JP2003181510A - 連続圧延における鋼材のトラッキング方法及びその装置 - Google Patents

連続圧延における鋼材のトラッキング方法及びその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常圧延に用いている既存のトラッキング・
システムを大幅に改造することなしに、連続圧延でのト
ラッキング・システムに適用し得るようにした鋼材トラ
ッキング方法及びその装置を提供すること。 【解決手段】 スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材を
接合して連続的に圧延する際の圧延ライン内をトラッキ
ングする方法において、既存のトラッキング・センサー
の位置に接合部がきたタイミングで、あたかも鋼材の先
尾端を検出したかのようなダミー信号をトラッキング・
システム・コンピューターに発信することを特徴とする
連続圧延における鋼材のトラッキング方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラブ、ブルー
ム、ビレット等の鋼材を接合して連続的に圧延する鋼材
の連続圧延における鋼材のトラッキング方法及び装置に
関するもので、特に通常圧延のための既存のトラッキン
グ・システムを大幅に改造することなしに、連続圧延材
の鋼材単位にトラッキングを可能とする方法及び装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材を
熱間圧延する場合には、品質保証上の観点から、鋼材の
品質情報(鋼材規格、識別番号、操業条件、操業実績、
品質実績等)や、熱間圧延中の品質情報を、熱間圧延後
の製品に対し1対1で紐付けを行っている。通常圧延で
は、所定の長さを有する鋼材を各ストランドで個々に圧
延するため、要所要所で被圧延材の先端と後端を検出
し、被圧延材を熱間圧延の開始から終了まで1品毎にト
ラッキングをする必要が生じる。
【0003】図1は、通常の線材圧延での先尾端のトラ
ッキングを説明する図である。
【0004】図1に示すように、通常の線材圧延では、
加熱炉1で加熱した圧延材であるビレットを粗圧延機
2、中間圧延機3、仕上圧延機4の順に圧延し、巻取機
5(レーイング・ヘッド)によりリング状にし、コンベ
ヤにより集束タブ6に搬送し、集束して線材コイルとし
ている。
【0005】この線材圧延における圧延材の先尾端のト
ラッキング・システムは、粗圧延機2、中間圧延機3、
巻取機5、集束タブ6のそれぞれの入側に光学式あるい
は機械式の先尾端検出センサー(A、B、C、D)を設
置し、先尾端検出センサーにより圧延ラインから搬出さ
れるまでを順次追いかけて検出した検出値を先尾端通過
信号としてトラッキング・システム・コンピューター7
に入力し、先尾端の位置を把握している。圧延材につい
てのデータ収集は、トラッキング・システム・コンピュ
ーターからの指示により、寸法計等のデータ収集装置8
により鋼材単位に測定されている。
【0006】ところが、最近は、圧延速度の高速化が進
み、品質、歩留まり、生産原単位および生産向上等を目
的として、圧延機の入側において、先行する圧延材の尾
端と後行の圧延材の先端とを順次接合し、連続的に圧延
する連続圧延法が実施されている。この連続圧延法によ
れば、従来の通常圧延で生じる圧延材先端と後端でのト
リミングロスや圧延材の先端のミスロールの発生が大幅
に改善され、圧延材の全長にわたって過度のバラツキが
少なく均一な品質の製品を得られるという特徴を有して
いる。
【0007】図2は、従来の連続圧延における鋼材のト
ラッキング・システムの概要を説明するための図であ
る。
【0008】図2に示すように、線材の連続圧延では、
加熱炉1で加熱したビレットを走間溶接機等の接合機9
により、先行するビレットの尾端と後行のビレットの先
端を順次接合して、粗圧延機2、中間圧延機3、仕上圧
延機4の順に圧延し、巻取機5によりリング状にし、コ
ンベヤにより集束タブ6に搬送し、集束して線材コイル
とする。連続圧延法では、圧延材を順次溶接により接合
して圧延するので、圧延材毎の先端及び尾端が存在して
いない状態の圧延となる。このため、先尾端検出センサ
ー(B〜E)の各々は、先尾端を検出することができな
いので、従来のセンサーを用いない他の検出方法へ変更
するか、接合前の先尾端検出センサーAからの先尾端通
過信号から、以降の接合部通過時間を予測してトラッキ
ングを行わざるを得なかった。いずれにしても、連続圧
