JP2003185719A - 二次電池の充電率推定装置 - Google Patents
二次電池の充電率推定装置Info
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Abstract
の他のパラメータを正確に推定できる充電率推定装置を
提供する。 【解決手段】二次電池の電流Iと端子電圧Vとを計測
し、適応デジタルフィルタを用いて、電流Iと端子電圧
Vの計測値から開路電圧V0を推定し、予め求めた開路
電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて充電率を推
定する充電率推定装置であって、二次電池の電池モデル
を数2式に示すように定義し、この数2式と等価な数3
式に対して両辺を時間微分することによって数4式を求
め、この数4式に対して適応デジタルフィルタ演算を行
い、A(s)、B(s)の係数パラメータを一括推定し、
この推定結果を数3式に代入することによって開路電圧
V0を求め、予め求めた開路電圧V0と充電率SOCと
の関係に基づいて充電率を推定する手段を備えた二次電
池の充電率推定装置。
Description
(SOC)を推定する装置に関する。
言う)は開路電圧V0(通電遮断時の電池端子電圧であ
り、起電力、開放電圧とも言う)と相関があるので、開
路電圧V0を求めれば充電率を推定することが出来る。
しかし、二次電池の端子電圧は、通電を遮断(充放電を
終了)した後も安定するまでに時間を要するので、正確
な開路電圧V0を求めるには、充放電を終了してから所
定の時間が必要である。したがって充放電中や充放電直
後では、正確な開路電圧V0を求めることが出来ないの
で、上記の方法で充電率SOCを求めることが出来な
い。そのため、従来は、下記のような種々の方法を用い
て開路電圧V0を推定している。
術に関する第一の公知例としては、特開2000−32
3183号公報に記載されたものがある。この公知例に
おいては、所定時間にわたって、電池の端子電圧(単に
電圧とも言う)Vと電池が充放電される電流Iと電池の
温度Tとを検出し、電流Iの積算値Qとその変動幅△Q
を算出し、変動幅△Qが所定値より小さい場合に限り、
検出した電流Iと電圧VをI−V直線(V=R・I+V
0)で近似し、その傾きから内部抵抗Rを算出し、また
切片から電池の開路電圧V0を算出し、予め測定してお
いた開路電圧V 0と充電率SOCとの相関から、充電率
SOCを算出する技術が記載されている。
フィルタを用いた鉛電池の開路電圧と残存容量の推定”
四国総研、四国電力、湯浅電池 T.IEEE Japan Vol.112
-C,No.4 1992)に記載された電池状態検出手法は、通電
中の二次電池(鉛電池やリチウムイオン電池等の充放電
可能な電池)の端子電圧と電流の計測データに、「適応
デジタルフィルタ」を用いて開路電圧V0を推定(パラ
メータ同定)して、この値から電池の充電率SOCを推
定するものである。
8886号公報)に記載された電池状態検出装置は、等
価回路モデルを用いて、電池電圧推定値Vmを算出し、
計測された電池電圧Vとの差異で、電流積算量(放電
量)を補正して充電率SOCを推定し、このSOC推定
値によって電池モデルのパラメータを修正する、という
操作を繰り返すものであり、一種の適応アルゴリズムで
ある。
従来例においては次のような問題があった。まず、第一
の公知例において、変動幅△Qが所定の変動幅より小さ
い場合でも、電池の開路電圧V0は電流Iに応じて充放
電している最中に時々刻々と変化する特徴がある。第一
の公知例では、変動幅△Qが所定値より小さい場合に限
り充電率SOCを算出するという構成になっていたた
め、充電率SOCを算出できる機会が極めて少ないし、
無理に、変動幅△Qが所定値より大きい場合に同様の推
定を行っても推定誤差が極端に大きくなるという問題が
あった。
池の物理特性とは全く異なる「非回帰型の電池モデル
(出力値が入力値の現在値および過去値だけで決るモデ
ル)」に相当する下記(数1)式に、「適応デジタルフ
ィルタ(逐次型のモデルパラメータ同定アルゴリズ
ム)」を用いて、(数1)式中のパラメータの一つであ
る開路電圧Cjを算出して、この値から充電率SOCを
算出している。
前の電流 Cj:開路電圧 bk,j:定数 N:次数 そのため、実際の電池特性(入力:電流、出力:電圧)
に応用した場合、電池特性によっては推定演算が全く収
束しなかったり、真値に収束しないという問題があっ
た。
定誤差(V−Vm)を用いて、電流積算値(放電量)の
みをまず補正してSOC推定値を確定させてから、この
SOCに応じて予め設定したマップに従って電池モデル
の各パラメータ(開路電圧を除く)を修正するという構
成になっていたが、モデル推定誤差(V−Vm)は、当
然、開路電圧V0(起電力)および内部抵抗値Rや容量
C等の全ての影響を受けており、これらを同時に配慮し
ないと誤った修正を行い真値に推定値が収束しない可能
性が高いという問題があった。また、この公知例では、
SOC推定値と計測温度のみからモデルパラメータ(開
路電圧を除く)を算出するという構成になっていたの
で、電池劣化が、総容量やモデルパラメータに及ぼす影
響が考慮されていないため、電池劣化の影響を受けてS
OC推定精度が悪化しやすいという問題があった。
決するためになされたものであり、充電率SOCおよび
その他のパラメータを正確に推定することの出来る二次
電池の充電率推定装置を提供することを目的とする。
め、本発明においては特許請求の範囲に記載するように
構成している。まず、請求項1においては、二次電池の
電流Iと端子電圧Vとを計測し、適応デジタルフィルタ
を用いて、上記電流Iと端子電圧Vの計測値から開路電
圧V0を推定し、予め求めた開路電圧V0と充電率SO
Cとの関係に基づいて充電率を推定する充電率推定装置
であって、二次電池の電池モデルを(数2)式に示すよ
うに定義し、この(数2)式と等価な(数3)式に対し
て両辺を時間微分することによって(数4)式を求め、
この(数4)式に対して適応デジタルフィルタ演算を行
い、A(s)、B(s)の係数パラメータを一括推定し、
この推定結果を(数3)式に代入することによって開路
電圧V0を求め、予め求めた開路電圧V0と充電率SO
Cとの関係に基づいて充電率を推定するように構成して
いる。なお、上記の「(数3)式の両辺を時間微分して
することによって(数4)式を算出する」は、「(数
3)式において、s・V0≒0と近似することで(数
4)式を算出する」と同等である。また、この構成は例
えば後記実施例1に相当する。
池モデルを(数16)式(=数2)に示すように定義
し、開路電圧V0を(数17)式で近似し、この(数1
7)式を(数16)式に代入することによって(数1
8)式を得、この(数18)式と等価な(数19)式に
対して適応デジタルフィルタ演算を行い、A(s)とB
(s)の係数パラメータと変数dとを一括推定し、この
変数dを(数17)式に代入することによって開路電圧
V0を求め、予め求めた開路電圧V0と充電率SOCと
の関係に基づいて充電率を推定するように構成してい
る。なお、この構成は例えば後記実施例3に相当する。
載の二次電池の充電率推定装置において、(数19)式
に対して適応デジタルフィルタ演算を行い、A(s)と
B(s)の係数パラメータと変数dとを一括推定し、そ
の推定したA(s)とB(s)の係数パラメータを、(数
16)式と等価な(数20)式に代入することにより、
G1p(s)・V0を求め、この値を開路電圧V0の代
用として、予め求めた開路電圧V0と充電率SOCとの
関係に基づいて充電率を推定するように構成している。
なお、この構成は例えば後記実施例3で説明する構成に
相当する。
請求項3において、電池モデルの次数を1次に限定した
ものである。ただし、請求項1と請求項2(および請求
項3)とでは、適用する数式が異なるので、電池モデル
の次数を1次に限定した際には、各々下記のようにな
る。まず、請求項1において次数を1次に限定した電池
モデルは下記(数5)式で示され、その場合には前記
(数2)式〜(数4)式は、下記(数6)式〜(数8)
式にそれぞれ対応することになる。なお、この構成は例
えば後記実施例1で説明する構成に対応する。
て、 V1=Glp(s)・V V2=s・Glp(s)・V V3=s2・Glp(s)・V V0'=Glp(s)・V I1=Glp(s)・I I2=s・Glp(s)・I I3=s2・Glp(s)・I Glp(s)は2次以上のローパスフィルタ 一方、請求項2において、次数を1次に限定した電池モ
デルは下記(数21)式(=数5)で示され、その場合
には前記(数16)式、(数18)式、(数19)式
は、下記(数22)式(=数6)、(数25)式、(数
29)式にそれぞれ対応することになる。なお、この構
成は例えば後記実施例3に対応する。
しては、推定したT1、T2、Kを、前記(数17)式
の代わりに前記(数22)式と等価な下記(数34)式
に代入することで、Glp(s)・V0を算出し、それ
を開路電圧V0の代用とするように構成することも出来
る。なお、この構成は例えば後記実施例4に相当する。
いて、適応デジタルフィルタを用いて推定されたパラメ
ータの中で、定常項については上記推定値を用い、過渡
項については予め設定された値を用いて開路電圧V0を
推定するように構成している。なお、この構成は例えば
