JP2003183220A - (メタ)アクリル酸類の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸類の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】アクリル酸、メタクリル酸又はそれらのエ
ステルを蒸留塔で蒸留して精製された(メタ)アクリル
酸類を製造する方法における該蒸留塔の運転停止及び運
転開始を含む操作において、該蒸留塔を下記の洗浄剤を
用いて逐次に洗浄することを特徴とする精製された(メ
タ)アクリル酸類の製造方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒 【効果】粗(メタ)アクリル酸類を分離・精製する蒸留
塔の洗浄が簡便に実施できる。特に(メタ)アクリル酸
類の製造プロセスにおいて、該蒸留塔の前後のプロセス
から得られる各種の物質を使用して、有価物を回収し、
不純物の混入を防止しながら蒸留塔を効率的に洗浄する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル酸、メタク
リル酸又はそれらのエステルの蒸留精製方法に関する。
詳しくは本発明はプロピレン又はイソブチレンの接触気
相酸化によって得られる粗アクリル酸、メタクリル酸又
はそれらのエステルを蒸留により、分離・精製する際に
必要とされる蒸留塔の洗浄方法に関する。以下、本発明
において、アクリル酸及びメタクリル酸を総称して
「(メタ)アクリル酸」ということがある。また、(メ
タ)アクリル酸及びそれらのエステルを総称して「(メ
タ)アクリル酸類」ということがある。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸類などのアクリルモ
ノマーを分離・精製する方法として蒸留法が一般的であ
る。近年、蒸留の分離効率の向上、処理量の増強等を目
的に高性能充填物が開発され、種々のプロセスにおける
蒸留塔に採用され始めた。ところが(メタ)アクリル酸
類は極めて重合しやすく、従来のトレイ型の蒸留塔にお
いても、特に高性能充填塔においても、蒸留塔内での重
合物の生成は大きな問題であった。従来より(メタ)ア
クリル酸類の重合物の発生を防止する方法として、トレ
イ構造の改良(特開2000-300903号公報)、特殊な重合防
止剤の使用(特開平7-53449号公報)などが提案されて
いるが、未だ長期連続運転は難しく、運転停止を伴う定
期的な点検・洗浄・修理等が必要であった。かかる洗浄
・修理の方法として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなどの塩基性溶液で洗浄した後、溶剤(特にこのまし
くは水)で洗浄する方法が特開2000-319223号公報で提
案されている。しかしながら本発明らの知見によれば、
塔内に析出した重合物・固形物の除去は充分ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粗
(メタ)アクリル酸類を分離・精製する蒸留塔の洗浄方
法を提供することにある。特に(メタ)アクリル酸類の
製造プロセスにおいて、該蒸留塔の前後のプロセスから
得られる各種の物質を利用して、有価物を回収し、不純
物の混入を防止しながら蒸留塔を効率的に洗浄する方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、(1)蒸留塔内
の閉塞物は(メタ)アクリル酸類が重合した酸性ポリマ
ーが主体であり、アルカリ水で容易に溶解すること、
(2)アルカリ成分の除去に水洗が有効であること、
(3)蒸留塔内に水分が多量に存在すると運転再開後、
定常運転条件になるまでに長時間を要すること、(4)
運転再開後の不安定な時期に重合物の発生が多いこと、
(5)蒸留塔内の脱水により重合物の生成を顕著に抑制
できること、(6)蒸留塔の前後のプロセスから得られ
る各種の有機溶媒系の物質が、脱水剤として効率的に利
用できること、(7)アルカリ成分が残存すると(メ
タ)アクリル酸類が分解することがあること、等の諸事
実を見出し本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の要旨は、(メタ)アクリ
ル酸類を蒸留塔で蒸留して精製された(メタ)アクリル
酸類を製造する方法における該蒸留塔の運転停止及び運
転開始を含む操作において、該蒸留塔を下記の洗浄剤を
用いて逐次に洗浄することを特徴とする精製された(メ
タ)アクリル酸類の製造方法に存する。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒
【0006】更に具体的に本発明は、プロピレン又はイ
ソブチレンを気相接触酸化し、該酸化反応混合物を水吸
収して得られた(メタ)アクリル酸を含有する水溶液を
共沸剤の存在下濃縮し、得られた粗(メタ)アクリル酸
を蒸留塔で蒸留して精製された(メタ)アクリル酸を製
造する方法における該蒸留塔の運転停止及び運転開始を
含む操作において、該蒸留塔を下記の洗浄剤を用いて逐
次に洗浄することを特徴とするプロピレン又はイソブチ
レンを原料として(メタ)アクリル酸を製造する方法に
存する。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒
