JP2003187869A - 過充電安全性に優れた非水系電解液及びこれを採用したリチウム電池 - Google Patents

過充電安全性に優れた非水系電解液及びこれを採用したリチウム電池

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JP2003187869A JP2002306135A JP2002306135A JP2003187869A JP 2003187869 A JP2003187869 A JP 2003187869A JP 2002306135 A JP2002306135 A JP 2002306135A JP 2002306135 A JP2002306135 A JP 2002306135A JP 2003187869 A JP2003187869 A JP 2003187869A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 充電器の誤作動などのいろいろな原因によっ
て過充電されたり、高温に曝された時に電池の過熱、発
火、または爆発のような危険を抑制して安全性を改善
し、スエリング現象を抑制し、化成特性、標準容量及び
寿命特性などの副作用を改善しうる非水電解液を提供す
る。 【解決手段】 有機溶媒とリチウム塩、そして化学式1
で表されるベンジルビフェニル系化合物、その水素化
物、またはこれらの混合物を含んでいる非水系電解液。
過充電により電圧が上昇しても電解液が酸化分解されて
重合物を形成することによって電池を保護することがで
きる。 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、各々水素原
子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、炭素数1ないし1
0のアルキル基、炭素数1ないし10のアルコキシ基、
ニトロ基またはアミノ基を示し、nは1ないし10の整
数である。)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム電池に係
り、過充電安全性が向上した非水系電解液及びこれを採
用したリチウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、先端電子機器の発達によって電子
装備が軽薄短小化され、それにより携帯用電子機器の使
用が次第に増大しつつある。したがって、このような電
子機器の電源として使われる高エネルギー密度特性を有
する電池の必要性が高まり、リチウム電池に対する研究
が非常に活発になされている。
【0003】リチウム電池は、カソード、アノード及び
カソードとアノード間にリチウムイオンの移動経路を提
供する電解液とセパレータを構成して製造した電池であ
って、リチウムイオンが前記カソード及びアノードに/
から挿入/離脱される時の酸化、還元反応により電気エ
ネルギーを生成する。しかしながら、リチウム電池は、
充電器の誤作動などによって電池が過充電されて電圧上
昇が急激に進行する場合、充電状態によってカソードで
はリチウムが過析出され、アノードではリチウムが過挿
入されてカソード/アノードの両極が熱的に不安定にな
れば、電解液の有機溶媒が分解されて急激な発熱反応が
発生して熱暴走のような事態が急激に起きて安全性に深
刻な損傷を与える問題が発生する。
【0004】このような問題を解決するために電解液の
組成を変えたり電解液に添加剤を加えてリチウム電池の
過充電を抑制しようとする試みが多く行なわれてきた。
例えば、米国特許公報には、燐酸エステル系物質として
トリメチルホスフェート、トリ(トリフルオロエチル)
ホスフェート、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート
を電解液に添加して電解液の自己消火性を増大させるこ
とによって電池異常の発生時に安全性を高める方法が開
示されており(例えば、特許文献1参照。)、また、別
の米国特許公報には、チオフェン、ビフェニル、フラン
などを添加して電池の異常時にこれらがポリマー化され
てリチウムの移動を妨害し、この時に発生する気体とし
て電池のベントを容易に開けて電池の安全性を高める方
法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】また前記方法と類似して、別の米国特許公
報では、1,2−ジメトキシ−4−ブロモ−ベンゼンを
(例えば、特許文献3参照。)、また別の米国特許公報
では、2−クロロ−p−キシレン及び4−クロロ−アニ
ソールを(例えば、特許文献4参照。)、さらに別の米
国特許公報では、2,7−ジアセチルチアントレンなど
を各々添加することによって電池の安全性を向上させう
る方法が開示されている(例えば、特許文献5参
照。)。
【0006】また、日本の特許公開公報では、ベンゼン
類化合物を使用して重合物を形成することによって過充
電電流を消費して電池を保護する方法が開示されている
(例えば、特許文献6参照。)。
【0007】同じく、別の日本の特許公開公報では、タ
ーフェニル誘導体を使用して重合物を形成することによ
って過充電電流を消費して電池を保護する方法が開示さ
れている(例えば、特許文献7参照。)。
【0008】しかしながら、前記のような添加剤は、電
池の正常な作動条件でポリマー化されたり、酸化分解に
