JP2003191158A - 希土類合金の切断方法および希土類磁石の製造方法ならびにワイヤソー装置 - Google Patents

希土類合金の切断方法および希土類磁石の製造方法ならびにワイヤソー装置

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JP2003191158A
JP2003191158A JP2001358122A JP2001358122A JP2003191158A JP 2003191158 A JP2003191158 A JP 2003191158A JP 2001358122 A JP2001358122 A JP 2001358122A JP 2001358122 A JP2001358122 A JP 2001358122A JP 2003191158 A JP2003191158 A JP 2003191158A
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rare earth
cutting
cooling liquid
earth alloy
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JP2001358122A
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English (en)
Inventor
Sadahiko Kondo
禎彦 近藤
Akira Miyaji
章 宮地
Hajime Ishida
一 石田
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水を主成分とする冷却液を用いて実行でき
る、固定砥粒ワイヤによる希土類合金の切断方法を提供
する。 【解決手段】 芯線に砥粒を固着させたワイヤを用いる
希土類合金の切断方法であって、希土類合金がワイヤに
よって切削される部分を25℃における表面張力が25
mN/m〜60mN/mの範囲内にある水を主成分とす
る冷却液中に浸漬した状態で、ワイヤを走行させること
によって希土類合金を切削する工程を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類合金の切断
方法および希土類磁石の製造方法ならびにワイヤソー装
置に関し、特に、芯線に砥粒を固着させたワイヤを用い
て希土類合金を切断する方法およびそれを用いた希土類
磁石の製造方法ならびにワイヤソー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類合金は、例えば、強力な磁石材料
として利用されている。希土類合金を着磁することによ
って得られる希土類磁石は、例えば、磁気記録装置の磁
気ヘッドの位置決めに用いられるボイスコイルモータ用
の磁石として好適に用いられている。
【0003】希土類合金のインゴット(焼結体を含むも
のとする。)を切断する方法としては、従来から、例え
ば回転するスライシングブレードを用いてインゴットを
スライスする技術が採用されている。しかしながら、ス
ライシングブレードで切断する方法によれば、切断刃の
厚さが比較的大きいため、削りしろが多くなり、希土類
合金材料の歩留まりが低く、希土類合金製品(例えば希
土類磁石)のコストを上昇させる要因となっている。
【0004】スライシングブレードよりも削りしろが少
ない切断方法として、ワイヤを用いた方法がある。例え
ば、特開平11−198020号公報は、高強度の芯線
の周面上に超砥粒をボンド層により固定したワイヤ
(「固定砥粒ワイヤ」という。)を用いて、シリコン、
ガラス、ネオジム、フェライト等の硬脆材料を切断でき
ることを開示している。
【0005】上述のような固定砥粒ワイヤを用いて、希
土類合金のインゴットから少ない削り代で所定厚さの板
を多数枚同時に作製することができれば、希土類磁石の
製造コストが大幅に低減される。しかしながら、固定砥
粒ワイヤを用いて希土類合金を量産レベルで切断したと
の報告は未だに無い。
【0006】発明者が種々検討した結果から、この主な
原因として、希土類合金、特に、焼結法によって製造さ
れた希土類合金(以下、「希土類焼結合金」を呼ぶ。)
の機械的な性質が、シリコン等と大きく異なることが挙
げられる。具体的には、希土類焼結合金は、全体として
脆く、且つ、硬い主相(すなわちR2Fe14B結晶粒)
と、延性的な破壊を起こす粒界相とを有するので、シリ
コンに代表される硬脆材料と異なり、切削され難い。す
なわち、シリコン等の硬脆材料を切断する場合に比べ
て、切削抵抗が高く、その結果、発熱量も多い。また、
希土類合金の比重は、約7.5とシリコン等の材料に比
べて大きく、切削によって生成される切削屑(スラッ
ジ)が切削部から排出され難い。
【0007】従って、希土類合金を、高い加工精度で、
効率良く切削するためには、切削抵抗を十分に低下させ
るとともに、切削時に発生する熱を効率良く放熱する、
すなわち切削部を効率良く冷却する必要がある。また、
切削によって生成される切削屑を効率良く排出する必要
がある。
【0008】潤滑性に優れた冷却液(「切削液」ともい
う。)を希土類合金の切削部に十分に供給することによ
って、切削抵抗を低下するとともに、切削時に発生する
熱を効率良く放散することができる。発明者による実験
の結果、油性の冷却液を用いて、ワイヤを十分な量の冷
却液で濡らしておけば、走行するワイヤによって、狭い
切削部に冷却液を十分に供給することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、油性の
冷却液には、環境破壊を起こさないように廃液を処理す
るためにコストがかかること、および、廃液中の切削屑
を分別することが困難であり、廃液や切削屑の再利用が
困難であるという問題がある。これらのことを考慮する
と、冷却液としては水(または水溶性の冷却液)が好ま
しいのであるが、水を冷却液として用いると、水は粘度
(1.0mm2/s)が低いので、走行するワイヤに十
分な量を付着させることができないので、ワイヤを水で
濡らしても切削部に十分な量の水を供給することができ
ない。
【0010】特開平11−198020号公報は、冷却
液の槽からオーバーフローする冷却液中にワイヤを走行
させることによって、固定砥粒ワイヤを高速(例えば2
000m/min)で走行させる場合においても、冷却
液をワイヤに確実に付着させることができることを開示
している。しかしながら、本発明者の実験によると、オ
ーバーフローしている水の中にワイヤ(例えば、特開平
11−198020号公報に開示されている)を走行さ
せながら希土類合金を切削しても、砥粒の脱落や、ひど
い場合にはワイヤの断線が発生する。この不具合は、ワ
イヤの走行速度が例えば800m/min程度でも発生
した。これは、上記の方法を採用しても、水が切削部に
十分に供給されないためと考えられる。
【0011】また、本発明者が検討した結果、水を主成
分とする冷却液を用いると、ワイヤが巻き付けられるリ
ールボビンにおいて、ワイヤ同士の接触摩擦によって、
砥粒がワイヤから剥がれる(脱粒と呼ぶことがある。)
という現象が生じるという問題があることがわかった。
【0012】これは、水を主成分とする冷却液は油性の
冷却液に比べてワイヤに対する付着力が低いので簡単に
振り落とされ且つ蒸発しやすいので、リールボビンに巻
き取られるときにはワイヤに付着している冷却液は僅か
またはほとんど無く、ワイヤ同士の摩擦による発熱およ
び機械的な摩擦力を低減することができないためである
ことが分かった。すなわち、これは切断部には冷却液が
ワイヤに供給されるものの、リールボビンに巻きとられ
るまでに走行中において冷却液がはじき飛ばされるから
であると推測される。
【0013】また、ワイヤ同士の摩擦は、砥粒の脱粒に
至らなくとも、砥粒に機械的なダメージを与えるので、
切削精度を低下させたり、切削効率が低下したりする。
さらにひどい場合には、砥粒がボンド層とともに剥がれ
てしまうこともある。すなわち、水を主成分とする冷却
液を用いると、リールボビンにおけるワイヤ同士の摩擦
によってワイヤの寿命が短くなる。固定砥粒ワイヤは比
較的高価なので、切断加工にかかる費用を低減するため
にも、ワイヤの寿命を長くすることが望ましい。
【0014】さらに、水を主成分とする冷却液を用いる
と、油性の冷却液を用いた場合に比べ、ワイヤの断線が
起こる頻度が高くなり、ワイヤの寿命が短くなるという
問題が発生することも分かった。
【0015】本発明は上記の諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的の1つは、水を主成分とする冷却液を
用いて実行できる、固定砥粒ワイヤによる希土類合金の
切断方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
ワイヤソー装置で水を主成分とする冷却液を用いて希土
類合金を切断する際のワイヤの寿命を長くすることにあ
る。また、本発明の他の目的は、上記のような切断方法
に好適に使用されるワイヤソー装置を提供することを目
的とする。また、本発明の他の目的は、上記希土類合金
の切断方法を用いた希土類磁石の製造方法、ならびに当