【0007】更に具体的に本発明は、プロピレン又はイ
ソブチレンを気相接触酸化し、該酸化反応混合物を水吸
収して得られた(メタ)アクリル酸の水溶液を共沸剤の
存在下濃縮し、得られた(メタ)アクリル酸を蒸留塔で
精製した後にアルコールと反応させ、得られるエステル
を蒸留塔で精製して(メタ)アクリル酸のエステルを製
造する方法における該蒸留塔の運転停止及び運転開始を
含む操作において、該蒸留塔を下記の洗浄剤を用いて逐
次に洗浄することを特徴とするプロピレン又はイソブチ
レンを原料として(メタ)アクリル酸のエステルを製造
する方法に存する。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒 更に、本発明は上記有機溶媒の選択等にも特徴を有する
ものである。
【0008】本発明において蒸留の対象となる混合物
は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらのエステル、
即ち(メタ)アクリル酸類である。例えば、プロピレン
又はイソブチレンをMo−Bi系複合酸化物触媒の存在
下、気相接触酸化し、アクロレイン又はメタクロレイン
を生成し、更にMo−V系複合酸化物触媒の存在下、気
相接触酸化して得られる(メタ)アクリル酸があげられ
る。この際、プロピレンを酸化して主としてアクロレイ
ンを生成する前段反応とアクロレインを酸化して主とし
てアクリル酸を生成する後段反応をそれぞれ別の反応器
で行う2段反応でも、一つの反応器に前段反応を行う触
媒と後段反応を行う触媒を同時に充填して反応を行う1
段反応でも構わない。更には、(メタ)アクリル酸を原
料としてそのエステルを製造する工程で得られるアクリ
ル酸エステル又はメタクリル酸エステルがあげられる。
アクリル酸エステル類を例示すると、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸メ
トキシエチル等があげられ、メタクリル酸エステル類に
ついても同様の化合物を例示することができる。
【0009】上記気相接触酸化の反応混合物を水吸収す
ることにより、(メタ)アクリル酸酸を含有する水溶液
が得られる。該水溶液をアルコール類、ケトン類、芳香
族炭化水素類などの共沸剤の存在下、濃縮することによ
り粗(メタ)アクリル酸が得られる。共沸剤としては、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼ
ン、トルエンが特に好ましい。これらの未精製の(メ
タ)アクリル酸類には、(メタ)アクリル酸の2量体、
3量体、これらのエステル化物、無水マレイン酸、ベン
ズアルデヒド、β―ヒドロキシプロピオン酸、β―ヒド
ロキシプロピオン酸エステル類、β―アルコキシプロピ
オン酸、β―アルコキシプロピオン酸エステル等の高沸
点不純物が含有され、蒸留塔に供給される(メタ)アク
リル酸類の含有量としては、通常2重量%以上、好まし
くは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上のも
のが本発明において用いられる。(メタ)アクリル酸類
は低濃度であるにもかかわらず、これら不純物、及び
(あるいは)水と共に形成される混合組成物は、蒸留処
理を実施する塔内の温度、圧力条件で極めて重合し易
い。しかもそのような重合現象は蒸留操作の初期に生じ
やすいものである。従って本発明の適応範囲は広く、
(メタ)アクリル酸類が少量含まれるプロセス液の処理
においても極めて大きな効果を発揮する。すなわち本発
明にいう(メタ)アクリル酸類の蒸留とは、通常は高純
度の(メタ)アクリル酸類を取得する工程(精製工程)
であるが、これに限定されるものではなく、(メタ)ア
クリル酸類を含有する混合物から(メタ)アクリル酸類
に富む成分を回収する工程(分離工程)にも適応される
のである。
【0010】次に、図面を用いて説明する。図1は、プ
ロピレンを原料としてアクリル酸を製造するプロセスフ
ロー図の一例である。図中の記号と番号は下記の通りで
ある。 A:アクリル酸捕集塔 B:脱水塔 C:軽沸分離塔(酢酸分離塔) D:高沸分離塔(アクリル酸精製塔) E:高沸分解反応器 1〜3:洗浄液又は重合防止剤供給ライン 4 :アクリル酸を含有する酸化反応ガス 5 :アクリル酸水溶液 11:粗アクリル酸 15:アクリル酸抜出ライン 19:高純度アクリル酸抜出ライン
【0011】プロピレンおよび/またはアクロレインを
分子状酸素含有ガスを用いて接触気相酸化して得たアク
リル酸含有ガスは、ライン4を経てアクリル酸捕集塔A
に導入し、水と接触させアクリル酸水溶液を得る。次に
アクリル酸水溶液を脱水塔Bへ供給する。脱水塔では、
共沸剤を供給し、塔頂から水及び共沸剤からなる共沸混
合物を留出させ、塔底からは酢酸を含むアクリル酸を得
る。脱水塔の塔頂から留出した水および共沸剤からなる
共沸混合物は貯槽10に導入し、ここで主として共沸剤
からなる有機相と主として水からなる水相とに分離す
る。有機相は脱水塔Bに循環する。一方、水相はライン
7を経てアクリル酸捕集塔Aに循環させて、アクリル酸
含有ガスと接触させる捕集水として用いることにより有
効に活用することができる。必要に応じてライン8から
水を補給する。
【0012】脱水塔Bの塔底から、ライン11を経て抜
