JP2003191162A - 円筒部を有する鋳造品及び円筒部内面の表面加工方法 - Google Patents
円筒部を有する鋳造品及び円筒部内面の表面加工方法Info
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Abstract
に表面加工することができる表面加工方法及びこの方法
によって得られた鋳造品を提供すること。 【解決手段】 円周方向に押圧突起11と溝部21とを
交互に配設して凹凸形状を呈してなる凹凸加工部10を
軸線C1方向に複数有していると共に,隣接する凹凸加
工部10における押圧突起11の配設位置が互いにずれ
ており,軸線方向に透視した場合に押圧突起10の外周
端を結んだ輪郭が円筒部の加工前内径D1よりも若干大
きい径の円形を描くよう構成された円筒工具1を用い
る。円筒工具1の軸線C1と鋳造品8における円筒部8
1の軸線C2とを同一線上に合わせた状態で,円筒工具
1を回転させることなく軸線方向に沿って円筒部81内
で前進させる。また,工具送りに対して適度な回転を与
えて内面を均一に表面加工する方法も提供する。
Description
られた円筒部を有する鋳造品,及び円筒部内面の表面加
工方法に関する。
造品を研削または切削して形状を整えて表面処理する場
合には,鋳巣等の表面付近の鋳造欠陥が問題となる。そ
のために,表面を加工して欠陥を潰す方法がいくつか提
案されている。第1の従来法は,特開平10−9486
9号公報に示されているごとく,シリンダブロック上平
面をコンパクトな加圧手段で表面を加圧し,表面層の鋳
巣を潰す方法である。この方法では,転動,ローラー,
球を用い,これらを加圧方向に対して横方向あるいは斜
め方向に移動させながら,鋳物の表面を連続して加圧す
る。また,上記シリンダブロックを加熱することも記載
されている。
35号公報に示されているごとく,アルミ鋳物シール面
を荒加工後,発熱用プローブピンを回転させながら押し
付け,発生する摩擦熱で母材を塑性流動させピンを押し
込み,移動させることで,内部欠陥を潰す方法である。
5号公報に示されているごとく,シリンダブロックその
ものの鋳巣を潰すのではなく,別部材であるスリーブ素
材を型鍛造により略コップ状に成形し,底部を除去して
スリーブとし,シリンダブロックに鋳込みまたは圧入す
る方法である。
株式会社豊田中央研究所,名古屋工業大学,名古屋大学
などにより発表されたものであって,円筒部材内面を加
工するに当たって,ボールやローラーを押し通したりす
る方法である。最近では多数個のボールやローラーをベ
アリングに保持して内面に押し当てて回転しながら通し
て仕上げる方法も提案されている。
公報に示されているように,溶射で表面の鋳造欠陥を埋
める方法である。
ンのシリンダブロックのように円筒部を有する鋳造品の
円筒部内面を表面加工するには,上記いずれの従来法に
も問題がある。即ち,上記第1及び第2の従来法は,そ
もそも平面を加工対象としており,また,加工が局部的
に行われるので面全体を加工するのに時間がかかる。ま
た加工後の精度は低いと考えられる。第3の従来法は,
鋳巣等の鋳造欠陥を改善するものではない。第4の従来
法では,滑らかな内面を形成するのは困難である。さら
に,第5の従来法では生産能率(処理コスト)や性能に
問題がある。
れたもので,鋳造品における円筒部の内面を効率よく容
易に表面加工することができる表面加工方法及びこの方
法によって得られた鋳造品を提供しようとするものであ
る。
品の上記円筒部の内面を表面加工する方法であって,円
周方向に押圧突起と溝部とを交互に配設して凹凸形状を
呈してなる凹凸加工部を軸線方向に複数有していると共
に,隣接する上記凹凸加工部における上記押圧突起の配
設位置が互いにずれており,軸線方向に透視した場合に
上記押圧突起の外周端を結んだ輪郭が上記円筒部の加工
前内径よりも若干大きい径の円形を描くよう構成された
円筒工具を用い,該円筒工具の軸線と上記鋳造品におけ
る上記円筒部の軸線とを同一線上に合わせた状態で,上
記円筒工具を回転させることなく軸線方向に沿って上記
