JP4912714B2 - 固定砥粒ワイヤソー用加工液 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類磁石の切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用加工液に関し、特に、水を主成分とする加工液に関する。
希土類磁石は高い磁気特性を有する優れた磁性材料として広く利用されている。例えば、磁気記録装置の磁気ヘッドの位置決めに用いられるボイスコイルモータ用の磁石として好適に用いられている。
希土類磁石(合金や焼結体を含む。)を切断する方法としては、従来から、例えば回転するスライシングブレードを用いてインゴットをスライスする技術が採用されている。しかしながら、スライシングブレードで切断する方法によれば、切断刃の厚さが比較的大きいため、削り代が多くなり、希土類合金材料の歩留まりが低く、希土類合金製品(例えば希土類磁石)のコストを上昇させる要因となっている。
スライシングブレードよりも削り代が少ない切断方法として、ワイヤソーを用いた方法がある。例えば、特許文献1は、高強度の芯線の周面上に超砥粒をボンド層により固定したワイヤ(「固定砥粒ワイヤソー」という。)を用いて、シリコン、ガラス、ネオジム、フェライト等の硬脆材料を切断できることを開示している。
しかしながら、希土類磁石は、全体として脆く、且つ、硬い主相(すなわちR2Fe14B結晶粒)と、延性的な破壊を起こす粒界相とを有するので、シリコンに代表される硬脆材料と異なり、切削され難い。すなわち、シリコン等の硬脆材料を切断する場合に比べて、切削抵抗が高く、その結果、発熱量も多い。また、希土類合金の比重は、約7.5とシリコン等の材料に比べて大きく、切削によって生成される切削屑(スラッジ)が切削部から排出され難い。
本出願人の一方は、他社に先駆け、ワイヤソーを用いて希土類磁石を量産レベルで切断する技術を開発し、特許文献2および3に開示している。特許文献2および3に開示している技術は、材料の歩留まりを向上させるだけでなく、加工液(「冷却液」または「切削液」ともいう。)として水系のものを用いることが可能で、環境に優しい切断方法を提供することができる。ここで、水系の加工液とは、それ自身が水に難溶または不溶な成分を含んでいてもよいが、水で希釈することによって、廃水として処理が可能なものを指す。
しかしながら、従来の加工液には泡立ちを抑制するためにホウ酸(硼酸:HBO)が1〜5質量%程度含まれていた。ホウ素は水質汚濁防止法等で基準値が定められており、ホウ酸を含む加工液は取り扱いに注意が必要で、また廃液の処理等にコストがかかることになる。
本発明は上記の諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホウ酸を実質的に含まない、希土類磁石の切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用の水系の加工液を提供することを目的とする。
特開平11−198020号公報 特開2003−191158号公報 特開2004−42241号公報
本発明の加工液は、希土類磁石の切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用加工液であって、加工液の全量に対して、水溶性の3級アミンを30〜40質量%、水溶性の2級アミンを5〜10質量%、水に不溶な2級アミンを1〜5質量%、カルボン酸を10〜25質量%、水を30〜40質量%を含み、ホウ酸を実質的に含まず、前記アミンの水素以外の置換基は、それぞれ独立に、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アシル基からなる群から選択される一種である。
ある実施形態において、2級アミンと3級アミンとの比率が1:2超1:7未満の範囲内にある。
ある実施形態において、前記カルボン酸は直鎖カルボン酸およびジカルボン酸を含んでもよい。前記カルボン酸の炭素数は14以下であることが好ましい。
ある実施形態において、水で10倍に希釈したときのPHが7.5〜9.5の範囲内にある。
ある実施形態において、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロックポリマーをさらに含む。
