種の分散
剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整
剤、防カビ剤、記録剤の溶解又は分散安定化剤等を添加
してもかまわない。
【0069】着色剤としては、直接染料、反応染料、酸
性染料、塩基性染料、食用色素、分散染料、有機顔料、
無機顔料が使用できるが、本発明のインクジェット用被
記録材は、特に顔料を着色剤として用いた顔料インクに
対して、従来技術のインクジェット用被記録材と比べ特
に優れた印刷特性を発現する。
【0070】かくして得られた被記録材は、特に顔料イ
ンクを用いてインクジェット記録した場合に優れた印刷
物が得られ、かつラミ特性の優れたインクジェット用被
記録材とすることができる。
【0071】
【実施例】次に本発明の実施例および比較例を示す。ま
ず、本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
【0072】(1)HLB 界面活性剤の親水性及び疎水性のバランスを示す尺度で
あり、下記式により算出される。 HLB=(界面活性剤の親水基の質量/界面活性剤の総
質量)×20
【0073】(2)水への溶解度 25±0.1℃に温度制御した室内に保管した界面活性
剤及びイオン交換水を用いた。界面活性剤及びイオン交
換水の温度が25±0.1℃であることを確認した後、
ビーカーに界面活性剤を2.0g入れ、さらにイオン交
換水8.0gを加えた。なお、秤量はビーカー込みで行
った。次いで、静置状態で30分間経過後、界面活性剤
の水への溶解性または分散性の程度を目視観察し、次の
基準で判定した。 ◎:未溶解または未分散 ○:半分以上が未溶解または未分散 △:一部が未溶解または未分散 ×:溶解または分散
【0074】(3)記録像の印刷品位1 インクジェットプリンター(ローランド ディージー社
製、FJ−50)と純正の顔料インク(FPG−MG、
FPG−YE、FPG−CY、FPG−BK、FPG−
LC、FPG−LM)を用いて、単方向の条件で写真調
の画像とイラストを720dpiで被記録材のインク受
容層面に印刷し、コクヨトレース台上で印刷面から光を
照射して非印刷面から目視で記録像を観察し、下記の基
準にてランク付けを行った。 ◎:鮮やかで、発色性に非常に優れている ○:鮮やかで、発色性に優れている △:若干発色性が劣るが、問題無いレベルである ×:くすみがある、あるいは発色性が乏しい
【0075】(4)記録像の印刷品位2 インクジェットプリンター(ローランド ディージー社
製、FJ−50)と純正の顔料インク(FPG−MG、
FPG−YE、FPG−CY、FPG−BK、FPG−
LC、FPG−LM)を用いて、単方向の条件で写真調
の画像とイラストを720dpiで被記録材のインク受
容層面に印刷し、コクヨトレース台上で印刷面から光を
照射せずに非印刷面から目視で記録像を観察し、下記の
基準にてランク付けを行った。 ◎:鮮やかで、発色性に非常に優れている ○:鮮やかで、発色性に優れている △:若干発色性が劣るが、問題無いレベルである ×:くすみがある、あるいは発色性が乏しい
【0076】(5)ニジミ インクジェットプリンター(ローランド ディージー社
製、FJ−50)と純正の顔料インク(FPG−MG、
FPG−YE、FPG−CY、FPG−BK、FPG−
LC、FPG−LM)を用いて、単方向の条件で、30
0%の重色ベタのなかに、非印字の細線パターンを含む
テストパターンを720dpiで被記録材のインク受容
層面に印刷し、コクヨトレース台上で印刷面から光を照
射せずに非印刷面から目視で記録像を観察し、下記の基
準にてランク付けを行った。 ◎:非常に鮮明でニジミがない ○:良好 △:やや劣る ×:ニジミがある
【0077】(6)光学濃度 インク受容層側から光を照射する様にして、マクベス濃
度計TR−927を用いて測定した。
【0078】(7)ラミ強度 ラミネートフィルム(東洋インキ製造社製、S−153
M)をインク受容層に貼り、23℃の環境下で1時間放
置した後に、引張り速度300mm/分で180度方向
に剥離し、ラミ強度(g/25mm)を測定した。
【0079】(8)擦過性 JIS L−0849に記載されている摩擦試験機II
型を用いて、往復10回の摩擦試験(摩擦子の質量:約
200g、移動距離:100mm、移動速度:毎分30
回往復、摩擦用ガーゼ:日本薬局方タイプIを2枚重ね
したもの)を被記録材のインク受容層表面に行い、下記
の基準で目視によりランク付けを行った。 〇:インク受容層表面に傷が付かない △:傷は付くがインク受容層が全ては削り取られない ×:インク受容層が全て削り取られる
【0080】実施例1 (基材)固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレ
フタレート樹脂を2軸スクリュー押出機に投入し、T−
ダイスより290℃で溶融押出しし、静電気的に冷却回
転ロールに密着固化させ、重合体混合物の未延伸シート
を得た。引き続き、該未延伸シートをロール延伸機で9
0℃に加熱して3.5倍縦延伸を行った後、下記組成の
アンカー層を乾燥後で0.2g/m2になるように塗工
し、110℃、20m/secの乾燥炉で乾燥した。引
き続き、テンターで140℃に加熱して3.7倍横延伸
した後、235℃で幅方向に4%緩和させながら熱処理
してフィルムを得た。得られたフィルムは厚みが100
μm、透過の光学濃度が0.06であった。
