JP2003184637A - イオン電流を用いたエンジンの失火検出装置及び該装置に用いられるプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
イオン電流を用いたエンジンの失火検出装置及び該装置に用いられるプログラムを記録した記録媒体Info
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Abstract
失火判定精度を向上する。 【解決手段】 所定のクランク角度区間(上死点前10
度〜上死点後110度)において所定周期(10度)毎
にイオン電流値をサンプリングし、イオン電流値が無効
であるか有効であるかを判断し、無効と判断されたイオ
ン電流値をマスクする(S101〜S106)。そし
て、マスクされていない有効なイオン電流値と失火判定
レベルとを比較し失火を判定する(S107〜S10
9)。
Description
生じているか否かを該各気筒内で発生したイオン電流の
検出値に基づいて判断するエンジンの失火検出装置に関
する。
は、気筒内で失火が生じると、未燃ガスが排出されて触
媒の機能劣化及び排ガスの悪化を引き起こし得る。従っ
て、失火が生じた場合には運転者に報知したり、失火回
避制御を行い、エンジンを保護するため、失火が生じて
いるか否かの判定は極めて重要となる。
に各気筒内で発生したイオン電流に基づいて失火を判定
するものがある。この失火判定は、エンジンの回転挙動
を利用する場合と比較して、最近の可変バルブ機構を搭
載したエンジン等において有利とされているが、例えば
点火時にコイルを駆動させるとノイズが発生してイオン
電流の検出値に重畳するおそれがある。このような環境
下では、失火時において失火を検出できなかったり、又
は燃焼を失火と誤判定するといった不都合を有する。
対する誤判定を防止するため、例えば特開平5−223
002号公報では、運転状態によってイオン電流検出の
タイミングを可変し、イオン電流の出力値を最大付近で
得るようにしている。
報では、イオン電流の検出区間について、火花放電終了
後から所定時間幅だけマスクしてイオン電流の積分値を
得ている。すなわち、火花放電終了後に生じる不要なイ
オン電流波形をマスクして、積分値を得ている。
電流波形は、上述したノイズ重畳の他に、エンジン回転
数またはエンジン負荷等の運転状態が変化し、これによ
ってイオン電流の検出値や発生域が変化してしまうこと
によっても影響を受ける。このような状況下で、最適な
イオン電流検出区間での失火判定は難しい。前者の公開
公報では、これに対する改善については開示がなされて
いない。
の検出区間を点火プラグの放電終了後から次気筒の一次
コイルへの通電開始時を除いているが、例えばバッテリ
の電圧低下時に一次コイルへの通電時間が長くなると、
イオン電流検出区間が短くなり、失火検出率が低下する
傾向にある。そのため、電源(バッテリ)電圧の影響を
受けることなく、イオン電流検出区間を確保し、失火検
出率の向上を図る必要がある。
あり、その目的は、上述した状況の影響を受けることの
ないイオン電流による確実な失火判定を行うことのでき
るエンジンの失火検出装置を提供することにある。
項1に係るイオン電流を用いたエンジンの失火検出装置
の発明は、所定のクランク角度区間において所定周期毎
に各気筒内で発生するイオン電流を検出するイオン電流
検出手段と、イオン電流検出手段により得られるイオン
電流値が失火判定に有効であるか無効であるかを判断す
るイオン電流値分類手段と、イオン電流値分類手段によ
り無効と判断されたイオン電流値をマスクするマスク手
段と、マスクされていない有効イオン電流値と失火判定
レベルとを比較して失火を判定する判定手段とを備える
ものである。
オン電流値は、得られたイオン電流値の中で、イオン電
流値分類手段によって得られた失火判定に有効なイオン
電流値のみとなる。従って、課題で述べたような、例え
ば電源電圧が低下してイオン電流の検出区間が短くなる
等の要因が加わったとしても、かかる要因を排除し有効
なイオン電流値のみを用いるので、失火検出率の低下を
招くことなく正確な失火判定を行うことができる。
明において、イオン電流値分類手段による有効か無効か
の判断は、点火プラグの放電期間、通電開始及びその近
傍を無効エリアとして、該無効エリアにおいてサンプリ