本発明によると、ホウ酸を実質的に含まず、希土類磁石を固定砥粒ワイヤソーを用いて切断する際に好適に用いられる水系の加工液を提供することができる。本発明の加工液を用いると、ホウ酸を使用することなく、従来の加工液を用いた場合と同等以上の切断効率を得ることができる。
以下に、本発明の実施形態による希土類磁石の切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用加工液を詳細に説明する。
まず、図1を参照してワイヤソー装置を用いて希土類磁石を切断する方法を説明する。図1は、ワイヤソー装置の基本的な構成例を示している。もちろん、本発明の加工液は特許文献1および2などに記載されているワイヤソー装置をはじめ公知のワイヤソー装置に広く適用することができる。ワイヤソーの駆動方向は、一方向でも双方向(往復走行)でもよい。
図1に示されている装置は、加工対象の希土類磁石(例えば、ネオジム焼結磁石)1を保持し、上下(z軸方向)に駆動する駆動装置2と、複数のロール3a、3b、3c、および3dとを備えている。
ワイヤソー4は、砥粒がワイヤに固着されたものであり、ロール3a〜3dに巻かれ、y軸に平行な方向に走行する。ワイヤソー4は、x軸方向に等間隔で配列され、その配列間隔(ワイヤピッチ)は、ブロック状の希土類磁石1から切り出す各プレート状部分のサイズ(厚さ)によって任意に設定される。例えば約1mm以上約30mm以下の範囲内に設定される。
ワイヤソー4のワイヤ(芯線)は、引っ張り強度の高い材料から形成されることが好ましく、例えば、硬鋼線(ピアノ線)、Ni−CrやFe−Niなどの合金、WやMoなどの高融点金属、またはナイロン繊維を束ねたものから形成される。また、ワイヤが太すぎると、切断代が大きくなるため、材料の歩留まりが低下してしまう。逆にワイヤが細すぎると、加工負荷によってワイヤが切断してしまうおそれがある。さらに、切断抵抗を増加させるため、発熱・発火の原因となる。このため、ワイヤの外径は、0.05mm以上3.0mm以下に設定されることが好ましく、より好ましいワイヤの外径は、0.1mm以上1.0mm以下である。
砥粒は、ダイヤモンド、SiC、またはアルミナなどの高硬度材料から形成されていることが好ましく、その平均粒径は、例えば、20μm以上60μm以下である。砥粒は、樹脂膜などによってワイヤの表面に固着されていることが好ましい。樹脂膜としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いることができる。樹脂膜の厚さは、0.02mm〜1.0mm程度である。なお、樹脂膜の代わりに金属膜などを用いて砥粒を固着してもよい。
また、切削効率と切削屑(スラッジ)の排出効率の観点からは、ワイヤソー4の走行方向における、互いに隣接する砥粒間の平均距離は砥粒の平均粒径の100〜600%の範囲内にあることが好ましい。また、砥粒が樹脂層の表面から突出している部分の平均高さは、10μm〜40μmの範囲内にあることが好ましい。
ワイヤソー4のy軸方向速度(vy)を、本明細書では「ワイヤ送り速度」と称することとする。所定のワイヤ送り速度で走行するワイヤソー4に対して希土類磁石1を押し付けることにより、希土類磁石1を切削し、複数の部分に切断・分割(スライス)することができる。希土類磁石1をワイヤソー4に押し付けてゆく速度(vz)は、図示されている例では、駆動装置のz軸方向の駆動速度に対応し、これを本明細書では「切込速度」と称することにする。この切込速度が速いほど、加工に要する時間が短縮される。
ワイヤソーに印加する張力は、20N〜35Nの範囲が好ましい。
ワイヤ送り速度および切込速度は、加工負荷の値に大きく影響する。本発明の加工液を用いて、例えばネオジム焼結磁石を切断する場合、加工負荷を実用上適切な範囲に収めるには、切込速度を例えば20mm/h以上60mm/h以下に設定することが好ましい。
本発明による加工液は、ワイヤソー4が希土類磁石1を切断する部分に供給される。加工液の供給の方法は、種々の方法を採用することが出来る。例えば特許文献1および2に記載されているように、希土類磁石1が切断される部分(ワイヤソー4と接触する部分)を加工液に浸漬するようにしてもよいし、例えばノズル等を用いて当該部分に選択的に(部分的に)加工液を供給してもよい。このとき、加工液を噴霧してもよいし、滴下してもよい。以下に示す実験例では、滴下することによって切断部分に選択的に加工液を供給した。供給速度は、例えば1〜10ml/分である。滴下箇所は、1箇所であっても、複数箇所であってもよい。