該希土類磁石を備えたボイスコイルモータを提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の局面によ
る希土類合金の切断方法は、芯線に砥粒を固着させたワ
イヤを用いる希土類合金の切断方法であって、前記希土
類合金が前記ワイヤによって切削される部分を25℃に
おける表面張力が25mN/m〜60mN/mの範囲内
にある水を主成分とする冷却液中に浸漬した状態で、前
記ワイヤを走行させることによって前記希土類合金を切
削する工程を包含する。
【0017】前記冷却液は、水溶性の合成潤滑剤と、前
記合成潤滑剤の重量の10倍〜50倍の範囲内の重量の
水を含んでいることが好ましい。
【0018】前記冷却液は、界面活性剤と、界面活性剤
の重量の10倍〜50倍の範囲内の重量の水を含んでも
よい。
【0019】前記冷却液は、消泡剤を含んでもよい。
【0020】前記冷却液は、PHが8〜11であること
が好ましく、PHは9以上であることがさらに好まし
い。
【0021】前記冷却液は、防錆剤を含んでもよい。
【0022】ある好ましい実施形態において、前記砥粒
は、前記芯線の外周面に形成された樹脂層によって固着
されている。
【0023】ある好ましい実施形態において、前記ワイ
ヤの走行方向における、互いに隣接する前記砥粒間の平
均距離は、前記砥粒の平均粒径の150%〜600%の
範囲内にあり、且つ、前記砥粒が前記樹脂層の表面から
突出している部分の平均高さは、10μm〜40μmの
範囲内にある。
【0024】前記砥粒の平均粒径Dは、20μm≦D≦
60μmの関係を満足することが好ましい。
【0025】前記切削工程において、前記希土類合金が
前記ワイヤによって切削される部分が槽内に収容された
前記冷却液に浸漬され、前記冷却液は、前記槽の底部か
ら前記槽内に供給されるとともに、前記槽の開口部から
供給されることによって、前記開口部から溢れ出る状態
に維持されることが好ましい。
【0026】前記切削工程において、前記冷却液が1分
間に溢れ出る量は、前記槽の容積の50%以上であるこ
とが好ましい。
【0027】前記切削工程において、前記開口部から供
給される前記冷却液の量は、前記底部から供給される前
記冷却液の量よりも多いことが好ましい。
【0028】前記切削工程において、前記槽の前記開口
部の前記ワイヤの走行方向と交差する辺上に、カーテン
状の気流または冷却液流を形成することによって、前記
冷却液が前記槽の前記開口部から溢れ出るのを抑制する
構成としてもよい。
【0029】前記ワイヤは、ローラによって駆動され、
前記ローラは、案内溝が形成された高分子層を有し、前
記案内溝は、少なくとも一方の斜面が前記ローラの表面
に対して50°以上の角度を成す一対の斜面を有し、前
記ワイヤは前記一対の斜面の間を走行させられる構成と
することが好ましい。
【0030】前記希土類合金は、R−Fe−B系希土類
焼結合金であってもよく、前記希土類合金は、Nd−F
e−B系希土類焼結合金であってもよい。
【0031】本発明の第1の局面による希土類磁石の製
造方法は、希土類合金粉末から希土類磁石の焼結体を作
製する工程と、上記本発明の第1の局面による希土類合
金の切断方法のいずれかを用いて前記焼結体から複数の
希土類磁石を分離する工程とを包含する。
【0032】本発明の第1の局面によるボイスコイルモ
ータは、上記第1の局面による希土類磁石の製造方法に
よって製造された希土類磁石を備える。前記希土類磁石
の厚さが0.5mm〜3.0mmの範囲にあってもよ
い。
【0033】本発明の第2の局面による希土類合金の切
断方法は、芯線に砥粒を固着させたワイヤを用いる希土
類合金の切断方法であって、リールボビンに巻かれたワ
イヤを複数のローラの間で走行させる工程と、前記リー
ルボビンに巻かれた前記ワイヤまたは前記リールボビン
の近傍を走行する前記ワイヤに、水を主成分とする第1
冷却液を供給する工程と、前記希土類合金が前記ワイヤ
によって切削される部分に水を主成分とする第2冷却液
を供給しながら、走行している前記ワイヤで前記希土類
合金を切削する工程とを包含する。
【0034】前記第1冷却液は、希土類合金に対する2
5℃における動摩擦係数が0.3以下であることが好ま
しい。
【0035】前記第2冷却液は、希土類合金に対する2
5℃における動摩擦係数が0.1〜0.3の範囲内にあ
ることが好ましい。
【0036】前記第1冷却液は噴霧法によって前記ワイ
ヤに供給されることが好ましい。
【0037】ある好ましい実施形態において、前記砥粒
は、前記芯線の外周面に形成された樹脂層によって固着
されている。
【0038】前記樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂またはポリイミド樹脂であることが好ましい。
【0039】ある好ましい実施形態において、前記ワイ
ヤの走行方向における、互いに隣接する前記砥粒間の平
均距離は、前記砥粒の平均粒径の150%〜600%の
範囲内にあり、且つ、前記砥粒が前記樹脂層の表面から
突出している部分の平均高さは、10μm〜40μmの
範囲内にある。
【0040】前記第1冷却液は前記第2冷却液よりも粘
度が高い構成としてもよい。
【0041】前記第1冷却液および前記第2冷却液は、
15℃から35℃の範囲にあることが好ましい。
【0042】前記複数のローラのそれぞれは、案内溝が
形成された高分子層を有し、前記案内溝は、少なくとも
一方の斜面が前記ローラの表面に対して50°以上の角
度を成す一対の斜面を有し、前記ワイヤは前記一対の斜
面の間を走行させられる構成とすることが好ましい。
【0043】前記希土類合金は、R−Fe−B系希土類
焼結合金であってもよく、前記希土類合金は、Nd−F
e−B系希土類焼結合金であってもよい。
【0044】本発明の第2の局面による希土類磁石の製
造方法は、希土類合金粉末から希土類磁石の焼結体を作
製する工程と、上記本発明の第2の局面による希土類合
金の切断方法のいずれかを用いて前記焼結体から複数の
希土類磁石を分離する工程とを包含する。
【0045】本発明の第2の局面によるボイスコイルモ
ータは、上記第2の局面による希土類磁石の製造方法に
よって製造された希土類磁石を備える。前記希土類磁石
の厚さが0.5mm〜3.0mmの範囲にあってもよ
い。
【0046】本発明の第2の局面によるワイヤソー装置
は、芯線に砥粒を固着させたワイヤと、前記ワイヤがそ
の周辺に巻きつけられるリールボビンと、前記リールボ
ビンに巻きつけられた前記ワイヤを引き出し、走行させ
る複数のローラと、前記ワイヤが被切削物を切削する部
分に第1冷却液を供給する装置と、前記リールボビンに
巻き付けられている前記ワイヤまたは前記リールボビン
の近傍を走行する前記ワイヤに第2冷却液を供給する装
置とを備える。
【0047】前記第2冷却液を供給する装置は噴霧装置
を備えていることが好ましい。
【0048】前記複数のローラのそれぞれは、案内溝が
形成された高分子層を有し、前記案内溝は、少なくとも
一方の斜面が前記ローラの表面に対して50°以上の角
度を成す一対の斜面を有し、前記ワイヤは前記一対の斜
面の間を走行させられる構成を備えていることが好まし
い。
【0049】本発明による他のワイヤソー装置は、芯線
に砥粒を固着させたワイヤと、前記ワイヤがその周辺に
巻きつけられるリールボビンと、前記リールボビンに巻
きつけられた前記ワイヤを引き出し、走行させる複数の
ローラと、前記ワイヤが被切削物を切削する部分に冷却
液を供給する装置とを有し、前記複数のローラのそれぞ
れは、案内溝が形成された高分子層を有し、前記案内溝
は、少なくとも一方の斜面が前記ローラの表面に対して
50°以上の角度を成す一対の斜面を有し、前記ワイヤ
は前記一対の斜面の間を走行させられる。
【0050】前記複数のローラ間を走行させられる前記
ワイヤの張力は25N以上35N以下であることが好ま
しい。
【0051】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の第1の局面によ
る実施形態の希土類合金の切断方法および希土類磁石の
製造方法を説明する。
【0052】本発明の第1の局面による希土類合金の切
断方法は、芯線(典型的にはピアノ線)に砥粒(典型的
にはダイヤモンド砥粒)を固着させたワイヤを用いる希
土類合金の切断方法であって、希土類合金がワイヤによ
って切削される部分を25℃における表面張力が25m
N/m〜60mN/mの範囲内にある水溶性の冷却液中
に浸漬した状態で、ワイヤを走行させることによって希
土類合金を切削する工程を包含する。冷却液として、希
土類合金に対する25℃における動摩擦係数が0.1〜
0.3のものを用いてもよい。
【0053】本発明の第1の局面による希土類合金の切
断方法において、希土類合金を固定砥粒ワイヤを用いて
切削する工程は、25℃における表面張力が約25mN
/m〜約60mN/m(約25dyn/cm〜約60d
yn/cm)の範囲内にある冷却液に切削部が浸漬され
た状態で実行されるので、ワイヤを効率良く冷却するこ
とができる。上記の範囲内の表面張力を有する冷却液
は、水に比べて、希土類合金および/またはワイヤに対
する濡れ性(またはなじみ)が優れるので、切削部(希
土類合金とワイヤとが互いに接触し、希土類合金が切削
される部分。切削溝ともいう。)に冷却液が効率よく浸
透するためと考えられる。勿論、水を主成分とする冷却