延では従来の通常圧延の設備でトラッキングを行うこと
ができず、従来のトラッキング・システム・コンピュー
ターに係る設備を大幅に改造したり、新設の設備を導入
する必要があった。
【0009】公知の連続圧延におけるトラッキング方法
としては、例えば、被圧延材の接合部に何らかのマー
キングをして、これを検出する方法、例えば、段差や板
幅等の形状を変えて、形状センサーや圧延荷重計等で検
知する方法、温度偏差をつけて、温度センサーやCCD
カメラ等で検知する方法、あるいは、異物や疵等をつけ
て、疵探傷器等で検知する方法があり、また、被圧延
材の移動速度を逐次計算し、これに基づいて予測トラッ
キングする方法、例えば特開平10−34212号公報
に開示されるように各スタンドにおける被圧延材の接合
部(前方ビレットの後端)の移動速度を、各スタンドに
取り付けたパルス発信機により算出し、スタンドからの
送りだし量を求め、その送りだし量に基づいて接合部を
トラッキングする方法があり、また、連続圧延の最先
端の移動時間に基づいて予測トラッキングする方法、例
えば、特開2000−51942号公報に開示されるよ
うに、連続圧延の最先端が各センサー間を移動する時間
を記憶し、後続の接合部も同じ時間で移動すると予測し
てトラッキングする方法がある。
【0010】しかしながら、上記〜に開示される接
合部のトラッキング方法は、いずれの方法も実用化のた
めには、既存のトラッキング・システムの大幅な改造を
要し、多額の費用を必要とするという現状がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記現状に鑑み、通常圧延に用いている既存のトラッキン
グ・システムを大幅に改造することなしに、連続圧延で
のトラッキング・システムに適用し得るようにした鋼材
トラッキング方法及びその装置を提供することを解決課
題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】連続圧延においては被圧
延材の接合により先尾端がなくなるため、通常圧延での
既存の先尾端検出センサーは使用できず、先尾端検出セ
ンサーを用いた既存のトラッキング・システムも使用不
可能となる。本発明者は、連続圧延時においても、通常
圧延での既存のトラッキング・システムをそのまま使用
可能とするトラッキング方法及び装置について研究し
た。
【0013】その結果、圧延材の接合部の位置を従来技
術によって把握し、既存のトラッキング・センサーの位
置に接合部がきたタイミングで、あたかも先尾端を検出
したかのようなダミー信号をトラッキング・システム・
コンピューターへ発信するようにすれば、ダミー信号を
発生する装置を別途設置するだけで、既存のトラッキン
グ・システムを大幅に改造することなしに流用可能であ
ることを知見した。
【0014】本発明は、上記知見に基づいて完成したも
ので、その発明の要旨は以下の通りである。
【0015】(1) スラブ、ブルーム、ビレット等の
鋼材を接合して連続的に圧延する際の圧延ライン内をト
ラッキングする方法において、既存のトラッキング・セ
ンサーの位置に接合部がきたタイミングで、あたかも鋼
材の先尾端を検出したかのようなダミー信号をトラッキ
ング・システム・コンピューターに発信することを特徴
とする連続圧延における鋼材のトラッキング方法。
【0016】(2) 接合前に鋼材の先尾端の位置を先
尾端検出センサーによって検出することを特徴とする上
記(1)記載の連続圧延における鋼材のトラッキング方
法。
【0017】(3) 上記ダミー信号は、鋼材の先端或
いは尾端のダミー信号であることを特徴とする上記
(1)または(2)記載の連続圧延における鋼材トラッ
キング方法。
【0018】(4) 上記ダミー信号は、システム上不
可欠な一定の間隔をおいて発信するダミー信号であるこ
とを特徴とする上記(1)または(2)記載の連続圧延
における鋼材のトラッキング方法。
【0019】(5) スラブ、ブルーム、ビレット等の
鋼材を接合して連続的に圧延する際の圧延ライン内をト
ラッキングする装置において、既存のトラッキング・セ
ンサーの位置に接合部がきたタイミングで、あたかも鋼
材の先尾端を検出したかのようなダミー信号をトラッキ
ング・システム・コンピューターに発信するダミー信号
発信装置を設置したことを特徴とする連続圧延における
鋼材のトラッキング装置。
【0020】(6) 接合前に鋼材の先尾端の位置を検
出する先尾端検出センサーを備えていることを特徴とす
る上記(5)記載の連続圧延における鋼材のトラッキン