き出した粗アクリル酸は、残存する酢酸を除去するため
に軽沸分離塔(酢酸分離塔)Cに導入する。ここで塔頂
からライン12,13を経て酢酸を分離除去する。ライ
ン13の酢酸はアクリル酸を含むので、一部もしくは全
量がプロセスへ戻される場合がある。一方、塔底からラ
イン14を経て実質的に酢酸を含まないアクリル酸を得
る。このアクリル酸は相当に純度が高いのでそのままア
クリル酸エステルの製造原料として使用することができ
る。場合によりライン15を経て製品とする。更に高純
度のアクリル酸を得るためには、ライン16を経て高沸
分離塔(アクリル酸精製塔)Dに導入して高沸点物をラ
イン17より分離除去し、高純度アクリル酸をライン1
8,19を経て得ることが出来る。ライン17の高沸物
は高沸分解反応器Eに導かれ、一部はアクリル酸として
ライン20よりプロセスへ回収される。高沸物はライン
21より分離除去される。
【0013】図2は、アクリル酸を製造するプロセスフ
ロー図の他の一例である。図1における脱水塔Bと軽沸
分離塔(酢酸分離塔)Cを1塔の蒸留塔Fに纏めたプロ
セスであり、物質の流れは基本的に図1と同じである。
【0014】図3は、アクリル酸を製造するプロセスフ
ロー図の他の一例である。 A:アクリル酸捕集塔 G:放散塔 D:高沸分離塔(アクリル酸精製塔) H:高沸除去塔 K:溶剤回収塔 1〜3:洗浄液又は重合防止剤供給ライン 4 :アクリル酸を含有する酸化反応ガス 5 :アクリル酸含有溶液 11:粗アクリル酸 13:高純度アクリル酸抜出ライン
【0015】プロピレンおよび/またはアクロレインを
分子状酸素含有ガスを用いて接触気相酸化して得たアク
リル酸含有ガスは、ライン4を経てアクリル酸捕集塔A
に導入し、溶剤と接触させアクリル酸含有溶液を得る。
次にアクリル酸含有溶液を放散塔Gへ供給する。放散塔
Gでは、ライン10よりガス(アクリル酸捕集塔Aの塔
頂より排出されるライン6のガス、或いは、ライン6の
ガス中の有機物を酸化して除去した後のガス等)を供給
し、塔頂から水及び酢酸を留出させ、塔底からは溶剤を
含むアクリル酸を得る。放散塔Gの塔頂から留出した水
および酢酸はアクリル酸捕集塔Aに導入し、水と酢酸は
最終的にアクリル酸捕集塔Aの塔頂より排出される。放
散塔Gの塔底からライン11を経て、高純度のアクリル
酸を得るために高沸分離塔(アクリル酸精製塔)Dに導
入して高沸点物をライン14より分離除去し、高純度ア
クリル酸をライン13を経て得ることが出来る。ライン
14の高沸物は具体的には無水マレイン酸、ベンズアル
デヒド等であり、高沸除去塔Hに導かれ、これら高沸点
物はライン16より排出される。塔底より溶剤はライン
17を経て溶剤回収塔Kに導かれる。回収された溶剤は
塔頂よりライン7を経てアクリル酸捕集塔Aに戻され
る。塔底よりライン18を経て更なる高沸物が分離除去
される。
【0016】図4は、アクリル酸エステルを製造するプ
ロセスフロー図の一例である。図中の記号と番号は下記
の通りである。L:エステル化反応器 M:アクリル酸分離塔 N:高沸分解反応器 Q:アルコール抽出塔 P:アルコール回収塔 R:軽沸分離塔 S:エステル精製塔 31:アクリル酸供給ライン 32:アルコール供給ライン 33:エステル化反応混合物 35:循環アクリル酸 37:高沸点不純物の抜出ライン 39:粗アクリル酸エステルの抜出ライン 41:水供給ライン 42:回収アルコール水ライン 46:アクリル酸エステル製品抜出ライン
【0017】ライン31からアクリル酸、ライン32か
らアルコール、ライン35から循環アクリル酸、ライン
48から循環アルコールを、それぞれエステル化反応器
Lに供給する。エステル化反応器Lには強酸性イオン交
換樹脂などの触媒が充填される。ライン33を経て、生
成エステル、未反応アクリル酸、未反応アルコール、及
び生成水からなるエステル化反応混合物を抜き出し、ア
クリル酸分離塔Mに供給する。アクリル酸分離塔Mから
ライン34を経て未反応アクリル酸の実質的全量を含む
塔底液を抜き出し、ライン35を経て循環液としてエス
テル化反応器Lへ供給する。該塔底液の一部はライン3
6を経て高沸分解反応器Nに供給し、分解され得られた
有価物はライン40を経てプロセスに循環される。循環
されるプロセス内の場所は、プロセス条件によって異な
る。重合物などの高沸点不純物はライン37を経て系外
へ除去する。また、アクリル酸分離塔Mの塔頂からは、
ライン38を経て生成エステル、未反応アルコール、及
び生成水が留出する。流出物の一部は還流液としてアク
リル酸分離塔Mに循環し、残りはライン39を経て抽出
塔Qに供給される。ライン41よりアルコール抽出の為
の水が供給され、ライン42を経て回収されたアルコー
ルを含む水はアルコール回収塔Pに供給される。回収さ
れたアルコールはライン48を経てエステル化反応器に
循環される。
【0018】ライン43より粗アクリル酸エステルは軽
沸分離塔Rへ供給される。ライン44よりアクリル酸エ
ステルを含む軽沸物は抜き出され、プロセス内へ循環さ
れる。循環されるプロセス内の場所は、プロセス条件に
よって異なる。軽沸物を除去された粗アクリル酸エステ
ルはライン45を経てアクリル酸エステル製品精製塔S
へ供給される。塔頂よりライン46を経て、高純度アク
リル酸エステルを得る。塔底から若干の高沸物を含む液
