JP2003183565A - 含フッ素プライマー組成物 - Google Patents

含フッ素プライマー組成物

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JP2003183565A
JP2003183565A JP2001385125A JP2001385125A JP2003183565A JP 2003183565 A JP2003183565 A JP 2003183565A JP 2001385125 A JP2001385125 A JP 2001385125A JP 2001385125 A JP2001385125 A JP 2001385125A JP 2003183565 A JP2003183565 A JP 2003183565A
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fluororesin
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JP2001385125A
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Nobuyuki Tomihashi
信行 富橋
Hiroshi Torii
寛 鳥居
Koichiro Ogita
耕一郎 荻田
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のリン酸クロム系プライマーからなる皮
膜と被塗装物との密着力に匹敵する密着力を有するプラ
イマー皮膜を得ることができるクロムレスの含フッ素プ
ライマー組成物を提供する。 【解決手段】 フッ素樹脂及び耐熱性バインダーを配合
して得られる含フッ素プライマー組成物であって、前記
フッ素樹脂は、反応性官能基を有する含フッ素重合体か
らなるものであり、前記耐熱性バインダーは、前記反応
性官能基と反応することができるものであり、前記耐熱
性バインダーと前記反応性官能基との反応が起こる温度
は、前記フッ素樹脂の融点以上であり、前記フッ素樹脂
の分解温度未満である温度範囲内にあることを特徴とす
る含フッ素プライマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素プライマ
ー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】含フッ素ポリマーを含有する含フッ素塗
料は、耐蝕性、耐熱性等を有するので汎用されている。
従来、含フッ素塗料は、塗装して得られる塗膜と被塗装
物との密着性に劣っており、塗布後はある程度の密着性
を有する場合でも、熱水との接触や高温等の過酷条件下
では、密着性が低下し、塗膜にクラック(割れ)や剥離
を起すことがある等、塗装物が置かれる環境によって安
定した密着性が得られないという問題があった。
【0003】含フッ素ポリマーを含有した塗膜と被塗装
物との密着性をもたせるために、予めプライマーを被塗
装物に塗装してプライマー皮膜を形成する方法がある。
このプライマー皮膜の上に、含フッ素ポリマーを含有す
る上塗り塗膜を形成させるが、例えば耐蝕用途である場
合、プライマーとしては、被塗装物との密着力が強いク
ロム系プライマー、特にリン酸クロム系プライマーが幅
広く用いられてきた。
【0004】近年、クロムによる環境汚染を防止するた
め、クロム系プライマーの代わりに、クロムレスプライ
マーを用いることが望まれている。クロムレスプライマ
ーとしては、フッ素樹脂と耐熱性バインダーとを含有さ
せるものが考えられる。
【0005】上塗り塗膜が、エチレン/テトラフルオロ
エチレン共重合体を含有するものである場合のクロムレ
スプライマーとして、例えば、ポリフェニレンサルファ
イド(PPS)とポリアミドイミド樹脂とからなるPP
S系プライマーが知られている。しかしながら、PPS
系プライマーは、PPSを溶解させる溶媒がなく、固体
であるので、被塗装物上に満遍なく、しかも均一に塗布
することが困難である結果、被塗装物との間に空隙を生
じて剥離しやすい。従って、PPS系プライマーは、上
述の密着性の問題を充分に解決するものではない。
【0006】このクロムレスプライマーにおけるフッ素
樹脂に、単量体成分としてパーフルオロ単量体を含有
し、重合して得られるパーフルオロ系フッ素樹脂を用い
る場合、フッ素樹脂と耐熱性バインダーとの密着力は、
リン酸クロム系プライマーによる密着力に比べると弱
く、ライニングとして使用するとき、クラックや剥離を
生じる等の問題があった。
【0007】クロムレスプライマーに含有されるフッ素
樹脂は、従来、重合体末端に反応性官能基を有すること
があり、発泡等が問題となっていたので、この問題を解
決し、熱安定性を高めることを目的として、この反応性
官能基を安定化することに重点が置かれてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の現状に鑑み、従来のリン酸クロム系プライマーからな
る皮膜と被塗装物との密着力に匹敵する密着力を有する
プライマー皮膜を得ることができるクロムレスの含フッ
素プライマー組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決する為の手段】本発明は、フッ素樹脂及び
耐熱性バインダーを配合して得られる含フッ素プライマ
ー組成物であって、上記フッ素樹脂は、反応性官能基を
有する含フッ素重合体からなるものであり、上記耐熱性
バインダーは、上記反応性官能基と反応することができ
るものであり、上記耐熱性バインダーと上記反応性官能
基との反応が起こる温度は、上記フッ素樹脂の融点以上
であり、上記フッ素樹脂の分解温度未満である温度範囲
内にあることを特徴とする含フッ素プライマー組成物で
ある。
【0010】上記反応性官能基は、含フッ素重合体中の
炭素数100万個当たり50〜100000個であるこ
とが好ましい。上記反応性官能基は、含フッ素重合体中
の炭素数100万個当たり500〜10000個である
ことがより好ましい。
【0011】上記反応性官能基は、−COOR(Rは、
−H、−CH、−C、−C、−C
又は−C11を表す)、−COF、−CONH
−CH OH、−SOH、−SOH、−(COO)
n1、−(SOn2 及び/又は−(S
n3(M、M及びMは同一又は異なっ
て、K、Na、Ca、Fe又はNHを表し、n1、n
2及びn3は同一又は異なって、1又は2を表す)であ
ることが好ましい。
【0012】上記耐熱性バインダーは、融点、ガラス転
移点又は軟化点が150℃以上である耐熱性樹脂からな