本発明の加工液は、加工液の全量に対して、水溶性の3級アミンを30〜40質量%、水溶性の2級アミンを5〜10質量%、水に不溶な2級アミンを1〜5質量%、カルボン酸を10〜25質量%、水を30〜40質量%を含み、ホウ酸を実質的に含まず、アミンの水素以外の置換基は、それぞれ独立に、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アシル基からなる群から選択される一種であることを特徴とする。
上記水溶性の2級および3級アミンとしては、ヒドロキシアルキル基を有するアルカノールアミンを好適に用いることができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンおよびN,N−ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。それぞれについて、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水溶性のアルカノールアミンに代えてまたはアルカノールアミンと共に、水溶性のアルキルアミンを用いることもできる。水溶性の2級アルキルアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジプロピルアミン等が挙げられる。水溶性の3級アルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。これらも、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、上記アルカノールアミンおよび/またはアルカノールアミンに代えて、またはそれらと共に、置換基として、シクロアルキル基、シクロアルケニル基またはアシル基を有するアミンを用いることができる。例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンを挙げることができる。
水に不溶な2級アミンとして、例えば、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミンを挙げることができる。水に不溶な2級アミンは防カビ(抗菌)作用を有する。
また、後述する実験例からわかるように、切削効率の観点から、2級アミン(水溶性+水に不溶性)と3級アミンとの比率が1:2超1:7未満の範囲内にあることが好ましい。3級アミンは切削性(加工性)の向上に主に寄与する。なお、2級アミンが上記範囲よりも少ないと切削効率が低下するとともに、加工液の腐敗を防止する効果が低下する。3級アミンはバクテリアやカビなどの菌類に対する抵抗力が弱く、2級アミンが少ないと加工液が変質し易くなる。種々検討の結果、3級アミンを30〜40質量%、2級アミンを6〜15質量%を含むことが好ましい。2級アミンの内、水に不溶な2級アミンは1〜5質量%含むことが好ましい。
カルボン酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸およびステアリン酸等の直鎖飽和カルボン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の直鎖不飽和カルボン酸、イソノナン酸およびイソステアリン酸等の分岐カルボン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸およびリシノール酸等のヒドロキシカルボン酸、シクロヘキサン酸および4−メチルシクロヘキサン酸等の環状カルボン酸、安息香酸およびt−ブチル安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらのうち、加工性の観点から直鎖カルボン酸が好ましい。また、防錆あるいは消泡性の観点から、アジピン酸、セバシン酸、ドテカンニ酸などのジカルボン酸を好適に用いることができる。
また、上記のカルボン酸は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、炭素数が8未満のカルボン酸は、加工性能に寄与しない恐れがあり、炭素数が14を超えるものは加工時に気泡が多く発生し切削効率が低下するので好ましくない。また、後に説明するように、実験によると、炭素数が14を超えるカルボン酸を用いた場合、炭素数が14以下のカルボン酸を用いた場合に比べて、切削効率(除去体積)が約10%低下する。これは、炭素数が14以下のカルボン酸には泡立ちを抑制する効果があるからである。