はライン47を経て抜き出され、プロセス内へ循環され
る。循環されるプロセス内の場所は、プロセス条件によ
って異なる。
【0019】図5は、粗アクリルモノマーの蒸留塔及び
その付帯設備の一例である。図中の番号は下記の通りで
ある。 51:蒸留塔 52:充填物層、或いは蒸留塔トレイ、或いは充填物、
蒸留塔トレイの併用 53:インヒビターエア供給ライン 54:塔頂ガス冷却用熱交換器 55:ベントガス冷却用熱交換器 56:環流槽 57:デストリビューター 58:リボイラー(加熱用熱交換器) 59:洗浄液又は重合防止剤含有液体タンク 60:アクリルモノマー(原料)供給ライン 61:洗浄液又は重合防止剤の供給ライン 62:塔頂液抜出ライン 63:塔底液抜出ライン 64:ベントガス排出ライン 特にライン53及びライン61は、蒸留塔条件によって
蒸留の種々の部分に1カ所以上設置される。
【0020】本発明が適用される蒸留塔は、(メタ)ア
クリル酸類が気液平衡に関与する蒸留装置の全てであ
り、分離、濃縮、回収、精製などの操作を行うための装
置を意味している。例えば、図1に示される、脱水塔
B、軽沸分離塔(酢酸分離塔)C、高沸分離塔(アクリ
ル酸精製塔)Dが該当する。同様に、図3に示される放
散塔G、高沸分離塔(アクリル酸精製塔)D、高沸除去
塔H、溶剤回収塔Kや図4に示されるアクリル酸分離塔
M、アルコール回収塔P、軽沸分離塔R、エステル精製
塔Sや図5に示される蒸留塔51がこれらに該当する。
【0021】蒸留塔としては、多孔板塔、泡鐘塔、充填
塔、あるいはこれらの組合せ型(例えば、多孔板塔と充
填塔との組合せ。図5参照)などがあり、溢流堰やダウ
ンカマーの有無は区別されず、いずれも本発明で使用で
きる。具体的なトレイとして、泡鐘トレイ、多孔板トレ
イ、バブルトレイ、スーパーフラッシュトレイ、マック
スフラクストレイ、デュアルトレイ等があげられる。充
填物としては、円柱状、円筒状、サドル型、球状、立方
体状、角錐体状など従来から使用されているもののほ
か、近年高性能充填物として特殊形状を有する規則的又
は不規則的な充填物が市販されており、これらは本発明
に好ましく用いられる。
【0022】かかる市販品を例示すると、規則充填物と
して、例えば、スルーザーパッキング(スルザー・ブラ
ザーズ社製)、住友スルーザーパッキング(住友重機械
工業社製)、テクノパック(三井物産社)、エムシーパ
ック(三菱化学エンジニアリング社製)などのガーゼ型
規則充填物、メラパック(住友重機械工業社製)、テク
ノパック(三井物産社)、エムシーパック(三菱化学エ
ンジニアリング社製)などのシート型規則充填物、フレ
キシグリッド(コーク社製)などのグリッド型規則充填
物等があげられる。その他、ジェムパック(グリッチ社
製)、モンツパック(モンツ社製)、グッドロールパッ
キング(東京特殊金網社製)、ハニカムパック(日本ガ
イシ社製)、インパルスパッキング(ナガオカ社製)な
どがある。また、不規則充填物には、ラシヒリング、ポ
ーリング(BASF社製)、カスケードミニリング(マ
ストランスファー社製)、IMTP(ノートン社製)、
インタロックスサドル(ノートン社製)、テラレット
(日鉄化工機社製)、フレキシリング(日揮社製)等が
ある。
【0023】本発明において大きな特徴は、蒸留塔を所
定期間運転して塔内に付着・蓄積した重合物を洗浄する
際に、3段階の洗浄工程、好ましくは4段階の洗浄工程
をとることにある。 (1)水洗浄 蒸留塔の最初の洗浄に水が用いられる。これは、塔内に
残留している有価物(例えば、アクリル酸、アクリル酸
エステル)を塔底に洗い落とし、回収するために必要で
ある。塔底に回収された洗浄液はタンクに移して保管さ
れ、蒸留塔の運転再開後、当該洗浄液の組成を考慮して
プロセス内の適切な位置(例えば,図1の脱水塔B)に
循環供給される。水洗浄を省略していきなりアルカリ水
洗浄を行うと、酸とアルカリの中和熱で(メタ)アクリ
ル酸類の重合を起こすので系内の(メタ)アクリル酸類
はできるだけ系外へ追い出しておくことが必要である。
洗浄操作は1回のみでもよいが、数回に分割することも
できる。例えば、3分割して1回目と2回目の洗浄液を
有価物として回収処理し、3回目の洗浄液を排水処理工
程に導く態様は経済的に有利である。
【0024】(2)アルカリ水洗浄 アルカリ水としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウムなどの水溶液が使用できる。濃度と
しては、通常1〜25重量%の範囲で使用される。ま
た、アンモニア水も使用でき、濃度としては、通常1〜
25重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で用いら
れる。アルカリ水は、蒸留塔の還流槽に供給し、還流ラ
インより蒸留塔の塔頂に供給したり、還流ラインから直
接蒸留塔に供給することができる。アルカリ水は塔内重
合物を膨潤・溶解しつつ塔底に流下する。塔内重合物、
塔壁、塔内充填物などとの充分な接触を行わせるため
に、塔頂より供給され塔底に流下するアルカリ水を再び
塔頂より繰り返し供給することができる。繰り返しの場
合は、流下したアルカリ水中に含まれる固形物を、ポン
プのストレーナー等で分離・除去した後、使用すること
が好ましい。塔頂からの供給と共に、原料供給段から追
加的に供給することもできる。充填塔の上部にデストリ