ングしたイオン電流値を無効とし、無効エリアを除く有
効エリアにおいてサンプリングしたイオン電流値を有効
とするものである。
クランク角度区間において所定周期毎に各気筒内で発生
するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、イオ
ン電流検出手段により得られるイオン電流値が失火判定
に有効であるか無効であるかを判断するイオン電流値分
類手段と、イオン電流値分類手段により無効と判断され
たイオン電流値をマスクするマスク手段と、マスクされ
ていない有効イオン電流値と失火判定レベルとを比較し
て失火を判定する判定手段として電子制御装置を機能さ
せるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
て図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、イオ
ン電流による失火検出装置を説明するための概略構成
図、図1(b)は電子制御装置(以下、単に「ECU」
と言う)20の概略構成図である。なお、本実施の形態
において、各気筒は同一構成であるため、以下の説明で
はその一つについて行い、他の気筒については省略す
る。
気弁3及び排気弁4等から構成される燃焼室5には、空
気と燃料との混合気が供給される。供給された混合気
は、ピストン2によって圧縮されるとその上死点付近
で、ECU20からのパワートランジスタ27(図2を
参照)を介した点火信号に基づき、シリンダヘッドに取
り付けられた点火プラグ23からの火花放電により着火
され、爆発燃焼を引き起こす。爆発燃焼により、燃焼室
5内では電離作用によるイオンが発生し、イオン電流が
プラグ23を介して検出される。
を流れるイオン電流をイオン検出ラインL1を介してイ
オン検出回路40により検出し、さらにアナログ信号と
して出力され、ECU20のマイクロコンピュータ30
(図1(b))に入力される。なお、イオン検出回路4
0についてその詳細は後述する。
回転角度(クランク角度)を検出するクランク角センサ
6等の各種センサからの信号に基づいてエンジンを制御
するための装置である。その構成を図1(b)によって
説明すると、マイクロコンピュータ30を主構成とし、
クランク角センサ6等の各種センサからのアナログ信号
が入力される入力回路31a、その入力信号をデジタル
信号に変換するA/Dコンバータ32、各種センサから
のデジタル信号が入力される入力回路31bを有する。
そして、マイクロコンピュータ30は、A/Dコンバー
タ32及びデジタル信号用入力回路31bからの信号を
受け、且つ出力回路37を介してインジェクタやイグナ
イタを構成するパワートランジスタ27等の各種アクチ
ュエータ38に制御信号を出力する役割を担う入力/出
力ポート33(I/Oポート)を具備している。更に、
マイクロコンピュータ30は、CPU34を中心とし
て、RAM35、ROM36及びI/Oポート33が相
互にバス39によって接続されている。
M35及びROM36は、両者を併せてメモリと呼ばれ
ることもあり、RAM35は各種値(例えば、本発明に
よるクランク角度値、イオン電流値)等を格納し、RO
M36は制御プログラムや予め設定された固定値(例え
ば、後述する失火判定レベル)等が記録されている。C
PU34は、クランク角センサ6及びエンジン運転状態
を検出する各種センサからの信号等に基づき、ROM3
6に予めメモリされている固定値及び制御プログラムに
よって演算処理を行い、各種エンジン制御を行う。
イオン電流のアナログ信号は、入力回路31aを介して
A/Dコンバータ32によってデジタル変換されて、マ
イクロコンピュータ30のI/Oポート33を介して入
力されると、CPU34によって演算処理されて、失火
が生じているか否かを判断するための失火判定閾値(以
下、「失火判定レベル」と言う)と比較される。すなわ
ち、ここで本発明による失火判定が行われる。
定の水準に達していない場合、すなわち失火判定レベル
より小さい場合には、このような状態を「失火」と判断
し、警告ランプ28によって運転者に対して失火の発生
を報知すると共に、CPU34からI/Oポート33、
出力回路37を介して各種アクチュエータ38に失火を
回避するための制御信号を出力し、必要な失火回避制御
が行われる。
の構成について図2に基づいて説明する。なお、図中の