後記実施例2または実施例5に相当する。
いて、開路電圧V0を(数17)式で近似することで
(数16)式を(数18)式とし、その(数18)式と
等価な(数19)式に対して適応デジタルフィルタ演算
を行い、A(s)とB(s)の係数パラメータおよび変数
dを一括推定し、これら推定値の中から直達項(e=b
n/an)を算出し、その算出した直達項eと設定値f
とでe×fを算出し、次いで推定した値anの代わりに
上記設定値fと、推定した値bnの代わりに上記e×f
と、推定した値an−1〜a0およびbn−1〜b0と
を、(数16)式と等価な(数20)式に代入してG
lp(s)・V0を算出し、これを開路電圧V0の代用
とするように構成している。上記のように請求項6にお
いては、過渡項anを設定値fとし、直達項e=bn/
anは推定し、過渡項bnはbn=e×f=(推定値b
n/推定値an)×固定値anで求めるものである。な
お、この構成は例えば後記実施例6に相当する。
次電池の温度を検出する手段と、二次電池の温度に対す
る過渡項anの代わりとする設定値fのマップと、を備
え、上記温度に応じて上記マップから設定値fを決定す
るように構成している。なお、この構成は例えば後記実
施例7に相当する。
次電池の温度を検出する手段と、二次電池の温度に対す
る過渡項anおよびbnのマップとを設け、上記温度に
応じて上記各マップから過渡項anおよびbnを算出
し、マップから算出した過渡項anおよびbnから直達
項のしきい値を算出し、上記直達項のしきい値で上記直
達項の収束を判断し、収束前は、マップから算出した過
渡項anおよびbnと、推定した値an−1〜a0およ
びbn−1〜b0とを上記(数20)式に代入してG
lp(s)・V0を算出し、収束後は、マップから算出
した過渡項anに相当する設定値fと、直達項eから算
出したe×fと、推定したan−1〜a0およびb
n−1〜b0とを上記(数20)式に代入してG
lp(s)・V0を算出するように構成している。な
お、この構成は例えば後記実施例8に相当する。
池モデルを連続時間系の(数22)式に示すように定義
し、開路電圧V0を(数23)式で近似することで(数
22)式を(数25)式に変形し、その(数25)式と
等価な(数29)式に対して適応デジタルフィルタ演算
を行い、過渡項T1およびK・T2、内部抵抗K、変数
dを一括推定し、これら推定値の中から直達項(a=K
・T2/T1)を算出し、次いで過渡項T1の代わりに
設定値bと、推定した値K・T2の代わりに直達項から
算出したa×bと、推定した内部抵抗値Kとを、(数2
2)式と等価な(数35)式に代入してGlp(s)・
V0を算出し、これを開路電圧V0の代用として充電率
を算出するように構成している。なお、この構成は例え
ば後記実施例9に相当する。
二次電池の温度を検出する手段と、電池の温度に対する
過渡項T1の代わりに用いる設定値bのマップと、を備
え、上記温度に応じて上記マップから設定値bを決定す
るように構成している。なお、この構成は例えば後記実
施例10に相当する。
二次電池の温度を検出する手段と、電池の温度に対する
過渡項T1および過渡項K・T2のマップと、を設け、
上記温度に応じて上記各マップから過渡項T1およびK
・T2を算出し、上記マップから算出した過渡項T1お
よびK・T2から直達項aのしきい値を算出し、上記直
達項aのしきい値で上記直達項の収束を判断し、収束前
は、推定したT1の代わりに上記マップから算出した過
渡項T1と、推定したK・T2の代わりに上記マップか
ら算出した過渡項K・T2と、推定した値Kとを(数3
5)式に代入してGlp(s)・V0を算出し、収束後
は、推定したT1の代わりに上記マップから算出したT
1に相当する設定値bと、推定したK・T2の代わりに
直達項aを用いて算出したa×bと、推定した値Kとを
(数35)式に代入してGlp(s)・V0を算出する
ように構成している。なお、この構成は例えば後記実施
例11に相当する。
は、二次電池の電流Iと端子電圧Vの関係を、(数4)
式のように近似することで、計測可能な電流Iと端子電
圧Vをフィルタ〔sn・Gl p(s)〕で処理した値
と、未知パラメータ〔A(s)やB(s)の係数〕の積和
式が得られるので、通常の適応デジタルフィルタを連続
時間領域のまま適用することが可能となる。その結果、
まず、未知パラメータを一括推定することができ、更
に、その結果を(数3)式に代入することで、開路電圧
V0の推定値としてGlp(s)・V0を容易に算出で
きる。これらパラメータは、充電率SOCや温度や電池
の劣化度などに影響されて時々刻々変化するものである
が、適応デジタルフィルタにより精度良く逐次推定する
ことが可能である。また、連続時間領域でモデルのパラ
メータ推定を行うので、離散時間領域で行う場合に比べ
て、推定誤差による安定性への影響が小さく、推定値が
速やかに収束しやすい。なお、ローパスフィルタ特性G
lp(s)は、電流Iと端子電圧Vの計測ノイズのレベ
ルに応じて設定することが可能である。また、開路電圧
V0と充電率SOCの関係(後記図5参照)は、温度や
電池の劣化度に影響されにくく一定の相関関係にあるた
め、この特性を予め記憶しておけば、開路電圧V0から
充電率SOCが直接算出できる。したがって、充電率S
OCについても開路電圧V0と同様に、条件によらず正
確な推定が可能である。なお、本発明によれば二次電池
の通電(充電、放電時)中でも充電率SOCを計測する
ことが可能である。
電池の電流Iと端子電圧Vの関係を、(数19)式のよ
うに近似することでオフセット項V0を含まない。その
ため、計測可能な電流Iと端子電圧Vをフィルタ処理
〔sn・Glp(s)〕した値と、未知パラメータ〔A
(s)やB(s)の係数パラメータおよびd〕の積和式が
得られるので、通常の適応デジタルフィルタを連続時間
系のまま適用することが可能になる。そのため離散時間
系で適用する場合に比べて、推定誤差による安定性への
影響が小さく、推定値が速やかに収束しやすいという効
果が得られる。
電圧V0を算出すると、変数dが収束する前に積分した
誤差が、収束後も定常的に残ってしまう。しかし、請求
項3の(数20)式では積分を使用しないので、推定パ
ラメータが収束する前の誤差は残らず、収束後は正確な
開路電圧V0を算出できるという効果がある。なお、開
路電圧V0は変化が緩やかなので、Glp(s)・V0
で代用できる。
請求項1〜請求項3と同様の効果が得られ、かつ、電池
モデルが1次で構造が簡単なだけ、推定演算負荷も低く
実現が容易である。
ィルタ手法では、モデルの未知パラメータの中で、定常
項に比べて過渡項の推定速度や推定精度が劣りやすい傾
向がある。したがって請求項5のように、開路電圧V0
の推定に特に影響が大きい定常項(内部抵抗に相当)の
みに適応デジタルフィルタ推定値を用い、過渡項(時定
数など)は予め設定した値を用いて、開路電圧V0を最
後に算出することにより、推定精度を向上させることが
できる。
で電池パラメータを推定した場合、定常項a0およびb
0、直達項(bn/an、つまりbnとanの比率)の
推定精度は良好だが、過渡項(an〜a1およびbn〜
b1)の推定精度がやや劣る傾向がある。(数20)式
に代入する過渡項anおよびbnの比率が、実際の電池
の値と大きく異なる場合には、(数20)式から算出す
る推定開路電圧Glp(s)・V0の過渡的な推定精度
が悪化(推定遅れや、オーバーシュートが大きくなる)
する。しかし、請求項6においては、過渡項anだけを
固定値fとし、推定値を用いて直達項(e=bn/
an)を算出し、推定精度が良い直達項から過渡項bn
をe×fとして算出するので、(数20)式に代入する
過渡項anおよびbnの比率が、実際の電池パラメータ
の値と近いために、(数20)式から算出する推定開路
電圧はオーバーシュートせずに、かつ推定値をそのまま
(数20)式に代入した場合よりも推定精度が良いとい
う効果がある。
じて変化することが判っているので、請求項6の設定値
fを固定値とはせず、二次電池の温度に対応したマップ
から読み出することにより、温度変化に対応した最適な
設定値fを決定できるので、オーバーシュートの可能性
を少なくできるという効果がある。
項を使用すると、直達項の収束は内部抵抗よりも遅いの
で、収束前の直達項から算出するe×fのために、開路
電圧推定値がハンチングするおそれがある。しかし、請
求項8のように、予め測定した温度に対する過渡項an
およびbnの数値をマップにしておき、マップから求め
た過渡項anおよびbnから収束判断用のしきい値を決
め、推定した直達項の収束を判断し、直達項の収束前は
直達項ではなく設定値を用い、直達項の収束後は直達項
から算出する方法を用いることにより、開路電圧推定値
がハンチングするおそれを解決できるという効果があ
る。
で電池パラメータを推定した場合、内部抵抗Kと直達項
(K・T2/T1、つまりK・T2とT1の比率)の推
定精度は良好だが、過渡項T1およびK・T2の推定精
度がやや劣る傾向がある。そのため(数35)式に代入
する過渡項T1およびK・T2の比率が、実際の電池の
値と大きく異なる場合には、(数35)式から推定する
開路電圧Glp(s)・V0の過渡的な推定精度が悪化
(推定遅れや、オーバーシュートが大きくなる)する。
しかし、請求項9においては、過渡項T1だけを固定値