【0081】 (アンカー層) ・イオン交換水 50.1質量% ・イソプロピルアルコール 28.9質量% ・アクリル−メラミン樹脂 10.0質量% (日本カーバイト社製、A−08、固形分濃度:46質量%) ・共重合ポリエステル樹脂 10.0質量% (東洋紡績社製、バイロナールMD16、固形分濃度:30質量%) ・有機粒子 1.0質量% (日本触媒社製、エポスターMA1001) ・界面活性剤 0.1質量% (ダウコーニング社製、ペインタッド32)
【0082】(インク吸収層)下記の組成のコート液
を、上記で得られた基材のアンカー層上にマイクログラ
ビア方式で塗工し、温度180℃、風量15m/sec
の乾燥炉内を1分間通過、乾燥させてインク吸収層を形
成した。塗工量は乾燥後で5g/m2であった。
【0083】 ・シクロヘキサン 70質量% ・吸水性ポリマー粒子 24質量% (三井サイテック社製、アコジェル−C、固形分濃度:40質量%) ・アクリル系粒子 1質量% (日本触媒社製、エポスターMA1006) ・アクリル系樹脂 3質量% (DIC社製、アクリディックA−1300、固形分濃度:60質量%) ・活性水素化合物 2質量% (DIC社製、アクリディックHu−596、固形分濃度:50質量%)
【0084】(インク通過層)下記の組成のコート液
を、上記で形成したインク吸収層上にマイクログラビア
方式で塗工し、温度180℃、風量15m/secの乾
燥炉内を1分間通過、乾燥させてインク通過層を形成
し、インクジェット用被記録材を得た。得られたインク
ジェット用被記録材の透過の光学濃度は0.40であっ
た。
【0085】 ・メチルエチルケトン 35質量% ・シクロヘキサノン 15質量% ・有機粒子 30質量% (日本触媒社製、エポスターMS) ・活性水素化合物 10質量% (DIC社製、アクリディックHu−596、固形分濃度:50質量%) ・活性メチレン系ブロックイソシアネート 5質量% (住友バイエルウレタン社製、デスモジュールBL3475、固形分濃度:7 5質量%) ・シリコン系界面活性剤 5質量% (GE東芝シリコーン社製、FZ4452;HLB=11、水への溶解度20 質量%未満)
【0086】実施例2 実施例1において、インク通過層の塗工量を少なくし
て、インク通過層を設けた後の透過の光学濃度を0.3
3にしたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェッ
ト用被記録材を得た。
【0087】実施例3 実施例1において、インク通過層の塗工量を多くして、
インク通過層を設けた後の透過の光学濃度を0.49に
したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用
被記録材を得た。
【0088】実施例4 実施例1において、アンカー層を下記の材料に変更した
こと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用被記
録材を得た。 (アンカー層) ・イオン交換水 50.1質量% ・イソプロピルアルコール 28.9質量% ・ウレタン樹脂 20.0質量% (武田薬品社製、W−635、固形分濃度:35質量%) ・有機粒子 1.0質量% (日本触媒社製、エポスターMA1001) ・界面活性剤 0.1質量% (DIC社製、メガファックF−144D)
【0089】実施例5 インク通過層中のシリコン系界面活性剤を、HLBが1
1で、かつ水への溶解度が静置30分で20質量%未満
であるシリコン系界面活性剤(GE東芝シリコーン社
製、TSF4450)に変更したこと以外は実施例1と
同様にしてインクジェット用被記録材を得た。なお、被
記録材の光学濃度は0.41であった。
【0090】実施例6 インク通過層中のシリコン系界面活性剤を、HLBが1
0で、かつ水への溶解度が静置30分で20質量%未満
であるシリコン系界面活性剤(ダウコーニングアジア社
製、PT−19)に変更したこと以外は実施例1と同様
にしてインクジェット用被記録材を得た。
【0091】比較例1 インク通過層中のシリコン系界面活性剤を、HLBが1
1で、かつ水への溶解度が静置30分で20質量%以上
であるシリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、FZ
−2105)に変更したこと以外は実施例1と同様にし
てインクジェット用被記録材を得た。
【0092】比較例2 インク通過層中のシリコン系界面活性剤を、HLBが5
で、かつ水への溶解度が静置30分で20質量%以上で
あるシリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、FZ−
2166)に変更したこと以外は実施例1と同様にして
インクジェット用被記録材を得た。
【0093】比較例3 インク通過層中のシリコン系界面活性剤を、HLBが3
で、かつ水への溶解度が静置30分で20質量%未満で
あるシリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、FZ−
2136)に変更したこと以外は実施例1と同様にして
インクジェット用被記録材を得た。
【0094】実施例1〜6は、本発明の範囲内であり、
インクジェット方式で記録した際にニジミがなく、印刷
品位、ラミ強度、及び擦過性に優れたインクジェット用
被記録材であった。しかしながら、比較例1〜3は、本