ECU20の構成は、図1において述べたのもの同様で
あり、その説明は省略する。
は、各種センサにより検出されるエンジン運転状態に基
づき点火コイル22の一次コイル22aに対する通電開
始及びその遮断についてのタイミング、すなわち点火時
期を制御している。ECU20と一次コイル22aとの
間には、イグナイタを構成するパワートランジスタ27
が配置されており、パワートランジスタ27はECU2
0からの点火信号に基づいて一次コイル22aへの電流
をオン−オフする。パワートランジスタ27がオンにな
ると、バッテリ21から一次コイル22a側に一次電流
が通電される。この一次電流の大きさは、バッテリ21
の電圧、通電時間等に応じて異なる。
期に達した時点でECU20からの信号によりパワート
ランジスタ27をオフして、一次コイル22a側を遮断
する。その結果、この一次電流の大きさに応じた逆起電
力が発生し、これによって二次コイル22bの巻数に応
じた高電圧が二次コイル22b側の端子間に発生する。
この高電圧が点火プラグ23に印加されることでプラグ
23の電極間に火花放電が発生し、上述したように混合
気に着火され、爆発燃焼が行われる。
になる点火時期においては、二次コイル22b側に高電
圧が発生して点火プラグ23が点火し、二次コイル22
b、ダイオード(ロ)、点火プラグ23を経て放電電流
が流れると共に、一次コイル22aでの逆起電力によっ
て、ダイオード(ハ)及び抵抗24を経てコンデンサ2
5が充電される。
燃焼室5内にイオンが発生するので点火プラグ23を介
してイオン電流を捕捉し、イオン電流が電極間に流れる
とこれをイオン検出回路40にて検出する。イオン検出
回路40は、二次コイル22b側と点火プラグ23に対
して並列に接続されており、イオン電流検出抵抗24、
コンデンサ25及びイオン波形処理回路26から構成さ
れている。イオン電流検出抵抗24及びコンデンサ25
は直列に接続されており、点火プラグ23に流れるイオ
ン電流を検出する役目を担っている。
充電された充電電圧によって抵抗24、ダイオード
(イ)及び点火プラグ23を経てイオン電流が流れ、抵
抗24にイオン電流に応じた電圧が生じる。また、これ
らと並列にイオン波形処理回路26が接続され、イオン
電流が流れたことにより抵抗24に生じた電圧を、EC
U20に入力するための最終的な処理を行っている。
は、ECU20のマイクロコンピュータ30に入力さ
れ、本発明による失火判定が行われる。上述したよう
に、イオン電流による失火判定は、これによる検出値と
ECU20に予め設定された失火判定レベルとを比較し
て失火/燃焼を判断する。ECU20は、失火と判断し
た場合、警告ランプ28を点灯又は点滅し、運転者に対
して失火の発生を報知すると共に、必要に応じて失火回
避制御を実行する。
失火検出装置、特にこの失火検出装置を含む点火系を制
御するECU20において行われる失火判定の具体的な
手順を、図3のフローチャートに基づいて説明する。な
お、以下の説明をするにあたり、イオン電流は検出され
ているものとする。
述したようにクランク角センサ6によってクランク角度
信号がECU20の入力回路31aに入力される。本実
施の形態では、上死点前10度をクランク角度信号入力
割り込み開始時とする。入力回路31aにクランク角度
信号が導かれると、ステップS102においてA/Dコ
ンバータ32を起動させ、続けてステップS103にお
いて、この入力されたクランク角度信号が既にA/Dコ
ンバータ32起動をかけた信号か否かの判断がなされ
る。ステップS103で、A/Dコンバータ32の起動
をかけていないクランク角度信号である場合(NOの場
合)、ステップS101に戻る。この場合、以下に説明
する動作は行われない。
の起動をかけたクランク角度信号であると判断された場
合(YESの場合)、ステップS104において、上述
したように検出したイオン電流値を、そのクランク角度
用に設定されたRAM35の所定アドレスにイオン電流
値データとして格納する。このデータを格納する際に、
ステップS105において、そのデータが後述する失火
判定を行う場合に有効なデータであるか、又は無効なデ
ータであるかの判断がなされ、有効なイオン電流値デー
タについてフラグをセット(フラグ値=1)することに
よって目印を付けておく。イオン電流値データが有効か
無効かの判断については後述する。