グ装置。
【0021】(7) 上記ダミー信号発生装置は、鋼材
の先端或いは尾端のダミー信号を発信するダミー信号発
生装置であることを特徴とする上記(5)または(6)
記載の連続圧延における鋼材のトラッキング装置。
【0022】(8) 上記ダミー信号発生装置は、シス
テム上不可欠な一定の間隔においてダミー信号を発信す
るダミー信号発信装置であることを特徴とする上記
(5)または(6)記載の連続圧延における鋼材のトラ
ッキング装置。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図に基づいて本発明を詳細
に説明する。
【0024】図3は、本発明の線材の連続圧延における
トラッキング・システムの概要を示す図である。
【0025】図3に示すように、加熱炉1から抽出され
たビレット等の圧延材は、先行する圧延材の尾端と後行
の圧延材の先端とを、走間溶接機等の接合機9により順
次接合する。次いで、接合した圧延材を粗圧延機2、中
間圧延機3、仕上圧延機4により連続的に圧延して線材
とし、巻取機(レーイング・ヘッド)5によりリング状
にしてコンベア上の所定位置に落下させて搬送し、集束
タブ6内でタブシャーにより線材を所定の長さに分割し
て集束し、線材コイルとする。
【0026】通常圧延で用いる既存の先尾端検出センサ
ーA〜Eは、接合機9、粗圧延機2、中間圧延機3、巻
取機5及び集束タブ6の入側にそれぞれ配置されている
が、連続圧延では、先尾端検出センサーB〜Eは機能し
ない。
【0027】この連続圧延のトラッキング・システムと
しては、接合機入側に配置されている先尾端検出センサ
ーAにより接合前の各圧延材の先尾端通過信号Aを得
る。
【0028】しかし、既存の先尾端検出センサーB〜E
の各センサーは、連続圧延では圧延材が接合されている
ので、各圧延材の先尾端を検出し、各圧延材の先尾端通
過信号を発することはできない。
【0029】本発明では、接合前の先尾端通過信号Aか
ら、以降の接合部通過時間を予測し、接合部が各先尾端
検出センサー(B〜E)位置に来たタイミングで、ダミ
ー信号発生装置10によりダミー信号(B’〜E’)を
各先尾端検出センサーの代わりに発信する。
【0030】接合部通過時間は、公知の方法を任意に採
用することができる。例えば、圧延材の速度を検出し、
これに基づいて接合部の通過時間を前以て予測すること
や、ロール回転パルスを測定し、これに基づいて接合部
の通過時間を前以て予測すること等により、接合部通過
時間を予測することができる。
【0031】即ち、接合前の各圧延材の先尾端通過信号
Aを検知すれば、圧延材の先尾端がそれ以降の先尾端検
出センサー(B〜E)の位置を通過するタイミングを予測
することができる。また、圧延材についてのデータ収集
は、トラッキング・システム・コンピューターからの指
示により、寸法計等のデータ収集装置8により鋼材単位
に測定されている。これは通常圧延の場合と同様であ
る。
【0032】ダミー信号発生装置としては、汎用のコン
ピューター等を用いることが安価で好ましい。ダミー信
号発生装置10により圧延材の先尾端が各センサー(B
〜E)位置に来たタイミングで発信されたダミーの先尾
端通過信号(ダミー信号B’〜E’)は既存のトラッキ
ング・システム・コンピューターに従来通り送信され、
鋼材のトラッキングを行うことができる。
【0033】即ち、線材の接合部を集束タブ6内のタブ
シャーで分割する場合には、トラッキング・システム・
コンピューター7が集束タブ6に設置されたタブシャー
に従来どおり線材分割指示を発信し、線材の分割を接合
部で行うことができる。或いは、トラッキング・システ
ムにより圧延機のロール間隙等を先行材の設定値から後
行材の設定値に変更する制御を行うことができる。
【0034】また、トラッキング・システムの中には、
先尾端検出センサーのチャタリング(瞬時OFF誤動
作)対策として、センサーOFF時間が一定時間以上
(例えば0.01〜0.1秒間)なければ検出信号をト
ラッキング・システム・コンピューターが受け付けない
ようにしている場合がある。また、データ収集装置の都
合で、先行材のデータ収集を終えてから、後行材のデー
タ収集を始めるまでにデータまとめや送信のため一定時
間(例えば1〜3秒)を必要とするトラッキング・シス
テムがある。このようなトラッキング・システムでは、
一定時間以上の間隔をあけた先尾端のダミー信号を与え
ることがシステム上不可欠となる。したがって、本発明
では必要に応じて、ダミー信号発信機によりシステム上