円筒部内で前進させることを特徴とする円筒部内面の表
面加工方法にある(請求項1)。
凹凸加工部を軸線方向に連ねて有している。そのため,
この円筒工具の軸線と上記鋳造品における上記円筒部の
軸線とを同一線上に合わせた状態で,上記円筒工具を回
転させることなく軸線方向に沿って上記円筒部内で前進
させるだけで,比較的小さな加工荷重で精度よく表面加
工を行うことができる。
と溝部とを交互に有している。そのため,上記円筒工具
を上記鋳造品の円筒部内で前進させる際には,上記押圧
突起の外周面部分のみが上記円筒部の内表面に接触し,
その部分が局部的に加工される。そのため,加工荷重
は,内表面の円周方向全面を同時に加工する場合に比べ
て大幅に小さくすることができ,また,過剰な荷重が円
筒部に付与されて円筒部に割れが入る等の不具合を防止
することもできる。
が軸方向に複数段連なっている。そして,各段の押圧突
起の位置は互いにずれているので,前段に配設されてい
る凹凸加工部の押圧突起により加工されなかった部分
は,後段側に配設されている凹凸加工部の押圧突起によ
って加工される。また,すべての押圧突起の外周端を結
んだ輪郭は,上記のごとく円形を有しているので,上記
円筒工具の前進につれて加工された部分が増え,前進完
了によって内表面全体が加工される。
加工された上記鋳造品の円筒部の内表面は,鋳巣等が押
し潰されて鋳造欠陥が少なくなり,表面粗さや形状精度
も向上する。しかも,このような効果は,上記のごと
く,円筒工具を回転させることなく前進させるだけで得
られるのである。このように,上記第1の本発明によれ
ば,鋳造品における円筒部の内面を効率よく容易に表面
加工することができる表面加工方法を提供することがで
きる。
記円筒部の内面を表面加工する方法であって,円筒状の
外周面において押圧突起と溝部とを交互に有すると共に
上記押圧突起及び上記溝部を軸線方向から所定角度傾け
て配置してなり,軸線方向に透視した場合に上記押圧突
起の外周端を結んだ輪郭が上記円筒部の加工前内径より
も若干大きい径の円形を描くよう構成された円筒工具を
用い,該円筒工具の軸線と上記鋳造品における上記円筒
部の軸線とを同一線上に合わせた状態で,上記円筒工具
を回転させることなく軸線方向に沿って上記円筒部内で
前進させることを特徴とする円筒部内面の表面加工方法
にある(請求項5)。
起と溝部とを軸線方向から所定角度傾むけて斜めに配置
してあり,いわばはすば歯車のような形状を有してい
る。そのため,この円筒工具の軸線と上記鋳造品におけ
る上記円筒部の軸線とを同一線上に合わせた状態で,上
記円筒工具を回転させることなく軸線方向に沿って上記
円筒部内で前進させることにより,比較的小さな加工荷
重で精度よく表面加工を行うことができる。
に対して傾いているので,円筒工具を円筒部内で前進さ
せることによって,上記鋳造品の円筒部内面に対して,
上記押圧突起が局部的に順次接触し,加工される。その
ため,加工荷重は,内表面の円周方向全面を同時に加工
する場合に比べて大幅に小さくすることができ,また,
過剰な荷重が円筒部に付与されて円筒部に割れが入る等
の不具合を防止することもできる。
起のすべての外周端を結んだ輪郭が,上記のごとく円形
を有するよう構成されている。そのため,上記円筒工具
の前進につれて加工された部分が増え,前進完了によっ
て内表面全体が加工される。そして,この第2発明によ
っても,上記押圧突起による押圧によって加工された上
記鋳造品の円筒部の内表面は,鋳巣等が押し潰されて鋳
造欠陥が少なくなり,表面粗さや形状精度も向上する。
しかも,このような効果が,上記のごとく,円筒工具を
回転させることなく前進させるだけで得られるのであ
る。
記円筒部の内面を表面加工する方法であって,円筒状の
外周面において押圧突起と溝部とを交互に有すると共に
上記押圧突起及び上記溝部を軸線方向から0°あるいは
所定角度傾けて配置してなり,軸線方向に透視した場合
に上記押圧突起の外周端を結んだ輪郭が上記円筒部の加
工前内径よりも若干大きい径の円形を連続的又は間欠的
に描くよう構成された円筒工具を用い,該円筒工具の軸