るものであり、上記耐熱性樹脂は、耐熱性ポリマーから
なるものであり、上記耐熱性ポリマーは、上記フッ素樹
脂の上記反応性官能基と反応することができる反応部位
を有するものであることが好ましい。上記反応部位は、
アミド結合、グリシジル基、アミノ基、イミノ基、カル
バモイル基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、スル
ファモイル基、スルホアミノ基及び/又はメルカプト基
であることが好ましい。
【0013】上記反応部位は、上記耐熱性バインダー1
g当たり1〜250ミリモルであることが好ましい。上
記フッ素樹脂と上記耐熱性バインダーとの容量比は、上
記フッ素樹脂:上記耐熱性バインダーが35:65〜9
9:1であることが好ましい。上記フッ素樹脂は、平均
粒子径が0.1〜30μmであることが好ましい。
【0014】上記含フッ素重合体は、単量体成分として
パーフルオロ単量体を含有し、重合させることにより得
られる重合体であることが好ましい。上記含フッ素重合
体は、単量体成分としてパーフルオロ単量体を含有し、
重合させることにより得られる共重合体であることが好
ましい。以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明の含フッ素プライマー組成物は、フ
ッ素樹脂及び耐熱性バインダーを配合して得られるもの
である。本発明の含フッ素プライマー組成物は、被塗装
物に塗布し、適宜乾燥し、次いで焼成を行うことによ
り、プライマー皮膜を形成させることができる。上記焼
成は、通常、上記フッ素樹脂の融点以上であり、上記フ
ッ素樹脂の分解温度未満である温度範囲内にある温度で
行う。
【0016】本発明の含フッ素プライマー組成物は、上
記焼成により、上記プライマー皮膜の被塗装物側に主と
して上記耐熱性バインダーが配置し、被塗装物から遠い
上記プライマー皮膜の表面側に主として上記フッ素樹脂
が配置することとなる。本明細書において、このように
フッ素樹脂と耐熱性バインダーとが塗膜の被塗装物側か
ら表面側にかけて、それぞれ濃度勾配を有することとな
るプライマー又は塗料を「傾斜型塗料」ということがあ
る。
【0017】上記フッ素樹脂は、反応性官能基を有する
含フッ素重合体からなるものであり、上記耐熱性バイン
ダーは、上記反応性官能基と反応することができるもの
である。上記耐熱性バインダーと上記反応性官能基との
反応が起こる温度は、上記フッ素樹脂の融点以上であ
り、上記フッ素樹脂の分解温度未満である温度範囲内に
ある。
【0018】上記フッ素樹脂の融点以上であり、上記フ
ッ素樹脂の分解温度未満である温度範囲は、上述のよう
に、通常、本発明の含フッ素プライマー組成物を被塗装
物に塗布した後における焼成を行う温度である。従っ
て、上記耐熱性バインダーと上記反応性官能基との反応
は、通常、少なくとも上記焼成を行う時に起こる。
【0019】本発明の含フッ素プライマー組成物は、こ
のように、上記塗布後の焼成時に上記フッ素樹脂の反応
性官能基と上記耐熱性バインダーとが反応するととも
に、上記プライマー皮膜の被塗装物側に配置した上記耐
熱性バインダーが被塗装物と結合することにより、上記
プライマー皮膜と上記被塗装物との密着力を高めること
ができる。
【0020】本明細書において、上記「プライマー皮膜
の被塗装物側」とは、プライマー皮膜のうち被塗装物に
近い距離にある側を意味する。本明細書において、上記
「プライマー皮膜の表面側」とは、プライマー皮膜のう
ち被塗装物から遠い距離にある側を意味する。本明細書
において、上記プライマー皮膜の表面側は、上述のよう
に主として上記フッ素樹脂を含有するものであり、「フ
ッ素樹脂層」ということがある。
【0021】本明細書において、上述の「上記耐熱性バ
インダーと上記反応性官能基との反応が起こる温度は、
上記フッ素樹脂の融点以上であり、上記フッ素樹脂の分
解温度未満である温度範囲内にある」とは、上記温度範
囲内の温度において反応が開始すること、上記温度範囲
内の温度において反応が継続すること、及び/又は、上
記温度範囲内の温度において反応が終了することを意味
する。本明細書において、上記「反応が起こる温度」と
は、反応が開始する温度、反応が継続する温度、及び/
又は、反応が終了する温度を意味する。
【0022】上記反応は、上記温度範囲内で開始、継続
及び/又は終了するものであれば、上記反応の一部が、
上記温度範囲内にない温度、例えば上記フッ素樹脂の融
点未満の温度で起こるものであってもよい。例えば、反
応が継続する温度と反応が終了する温度が上記温度範囲
内にある場合、上記反応が開始する温度は上記フッ素樹
脂の融点未満である温度であってもよいし、反応が開始
する温度が上記温度範囲内にある場合、上記反応が継続
する温度と上記反応が終了する温度は上記フッ素樹脂の
融点未満である温度であってもよい。
【0023】上記反応が起こる温度は、上記温度範囲内
の全域である必要はない。上記温度範囲は、上記反応が
起こる温度と上記反応が起こらない温度とを含むもので
あってよいし、上記温度範囲の全域において上記反応が
起こるものであってもよい。
【0024】本明細書において、上記「反応性官能基」
とは、上記含フッ素重合体が主鎖の末端及び/又は側鎖
の末端に有する官能基であって、上記耐熱性バインダー
との反応性を有するものを意味する。
【0025】上記反応性官能基としては上記耐熱性バイ
ンダーとの反応性を有するものであれば特に限定され
ず、例えば、−COOR、−COF、−CONH、−
CHOH、−SOH、−SOH、−(COO)
n1、−(SOn2、−(SOn3
等が挙げられる。
【0026】上記Rとしては、例えば、−H、−C
、−C、−C、−C 、−C
11等が挙げられる。上記M、上記M及び上記M
は、同一又は異なって、1価又は2価の陽イオンを形成
することができる原子又は原子団を表し、例えば、K、
Na、Ca、Fe、NH等が挙げられる。上記n1、
上記n2及び上記n3は、同一又は異なって、1又は2
を表す。上記M、上記M及び上記Mは、上記フッ
素樹脂を後述のように水に分散等することにより、イオ
ン化している場合もある。
【0027】上記反応性官能基の数は、含フッ素重合体
中の炭素数100万個当たり50〜100000個であ
ることが好ましい。上記反応性官能基の数が50個未満
であると、被塗装物とプライマー皮膜との密着力が低下
しやすく、100000個を超えると、プライマー皮膜
形成時の発泡が激しくなり塗膜欠陥が出やすい。より好
ましくは、100〜50000個であり、更に好ましく
は、500〜10000個であり、特に好ましくは、8