ては、フラグをクリアし(フラグ値=0)、フラグがク
リアされているイオン電流値データを失火判定に採用し
ないことで、無効と判断されたイオン電流値データをマ
スクする。
では、上述したように上死点前10度のクランク角度を
割り込み開始として、上死点後110度のクランク角度
までのクランク角度区間において、所定周期(所定クラ
ンク角度毎)に順次イオン電流値を取り込むと共に、そ
のデータが有効か無効かについて判断し、無効データに
ついてはフラグによるマスク処理を行う。ステップS1
06において、入力されるクランク角度信号が上死点後
110度の信号であるか否かの判断がなされ、上死点後
110度のクランク角度信号でないと判断された場合
(NOの場合)には、ステップS101に戻って、ステ
ップS101からステップS105の処理を繰り返す。
106、特にステップS105において、どのような場
合に「有効なイオン電流値」としてフラグをセットしR
AM35に格納するのかについて、図4によってさらに
説明する。
テップS106の処理を詳細に説明するためのタイミン
グチャートである。図中、上段の表は、ステップS10
4及びステップS105においてRAM35の各アドレ
スに格納される個々のデータを示している。表は、ステ
ップS104においてA/Dコンバータ32により変換
され、ステップS105でフラグの付された個々のデー
タであり、本実施の形態では、フラグのセットされた有
効なデータ、すなわち失火判定に使用するデータである
場合は「フラグ=1」とし、フラグがクリアされている
無効なデータ、すなわち失火判定に使用しないデータで
ある場合には「フラグ=0」としている。
説明した、A/D変換されたイオン電流値をRAM35
に格納する際に、所定のクランク角度毎に設定したRA
M35のアドレス番号順にイオン電流値データが順次格
納されている。本実施の形態では、所定の周期毎とし
て、クランク角度を10度毎に設定し、上述したように
データサンプリングのクランク角度区間を上死点前10
度から上死点後110度までとし、そのクランク角度区
間において順次10度毎にデータサンプリングを行う。
RAM35のアドレス番号は、そのクランク角度に対応
するようにそれぞれ設定されている。すなわち、上死点
前10度におけるイオン電流値のデータは、失火判定に
用いない無効なデータを意味する「フラグ=0」を付し
て、RAM35のアドレス「RAM1」に格納する。以
下、各クランク角度毎に順次繰り返し、最後には、上死
点後100度におけるイオン電流値のデータに、失火判
定に用いる有効なデータを意味する「フラグ=1」を付
して、RAM35のアドレス「RAM12」に格納す
る。
時に検出されるイオン電流波形である。図中の「#1」
及び「#3」はそれぞれ気筒番号である。また、時間を
表す横軸の下側に記載されている「無効エリア」は、無
効なデータが検出される区間であり、「A/D有効エリ
ア」は有効なデータが検出される区間である。更に、2
点鎖線は失火判定レベルを示す。
判断して「フラグ=1」とし、どのような場合に無効な
データと判断して「フラグ=0」とするのかを説明す
る。
電圧が印可される点火プラグ23の火花放電時は、イオ
ン検出回路40により検出されECU20に入力される
イオン電流値(イオン出力電圧)に大きなノイズが重畳
する。従って、図4に示すように、点火プラグ23の放
電時間の間を無効エリアとし、この間にサンプリングさ
れるイオン電流値データについては「フラグ=0」とし
て、後述のステップS107における失火判定の際に
「フラグ=1」のデータのみを読み出すようにし、実質
的に無効エリアにおいてサンプリングされたイオン電流
値(図4においては、「RAM1」と「RAM2」に格
納されたデータ)をマスクする。
電時間はエンジン回転数やエンジン負荷によるエンジン
運転状態、バッテリ電圧等により変化するため、これら
をパラメータとして予めシミュレーション又は実験等に
より放電時間を求め、これをテーブルとしてROM36
にメモリしておく。そして、周知のようにECU20に
おいて演算される点火時期(点火進角値)を起点として
エンジン回転数から放電時間をクランク角度区間に換算
し、このクランク角度区間を無効エリアとして、無効エ
リアにおいてサンプリングしたイオン電流値については
「フラグ=0」としてマスクする。