bとし、推定値を用いて直達項(a=K・T2/T1)
を算出し、推定精度が良い直達項から過渡項K・T2を
a×bとして算出するので、(数35)式に代入する過
渡項T1およびK・T2の比率が、実際の電池パラメー
タの値に近くなるため、(数35)式から算出する開路
電圧はオーバーシュートせず、かつ推定値をそのまま
(数35)式に代入した場合よりも推定精度が良いとい
う効果がある。
応じて変化することが判っているので、請求項9の設定
値bを固定値とはせず、二次電池の温度に対応したマッ
プから読み出することにより、温度変化に対応した最適
な設定値bを決定できるので、オーバーシュートの可能
性を少なくできるという効果がある。
は、推定演算開始から直達項を使用している。しかし、
直達項の収束は内部抵抗よりも遅いので、収束前の直達
項から算出するa×bのために、開路電圧推定値がハン
チングするおそれがある。しかし、請求項11のよう
に、予め測定した温度に対する過渡項T1およびK・T
2の数値をマップにしておき、マップから求めた過渡項
T1およびK・T2から収束判断用のしきい値を決め、
推定した直達項aの収束を判断し、直達項の収束前は直
達項ではなく設定値を用い、直達項の収束後は直達項か
ら算出する方法を用いることにより、開路電圧推定値が
ハンチングするおそれを解決できるという効果がある。
施例1を機能ブロックで表した図である。図1におい
て、1は電池の端子電圧を検出する端子電圧V(k)検
出手段、2は電池の電流を検出する電流I(k)検出手
段、3a〜3c、4a〜4cはそれぞれフィルタ演算手
段、7は適応デジタルフィルタ演算手段〔パラメータθ
(k)を推定〕、8は開路電圧演算手段〔V0(k)を演
算〕、9は開路電圧から充電率を演算するSOC演算手
段である。
ロック図である。この実施例は、二次電池でモータ等の
負荷を駆動したり、モータの回生電力で二次電池を充電
するシステムに、二次電池の充電率推定装置を設けた例
を示す。図2において、10は二次電池(単に電池とも
いう)、20はモータ等の負荷、30は電池の充電状態
を推定する電子制御ユニットで、プログラムを演算する
CPUやプログラムを記憶したROMや演算結果を記憶
するRAMから成るマイクロコンピュータと電子回路等
で構成される。40は電池から充放電される電流を検出
する電流計、50は電池の端子電圧を検出する電圧計、
60は電池の温度を検出する温度計であり、それぞれ電
子制御ユニット30に接続される。上記の電子制御ユニ
ット30は前記図1のフィルタ演算手段3a〜3c、4
a〜4c、適応デジタルフィルタ演算手段7、開路電圧
V0(k)演算手段8およびSOC演算手段9の部分に
相当する。また、電流計40は電流I(k)検出手段2
に、電圧計50は端子電圧V(k)検出手段1に、それ
ぞれ相当する。
と電流Iの計測データに、適応デジタルフィルタを用い
て開路電圧V0を推定し、公知の開路電圧V0と充電率
SOCの関係から充電率を推定する装置であり、二次電
池の電池モデルを下記(数2)式の様に定義し、この
(数2)式と等価な(数3)式に対して両辺を時間微分
することにより、(数4)式を求め、この(数4)式に
対して適応デジタルフィルタを用いてA(s)とB(s)
の係数パラメータを一括推定し、この推定結果を(数
3)式に代入することにより開路電圧V0を求め、公知
の開路電圧と充電率の関係から充電率を推定するもので
ある。
項式関数、Glp(s)はsの分数多項式関数つまり伝
達関数である。このGlp(s)はローパスフィルタ特
性であり、A(s)の次数+1以上の次数を有する。
になる。まず、本実施例で用いる「電池モデル」を説明
する。図3は、二次電池の等価回路モデルを示す図であ
り、下記(数5)式で示される。(数5)式において、
モデル入力は電流I[A](正値は充電、負値は放
電)、モデル出力は端子電圧V[V]、R1〔Ω]は電
荷移動抵抗、R2[Ω]は純抵抗、C1[F]は電気二
重層容量、V0[V]は開路電圧である。なお、sはラ
プラス演算子である。本モデルは、正極、負極を特に分
離していないリダクションモデル(一次)であるが、実
際の電池の充放電特性を比較的正確に示すことが可能で
ある。
8)式が導出される。つまり、電池モデルの次数を1次
に限定することにより、前記(数2)式〜(数4)式は
下記(数6)式〜(数8)式となる。
際に計測可能な電池の電流Iと端子電圧Vを、ローパス
フィルタGlp(s)、バンドパスフィルタs・G
lp(s)、s2・Glp(s)で処理した値である。な
お、ローパスフィルタGlp(s)、バンドパスフィル
タs・Glp(s)、s2・Glp(s)は、図1のフィ
ルタ演算手段3a〜3c、4a〜4cに相当し、上記の
各式と次のごとき対応関係にある。 V3=s2・Glp(s)・V :3c V2=s・Glp(s)・V :3b V1=Glp(s)・V :3a I3=s2・Glp(s)・I :4c I2=s・Glp(s)・I :4b I1=Glp(s)・I :4a 上記(数8)式は、計測可能な値と、未知パラメータと
の積和式になっており、一般的な「適応デジタルフィル
タ」の標準形である下記(数9)式と一致する。 y=ωT・θ …(数9) ただし、ωT=[V3,I3,I2]、θT=[−
T1,K・T2,K] したがって、電流Iと端子電圧Vを各フィルタ演算手段
3a〜3c、4a〜4cで処理した信号を、適応デジタ
ルフィルタ演算に用いることで、未知パラメータベクト
ルθを推定することが出来る。特に本実施例では、単純
な「最小二乗法による適応デジタルフィルタ」などの論
理的な欠点、つまり一旦、推定値が収束すると、その
後、パラメータが変化しても再度正確な推定ができない
点を改善した「両限トレースゲイン方式」を用いる。
ータベクトルθを推定するための逐次推定アルゴリズム
は下記(数10)式に示すようになる。ただしk時点の
パラメータ推定値をθ(k)とする。
λ1<1、0<λ3(k)<∞とする。また、P(0)
は十分大きな値を初期値とし、θ(0)は非ゼロな十分
小さな値を初期値とする。trace{P}は行列Pの
トレース(対角要素の和)を意味する。P'(k)は(数
10)式で定義される。
のマイクロコンピュータが行う処理のフローチャートで
あり、実施例1の処理に相当する。同図のルーチンは一
定周期T0毎に実施される。なお、(k)は今回の値、
(k−n)はnサンプル周期前(n回前)の値を意味す
る。
I(k)、端子電圧V(k)、温度T(k)を計測する。
つまり図2の電流計40、電圧計50、温度計60の値
を読み込む。ステップS20では、SOC推定演算(同
定アルゴリズム)を実行するか否かを判定する。本電子
制御ユニットは、バッテリ遮断リレーの制御も行ってお
り、リレー遮断時(電流I=0)は推定を停止してステ
ップS30へ進む。リレー締結時は、ステップS40へ
直接行って推定演算を実行する。ステップS30では、
端子電圧V(k)を端子電圧初期値V_iniとして記憶す
る。
(k)=V(k)−V_iniを演算する。これは、非ゼロの
電圧値が適応デジタルフィルタに初期値として入力され
ると誤った推定をする可能性があるので、これを避ける
目的である。なお、電源リレー締結開始時から適応デジ
タルフィルタ演算を行うので、電流値I(k)はゼロを
初期値として入力される。したがって、電流値I(k)
は、必ずしも偏差を用いる必要性はない。ステップS5
0では、ローパスフィルタGlp(s)、バンドパスフ
ィルタs・Glp(s)、s2・Glp(s)のフィルタ
処理を、電流I(k)および端子電圧差分値△V(k)に
施して、V1、V2、V3、I1、I2、I3を算出す
る。本実施例では、ローパスフィルタおよびバンドパス
フィルタの特性を下記(数11)式に示すものとする。
をタスティン近似等で離散時間化して、下記(数12)
式に示すような漸化式を求めて処理を行う。
に、ステップS60では、ステップS50で算出したV
2(k)、V3(k)、I1(k)、I2(k)を用いて、
適応デジタルフィルタ演算〔前記(数10)式〕を行っ
て未知パラメータベクトルθ(k)を算出する。ただ
し、ωT=[V3,I3,I2]、θT=[−T1,K
・T2,K]である。ステップS70では、ステップS
50で算出したV1(k)、V2(k)、I1(k)、I
2(k)と、ステップS60で算出した未知パラメータ
ベクトルθ(k)とを、前記(数7)式に代入すること
で、△V0’〔=Glp(s)・V0〕を算出する。し
かし、これで求まるのは、同定アルゴリズム開始時から
の開路電圧の変化分△V0(k)であるから、これに開
路電圧初期値V0_ini(=端子電圧初期値V_ini)を加
算して下記(数13)式に示すように開路電圧V
0(k)を算出する。
V0と充電率SOCの相関マップを用いて、上記の算出
したV0(k)から充電率SOC(k)を算出する。ただ
し、図5中のVLはSOC=0%に、VHはSOC=1
00%に相当する開路電圧である。
池の電流Iと端子電圧Vの関係を、(数4)式または
(数8)式のように近似することで、計測可能な電流I
と端子電圧Vをフィルタ〔sn・Glp(s)〕で処理
した値と、未知パラメータ〔A(s)やB(s)の係数〕
の積和式が得られるので、通常の適応デジタルフィルタ
(最小二乗法などの公知の推定アルゴリズム)を連続時
間領域のまま適用することが可能となる。その結果、ま
ず、未知パラメータ〔A(s)やB(s)の係数〕を一括