00〜6000個である。
【0028】上記含フッ素重合体中の炭素数100万個
当たりの上記反応性官能基は、例えば、米国特許513
2368号公報記載の方法等により求めることができ
る。即ち、上記含フッ素重合体を圧縮成型して得たフィ
ルムについて赤外線分光光度計を用いて測定した吸光度
と、上記反応性官能基を含有するモデル化合物について
の測定により決定した検量因子(CF)とから、下記式
により求められる。
【0029】
【数1】
【0030】上記反応性官能基の波長(μm)とモデル
化合物のCFとしては、例えば、−COONHについ
て波長が1680μmであり、−CHOHについて波
長が3636μmであり、−SONHについて波長
が1280〜1260μmであり、−CONHについ
て波長が1768〜1740μmである。
【0031】本明細書において、上記「含フッ素重合
体」とは、主鎖を構成する炭素原子に直接結合している
フッ素原子を有する重合体を意味する。上記含フッ素重
合体としては、上記反応性官能基を有するものであれば
特に限定されず、例えば、単量体成分として、含フッ素
単量体を用いて重合することにより得られる重合体等が
挙げられる。本明細書において、上記「含フッ素単量
体」とは、主鎖を構成する炭素原子に直接結合している
フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物を意味す
る。
【0032】上記含フッ素単量体としては特に限定され
ず、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキ
サフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロ単量
体;パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のパー
フルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕;ト
リフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VdF〕、フ
ッ化ビニル〔VF〕等の含水素フルオロオレフィン;ク
ロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のクロロフル
オロオレフィン等が挙げられ、これらを1種又は2種以
上用いることができる。上記パーフルオロ単量体とは、
主鎖を構成する炭素原子に水素原子が結合しておらず、
フッ素原子のみが結合しているエチレン性不飽和化合物
である。
【0033】上記含フッ素重合体としては、また、単量
体成分として、上記含フッ素単量体とともに、その他の
単量体を用いて重合することにより得られるものであっ
てもよい。上記その他の単量体は、フッ素原子を有しな
いエチレン性不飽和化合物であって、上記含フッ素単量
体と重合することができるものである。上記その他の単
量体としては特に限定されず、例えば、エチレン〔E
t〕、プロピレン〔Pr〕等のフッ素原子を有しないオ
レフィン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用い
ることができる。
【0034】上記含フッ素重合体としては特に限定され
ず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン〔PTF
E〕、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体〔E
TFE〕、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合
体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体〔FEP〕、テトラフルオロエチレン/パー
フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PF
A〕等のテトラフルオロエチレン系重合体;エチレン/
クロロトリフルオロエチレン共重合体〔ECTFE〕等
のクロロフルオロオレフィン系重合体;ポリフッ化ビニ
リデン〔PVdF〕等の含水素フルオロオレフィン系重
合体等が挙げられる。
【0035】上記テトラフルオロエチレン系重合体は、
単量体成分としてテトラフルオロエチレンを含有させて
重合することにより得られるものである。上記クロロフ
ルオロオレフィン系重合体は、単量体成分としてクロロ
フルオロオレフィンを含有させて重合することにより得
られるものである。上記含水素フルオロオレフィン系重
合体は、単量体成分として含水素フルオロオレフィンを
含有させて重合することにより得られるものである。
【0036】上記含フッ素重合体としては、耐食性が優
れている点で、単量体成分としてパーフルオロ単量体を
含有し、重合させることにより得られる重合体が好まし
い。なかでも、上記含フッ素重合体としては、後述する
反応性官能基の導入が容易である等の点から、上記テト
ラフルオロエチレン系重合体がより好ましい。
【0037】上記含フッ素重合体は、懸濁重合、乳化重
合等の従来公知の重合方法等を用いて重合することによ
り得ることができる。
【0038】上記含フッ素重合体は、重合に用いる触
媒、連鎖移動剤等により導入したり、一旦導入した基を
変化させることにより、上記反応性官能基を有すること
ができる。上記含フッ素重合体への上記反応性官能基の
導入は、また、単量体成分として−COOH、−SO
H、−CHOH等の上記反応性官能基を有する含フッ
素単量体を含有し、共重合させることによっても行うこ
とができる。
【0039】上記反応性官能基の数のコントロールは、
例えば、上記含フッ素重合体を重合させる際に、用いる
触媒及び/又は連鎖移動剤等の種類や添加量を調整する
方法、単量体成分における−COOH、−SOH、−
CHOH等の上記反応性官能基を有する含フッ素単量
体の配合量を調整する方法等により行うことができる。
【0040】上記フッ素樹脂の平均粒子径は、0.1〜
30μmであることが好ましい。このような平均粒子径
を有する上記フッ素樹脂を用いることにより、目的に応
じてプライマー皮膜の表面側であるフッ素樹脂層の膜厚
を厚くすることができる。0.1μm未満であると、得
られる上記フッ素樹脂層を厚くすることが困難な場合が
あり、30μmを超えると、得られる上記フッ素樹脂層
の表面の平滑性が悪化する場合がある。より好ましい下
限は0.5μm、より好ましい上限は25μmであり、
より好ましくは0.5〜30μm、更に好ましくは0.