液は、油性冷却液(例えば鉱油)に比べ比熱が高いの
で、冷却効率が高い。なお、本明細書において、「水を
主成分とする冷却液」とは、全体の70重量%以上が水
である冷却液をいう。
【0054】本発明の希土類合金の切断方法において好
適に用いられる冷却液は、上記希土類合金に対する動摩
擦係数によって選別することも可能で、25℃における
上記動摩擦係数が約0.1〜約0.3の範囲内にある冷
却液は、上記の範囲内の表面張力を有する冷却液と同等
の作用・効果を発揮し得る。表面張力が切削部に対する
冷却液の浸透性を示す指標と考えられるのに対し、動摩
擦係数は切削部に対して冷却液が与える潤滑性の指標と
考えられる。なお、表面張力と動摩擦係数との間に、定
性的な相関関係があることが知られている。
【0055】冷却液の表面張力は、よく知られているデ
ュヌイ表面張力計を用いて測定される。また、希土類合
金に対する冷却液の動的摩擦係数は、日本で基礎的な試
験機として多用されている増田式「四球式摩擦試験機」
を用いて測定される。本明細書においては、表面張力お
よび動摩擦係数のいずれについても、25℃における値
を、冷却液を特徴付ける値として採用する。
【0056】なお、以下の実施例で示す動摩擦係数は、
鉄球を用いて四球式摩擦試験機で求めた値である。実施
例で例示するR−Fe−B系希土類合金(RはYを含む
希土類元素で、例えば、Nd2Fe14B金属間化合物を
主相とする合金)は、鉄の含有量が成分元素の中で最も
多いので、鉄球を用いて求めた冷却液の動摩擦係数は、
良い近似で、希土類合金に対する動摩擦係数として採用
することができる。このことは実験的に確かめた。希土
類磁石として好適に用いられる希土類合金の組成および
製造方法は、例えば、米国特許第4,770,723号
および米国特許第4,792,368号に記載されてい
る。R−Fe−B系希土類合金の典型的な組成では、R
としてNdまたはPrが主に用いられ、Feは部分的に
遷移元素(例えばCo)に部分的に置換されてもよく、
BはCによって置換されてもよい。
【0057】また、25℃の表面張力または動摩擦係数
を用いて、本発明の切断方法で用いられる冷却液を特定
したが、実際に使用する際の冷却液の温度は、25℃に
限られない。但し、本発明の効果を得るためには、15
℃〜35℃の範囲内に温度制御された冷却液を用いるこ
とが好ましく、20℃〜30℃の範囲内にあることがさ
らに好ましく、20℃〜25℃の範囲内にあることがさ
らに好ましい。よく知られているように、冷却液の表面
張力や動摩擦係数は温度に依存するので、実際に使用す
る冷却液の温度が上記の温度範囲からあまり外れると、
冷却液の表面張力や動摩擦係数がそれぞれ上記の数値範
囲から外れた状態と良く似た状態となり、冷却効率また
は切削効率が低下する。
【0058】上記の冷却液を用いることによって、ワイ
ヤの温度の異常上昇を抑制することができるので、砥粒
の異常脱粒やワイヤの断線を抑制・防止することができ
る。その結果、加工精度の低下が防止されるとともに、
従来よりも長い期間に亘ってワイヤを使用することが可
能となるので製造コストを低減することができる。
【0059】上記の冷却液は、界面活性剤や、いわゆる
「シンセティック(Synthetic)」と呼ばれる
合成潤滑剤を水に添加することによって調製される。種
類や添加量を調整することによって、所定の表面張力や
動摩擦係数を得ることができる。また、水を主成分とす
る冷却液を用いると、比較的粘度が低いので、切削によ
って生成したスラッジから磁石を用いて希土類合金の切
削屑を容易に分別することが可能で、冷却液を再利用す
ることができる。また、冷却液の廃棄処理によって自然
環境に悪影響を及ぼすことを防止することができる。ま
た、スラッジ中に含まれる炭素の量を減らすことがで
き、スラッジから回収された切削屑を原料とする磁石の
磁気特性を向上することができる。
【0060】ワイヤを高速で走行させながら切削を行う
と、冷却液が発泡し、冷却効率が低下することがある。
消泡剤を含む冷却液を用いることによって、冷却液の発
泡による冷却効率の低下を抑制することができる。さら
に、PHが8〜11の範囲内にある冷却液を用いること
によって、希土類合金の腐食を抑制することができる。
PHが9以上の冷却液を用いることがさらに好ましい。
また、防錆剤を含む冷却液を用いることによって、希土
類合金の酸化を抑制することができる。これらは、希土
類合金の種類や切断条件等を考慮して、適宜調整すれば
よい。
【0061】ワイヤとしては、ダイヤモンド系砥粒を樹
脂で固着したものが好適に用いられる。すなわち、芯線
(典型的にはピアノ線)の外周面にダイヤモンド系砥粒
を樹脂を用いて固着したワイヤを好適に用いることがで
きる。そのなかでも、樹脂としてフェノール樹脂、エポ
キシ樹脂またはポリイミド樹脂を用いることが好まし
い。これらの樹脂は、ピアノ線(硬鋼線)の外周面への
接着強度が高く、また後述する冷却液に対する濡れ性
(浸透性)にも優れる。また、電着法を用いて製造され
るワイヤよりも安価であり、希土類合金の切断にかかる
コストを低減することができる。なお、ワイヤの芯線
は、ピアノ線に限られず、Ni−CrやFe−Ni等の
合金、WやMo等の高融点金属から形成されたもの、ま
たはナイロン繊維などの高強度繊維を束ねたものから形
成されていても良い。また、砥粒の材料はダイヤモンド
に限定されず、SiC、B、C、CBN(Cubic Boron N
itride)等であってもよい。
【0062】切削しろが少ないという利点を得るために
は、ワイヤの外径は、0.3mm以下が好ましく、0.
25mm以下であることがさらに好ましい。ワイヤの外
径の下限値は、十分な強度が得られるように設定され、
且つ、所定の大きさの砥粒を十分な強度で固着するため
に、0.12mm〜0.20mm、より好ましくは0.
15mm〜0.2mm程度の直径の芯線が用いられる。
砥粒の平均粒径Dは、切削効率の観点から、20μm≦
D≦60μmの関係を満足することが好ましく、30μ
m≦D≦60μmの関係を満足することがさらに好まし
く、特に、40μm≦D≦60μmの関係を満足するこ
とが好ましい。また、切削効率と切削屑(スラッジ)の
排出効率の観点から、ワイヤの走行方向における、互い
に隣接する砥粒間の平均距離は、砥粒の平均粒径Dの1
50%〜600%の範囲内にあることが好ましく、且
つ、砥粒が樹脂層の表面から突出している部分の平均高
さは、10μm〜40μmの範囲内にあることが好まし
く、15μm〜40μmの範囲内にあることがさらに好
ましい。このワイヤは、上記の仕様を指定すれば一般の
ワイヤの製造業者(例えば、株式会社アライドマテリア
ル)から供給され得る。
【0063】このようなワイヤを用いると、良好な切削
効率が実現でき、且つ、切削屑の排出性にも優れるの
で、比較的高い走行速度(例えば1000m/min)
でも切削できる。また、上記の冷却液によって効率良く
冷却されるので、良好な加工精度で、長期間に亘って安
定に希土類合金を切削することができる。水を主成分と
する冷却液を用いると、油性の冷却液を用いる場合より
も、走行速度を20〜30%程度速く(例えば、110
0m/min〜1200m/min)設定することによ
って、切削効率を最適化できる。
【0064】本発明の切断方法に用いる水を主成分とす
る冷却液は、粘度が低い(動粘度が約1mm2/s)の
で、切削屑の排出性が油性の冷却液(一般に動粘度は5
mm2/s以上)よりも低い。そこで、切削屑の排出性
を高めるために、切削工程において、切削部が槽内に収
容された冷却液に浸漬された状態に維持され、且つ、冷
却液は、槽の底部から槽内に供給されるとともに、槽の
開口部から供給されることによって、槽の開口部から溢
れ出る状態に維持されることが好ましい。
【0065】粘度の低い冷却液中に排出された切削屑
は、容易に沈降し、槽の開口部付近に浮遊する切削屑は
僅かである。切削部を冷却液中に浸漬した状態で切削す
るためには、ワイヤは槽の開口部付近の冷却液中を走行
するように配置されるので、ワイヤは切削屑の少ない冷
却液中を走行し、切削部には切削屑の少ない冷却液が供
給される。特に、槽の開口部からも冷却液を供給し、開
口部から溢れる状態に維持することによって、切削部に
供給される冷却液中の切削屑の量を低下させることがで
きる。さらに、槽の開口部から供給される冷却液の流れ
によって、ワイヤに付着した切削屑を機械的に洗い流す
効果も得られる。冷却液が1分間に溢れ出る量は、槽の
容積の50%以上であることが好ましい。また、開口部
から供給される冷却液の量は、槽の底部から供給される
冷却液の量よりも多いことが好ましい。
【0066】さらに、槽の開口部のワイヤの走行方向と
交差する辺上に、カーテン状の冷却液流(または気流)
を形成することによって、冷却液が槽の開口部から溢れ
出るのを抑制することによって、溢れ出る冷却液の液面
を槽の壁よりも高くすると、より多くの冷却液が切削部
の周囲に供給されることになるので、冷却液中の切削屑
の量をさらに低下させることができる。冷却液流を形成
するための吐出圧は、0.2MPa(2kgf/c
2)〜1.0MPa(10kgf/cm2)の範囲内に
あることが好ましく、0.4MPa(4kgf/c
2)〜0.6MPa(6kgf/cm2)の範囲内にあ
ることがさらに好ましい。この範囲よりも吐出圧が低い
