JP2003181272A - 水熱反応方法 - Google Patents

水熱反応方法

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JP2003181272A
JP2003181272A JP2001380481A JP2001380481A JP2003181272A JP 2003181272 A JP2003181272 A JP 2003181272A JP 2001380481 A JP2001380481 A JP 2001380481A JP 2001380481 A JP2001380481 A JP 2001380481A JP 2003181272 A JP2003181272 A JP 2003181272A
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JP
Japan
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hydrothermal reaction
reactor
reaction
treated
substance
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JP2001380481A
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English (en)
Inventor
Masaaki Wakita
正明 脇田
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Komatsu Ltd
Kurita Water Industries Ltd
General Atomics Corp
Original Assignee
Komatsu Ltd
Kurita Water Industries Ltd
General Atomics Corp
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  • Treatment Of Sludge (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応系内の汚染を防止し、水熱反応温度を確
実に制御して効率良く水熱反応を行うことができる水熱
反応方法を得る。 【解決手段】 有機性の被処理物と酸化剤とを反応器内
へ供給し、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応させ
る水熱反応方法において、両親媒性物質を反応器に供給
して被反応物供給系内の洗浄を行う水熱反応方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機性の被処理物
を、酸化剤の存在下、水の超臨界または亜臨界状態で水
熱反応させる水熱反応方法に関し、特に水熱反応の反応
制御を安定して行うことができる水熱反応方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、廃棄物の分解、エネルギーの生
成、化学物質の製造等において、水熱反応を用いて被処
理物を酸化分解または加水分解させる方法が利用されて
いる。特に近年、水の超臨界状態若しくはそれに近い亜
臨界状態で、被処理物と酸化剤を含んだ水とを反応さ
せ、被処理物中の有機物を短時間でほぼ分解できる水熱
反応方法が注目されている。この方法では、被処理物中
の有機物は燃焼を含む酸化反応により、水と二酸化炭素
からなる高温高圧の反応生成物となる。反応生成物はエ
ネルギー回収されるか、または冷却・減圧されてガス分
と液体分とに分離される。
【0003】このように水の超臨界または亜臨界状態に
おいて水熱反応を行う場合には、酸化反応によって反応
熱が発生し、反応器等の装置内の温度が上昇する。そこ
で反応器中の反応物の濃度を水で希釈したり、反応器内
を水の添加により冷却する等の処置によって、反応器等
の装置内の温度が装置材料の許容温度を超えないように
制御される。反対に反応器内の熱量が低すぎる場合には
有機物の分解に必要な反応温度を得る必要があるため、
外部から熱を加えるか、補助燃料を添加して反応器内の
温度を上昇させている。補助燃料としては、ケロシン、
イソプロピルアルコール、メタノール等が知られてい
る。
【0004】水熱反応の具体的方法としては、あらかじ
め混合若しくは配管中で混合された被処理物、酸化剤、
および必要により補助燃料、水等の被反応物を被反応物