カルボン酸は10〜25質量%含有することが好ましく、10質量%以下では潤滑性が低下することがある。また、30質量%を超えると加工時に気泡が多く発生し、切削効率が低下することがある。特に、加工性能と防錆性能とのバランスの観点からは、直鎖カルボン酸は10質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、ジカルボン酸は1〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
また、カルボン酸は、加工液を水で10倍に希釈したときのPHが7.5〜9.5となるように、上記アミンをほぼ中和するように配合することが好ましい。PHが7.5未満では希土類磁石が発錆しやすく、一方、PHが9.5を超えると加工液の成分と希土類磁石とが化学反応して発熱することがあり好ましくない。
さらに、上記加工液に、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロックポリマーを添加してもよい。このブロックポリマーは、加工液の浸透性を向上させ、切削部に加工液をより効率的に供給することができる。ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロックポリマーは加工液の全体に対して1〜5質量%添加することが好ましい。また、平均分子量は200〜10000の範囲であることが好ましい。平均分子量が小さすぎると添加効果が得られず、大き過ぎると粘度が増大し、かえって切削効率が低下するおそれがある。また、特許文献1に記載されているように加工液を水で10倍に希釈したときの25℃における表面張力が25mN/m〜60mN/mの範囲にあることが好ましい。
上記加工液に、さらに必要に応じて、界面活性剤、防錆剤などを添加してもよい。これらの添加量は、加工液全体に対して5質量%以下とすることが好ましい。
以下に実験例を示して本発明の加工液の特徴を説明する。
実験に用いたワイヤソーは、ワイヤ(芯線)外径0.18mm、ワイヤソー外径0.25mmの樹脂工程砥粒ワイヤソーで、粒径が40μm〜60μmのダイヤモンド砥粒を備えるものである。送り速度(走行速度)は200m/分、ワイヤの張力は1.5kgf、切断荷重(図1中のz方向荷重)は400gf、ワイヤソーの3分間の往復回数は24回で、約45分間、ネオジム焼結磁石を切削した。ワイヤソー装置は、図1に示したのと同様の構成を有しており、ネオジム焼結磁石の寸法は、図1中のx方向の長さが約17mm、y方向の長さが約70mm、z方向の長さが約20mmのワークピースを用いた。
加工液(原液)として、
水溶性3級アミン:トリエタノールアミンを36質量%
水溶性2級アミン:ジエタノールアミンを7質量%、
水に不溶な2級アミン:ジベンジルアミンを3質量%
直鎖カルボン酸:カプリル酸を14質量%
ジカルボン酸:セバシン酸を4質量%
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロックポリマー(分子量500):
4質量%、
水:32質量%、
ホウ酸が0質量%
を調製した。
実際の切断加工には、この原液を水で5%に希釈したものを用いた。この希釈液のPHは8.4、表面張力(15℃)は34.0mN/mであった。なお、一般には、上記組成を有する本発明の加工液を、水で3質量%から20質量%に希釈して用いればよい。
さらに、上記原液のトータルのアミン量を一定にして、2級アミンと3級アミンとの比率を1:8〜1:1に変えたサンプル1〜5を調製した。
上述のワイヤソー装置を用いて、切削部に上記各加工液の希釈液を滴下(約2ml/分)しながら、切断実験を行った。結果を表1、図2および図3に示す。表1および図2に示した全体除去体積は、約45分間の切断によって除去されたネオジム焼結磁石の質量を示している。表1中の平均除去体積は、全体除去体積を各切断時間(約45分)で除して求めた値である。ワイヤ径磨耗量は、約45分間の切断によって磨耗し、減少したワイヤの外径の減少分を示している。また、図3は、約45分間の切断実験によってネオジム焼結磁石に切り込まれた溝の深さの時間変化を示している。
Figure 0004912714
表1、図2および図3からわかるように、3級アミンの比率が低いサンプル5(1:1)では、除去体積および溝深さが小さく、切削効率が悪いことがわかる。すなわち、2級アミンと3級アミンとの比率は、1:2超であることが好ましい。また、サンプル2とサンプル1との比較から、2級アミンと3級アミンの比率が1:7以上であると切削効率が低下することがわかる。このことから、2級アミンと3級アミンの比率は1:7未満であることが好ましいといえる。