推定することができ、更に、(数3)式または(数7)
式に代入することで、開路電圧V0の推定値としてG
lp(s)・V0を容易に算出できる。
度などに影響され時々刻々変化するものであるが、適応
デジタルフィルタ(公知の推定アルゴリズム)により精
度良く逐次推定することが可能である。また、連続時間
領域でモデルのパラメータ推定を行うので、離散時間領
域で行う場合に比べて、推定誤差による安定性への影響
が小さく、推定値が速やかに収束しやすい。なお、ロー
パスフィルタ特性Gl p(s)は、電流Iと端子電圧V
の計測ノイズのレベルに応じて設定することが可能であ
る。
(図5)は、温度や電池の劣化度に影響されにくく一定
の相関関係にあるため、この特性を予め記憶しておけ
ば、開路電圧V0から充電率SOCが直接算出できる。
したがって、充電率SOCについても開路電圧V0と同
様に、条件によらず正確な推定が可能である。
ン結果で確認できる。図6は、時点200sを境に、0
℃電池特性から25℃電池特性にステップ的に切り替え
た場合の結果である。このような急激な変化は、実際に
は有り得ない条件ではあるが、特性変化の影響を確認す
るために設定したものである。図6から判るように、急
激に特性が切り換わった直後を除けば、開路電圧V0は
真値に収束しており、本発明の効果が明瞭に示されてい
る。また、本実施例においては、電池モデルの次数を1
次にすることにより、電池モデルの構造が簡単になるの
で、推定演算負荷も低くなり、容易に実現することが可
能になる。
例1における図4のフローチャートにおいて、ステップ
S70の処理を下記のように変更する。すなわち、図4
のステップS70において、ステップS50で算出した
V1(k)、V2(k)、I1(k)、I2(k)と、ステ
ップS60で推定算出した未知パラメータベクトルθ
(k)の中の定常項K(k)と、予め用意した時定数
T1、T2を、前記(数7)式に代入することで、△V
0’〔=Glp(s)・V0〕を算出する。つまり、こ
の実施例2においては、適応デジタルフィルタを用いて
推定された未知パラメータの中で、定常項K(内部抵抗
R)など一部のパラメータのみを利用し、過渡項(時定
数T1、T2)については予め設定された値を用いて開
路電圧を推定するように構成している。一般に「適応デ
ジタルフィルタ手法」では、モデルの未知パラメータの
中で、定常項に比べて過渡項の推定速度や推定精度が劣
りやすい傾向がある。この傾向が大きい電池の場合に
は、開路電圧V0の推定に特に影響が大きい定常項(内
部抵抗に相当)のみ適応デジタルフィルタ推定値を用い
て、過渡項(時定数など)は予め設定した値を用いて、
開路電圧V0を最後に算出することで、推定精度が向上
する場合がある。
て開路電圧を推定する方法としては、オフセット項V0
を電流Iに依存しない定数項として扱い、公知の適応デ
ジタルフィルタである拡大最小二乗法を、下記(数1
4)式(=数2)を離散時間系にした下記(数15)式
に適用する方法(本出願人の先願:特願平2001−2
68314号:未公開)も考えられる。
は式誤差、e(k)は平均値零、分散σ2の白色雑音、
C(z−1)・r(k)=e(k)、C(z−1)はz−1
の多項式、pはその次数である。しかし、上記の方法で
は、ノイズ等の影響によって、推定パラメータaiが離
散時間系の不安定領域〔A(z−1)=0の根、つまり
極が半径1の円外〕に誤推定されると、推定値が収束し
なかったり、推定精度が悪化する、ことがある。これ
は、離散時間系では安定な極と不安定な極が、連続系に
比べて著しく近くに存在する場合があるためである。
ィルタを用いた場合、電池モデルのパラメータ値に応じ
て、例えば、温度0℃では0.05s、温度25℃では
0.1sと言うように、最適なサンプリング時間(適応
デジタルフィルタの演算周期)があることが分かってい
る。そのため、一定のサンプリング時間で離散化して
(数15)式にすると、異なる温度環境で使用される電
池では、パラメータの推定精度が悪化する場合がある。
実施例3〜実施例5は上記の点を改良したものである。
以下、説明する。
図7において、11〜15はそれぞれフィルタ演算手段
であり、11はs・G lp(s)の特性を有しV2(k)
を算出する。12はs2・Glp(s)の特性を有しV3
(k)を算出する。13はGlp(s)の特性を有しI1
(k)を算出する。14はs・Glp(s)の特性を有し
I2(k)を算出する。15はs2・Gl p(s)の特性
を有しI3(k)を算出する。16は適応デジタルフィ
ルタ演算手段〔d(k)を演算〕である。17は開路電
圧演算手段であり、適応デジタルフィルタ演算手段16
で求めたd(k)と電流検出手段2で検出した電流I
(k)を用いて開路電圧V0(k)を算出する。その他、
図1と同符号は同じ名称のブロックを示す。また、図
2、図3、図5は前記と同じである。
記(数16)式(=数2=数14)のように定義し、開
路電圧を下記(数17)式で近似し、この(数17)式
を(数16)式に代入することにより下記(数18)式
を得、この(数18)と等価な下記(数19)式に対し
て適用デジタルフィルタを用いてA(s)とB(s)の係
数パラメータと変数dとを一括推定し、この変数dを
(数17)に代入することにより開路電圧を求め、公知
の開路電圧V0と充電率SOCの関係から充電率を推定
するように構成している。
る。すなわち、(数16)式の電池モデル(連続時間
系)を用いて、開路電圧V0を(数17)式で近似する
ことで、(数16)式を(数18)式とし、(数18)
式と等価な(数19)式に対して適応デジタルフィルタ
演算を行い、A(s)とB(s)の係数パラメータ及び変
数dを一括推定し、次いで(数17)式の代わりに(数
16)式と等価な下記(数20)式に、推定したA
(s)とB(s)の係数パラメータを代入してG
lp(s)・V0を算出し、これを開路電圧V0の代用
とすることも出来る。
「電池モデル」は前記図3と同じであり、下記(数2
1)式(=数5)で示される。(数21)式において、
モデル入力は電流I[A](正値は充電、負値は放
電)、モデル出力は端子電圧V[V]、R1〔Ω]は電
荷移動抵抗、R2[Ω]は純抵抗、C1[F]は電気二
重層容量、V0[V]は開路電圧である。なお、sはラ
プラス演算子である。本モデルは、正極、負極を特に分
離していないリダクションモデル(一次)であるが、実
際の電池の充放電特性を比較的正確に示すことが可能で
ある。
6)になる。
を、ある初期状態から積分したものと考えれば、下記
(数23)式(=数17)で示すことが出来る。
になり、整理すれば(数25)式になる。
両辺に乗じ、整理すれば(数26)式になる。
ルタやバンドパスフィルタ(図7の11〜15)を処理
した値を下記(数27)式のように定義する。
き直せば、(数28)式になる。
で、前記(数16)式、(数18)式、(数19)式
は、それぞれ(数22)式、(数25)式、(数29)
式に対応することになる。(数29)式は、計測可能な
値と未知パラメータの積和式になっているので、一般的
な適応デジタルフィルタの標準形(数30)式と一致す
る。 y=ωT・θ …(数30) ただし、y=V2、ωT=[V3,I3,I2,I1] θT=[−T1,K・T2,K,d] 従って、電流Iと端子電圧Vにフィルタ処理した信号
を、適応デジタルフィルタ演算に用いることで、未知パ
ラメータベクトルθを推定することが出来る。本実施例
では、単純な「最小二乗法による適応デジタルフィル
タ」の論理的な欠点、すわち、一度推定値が収束する
と、その後パラメータが変化しても再度正確な推定がで
きない点を改善した「両限トレースゲイン方式」を用い
る。
ベクトルθを推定するための逐次推定アルゴリズムは下
記(数31)式(=数10)に示すようになる。ただ
し、k時点のパラメータ推定値をθ(k)とする。
λ1<1、0<λ3(k)<∞とする。また、P(0)
は十分大きな値、θ(0)は非ゼロな十分小さな値を初
期値とする。trace{P}は行列Pのトレース(対
角要素の和)を意味する。P'(k)は(数31)式で定
義される。
ャートである。図8のルーチンは一定周期T0毎に実施
される。また、(k)は今回の値、(k−q)はq回前の
値を意味する。まず、ステップS10では、電流I
(k)、端子電圧V(k)を計測する。つまり、前記図2
の電流計40、電圧計50の検出値を読み込む。ステッ
プS20では、二次電池の遮断リレーの判断する。バッ
テリーコントローラは二次電池の遮断リレーの制御も行
っており、リレー遮断時(電流I=0)はステップS3
0へ進む。リレー締結時はステップS40へ進む。ステ
ップS30では、端子電圧V(k)を端子電圧初期値V_
iniとして記憶する。
(k)を算出する。 △V(k)=V(k)−V_ini これは、適応デジタルフィルタ内の推定パラメータの初
期値を約0としているので、推定演算開始時に推定パラ
メータが発散しないように、入力を全て0とするためで
ある。リレー遮断時はステップS30を通るので、I=
0かつ△V(k)=0なので、推定パラメータは初期状
態のままである。ステップS50では、電流I(k)と
端子電圧差分値△V(k)に、(数27)式に基づきロ
ーパスフィルタGlp(s)、バンドパスフィルタs・
Glp(s)、s2・Glp(s)のフィルタ処理を施