供給系から反応器内に供給し、水熱反応を行う方法があ
げられる。この方法では、被処理物による熱量が十分得
られるような場合であっても、水熱反応開始の際には反
応器内へ被処理物を供給することなく、補助燃料と水と
酸化剤とを供給して反応を開始する。そして、反応器内
で水熱反応が安定して継続する状態となった時点で被処
理物の添加を開始し、順次被処理物の供給量を増加し、
補助燃料の供給量を減少させ、最終的には補助燃料の供
給を停止し、被処理物のみを水熱反応で処理する。すな
わち、供給する被反応物を、補助燃料から被処理物へ切
り替える方法が採用されている。一方、水熱反応を停止
する際には供給する被反応物を被処理物から補助燃料へ
切り替える。
【0005】これらの被反応物が供給されるとき、被反
応物に含まれる被処理物の極性が低く水に溶解しない場
合、反応器内に供給される被反応物中で相分離が生じる
ことがある。また水熱反応を停止する際、あるいは供給
される被反応物の種類を変える場合、例えば補助燃料か
ら被処理物へと切り替える際、相分離した被処理物が被
処理物の貯留槽、供給路、反応器への被反応物供給口等
の被反応物供給系に残留する場合があった。またケロシ
ンを補助燃料として使用した場合においても、同様の理
由でケロシンが供給路、供給口等の被反応物供給系へ残
留することがあった。この場合、点検などの目的で水熱
反応を停止した後に再度水熱反応を開始する際や、供給
される被処理物の種類を切り替える際に、供給路や供給
口等の被反応物供給系に残留していた被処理物や燃料等
が新たに供給される被反応物に混入して反応器内へ供給
される。またこのとき混入する残留物質は、一気に反応
器内へ供給されるのではなく、断続的に反応器内へ供給
されることもある。それらの結果、反応器内の被反応物
の熱量が均一ではなくなり、反応器内の温度が不安定に
なり、ひいては装置内の温度や圧力制御が困難になり、
反応処理の緊急停止等も生じていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、反応
系内の汚染を防止し、水熱反応温度を正確に制御して効
率良く水熱反応を行うことができる水熱反応方法を提案
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次の水熱反応方
法である。 (1) 有機性の被処理物および酸化剤を含む被反応物
を被反応物供給系から反応器内へ供給し、水の超臨界ま
たは亜臨界状態で水熱反応させる水熱反応工程と、両親
媒性物質を被反応物供給系に供給して被反応物供給系内
の洗浄を行う洗浄工程とを含む水熱反応方法。 (2) 洗浄工程を、水熱反応開始前、供給される被反
応物の種類の切り替え時および/または被反応物の供給
後に行う上記(1)記載の方法。 (3) 水溶性有機化合物および/または界面活性剤を
両親媒性物質として使用する上記(1)または(2)記
載の方法。 (4) 両親媒性物質による洗浄工程後、被反応物供給
系内を水で洗浄する工程を含む上記(1)〜(3)のい
ずれかに記載の方法。
【0008】本発明において処理の対象となる被処理物
は、有機性の被処理物であり、水熱反応により酸化分解
可能な有機物を含むものである。具体的には、廃液、廃
棄物、廃溶媒、汚泥、し尿、下水、菌体、プラスチック
廃棄物、膜、吸着樹脂、イオン交換樹脂、活性炭等があ
げられる。被処理物は有機物のほかに無機物を含んでい
てもよい。本発明において被反応物とは、反応器に供給
して水熱反応を行う物質であり、上記の被処理物のほか
酸化剤、および必要により添加される補助燃料、水、そ
の他の物質、ならびにこれらの混合物などが含まれる。
【0009】本発明において水熱反応における反応系と
は、水熱反応において反応器を中心として、これに被反
応物を供給する系路および処理物を取り出す系路を含む
全体の系路である。本発明において被反応物供給系と
は、被反応物を反応器へ供給する系路であり、被処理
物、酸化剤、補助燃料、水等の被反応物のそれぞれの貯
留槽、供給路、ならびにこれらの混合物の供給路、反応
器への供給口などを含む。
【0010】本発明において水熱反応工程では、被処理
物、酸化剤、補助燃料、水等を被反応物として被反応物
供給系から反応器内に供給して水熱反応を行う。具体的
には、被処理物を酸化剤の存在下、水の超臨界または亜
臨界状態で水熱反応により分解する。分解は、例えば被
処理物の酸化分解、加水分解等によって行われる。超臨
界状態とは374℃以上、22MPa以上の状態であ
る。また亜臨界状態とは例えば374℃以上、2.5M
Pa以上22MPa未満あるいは374℃未満、22M
