JP2003183265A - プロピレンオキサイドの精留塔 - Google Patents
プロピレンオキサイドの精留塔Info
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- JP2003183265A JP2003183265A JP2001385839A JP2001385839A JP2003183265A JP 2003183265 A JP2003183265 A JP 2003183265A JP 2001385839 A JP2001385839 A JP 2001385839A JP 2001385839 A JP2001385839 A JP 2001385839A JP 2003183265 A JP2003183265 A JP 2003183265A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 精留塔の腐食を経済的に防止することができ
る。 【解決手段】 下記の第一工程〜第三工程を含むプロピ
レンオキサイドの製造システムにおける第三工程で用い
られる精留塔であって、該精留塔の塔頂温度との温度差
が5〜150℃である区間の接液部分が、温度30℃に
おける濃度1重量%のギ酸水溶液における腐食速度が1
g/m2・hr以下である材質からなるプロピレンオキ
サイドの精留塔。 第一工程:エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパ
ーオキシドとプロピレンを反応させることによりプロピ
レンオキサイドを得る工程 第二工程:第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プ
ロピレンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを
含む区分(3)に分離する工程 第三工程:区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキ
サイドを含む区分(4)を得る工程
る。 【解決手段】 下記の第一工程〜第三工程を含むプロピ
レンオキサイドの製造システムにおける第三工程で用い
られる精留塔であって、該精留塔の塔頂温度との温度差
が5〜150℃である区間の接液部分が、温度30℃に
おける濃度1重量%のギ酸水溶液における腐食速度が1
g/m2・hr以下である材質からなるプロピレンオキ
サイドの精留塔。 第一工程:エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパ
ーオキシドとプロピレンを反応させることによりプロピ
レンオキサイドを得る工程 第二工程:第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プ
ロピレンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを
含む区分(3)に分離する工程 第三工程:区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキ
サイドを含む区分(4)を得る工程
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレンオキサ
イドの精留塔に関するものである。更に詳しくは、本発
明は、エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンを反応させることによりプロピレ
ンオキサイドを得る第一工程、第一工程の出口液(1)
を精製に付し、粗プロピレンオキサイドを含む区分
(2)と粗プロピレンを含む区分(3)に分離する第二
工程及び区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキサ
イドを含む区分(4)を得る第三工程を含むプロピレン
オキサイドの製造システムにおける第三工程で用いられ
る精留塔であって、有機酸による精留塔の腐食を経済的
に防止することができるという優れた特徴を有するプロ
ピレンオキサイドの精留塔に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エポキシ化触媒の存在下、クメンハイド
ロパーオキサイドとプロピレンを反応させることにより
プロピレンオキサイドを得る第一工程、第一工程の出口
液(1)を精製に付し、粗プロピレンオキサイドを含む
区分(2)と粗プロピレンを含む区分(3)に分離する
第二工程及び区分(2)を精留に付し、精プロピレンオ
キサイドを含む区分(4)を得る第三工程を含むプロピ
レンオキサイドの製造システムにより、プロピレンオキ
サイドを製造することができる。 【0003】ところが、上記のシステムの第三工程で用
いられる精留塔において、有機酸により精留塔が腐食さ
れ、円滑な長期安定運転を困難にするという問題があっ
た。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】かかる状況において、
本発明が解決しようとする課題は、エポキシ化触媒の存
在下、クメンハイドロパーオキサイドとプロピレンを反
応させることによりプロピレンオキサイドを得る第一工
程、第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プロピレ
ンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを含む区
分(3)に分離する第二工程及び区分(2)を精留に付
し、精プロピレンオキサイドを含む区分(4)を得る第
三工程を含むプロピレンオキサイドの製造システムにお
ける第三工程で用いられる精留塔であって、有機酸によ