し、V1、V2、V3、I1、I2、I3を算出する。
実施例ではGlp(s)を下記(数32)式に示すよう
な3次とする。
ティン近似等で離散時間化し、下記(数33)式のよう
な漸化式でフィルタ処理を行う。係数α0〜α 3、β1
〜β3はGlp(s)を離散時間化した際の定数であ
る。 V1(k)=α0・△V(k)+α1・△V(k−1)+α2・△V(k−2) +α3・△V(k−3)+β1・V1(k−1)+β2・V1(k−2) +β3・V1(k−3) …(数33) ステップS60では、ステップS50で算出したI
1(k)、I2(k)、I3(k)、V2(k)、V
3(k)を前記(数30)式に代入する。そして適応デ
ジタルフィルタ演算である前記(数31)式を行い、パ
ラメータ推定値θ(k)を算出する。ただし、y=
V2、ωT=[V3,I3,I2,I1]、θT=[−
T1,K・T2,K,d]である。
出したパラメータ推定値θ(k)の中からd(k)を用
い、前記(数23)式に基づき開路電圧推定値を算出す
る。ただし、ここで求まるのは推定演算開始時からの開
路電圧推定値の変化分△V0(k)である。実際の演算
は、連続時間系で記述された前記(数23)式をタステ
ィン近似等で離散時間化した漸化式で行う。ステップS
80では、ステップS70で算出した△V0(k)は同
定アルゴリズム開始時からの開路電圧の変化分であるか
ら、開路電圧初期値すなわち端子電圧初期値V_iniを加
算して開路電圧推定値V0(k)を算出する。
充電率SOCの相関マップを用いて、ステップS80で
算出したV0(k)から充電率SOC(k)を算出する。
ただし、図5中のVLはSOC=0%に、VHはSOC
=100%に相当する開路電圧である。ステップS10
0では、次回の演算に必要な数値を保存して、今回演算
を終了する。
の電流Iと端子電圧Vの関係を、前記(数19)式のよ
うに近似することでオフセット項V0を含まない。その
ため、計測可能な電流Iと端子電圧Vをフィルタ処理
〔sn・Glp(s)〕した値と、未知パラメータ〔A
(s)やB(s)の係数パラメータ及びd〕の積和式が得
られるので、通常の適応デジタルフィルタを連続時間系
のまま適用することが可能になる。そのため離散時間系
で適用する前記先行技術(本出願人の先願:特願平20
01−268314号)に比べて、推定誤差による安定
性への影響が小さく、推定値が速やかに収束しやすいと
言う効果が得られる。
5℃から0℃のものに、時間200sを境に変化させた
条件で、上記先行技術でパラメータ同定した場合のシミ
ュレーション結果を示す図である。ここでは前記(数1
5)式中の次数をn=1としている。
時間系での不安定領域であるa1<−1になると(図9
の)、開路電圧の推定精度が悪化する(図9の)。
また、時間200s以降の温度0℃の領域では、サンプ
リング時間が温度25℃に最適な0.1s設定なので、
開路電圧の推定精度が悪くなる。これに対して、実施例
3においては、オフセット項V0を含まない電池モデル
を用いた構成なので、適応デジタルフィルタを連続時間
系で適用できる。
25℃から0℃のものに、時間200sを境に変化させ
た条件で、実施例3でパラメータ同定した場合のシミュ
レーション結果を示す図である。図10においては、温
度が25℃から0℃に切り替わる直後であっても、安定
性を乱されること無く、推定パラメータは真値に速やか
に収束している。また、サンプリング時間は一定な0.
1s設定でも、温度0℃及び25℃共に推定パラメータ
は真値に速やかに収束している。
いては、次のごとき利点がある。すなわち、前記(数2
3)式(=数17)から開路電圧V0を算出すると、変
数dが収束する前(図10のや)に積分した誤差
が、収束後も定常的に残ってしまう。しかし、前記(数
20)式では積分を使用しないので、推定パラメータが
収束する前の誤差は残らず、収束後は正確な開路電圧V
0を算出できるという効果がある。なお、開路電圧V0
は変化が緩やかなので、Glp(s)・V0で代用でき
る。
次数を1次にすることにより、電池モデルの構造が簡単
になるので、推定演算負荷も低くなり、容易に実現する
ことが可能になる。
て、電池モデルの次数を1次に限定し、かつ、推定した
T1、T2、Kを、前記(数23)式(=数17)の代
わりに前記(数22)式と等価な下記(数34)式に代
入することで、Glp(s)・V0を算出し、それを開
路電圧V0の代用とするように構成したものである。
おいて、21〜26はそれぞれフィルタ演算手段であ
り、図示のような特性を有し、V1(k)、V2(k)、
V3(k)、I1(k)、I2(k)、I3(k)を算出す
る。また、適応デジタルフィルタ演算手段27ではT1
(k)、T2(k)、K(k)を算出する。開路電圧演算
手段28では適応デジタルフィルタ演算手段27で算出
したT1(k)、T2(k)、K(k)とフィルタ演算手
段21、22、24、25で算出したV1(k)、V
2(k)、I1(k)、I2(k)を用いて開路電圧V
0(k)を算出する。その他、図1と同符号は同じ名称
のブロックを示す。また、図2、図3、図5は前記と同
じである。
ーチャートにおいて、ステップS70の内容を下記のよ
うに変更したものである。すなわち、ステップS70に
おいて、ステップS60で算出したパラメータ推定値θ
(k)の中からT1、K・T2、Kを用い、前記(数2
2)式と等価な前記(数34)式に基づきGlp(s)
・V0を算出し、これを開路電圧V0の代用とする。開
路電圧V0は変化が緩やかなので、Glp(s)・V0
で代用できる。ただし、ここで求まるのは推定演算開始
時からの開路電圧推定値の変化分△V0(k)である。
ローチャートにおいて、ステップS70の内容を下記の
ように変更する。すなわち、ステップS70において、
ステップS60で算出したパラメータ推定値θ(k)の
中からKだけを用い、T1、T2は予め設定した値を用
い、前記(数22)式と等価な前記(数34)式に基づ
きGlp(s)・V0を算出し、これを開路電圧V0の
代用とする。開路電圧V0は変化が緩やかなので、G
lp(s)・V0で代用できる。ただし、ここで求まる
のは推定演算開始時からの開路電圧推定値の変化分△V
0(k)である。
デジタルフィルタを用いて推定された未知パラメータの
中で、定常項K(内部抵抗R)など一部のパラメータの
みを利用し、過渡項については予め設定された値を用い
て開路電圧V0を推定するように構成している。一般に
適応デジタルフィルタ手法では、モデルの未知パラメー
タの中で、定常項に比べて過渡項の推定速度や推定精度
が劣り易い傾向がある。この傾向が強い電池の場合に
は、開路電圧V0の推定に特に影響が大きい定常項(内
部抵抗に相当)のみについて適応デジタルフィルタから
の推定値を用い、過渡項(時定数など)は予め設定した
値を用いて、開路電圧V0を算出することで、推定精度
が向上する場合もある。
応デジタルフィルタを用いて推定された未知パラメータ
の中で、定常項(内部抵抗R)など一部のパラメータの
みを利用し、過渡項については予め設定された値を用い
て開路電圧V0を推定するように構成している。そのた
め、温度が一定で電池パラメータが変化しない場合は、
全て推定値を用いる場合よりも位相遅れが改善される。
しかし、温度変化によって実際の電池パラメータが固定
値から変化した場合には、直達項が実際とずれるため
に、開路電圧の過渡的な推定精度が悪化(推定遅れや、
オーバーシュートが大きくなる)することがある。
り、過渡項anを固定値fとし、直達項e=bn/an
で推定し、過渡項bnはbn=e×f=(推定値bn/
推定値an)×固定値anで求めるように構成してい
る。温度変化の影響分は直達項eに現れるので、結果的
に算出される過渡項bnの推定精度が固定値を用いた場
合よりもよくなり、温度影響を受けずに、推定精度を向
上させることが出来る。
る。図12において、31は電圧値処理用の(n+1)
個のフィルタ演算手段、32は電流値処理用の(n+
1)個のフィルタ演算手段であり、s・Glp(s)に
おけるsの羃乗数が奇数の場合は、その出力が適応デジ
タルフィルタ演算手段33へ送られ、偶数(0を含む)
の場合には、その出力が開路電圧演算手段35へ送られ
る。また、適応デジタルフィルタ演算手段33はa
n(k)、bn(k)およびan−1(k)〜a0(k)、
bn−1(k)〜b0(k)を演算する。設定値決定手段
34はfとe(k)×fを出力する。開路電圧演算手段
35は設定値決定手段34で求めたfとe(k)×fお
よびフィルタ演算手段31、32で求めた結果を用いて
開路電圧V0(k)を算出する。その他、図1と同符号
は同じ名称のブロックを示す。また、図2、図3、図5
は前記と同じである。
記(数16)式のように定義し、開路電圧を前記(数1
7)式で近似し、この(数17)式を(数16)式に代
入することにより前記(数18)式を得、この(数1
8)式と等価な前記(数19)式に対して適用デジタル
フィルタを用いてA(s)とB(s)の係数パラメータと
変数dとを一括推定し、これら推定値の中から直達項
(e=bn/an)を算出し、次いで推定値anの代わ
りに設定値fと、推定値bnの代わりに直達項から算出
するe×fと、推定したan−1〜a0およびbn−1
〜b0を、前記(数19)式と等価な前記(数20)式
に代入してGlp(s)・V0を算出し、これを開路電
圧V0の代用とするように構成している。