Pa以上の状態、あるいは374℃以下、22MPa未
満であっても臨界点に近い高温高圧状態をいう。
【0011】酸化剤としては、特に限定されないが、例
えば空気、酸素富化空気、酸素、液体酸素、過酸化水素
水、硝酸塩等があげられる。水熱反応において被処理物
の熱量が不足する場合、補助燃料を反応器に供給して反
応を行う。補助燃料としては、ケロシン、イソプロピル
アルコール、メタノール等をあげることができる。補助
燃料は純物質である必要はなく、例えば他の有機物、無
機物、水分などを含有する廃溶媒であってもよい。
【0012】本発明の水熱反応方法は、被反応物供給系
内へ両親媒性物質を供給して被反応物供給系内の洗浄を
行う洗浄工程を有する。洗浄工程では、この水熱反応工
程の水熱反応開始前、供給される被反応物の種類の切り
替え時および/または被反応物の供給後に、両親媒性物
質を被反応物供給系内に供給する。両親媒性物質の供給
により、被処理物貯留槽や供給路や供給口等を含む被反
応物供給系内の洗浄を行う。
【0013】両親媒性物質とは、疎水性と親水性の両方
の性質を持つ化合物の総称である。本発明ではこのよう
に疎水性と親水性の両方の性質を持つ両親媒性物質を洗
浄剤として被反応物供給系内へ供給するため、被反応物
中に被処理物として極性を有する化合物や、極性が低い
または極性を有しない化合物等が含まれていても、被反
応物が相分離を起こすことを防止でき、被反応物が供給
路や供給口等の被反応物供給系内に付着することを防止
できる。また両親媒性物質は被反応物供給系内において
既に付着してしまった被反応物等を溶解し、または乳状
化して除去する洗浄効果も有する。したがって反応器内
の各物質濃度が設定値に極近いものとなり、水熱反応を
簡単にかつ確実に制御することができる。
【0014】両親媒性物質としては、水溶性有機化合物
および/または界面活性剤を用いることが好ましい。水
溶性有機化合物とは、水と有機溶媒の両方に溶解するこ
とができる有機化合物であり、例えばアセトン、メタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール、DMSO
(ジメチルスルホオキシド)、ジメチルアセトアミド、
DMF(ジメチルホルムアミド)、ホルムアミド等をあ
げることができる。
【0015】界面活性剤は特に限定することなく使用で
きるが、被処理物の種類や性状、抽出後の処理技術に応
じて適宜選択される。例えば、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ
糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤や、脂肪族
石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩エステル塩、高級ア
ルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノー
ルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテルリン酸塩等の陰イオン性界面活
性剤や、脂肪族第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコ
ニウム塩、脂肪族アミン塩、ピリジウム塩等の陽イオン
性界面活性剤や、カルボキシベタイン、アミノカルボン
酸塩、レシチンなどの両性界面活性剤等をあげることが
できる。
【0016】本発明において水熱反応を行うための反応
器は、反応を安全かつ安定して行えるものであればどの
ような形態のものであっても構わない。例えば、チュー
ブ式、ベッセル式、シリンダー式等の反応器、特開平1
1−156186号に示されているような縦筒型反応
器、特許第3036077号に示されているような管型
反応器が挙げられる。反応器は超臨界または亜臨界状態
で水熱反応を行うことができるように、耐熱、耐圧材料
により形成される。例えば、ハステロイ、インコネル、
ステンレス等の耐食性の材質によって形成された反応器
が好ましい。なお反応熱だけでは超臨界または亜臨界状
態に達しない場合に備え、反応器の外部に外部加熱手段
を設けることができる。
【0017】このような反応器には、好ましくは被処理
物供給路、酸化剤供給路、補助燃料供給路、水供給路が
連結する被反応物供給路が連結される。または被処理
物、補助燃料、水があらかじめ混合する混合部から延び
る混合物供給路と酸化剤供給路が被反応物供給路に連結
し、被反応物供給路が反応器に連結していてもよい。被
反応物供給路はそれぞれの被反応物を混合するように構