開始する通電開始時にも、ECU20に入力されるイオ
ン電流値(イオン出力電圧)にノイズが重畳する。この
ため、周知のようにECU20において演算されるドエ
ル開始クランク角を基準として、そのドエル開始クラン
ク角及びその近傍についても無効エリアとする。そし
て、通電開始に対応する無効エリアにおいてサンプリン
グされたイオン電流値データ(図4において、「RAM
10」に格納されたデータ)についても、「フラグ=
0」としてマスクする。
下時において、イオン検出回路40からECU20に入
力されるイオン電流値(イオン出力電圧)の波形図であ
る。周知のように電源電圧低下時は、点火エネルギの低
下を防ぐためドエル時間が長く設定され、これに対応し
てドエル開始クランク角が進角化する。従って、このと
きにおいても、ドエル開始クランク角及びその近傍にお
いてサンプリングされたイオン電流値データは「フラグ
=0」としてマスクする。
23の放電区間及び通電開始区間を無効エリアとし、こ
れらを除く区間を有効エリアとして的確に設定すること
ができる。そして、有効エリアにおいてサンプリングさ
れたイオン電流値(図4において、「RAM3」〜「R
AM9」、「RAM11」及び「RAM12」に格納さ
れたデータ)については、「フラグ=1」とし、有効デ
ータとする。
転数及びエンジン負荷、バッテリ電圧に基づいてテーブ
ル等により直接的に通電開始時に対応する無効エリアを
設定してもよい。
M35の各アドレス「RAM1」〜「RAM12」中、
「フラグ=1」のデータのみを読み出して失火判定を行
うことで、ノイズによる影響を受けることなく的確に失
火判定を行うことが可能となる。
グは、各気筒毎に燃焼行程で行うものであり、図4にお
いては、#1気筒のイオン電流値のサンプリングを示
し、燃焼順に各気筒毎に同様の処理が行われる。
火判定処理について説明する。ステップS106で該当
気筒の上死点後110度と判断されると、ステップS1
07に進み、該当気筒に対する失火判定を行う。ステッ
プS107では、RAM35の各アドレス「RAM1」
〜「RAM12」にイオン電流値データと共に格納され
た各フラグを参照して、有効データを示す「フラグ=
1」のアドレスに格納されたイオン電流値データのみを
読み出す。そして、読み出したイオン電流値データのう
ちの最大値を失火判定レベルと比較し、失火判定を行
う。
Nとエンジン負荷(例えば、基本燃料噴射パルス幅Tp
(=K×Q/N、但し、Kは定数、Qは吸入空気量))
とをパラメータとして失火判定レベルテーブルを参照し
て基本値を設定し、更に、基本値に後述する補正係数に
よる補正を行って設定される。失火判定レベルテーブル
は、エンジン回転数Nとエンジン負荷とによるエンジン
運転状態をパラメータとして予めシミュレーション又は
実験等により失火を判定するために適正な失火判定閾値
を求め、この適正な失火判定閾値を失火判定レベルの基
本値とし、テーブルとしてROM36にストアされてい
るものである。
変化し、これに対応してイオン電流値も変化するため、
ここでは、基本点火進角値(基本点火時期)をリタード
補正(遅角補正)する周知のリタード量をパラメータと
してリタード量補正係数テーブルを参照して、リタード
量補正係数を設定する。
量をパラメータとして予めシミュレーション又は実験等
により失火判定レベルの基準値を補正するに適正な補正
係数を求め、これをリタード量補正係数とし、テーブル
としてROM36にストアされているものである。
ータ数が少ないほど、失火判定に対する信頼性を確保す
るため、失火判定レベルを低下する必要がある。このた
め、失火判定を行う際の有効データ数をパラメータとし
て採用データ数補正係数テーブルを参照して、採用デー
タ数補正係数を設定する。
ータ数をパラメータとして予めシミュレーション又は実
験等により失火判定レベルの基準値を補正にするに適正
な補正係数を求め、これを採用データ数補正係数とし、
デーブルとしてROM36にストアされているものであ
る。
例を示す。図示のように、採用する有効データ数が3以
上の場合、採用データ数補正係数は、補正無しに対応す
る1.0に設定され、採用する有効データ数が減少する
に従い採用データ数補正係数を減少させて、有効データ
数が1以下の場合には0に設定される。例えば、図4に
おいては、失火判定に採用する有効データ数が9個であ
るため、採用データ数補正係数は補正無しに対応する