る精留塔の腐食を経済的に防止することができるという
優れた特徴を有するプロピレンオキサイドの精留塔を提
供する点にある。 【0005】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の第一工程〜第三工程を含むプロピレンオキサイドの
製造システムにおける第三工程で用いられる精留塔であ
って、該精留塔の塔頂温度との温度差が5〜150℃で
ある区間の接液部分が、温度30℃における濃度1重量
%のギ酸水溶液における腐食速度が1g/m2・hr以
下である材質からなるプロピレンオキサイドの精留塔に
係るものである。 第一工程:エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパ
ーオキサイドとプロピレンを反応させることによりプロ
ピレンオキサイドを得る工程 第二工程:第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プ
ロピレンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを
含む区分(3)に分離する工程 第三工程:区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキ
サイドを含む区分(4)を得る工程 【0006】 【発明の実施の形態】第一工程は、エポキシ化触媒の存
在下、クメンハイドロパーオキサイドとプロピレンを反
応させることによりプロピレンオキサイドを得る工程で
ある。 【0007】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。 【0008】エポキシ化工程の原料物質として使用され
るクメンハイドロパーオキサイドは、希薄又は濃厚な精
製物又は非精製物であってよい。 【0009】エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハ
イドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われ
る。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒
は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反
応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなけれ
ばならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド
溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たと
えばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるク
メンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加
することなく、これを溶媒の代用とすることも可能であ
る。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合
物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オ
ルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタ
ン、デカン、ドデカン)などがあげられる。 【0010】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。 【0011】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。 【0012】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。 【0013】第二工程は、第一工程の出口液(1)を精
製に付し、粗プロピレンオキサイドを含む区分(2)と
粗プロピレンを含む区分(3)に分離する工程である。
精製方法としては、蒸留塔による分離が挙げられ、蒸留
による方法の場合、プロピレンオキサイドを含む区分
(2)は塔底より、粗プロピレンを含む区分(3)は塔
頂より回収され、粗プロピレンを含む区分(3)は、第
1工程にリサイクルされる。蒸留塔は複数塔使用しても
良いが、多すぎると経済的に不利となる。 【0014】第三工程は、区分(2)を精留に付し、精
プロピレンオキサイドを含む区分(4)を得る工程であ
る。本精留塔の運転条件は、圧力10〜5000kPa
の範囲で実施され、好ましくは50〜1000kPaで
実施される。温度は0〜500℃で実施されるが、工業
的実施の観点から30〜300℃が好ましい。 【0015】本発明の精留塔は、上記の第三工程で用い
られる精留塔であって、該精留塔の塔頂温度との温度差
が5〜150℃である区間の接液部分が、温度20℃に
おける濃度25重量%のギ酸水溶液における腐食速度が
1g/m2・hr以下である材質からなるものであり、
好ましくは該腐食速度が0.5g/m2・hr以下のも
のである。第3工程に供給される原料中には、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸のいずれか又は全てが含まれており、
蒸留塔内で濃縮し、腐食が加速される。腐食速度が速す
ぎる材質を用いると、機器の使用が継続できなくなり、
前記の本発明が解決しようとすることが困難である。な
お、該腐食速度の測定方法は、各材質の試験片を試験液
に挿入し、単位時間当たり単位表面積当たりの重量変化
より計算することができる。 【0016】上記の条件を満足する材質としては、SU