よりガスを大量に生じて電池のスエリング現象を増加さ
せる恐れがあり、さらに化成(formation)特
性、標準容量及び寿命特性のような電池の諸般特性を低
下させるなどいろいろな問題点があってまだ実用化でき
ない。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,580,684号明細書
【特許文献2】米国特許第5,776,627号明細書
【特許文献3】米国特許第5,763,119号明細書
【特許文献4】米国特許第5,709,968号明細書
【特許文献5】米国特許第5,858,573号明細書
【特許文献6】特開平7−302614号公報
【特許文献7】特開2000−58116号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する技術的課題は、充電器の誤作動などのいろいろな原
因によって過充電されたり、高温に晒された時に電池の
過熱、発火または爆発のような危険を抑制して安全性を
改善し、スエリング現象を抑制し、化成特性、標準容量
及び寿命特性などの副作用を改善しうる非水系電解液を
提供することである。
【0011】本発明が解決しようとする他の技術的課題
は、過充電安全性が向上したリチウム電池を提供するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記本発明の技術的課題
を解決するために本発明は、有機溶媒及びリチウム塩、
そして下記化学式1の化合物、その水素化物(hydr
ide)またはこれらの混合物を含んでいることを特徴
とする非水系電解液を提供する。
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR
14は、同一または相異なり、各々水素原子、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、置換または非置換された炭素数1
ないし10のアルキル基、置換または非置換された炭素
数1ないし10のアルコキシ基、ニトロ基またはアミノ
基を示し、nは1ないし10の整数である。)。
【0015】本発明の一つの実施形態によれば、前記化
学式1の化合物、その水素化物またはこれらの混合物の
含量は、有機溶媒及びリチウム塩の混合溶液100質量
部に対して1ないし20質量部である。
【0016】本発明の他の一つの実施形態によれば、前
記化学式1の化合物の水素化物の水素化度(degre
e of hydrogenation)は、10ない
し70%であることが望ましい。
【0017】本発明のまた他の一つの実施形態によれ
ば、前記化学式1の化合物として、下記化学式2の化合
物を使用できる。
【0018】
【化7】
【0019】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR
14は、同一または相異なり、各々水素原子、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、置換または非置換された炭素数1
ないし10のアルキル基、置換または非置換された炭素
数1ないし10のアルコキシ基、ニトロ基またはアミノ
基を示し、nは1ないし10の整数である。)。
【0020】本発明の別の一つの実施形態によれば、前
記化学式2の化合物として、下記化学式3のo−ベンジ
ルビフェニルを使用できる。
【0021】
【化8】
【0022】本発明のまた別の一つの実施形態によれ
ば、前記化学式1の化合物として、下記化学式4の化合
物を使用できる。
【0023】
【化9】
【0024】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR
14は、同一または相異なり、各々水素原子、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、置換または非置換された炭素数1
ないし10のアルキル基、置換または非置換された炭素
数1ないし10のアルコキシ基、ニトロ基またはアミノ
基を示し、nは1ないし10の整数である。)。
【0025】本発明のさらに別の一つの実施形態によれ
ば、前記化学式4の化合物として、下記化学式5のp−
ベンジルビフェニルを使用できる。
【0026】
【化10】
【0027】本発明の他の技術的課題を解決するために
本発明は、前記非水系電解液を採用したリチウム電池を
提供する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより具体的に説明
する。
【0029】本発明の非水系電解液は、下記化学式1の
化合物、その水素化物またはこれらの混合物を含む。
【0030】
【化11】
【0031】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR
14は、同一または相異なり、各々水素原子、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、置換または非置換された炭素数1
ないし10のアルキル基、置換または非置換された炭素
数1ないし10のアルコキシ基、ニトロ基またはアミノ
基を示し、nは1ないし10の整数である。)。
【0032】前記化学式1の化合物は、既存の電解液添
加剤であるターフェニル類と異なり電解液中の有機溶媒
との親和性に優れるため、平常時の電池使用条件(2.