5〜25μmが採用される。
【0041】本発明の含フッ素プライマー組成物は、こ
のように、プライマー皮膜の表面側を厚くすることがで
きるので、塗膜表面側のフッ素樹脂を含有する層を、例
えば、膜厚3〜15μmにする場合であっても、フッ素
樹脂を含有する上塗り塗膜を上記プライマー皮膜上に形
成する必要がない。従って、本発明の含フッ素プライマ
ー組成物は、所望により、いわゆる1コート塗料として
用いることもできる。
【0042】上記フッ素樹脂は、必要に応じ、上述の平
均粒子径を有するように粉砕する。上記粉砕の方法とし
ては特に限定されず、例えば、特開昭63−27074
0号公報に開示されているような従来公知の方法を用い
ることができ、上記フッ素樹脂の粉末をロールでシート
状に圧縮し、粉砕機により粉砕し分級する方法等が挙げ
られる。上記フッ素樹脂は、乳化重合や懸濁重合により
得た後に、後述の水性タイプ等のプライマー塗料に調製
する場合、上述の各条件を満たすものであれば、得られ
る上記フッ素樹脂成分を単離することなく、ディスパー
ジョンのまま用いてもよい。
【0043】本発明の含フッ素プライマー組成物は、上
記フッ素樹脂とともに、耐熱性バインダーを配合して得
られるものである。上記耐熱性バインダーは、上記プラ
イマー皮膜の形成においてバインダーとして機能し得る
ものであって、耐熱性を有するものである。
【0044】上記耐熱性バインダーは、融点、ガラス転
移点又は軟化点(以下、融点等という)が150℃以上
である耐熱性樹脂からなるものであることが好ましい。
上記融点等が上記範囲内であると、耐熱性である上記フ
ッ素樹脂が通常使用されるような高温の環境下において
も、劣化することなく好適に使用することができる。上
記融点等は、上記範囲内であれば、例えば420℃以下
であってもよい。
【0045】上記耐熱性樹脂としては、上述の特徴を有
するものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、
アミドイミド樹脂、イミド樹脂、エーテルイミド樹脂、
フェニレンイミダゾール樹脂、ポリエーテルサルホン樹
脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテル樹脂、シ
リコーン樹脂等が挙げられる。
【0046】上記耐熱性バインダーは、上記フッ素樹脂
が有する上記反応性官能基と反応することができるもの
である。上記耐熱性バインダーは、上記反応性官能基と
反応することにより、上記フッ素樹脂と化学的に結合す
ることができる。
【0047】上記耐熱性樹脂は、耐熱性ポリマーからな
るものである。本明細書において、上記「耐熱性ポリマ
ー」とは、上記耐熱性樹脂の少なくとも一部を構成する
重合体を意味する。上記耐熱性ポリマーとしてはこのよ
うなものであれば特に限定されず、例えば、上記各種耐
熱性樹脂を構成する重合体等が挙げられる。
【0048】上記耐熱性ポリマーは、上記フッ素樹脂の
反応性官能基と反応することができる反応部位を有する
ものであることが好ましい。本明細書において、上記
「反応部位」とは、上記耐熱性ポリマーの分子構造の部
分であり、上記反応性官能基と反応することができるも
のを意味する。
【0049】上記耐熱性ポリマーは、本発明の含フッ素
プライマー組成物を塗布した後における焼成時に、上記
反応部位と上記反応性官能基とが反応することにより、
上記含フッ素重合体と化学的に結合することができるも
のと考えられる。上記耐熱性ポリマーは、更に、上記反
応部位により自己架橋することができる。自己架橋する
際に上記フッ素樹脂を絡み合わせ取り込みながら、プラ
イマー皮膜を形成することができる。
【0050】上記耐熱性バインダーは、また、上述のよ
うに本発明の含フッ素プライマー組成物が傾斜型塗料で
あるので、上記プライマー皮膜の被塗装物側に位置する
こととなる。従って、上記耐熱性バインダーをなす上記
耐熱性ポリマーは、上記反応部位により被塗装物の表面
と化学的に結合することができる。
【0051】上記耐熱性ポリマーは、このように、化学
的結合と自己架橋により、上記含フッ素重合体及び上記
被塗装物と強固に結合することができる。このことは、
上記耐熱性樹脂、ひいては上記耐熱性バインダーが、化
学的結合と自己架橋により、上記フッ素樹脂及び上記被
塗装物と結合するともいえる。
【0052】上記反応部位としては上記反応性官能基と
反応することができるものであれば特に限定されず、例
えば、各種の官能基、結合等が挙げられる。このような
上記反応部位としては、例えば、アミド結合、グリシジ
ル基、アミノ基、イミノ基、カルバモイル基、水酸基、
カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、スルホ
アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。上記反応部位
は、K、Na、Ca、Fe、NH等と塩を形成してい
てもよい。上記塩は、上記耐熱性バインダーを後述する
水に分散等することにより、イオン化する場合もある。
【0053】上記反応部位は、上記耐熱性バインダー1
g当たり1〜250ミリモルであることが好ましい。上
記反応部位が1ミリモル未満であると、上記プライマー
皮膜と被塗装物との密着力が弱くなる場合があり、25
0ミリモルを超えると、自己架橋が多発するので、レベ
リング性が悪くなり、密着力が低下する場合がある。よ
り好ましくは、3〜200ミリモルであり、更に好まし
くは、5〜150ミリモルである。
【0054】本明細書において、上記耐熱性バインダー
1g当たりの上記反応部位の数は、一般的に使用される
官能基に合った測定方法を用いて求められ、例えば、酸