線と上記鋳造品における上記円筒部の軸線とを同一線上
に合わせた状態で,上記円筒工具を回転させながら軸線
方向に沿って上記円筒部内で前進させ,かつ,上記円筒
工具の周速をA,軸線方向の前進の速度をBとした場
合,A/Bが0.5〜50であることを特徴とする円筒
部内面の表面加工方法にある(請求項8)。
起と溝部とを軸線方向から所定角度傾むけて斜めに配置
してあり,いわばはすば歯車状の形状を有している。そ
して,この円筒工具の軸線と上記鋳造品における上記円
筒部の軸線とを同一線上に合わせた状態で,上記円筒工
具を回転させながら前進させる。このとき上記のごと
く,上記円筒工具の周速をA,軸線方向の前進の速度を
Bとした場合,A/Bが0.5〜50とする。これによ
り,効率よく,かつ精度よく上記円筒部内面の表面加工
を行うことができる。
による表面粗度向上効果が少なくなるという問題があ
る。一方,上記A/Bが50を超える場合には,前進速
度に対する周速が早すぎて,微小圧下状態でこする現象
が生じやすくなり,鋳巣等の鋳造欠陥を潰す効果が減少
するおそれがある。なお,このA/Bの比の与え方は,
回転させながら押し込んでも,間欠的に,即ち一定量押
し込んでから一定量周方向へ送る方法でも良い。
圧突起による局部的な加工が繰り返されるので,内表面
の円周方向全面を同時に加工する場合に比べて加工荷重
を小さくすることができ,また,過剰な荷重が円筒部に
付与されて円筒部に割れが入る等の不具合を防止するこ
ともできる。
突起のすべての外周端を結んだ輪郭が,上記のごとく連
続的又は間欠的に円形を描くように構成されているの
で,上記円筒工具の前進と回転につれて加工された部分
が増え,前進及び回転の完了によって内表面全体が加工
される。そして,この第3発明によっても,上記押圧突
起による押圧によって加工された上記鋳造品の円筒部の
内表面は,鋳巣等が押し潰されて鋳造欠陥が少なくな
り,表面粗さや形状精度も向上する。
って,上記円筒部の内面は,請求項1〜9のいずれか1
項に記載の円筒部内面の表面加工方法を施してあること
を特徴とする円筒部を有する鋳造品にある(請求項1
1)。
法により円筒部内面を表面加工されているので,非常に
平滑で優れた内面を有するものとなる。それ故,例え
ば,エンジンのシリンダブロック等の円筒部の精度が重
要な部品にも適用することができる。
押圧突起は,軸線方向に沿って傾斜した傾斜面と,外径
が略一定のランド部とを連ねた形状を有していることが
好ましい(請求項2)。この場合には,上記傾斜部によ
って徐々に円筒部内面への押圧量を増し,上記ランド部
によって押圧状態を維持することができる。これによ
り,鋳巣等の鋳造欠陥を潰す効果を安定して得ることが
できる。
加工部を有していることが好ましい(請求項3)。これ
により,1つの凹凸加工部における押圧突起により同時
に加工する面積をより小さくすることができ,加工荷重
をより低減することができる。さらに,同一箇所を複数
回順次加工するように多数の凹凸加工部を配置すること
により,形状精度をさらに向上させることができる。
は,上記円筒工具は,上記円周方向において凹凸のない
略真円状の加工面を有するサイジング部を最後部に有し
ていることが好ましい(請求項4,7)。これにより,
上記鋳造品の円筒部の形状精度や表面粗度をさらに向上
させることができる。
は,上記押圧突起は,上記溝部に面する側面に設けた傾
斜面と,上記押圧突起の頂点部に設けた外径が略一定の
ランド部とを連ねた形状を有していることが好ましい
(請求項6,9)。この場合にも,上記傾斜部によって
徐々に円筒部内面への押圧量を増し,上記ランド部によ
って押圧状態を維持することができ,鋳巣等の鋳造欠陥
を潰す効果を安定して得ることができる。
部の内面は,上記表面加工方法を施した後に,表面処理
を施してあることが好ましい(請求項11)。この場合
には,上記表面処理によって,より平滑で優れた内面を
得ることができる。
した後に施す上記表面処理は,溶射処理であることが好
ましい(請求項12)。溶射処理は,溶融した金属粒子