成するのが好ましい。
【0018】水熱反応開始の際には、通常、反応器は所
定の反応温度付近に予熱され、また反応器内に供給され
る被処理物等の被反応物も予熱される。被反応物の予熱
は、加熱装置を反応器、被処理物供給路、酸化剤供給路
等に設けることによって実施することができる。また通
常、反応器に水や酸化剤を供給し、通常設けられる圧力
調整弁によって所定の圧力に加圧される。所定の温度、
圧力に調整された後、被反応物を供給して水熱反応を開
始する。
【0019】好ましい被反応物の供給方法としては、ま
ず補助燃料と水とを反応器内へ供給して水熱反応を開始
する。そして反応器内で水熱反応が継続して安定した状
態となった時点で被処理物の添加を開始し、順次被処理
物の供給量を増加し、補助燃料の供給量を減少させ、最
終的には補助燃料の供給を停止し、被処理物のみを水熱
反応で処理する。このように、供給される被反応物を補
助燃料から被処理物へ切り替えて供給すると、水熱反応
を効率よく確実に行うことができる。さらに、被処理
物、補助燃料、水からなる部分と、空気とを別々に供給
することが好ましい。別々に供給するには、例えば二重
管ノズルを用いることができる。なお被反応物の供給に
は、被反応物が液体の場合は高圧ポンプ等、気体の場合
はエアコンプレッサーやブースターなどの気体圧縮機等
を使用できる。
【0020】水熱反応における反応温度および圧力は、
水の超臨界または亜臨界状態となるような温度と圧力に
なるように設定されるが、被処理物を安定して確実に分
解するため、所定温度に反応温度を設定することが好ま
しい。例えば一般の有機物の分解には374〜800
℃、好ましくは450〜800℃に制御することによ
り、炭酸ガスおよび水への分解が可能である。アンモニ
ア性窒素や有機性窒素を含む場合には374〜800
℃、好ましくは550〜800℃に制御することによ
り、窒素ガスへの分解が可能である。
【0021】なお被反応物の総熱量変動により反応温度
に変動が生じるので、水熱反応の反応温度をモニタリン
グしながら温度制御することが好ましい。本発明におい
ては洗浄工程を設けることによって管内等の汚染を防止
できるので、反応温度の不安定化を防止できる。その結
果、反応器に供給する被処理物、酸化剤、補助燃料等の
濃度、流量等を調整することによって反応温度の制御を
簡単かつ正確に行うことができる。なお被処理物が十分
な水を含む場合には水の供給は不要であるが、水量が不
足する場合あるいは熱量が大きすぎて高温になりすぎる
場合には水を供給して、水量を補ったり、希釈したりす
ることができる。なお水熱反応における反応圧力は反応
温度ほど処理物性状に大きな影響を与えないが、一定レ
ベルを保ち安定した制御を行うことが望ましい。
【0022】上記のようにして反応器内で水の超臨界ま
たは亜臨界状態で水熱反応を行うと、被処理物の有機物
は酸化剤により酸化されて最終的に水と二酸化炭素に分
解される。あるいは加水分解により低分子化し、無機物
は固体あるいは溶融状態で分離する。反応器内に供給さ
れた両親媒性物質も被反応物とともに酸化分解される一
方、補助燃料として水熱反応に寄与する。水熱反応後、
反応生成物は排出口から排出され、冷却、減圧され、ガ
ス分と液分と、さらに固形物に分離される。
【0023】本発明において両親媒性物質によって洗浄
する被反応物供給系としては、被反応物が残留しやすい
系路であって、例えば、被処理物を貯留槽へ送るための
供給路、被処理物の貯留槽、貯留槽から被処理物を反応
器へ供給するための供給路、補助燃料や酸化剤などの供
給路、供給路から反応器への供給口等をあげることがで
きる。本発明において洗浄される個所はこれらのうち適
宜選択され、例えば被処理物の供給路と供給口のみのよ
うに部分的に洗浄してもよく、また上記被反応物供給系
全てを洗浄してもよい。あるいは貯留槽から洗浄を始め
て、両親媒性物質を貯留槽から供給し、貯留槽から洗浄
を始めて供給路、供給口へと続けて洗浄を行い、最終的
には洗浄液を反応器へ供給してもよい。なお、両親媒性
物質を補助燃料としても使用することもできる。この場
合、補助燃料の供給路や供給口は洗浄しなくてもよい。
【0024】両親媒性物質を水熱反応開始前に供給する
場合、補助燃料や水を反応器へ供給する前に、まず両親
媒性物質を貯留槽、供給路、供給口等を含む被反応物供
給系から反応器へと供給し、前回の水熱反応処理におい
て被反応物供給系内に残留した被反応物を洗浄すること
ができる。残留物を含んだ使用済みの両親媒性物質は反
応器内へと導入され、その後に開始される水熱反応処理
によって分解される。