価、OH価、エポキシ価、中和滴定法、赤外吸収法等に
より計算される。
【0055】上記フッ素樹脂と上記耐熱性バインダーと
の容量比は、上記フッ素樹脂:上記耐熱性バインダーが
35:65〜99:1であることが好ましい。上記容量
比が上記範囲内であると、平均粒子径が相対的に小さい
上記耐熱性バインダーの粒子が、平均粒子径が相対的に
大きい上記フッ素樹脂の粒子の間を通り抜けて、上記プ
ライマー皮膜の被塗装物側に形成され、被塗装物との密
着力を向上させることができる。
【0056】上記容量比において上記フッ素樹脂が35
未満であり、上記耐熱性バインダーが65を超えると、
上記プライマー皮膜の表面側のフッ素樹脂層が薄い膜厚
となり易く、欠陥が生じやすい。また、上記容量比にお
いて上記フッ素樹脂が99を超え、上記耐熱性バインダ
ーが1未満となると、密着性等の上記プライマー皮膜の
被塗装物側に要求される物性が充分でない場合がある。
より好ましくは、50:50〜95:5であり、更に好
ましくは、70:30〜95:5である。
【0057】なお、上記フッ素樹脂と上記耐熱性バイン
ダーとの容量比は、上記フッ素樹脂の粒子間の空隙率に
より決定される。この空隙率は、最密充填の場合に2
5.95%であり、また、立方充填の場合に47.64
%であると計算されており、球形に近い粒子である場合
は、33〜66%であるとされている(粉体工学/基礎
編、槙書店、1974初版、91頁)。従って、上記耐
熱性樹脂を上記プライマー皮膜の被塗装物側に形成させ
るためには、上記フッ素樹脂と上記耐熱性バインダーと
の容量比は、上記範囲内である必要がある。
【0058】本発明の含フッ素プライマー組成物は、上
述の各成分と併用して、必要に応じ、添加剤を含有する
ものであってもよい。上記添加剤としては特に限定され
ず、例えば、一般的なプライマー塗料に用いられるもの
等であってよく、例えば顔料、粘度調整剤、造膜材等が
挙げられる。上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、カーボン、酸化チタン、弁柄、マイカ等の着色顔料
のほか、防錆顔料、焼成顔料等が挙げられる。また必要
に応じ、粘度調整のために、溶剤を用いて本発明の含フ
ッ素プライマー組成物を調製してもよい。
【0059】本発明の含フッ素プライマー組成物として
は、粉体塗料タイプ、水性タイプ、溶剤タイプ等のいず
れのタイプのプライマー塗料に調製してもよい。例え
ば、水性タイプのプライマー塗料を調製する場合、ま
ず、上述の範囲内の平均粒子径を有する上記フッ素樹脂
の粉末を製造し、この粉末を、分散剤を用いて水に分散
させる。溶剤タイプのプライマー塗料を調製する場合
は、上記フッ素樹脂の粉末を溶剤で分散後、溶剤に溶解
した上記耐熱性バインダー、溶剤に分散した上記顔料等
を混合攪拌した後、貧溶媒で希釈し、粘度を調整する。
【0060】上記溶剤への分散方法としては、例えば、
上記フッ素樹脂の粉末を低級アルコール、ケトン、芳香
族炭化水素等の溶剤で濡らした後、ノニオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤等の分散剤で分散させる方
法、アルコール、ケトン、エステル、アミド、芳香族炭
化水素等の溶剤の表面張力をフッ素系界面活性剤等で下
げ、上記フッ素樹脂の粉末を分散させる方法等が挙げら
れる。次に、上記フッ素樹脂の粉末の分散物、上記耐熱
性バインダー、上記添加剤、上記溶剤、界面活性剤等
を、バスケットミル、ダイナモミル、ボールミル等の粉
砕分散機で粉砕分散する。
【0061】本発明の含フッ素プライマー組成物は、ア
ルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、鉄、耐熱樹脂、
耐熱ゴム等の被塗装物に対し、必要に応じて脱脂、粗面
化等の表面処理を行った後、上記被塗装物に塗布し、得
られる塗布膜を乾燥後、焼成することにより、上記プラ
イマー皮膜を形成することができる。
【0062】上記被塗装物への塗布方法としては特に限
定されず、上記被塗装物の形態等により適宜選択するこ
とができ、例えば、スプレー塗装、浸漬塗装、はけ塗
り、静電塗装、ロトライニング等の従来公知の方法等が
挙げられる。
【0063】本発明の含フッ素プライマー組成物から得
られるプライマー皮膜の膜厚としては特に限定されず、
例えば、10〜300μmである。膜厚100μm以上
のプライマー皮膜は粉体塗料タイプのプライマー塗料を
用いることにより得ることができ、水性タイプ及び溶剤
タイプのプライマー塗料は膜厚10〜100μmのプラ
イマー皮膜を得るのに適している。
【0064】本発明の含フッ素プライマー組成物は、上
述のように1コート塗料として用いることができるほ
か、得られるプライマー皮膜の上に、含フッ素ポリマー
を含有する上塗り塗膜を形成させてもよい。上記プライ
マー皮膜は、上述のように上記プライマー皮膜の表面側
がフッ素樹脂層となっているので、上記上塗り塗膜との
密着性に優れる。
【0065】上記含フッ素ポリマーとしては特に限定さ
れず、例えば、上記フッ素樹脂と同じものであってもよ
いし、異なるものであってもよいが、上記プライマー皮
膜と上記上塗り塗膜との密着性を高める点から、同じも
のであることが好ましい。上記上塗り塗膜を形成させる
方法としては特に限定されず、例えば、上記プライマー
皮膜を形成する方法と同様の方法を用いることができ
る。
【0066】本発明の含フッ素プライマー組成物は、上
述のように、上記反応性官能基を有する上記含フッ素重
合体からなる上記フッ素樹脂、及び、上記反応性官能基
と反応することができる上記耐熱性バインダーを配合し
て得られるものである。従って、本発明の含フッ素プラ