ビュータ(液分散器、液分散ノズル)が設置されている
場合は、当該デストリビュータを経由してアルカリ水を
供給する方法は好ましい。アルカリ水洗浄は、通常10
〜100℃の温度で、30〜360分間行えばよい。ア
ルカリ水の供給量は、塔内の閉塞や汚れの程度にも左右
されるが、通常、蒸留塔の断面積1m2当たり、0.5
〜5m3/hr程度(アルカリ水を繰り返し使用した場
合はそれらの積算値)が適当である。
【0025】(3)有機溶媒洗浄 本発明において、アルカリ洗浄に続いて有機溶媒洗浄が
行われる。有機溶媒洗浄の主な目的は、アルカリ成分の
除去、ポリマー及びその分解物・不純物の除去、並びに
塔内の乾燥である。有機溶媒としては、メタノール、エ
タノール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンな
どのケトン類、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタ
アクリル酸などのカルボン酸類、ベンゼン、トルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、ノナン、デカンなどの飽和炭化水素、シクロ
ヘキサン、シクロペンタンなどの環状炭化水素、酢酸メ
チル、酢酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなど
のエステル類、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒ
ドなどのアルデヒド類が挙げられ、これらは混合物とし
ても使用できる。有機溶媒洗浄で得られる洗浄液には各
種の成分が含まれているので、通常は、オフスペック品
を保管するタンクへ保管した後、通常運転中にプロセス
内の蒸留塔で回収したり、有機溶剤の種類によっては洗
浄した蒸留塔でそのまま有価物の回収蒸留を行うことも
できる。場合によっては焼却処分も実施できる。
【0026】本発明の有機溶媒としては、上記のような
高純度の溶媒のみならず、蒸留塔の前後のプロセスから
得られる各種の有機溶媒系の物質もまた効率的に使用で
きる。例えば、(メタ)アクリル酸を含有する水溶液の
濃縮に際して使用した共沸剤、該濃縮で得られた粗(メ
タ)アクリル酸、該蒸留塔の運転停止前に取得した精製
された(メタ)アクリル酸類(製品)、該蒸留塔の運転
停止前に取得した該蒸留塔の塔底液、プラント停止時に
回収したオフスペック品、製品検定前の類似製品液、製
品検定した結果のオフスペック品など使用することがで
きる。有機溶媒の水含有量は好ましくは2重量%以下、
更に好ましくは1重量%に保持するのが脱水効率に優れ
る。洗浄温度は0〜95℃が好ましい。有機溶媒の供給
方法はアルカリ水洗浄の場合と同様である。
【0027】(2a)水洗浄 本発明において、(2)アルカリ水洗浄と(3)有機溶
媒洗浄の中間に、(2a)水洗浄を付加して4段階の洗
浄工程とすることができる。水の供給方法及び洗浄条件
は(1)水洗浄の場合とほぼ同様である。水と共に、少
量の無機酸、界面活性剤など供給することもできるが、
残存すると悪影響があるので、水洗浄の最後は純水を使
用することが好ましい。(2a)水洗浄工程を加える
と、有機溶媒洗浄で得られる洗浄液からアルカリ成分が
カットされ、洗浄液の処理が容易になるというメリット
がある。即ち、アルカリ水洗浄後、直ちに有機溶媒洗浄
した場合に得られる洗浄液にはアルカリ成分が残留して
おり、重合トラブルを起こし易い。しかし(2a)水洗
浄工程があると残留アルカリによる重合発生を抑制する
ことができる。
【0028】上記3段階、又は4段階の洗浄操作におい
て、特に有機溶媒洗浄に際して少量の重合防止剤を供給
することができる。例えば、有機溶媒中に(メタ)アク
リル酸類が含有される場合などに効果的である。かかる
重合防止剤(重合抑制剤、重合禁止剤、重合停止剤、重
合速度低下剤などと呼称されることもある)を例示する
と、ハイドロキノン、メトキノン(メトキシハイドロキ
ノン)、ピロガロール、カテコール、レゾルシンなどの
フェノール化合物;第3ブチルニトロオキシド、2,2,6,
6-テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジル−1−オキ
シル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジル−1−オキシ
ル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノオキシル、4−ヒ
ドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジノオキシル、
4,4',4"−トリス−(2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ
オキシル)フォスファイトなどのN−オキシル化合物;
フェノチアジン、ビス−(α−メチルベンジル)フェノ
チアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、ビス−
(α,α’−ジメチルベンジル)フェノチアジンなどの
フェノチアジン化合物;塩化第2銅、酢酸銅、炭酸銅、