等を吹きつけて被覆を行う方法であって,表面硬化,防
錆その他の種々の改質を得ることができる。
面の表面加工方法につき,図1〜図6を用いて説明す
る。本例の表面加工方法は,図5,図6に示すごとく,
円筒部81を有する鋳造品8の上記円筒部81の内面を
表面加工する方法である。この方法は,図1に示すごと
く,円周方向に押圧突起11と溝部12とを交互に配設
して凹凸形状を呈してなる凹凸加工部10(10a〜1
0c)を軸線C1方向に複数有していると共に,隣接す
る上記凹凸加工部10における上記押圧突起11の配設
位置が互いにずれており,軸線C1方向に透視した場合
に上記押圧突起11の外周端を結んだ輪郭R(図2)が
上記円筒部81の加工前内径よりも若干大きい径の円形
を描くよう構成された円筒工具1を用いる。そして,円
筒工具1の軸線C1と上記鋳造品8における円筒部81
の軸線C2とを同一線上に合わせた状態で,円筒工具1
を回転させることなく軸線方向に沿って円筒部81内で
前進させる。以下,これを詳説する。
示すごとく,アルミ合金をダイカストすることにより得
られたエンジンのシリンダブロックである。この鋳造品
8は,図5に示すごとく,円筒部81としてのシリンダ
を4箇所に有し,各円筒部81の周囲には水冷ジャケッ
ト用の空隙85が形成されている。本例では,この円筒
部81の内面を表面加工する。図6に示すごとく,円筒
部81の内周面は,予め直径D1となるように切削加工
しておく。この時点では,鋳巣が表面に露出し,内周面
に微小な凹部が残存している。
工具としては,上記の円筒工具1を用いる。本例では,
図1に示すごとく,上記凹凸加工部10a,10b,1
0cをそれぞれ有する円盤状のセグメントを少しずつ位
相を変えて3つ重ねて一体化したものを用いた。図2に
示すごとく,隣接するセグメント,即ち隣接する凹凸加
工部10における上記押圧突起11の配設位置が互いに
ずれており,軸線方向に透視した押圧突起11の外周端
を結んだ輪郭Rが上記円筒部81の加工前内径D1より
も若干大きい径d0を有している。具体的な直径差は,
例えば0.2〜3mm,圧下量に換算して0.1〜1.
5mmに設定する。また,本例では,工具直径80m
m,溝数12とし,各凹凸加工部10の押圧突起11の
配設ピッチP1を20.9mm,その軸方向長さL1を
20mmとした。
部81の肉厚等によって変更することができる。ここで
上記円筒部81の肉厚をtとすると,圧下量はtの0.
01倍〜0.3倍の範囲で設定することが好ましい。圧
下量が円筒部の肉厚tの0.01倍未満の場合には,材
料流れが小さくなり,表面の空隙がうまらないという問
題があり,一方,0.3倍を超える場合には,シリンダ
外周部にかかる応力が高くなって割れやすくなるという
問題がある。
は,軸線方向に沿って傾斜した傾斜面111と,外径が
略一定のランド部112とを連ねた形状を有している。
上記傾斜部111の軸線方向に対する傾斜角α1は,円
筒部81の内面を圧下する圧下量の設定値などによって
適宜変更することができるが,4°〜60°の範囲にす
ることが好ましい。4°未満の場合には,適度な圧下量
を得るのに長い距離が必要となり,一方,60°を超え
る場合には傾斜がきつすぎて円筒工具1の前進をスムー
ズに行うことが困難となるという問題がある。
面角部113には,外周端の接線方向に対して傾斜角度
α2の角度の面取りを施してある。これにより押圧突起
11からの押圧によって円筒部81の内面の材料に段差
ができて折り重なったりする不具合を防止する。なお,
この傾斜角度α2も,10°〜60°の範囲で適宜変更
することができる。α2が10°未満の場合には,円周
方向のランド部112の長さが短くなる問題が生じ,一
方,60°を超える場合には,上記折り重なり等の不具
合防止効果が小さくなるという問題がある。
1を用いて上記鋳造品8の円筒部81内面を加工するに
当たっては,まず,図1に示すごとく,円筒工具1の軸
線C1と上記鋳造品8における上記円筒部81の軸線C
2とを同一線上に合わせる。次いで,円筒工具1を回転
させることなく軸線C1方向に沿って円筒部81内に挿