6においては次のごとき効果が得られる。適応デジタル
フィルタで電池パラメータを推定した場合、定常項a0
およびb 0、直達項(bn/an、つまりbnとanの
比率)の推定精度は良好であるが、過渡項(an〜a1
およびbn〜b1)の推定精度がやや劣る傾向がある。
前記(数20)式に代入する過渡項anおよびbnの比
率が、実際の電池の値と大きく異なる場合には、(数2
0)式から推定した開路電圧Glp(s)・V0の過渡
的な推定精度が悪化(推年遅れや、オーバーシュートが
大きくなる)する。
渡項an〜a1およびbn〜b1)の両方に固定値を用
いると、温度変化で実際の電池パラメータが変化した場
合には、固定値である直達項(bn/an)と実際の電
池パラメータとが異なるために、前記(数20)式から
算出する開路電圧はオーバーシュートする。
定値fとし、推定値を用いて直達項(e=bn/an)
を算出し、推定精度が良い直達項から過渡項bnをe×
fとして算出しするので、前記(数20)式に代入する
過渡項anおよびbnの比率が、実際の電池パラメータ
の値と近いために、前記(数20)式から算出する開路
電圧はオーバーシュートせず、かつ推定値をそのまま前
記(数20)式に代入した場合よりも推定精度が良いと
いう効果がある。
おいて、電池の温度(例えば表面温度)を検出する手段
と、電池の温度に対する過渡項anのマップとを設け、
温度に応じて前記マップから設定値fを決定するように
構成したものである。上記のように構成したことによ
り、実施例7においては、次のごとき効果が得られる。
すなわち、実施例6では、設定値fを一定値に決定して
いる。しかし、過渡項anは温度に応じて変化すること
が分かつているので、実施例6では温度変化に対応でき
ないために、オーバーシュートの可能性が残る。その
点、実施例7では、予め測定した温度に対する過渡項a
nに相当する設定値fの数値をマップにしておき、温度
に応じて設定値fを決定するため、温度変化に対応した
最適な設定値fを決定できるので、オーバーシュートの
可能性を少なくできる。
おいて、電池の温度に対する過渡項anのマップの他
に、電池の温度に対する過渡項bnのマップをも設け、
前記温度に応じて前記各マップから過渡項anおよびb
nを算出し、マップから算出した過渡項anおよびbn
から直達項のしきい値を算出し、前記直達項のしきい値
で前記直達項の収束を判断する。そして、収束前はマッ
プから算出した過渡項anおよびbnと、推定したa
n−1〜a0およびbn−1〜b0とを前記(数20)
式に代入してGlp(s)・V0を算出し、収束後はマ
ップから算出した設定値fと、直達項eから算出したe
×fと、推定したan−1〜a0およびbn−1〜b0
とを前記(数20)式に代入してGlp(s)・V0を
算出するように構成している。実施例6においては、推
定演算開始から直達項を使用している。しかし、直達項
の収束は内部抵抗よりも遅いので、収束前の直達項から
算出するe×fのために、開路電圧推定値がハンチング
するおそれがある。しかし、実施例8のように、予め測
定した温度に対する過渡項anおよびbnの数値をマッ
プにしておき、マップから求めた過渡項anおよびbn
から収束判断用のしきい値を決め、推定した直達項の収
束を判断し、直達項の収束前は直達項ではなく設定値を
用い、直達項の収束後は直達項から算出する方法を用い
ることにより、開路電圧推定値がハンチングするおそれ
を解決できる。
渡項T1およびK・T2の推定精度が内部抵抗Kに比べ
て劣る場合があるので、内部抵抗だけ推定値を用い、過
渡項T1およびK・T2は推定値でなく固定値を用いて
開路電圧を算出するように構成している。そのため、温
度が一定で電池パラメータが変化しない場合は、全て推
定値を用いる場合よりも位相遅れが改善される。しか
し、温度変化によって実際の電池パラメータが固定値か
ら変化した場合には、直達項(K・T2/T1、つまり
K・T 2とT1の比率)が実際とずれるために、開路電
圧の過渡的な推定精度が悪化(推定遅れや、オーバーシ
ュートが大きくなる)することがある。実施例9は、上
記の点を改良したものである。
る。図13において、41は複数の電圧値処理用のフィ
ルタ演算手段、42は複数の電流値処理用のフィルタ演
算手段である。適応デジタルフィルタ演算手段43はT
1(k)、KT2(k)、K(k)を演算する。設定値決
定手段44はbとa(k)×bを出力する。開路電圧演
算手段45は設定値決定手段44で求めたbとa(k)
×bおよびフィルタ演算手段41、42で求めた結果を
用いて開路電圧V0(k)を算出する。その他、図12
と同符号は同じ名称のブロックを示す。また、図2、図
3、図5は前記と同じである。
(数23)式(=数17)で近似することで前記(数2
2)式を前記(数25)式に変形し、前記(数25)式
と等価な前記(数29)式に対して適応デジタルフィル
タ演算を行い、過渡項T1及びK・T2、内部抵抗K、
変数dを一括推定し、これら推定値の中から直達項(a
=K・T2/T1)を算出し、次いで推定値T1の代わ
りに設定値bと、推定値K・T2の代わりに直達項から
算出するa×bと、推定値Kとを、前記(数22)式と
等価な下記(数35)式に代入してGlp(s)・V0
を算出し、これを開路電圧V0の代用とするように構成
している。
lp(s)は2次以上のローパスフィルタ、sはラプラ
ス演算子である。
チャートであり、同図のルーチンは一定周期T0毎に実
施される。なお、(k)は今回の値、(k−q)はq回前
の値を意味する。図14において、まず、ステップS1
0では、電流I(k)、端子電圧V(k)を計測する。つ
まり前記図2の電流計40、電圧計50の値を読み込
む。ステップS20では、二次電池の遮断リレーの判断
する。バッテリーコーントローラは二次電池の遮断リレ
ーの制御も行っており、リレー遮断時(電流I=0)は
ステップS30へ進む。リレー締結時はステップS40
へ進む。
端子電圧初期値V_iniとして記憶する。ステップS40
では、端子電圧差分値△V(k)を算出する。 △V(k)=V(k)−V_ini これは、適応デジタルフィルタ内の推定パラメータの初
期値を約0としているので、推定演算開始時に推定パラ
メータが発散しないように、入力を全て0とするためで
ある。リレー遮断時はステップS30を通るので、I=
0かつ△V(k)=0なので、推定パラメータは初期状
態のままである。
電圧差分値△V(k)に、前記(数27)式に基づきロ
ーパスフィルタGlp(s)、バンドパスフィルタs・
Glp(s)、s2・Glp(s)のフィルタ処理を施
し、I1、I2、I3、V1、V 2、V3を算出する。
本実施例では前記(数32)式で示したようにG
lp(s)を3次とする。実際の演算は、連続時間系で
記述された伝達関数をタスティン近似等で離散時間化
し、前記(数33)式で示したような漸化式でフィルタ
処理を行う。
出したI1(k)、I2(k)、I3(k)、V2(k)、
V3(k)を前記(数30)式に代入する。そして適応
デジタルフィルタ演算である前記(数31)式を行って
パラメータ推定値θ(k)を算出する。 ただし、y=V2(k) ωT=[V3(k),I3(k),I2(k),I
1(k)] θT=[−T1(k),K・T2(k),K(k),d
(k)]である。 ステップS70においては、ステップS60で算出した
パラメータ推定値θ(k)の中から、T1(k)=0か否
かで場合分けをし、T1(k)=0の場合はステップS
80へ行き、その他の場合はステップS90へ行く。
値を保持する。 a(k)=a(k−1) ステップS90では、直達項aを算出する。 a(k)=K・T2(k)/T1(k) ステップS100では、 電流I(k)および端子電圧V(k)と、 推定値T1(k)ではなく、予め設定した固定値b
と、 推定値K・T2(k)ではなく、直達項a(k)から算
出したa(k)×bと、 推定値K(k)とを、それぞれ前記(数22)式と等
価な前記(数35)式に代入することにより、G
lp(s)・V0を算出し、これを開路電圧V0の代用
とする。開路電圧V0は変化が緩やかなので、G
lp(s)・V0で代用できる。ただし、ここで求まる
のは推定演算開始時からの開路電圧推定値の変化分△V
0(k)である。
で算出した△V0(k)は同定アルゴリズム開始時から
の開路電圧の変化分であるから、開路電圧初期値すなわ
ち端子電圧初期値V_iniを加算して開路電圧推定値V0
(k)を算出する。 V0(k)=△V0(k)+V_ini ステップS120では、前記図5に示した開路電圧と充
電率の相関マップを用いて、ステップS110で算出し
たV0(k)から充電率SOC(k)を算出する。ステッ
プS130では、次回の演算に必要な数値を保存して、
今回の演算を終了する。
9においては下記のごとき効果が得られる。適応デジタ
ルフィルタで電池パラメータを推定した場合、内部抵抗
Kと直達項(K・T2/T1、つまりK・T2とT1の
比率)の推定精度は良好であるが、過渡項T1およびK
・T2の推定精度がやや劣る傾向がある。前記(数3
5)式に代入する過渡項T1およびK・T2の比率が、
実際の電池の値と大きく異なる場合には、(数35)式
から算出する開路電圧Glp(s)・V0の過渡的な推
定精度が悪化(推定遅れや、オーバーシュートが大きく
なる)することがある。また、過渡項T1およびK・T