1.0に設定される。
て算出した基準値に、リタード量補正係数及び採用デー
タ数補正係数を乗算して、失火判定レベルを設定する。
レベルが適正に設定され、失火判定精度を向上すること
が可能となる。そして、ステップS107での判定の結
果、イオン電流値データが失火判定レベルよりも高いと
き、ステップS108に進み、「燃焼」(正常)と判定
し、ルーチンを抜ける。
レベル以下のときは、ステップS109に進み、「失
火」と判定し、警告ランプ28の点灯又は点滅により運
転者に失火の発生を報知し、必要に応じて失火回避制御
を行うと共に、失火発生を示すトラブルデータをECU
20のRAM35のバックアップ領域における所定アド
レスにストアし、ECU20への外部機器(故障診断装
置)の接続により外部機器へ読み出し可能として、ルー
チンを抜ける。
の電圧の場合に検出されるイオン電流波形であり、図5
(a)は、燃焼時(正常時)のイオン電流波形を示し、
図(b)は、失火時のイオン電流波形を示す。
に、例えば、1行程の燃焼期間において初期燃焼期間に
現れる第1ピークと熱発生期間に現れる第2ピークの2
つの極大値を有する山型の波形となる。
値の発生前後に、上述したように、該当気筒の点火プラ
グ23の放電期間と次気筒に対するドエル開始クランク
角及びその近傍とにおいてイオン電流値にノイズが重畳
するが、これらの区間を無効エリアとして、これらの区
間においてサンプリングしたイオン電流値をフラグによ
りマスクして、失火判定に採用しないので、たとえノイ
ズの重畳によりイオン電流値が失火判定レベルを大幅に
上回ったとしても、この間のイオン電流値データはフラ
グによるマスクによって棄却されることとなり、常に有
効エリアにおいてのみサンプリングしたイオン電流値の
みを用いて失火判定を行うことが可能となり、的確に燃
焼を判定することが可能となる。
も、該当気筒の点火プラグ23の放電期間と次気筒に対
するドエル開始クランク角及びその近傍とにおいてイオ
ン電流値にノイズが重畳するが、この場合においても、
これらの区間を無効エリアとして、この区間でサンプリ
ングしたイオン電流値をフラグによりマスクして、失火
判定に採用せず、有効エリアのみのイオン電流値により
失火を判断することが可能となり、ノイズが重畳したイ
オン電流値による誤判定を防止して、常に適正に失火判
定を行うことができ、失火判定精度を大幅に向上するこ
とが可能となる。
した場合に検出されるイオン電流波形であり、図6
(a)は、燃焼時(正常時)のイオン電流波形を示し、
図6(b)は、失火時のイオン電流波形を示す。
ネルギの低下を防ぐためドエル時間が長く設定され、こ
れに対応してドエル開始クランク角が進角化し、ドエル
開始に伴うノイズも進角化するが、上述したように、本
実施の形態では、該当気筒の点火プラグ23の放電期間
と共に、常に、次気筒に対するドエル開始クランク角及
びその近傍の区間を無効エリアとして、この区間でサン
プリングしたイオン電流値をフラグによりマスクして、
失火判定に採用しないので、この場合においても有効な
イオン電流値のみにより失火を判定することができ、ノ
イズが重畳したイオン電流値による誤判定を確実に防止
して、常に適正に失火判定を行うことが可能となり、失
火判定精度が著しく向上する。
す「フラグ=1」のアドレスから読み出したイオン電流
値データのうち最大値を失火判定レベルと比較して失火
判定を行う。例えば、図8に示すように、各サンプリン
グタイミングa〜fにおいてイオン電流値Va〜Vfが
サンプリングされるが、Va及びVeはフラグによるマ
スク(フラグ=0)により失火判定に採用せず、「フラ
グ=1」の有効なイオン電流値Vb、Vc、Vd及びV
fのうち最大値を示すイオン電流値データVdを失火判
定レベルと比較して失火判定を行う。
火判定の対象とするので、失火判定レベルのマージンを
拡大することなく実現でき、より正確に失火判定を行う
ことが可能となる。
判定処理の別形態を説明する。本形態は、該当気筒のイ
オン電流値のサンプリング終了時に、RAM35の各ア
ドレスに格納されたイオン電流値のうち「フラグ=1」
の有効データのみを積分(加算)し、イオン電流積分値
を求める。そして、失火判定レベルに有効データ数を乗
算し、イオン電流積分値がこの乗算値以上のとき、燃焼
(正常)と判定し、イオン電流積分値が乗算値よりも低