アクリル酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチ
ルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸
銅、サリチル酸銅などの銅系化合物;酢酸マンガンなど
のマンガン塩化合物;p−フェニレンジアミンなどのフ
ェニレンジアミン類;N−ニトロソジフェニルアミンな
どのニトロソ化合物;尿素などの尿素類;チオ尿素など
のチオ尿素類があげられる。これらの化合物は単独で
も、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもで
きる。
【0029】洗浄操作終了後に蒸留運転が再開される
が、蒸留は、連続蒸留でもバッチ蒸留でも適用可能であ
る。蒸留の操作条件は粗(メタ)アクリル酸類に含有さ
れる不純物の種類や含有量などを勘案のうえ、適宜に決
定されるもので、特に限定されない。通常は、塔頂温度
20〜80℃、塔底温度60〜120℃、塔頂圧力0.
7〜106kPa程度で実施する。
【0030】次に実施例により本発明を更に詳細に説明
するが本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。 <実施例1>図5に示すような、内径1100mm、長
さ20000mm、内部に多孔板(デュアルトレイ)2
1枚を有するステンレス鋼製(SUS316)の蒸留塔
を用いてアクリル酸の蒸留を行った。粗(メタ)アクリ
ル酸類として、アクリル酸98.5重量%、マレイン酸
0.3重量%、アクリル酸ダイマー0.3重量%を含む
混合物をライン60より90℃で1300kg/hrで
供給した。また、重合防止剤含有液体タンク59よりア
クリル酸にメトキノン8重量%、フェノチアジン1重量
%を溶解した液をそれぞれ34kg/hrと31kg/
hrで供給し、塔頂圧力2.8kPa、塔底圧力7.9
kPa、塔頂温度53℃、塔底温度75℃で運転を実施
することで、塔頂からは純度99.8重量%以上の高純
度アクリル酸が得られた。8ケ月後、塔頂圧力と塔底圧
力の差が増加したので運転を中止し、塔内を内視鏡で観
察したところトレイ上の重合物が認められたので洗浄操
作を行った。還流槽56を経由して、純水を3m3/h
rで塔頂より1時間供給し、塔底に流下した水は塔底液
抜き出しライン63より系外に放出した。次に25℃の
8重量%アンモニア水を、還流槽56を経由して塔頂よ
り3m3/hrで40分間供給した。次に塔底に流下し
たアンモニア水を、吸入側にストレーナーを設置したポ
ンプを用いて還流ラインより蒸留塔の塔頂に循環供給を
行った。3時間後に循環供給を停止し、塔底液抜き出し
ライン63より系外に放出した。塔内を内視鏡で観察し
たところトレイ上にはまだ若干の重合物が確認された。
次に40℃トルエンを還流槽56を経由して、3m3
hrで塔頂より40分間供給し、アンモニア水の循環運
転と同様な操作を3時間実施した。塔内を内視鏡で観察
したところトレイ上には重合物は全く認められなかっ
た。そこで、当初の粗(メタ)アクリル酸類を精製する
ため蒸留塔の運転再開を実施した。
【0031】<実施例2>実施例1において、8重量%
アンモニア水を25重量%の水酸化ナトリウム水溶液
に、トルエンをメチルイソブチルケトンに変更した以外
は同様な操作を実施した。実施例1と同様に各工程で蒸
留塔の塔内視観察結果を得て、本発明の有効性を確認し
た。
【0032】<実施例3>図5に示すような、内径11
00mm、長さ26000mm、内部に多孔板(デュア
ルトレイ)36枚を有するステンレス鋼製(SUS30
4)の蒸留塔を用いてアクリル酸エチルの蒸留を行っ
た。粗(メタ)アクリル酸類として、アクリル酸エチル
97.4重量%、水1.8重量%、アクリル酸0.4重
量%、エタノール0.4重量%、酢酸エチル0.1重量
%を含む混合物をライン60より6000kg/hrで
供給した。また、重合防止剤含有液体タンク59よりエ
タノールにハイドロキノン5重量%を溶解した液を60
kg/hrで供給した。塔頂圧力62.7kPa、塔底
圧力72.7kPa、塔頂温度76℃、塔底温度89℃
で運転を実施することで、塔底からは純度99.1重量
%以上の粗アクリル酸エチルが得られた。10ケ月後、
塔頂圧力と塔底圧力の差が増加したので運転を中止し、
塔内を内視鏡で観察したところトレイ上の重合物が認め
られたので洗浄操作を行った。還流槽56を経由して、
純水を4m3/hrで塔頂より1時間供給し、塔底に流
下した水は塔底液抜き出しライン63より系外に放出し
た。次に25℃の7重量%アンモニア水を、還流槽56
を経由して塔頂より4m3/hrで30分間供給した。
次に塔底に流下したアンモニア水を、吸入側にストレー
ナーを設置したポンプを用いて還流ラインより蒸留塔の
塔頂に循環供給を行った。3時間後に循環供給を停止
し、塔底液抜き出しライン63より系外に放出した。塔
内を内視鏡で観察したところトレイ上にはまだ若干の重
合物が確認された。次に40℃エタノールを還流槽56
を経由して、4m3/hrで塔頂より40分間供給し、
アンモニア水の循環運転と同様な操作を3時間実施し
た。塔内を内視鏡で観察したところトレイ上には重合物
は全く認められなかった。そこで、当初の粗(メタ)ア
クリル酸類を精製するため蒸留塔の運転再開を実施し
た。
【0033】<実施例4>実施例3において、7重量%