入し,前進させる。そして,円筒工具1が円筒部81を
貫通して抜け出るまで円筒工具1を前進させる。
て,まず第1段目のセグメントにおける凹凸加工部10
aの押圧突起11が,円筒部81内に圧入される。具体
的には,図3に示すごとく,押圧突起11の傾斜部11
1が円筒部81の内面に当接し,その当接部を局部的に
圧下量hまで圧下し,その後ランド部112により圧下
量hを維持したまま押圧を続ける。次いで,2段目のセ
グメントにおける凹凸加工部10bの押圧突起11が,
軸方向において1段目の押圧突起11と重なっている部
分では,さらにランド部112による圧下量hの押圧が
続けられる。
押圧突起11による2回の押圧,あるいは1段目には押
圧されずに,2段目の押圧突起11と3段目の押圧突起
11によって圧下される部分も有り,全体で見れば,す
べての面が順次局部的に最小限1回は押圧加工される。
そして,すべての押圧突起11の外周端を結んだ輪郭R
が,上記のごとく円形を有しているので,円筒工具1の
前進につれて加工された部分が増え,前進完了によって
内表面全体が加工される。
円筒部81の内表面は,鋳巣等が押し潰されて鋳造欠陥
が少なくなり,表面粗さや形状精度も向上した非常に優
れた面となる。しかも,このような効果は,上記のごと
く,円筒工具1を回転させることなく前進させるだけで
得られるのである。そしてその際の加工荷重は,内表面
の円周方向全面を同時に加工する場合に比べて大幅に小
さくすることができ,また,過剰な荷重が円筒部に付与
されて円筒部81に割れが入る等の不具合を防止するこ
ともできる。
く,円筒工具1を回転させることなく前進させるだけで
得られるのである。このように,本例によれば,鋳造品
8における円筒部81の内面を効率よく容易に表面加工
することができる
く,実施例1における円筒工具1の構成を変更し,凹凸
加工部10(a〜f)を6段構成とすると共に,さらに
最終段として円周方向において凹凸のない略真円状の加
工面を有するサイジング部19を,上記凹凸加工部10
fの最後部に設けた例である。
過させることにより,上記円筒部81の内面の面粗度状
態や形状精度をさらに向上させることができる。さら
に,上記凹凸加工部10を3段から6段に増加させるこ
とによって,最初の3段(10a〜10c)の外形寸法
(d01)と後の3段(10d〜10f)の外形寸法
(d02)を変化させることもでき,2段階の押圧加工
を1度の前進動作により実施することもできる。これに
より,一層大きな加工を円筒部81内面に与えることも
可能となる。
19の有無は,対象部品の厚みtや鋳造時に発生した欠
陥の大きさや分布状況によって適宜選択することができ
る。ただし,あまり段数が多いと,工具製造にコストが
かかるため,10段以下とすることが望ましい。少ない
ほうは,最小限2段とすることもできる。また,1段後
部の凹凸部は本例では12であるが,最小限3,最大は
いくつでもよいが,製作の手間からすると50くらいま
でとすべきである。
筒工具1に変えて,異なる形状の円筒工具2を用いて上
記円筒部81の内面を表面加工する例である。本例の円
筒工具2は,図8に示すごとく,円筒状の外周面におい
て押圧突起21と溝部22とを交互に有すると共に上記
押圧突起21及び上記溝部22を軸線C3方向から所定
角度β1傾けて配置してなり,軸線C3方向に透視した
場合に上記押圧突起21の外周端を結んだ輪郭が上記円
筒部81の加工前内径D1よりも若干大きい径d0の円
形を描くよう構成されている。
示すごとく,軸線C3方向で見たときに重なりKが生ず
るように選ぶ必要がある。従って,押圧突起21の軸線
方向長さL2が短いほど,傾き角β1は大きくとる必要
がある。本例では,傾き角β1を30°とし,長さとピ
ッチを選んだ。
圧突起21は,上記溝部22に面する側面に設けた傾斜
面211と,上記押圧突起21の頂点部に設けた外径が
略一定のランド部212とを連ねた形状を有している。
本例では,上記押圧突起21の左右の側面に傾斜面21
1を設け,いずれも同じ傾き角β3とした。この傾き角
β3は10°〜60°の範囲で選択することができる。