いとき、失火と判定する。
グタイミングa〜fにおいてイオン電流値Va〜Vfが
サンプリングされるが、Va及びVfはフラグによるマ
スク(フラグ=0)により失火判定に採用せず、「フラ
グ=1」の有効なイオン電流値Vb〜Veの4個の有効
データを得る。そして、これら4つのイオン電流値Vb
〜Veを積分(Vb+Vc+Vd+Ve)してイオン電
流積分値を算出すると共に、失火判定レベルを有効デー
タ数に対応して4倍し、この値とイオン電流積分値との
比較により失火判定を行う。
オン電流積分値による失火判定の対象値と失火判定レベ
ルの乗算値による判定閾値との差が拡大するため、更に
確実な失火判定を行うことが可能となる。
判定処理の更に別の形態について説明する。
プリング終了時に、RAM35の各アドレスに格納され
たイオン電流値データのうち、「フラグ=1」の有効デ
ータをそれぞれ失火判定レベルと比較し、イオン電流値
データが失火判定レベル以上の個数が判定値M(M≧
2)以上存在するとき、燃焼(正常)と判定し、イオン
電流値データが失火判定レベル以上の個数が判定値M未
満のとき、失火と判定する。
サンプリング周期に応じて予めシミュレーション又は実
験等により適正値を求め、この適正値を判定値Mとして
ROM36にメモリしておく。
ングタイミングa〜fにおいてイオン電流値Va〜Vf
がサンプリングされるが、Va及びVfはフラグによる
マスク(フラグ=0)により失火判定に採用せず、「フ
ラグ=1」の有効なイオン電流値Vb〜Veの4個の有
効データを得る。そして、これら各イオン電流値Vb〜
Veを失火判定レベルと比較し、失火判定レベル以上の
イオン電流値の個数をカウントする。図10において
は、失火判定レベル以上のイオン電流値は、Vc、Vd
及びVeの3個となる。そして、この個数を判定値M
(例えば、M=2)と比較することで失火判定を行う。
この場合は、判定値M以上であるため、燃焼(正常)と
判定される。
流値データをそれぞれ失火判定レベルと比較し、失火判
定レベル以上のイオン電流値データの個数が、判定値M
により定まる複数個以上存在するとき、燃焼(正常)と
判定し、失火判定レベル以上のイオン電流値データの個
数が判定値M未満のとき、失火と判定するので、有効エ
リアにおいてノイズがイオン電流値に重畳し、イオン電
流値が一時的に大きくなったとしても、これによる影響
を排除して、更なる失火判定精度の向上を図ることがで
きる。
れる本発明のエンジンの失火検出装置を構成するECU
20において実現される各手段は、ROM36に記録さ
れる制御プログラムによる機能するものであり、記録媒
体として本発明に含まれるものである。
得られたイオン電流値のうち失火判定に有効なイオン電
流値のみを用いて、これを失火判定レベルと比較し、各
気筒内における失火の有無を判定するので、精度が高
く、信頼性のある失火判定を行うことができる。
と(b)ECUの概略構成図である。
構成図である。
ーチャートである。
のタイミングチャートである。
時のイオン電流波形図、及び(b)失火時のイオン電流
波形図である。
イオン電流波形図、及び(b)失火時のイオン電流波形
図である。
グチャートである。
タイミングチャートである。
のタイミングチャートである。
Claims (3)
- 【請求項1】 各気筒内での失火の有無を該各気筒内で
発生するイオン電流によって判定するエンジンの失火検
出装置において、 所定のクランク角度区間において所定周期毎に前記各気
筒内で発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手
段と、 前記イオン電流検出手段により得られるイオン電流値が
失火判定に有効であるか無効であるかを判断するイオン
電流値分類手段と、 前記イオン電流値分類手段により無効と判断されたイオ
ン電流値をマスクするマスク手段と、 マスクされていない有効イオン電流値と失火判定レベル
とを比較して失火を判定する判定手段と、 を備えたことを特徴とするエンジンの失火検出装置。 - 【請求項2】 前記イオン電流値分類手段による有効か
無効かの判断は、点火プラグの放電期間、通電開始及び
その近傍を無効エリアとして、該無効エリアにおいてサ
ンプリングしたイオン電流値を無効とし、無効エリアを
除く有効エリアにおいてサンプリングしたイオン電流値
を有効とすることを特徴とする請求項1に記載のエンジ