75V−4.2V)では電池性能に悪影響をほとんど与
えず、電池が過充電段階に進行されれば酸化されてカソ
ード表面で重合反応を起こすので極板表面がコーティン
グされる。これによってカソードとアノードとの抵抗を
増加させ、また小量のイオン及び伝導性を有している重
合性被膜は、両電極間でソフトショート(シャンティン
グ)効果を起こして過充電電流を消費して電池を保護す
る。
【0033】そして過充電時に電解液の分解により発生
するガス類がベンジル基と反応して新しい物質を生成す
るため、既存の電解液添加剤に比べてガス発生がほとん
ど抑制されて電解液添加剤により電池がスエリングされ
ることを防止できると見なされる。
【0034】したがって、前記化学式1の化合物、その
水素化物またはこれらの混合物をリチウム塩と共に有機
溶媒中に添加させた非水系電解液を使用すれば、化成及
び標準容量、スエリング特性のような電池特性を低下さ
せずに過充電時の安全性を確保できる。
【0035】特に前記化学式1の化合物の水素化物は、
水素化以前段階の化合物と比較して電解液の酸化分解電
位がプラス方向にさらに移動することによって正常使用
条件で長時間使用時に微細な重合反応のような副作用を
さらに抑制して、化成及び標準容量、スエリング特性は
もちろん寿命特性の低下も防止しながら過充電時の電池
の安全性を確保できる。
【0036】前記水素化物の場合、水素化度は10〜7
0%であることが望ましく、30〜50%であることが
さらに望ましい。前記水素化度が10%未満である場合
には目的とする効果を得難く、70%を超過する場合に
は酸化電流が減少する恐れがある。なお、前記化学式1
ないし5の化合物の水素化物は、前記化学式1ないし5
の化合物を水素化することで製造することができるもの
であるが、市販のものを購入して使用してもよい(実施
例参照のこと。)など、特に制限されるものではない。
例えば、化学式1ないし5の化合物を水素化法は、従来
公知の方法を使用することができるものであり、例え
ば、高温のオートクレーブのような容器内で高圧の水素
を注入して水素化物を製造できるものであるが、これら
に何ら制限されるべきものではない。また、前記化合物
の水素化物の水素化度は、従来公知の方法で測定するこ
とができるものであり、例えば、NMRを利用して水素
ピークの面積を積分する方法などにより測定することが
できるものであるが、これらに何ら制限されるべきもの
ではない。
【0037】本発明による前記化学式1の化合物、その
水素化物、またはこれらの混合物の含量は、有機溶媒及
びリチウム塩の混合溶液100質量部に対して1ないし
20質量部を使用することが望ましく、特に3ないし1
5質量部がさらに望ましい。その使用量が1質量部未満
であれば目的とする効果を得難く、その使用量が20質
量部を超過すれば寿命特性が低下して望ましくない。
【0038】前記化学式1の化合物は、置換または非置
換されたフェニル基がビフェニルに結合された形態であ
って、o−、m−またはp−位置のいずれにも結合され
うるが、例えば、o−またはp−位置が望ましい。
【0039】前記化学式1の化合物のうち、o−位置に
フェニル基が置換された化合物は、下記化学式2の構造
を有する。
【0040】
【化12】
【0041】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR
14は、同一または相異なり、各々水素原子、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、置換または非置換された炭素数1
ないし10のアルキル基、置換または非置換された炭素
数1ないし10のアルコキシ基、ニトロ基またはアミノ
基を示し、nは1ないし10の整数である。)。
【0042】前記化学式2の化合物のうち下記化学式3
のo−ベンジルビフェニルがさらに望ましい。
【0043】
【化13】
【0044】前記化学式1の化合物のうち、p−位置に
フェニルアルキル基が置換された化合物は、下記化学式
4の構造を有する。
【0045】
【化14】
【0046】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR
14は、同一または相異なり、各々水素原子、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、置換または非置換された炭素数1
ないし10のアルキル基、置換または非置換された炭素
数1ないし10のアルコキシ基、ニトロ基またはアミノ
基を示し、nは1ないし10の整数である。)。
【0047】前記化学式4の化合物のうち、下記化学式
5のp−ベンジルビフェニルがさらに望ましい。
【0048】
【化15】
【0049】前記本発明の化合物で使われる置換基であ