と充分な効果が得られないことがあり、この範囲よりも
高いとワイヤがたわみ加工精度が低下することがある。
【0067】また、ワイヤを走行させるために設けられ
るメインローラのうち、槽の両側に配置され、ワイヤの
走行位置を規制する一対のメインローラにも冷却液を吐
出することが好ましい。これらのメインローラに冷却液
を吐出することによって、メインローラの表面に設けら
れている、ワイヤを案内するための溝を有する高分子層
(例えばウレタンゴム層などの有機高分子層)の温度上
昇を抑制するとともに、ワイヤまたは案内溝に付着また
は滞留した切削屑(またはスラッジ)を洗い流すことに
よって、ワイヤの走行位置がずれたり、ワイヤが溝から
外れたりするのを防止することができる。
【0068】また、切削工程で生成された、希土類合金
の切削屑を含むスラッジと冷却液とからなるダーティ液
を回収し、スラッジのなかから希土類合金の切削屑を磁
石を用いて分別することによって、冷却液を再利用(例
えば、循環的に使用)することができる。上述したよう
に、水を主成分とする冷却液は粘度が低いので、切削屑
を容易に分別することができる。また、希土類合金の切
削屑を分別することによって、冷却液の廃液処理を容易
に且つ環境にダメージを与えないように実施することが
できる。さらに、R−Fe−B系合金(RはYを含む希
土類元素)から容易に分離できない炭素を少なくできる
ために、切削屑を希土類合金の再生原料として利用する
こともできる。冷却液は水を主成分とするので、切削屑
から再生された希土類合金に含まれる炭素の量を低くす
ることが容易なので、希土類磁石の材料として用いられ
る原料を得ることができる。スラッジからの切削屑の分
別方法は、例えば、本願出願人が特願2000−224
481号に開示した方法を用いることができる。
【0069】本発明による切断方法は、上述したよう
に、切断が難しい希土類焼結合金、特に、R−Fe−B
系希土類焼結合金の切断に好適に適用される。本発明に
よる切断方法によって切断された希土類合金を着磁する
ことによって、希土類磁石が得られる。着磁工程は、切
削工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。R−
Fe−B系希土類焼結合金を用いて製造される希土類焼
結磁石は、磁気ヘッドの位置決めに用いられるボイスコ
イルモータ用の材料として好適に用いられる。本発明に
よる切断方法は、特に、本願出願人らによる米国特許第
4,770,723号明細書および米国特許第4,79
2,368号明細書に開示されているR−Fe−B系希
土類焼結磁石(合金)の切断に好適に用いられる。さら
に、そのなかでも、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)およ
びホウ素(B)を主成分とし、正方晶構造のNd2Fe
14B金属間化合物からなる硬い主相(鉄リッチ相)と、
Ndリッチな粘りのある粒界相とを有する希土類焼結磁
石(合金)(以下、「ネオジム磁石(合金)」と称す
る。)の切断および製造に好適に適用される。ネオジム
磁石の代表的な例として、住友特殊金属社製、商品名N
EOMAXがある。
【0070】本発明の第1の局面による切断方法を採用
すると、希土類合金を高精度で且つ効率良く切断できる
ので、例えば、磁気ヘッドの位置決めに用いられるボイ
スコイルモータ用の小さな希土類磁石(例えば、厚さが
0.5mm〜3.0mm)を高精度で且つ効率良く製造
することができる。
【0071】次に、本発明の第2の局面による実施形態
の希土類合金の切断方法および希土類磁石の製造方法を
説明する。
【0072】本発明の第2の局面による希土類合金の切
断は、芯線(典型的にはピアノ線)に砥粒(典型的には
ダイヤモンド砥粒)を固着させたワイヤ(固定砥粒ワイ
ヤ)を用いる。リールボビンに巻かれたワイヤを複数の
ローラの間で走行させ、走行しているワイヤに希土類合
金(ワークピース)を降下させ押し当てながら切断す
る。このとき、希土類合金がワイヤによって切削される
部分に水を主成分とする冷却液(第2冷却液)を供給し
ながら切削を行う。さらに、リールボビンに巻かれたワ
イヤまたはリールボビンの近傍を走行するワイヤにも水
を主成分とする冷却液(第1冷却液)を供給する。
【0073】本発明の第2の局面による実施形態では、
リールボビンに巻かれたワイヤにも冷却液を供給するこ
とによって、リールボビンにおけるワイヤ同士の摩擦に
よる発熱および機械的な摩擦力が低減される。その結
果、ワイヤが受ける機械的なダメージが低減されるの
で、切削精度や切削効率の低下が抑制され、且つ、ワイ
ヤの寿命が長くなる。切断部へ供給する冷却液(第2冷
却液)およびその供給方法は、本発明の第1の局面の実
施形態と同様であることが好ましい。
【0074】第1冷却液は、希土類合金に対する25℃
における動摩擦係数が0.3以下でることが好ましく、
0.15以下であることがさらに好ましい。また、第2
冷却液は、希土類合金に対する25℃における動摩擦係
数が0.1〜0.3の範囲内にあることが好ましい。
【0075】なお、25℃の動摩擦係数を用いて、本発
明の切断方法で用いられる第1および第2冷却液を特定
したが、実際に使用する際の冷却液の温度は、25℃に
限られない。但し、本発明の効果を得るためには、15
℃〜35℃の範囲内に温度制御された冷却液を用いるこ
とが好ましく、20℃〜30℃の範囲内にあることがさ
らに好ましく、20℃〜25℃の範囲内にあることがさ
らに好ましい。
【0076】上記の動摩擦係数を有する冷却液を用いる
ことによって、ワイヤの温度の異常上昇を効果的に抑制
することができるので、砥粒の異常脱粒やワイヤの断線
を効果的に抑制・防止することができる。その結果、加
工精度の低下が防止されるとともに、従来よりも長い期
間に亘ってワイヤを使用することが可能となるので製造
コストを低減することができる。
【0077】この効果は、リールボビンに巻かれたワイ
ヤまたはリールボビンの近傍を走行するワイヤに供給す
る第1冷却液および切削部に供給する第2冷却液に共通
であるので、第1冷却液と第2冷却液として同じ冷却液
を用いても良い。但し、第1冷却液がリールボビンに巻
かれたワイヤまたはリールボビンの近傍を走行するワイ
ヤに付着しやすいように、第2冷却液より粘度の高い冷
却液を用いてもよい。なお、第1冷却液および第2冷却
液としては、粘度が1mPa・sから50mPa・s
(動粘度:1mm2/sから50mm2/s)の冷却液を
好適に用いることができる。第1冷却液のワイヤへの付
着性を高めるためには、5mPa・s以上の粘度(5m
2/s以上の動粘度)を有する冷却液を用いることが
好ましい。冷却液の粘度は、上述した水と混合する潤滑
剤の濃度を制御することによって調整することができ
る。
【0078】第1冷却液は、切削工程の全期間に亘って
供給する必要は必ずしも無く、リールボビンに巻かれた
ワイヤに十分な量の冷却液が付与された状態を維持でき
るのであれば、第1冷却液を間欠的に供給していても良
い。なお、水を主成分とする冷却液(特にアルカノール
アミンなどを含むもの)は油性冷却液よりも樹脂に対し
て悪影響を及ぼすので、樹脂層を用いて砥粒を固定した
ワイヤを用いる場合には、冷却液の量は少ない方が好ま
しい。従って、リールボビンに巻かれたワイヤまたはリ
ールボビンの近傍を走行するワイヤに対しては、噴霧法
や滴下法を用いて冷却液を供給することが好ましい。特
に、噴霧法は少量の冷却液をリールボビンに巻かれたワ
イヤに均一に供給することができるので好ましい。冷却
液の供給量は、ワイヤの種類、長さ、走査速度などに適
宜設定すればよく、例えば、50ml/min〜500
ml/minの範囲に設定される。但し、電着ワイヤ
(例えばNiめっき層を用いて砥粒を固定してワイヤ)
など水系冷却液に対する耐性に優れたワイヤを用いる場
合には、例えばリールボビン全体を冷却液に浸漬しても
よい。
【0079】上述のように本発明の第1の局面および第
2の局面の実施形態において、さらに、ワイヤを走行さ
せるローラの高分子層に形成された案内溝が、少なくと
も一方の斜面がローラの表面に対して50°以上の角度
を成す一対の斜面を有する構成を採用し、ワイヤが一対
の斜面の間を走行させることによって、水を主成分とす
る冷却液を用いた場合に発生するワイヤの切断を抑制す
ることができる。勿論、一対の斜面がローラの表面に対
して50°以上の角度を成すことが好ましい。特に、ロ
ーラ間を走行させられるワイヤの張力は25N以上35
N以下であることが好ましい。なお、ローラの表面と
は、ローラの軸方向に平行な平面である。
【0080】(実施形態1)以下、図面を参照しなが
ら、本発明による希土類合金の切断方法の実施形態をさ
らに具体的に説明する。本実施形態では、上述のネオジ
ム磁石の製造に用いられるネオジム磁石焼結体の切断方
法を説明する。
【0081】ネオジム(Nd−Fe−B)焼結磁石を作
製する方法を簡単に説明する。なお、磁石材料としての
希土類合金を作製する方法は、例えば、上述の米国特許
第4,770,723号明細書およびに米国特許第4,
792,368号明細書に詳細に開示されている。
【0082】まず、原料金属を所定の成分比に正確に秤
量した後、真空またはアルゴンガス雰囲気で高周波溶解
炉にて原料金属を溶解する。溶解した原料金属を水冷の