【0025】さらに両親媒性物質は供給される被反応物
の種類の切り替え時に供給して、系内の洗浄を行うこと
が好ましい。被反応物の切り替え時とは、例えば、異な
る被処理物の水熱反応を開始するために被処理物を別の
被処理物に切り替える場合や、水熱反応開始後に供給物
を補助燃料から被処理物へ切り替える場合や、水熱反応
を終了させる前において供給物を被処理物から補助燃料
へ切り替える場合、水熱反応状態の検査などで水熱反応
処理を一旦停止した後、再度運転開始させる場合等であ
る。このように切り替え時に被反応物供給系内を洗浄す
ることにより、切り替える前に使用された被処理物や補
助燃料を被反応物供給系内から除去することができる。
その結果、切り替えた後に開始される水熱反応の温度を
安定して制御することができる。
【0026】さらに水熱反応終了に際して被反応物の供
給を停止する段階で、両親媒性物質により被反応物供給
系の洗浄を行うことが好ましい。水熱反応が終了して反
応器から反応物を排出した後、両親媒性物質を反応器内
へ供給して反応系内に残留している被処理物や補助燃料
の洗浄を行うこともできる。この場合、予め反応系内を
洗浄しておくことによって、次の水熱反応処理において
反応系内の汚染が生じることを防止でき、安定して水熱
反応処理を行うことができるようになる。なお、洗浄に
使用された両親媒性物質は次の水熱反応において酸化分
解される。
【0027】本発明の水熱反応は、水によって反応系内
を洗浄する水洗工程を、両親媒性物質による洗浄工程の
後に有することが好ましい。両親媒性物質の供給路若し
くは他の供給路から、水を反応系内へ供給することによ
り、洗浄に用いられた両親媒性物質を洗い流すととも
に、洗浄をさらに確実に行うことができる。洗浄に使用
された水はそのまま反応器へと送られ、水熱反応によっ
て分解される。
【0028】
【発明の効果】本発明の水熱反応方法においては、極性
を有する化合物と、極性を殆ど有しないまたは極性を有
しない化合物の両方に親和性を有する両親媒性物質を洗
浄剤として被反応物供給系内へ供給するため、供給路や
供給口等の被反応物供給系内への被反応物の付着を防止
でき、また付着してしまった被反応物を洗浄することが
できる。このように被処理物の極性を考慮することな
く、また極性にばらつきがある被処理物であっても、被
反応物供給系内の汚染を防止できるので、水熱反応温度
を正確に制御して効率良く水熱反応を行うことができ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
1の実施形態の水熱反応方法を示すフロー図を用いて説
明するが、本発明はこれに限定されない。図1におい
て、1は反応器で注入装置1aを有する。2はエアコン
プレッサー、3は外部熱源、4は水槽、6は被処理物
槽、7は両親媒性物質槽、8は補助燃料槽、9は熱交換
器、10は気液分離装置である。
【0030】図1において、反応器1は外部加熱源と圧
力調節弁を有し、反応器内を所定の温度、圧力に調整し
た後、被反応物の供給を開始する。このとき酸化剤とし
て空気が、エアコンプレッサー2から外部熱源3を経て
酸化剤供給路11を通り、注入装置1aへ送られる。補
助燃料が、補助燃料槽8からポンプP3によって補助燃
料供給路14へ送られ、さらに被反応物供給路5から注
入装置1aへと送られる。ここで、空気と、補助燃料と
は混合されずに別々に送られる。そして、反応器1の注
入装置1aにおいて空気と補助燃料が混合されて反応器
1へと供給される。このとき、注入装置1aとして二重
管ノズルを用いることが好ましい。
【0031】このように供給された空気と補助燃料とを
用いて反応器1内において反応を開始する。安定した反
応状態が継続した時点で、被処理物の供給を開始する。
被処理物槽6から延びる被処理物供給路13にはポンプ
P2が設けられており、被反応物供給路5に連結してい
る。バルブV1が開放され、バルブV2が閉鎖された状
態で、被処理物供給路13から被処理物が供給される。
また、必要に応じて水が水槽4からポンプP1によって
水供給路12へ送られ、さらに被反応物供給路5へ送ら
れる。被反応物供給路5において水と被処理物は補助燃
料と混合され、さらに反応器1の注入装置1aにおいて
空気とが混合されて、反応器1へ供給される。なお、こ
のとき被処理物の供給開始とともに補助燃料の供給量を
徐々に減少させ、補助燃料の供給を止めてもよい。反応
器1内では、被処理物の有機物は酸化剤により酸化され
て最終的に水と二酸化炭素に分解される。
【0032】水熱反応において生成する反応生成物は反
応器1の排出口から排出され、熱交換器9を経て冷却さ