S321、SUS304、SUS304L、SUS31
6、SUS316L、SUS329J4L、チタン、ニ
ッケル、ハステロイ(いずれも、温度30℃における濃
度1重量%のギ酸水溶液における腐食速度は0.5g/
m2・hrである。)等をあげることができるが、工業
的実施の観点から、ステンレス鋼が好ましく、更に好ま
しくは材料に含まれる炭素濃度が0.05重量%以下の
ステンレス鋼である。 【0017】本発明は、本発明のシステムの第三工程に
用いられる精留塔の腐食が、有機酸によものであるこ
と、精留塔内において該有機酸の濃度に分布が存在し、
その腐食を発生する有機酸の濃度を生じる区間が精留塔
内の温度に依存すること、特定の温度領域に特定の材質
を用いることにより、前記の本発明が解決しょうとする
課題が一挙に解決できるという知見を得たことにより完
成されたものである。 【0018】 【実施例】実施例 クメンハイドロパーオキサイトとプロピレンをTi/S
iO2触媒存在下反応させて、プロピレンオキサイドと
クミルアルコールを得た。本反応液を蒸留塔に付し、以
下の組成の液を得た。 プロピレンオキサイド 7重量% クミルアルコール 23重量% クメン 66重量% ギ酸 0.03重量% 酢酸 0.007重量% その他 4 重量% 上記組成の液を原料として、ガラス製蒸留塔に200g
/hrで供給し、ゲージ圧力0.03MPaで安定化さ
せ90時間運転した。そのときの塔頂温度は42℃であ
った。本実験では、塔本体内部に20mm×25mmの
長方形のテストピースを挿入した。各テストピースの腐
食速度は以下のようになった。 【0019】 【表1】数値:腐食速度(g/m2・hr) 【0020】SUS304L、316L共に、温度20
℃における濃度25重量%のギ酸水溶液における腐食速
度が1g/m2・hr以下であるが、本材質を使用する
ことにより、上記腐食速度の結果から、年間0.001
〜0.02mm程度の腐食しかなく、経済的に精留塔の
腐食を抑えることができるのが証明された。 【0021】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、エ
ポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパーオキサイド
とプロピレンを反応させることによりプロピレンオキサ
イドを製造するシステムにおいて、有機酸による精留塔
の腐食を経済的に防止することができるという優れた特
徴を有するプロピレンオキサイドの精留塔を提供するこ
とができた。
イドの精留塔に関するものである。更に詳しくは、本発
明は、エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンを反応させることによりプロピレ
ンオキサイドを得る第一工程、第一工程の出口液(1)
を精製に付し、粗プロピレンオキサイドを含む区分
(2)と粗プロピレンを含む区分(3)に分離する第二
工程及び区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキサ
イドを含む区分(4)を得る第三工程を含むプロピレン
オキサイドの製造システムにおける第三工程で用いられ
る精留塔であって、有機酸による精留塔の腐食を経済的
に防止することができるという優れた特徴を有するプロ
ピレンオキサイドの精留塔に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エポキシ化触媒の存在下、クメンハイド
ロパーオキサイドとプロピレンを反応させることにより
プロピレンオキサイドを得る第一工程、第一工程の出口
液(1)を精製に付し、粗プロピレンオキサイドを含む
区分(2)と粗プロピレンを含む区分(3)に分離する
第二工程及び区分(2)を精留に付し、精プロピレンオ
キサイドを含む区分(4)を得る第三工程を含むプロピ
レンオキサイドの製造システムにより、プロピレンオキ
サイドを製造することができる。 【0003】ところが、上記のシステムの第三工程で用
いられる精留塔において、有機酸により精留塔が腐食さ
れ、円滑な長期安定運転を困難にするという問題があっ
た。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】かかる状況において、
本発明が解決しようとする課題は、エポキシ化触媒の存
在下、クメンハイドロパーオキサイドとプロピレンを反
応させることによりプロピレンオキサイドを得る第一工
程、第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プロピレ
ンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを含む区
分(3)に分離する第二工程及び区分(2)を精留に付
し、精プロピレンオキサイドを含む区分(4)を得る第
三工程を含むプロピレンオキサイドの製造システムにお
ける第三工程で用いられる精留塔であって、有機酸によ
る精留塔の腐食を経済的に防止することができるという
優れた特徴を有するプロピレンオキサイドの精留塔を提
供する点にある。 【0005】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の第一工程〜第三工程を含むプロピレンオキサイドの
製造システムにおける第三工程で用いられる精留塔であ
って、該精留塔の塔頂温度との温度差が5〜150℃で
ある区間の接液部分が、温度30℃における濃度1重量
%のギ酸水溶液における腐食速度が1g/m2・hr以
下である材質からなるプロピレンオキサイドの精留塔に
係るものである。 第一工程:エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパ
ーオキサイドとプロピレンを反応させることによりプロ
ピレンオキサイドを得る工程 第二工程:第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プ
ロピレンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを
含む区分(3)に分離する工程 第三工程:区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキ
サイドを含む区分(4)を得る工程 【0006】 【発明の実施の形態】第一工程は、エポキシ化触媒の存
在下、クメンハイドロパーオキサイドとプロピレンを反
応させることによりプロピレンオキサイドを得る工程で
ある。 【0007】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。 【0008】エポキシ化工程の原料物質として使用され
るクメンハイドロパーオキサイドは、希薄又は濃厚な精
製物又は非精製物であってよい。 【0009】エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハ
イドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われ
る。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒
は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反
応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなけれ
ばならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド
溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たと
えばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるク
メンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加
することなく、これを溶媒の代用とすることも可能であ
る。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合
物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オ
ルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタ
ン、デカン、ドデカン)などがあげられる。 【0010】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。 【0011】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。 【0012】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。 【0013】第二工程は、第一工程の出口液(1)を精
製に付し、粗プロピレンオキサイドを含む区分(2)と
粗プロピレンを含む区分(3)に分離する工程である。
精製方法としては、蒸留塔による分離が挙げられ、蒸留
による方法の場合、プロピレンオキサイドを含む区分
(2)は塔底より、粗プロピレンを含む区分(3)は塔
頂より回収され、粗プロピレンを含む区分(3)は、第
1工程にリサイクルされる。蒸留塔は複数塔使用しても
良いが、多すぎると経済的に不利となる。 【0014】第三工程は、区分(2)を精留に付し、精
プロピレンオキサイドを含む区分(4)を得る工程であ
る。本精留塔の運転条件は、圧力10〜5000kPa
の範囲で実施され、好ましくは50〜1000kPaで
実施される。温度は0〜500℃で実施されるが、工業
的実施の観点から30〜300℃が好ましい。 【0015】本発明の精留塔は、上記の第三工程で用い
られる精留塔であって、該精留塔の塔頂温度との温度差
が5〜150℃である区間の接液部分が、温度20℃に
おける濃度25重量%のギ酸水溶液における腐食速度が
1g/m2・hr以下である材質からなるものであり、
好ましくは該腐食速度が0.5g/m2・hr以下のも
のである。第3工程に供給される原料中には、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸のいずれか又は全てが含まれており、
蒸留塔内で濃縮し、腐食が加速される。腐食速度が速す
ぎる材質を用いると、機器の使用が継続できなくなり、
前記の本発明が解決しようとすることが困難である。な
お、該腐食速度の測定方法は、各材質の試験片を試験液
に挿入し、単位時間当たり単位表面積当たりの重量変化
より計算することができる。 【0016】上記の条件を満足する材質としては、SU
S321、SUS304、SUS304L、SUS31
6、SUS316L、SUS329J4L、チタン、ニ
ッケル、ハステロイ(いずれも、温度30℃における濃
度1重量%のギ酸水溶液における腐食速度は0.5g/
m2・hrである。)等をあげることができるが、工業
的実施の観点から、ステンレス鋼が好ましく、更に好ま
しくは材料に含まれる炭素濃度が0.05重量%以下の
ステンレス鋼である。 【0017】本発明は、本発明のシステムの第三工程に
用いられる精留塔の腐食が、有機酸によものであるこ
と、精留塔内において該有機酸の濃度に分布が存在し、
その腐食を発生する有機酸の濃度を生じる区間が精留塔
内の温度に依存すること、特定の温度領域に特定の材質
を用いることにより、前記の本発明が解決しょうとする