鋳型に鋳込み、所定の組成の原料合金を形成する。この
原料合金を粉砕し、平均粒径3〜4μm程度の微粉末を
作製する。この微粉末を金型に入れ、磁界中でプレス成
形する。このとき必要に応じて微粉末を潤滑剤と混合し
てからプレス成形を行う。次に、約1000℃〜約12
00℃程度の焼結工程を行えばネオジム磁石焼結体を作
製することができる。この後、磁石の保磁力を向上させ
るために約600℃での時効処理を実行し、希土類磁石
焼結体の作製を完了する。焼結体のサイズは、例えば3
0mm×50mm×50mmである。
【0083】得られた焼結体の切断加工を行い、焼結体
から切断した複数の薄板(基板またはウェハと称される
場合がある)を形成する。得られた焼結体の薄板のそれ
ぞれに対して研磨による仕上げ加工を行い、寸法と形状
を整えた後、長期的な信頼性を向上させるため、表面処
理を施す。この後、着磁工程を実行した後、検査工程を
経てネオジム永久磁石が完成する。なお、着磁工程を切
断工程の前に行ってもよい。
【0084】次に、本発明による切断方法を図1から図
3を参照しながら説明する。
【0085】図1は、本発明による実施形態の希土類合
金の切断方法を実行するために好適に用いられるワイヤ
ソー装置100を示す概略構成図である。
【0086】ワイヤソー装置100は、3本のメインロ
ーラ10a、10bおよび10cと、一対のリールボビ
ン40aおよび40bとを有している。冷却液を収容す
る槽30の下部に設けられているメインローラ10aが
駆動ローラで、槽30の両側に設けられているメインロ
ーラ10bおよび10cは従動ローラである。ワイヤ2
0は、往復走行しながら、例えば、一方のリールボビン
40aから他方のリールボビン40bに巻き取られる
(いわゆる、往復駆動法)。このとき、リールボビンの
40aの巻き取り時間を他方のリールボビン40bの巻
き取り時間よりも長くすることによって、ワイヤ20を
往復走行させながら、リールボビン40a側に新しいワ
イヤ20を供給することができる。ワイヤ20の走行速
度は、例えば、600m/minから1500m/mi
nの範囲であり、新線を供給する速度は、例えば、1m
/min〜5m/minの範囲である。
【0087】メインローラ10a、10bおよび10c
の間には、ワイヤ20が例えば150列に張設される。
ワイヤ20の走行位置を決めるために、メインローラ1
0a、10bおよび10cの表面には、ワイヤ20を案
内するための溝(例えば深さ約0.6mm、不図示)を
有する高分子層(例えばウレタンゴム層などの有機高分
子層)が設けられている。ワイヤ20の列間の間隔は、
この案内溝のピッチによって決められる。案内溝のピッ
チは、ワークピースから切り出すべき板の厚さに応じて
設定される。高分子層としては、シリコーン系エラスト
マ等から形成された無機高分子層を用いることもでき
る。
【0088】リールボビン40aおよび40bの近傍に
は、巻き取り位置を調整するためのトラバーサ42aお
よび42bがそれぞれ設けられている。リールボビン4
0aおよび40bからメインローラ10aに至るまでの
経路中には、それぞれの側に5つのガイドローラ44
と、1つのテンションローラ46とが設けられており、
ワイヤ20を案内するとともに、その張力が調整され
る。ワイヤ20の張力は、種々の条件(切削長、切断速
度、走行速度など)に応じて適宜変更され得るが、例え
ば20N〜40Nの範囲に設定される。
【0089】上述したようにして作製された焼結体ワー
クピース50は、以下の様にして、ワイヤソー装置10
0にセットされる。
【0090】複数のワークピース50は、例えばエポキ
シ系の接着剤(不図示)によって相互に固着され、複数
のブロックとして組み立てられた状態で、炭素ベースプ
レート52を間に介して、鉄製のワークプレート54に
固定される。ワークプレート54、ワークピース50の
各ブロックおよび炭素ベースプレート52も接着剤(不
図示)によって互いに固着されている。炭素ベースプレ
ート52は、ワークピース50の切断加工が終了した
後、ワークプレート54の下降動作が停止するまでワイ
ヤ20による切断加工を受け、ワークプレート54を保
護するというダミーとして機能する。
【0091】本実施形態では、ワイヤ20の走行方向に
沿って計測した各ブロックのサイズが100mm程度に
なるように各ブロックの大きさを設計している。従っ
て、ここでは、ワイヤ20による切削長さは、約200
mmである。本実施形態では上述のようにワークピース
50を複数のブロックに分割して配置しているが、ワイ
ヤ20の走行方向におけるサイズをどの程度の大きさに
設定すべきかは、冷却液の表面張力や走行速度によって
も変化する。また、各ワークピース50の大きさによっ
て、ひとつのブロックを構成するワークピース50の数
や配置も変化する。これらを考慮して、適宜最適なサイ
ズのブロックに分けてワークピース50を配置すればよ
い。
【0092】上述のようにセットされたワークピース5
0は、モータ58を備える昇降装置によって下降され、
走行するワイヤ20に押し付けられ、切削加工される。
ワークピース50の下降速度は、種々の条件に応じて変
化し得るが、例えば、20mm/hr〜50mm/hr
の範囲内に設定される。
【0093】冷却液タンク60に貯蔵されている冷却液
は、吐出ポンプ62によって、配管63を介して圧送さ
れる。配管63は、途中で、下部配管64と上部配管6
6とに分岐されている。下部配管64および上部配管6
6には、それぞれへの冷却液の流量を調整するためのバ
ルブ63bおよび63aが設けられている。下部配管6
4は、切削部を浸漬するための槽30の底部に設けられ
た下部ノズル64aに接続されている。上部配管66
は、槽30の開口部から冷却液を供給するための上部ノ
ズル66a、66bおよび66cと、メインローラ10
bおよび10cをそれぞれ冷却するために設けられた上
部ノズル66dおよび66cとに接続されている。
【0094】槽30には、上部ノズル66a、66bお
よび66cと下部ノズル64aとから冷却液が供給さ
れ、少なくとも切削工程の間は、図1中に矢印Fで示し
たように、冷却液が槽30の開口部から溢れ出る状態に
維持される。槽30から溢れ出た冷却液は、槽30の下
方に設けられた回収用パン70によって回収タンク72
に導かれ、蓄積される。回収された冷却液は、例えば図
1に示したように、吐出ポンプ74によって循環用配管
76を介して、冷却液タンク60に送られる。循環用配
管76の途中には、フィルタ78が設けられており、回
収された冷却液中の切削屑が分別除去される。回収方法
は、これに限られず、磁力を利用して切削屑を分別する
機構を設けてもよい(例えば特願2000−22448
1号参照)。
【0095】次に、図2を参照しながら、本発明による
切断工程をさらに詳細に説明する。
【0096】槽30は、ワイヤ20の走行方向と交差す
る側壁の開口部付近に補助壁32を有している。この補
助壁32は、プラスチック板(例えばアクリル板)で形
成されており、図2中に破線で示した無負荷のワイヤの
走行位置と近接するように設けられている。切断するた
めにワークピース50を下降し、ワイヤ20に接触させ
るとワイヤ20はたわみ、図2中に実線で示したよう
に、槽30内の冷却液に切削部が浸漬された状態とな
る。このとき、ワイヤ20がたわむに連れて、ワイヤ2
0は補助壁32を切削し、スリットを形成する。ワイヤ
20による切削が定常状態になると、たわみ量は一定
し、ワイヤ20は補助壁32に形成されたスリット内を
通過しながら、ワークピース50を切削する。従って、
補助壁32に形成されたスリットは、ワイヤ20の走行
位置を規制するように機能し、加工精度の安定にも寄与
する。
【0097】槽30は、例えば約35L(リットル)の
容量を有しており、切削工程中は、下部ノズル64aか
ら約30L/minの流量で冷却液が供給され、上部ノ
ズル66a、66bおよび66cから約90L/min
の流量で冷却液が供給され、常に冷却液が開口部から溢
れ出る状態に維持される。ワイヤ20に冷却液を供給す
ることだけを考えると、図2に示したように、切削中は
ワイヤ29がたわむので、冷却液を溢れさせる必要は必
ずしも無いが、例示するネオジ磁石焼結体では切削屑の
排出性を向上するために、上記のような構成を採用する
ことが好ましい。
【0098】切削屑の排出性を高めるためには、切削部
付近の冷却液内に含まれる切削屑の量を減らすことが有
効である。十分な排出性を得るためには、冷却液が1分
間に溢れ出る量は、槽の容積の50%以上であることが
好ましい。さらに、新鮮な冷却液は、槽30の底部より
も開口部から多く供給することが好ましい。水を主成分
とする粘度の低い冷却液を用いているので、冷却液中に
排出された切削屑は容易に沈降するので、槽30の底部
から多くの冷却液を供給すると、沈降した切削屑が切削
部近傍に浮遊する原因となるので好ましくない。
【0099】また、開口部から供給される新鮮な冷却液
が占める割合を多くするために、走行するワイヤ20よ
りも上部に存在する冷却液を多くすることが好ましい。
すなわち、槽30の開口部からも冷却液を供給し、開口
部から溢れる状態に維持することによって、切削部に供
給される冷却液中の切削屑の量を低下させることができ
る。さらに、槽30の開口部から供給される冷却液の流