2として共に固定値を用いた場合には、温度変化で実際
の電池パラメータが変化した場合に、固定値の直達項
(K・T2/T1)と、実際の電池パラメータの値とが
異なるため、前記(数35)式から算出する開路電圧は
オーバーシュートする。
固定値bとし、推定値を用いて直達項(a=K・T2/
T1)を算出し、推定精度が良い直達項から過渡項K・
T2をa×bとして算出するので、前記(数35)式に
代入する過渡項T1およびK・T2の比率が、実際の電
池パラメータの値と近くなるので、前記(数35)式か
ら算出する開路電圧はオーバーシュートせず、かつ推定
値をそのまま前記(数35)式に代入した場合よりも推
定精度が良いと言う効果がある。
ら約10℃に緩やかに変化させながら、充放電を繰り返
した場合のパラメータ同定結果を示す図であり、全て推
定値を用いた場合を参考例として点線で示し、実施例9
の特性を実線で示している。図15は温度が約25℃の
部分で、図16は温度が約10℃の部分であり、共に参
考例と本実施例の方法で開路電圧を推定している。参考
例と本実施例の固定値は、共に温度25℃の参照値を用
いている。
適応デジタルフィルタの推定値に関しては、内部抵抗K
は温度25℃の参照値に収束しているが、過渡項T1お
よびK・T2は温度25℃の参照値に収束していない。
参考例では、過渡項T1およびK・T2は、共に温度2
5℃の参照値を固定値としている。本実施例では、過渡
項T1は温度25℃の参照値を固定値とし、過渡項K・
T2の算出値は温度25℃の参照値に収束している(図
15の)。その結果、開路電圧の推定値に関して、参
考例と本実施例はほぼ一致している。そして、参考例と
本実施例は共に、適応デジタルフィルタの推定値の全て
を用いて開路電圧を算出した場合よりも、位相遅れが改
善されている(図15の)。
適応デジタルフィルタの推定値に関しては、内部抵抗K
は温度10℃の参照値に収束しているが、過渡項T1お
よびK・T2は温度10℃の参照値に収束していない。
参考例では、温度約10℃であるにも関わらず、過渡項
T1およびK・T2は共に温度25℃の参照値を固定値
としている。その結果、参考例は開路電圧がオーバーシ
ュートしている(図16の点線)。
参照値を固定値としているが、過渡項K・T2の算出値
は温度10℃の参照値にほぼ収束している(図16の実
線)。その結果、過渡項T1は温度10℃の参照値と
は異なるが、直達項(K・T 2とT1の比率)としては
温度10℃の参照値に収束しているので、本実施例は開
路電圧がオーバーシュートせず、かつ適応デジタルフィ
ルタの推定値の全てを用いて開路電圧を算出した場合よ
りも、位相遅れが改善されている(図16の実線)。
おいて、電池の温度に対する過渡項T1のマップを設け
ておき、温度に応じて前記マップから設定値bを決定す
るように構成したものである。実施例10の処理内容は
実施例9のフローチャートにおいて、下記の部分を変更
したものである。すなわち、前記図14において、ステ
ップS20〜ステップS90は、実施例9と同様であ
る。
電圧V(k)、温度TH(k)を計測する。つまり、前記
図2の電流計40、電圧計50および温度計60の値を
読み込む。ステップS100では、前記(数22)式中
の過渡項T1は温度で変化することが分かつているの
で、予め測定した数値をマップにしておき、温度TH
(k)に応じて設定値b(k)を決定する。そして 電流I(k)および端子電圧V(k)と、 推定値T1(k)ではなく設定値b(k)と、 推定値K・T2(k)ではなく、直達項a(k)から算
出するa(k)×b(k)と、 推定値K(k)と、を前記(数22)式と等価な前記
(数35)式に代入することにより、Glp(s)・V
0を算出し、これを開路電圧V0の代用とする。開路電
圧V0は変化が緩やかなので、Glp(s)・V0で代
用できる。ただし、ここで求まるのは推定演算開始時か
らの開路電圧推定値の変化分△V0(k)である。
10においては、次のごとき効果が得られる。すなわ
ち、実施例9では、設定値bを一定値に決定している。
しかし、前記(数22)式中の過渡項T1は温度に応じ
て変化することが分かつているので、実施例9では温度
変化に対応できないために、オーバーシュートの可能性
が残る。その点、実施例10では、予め測定した温度に
対する過渡項T1の数値をマップにしておき、温度に応
じて設定値bを決定するため、温度変化に対応した最適
な設定値bを決定できるので、オーバーシュートの可能
性を少なくできる。
0において、電池の温度に対する過渡項K・T2のマッ
プを設け、前記温度に応じて前記マップから過渡項T1
およびK・T2を算出し、マップから算出した過渡項T
1およびK・T2から直達項のしきい値を算出し、前記
直達項のしきい値で前記直達項の収束を判断する。そし
て、収束前はマップから算出した過渡項T1およびK・
T2と推定値Kを前記(数35)式に代入してG
lp(s)・V0を算出し、収束後はマップから算出し
た設定値bと、直達項aから算出したa×bと、推定値
Kとを前記(数35)式に代入してG lp(s)・V0
を算出するように構成している。
ーチャートである。図17において、ステップS20〜
ステップS90は、前記図14に示した実施例9のフロ
ーチャートと同じであり、下記のステップが異なってい
る。まず、ステップS10では、電流I(k)、端子電
圧V(k)、温度TH(k)を計測する。つまり、前記図
2の電流計40、電圧計50および温度計60の値を読
み込む。
推定値なので、収束したか否かを判断する。前記前記
(数22)式中の過渡項T1およびK・T2は、温度で
変化することが分かつているので、直達項aも同様であ
る。したがって予め測定した数値を各々マップにしてお
き、温度TH(k)に応じて設定値MAP_T1(k)お
よびMAP_K・T2を決定し、それらから収束判断用
のしきい値MAP_aを算出する。直達項a(k)がしき
い値MAP_aの所定範囲内に所定時間連続してある場
合は、収束したと判断してステップS110へ行く。な
お、一度収束した後は同様にステップS110へ行く。
上記以外の場合、収束していないと判断してステップS
120へ行く。
項a(k)を使用し、ステップS100で算出した設定
値MAP_T1(k)を設定値b(k)とする。そして 電流I(k)および端子電圧V(k)と、 推定値T1(k)ではなく設定値b(k)と、 推定値K・T2(k)ではなく直達項a(k)から算出
するa(k)×b(k)と、 推定値K(k)とを、前記(数22)式と等価な前記
(数35)式に代入することにより、Glp(s)・V
0を算出し、これを開路電圧V0の代用とする。開路電
圧V0は変化が緩やかなので、Glp(s)・V0で代
用できる。ただし、ここで求まるのは推定演算開始時か
らの開路電圧推定値の変化分△V0(k)である。
で、直達項a(k)を使用せず、ステップS100で算
出した設定値MAP_T1(k)およびMAP_K・T2
を決定する。そして電流I(k)および端子電圧V(k)
と、推定値T1(k)ではなくMAP_T1(k)と、推
定値K・T2ではなくMAP_K・T2と、推定値K
(k)とを前記(数35)式に代入して、Glp(s)・
V0を算出し、これを開路電圧V0の代用とする。開路
電圧V0は変化が緩やかなので、Gl p(s)・V0で
代用できる。ただし、ここで求まるのは推定演算開始時
からの開路電圧推定値の変化分△V0(k)である。
の終了後は、ステップS130へ行く。ステップS13
0では、ステップS110またはステップS120で算
出した△V0(k)は同定アルゴリズム開始時からの開
路電圧の変化分であるから、開路電圧初期値すなわち端
子電圧初期値V_iniを加算して開路電圧推定値V
0(k)を算出する。 V0(k)=△V0(k)+V_ini 次に、ステップS140では、前記図5に示した開路電
圧と充電率の相関マップを用いて、ステップS130で
算出したV0(k)から充電率SOC(k)を算出する。
ステップS150では、次回演算に必要な数値を保存し
て、今回演算を終了する。
11においては次のごとき効果が得られる。前記実施例
10では、推定演算開始から直達項を使用している。し
かし、直達項の収束は内部抵抗よりも遅いことが分かつ
ているので、収束前の直達項から算出するa×bのため
に、開路電圧推定値がハンチングすることがある。その
点、実施例11においては、予め測定した温度に対する
過渡項T1およびK・T2の数値をマップにしておき、
そのマップから温度に応じた過渡項T1およびK・T 2
を求め、そのマップ引きした過渡項T1およびK・T2
から収束判断用のしきい値を決め、推定した直達項aの
収束を判断する。そして収束前は、マップ引きした設定
値T1およびK・T2と、内部抵抗Kだけは推定値を用
いて、前記(数35)式に適用する。収束後は、マップ
引きした過渡項T1を設定値bとし、過渡項K・T2は
直達項aから算出したa×bを使用し、内部抵抗Kは推
定値を用いて、前記(数35)式に適用する。つまり、
直達項の収束前は直達項でなく設定値を用い、直達項の
収束後は直達項から算出する方法を用いているので、収
束前の直達項により開路電圧推定値がハンチングすると
いうおそれがなくなる。
ト。
ション結果を示す図。
ト。
ション結果を示す図。
ーション結果を示す図。
ート。
5℃の部分)を示す図。
0℃の部分)を示す図。
ャート。