また,傾斜面211とランド部212との境界部である
角部215は,曲率半径が圧下量hの0.1〜0.5倍
程度の曲面になるよう滑らかに面取りしてある。
角β2だけ傾斜した導入部213を設けた。β2は4°
〜60°の範囲で選びうる。その理由は実施例1と同様
な理由である。さらに,図8に示すごとく,本例の円筒
工具2は,上記円周方向において凹凸のない略真円状の
加工面を有するサイジング部29を最後部に有してい
る。
も,実施例1と同様に,上記構成の円筒工具2の軸線C
3と鋳造品3における円筒部81の軸線C2とを同一線
上に合わせた状態で,円筒工具2を回転させることなく
軸線C3方向に沿って円筒部81内で前進させる。これ
により,鋳造品8の円筒部81内面に対して,押圧突起
21が局部的に順次圧接触し,加工が施される。そのた
め,加工荷重は,内表面の円周方向全面を同時に加工す
る場合に比べて大幅に小さくすることができ,また,過
剰な荷重が円筒部81に付与されて円筒部81に割れが
入る等の不具合を防止することもできる。
突起21のすべての外周端を結んだ輪郭が,上記のごと
く円形を有するよう構成されている。そのため,上記円
筒工具21の前進につれて加工された部分が増え,前進
完了によって内表面全体が加工される。そして,本例に
よっても,上記押圧突起21による押圧によって加工さ
れた上記鋳造品8の円筒部81の内表面は,鋳巣等が押
し潰されて鋳造欠陥が少なくなり,表面粗さや形状精度
も向上する。しかも,このような効果が,上記のごと
く,円筒工具2を回転させることなく前進させるだけで
得られるのである。
を変えて,多段構成とすることもできる。この場合,上
記押圧突起21を有する工具を2段以上とすることで,
より大きな圧下量がとれ,面の性状も向上する。また,
2段以上にする場合,ねじれ角の方向を交互に逆転させ
ることで,加工時に工具と被加工物間で回転しようとす
る力を抑制することもできる。
あるいはねじれ角が0かやや減少させた円筒工具3を用
いて,これを回転させながら軸線C4方向に沿って前進
させて表面加工する例である。図11に示すごとく,本
例の円筒工具3は,円筒状の外周面において押圧突起3
1と溝部32とを交互に有すると共に上記押圧突起31
及び溝部32を軸線C4方向から所定角度γ1傾けて配
置してなり,実施例3のごとく,軸線C4方向に透視し
た場合に押圧突起31の外周端を結んだ輪郭が円筒部8
1の加工前内径D1よりも若干大きい径d0の円形を描
くよう構成してもよいが,回転させることから,必ずし
も円形とならず間欠した円形でもよい。
部32に面する側面に設けた傾斜面311と,上記押圧
突起31の頂点部に設けた外径が略一定のランド部31
2とを連ねた形状を有している。即ち,本例の円筒工具
3は,実施例3における円筒工具2からサイジング部2
9を除いたことや,ねじれ角を減少方向に変化させた以
外はほぼ同様の構成としたものである。
く異なる点は,円筒工具3が,図11に示すごとく,矢
印G方向に回転しながら前進できるよう構成されている
点である。また,この回転を取り入れることにより,本
例の場合には,上記押圧突起31の傾き角度γ1を0°
〜15°程度の範囲で選択可能である。また,図12に
示すごとく,押圧突起31の傾斜部311の傾き角γ3
は実施例3のβ3と異なる値に設定することができる。
この理由は,円筒工具の押し込みにより排除された材料
が円周方向にも流されるが,この排除されるボリューム
は,押圧突起31のランド部312の長さ,導入角γ
2,傾き角γ3,傾き角γ1及び軸線方向の送り速度B
と周速Aとの関係によって変化するからである。なお,
その他の傾斜部311とランド部312との境界部31
5の面取り曲率半径等は,実施例3の場合と同様に設定
することができる。
(円筒工具の前進速度B)と周速Aの相対的な設定の仕
方が重要である。本例では,A/Bが0.5〜50とな
るように設定した。この条件で上記鋳造品8の円筒部8
1内面を表面加工した結果,鋳巣等の鋳造欠陥は潰れて
消滅し,内面形状及び面粗度は非常に優れた状態となっ
た。