イマー組成物は、被塗装物に塗布した後の焼成時に、上
記フッ素樹脂の上記反応性官能基と上記耐熱性バインダ
ーとを反応させ、化学的に結合させるとともに、上記耐
熱性バインダーを被塗装物の表面と化学的反応により結
合させ、更に自己架橋をさせることにより、被塗装物と
の密着力に優れたプライマー皮膜を得ることができる。
【0067】なお、従来のプライマーは、フッ素樹脂と
耐熱性バインダーとの物理的結合による力のみを利用し
ていたので、密着力が弱かった。本発明のように、上記
反応性官能基と上記反応部位との化学的結合による力を
利用することにより、上記プライマー皮膜と被塗装物の
密着力を、リン酸クロム系プライマー組成物等のクロム
プライマー組成物を用いる場合に匹敵するものにするこ
とができる。
【0068】本発明の含フッ素プライマー組成物は、プ
ライマーとして好適に用いることができ、例えば、家電
・厨房関係としては、炊飯釜、ポット、ホットプレー
ト、アイロン、フライパン、ホームベーカリー等に用い
られ、工業用としては、OA機器用ロール、OA機器用
ベルト、製紙ロール、フィルム製造用カレンダーロー
ル、インジェクション金型等の離型用途;攪拌翼、タン
ク内面、ベッセル、塔、遠心分離器、ポンプ、バルブ、
配管、熱交換器、メッキ冶具等の耐蝕用途等に用いら
れ、幅広く応用することができる。
【0069】上記含フッ素プライマー組成物を塗装する
ことにより得られることを特徴とする塗装物もまた、本
発明の一つである。
【0070】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例1 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり560個有し、
平均粒子径が12μmであるPFA粉末88g、パーフ
ルオロオクタニック酸のトリエチルアミン塩5g、N−
メチル−2−ピロリドン100g及びイソプロピルアル
コール100gをSUS製容器に入れ、攪拌機を用いて
均一にPFA粉末を溶剤に濡らして分散し、分散体を得
た。この分散体に、耐熱性バインダーとして、1g当た
り反応部位−CONH−を145ミリモル有するポリア
ミドイミド(日立化成社製)の30質量%N−メチル2
−ピロリドン溶液79g、キシレン50g及びトリエチ
レングリコールブチルエーテル50gを加えて攪拌機を
用いて分散し、PFA:ポリアミドイミドの容量比が7
0:30であるプライマー塗料を得た。このプライマー
塗料を、アルミニウム箔(厚さ100μm、150mm
×200mm)にスプレーを用いて塗布し、100℃で
30分間乾燥した後、380℃で20分間焼成し、膜厚
30μmのプライマー皮膜を得た。このプライマー皮膜
にカッターナイフで1cm幅の傷をつけ、テンシロンを
用いて、引っ張り速度50mm/分で90°剥離におけ
る密着力(kg/cm)を測定した。結果を表1に示
す。
【0071】実施例2 フッ素樹脂として、反応性官能基−CHOHを含フッ
素重合体中の炭素数100万個当たり5200個有し、
平均粒子径が5μmであるPFA粉末を用い、PFA:
ポリアミドイミドの容量比を50:50とする以外は、
実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0072】実施例3 フッ素樹脂として、反応性官能基−SONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり1250個有
し、平均粒子径が12μmであるPFA粉末を用い、P
FA:ポリアミドイミドの容量比を40:60とする以
外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0073】実施例4 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり560個有し、
平均粒子径が12μmであるPFA粉末88g、パーフ
ルオロオクタニック酸のトリエチルアミン塩5g、N−
メチル−2−ピロリドン100g、イソプロピルアルコ
ール100gをSUS製容器に入れ、攪拌機を用いて均
一にPFA粉末を溶剤に濡らして分散し、分散体を得
た。この分散体に、耐熱性バインダーとして、無水トリ
メット酸とジアミノジフェニルメタンのプレポリマーで
あって、1g当たり反応部位−CONH−を4.7ミリ
モル有するポリアミド酸の25質量%ジメチルアセトア
ミド溶液120gを加えて分散混合し、PFA:ポリア
ミド酸の容量比が70:30であるプライマー塗料を得
た。このプライマー塗料を、実施例1と同様に塗布し、
100℃で30分間乾燥した後、400℃で20分間焼
成し、膜厚30μmのプライマー皮膜を得た。密着力の
測定は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0074】実施例5 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり1200個有
し、平均粒子径が8μmであるFEP粉末を用い、FE
P:ポリアミド酸の容量比を70:30とし、乾燥後の
焼成を380℃で15分間とする以外は実施例4と同様
にした。結果を表1に示す。
【0075】実施例6 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり2300個有
し、平均粒子径が15μmであるFEP粉末を用い、F
EP:ポリアミドイミドの容量比を70:30とする以
外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0076】実施例7 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり1200個有