段 3a〜3c…フィルタ演算手段 4a〜4c…フ
ィルタ演算手段 7…適応デジタルフィルタ演算手段 8…開路電圧演算手段 9…SOC演算
手段 10…二次電池 20…負荷 30…電子制御ユニット 40…電流計 50…電圧計 60…温度計 11〜15…フィルタ演算手段 16…適応デジ
タルフィルタ演算手段 17…開路電圧演算手段 21〜26…フ
ィルタ演算手段 27…適応デジタルフィルタ演算手段 28…開路電圧
演算手段 31…電圧値処理用のフィルタ演算手段 32…電流値処理用のフィルタ演算手段 33…適応デジタルフィルタ演算手段 34…設定値決定手段 35…開路電圧
演算手段 41…電圧値処理用のフィルタ演算手段 42…電流値処理用のフィルタ演算手段 43…適応デジタルフィルタ演算手段 44…設定値決定手段 45…開路電圧
演算手段
Claims (11)
- 【請求項1】二次電池の電流Iと端子電圧Vとを計測
し、適応デジタルフィルタを用いて、上記電流Iと端子
電圧Vの計測値から開路電圧V0を推定し、予め求めた
開路電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて充電率
を推定する充電率推定装置であって、 二次電池の電池モデルを下記(数2)式に示すように定
義し、この(数2)式と等価な下記(数3)式に対して
両辺を時間微分することによって下記(数4)式を求
め、この(数4)式に対して適応デジタルフィルタ演算
を行い、A(s)、B(s)の係数パラメータを一括推定
し、この推定結果を上記(数3)式に代入することによ
って開路電圧V0を求め、予め求めた開路電圧V0と充
電率SOCとの関係に基づいて充電率を推定する手段を
備えたことを特徴とする二次電池の充電率推定装置。 【数2】 【数3】 【数4】 ただし、sはラプラス演算子、A(s)とB(s)はsの
多項式関数、Glp(s)はローパスフィルタ特性を持
つ伝達関数であり、A(s)の次数+1以上の次数を有
する。 - 【請求項2】二次電池の電流Iと端子電圧Vとを計測
し、適応デジタルフィルタを用いて、上記電流Iと端子
電圧Vの計測値から開路電圧V0を推定し、予め求めた
開路電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて充電率
を推定する充電率推定装置であって、 二次電池の電池モデルを下記(数16)式に示すように
定義し、開路電圧V0を下記(数17)式で近似し、こ
の下記(数17)式を上記(数16)式に代入すること
によって下記(数18)式を得、この(数18)式と等
価な下記(数19)式に対して適応デジタルフィルタ演
算を行い、A(s)とB(s)の係数パラメータと変数d
とを一括推定し、この変数dを上記(数17)式に代入
することによって開路電圧V0を求め、予め求めた開路
電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて充電率を推
定する手段を備えたことを特徴とする二次電池の充電率
推定装置。 【数16】 【数17】 【数18】 【数19】 ただし、sはラプラス演算子、A(s)とB(s)はsの
多項式関数、dは変数、Glp(s)はローパスフィル
タ特性を持つ伝達関数であり、A(s)の次数+1以上
の次数を有する。 - 【請求項3】請求項2に記載の二次電池の充電率推定装
置において、 上記(数19)式に対して適応デジタルフィルタ演算を
行い、A(s)とB(s)の係数パラメータと変数dとを
一括推定し、その推定したA(s)とB(s)の係数パラ
メータを、上記(数16)式と等価な下記(数20)式
に代入することにより、G1p(s)・V0を求め、こ
の値を開路電圧V0の代用として、予め求めた開路電圧
V0と充電率SOCとの関係に基づいて充電率を推定す
る手段を備えたことを特徴とする二次電池の充電率推定
装置。 【数20】 ただし、sはラプラス演算子、A(s)とB(s)はsの
多項式関数、dは変数、Glp(s)はローパスフィル
タ特性を持つ伝達関数であり、A(s)の次数+1以上
の次数を有する。 - 【請求項4】上記電池モデルの次数を1次にすることを
特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の二次
電池の充電率推定装置。 - 【請求項5】請求項1乃至請求項4の何れかに記載の二
次電池の充電率推定装置において、 適応デジタルフィルタを用いて推定されたパラメータの
中で、定常項については上記推定値を用い、過渡項につ
いては予め設定された値を用いて開路電圧V0を推定す
ることを特徴とする二次電池の充電率推定装置。 - 【請求項6】請求項5に記載の二次電池の充電率推定装
置において、 開路電圧V0を上記(数17)式で近似することで上記
(数16)式を(数18)式とし、その(数18)式と
等価な(数19)式に対して適応デジタルフィルタ演算
を行い、A(s)とB(s)の係数パラメータおよび変数
dを一括推定し、これら推定値の中から直達項(e=b
n/an)を算出し、その算出した直達項eと設定値f
とでe×fを算出し、次いで推定した値anの代わりに
上記設定値fと、推定した値bnの代わりに上記e×f
と、推定した値an−1〜a0およびbn−1〜b0と
を上記(数16)式と等価な上記(数20)式に代入し
てGlp(s)・V0を算出し、これを開路電圧V0の
代用とする手段を備えたことを特徴とする二次電池の充
電率推定装置。 - 【請求項7】請求項6に記載の二次電池の充電率推定装
置において、 二次電池の温度を検出する手段と、二次電池の温度に対
する過渡項anの代わりに用いる設定値fのマップと、
を備え、上記温度に応じて上記マップから設定値fを決
定することを特徴とする二次電池の充電率推定装置。 - 【請求項8】請求項6に記載の二次電池の充電率推定装
置において、 二次電池の温度を検出する手段と、二次電池の温度に対
する過渡項anおよびbnのマップとを設け、上記温度
に応じて上記各マップから過渡項anおよびb nを算出
し、マップから算出した過渡項anおよびbnから直達
項のしきい値を算出し、上記直達項のしきい値で上記直
達項の収束を判断し、収束前は、マップから算出した過
渡項anおよびbnと、推定した値an−1〜a0およ
びbn− 1〜b0とを上記(数20)式に代入してG
lp(s)・V0を算出し、収束後は、マップから算出
した過渡項anに相当する設定値fと、直達項eから算
出したe×fと、推定したan−1〜a0およびb
n−1〜b0とを上記(数20)式に代入してG
lp(s)・V0を算出することを特徴とする二次電池
の充電率推定装置。 - 【請求項9】二次電池の電流Iと端子電圧Vとを計測
し、適応デジタルフィルタを用いて、上記電流Iと端子
電圧Vの計測値から開路電圧V0を推定し、予め求めた
開路電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて充電率
を推定する充電率推定装置であって、 二次電池の電池モデルを連続時間系の下記(数22)式
に示すように定義し、開路電圧V0を下記(数23)式
で近似することで上記(数22)式を下記(数25)式
に変形し、その(数25)式と等価な下記(数29)式
に対して適応デジタルフィルタ演算を行い、過渡項T1
およびK・T2、内部抵抗K、変数dを一括推定し、こ
れら推定値の中から直達項(a=K・T2/T1)を算
出し、次いで過渡項T1の代わりに設定値bと、推定し
た値K・T2の代わりに直達項から算出したa×bと、
推定した内部抵抗値Kとを、上記(数22)式と等価な
下記(数35)式に代入してGlp(s)・V0を算出
し、これを開路電圧V0の代用として充電率を算出する
手段を備えたことを特徴とする二次電池の充電率推定装
置。 【数22】 【数23】 【数25】 【数29】 【数35】 ただし、T1、K・T2は過渡項、Kは内部抵抗、G
lp(s)は2次以上のローパスフィルタ、sはラプラ
ス演算子 - 【請求項10】請求項9に記載の二次電池の充電率推定
装置において、 二次電池の温度を検出する手段と、電池の温度に対する
過渡項T1の代わりに用いる設定値bのマップと、を備
え、上記温度に応じて上記マップから設定値bを決定す
ることを特徴とする二次電池の充電率推定装置。 - 【請求項11】請求項9に記載の二次電池の充電率推定
装置において、 二次電池の温度を検出する手段と、電池の温度に対する
過渡項T1および過渡項K・T2のマップと、を設け、
上記温度に応じて上記各マップからT1およびK・T2
を算出し、上記マップから算出したT1およびK・T2
から直達項aのしきい値を算出し、上記直達項aのしき
い値で上記直達項の収束を判断し、収束前は、推定した
過渡項T1の代わりに上記マップから算出したT1と、
推定した過渡項K・T2の代わりに上記マップから算出
したK・T2と、推定した値Kとを上記(数35)式に
代入してGlp(s)・V0を算出し、収束後は、推定
した過渡項T1の代わりに上記マップから算出したT1
に相当する設定値bと、推定した過渡項K・T2の代わ
りに直達項aを用いて算出したa×bと、推定した値K
とを上記(数35)式に代入してGlp(s)・V0を
算出することを特徴とする二次電池の充電率推定装置。
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