るアルキル基は、炭素数1ないし10の直鎖型または分
枝型アルキル基(直鎖型または分枝型アルキルラジカ
ル)を含み、望ましくは1ないし8の炭素原子を有する
直鎖型または分枝型アルキル基(直鎖型または分枝型ラ
ジカル)を含む。このようなアルキル基(アルキルラジ
カル)の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソア
ミル基、ヘキシル基などを挙げられる。1ないし4の炭
素原子を有する低級アルキル基(低級アルキルラジカ
ル)がさらに望ましい。
【0050】前記アルキル基は、ヒドロキシル基、ある
いはハロゲン原子などにより置換され、その例として
は、ヒドロキシメチル基、フルオロメチル基、トリフル
オロメチル基、ヒドロキシエチル基、フルオロエチル基
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0051】前記本発明の化合物で使われる置換基であ
るアルコキシ基は、炭素数1ないし10のアルキル部分
を各々有する酸素−含有直鎖型または分枝型ラジカル
(直鎖型または分枝型アルコキシ基)を含む。1ないし
6の炭素原子を有する低級アルコキシ基(低級アルコキ
シラジカル)がさらに望ましいアルコキシ基(アルコキ
シラジカル)である。このようなアルコキシ基(アルコ
キシラジカル)の例として、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基及びt−ブトキシ基を挙げら
れる。1ないし3の炭素原子を有する低級アルコキシ基
(低級アルコキシラジカル)がさらに望ましい。
【0052】前記アルコキシ基(アルコキシラジカル)
は、フルオロ、クロロまたはブロモのような一つ以上の
ハロ原子にさらに置換されてなるハロゲン化アルコキシ
基(ハロアルコキシラジカル)を提供できる。1ないし
4の炭素原子を有するハロゲン化低級アルコキシ基(低
級ハロアルコキシラジカル)がさらに望ましい。このよ
うなハロゲン化アルコキシ基(ハロアルコキシラジカ
ル)の例としては、フルオロメトキシ基、クロロメトキ
シ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ
基、フルオロエトキシ基及びフルオロプロポキシ基を挙
げられる。また、アルコキシラジカル(アルコキシ基)
に置換し得る置換基としては、上記ハロゲン原子に何ら
限定されるものではなく、例えば、ヒドロキシル基など
が挙げられる。
【0053】前記非水系電解液を形成するために使われ
る有機溶媒としては、リチウム電池を製造するために通
常的に使われるものであれば特別な制限なしに使用で
き、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレ
ンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート、ジメ
チルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメ
チルカーボネート(EMC)、ジメチルスルホキシド、
アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラ
ン、アセトン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノ
ン、フルオロベンゼン(FB)及びN−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)よりなる群から選択された少なくと
も一つ以上を使用することが望ましい。前記溶媒の使用
量は、リチウム電池で使用する通常の水準で使われる。
【0054】前記電解液に使われるリチウム塩は、有機
溶媒中で解離されてリチウムイオンを生じるリチウム化
合物であれば特別に制限されず、例えば、過塩素酸リチ
ウム(LiClO4)、四フッ化硼酸リチウム(LiB
4)、六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)、三フッ化
メタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びリチ
ウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiN
(CF3SO22)よりなる群から選択される少なくと
も一つのイオン性リチウム塩を使用し、その含量は、リ
チウム電池で使用する通常の水準で使用できる。このよ
うな無機塩を含有する有機電解液が投入されれば電流の
方向によってリチウムイオンを移動させる経路として作
用する。
【0055】前記のように定義された電解液は、通常使
われるリチウム電池の製造方法に特別な制限なしに使用