悪く,速すぎると発熱や,モーターパワーおよび振動等
が問題となる。また,送りに対して工具回転が遅すぎる
と工具回転トルクが過大となるため,そのため,送り速
度Bは10mm/s〜40mm/s,周速を回転数Nに
換算した場合,回転数Nは10rpm〜500rpm程
度が適当である。
ても,表面が微小圧下状態でこすられるために,表面肌
は向上するが,結果的に押圧突起31の一回当りの圧下
量は小さくなり,変形が内部まで及びにくくなって,大
きな鋳造欠陥はつぶされないため,最表面に微小な仕上
げ加工する以外はさけるべきである。工具を適度に回転
させることは,機械油等の潤滑剤の導入効果を促進し,
工具に設ける突起数も最小限でよい利点もあるが,上記
の理由によって最適な工具押しこみ送りと回転速度の設
定に配慮しないと,鋳造欠陥を押しつぶす効果は十分に
は得られない。
るが,3個以上が望ましい。そしてその回転の仕方は送
りと同期して連続的でも一定量送ってから間欠的に回転
させてもよい。そして工具を多段として,大きな圧下量
を与えることも可能である。
8として上記シリンダブロックを適用し,そのシリンダ
部分である円筒部81の内面を表面加工して優れた加工
結果を得ることができた。この鋳造品8に代えて,円筒
部の肉厚が極端に薄くなったり,成形性が極めて悪い材
料の場合を加工する場合には,円筒部の外周部を拘束す
ることで,割れ発生を抑制することができ,健全に内面
を加工することができる。また,円筒部の外周部が鋳造
により形成されている場合には,精度の低い曲面形状を
しているために,通常の工具では効果的に拘束すること
が容易ではなく,鋳造時の中子に相当する型形状を模擬
した形状としたり,砂や油等の流動性にとんだものを用
いることが効果的である。
された円筒部81の内面は,鋳巣等が消滅しているの
で,その後に溶射処理等の表面処理を施すことによっ
て,非常に平滑で表面硬度の高い円筒内面となる。それ
故,上記方法を用いれば,容易に優れたシリンダブロッ
クを製造することができる。
リンダーブロックに限らず,円筒部を有する鋳造品であ
れば他の様々なものを加工対象とすることができること
は勿論である。特にアルミダイカスト品に対しては極め
て有効である。一例を挙げるとブレーキ用油圧シリンダ
の内面仕上げにも有効である。
を示す説明図。
矢視)から見た説明図。
のB−B線矢視断面図)。
矢視)から見た説明図。
図(図5のD−D線矢視断面図)。
図。
を示す説明図。
図。
す説明図(図8のE−E線矢視断面図)。
法を示す説明図。
1のF−F線矢視断面図)。
1,21,31...押圧突起,111,211,31
1...傾斜面,112,212,312...ランド
部,12,22,32...溝部,19,29...サ
イジング部,8...鋳造品,81...円筒部,
Claims (12)
- 【請求項1】 円筒部を有する鋳造品の上記円筒部の内
面を表面加工する方法であって,円周方向に押圧突起と
溝部とを交互に配設して凹凸形状を呈してなる凹凸加工
部を軸線方向に複数有していると共に,隣接する上記凹
凸加工部における上記押圧突起の配設位置が互いにずれ
ており,軸線方向に透視した場合に上記押圧突起の外周
端を結んだ輪郭が上記円筒部の加工前内径よりも若干大
きい径の円形を描くよう構成された円筒工具を用い,該
円筒工具の軸線と上記鋳造品における上記円筒部の軸線
とを同一線上に合わせた状態で,上記円筒工具を回転さ
せることなく軸線方向に沿って上記円筒部内で前進させ
ることを特徴とする円筒部内面の表面加工方法。 - 【請求項2】 請求項1において,上記押圧突起は,軸
線方向に沿って傾斜した傾斜面と,外径が略一定のラン
ド部とを連ねた形状を有していることを特徴とする円筒
部内面の表面加工方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において,上記円筒工具
は,3以上の上記凹凸加工部を有していることを特徴と
する円筒部内面の表面加工方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