し、平均粒子径が8μmであるFEP粉末を88g、パ
ーフルオロオクタニック酸のトリエチルアミン塩5g、
N−メチル−2−ピロリドン100g及びイソプロピル
アルコール100gをSUS製容器に入れ、攪拌機を用
いて均一にFEP粉末を溶剤に濡らし分散し、分散体を
得た。この分散体に、耐熱性バインダーとして、1g当
たり反応部位−NH−を6.5ミリモル有するポリ2,
2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダ
ゾール(以下PBIと略す)の20質量%ジメチルアセ
トアミド溶液100gを加えて攪拌機を用いて分散し、
FEP:PBIの容量比が70:30であるプライマー
塗料を得た。このプライマー塗料を、実施例1と同様に
塗布し、100℃で30分間乾燥した後、380℃で3
0分間焼成し、膜厚30μmのプライマー皮膜を得た。
密着力の測定は実施例1と同様に行った。結果を表1に
示す。
【0077】実施例8 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり560個有し、
平均粒子径が15μmであるPFA粉末を用い、PF
A:PBIの容量比を40:60とする以外は、実施例
7と同様にした。結果を表1に示す。
【0078】実施例9 フッ素樹脂として、反応性官能基−CONHを含フッ
素重合体中の炭素数100万個当たり820個有し、平
均粒子径が8μmであるFEP粉末を用い、FEP:ポ
リアミドイミドの容量比を80:20とする以外は、実
施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0079】実施例10 フッ素樹脂として、反応性官能基−CHOHを含フッ
素重合体中の炭素数100万個当たり200000個有
し、平均粒子径が0.15μmであるPFA粉末70
g、パーフルオロオクタニック酸のアンモニウム塩5
g、イオン交換水100gをSUS製容器に入れ、攪拌
機を用いて均一にPFA粉末を良く濡らして分散し、分
散体を得た。この分散体に、耐熱性バインダーとして、
1g当たり反応部位−CONH−を145ミリモル有す
るポリアミドイミド(日立化成社製)の30質量%N−
メチル−2−ピロリドン溶液65g、キシレン40g及
びトリエチレングリコールブチルエーテル40gを加え
て攪拌機を用いて分散し、PFA:ポリアミドイミドの
容量比が70:30であるプライマー塗料を得た。この
プライマー塗料を、実施例1と同様に塗布し、100℃
で30分間乾燥した後、380℃で20分間焼成し、膜
厚30μmのプライマー皮膜を得た。密着力の測定は実
施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0080】実施例11 フッ素樹脂として、反応性官能基−CHOHを含フッ
素重合体中の炭素数100万個当たり20個有し、平均
粒子径が10μmであるPFA粉末70g、パーフルオ
ロオクタニック酸のアンモニウム塩5g、イオン交換水
100gをSUS製容器に入れ、攪拌機を用いて均一に
PFA粉末を良く濡らして分散し、分散体を得た。この
分散体に、耐熱性バインダーとして、1g当たり反応部
位−CONH−を4.7ミリモル有するポリイミドの3
0質量%ジメチルアセトアミド溶液63gを加えて分散
混合し、PFA:ポリイミドの容量比が70:30であ
るプライマー塗料を得た。このプライマー塗料を、実施
例1と同様に塗布し、100℃で30分間乾燥した後、
400℃で20分間焼成し、膜厚30μmのプライマー
皮膜を得た。密着力の測定は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
【0081】実施例12 フッ素樹脂として、反応性官能基−CHOHを含フッ
素重合体中の炭素数100万個当たり30個有し、平均
粒子径が0.15μmであるFEP粉末を用いる以外
は、実施例10と同様にした。結果を表1に示す。
【0082】実施例13 フッ素樹脂として、反応性官能基−CHOHを含フッ
素重合体中の炭素数100万個当たり25個有し、平均
粒子径が13μmであるPFA粉末を70g、パーフル
オロオクタニック酸のアンモニウム塩5g及びイオン交
換水100gをSUS製容器に入れ、攪拌機を用いて均
一にPFA粉末を良く濡らして分散し、分散体を得た。
この分散体に、耐熱性バインダーとして、1g当たり反
応部位−NH−を6.5ミリモル有するPBIの20質
量%ジメチルアセトアミド溶液82gを加えて攪拌機を
用いて分散し、PFA:PBIの容量比が70:30で
あるプライマー塗料を得た。このプライマー塗料を、実
施例1と同様に塗布し、100℃で30分間乾燥した
後、380℃で30分間焼成し、膜厚30μmのプライ
マー皮膜を得た。密着力の測定は実施例1と同様に行っ
た。結果を表1に示す。
【0083】実施例14 フッ素樹脂として、反応性官能基−COONHを含フ
ッ素重合体中の炭素数100万個当たり560個有し、
平均粒子径が12μmであるPFA粉末を用い、耐熱性
バインダーとして、1g当たり反応部位−CONH−を
0.5ミリモル有するポリイミドを用いる以外は、実施
例11と同様にした。結果を表1に示す。
【0084】比較例1 フッ素樹脂として、反応性官能基を有さない平均粒子径
が12μmであるPFA粉末を用いる以外は、実施例1
0と同様にした。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】なお、用いた各配合成分の比重は、PFA
及びFEPが2.2、ポリアミドイミドが1.4、ポリ
アミド酸が1.8、PBIが1.2、ポリイミドが1.