でき、例えば、(1)アノード/カソード/セパレータ
よりなる電極組立体を電池ケースに収納した後に本発明
による前記非水系電解液を加えてリチウム電池を製造す
る方法と、(2)マトリックス形成用高分子樹脂及び本
発明による前記非水系電解液を混合した高分子電解質を
電極やセパレータに塗布した後、これを利用して電極組
立体を形成し、次いで前記電極組立体を電池ケースに収
納してリチウム電池を製造する方法と、(3)マトリッ
クス形成用樹脂としてプレポリマーや重合性モノマーを
使用する場合には、前記樹脂及び本発明による前記非水
系電解液を含む高分子電解質形成用組成物を電極やセパ
レータに塗布した後、これを利用して電極組立体を形成
し、次いで前記電極組立体を電池ケースに収納した後、
電池内重合してリチウム電池を製造する方法などがあ
る。
【0056】前記製造方法で使われるセパレータとして
は、リチウム電池に使われるものであればいずれも制限
なしに使用でき、例えば、有機溶媒との反応性が少なく
て安全性に適したポリエチレンまたはポリプロピレン多
孔性膜を使用できる。
【0057】前記製造方法で使われるマトリックス形成
用高分子樹脂としては、特別に限定されていないが、電
極板の結合剤に使われる物質であればいずれも使用可能
である。ここでは、ビニリデンフルオライド/ヘキサフ
ルオロプルオレンコポリマー、ポリビニリデンフルオラ
イド(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチル
メタクリレート及びその混合物を使用できる。
【0058】前記製造方法で使われるプレポリマーや重
合性モノマーなどのマトリックス形成用樹脂としては、
従来公知のものならばいなかるものでも使用可能であ
り、特に制限されるものではない。
【0059】前記製造方法での電池内重合法としては、
熱重合、光重合、電気的重合すげて可能であり、特に制
限されるものではない。
【0060】前記高分子電解質および高分子電解質形成
用組成物は、高分子電解質を形成するための高分子充填
剤をさらに含むことができる。このような充填剤は、高
分子電解質の機械的強度を向上させる役割をする物質で
あって、シリカ、カオリン、アルミナなどを使用でき
る。
【0061】前記高分子電解質および高分子電解質形成
用組成物は、可塑剤をさらに含むことができる。可塑剤
としては、エチレングリコール誘導体、これらのオリゴ
マー及び有機カーボネート系物質を使用でき、エチレン
グリコール誘導体の具体的な例としてはエチレングリコ
ールジアセテート、エチレングリコールジブチルエーテ
ル、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコ
ールジプロピオネート、プロピレングリコールメチルエ
ーテルアセテート及びこれらの混合物があり、有機カー
ボネート系物質の具体的な例としては、EC、PC、ジ
エチルカーボネート、ジメチルカーボネート及びこれら
の混合物がある。
【0062】本発明の非水系電解液を含有するリチウム
電池は、そのタイプに特別な制限はなく、リチウム1次
電池、リチウム2次電池またはリチウムサルファ電池の
いずれも採用可能である。
【0063】本発明の非水系電解液を含有するリチウム
電池は、その形態に特別な制限はなく、角形、円筒形の
いずれも採用可能である。また、本発明のリチウム電池
に用いられるカソード、アノード、さらに電池ケース等
の他の構成要素に関しては、電池のタイプや種類、形態
等に応じて、通常使用されているものを採用可能であ
り、特に制限されるべきものではない。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説
明するが、本発明がこれに限定されない。
【0065】1.カソードの製造 カソード活物質のLiCoO2と導電剤のスーパーP
(M.M.M社製造)及び結着剤であるPVDFを有機
溶媒のNMPに溶解した混合物(スラリーまたはペース
ト)をアルミニウム集電体の両面に均一に塗布して活物
質層が塗布されたカソードを製造した。次いで活物質層
が塗布されたカソードを乾燥させて有機溶媒を除去した
後、ロールプレスで圧延して厚さ0.147mmのカソ
ードを製造した。
【0066】2.アノードの製造 アノード活物質のMCF(Petoca製造)と結着剤
のPVDFを有機溶媒のNMPに溶解した混合物(スラ
リーまたはペースト)を銅集電体の両面に均一に塗布し
て活物質層が塗布されたアノードを製造した。次いで活
物質層が塗布されたアノードを乾燥させて有機溶媒を除
去した後、ロールプレスで圧延して厚さ0.178mm
のアノードを製造した。
【0067】3.電極体の製造 前記のように製造して得られたカソードとアノードを、
有機溶媒との反応性が少なくて安全性に適した厚さ0.