上記円筒工具は,上記円周方向において凹凸のない略真
円状の加工面を有するサイジング部を,上記凹凸加工部
の最後部に有していることを特徴とする円筒部内面の表
面加工方法。 - 【請求項5】 円筒部を有する鋳造品の上記円筒部の内
面を表面加工する方法であって,円筒状の外周面におい
て押圧突起と溝部とを交互に有すると共に上記押圧突起
及び上記溝部を軸線方向から所定角度傾けて配置してな
り,軸線方向に透視した場合に上記押圧突起の外周端を
結んだ輪郭が上記円筒部の加工前内径よりも若干大きい
径の円形を描くよう構成された円筒工具を用い,該円筒
工具の軸線と上記鋳造品における上記円筒部の軸線とを
同一線上に合わせた状態で,上記円筒工具を回転させる
ことなく軸線方向に沿って上記円筒部内で前進させるこ
とを特徴とする円筒部内面の表面加工方法。 - 【請求項6】 請求項5において,上記押圧突起は,上
記溝部に面する側面に設けた傾斜面と,上記押圧突起の
頂点部に設けた外径が略一定のランド部とを連ねた形状
を有していることを特徴とする円筒部内面の表面加工方
法。 - 【請求項7】 請求項5又は6において,上記円筒工具
は,上記円周方向において凹凸のない略真円状の加工面
を有するサイジング部を最後部に有していることを特徴
とする円筒部内面の表面加工方法。 - 【請求項8】 円筒部を有する鋳造品の上記円筒部の内
面を表面加工する方法であって,円筒状の外周面におい
て押圧突起と溝部とを交互に有すると共に上記押圧突起
及び上記溝部を軸線方向から0°あるいは所定角度傾け
て配置してなり,軸線方向に透視した場合に上記押圧突
起の外周端を結んだ輪郭が上記円筒部の加工前内径より
も若干大きい径の円形を連続的又は間欠的に描くよう構
成された円筒工具を用い,該円筒工具の軸線と上記鋳造
品における上記円筒部の軸線とを同一線上に合わせた状
態で,上記円筒工具を回転させながら軸線方向に沿って
上記円筒部内で前進させ,かつ,上記円筒工具の周速を
A,軸線方向の前進の速度をBとした場合,A/Bが
0.5〜50であることを特徴とする円筒部内面の表面
加工方法。 - 【請求項9】 請求項8において,上記押圧突起は,上
記溝部に面する側面に設けた傾斜面と,上記押圧突起の
頂点部に設けた外径が略一定のランド部とを連ねた形状
を有していることを特徴とする円筒部内面の表面加工方
法。 - 【請求項10】 円筒部を有する鋳造品であって,上記
円筒部の内面は,請求項1〜9のいずれか1項に記載の
円筒部内面の表面加工方法を施してあることを特徴とす
る円筒部を有する鋳造品。 - 【請求項11】 請求項10において,上記円筒部の内
面は,上記表面加工方法を施した後に,表面処理を施し
てあることを特徴とする円筒部を有する鋳造品。 - 【請求項12】 請求項11において,上記表面処理
は,溶射処理であることを特徴とする円筒部を有する鋳
造品。
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JP2001392408A JP3946513B2 (ja) | 2001-12-25 | 2001-12-25 | 円筒部を有する鋳造品及び円筒部内面の表面加工方法 |
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JP2003191162A true JP2003191162A (ja) | 2003-07-08 |
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---|---|---|---|---|
CN103264088A (zh) * | 2013-05-29 | 2013-08-28 | 无锡新宏泰电器科技股份有限公司 | 一种推孔加工装置 |
-
2001
- 2001-12-25 JP JP2001392408A patent/JP3946513B2/ja not_active Expired - Fee Related
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