アンモニア水を25重量%の水酸化ナトリウム水溶液に
変更した以外は同様な操作を実施した。実施例3と同様
に各工程で蒸留塔の塔内視観察結果を得て、本発明の有
効性を確認した。
【0034】<比較例1>実施例1において、トルエン
を水に変更した以外は同様の操作を実施した。実施例1
と同様に各工程で蒸留塔の塔内視観察の結果、トレイ上
には、まだ若干の重合物が確認された。
【0035】<比較例2>実施例2において、メチルイ
ソブチルケトンを水に変更した以外は同様の操作を実施
した。実施例2と同様に各工程で蒸留塔の塔内視観察の
結果、トレイ上には、まだ若干の重合物が確認された。
【0036】<比較例3>実施例3において、エタノー
ルを水に変更した以外は同様の操作を実施した。実施例
3と同様に各工程で蒸留塔の塔内視観察の結果、トレイ
上には、まだ若干の重合物が確認された。
【0037】<比較例4>実施例4において、エタノー
ルを水に変更した以外は同様の操作を実施した。実施例
4と同様に各工程で蒸留塔の塔内視観察の結果、トレイ
上には、まだ若干の重合物が確認された。
【0038】<実施例5>比較例1で実施した3時間4
0分にわたる2回目の水洗浄の後に、更に、40℃トル
エンを還流槽56を経由して、3m3/hrで塔頂より
40分間供給し、アンモニア水の循環運転と同様な操作
を3時間実施した。塔内を内視鏡で観察したところトレ
イ上には重合物は全く認められなかった。そこで、当初
の粗(メタ)アクリル酸類を精製するため蒸留塔の運転
再開を実施した。
【0039】<実施例6>比較例2で実施した3時間4
0分にわたる2回目の水洗浄の後に、更に、40℃メチ
ルイソブチルケトンを還流槽56を経由して、3m3
hrで塔頂より40分間供給し、アンモニア水の循環運
転と同様な操作を3時間実施した。塔内を内視鏡で観察
したところトレイ上には重合物は全く認められなかっ
た。そこで、当初の粗(メタ)アクリル酸類を精製する
ため蒸留塔の運転再開を実施した。
【0040】<実施例7>実施例5において、有機溶媒
洗浄に使用したトルエンを蒸留原液である粗(メタ)ア
クリル酸類に変更した以外は同様の操作を実施した。実
施例5と同様に各工程で蒸留塔の塔内視観察結果を得
て、本発明の有効性を確認した。
【0041】
【発明の効果】粗(メタ)アクリル酸類を分離・精製す
る蒸留塔の洗浄が簡便に実施できる。特に(メタ)アク
リル酸類の製造プロセスにおいて、該蒸留塔の前後のプ
ロセスから得られる各種の物質を使用して、有価物を回
収し、不純物の混入を防止しながら蒸留塔を効率的に洗
浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロピレンを原料としてアクリル酸を製造する
プロセスフロー図の一例である。
【図2】プロピレンを原料としてアクリル酸を製造する
プロセスフロー図の他の一例である。
【図3】プロピレンを原料としてアクリル酸を製造する
プロセスフロー図の他の一例である。
【図4】アクリル酸エステルを製造するプロセスフロー
図の一例である。
【図5】粗(メタ)アクリル酸類の蒸留塔及びその付帯
設備の一例である。
【符号の説明】
A:アクリル酸捕集塔 B:脱水塔 C:軽沸分離塔(酢酸分離塔) D:高沸分離塔(アクリル酸精製塔) E:高沸分解反応器 F:脱水塔Bと軽沸分離塔(酢酸分離塔)Cを1塔にま
とめた蒸留塔 G:放散塔 H:高沸除去塔 K:溶剤回収塔 L:エステル化反応器 M:アクリル酸分離塔 N:高沸分解反応器 Q:アルコール抽出塔 P:アルコール回収塔 R:軽沸分離塔 S:エステル精製塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神野 公克 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 鈴木 芳郎 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD11 AD12 BB11 BB45 BB47 BC51 BC52 BD84 BS10 KE00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル酸、メタクリル酸(以下、「(メ
    タ)アクリル酸」という)又はそれらのエステル(以
    下、「(メタ)アクリル酸類」という)を蒸留塔で蒸留
    して精製された(メタ)アクリル酸類を製造する方法に
    おける該蒸留塔の運転停止及び運転開始を含む操作にお
    いて、該蒸留塔を下記の洗浄剤を用いて逐次に洗浄する
    ことを特徴とする精製された(メタ)アクリル酸類の製
    造方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒
  2. 【請求項2】(メタ)アクリル酸類を蒸留塔で蒸留して
    精製された(メタ)アクリル酸類を製造する方法におけ
    る該蒸留塔の運転停止及び運転開始を含む操作におい
    て、該蒸留塔を下記の洗浄剤を用いて逐次に洗浄するこ
    とを特徴とする精製された(メタ)アクリル酸類の製造
    方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (2a)水 (3)有機溶媒