025mmのポリエチレン多孔性膜を介して積層して約
950mAh容量の角形電池に製造した。
【0068】4.電解液の製造 実施例1 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して下記化学式3のo−ベンジルビフェニル3質量部を
添加混合して目的とする電解液を製造した。
【0069】
【化16】
【0070】実施例2 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して前記化学式3のo−ベンジルビフェニル5質量部を
添加混合して目的とする電解液を製造した。
【0071】実施例3 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して前記化学式3のo−ベンジルビフェニル10質量部
を添加混合して目的とする電解液を製造した。
【0072】実施例4 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して前記化学式3のo−ベンジルビフェニルの水素化物
(水素化度:30%、新日鉄化学製造)5質量部を添加
混合して目的とする電解液を製造した。
【0073】実施例5 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して前記化学式3のo−ベンジルビフェニルの水素化物
(水素化度:50%、新日鉄化学製造)5質量部を添加
混合して目的とする電解液を製造した。
【0074】実施例6 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して前記化学式3のo−ベンジルビフェニルの水素化物
(水素化度:50%、新日鉄化学製造)10質量部を添
加混合して目的とする電解液を製造した。
【0075】比較例1 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合して目的とする電解液を製造し
た。
【0076】比較例2 EC/EMC/PC/FBの混合比(体積比)が30:
55:5:10になる混合溶媒に電解質塩として1.1
5M LiPF6を混合した混合溶液100質量部に対
して前記化学式3のo−ターフェニル5質量部を添加混
合して目的とする電解液を製造した。
【0077】5.リチウムイオン電池の製造 前記のように得られた電極体の上下に各々セパレータを
配置した後、これを巻取り圧縮して34mm×50mm
×6mmの角形缶に挿入した。その後、前記電解液を缶
に注入してリチウムイオン電池を製造した。
【0078】実験例1:過充電試験 前記のようにして得られた各リチウムイオン電池を室温
で950mA(1C)の充電電流で電池電圧が4.2V
になるように充電し、4.2Vの定電圧で3時間充電し
て満充電状態とする。このように満充電された各リチウ
ムイオン電池のカソード/アノード端子間に950mA
(1C)の充電電流で約2.5時間流して過充電を行な
って充電電圧及び温度変化を観察した。
【0079】図1は、比較例1で得られたリチウムイオ
ン電池に対して950mA(1C)の電流で過充電した
実験結果を示したものであって、外部から12V印加時
に電解液枯渇またはカソード/アノード及び電解液の酸
化反応による温度上昇によりセパレータシャットダウン
がおきることが分かり、1C程度の高電流の場合に熱暴
走が発生してセパレータが溶解され、内部ショートにつ
ながって発熱及び発火につながる恐れがある。
【0080】図2は、実施例1で得られたリチウムイオ
ン電池に対する過充電実験結果を示したものであって、
比較例1と同じ実験条件で行われた。すなわち、図示さ
れたように、過充電して約10分経過後に本添加剤によ
り重合反応がおきて温度が上昇するが、過充電電流が消
費され続くために電圧上昇が約5Vで抑制され、電解液
及び電池材料の酸化分解反応による発熱が抑制されて電
池表面温度が最大50℃に抑制され、根本的に熱暴走が
制御されて電池の安全性が確保される。
【0081】実験例2:化成及びスエリング特性 前記実施例1ないし6及び比較例1ないし2で得られた
電池に対して化成容量及び標準容量、そして化成前後の
スエリング程度を測定して下記表1に記載した。化成
(電池組立て後の初期充放電サイクルを施行する過程で
ある。)条件は、充電は電流0.2C、電圧4.2Vで
行ない、放電は0.2C電流、2.75V終止電圧で行
ない、スエリングの場合に電池の厚さを利用して測定し
た。
【0082】実験例3:高率特性 前記実施例1ないし6、及び比較例1及び2で得られた
電池に対して2C高率特性を測定して下記表1に記載し
た。
【0083】
【表1】
【0084】上記表1の「標準容量(mAh)」は、1
Cレートで、500回充放電サイクルを反復した後の放
電容量を表わす。
【0085】上記表1の「2C高率の容量(mAh)」
は、2Cの高率で、500回充放電サイクルを反復した
後の放電容量を表わす。
【0086】上記表1の「2C高率の標準(%)」は、
「2C高率での放電容量/1Cレートでの放電容量(標
準容量)×100(%)」を意味する。
【0087】前記表1に示したように、非水系電解液に
過充電防止用添加物を含有しない比較例1のリチウム電
池より従来の過充電防止用添加物(o−ターフェニル)
を含む比較例2のリチウム電池がスエリングがより多く
発生することが分かる。これは前記過充電防止用添加物
(o−ターフェニル)が酸化分解されてガスを大量発生
させるからである。
【0088】しかし、本発明の非水系電解液に過充電防
止用添加物(o−ベンジルビフェニルやその水素化物)
を使用する前記実施例1ないし6のリチウム電池は、比
較例1のリチウム電池とほとんど類似したスエリング程
度を示すので、前記過充電防止用添加物(o−ベンジル
ビフェニルやその水素化物)によるスエリング発生がほ
とんど制御されることが分かる。
【0089】また化成及び標準容量にあっても高い効率
を示していることが分かる。
【0090】実験例4:寿命特性 前記実施例5及び比較例2で得られたリチウム電池に対
して充放電寿命特性を試験した。電池の充放電サイクル