ンの失火検出装置。 - 【請求項3】 各気筒内での失火の有無を該各気筒内で
発生するイオン電流によって判定するエンジンの失火検
出装置に用いられる電子制御装置を、 所定のクランク角度区間において所定周期毎に前記各気
筒内で発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手
段と、 前記イオン電流検出手段により得られるイオン電流値が
失火判定に有効であるか無効であるかを判断するイオン
電流値分類手段と、 前記イオン電流値分類手段により無効と判断されたイオ
ン電流値をマスクするマスク手段と、 マスクされていない有効イオン電流値と失火判定レベル
とを比較して失火を判定する判定手段として機能させる
ためのプログラムを記録した読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001388085A JP2003184637A (ja) | 2001-12-20 | 2001-12-20 | イオン電流を用いたエンジンの失火検出装置及び該装置に用いられるプログラムを記録した記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001388085A JP2003184637A (ja) | 2001-12-20 | 2001-12-20 | イオン電流を用いたエンジンの失火検出装置及び該装置に用いられるプログラムを記録した記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003184637A true JP2003184637A (ja) | 2003-07-03 |
Family
ID=27596726
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001388085A Pending JP2003184637A (ja) | 2001-12-20 | 2001-12-20 | イオン電流を用いたエンジンの失火検出装置及び該装置に用いられるプログラムを記録した記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003184637A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010127137A (ja) * | 2008-11-26 | 2010-06-10 | Daihatsu Motor Co Ltd | 内燃機関の失火判定方法 |
US9153081B2 (en) | 2012-11-01 | 2015-10-06 | Denso Corporation | Counter apparatus |
JP2018105152A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-07-05 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置及び制御方法 |
CN114962115A (zh) * | 2022-06-28 | 2022-08-30 | 东风汽车集团股份有限公司 | 一种车辆的发动机的点火能量的优化方法及优化系统 |
-
2001
- 2001-12-20 JP JP2001388085A patent/JP2003184637A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018105152A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-07-05 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置及び制御方法 |
CN114962115A (zh) * | 2022-06-28 | 2022-08-30 | 东风汽车集团股份有限公司 | 一种车辆的发动机的点火能量的优化方法及优化系统 |
CN114962115B (zh) * | 2022-06-28 | 2024-02-06 | 东风汽车集团股份有限公司 | 一种车辆的发动机的点火能量的优化方法及优化系统 |
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