れによって、ワイヤ20に付着した切削屑を機械的に洗
い流す効果も得られる。
【0100】また、上述した補助壁32は、ワイヤ20
によって形成されたスリット以外の部分は、槽30の側
壁として機能するので、冷却液の液面Sを高く保つよう
に機能する。さらに、槽30の開口部のワイヤ20の走
行方向と交差する辺に、ノズル66bおよび66cを用
いて、カーテン状の冷却液流を形成し、冷却液が槽30
の開口部から溢れ出るのを抑制することによって、溢れ
出る冷却液の液面Sを槽30の補助壁32よりも高くす
ると、より多くの冷却液が切削部の周囲に供給されるこ
とになるので、冷却液中の切削屑の量をさらに低下させ
ることができる。冷却液流を形成するための吐出圧は、
0.2MPa(2kgf/cm2)〜1.0MPa(1
0kgf/cm2)の範囲内にあることが好ましく、
0.4MPa(4kgf/cm2)〜0.6MPa(6
kgf/cm2)の範囲内にあることがさらに好まし
い。この範囲よりも吐出圧が低いと充分な効果が得られ
ないことがあり、この範囲よりも高いとワイヤ20にぶ
れが発生し、その結果、加工精度が低下することがあ
る。
【0101】また、槽30の両側に配置され、ワイヤ2
0の走行位置を規制する一対のメインローラ10bおよ
び10cにも冷却液を吐出することが好ましい。これら
のメインローラ10bおよび10cに冷却液を吐出する
ことによって、メインローラ10bおよび10cの表面
に設けられている、ワイヤ20を案内するための溝を有
する高分子層(例えばウレタンゴム層)の温度上昇を抑
制するとともに、ワイヤ20または案内溝に付着または
滞留した切削屑(またはスラッジ)を洗い流すことがで
きるので、ワイヤ20の走行位置がずれたり、ワイヤ2
0が溝から外れたりするのを防止することができるとと
もに、排出性を向上する効果も得られる。
【0102】水を主成分とする冷却液に添加される界面
活性剤としては、アニオン系として、脂肪酸石鹸やナフ
テン酸石鹸等の脂肪酸誘導体、又は長鎖アルコール硫酸
エステルや動植物油の硫酸化油等の硫酸エステル型、又
は石油スルホン酸塩等のスルホン酸型、非イオン系とし
て、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルやポ
リオキシエチレンモノ脂肪酸エステル等のポリオキシエ
チレン系、ソルビタンモノ脂肪酸エステル等の多価アル
コール系、又は脂肪酸ジエタノールアミド等のアルキロ
ールアミド系を用いることができる。具体的には、ケミ
カルソリューションタイプのJP−0497N(カスト
ロール社製)を水に2重量%程度添加することによっ
て、表面張力および動摩擦係数を所定の範囲内に調整す
ることができる。
【0103】また、シンセティックタイプ合成潤滑剤と
しては、シンセティック・ソリューションタイプ、シン
セティック・エマルションタイプおよびシンセティック
ソリュブルタイプを用いることができ、そのなかでも、
シンセティック・ソリューションタイプが好ましく、具
体的には、シンタイロ9954(カストロール社製)
や、#830および#870(ユシロ化学工業社製)を
挙げることができる。いずれも、水に2重量%〜10重
量%程度添加することによって、表面張力(または動摩
擦係数)を好適な範囲内に調整することができる。
【0104】また、錆止め剤を含有させることで、希土
類合金の腐食を防止することができる。特に、R−Fe
−B系希土類合金を切断する際には、PHを8〜11と
することが好ましく、PHは9以上であることがさらに
好ましい。錆止め剤としては、有機系として、オレイン
酸塩や安息香酸塩等のカルボン酸塩、又はトリエタノー
ルアミン等のアミン類、無機系として、りん酸塩、ホウ
酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、又は炭酸塩
を用いることができる。
【0105】また、非鉄金属防食剤としては、例えばベ
ンズトリアゾール等の窒素化合物を、防腐剤としては、
ヘキサハイドロトリアジン等のホルムアルデヒド供与体
を用いることができる。
【0106】また消泡剤としては、シリコーンエマルジ
ョンを用いることができる。消泡剤を含有させること
で、冷却液の泡立ちを少なくし、冷却液の浸透性をよく
し、冷却効果を高め、ワイヤ20での温度上昇を防ぎ、
ワイヤ20の温度の異常上昇や異常摩耗が起こりにくく
なる。
【0107】図3を参照しながら、本実施形態で好適に
用いられるワイヤ20の構造を説明する。なお、図中で
は、ワイヤ20の一点鎖線で示した中央線から下半分は
簡略化している。
【0108】ワイヤ20としては、芯線(ピアノ線)2
2の外周面にダイヤモンド砥粒24を樹脂層26で固着
したものが好適に用いられる。そのなかでも、樹脂とし
てフェノール樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂
を用いることが好ましい。これらの樹脂は、ピアノ線
(硬鋼線)22の外周面への接着強度が高く、また上述
した冷却液に対する濡れ性(浸透性)にも優れる。
【0109】好適なワイヤ20の具体例としては、直径
が約0.18mmのピアノ線22の外周に、平均粒径が
約45μmのダイヤモンド砥粒を、フェノール樹脂層2
6で固着し、外径が約0.24mmのワイヤ20が挙げ
られる。また、切削効率と切削屑(スラッジ)の排出効
率の観点から、ワイヤ20の走行方向(軸方向:図中の
一点破線に平行な方向)における、互いに隣接する砥粒
26間の平均距離は、砥粒の平均粒径Dの150%〜6
00%の範囲内にあるものが好ましい。特に、平均粒径
Dが小さな砥粒を砥粒間の平均距離が砥粒の平均粒径D
の150%〜400%とすることによって、個々の砥粒
に掛かる負荷を低減できるので好ましい。さらに、砥粒
22がフェノール樹脂層26の表面から突出している部
分の平均高さは、10μm〜40μmの範囲内にあるこ
とが好ましい。このようなワイヤ20は、砥粒22間に
適度な大きさの空間(「チップポケット」と呼ばれるこ
ともある)28が形成されているので、良好な切削効率
を有するとともに、良好な排出性を有する。
【0110】(実施形態2)次に、本発明による実施形
態2の希土類合金の切断方法を図4を参照しながら説明
する。
【0111】図4は、本発明による実施形態の希土類合
金の切断方法を実行するために好適に用いられるワイヤ
ソー装置200を示す概略構成図である。
【0112】ワイヤソー装置200は、実施形態1のワ
イヤソー装置100にさらにリールボビン40aおよび
40bに巻き取られているワイヤ20に冷却液を供給す
るための噴霧装置80aおよび80bを備えている。本
実施形態では、樹脂で砥粒を固定したワイヤ20を用い
るので、少量の冷却液を効率的にワイヤ20に付与する
ために噴霧法を採用する。
【0113】噴霧装置80aおよび80bは、例えば、
図5に示したように、冷却液(例えば200ml/mi
n)とエアー(例えば0.4MPa)とを噴霧ノズルに
供給することによって、後述する冷却液60切削部に供
給される後述の冷却液と同じものを用いる。リールボビ
ン40a、40b(例えば、芯外径170mm、高さ3
40mm)に巻き付けられているワイヤ20の全体に亘
って冷却液を噴霧することができる。ここでは、冷却液
として、後述する冷却液タンク60に貯蔵されている冷
却液を共通に用い、吐出ポンプによって配管を介して噴
霧装置80aおよび80bまでそれぞれ圧送される。勿
論、噴霧装置80aおよび80bに冷却液を供給するた
めに冷却液タンクを別途設け、切削部に供給する冷却液
と異なる冷却液を用いてもよい。
【0114】さらに、冷却液によるワイヤへのダメージ
および/または冷却液の使用量を減らすために、冷却液
を噴霧する領域を限定してもよい。図4に示したトラバ
ーサ42aおよび42bの動きに同期させ、巻き取り
(および繰り出し)動作が行われ、ワイヤ20同士の摩
擦が発生している領域に選択的に冷却液を供給する機構
としても良い。特に、ワイヤに固定された砥粒はワイヤ
の樹脂層を傷つけることが多い。なお、実施形態1で示
したように、ワイヤは往復走行されるため、走行方向が
反転されたときに強い張力が発生する。
【0115】冷却液を供給する手段は、例示した噴霧装
置80aおよび80bに限られず滴下装置などを用いて
も良い。比較的多くの冷却水を供給する場合には、必要
に応じて、リールボビン40aおよび40bの下部に余
剰の冷却液を回収、再利用するための回収用パンを設け
ることが好ましい。冷却液の回収経路にはフィルタおよ
び/またはマグネットセパレータを設け、回収した冷却
液に含まれる切屑を分別除去することが好ましい。
【0116】なお、本実施形態では、リールボビンに巻
き取られたワイヤに冷却液を噴霧する構成を例示した
が、リールボビンに巻き取られる直前のワイヤに対して
冷却液を供給しても良い。互いに接触するワイヤの少な
くとも一方が濡れた状態であれば砥粒へのダメージを小
さくすることができる。
【0117】なお、リールボビン40aおよび40bに
巻き取られたワイヤ20が互いに摩擦し合うことによっ
てうけるダメージは、ワイヤ20の張力にも依存する。
そこで、リールリボン40aおよび40bに巻き取るた
めの張力を低減する機構を設けることが好ましい。巻き
取り張力を低減する機構としては、例えば、特開平9−