また、表1に示したワイヤ径磨耗量を見ると、2級アミンと3級アミンの比率が1:1のサンプル5の値が低い他、サンプル1〜4でほぼ殆ど一定しており、このことからも2級アミンと3級アミンの比率は1:2超が好ましいといえる。ワイヤ径磨耗量が少ないということは、ワイヤソーが効果的にネオジム焼結磁石に接触していない(すべっている)ことを示しており、切削効率が低下する。
また、上記の加工液(原液)の組成中、カルボン酸として炭素数が10のカプリル酸を用いたが、これに変えて、炭素数が18のオレイン酸を用いて、2級アミンと3級アミンの比率が約1:5の加工液を調製した。この加工液の5%希釈液を用いて、砥粒の粒径が30μm〜40μmのワイヤソーを用いた点を除き上記と同じ切断実験を行った。結果を図4に示す。
図4からわかるように、炭素数が14超のカルボン酸を用いた場合には、溝深さで約10%低い値となった。炭素数が14超のカルボン酸を用いた場合には、切断加工中の気泡の発生が多く、そのために、切削効率が低下したと考えられる。
なお、上記の加工液(原液)におけるアミンのトータル量を一定にして、アミンの全てを水に不溶な2級アミンまたは1級アミンとした加工液を調製し、この加工液の5%希釈液を用いて上記図4のときと同じ切断実験を行った。結果を図5に示す。
図5からわかるように、水に不溶な2級アミンだけの場合および1級アミンだけの場合、いずれの場合も、2級アミンと3級アミンとを含む加工液を用いた場合に比べて、溝深さが約10%低い値となった。このことから、2級アミンと3級アミンとを混合して用いることが、切削性にとって重要であることがわかる。
上記サンプル2を用いた場合、従来のホウ素を含む加工液を用いた場合に比べ、除去体積が約10%向上しており、本発明の加工液を用いると、ホウ素を用いることなく、従来と同等以上の切削効率で希土類磁石を切断することが可能となる。
本発明によると、固定砥粒ワイヤソーを用いて希土類磁石を量産レベルで切断可能な水系の加工液が提供される。加工液による環境負荷およびコストを低減することができる。
ワイヤソー装置の基本的な構成例を示す模式図である。 本発明の加工液を用いた切断実験の結果(除去体積)を示すグラフである。 本発明の加工液を用いた切断実験の結果(溝深さ)を示すグラフである。 炭素数が異なるカルボン酸を含む本発明の加工液を用いた切断実験の結果(溝深さ)を示すグラフである。 2級アミンと3級アミンとを含む本発明の加工液と、2級アミンまたは1級アミンだけを含む加工液を用いた切断実験の結果(溝深さ)を示すグラフである。
符号の説明
1 希土類磁石(ワークピース)
2 駆動装置
3a、3b、3c、3d ロール
4 固定砥粒ワイヤソー

Claims (6)

  1. 希土類磁石の切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用加工液であって、
    加工液の全量に対して、水溶性の3級アミンを30〜40質量%、水溶性の2級アミンを5〜10質量%、水に不溶な2級アミンを1〜5質量%、カルボン酸を10〜25質量%、水を30〜40質量%を含み、ホウ酸を実質的に含まず、
    前記アミンの水素以外の置換基は、それぞれ独立に、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アシル基からなる群から選択される一種である、加工液。
  2. 2級アミンと3級アミンとの比率が1:2超1:7未満の範囲内にある、請求項1に記載の加工液。
  3. 前記カルボン酸は、直鎖カルボン酸およびジカルボン酸を含む、請求項1または2に記載の加工液。
  4. 前記カルボン酸の炭素数は14以下である請求項1から3のいずれかに記載の加工液。
  5. 水で10倍に希釈したときのPHが7.5〜9.5の範囲内にある請求項1から4に記載の加工液。
  6. ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロックポリマーをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の加工液。
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