不可欠な一定の間隔をおいてダミー信号を発信できるよ
うにしてある。
【0035】なお、図3では線材の連続圧延について説
明したが、本発明は形鋼、鋼板等の連続圧延にも同様に
適用できる。
【0036】本発明によれば、通常圧延における既存の
トラッキング・システムにダミー信号発生装置を新設す
ることにより、既存のトラッキング・システムを大幅に
改造することなしに連続圧延のトラッキング・システム
として用いることができ、連続圧延材を素材(スラブ、
ブルーム、ビレット等)単位にトラッキングが可能とな
る。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、通常圧延に用いている
トラッキング・システムを大幅に改造することなしに、
連続圧延のトラッキング・システムとすることができ、
連続圧延において鋼材単位にトラッキングを行うことが
できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常の線材圧延での先尾端のトラッキングを説
明する図である。
【図2】従来の連続圧延における鋼材のトラッキング・
システムの概要を説明するための図である。
【図3】本発明の線材の連続圧延におけるトラッキング
・システムの概要を示す図である。
【符号の説明】
1 加熱炉 2 粗圧延機 3 中間圧延機 4 仕上圧延機 5 巻取機 6 集束タブ 7 トラッキング・システム・コンピューター 8 データ収集装置 9 接合機 10 ダミー信号発生装置 A〜E 先尾端検出センサー B’〜E’ ダミー信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B21C 51/00 B21B 37/00 BBK (72)発明者 高城 孝秀 釜石市鈴子町23−15 新日本製鐵株式会社 釜石製鐵所内 Fターム(参考) 4E024 FF10 GG10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材を
    接合して連続的に圧延する際の圧延ライン内をトラッキ
    ングする方法において、既存のトラッキング・センサー
    の位置に接合部がきたタイミングで、あたかも鋼材の先
    尾端を検出したかのようなダミー信号をトラッキング・
    システム・コンピューターに発信することを特徴とする
    連続圧延における鋼材のトラッキング方法。
  2. 【請求項2】 接合前に鋼材の先尾端の位置を先尾端検
    出センサーによって検出することを特徴とする請求項1
    記載の連続圧延における鋼材のトラッキング方法。
  3. 【請求項3】 上記ダミー信号は、鋼材の先端或いは尾
    端のダミー信号であることを特徴とする請求項1または
    2記載の連続圧延における鋼材トラッキング方法。
  4. 【請求項4】 上記ダミー信号は、システム上不可欠な
    一定の間隔をおいて発信するダミー信号であることを特
    徴とする請求項1または2記載の連続圧延における鋼材
    のトラッキング方法。
  5. 【請求項5】 スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材を
    接合して連続的に圧延する際の圧延ライン内をトラッキ
    ングする装置において、既存のトラッキング・センサー
    の位置に接合部がきたタイミングで、あたかも鋼材の先
    尾端を検出したかのようなダミー信号をトラッキング・
    システム・コンピューターに発信するダミー信号発信装
    置を設置したことを特徴とする連続圧延における鋼材の
    トラッキング装置。
  6. 【請求項6】 接合前に鋼材の先尾端の位置を検出する
    先尾端検出センサーを備えていることを特徴とする請求
    項5記載の連続圧延における鋼材のトラッキング装置。
  7. 【請求項7】 上記ダミー信号発生装置は、鋼材の先端
    或いは尾端のダミー信号を発信するダミー信号発生装置
    であることを特徴とする請求項5または6記載の連続圧
    延における鋼材のトラッキング装置。
  8. 【請求項8】 上記ダミー信号発生装置は、システム上
    不可欠な一定の間隔においてダミー信号を発信するダミ
    ー信号発信装置であることを特徴とする請求項5または
    6記載の連続圧延における鋼材のトラッキング装置。
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