は、定電流/定電圧条件で2Cで2.7ないし4.2V
で実施し、定電圧区間は定電流区間の1/10とした。
電池の容量及び充放電サイクル寿命特性を図3に示し
た。
【0091】図3に示したように、実施例5で得られた
本発明の非水系電解液に過充電防止用添加物(o−ベン
ジルビフェニルの水素化物)を含むリチウム電池の場
合、従来の過充電防止用添加物(o−ターフェニル)を
含む比較例2のリチウム電池と比較して50回の充放電
後にさらに高容量を有するので寿命特性が改善されたこ
とが分かる。
【0092】
【発明の効果】本発明の非水系電解液は、いろいろな原
因により電池が過充電されて電圧が上昇しても電解液が
酸化分解されて重合物を形成することによって過充電電
流を消耗して電池を保護するので、過充電安全性が向上
しながらも電池化成、標準容量、高率特性及びスエリン
グ特性低下などの副作用を改善できて、リチウム電池に
有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例1の電解液を使用したリチウム電池の
過充電試験結果を示す図面である。
【図2】 実施例1の電解液を使用したリチウム電池の
過充電試験結果を示す図面である。
【図3】 実施例5及び比較例2のサイクル特性を示す
図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 李 夏 英 大韓民国忠清南道天安市雙龍洞1279番地 ライフタウン102棟705号 (72)発明者 宣 ▲き▼ 英 大韓民国京畿道龍仁市器興邑農書里山14− 1番地 (72)発明者 金 昊 星 大韓民国京畿道龍仁市器興邑農書里山14− 1番地 Fターム(参考) 5H024 AA01 AA02 CC01 FF14 FF15 FF16 FF17 FF18 FF32 FF38 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AJ07 AJ12 AK03 AL07 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ12 HJ01 HJ02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒とリチウム塩、そして下記化学
    式1の化合物、その水素化物、またはこれらの混合物を
    含んでいることを特徴とする非水系電解液; 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
    9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同一または
    相異なり、各々水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原
    子、置換または非置換された炭素数1ないし10のアル
    キル基、置換または非置換された炭素数1ないし10の
    アルコキシ基、ニトロ基またはアミノ基を示し、nは1
    ないし10の整数である。)。
  2. 【請求項2】 前記化学式1の化合物、その水素化物、
    またはこれらの混合物の含量が、有機溶媒及びリチウム
    塩の混合溶液100質量部に対して1ないし20質量部
    であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解
    液。
  3. 【請求項3】 前記化学式1の化合物の水素化物の水素
    化度が、10ないし70%であることを特徴とする請求
    項1に記載の非水系電解液。
  4. 【請求項4】 前記化学式1の化合物が、下記化学式2
    の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の非水
    系電解液; 【化2】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
    9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同一または
    相異なり、各々水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原
    子、置換または非置換された炭素数1ないし10のアル
    キル基、置換または非置換された炭素数1ないし10の
    アルコキシ基、ニトロ基またはアミノ基を示し、nは1
    ないし10の整数である。)。
  5. 【請求項5】 前記化学式2の化合物が、下記化学式3
    のo−ベンジルビフェニルであることを特徴とする請求
    項4に記載の非水系電解液。 【化3】
  6. 【請求項6】 前記化学式1の化合物が、下記化学式4
    の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の非水
    系電解液; 【化4】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
    9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同一または
    相異なり、各々水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原
    子、置換または非置換された炭素数1ないし10のアル
    キル基、置換または非置換された炭素数1ないし10の
    アルコキシ基、ニトロ基またはアミノ基を示し、nは1
    ないし10の整数である。)。
  7. 【請求項7】 前記化学式4の化合物が、下記化学式5
    のp−ベンジルビフェニルであることを特徴とする請求
    項6に記載の非水系電解液。 【化5】
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のうちいずれか
    1項による非水系電解液を採用したことを特徴とするリ
    チウム電池。
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