  3. 【請求項3】プロピレン又はイソブチレンを気相接触酸
    化し、該酸化反応混合物を水吸収して得られた(メタ)
    アクリル酸を含有する水溶液を共沸剤の存在下濃縮し、
    得られた(メタ)アクリル酸を蒸留塔で蒸留して精製さ
    れた(メタ)アクリル酸を製造する方法における該蒸留
    塔の運転停止及び運転開始を含む操作において、該蒸留
    塔を下記の洗浄剤を用いて逐次に洗浄することを特徴と
    するプロピレン又はイソブチレンを原料として(メタ)
    アクリル酸を製造する方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒
  4. 【請求項4】プロピレン又はイソブチレンを気相接触酸
    化し、該酸化反応混合物を水吸収して得られた(メタ)
    アクリル酸を含有する水溶液を共沸剤の存在下濃縮し、
    得られた(メタ)アクリル酸を蒸留塔で蒸留して精製さ
    れた(メタ)アクリル酸を製造する方法における該蒸留
    塔の運転停止及び運転開始を含む操作において、該蒸留
    塔を下記の洗浄剤を用いて逐次に洗浄することを特徴と
    するプロピレン又はイソブチレンを原料として(メタ)
    アクリル酸を製造する方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (2a)水 (3)有機溶媒
  5. 【請求項5】有機溶媒として、(メタ)アクリル酸を含
    有する水溶液の濃縮に際して使用した該共沸剤を使用す
    ることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
  6. 【請求項6】有機溶媒として、該蒸留塔の運転停止前に
    取得した粗(メタ)アクリル酸類を使用することを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】有機溶媒として、該蒸留塔の運転停止前に
    取得した該精製された(メタ)アクリル酸類を使用する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】有機溶媒として、該蒸留塔の運転停止前に
    取得した該蒸留塔の塔底液を使用することを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】有機溶媒の水含有量が2重量%以下である
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】有機溶媒による洗浄を、常圧又は減圧
    下、0〜95℃で行なうことを特徴とする請求項1〜9
    のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】有機溶媒が重合防止剤を含有することを
    特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】アルカリ水が、1〜25重量%の水酸化
    アルカリ水溶液であることを特徴とする請求項1〜11
    のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】アルカリ水が、1〜25重量%のアンモ
    ニア水であることを特徴とする請求項1〜11のいずれ
    か1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】プロピレン又はイソブチレンを気相接触
    酸化し、該酸化反応混合物を水吸収して得られた(メ
    タ)アクリル酸の水溶液を共沸剤の存在下濃縮し、得ら
    れた(メタ)アクリル酸を蒸留塔で精製した後にアルコ
    ールと反応させ、得られるエステルを蒸留塔で精製して
    (メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法における
    該蒸留塔の運転停止及び運転開始を含む操作において、
    該蒸留塔を下記の洗浄剤を用いて逐次に洗浄することを
    特徴とするプロピレン又はイソブチレンを原料として
    (メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (3)有機溶媒
  15. 【請求項15】プロピレン又はイソブチレンを気相接触
    酸化し、該酸化反応混合物を水吸収して得られた(メ
    タ)アクリル酸の水溶液を共沸剤の存在下濃縮し、得ら
    れた(メタ)アクリル酸を蒸留塔で精製した後にアルコ
    ールと反応させ、得られるエステルを蒸留塔で精製して
    (メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法における
    該蒸留塔の運転停止及び運転開始を含む操作において、
    該蒸留塔を下記の洗浄剤を用いて逐次に洗浄することを
    特徴とするプロピレン又はイソブチレンを原料として
    (メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法。 (1)水 (2)アルカリ水 (2a)水 (3)有機溶媒
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