発明の範囲外であり、シリコン系界面活性剤のHLBが
適切な範囲になかったり、及び/または水への溶解度が
20質量%以上のシリコン系界面活性剤を用いたため
に、ニジミ、印刷品位、ラミ強度、擦過性の少なくとも
いずれかが劣るインクジェット用被記録材であった。
【0095】実施例1〜6及び比較例1〜3について、
評価結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録に
おける記録特性が良好で、ラミ強度及び擦過性に優れた
インクジェット用被記録材を得ることができる。そのた
め、特に顔料インクを用いてインクジェット方式で記録
した場合に、印刷品位に優れた記録物が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 森 憲一 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社フィルム開発研究所堅田フィル ムセンター内 (72)発明者 森重 地加男 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社フィルム開発研究所堅田フィル ムセンター内 Fターム(参考) 2C056 EA05 EA13 FC06 FD20 2H086 BA01 BA14 BA15 BA19 BA33 BA36 BA41 BA55

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン系界面活性剤を含有しかつ多孔
    質構造を有するインク受容層を、基材上に設けたインク
    ジェット用被記録材であって、前記シリコン系界面活性
    剤は、下記式で定義されるHLBが8以上で、かつ25
    ℃での水への溶解度が静置30分で20質量%未満であ
    ることを特徴とするインクジェット用被記録材。 HLB=(界面活性剤の親水基の質量)/(界面活性剤
    の総質量)×20
  2. 【請求項2】 前記基材が透光性であることを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェット用被記録材。
  3. 【請求項3】 前記インク受容層がインク吸収層とイン
    ク通過層の少なくとも2層から構成され、インク通過層
    にシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする請
    求項1または2記載のインクジェット用被記録材。
  4. 【請求項4】 前記インク吸収層が多孔質構造を有し、
    かつ吸水性ポリマー粒子と結着剤を含有することを特徴
    とする請求項3記載のインクジェット用被記録材。
  5. 【請求項5】 前記インク通過層が多孔質構造を有し、
    かつ非吸水性粒子と、ブロック型イソシアネートと活性
    水素を有する化合物とを反応させて得られる樹脂と、を
    含有することを特徴とする請求項3または4記載のイン
    クジェット用被記録材。
  6. 【請求項6】 前記インク吸収層が活性水素を有する化
    合物を含有することを特徴とする請求項3または4記載
    のインクジェット用被記録材。
  7. 【請求項7】 基材とインク受容層の間に、ポリエステ
    ル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂か
    ら選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するアンカー層
    を設けることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    または6のいずれかに記載のインクジェット用被記録
    材。
  8. 【請求項8】 前記基材がポリエステルを主体とする少
    なくとも1軸方向に延伸されたフィルムであることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6、または7のい
    ずれかに記載のインクジェット用被記録材。
  9. 【請求項9】 前記基材の透過の光学濃度が0.1以下
    であり、かつインクジェット用被記録材の透過の光学濃
    度が0.3〜0.5であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、または8のいずれかに記載の
    インクジェット用被記録材。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、または9のいずれかに記載のインクジェット用被記
    録材のインク受容層面に、顔料インクを用いてインクジ
    ェット方式で記録することを特徴とする記録物。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の記録物を、インク受
    容層の反対側の基材面から鑑賞するバックプリント方式
    で使用することを特徴とする記録物の使用方法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の記録物を、インク受
    容層側から光を照射して電飾看板に使用することを特徴
    とする記録物の使用方法。
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