課題が一挙に解決できるという知見を得たことにより完
成されたものである。 【0018】 【実施例】実施例 クメンハイドロパーオキサイトとプロピレンをTi/S
iO2触媒存在下反応させて、プロピレンオキサイドと
クミルアルコールを得た。本反応液を蒸留塔に付し、以
下の組成の液を得た。 プロピレンオキサイド 7重量% クミルアルコール 23重量% クメン 66重量% ギ酸 0.03重量% 酢酸 0.007重量% その他 4 重量% 上記組成の液を原料として、ガラス製蒸留塔に200g
/hrで供給し、ゲージ圧力0.03MPaで安定化さ
せ90時間運転した。そのときの塔頂温度は42℃であ
った。本実験では、塔本体内部に20mm×25mmの
長方形のテストピースを挿入した。各テストピースの腐
食速度は以下のようになった。 【0019】 【表1】数値:腐食速度(g/m2・hr) 【0020】SUS304L、316L共に、温度20
℃における濃度25重量%のギ酸水溶液における腐食速
度が1g/m2・hr以下であるが、本材質を使用する
ことにより、上記腐食速度の結果から、年間0.001
〜0.02mm程度の腐食しかなく、経済的に精留塔の
腐食を抑えることができるのが証明された。 【0021】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、エ
ポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパーオキサイド
とプロピレンを反応させることによりプロピレンオキサ
イドを製造するシステムにおいて、有機酸による精留塔
の腐食を経済的に防止することができるという優れた特
徴を有するプロピレンオキサイドの精留塔を提供するこ
とができた。
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フロントページの続き
(72)発明者 堅尾 正明
千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工
業株式会社内
(72)発明者 篠原 浩二
千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工
業株式会社内
Fターム(参考) 4H039 CA63 CC40
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の第一工程〜第三工程を含むプロピ
レンオキサイドの製造システムにおける第三工程で用い
られる精留塔であって、該精留塔の塔頂温度との温度差
が5〜150℃である区間の接液部分が、温度30℃に
おける濃度1重量%のギ酸水溶液における腐食速度が1
g/m2・hr以下である材質からなるプロピレンオキ
サイドの精留塔。 第一工程:エポキシ化触媒の存在下、クメンハイドロパ
ーオキシドとプロピレンを反応させることによりプロピ
レンオキサイドを得る工程 第二工程:第一工程の出口液(1)を精製に付し、粗プ
ロピレンオキサイドを含む区分(2)と粗プロピレンを
含む区分(3)に分離する工程 第三工程:区分(2)を精留に付し、精プロピレンオキ
サイドを含む区分(4)を得る工程
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001385839A JP2003183265A (ja) | 2001-12-19 | 2001-12-19 | プロピレンオキサイドの精留塔 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001385839A JP2003183265A (ja) | 2001-12-19 | 2001-12-19 | プロピレンオキサイドの精留塔 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003183265A true JP2003183265A (ja) | 2003-07-03 |
Family
ID=27595143
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001385839A Pending JP2003183265A (ja) | 2001-12-19 | 2001-12-19 | プロピレンオキサイドの精留塔 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003183265A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005028460A1 (ja) * | 2003-09-19 | 2005-03-31 | Sumitomo Chemical Company, Limited | プロピレンオキサイドの製造方法 |
CN106929088A (zh) * | 2015-12-29 | 2017-07-07 | 中国石油天然气集团公司 | 分馏塔塔顶油气系统注水装置及方法 |
CN109851575A (zh) * | 2017-11-30 | 2019-06-07 | 中国石油化工股份有限公司 | 环氧烷烃生产中有机酸的脱除方法 |
CN112010823A (zh) * | 2019-05-29 | 2020-12-01 | 中国石油化工股份有限公司 | 环氧烷烃分离及苄醇纯化方法 |
-
2001
- 2001-12-19 JP JP2001385839A patent/JP2003183265A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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