4であった。
【0087】表1から、比較例1では、密着力が著しく
劣っているのに対し、実施例1〜9では、密着力に大変
優れていることがわかった。また、実施例1〜9と実施
例10〜13との比較から、フッ素樹脂の反応性官能基
の数が、含フッ素重合体中の炭素数100万個当たり5
0〜100000個であることにより、密着力が向上す
ることがわかった。
【0088】
【発明の効果】本発明の含フッ素プライマー組成物は、
上述の構成を有するので、得られるプライマー皮膜と被
塗装物との密着性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻田 耕一郎 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 Fターム(参考) 4J031 AA14 AA20 AA47 AA49 AA53 AA55 AA56 AA57 AA58 AA59 AB01 AB02 AC03 AC04 AC07 AC09 AC11 AD01 AF12 4J038 CD091 CD092 CD101 CD102 CD111 CD112 CD121 CD122 CD131 CD132 CE051 CE052 EA011 EA012 GA03 GA04 GA06 GA07 GA08 GA09 GA12 GA13 MA12 MA13 MA14 NA12 NA14

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂及び耐熱性バインダーを配合
    して得られる含フッ素プライマー組成物であって、前記
    フッ素樹脂は、反応性官能基を有する含フッ素重合体か
    らなるものであり、前記耐熱性バインダーは、前記反応
    性官能基と反応することができるものであり、前記耐熱
    性バインダーと前記反応性官能基との反応が起こる温度
    は、前記フッ素樹脂の融点以上であり、前記フッ素樹脂
    の分解温度未満である温度範囲内にあることを特徴とす
    る含フッ素プライマー組成物。
  2. 【請求項2】 反応性官能基は、含フッ素重合体中の炭
    素数100万個当たり50〜100000個である請求
    項1記載の含フッ素プライマー組成物。
  3. 【請求項3】 反応性官能基は、含フッ素重合体中の炭
    素数100万個当たり500〜10000個である請求
    項1記載の含フッ素プライマー組成物。
  4. 【請求項4】 反応性官能基は、−COOR(Rは、−
    H、−CH、−C 、−C、−C
    は−C11を表す)、−COF、−CONH 、−
    CHOH、−SOH、−SOH、−(COO)
    n1、−(SO n2及び/又は−(S
    n3(M、M及びMは同一又は異なっ
    て、K、Na、Ca、Fe又はNHを表し、n1、n
    2及びn3は同一又は異なって、1又は2を表す)であ
    る請求項1、2又は3記載の含フッ素プライマー組成
    物。
  5. 【請求項5】 耐熱性バインダーは、融点、ガラス転移
    点又は軟化点が150℃以上である耐熱性樹脂からなる
    ものであり、前記耐熱性樹脂は、耐熱性ポリマーからな
    るものであり、前記耐熱性ポリマーは、フッ素樹脂の反
    応性官能基と反応することができる反応部位を有するも
    のである請求項1、2、3又は4記載の含フッ素プライ
    マー組成物。
  6. 【請求項6】 反応部位は、アミド結合、グリシジル
    基、アミノ基、イミノ基、カルバモイル基、水酸基、カ
    ルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、スルホア
    ミノ基及び/又はメルカプト基である請求項5記載の含
    フッ素プライマー組成物。
  7. 【請求項7】 反応部位は、耐熱性バインダー1g当た
    り1〜250ミリモルである請求項5又は6記載の含フ
    ッ素プライマー組成物。
  8. 【請求項8】 フッ素樹脂と耐熱性バインダーとの容量
    比は、前記フッ素樹脂:前記耐熱性バインダーが35:
    65〜99:1である請求項1、2、3、4、5、6又
    は7記載の含フッ素プライマー組成物。
  9. 【請求項9】 フッ素樹脂は、平均粒子径が0.1〜3
    0μmである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8
    記載の含フッ素プライマー組成物。
  10. 【請求項10】 含フッ素重合体は、単量体成分として
    パーフルオロ単量体を含有し、重合させることにより得
    られる重合体である請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8又は9記載の含フッ素プライマー組成物。
  11. 【請求項11】 含フッ素重合体は、単量体成分として
    パーフルオロ単量体を含有し、重合させることにより得
    られる共重合体である請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8又は9記載の含フッ素プライマー組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10又は11記載の含フッ素プライマー組成物
    を塗装することにより得られることを特徴とする塗装
    物。
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