29607号公報、特開平9−314548号公報、特
開平10−166353号公報や特開平10−2779
14号公報に記載されているような機構を用いることが
できる。リールボビン40aおよび40bにおける巻取
り張力は15N以下とすることが好ましい。また、リー
ルボビン40aおよび40bにおいて巻き取ったワイヤ
が撓んだり、ずり落ちたりして、乱れることがないよう
に、巻取り張力は4N以上であることが好ましい。4N
よりも小さいと樹脂はがれがかえって発生しやすくなる
ことがある。
【0118】上述のワイヤソー装置200で、ワイヤと
して実施形態1について説明した仕様を満足するアライ
ドマテリアル製のワイヤを用いて、上述のネオジム磁石
合金を切断した場合の効果を検証した。冷却液としてユ
シロ化学工業社製#830の約10%水溶液(液温23
℃)を供給量200ml/minでリールボビンに噴霧
しながら、最大走行速度1100m/分、張力30N、
切り込み量40mm/時間、新線供給量2m/分の条件
で、ワイヤを双方向に走行させながら切断した。その結
果、リールボビン40aおよび40b(ワイヤ長38k
m)に冷却液を噴霧しない場合に比べ、砥粒および樹脂
層の脱離量が3分の1程度に低減した。ユシロ化学製#
830の濃度を調節することによって得られた、動摩擦
係数0.11〜0.13、表面張力33〜36mN/
m、粘度1〜4mPa・s(動粘度1〜4mm2/s)
の冷却液を用いた場合にほぼ同様の結果が得られた。
【0119】上述したように、本発明の実施形態2によ
ると、ワイヤソー装置で水を主成分とする冷却液を用い
希土類合金を切断する際のワイヤの寿命を長くすること
が可能となる。実施形態1の切断方法と組み合わせるこ
とによって、最善の効果を得ることができるが、切断部
への冷却液の供給の仕方は他の方法であっても良い。
【0120】次に、実施形態1のワイヤソー装置100
および実施形態2のワイヤソー装置200のメインロー
ラ10a、10bおよび10cの好ましい構造を説明す
る。
【0121】水を主成分とする冷却液を用いると、油性
の冷却液を用いた場合よりもワイヤの断線率が増加す
る、すなわち、短時間で断線する。種々検討した結果、
これは、水系の冷却液が油性の冷却液に比べて潤滑能力
が低いために、ワイヤとローラの案内溝の斜面との摩擦
を十分に低減することができず、ワイヤ表面の砥粒がス
ロープ表面に食い込み、張力が加えられることでワイヤ
にねじれ力が加わるためと考えられる。
【0122】ローラ10aの高分子層10Pに形成され
た案内溝10Gの断面形状を、図6に模式的に示すよう
に、案内溝10Gが有する一対の斜面10Sがローラ1
0aの表面10Tに対して50°以上の角度(傾斜角と
いうこともある。)を成す構成を採用することによっ
て、ワイヤ20の断線の発生を抑制することができる。
なお、例示したように、案内溝10Gが有する一対の斜
面10Sの両方がローラ10aの表面10Tに対して5
0°以上の角度を有することが好ましいが、一対の斜面
10Sの内の少なくとも一方が表面10Tに対して50
°以上の角度を有していれば、断線の発生を抑制する効
果が得られる。
【0123】これに対し、従来は、例えば図7に示すよ
うに、案内溝10Gの斜面10Sがローラの表面10T
に対して45°以下の角度を成す構造を採用していた。
これは、希土類合金は脆性的な破壊を起こす主相と延性
的な破壊を粒界相とを有するために切削抵抗が高く、且
つ、比重が大きいのでスラッジの排出性が悪いため、案
内溝10Gから効率よくスラッジを十分に排出させるた
めである。しかしながら、案内溝10Gの斜面10Sの
傾斜角が45°以下であると、上述した斜面10Sとワ
イヤ20との摩擦力が大きく、断線が発生しやすいと考
えられる。特に、ワイヤ20が往復走行される場合は、
走行方向が反転されるときに強い張力が発生する。
【0124】斜面10Sの傾斜角が異なるローラ10
a、10bおよび10cを用意し、ワイヤソー装置10
0を用いて断線の発生回数を評価した。高分子層10P
としてはウレタンゴム層を用い、冷却液としてはユシロ
化学工業社製#830の約10%水溶液を用いた。実施
形態1と同じ希土類焼結磁石のワークピースを300時
間連続で切断した際のワイヤ20の断線発生回数を求め
た。斜面10Sの傾斜角と断線発生回数との関係を表1
に示す。
【0125】
【表1】
【0126】表1から分かるように、案内溝10Gの傾
斜面10Sの傾斜角を50°以上にすることによって、
ワイヤ20の断線回数が低減される。これは、傾斜角が
50°以上であると斜面10Sとワイヤ20との摩擦が
低減されることによってワイヤ20に加えられるねじれ
力が低減したためと考えられる。また、傾斜角が70°
以上では断線回数が若干増加する傾向が見られた。これ
は、スラッジの排出性が低下するためと考えられる。こ
の実験結果から、案内溝10Gの傾斜面10Sの傾斜角
は50°以上80°以下であることが好ましく、50°
以上65°以下であることがさらに好ましいと言える。
また、傾斜角が80°を超えると、ワイヤ20が案内溝
10Gから外れるおそれが増すため、80°以下である
ことが好ましい。なお、案内溝10Gの底部10Bは、
ワイヤ20の半径よりもやや小さめの曲率半径に加工し
ておくことが好ましい。
【0127】また、ワイヤ20の断線の発生回数は、ロ
ーラ間を走行させられるワイヤ20の張力にも依存す
る。表1に示した結果は、ワイヤ20の張力を30Nと
した場合の結果であり、ワイヤの張力が25N以上35
N以下である場合にほぼ同様の結果を得ることができ
る。
【0128】ワイヤソー装置100および200を例示
しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれ
に限られず、単一のリールボビンを用いるエンドレス型
のワイヤソー装置(例えば特開平11−198018号
公報参照)に適用することができる。
【0129】
【発明の効果】本発明によると、水を主成分とする冷却
液を用いて実行できる、固定砥粒ワイヤによる希土類合
金の切断方法が提供される。また、本発明によるとワイ
ヤの砥粒およびワイヤが受けるダメージを低減すること
によって、ワイヤの寿命を長くすることもできる。さら
に、本発明によると、上記のような切断方法に好適に使
用されるワイヤソー装置が提供される。
【0130】本発明の切断方法を用いると、高い加工精
度で、且つ、少ない切削しろで、希土類合金を切断する
ことができるので、高価な希土類金属合金の材料のロス
を軽減することができる。また、冷却液の循環使用を容
易に実現できるので、環境に優しく、また、廃液の処理
のコストを低減することができる。従って、希土類金属
合金の加工コストが低減され、切断品、例えば、磁気ヘ
ッド用のボイスコイルモータに使用される希土類磁石を
低価格で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態の希土類合金の切断方法
を実行するために好適に用いられるワイヤソー装置10
0を示す模式図である。
【図2】図1に示したワイヤソー装置100の切削部近
傍の構成を示す模式図である。
【図3】本発明による実施形態の希土類合金の切断方法
を実行するために好適に用いられるワイヤ20の断面構
造を模式的に示す図である。
【図4】本発明による他の実施形態の希土類合金の切断
方法を実行するために好適に用いられるワイヤソー装置
200を示す模式図である。
【図5】ワイヤソー装置200におけるリールボビン4
0aおよび40bに巻かれたワイヤ20に冷却液を供給
するための構造を模式的に示す図である。
【図6】ワイヤソー装置100および200に好適に用
いられるローラの断面構造を模式的に示す図である。
【図7】従来のローラの断面構造を模式的に示す図であ
る。
【符号の説明】
10a、10b、10c メインローラ 20 ワイヤ 30 槽 40a、40b リールボビン 42a、42b トラバーサ 50 ワーク 60 冷却液タンク 70 回収用パン 80a、80b 噴霧装置
フロントページの続き (72)発明者 石田 一 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 3C058 AA05 AA09 AC04 BA08 CB06 CB10 DA03 DA12

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯線に砥粒を固着させたワイヤを用いる
    希土類合金の切断方法であって、 前記希土類合金が前記ワイヤによって切削される部分を
    25℃における表面張力が25mN/m〜60mN/m
    の範囲内にある水を主成分とする冷却液中に浸漬した状
    態で、前記ワイヤを走行させることによって前記希土類
    合金を切削する工程を包含する、希土類合金の切断方
    法。
  2. 【請求項2】 前記冷却液は、水溶性の合成潤滑剤と、
    前記合成潤滑剤の重量の10倍〜50倍の範囲内の重量
    の水を含んでいる、請求項1に記載の希土類合金の切断
    方法。
  3. 【請求項3】 前記冷却液は、界面活性剤と、界面活性
    剤の重量の10倍〜50倍の範囲内の重量の水を含んで
    いる、請求項1または2に記載の希土類合金の切断方
    法。
  4. 【請求項4】 前記冷却液は、消泡剤を含んでいる請求
    項1から3のいずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  5. 【請求項5】 前記冷却液は、PHが8〜11である請
    求項1から4のいずれかに記載の希土類合金の切断方
    法。
  6. 【請求項6】 前記冷却液は、防錆剤を含んでいる請求
    項1から5のいずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  7. 【請求項7】 前記砥粒は、前記芯線の外周面に形成さ
    れた樹脂層によって固着されている、請求項1から6の
    いずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  8. 【請求項8】 前記ワイヤの走行方向における、互いに
    隣接する前記砥粒間の平均距離は、前記砥粒の平均粒径
    の150%〜600%の範囲内にあり、且つ、前記砥粒
    が前記樹脂層の表面から突出している部分の平均高さ
    は、10μm〜40μmの範囲内にある、請求項1から
    7のいずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  9. 【請求項9】 前記砥粒の平均粒径Dは、20μm≦D
    ≦60μmの関係を満足する、請求項1から8のいずれ
    かに記載の希土類合金の切断方法。
  10. 【請求項10】 前記切削工程において、前記希土類合
    金が前記ワイヤによって切削される部分が槽内に収容さ
    れた前記冷却液に浸漬され、前記冷却液は、前記槽の底
    部から前記槽内に供給されるとともに、前記槽の開口部
    から供給されることによって、前記開口部から溢れ出る
    状態に維持される、請求項1から9のいずれかに記載の
    希土類合金の切断方法。
  11. 【請求項11】 前記切削工程において、前記冷却液が
    1分間に溢れ出る量は、前記槽の容積の50%以上であ
    る、請求項10に記載の希土類合金の切断方法。
  12. 【請求項12】 前記切削工程において、前記開口部か
    ら供給される前記冷却液の量は、前記底部から供給され
    る前記冷却液の量よりも多い、請求項10または11に
    記載の希土類合金の切断方法。
  13. 【請求項13】 前記切削工程において、前記槽の前記
    開口部の前記ワイヤの走行方向と交差する辺上に、カー
    テン状の気流または冷却液流を形成することによって、
    前記冷却液が前記槽の前記開口部から溢れ出るのを抑制
    する、請求項10から12のいずれかに記載の希土類合
    金の切断方法。
  14. 【請求項14】 前記ワイヤは、ローラによって駆動さ
    れ、前記ローラは、案内溝が形成された高分子層を有
    し、前記案内溝は、少なくとも一方の斜面が前記ローラ
    の表面に対して50°以上の角度を成す一対の斜面を有
    し、前記ワイヤは前記一対の斜面の間を走行させられ
    る、請求項1から13のいずれかに記載の希土類合金の
    切断方法。
  15. 【請求項15】 前記希土類合金は、R−Fe−B系希
    土類焼結合金である請求項1から14のいずれかに記載
    の希土類合金の切断方法。
  16. 【請求項16】 前記希土類合金は、Nd−Fe−B系
    希土類焼結合金である請求項15に記載の希土類合金の
    切断方法。
  17. 【請求項17】 芯線に砥粒を固着させたワイヤを用い
    る希土類合金の切断方法であって、リールボビンに巻か
    れたワイヤを複数のローラの間で走行させる工程と、前
    記リールボビンに巻かれた前記ワイヤまたは前記リール
    ボビンの近傍を走行する前記ワイヤに、水を主成分とす
    る第1冷却液を供給する工程と、前記希土類合金が前記
    ワイヤによって切削される部分に水を主成分とする第2
    冷却液を供給しながら、走行している前記ワイヤで前記
    希土類合金を切削する工程と、を包含する希土類合金の
    切断方法。
  18. 【請求項18】 前記第1冷却液は、希土類合金に対す
    る25℃における動摩擦係数が0.3以下である、請求
    項17に記載の希土類合金の切断方法。
  19. 【請求項19】 前記第2冷却液は、希土類合金に対す
    る25℃における動摩擦係数が0.1〜0.3の範囲内
    にある、請求項17または18に記載の希土類合金の切
    断方法。
  20. 【請求項20】 前記第1冷却液は噴霧法によって前記
    ワイヤに供給される、請求項17から19のいずれかに
    記載の希土類合金の切断方法。
  21. 【請求項21】 前記砥粒は、前記芯線の外周面に形成
    された樹脂層によって固着されている、請求項17から
    20のいずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  22. 【請求項22】 前記樹脂は、フェノール樹脂、エポキ
    シ樹脂またはポリイミド樹脂である、請求項21に記載
    の希土類合金の切断方法。
  23. 【請求項23】 前記ワイヤの走行方向における、互い
    に隣接する前記砥粒間の平均距離は、前記砥粒の平均粒
    径の150%〜600%の範囲内にあり、且つ、前記砥
    粒が前記樹脂層の表面から突出している部分の平均高さ
    は、10μm〜40μmの範囲内にある、請求項21ま
    たは22に記載の希土類合金の切断方法。
  24. 【請求項24】 前記第1冷却液は前記第2冷却液より
    も粘度が高い、請求項17から23のいずれかに記載の
    希土類合金の切断方法。
  25. 【請求項25】 前記第1冷却液および前記第2冷却液
    は、15℃から35℃の範囲にある、請求項17から2
    4のいずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  26. 【請求項26】 前記複数のローラのそれぞれは、案内
    溝が形成された高分子層を有し、前記案内溝は、少なく
    とも一方の斜面が前記ローラの表面に対して50°以上
    の角度を成す一対の斜面を有し、前記ワイヤは前記一対
    の斜面の間を走行させられる、請求項17から25のい
    ずれかに記載の希土類合金の切断方法。
  27. 【請求項27】 前記希土類合金は、R−Fe−B系希
    土類焼結合金である請求項17から26のいずれかに記
    載の希土類合金の切断方法。
  28. 【請求項28】 前記希土類合金は、Nd−Fe−B系
    希土類焼結合金である請求項27に記載の希土類合金の
    切断方法。
  29. 【請求項29】 希土類合金粉末から希土類磁石の焼結
    体を作製する工程と、請求項1から28のいずれかに記
    載の希土類合金の切断方法を用いて、前記焼結体から複
    数の希土類磁石を分離する工程と、 を包含する、希土類磁石の製造方法。
  30. 【請求項30】 芯線に砥粒を固着させたワイヤと、 前記ワイヤがその周辺に巻きつけられるリールボビン
    と、 前記リールボビンに巻きつけられた前記ワイヤを引き出
    し、走行させる複数のローラと、 前記ワイヤが被切削物を切削する部分に第1冷却液を供
    給する装置と、 前記リールボビンに巻き付けられている前記ワイヤまた
    は前記リールボビンの近傍を走行する前記ワイヤに第2
    冷却液を供給する装置と、 を備える、ワイヤソー装置。
  31. 【請求項31】 前記第2冷却液を供給する装置は噴霧
    装置を備えている請求項30に記載のワイヤソー装置。
  32. 【請求項32】 前記複数のローラのそれぞれは、案内
    溝が形成された高分子層を有し、前記案内溝は、少なく
    とも一方の斜面が前記ローラの表面に対して50°以上
    の角度を成す一対の斜面を有し、前記ワイヤは前記一対
    の斜面の間を走行させられる、請求項30または31に
    記載のワイヤソー装置。
  33. 【請求項33】 芯線に砥粒を固着させたワイヤと、 前記ワイヤがその周辺に巻きつけられるリールボビン
    と、 前記リールボビンに巻きつけられた前記ワイヤを引き出
    し、走行させる複数のローラと、 前記ワイヤが被切削物を切削する部分に冷却液を供給す
    る装置とを有し、 前記複数のローラのそれぞれは、案内溝が形成された高
    分子層を有し、前記案内溝は、少なくとも一方の斜面が
    前記ローラの表面に対して50°以上の角度を成す一対
    の斜面を有し、前記ワイヤは前記一対の斜面の間を走行
    させられる、ワイヤソー装置。
  34. 【請求項34】 前記複数のローラ間を走行させられる
    前記ワイヤの張力は25N以上35N以下である、請求
    項33に記載のワイヤソー装置。
  35. 【請求項35】 請求項29に記載の希土類磁石の製造
    方法によって製造された希土類磁石を備えるボイスコイ
    ルモータ。
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