れ、気液分離装置10へ送られる。気液分離装置では、
CO 2やN2等のガス分はバルブV5によって減圧されて
ガス排出路19より排出される。一方、固形物を含む処
理水は、バルブV6によって減圧されて、液体排出路2
0より排出される。
【0033】被処理物槽6中の被処理物が全て反応器1
へ供給された後、両親媒性物質を用いて供給系内の洗浄
を行う。両親媒性物質は、両親媒性物質槽7から両親媒
性物質連絡路16を通って被処理物槽6へ導入される。
被処理物槽6を洗浄した両親媒性物質は、ポンプP2に
よって、被処理物供給路13へ供給される。被処理物供
給路13を経た両親媒性物質は、バルブV1が閉鎖さ
れ、バルブV2が開放された状態で、循環路15へ送ら
れ、再度被処理物槽6内へと送られ、循環による洗浄が
行われる。このように両親媒性物質を被処理物槽6、被
処理物供給路13、循環路15を1回または2回以上循
環させることにより、被処理物槽6および被処理物供給
路13内を確実に洗浄することができ、被処理物供給路
13内に被処理物の残留がなくなる。
【0034】なお、被処理物が両親媒性物質に馴染みや
すい性質のものである場合や、槽内や管内に付着しにく
い性質のものである場合、上記のように両親媒性物質を
被処理物槽6および被処理物供給路13内を何度も循環
させる必要はなく、バルブV2を閉鎖し、バルブV1を
開放させた状態で両親媒性物質を一回流すだけでもかま
わない。
【0035】被処理物槽6および被処理物供給路13の
洗浄が終了した時点で、バルブV1を開放し、バルブV
2を閉鎖し、両親媒性物質を被反応物供給路5へ送り、
反応器1へ導入する。ここで、被反応物供給路5内に残
留していた被処理物が両親媒性物質によって洗浄され
て、両親媒性物質と共に反応器1内へ導入される。反応
器1内では、管内に残留していた被処理物を含む両親媒
性物質が水熱反応に供される。両親媒性物質が反応器内
で分解された後、加熱を停止して水熱反応を終了させ
る。
【0036】なお、上記実施の形態においては、洗浄工
程時にバルブV1およびバルブV4を完全に閉鎖してい
るが、これらは閉鎖されていなくてもよい。例えば、バ
ルブV1を所定量流通できる程度に開放し、洗浄に使用
された両親媒性物質が被処理物供給路13から反応器内
へ供給されて継続して水熱反応を行うようにしてもよ
い。被処理物の供給終了後には、洗浄工程が行われた後
に引き続き他の被処理物を被処理物槽6へと導入し、反
応器1内における水熱反応を引き続き行うようにするこ
とができる。
【0037】また上記実施の形態においては、反応開始
時に補助燃料および酸化剤のみを供給しているが、補助
燃料および酸化剤とともに水や被処理物も供給されて反
応が開始されるものであってもよい。
【0038】上記実施の形態において補助燃料が重油
等、管内に付着しやすい性質のものである場合、両親媒
性物質を補助燃料槽8にも供給して、補助燃料槽8や補
助燃料供給路14等の洗浄を行うことが好ましい。また
両親媒性物質を補助燃料として使用することもできる。
この場合、両親媒性物質槽7から補助燃料供給路が延び
て、被反応物供給路5に接続し、補助燃料として反応器
内へ供給することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 廃油およびインク廃水を被処理物とし、アセトンを両親
媒性物質として、水熱反応を行った。反応器として内径
9.45mm、長さ300mmのステンレス管を用い
た。酸化剤として過酸化水素水を利用し、配管部で外部
熱源により370℃に予熱し、さらに反応器外部に設け
たセラミックヒーターで加熱することにより、反応器内
を400℃に安定させた後、廃油を2ml/minで圧
入した。反応器外部に設けたセラミックヒーターと内部
に設けた熱伝対により、反応流体の温度が650℃とな
るようにした。圧力は出口に設けた調圧弁で24Mpa
に調整した。反応開始後45分経過したところで被処理
物の供給を停止し、両親媒性物質の供給管からアセトン
を5分間供給し、引き続いて水を5分間供給した後、加
熱を停止して水熱反応を停止した。
【0040】その後、インク廃水を被処理物として用い
上記の廃油と同様に水熱反応を行った。このとき反応温
度は問題なく制御することができ、水熱反応を安定して
継続することができた。得られた反応生成液は二重管式
冷却器で冷却した。反応生成液は無色透明で、TOCは
10ppmで、被処理物に含まれていた有機物をほぼ完
全に分解することができた。
【0041】比較例1 実施例1の両親媒性物質の代わりに水を用いた点を除い
て実施例1と同様に廃油を被処理物として水熱反応を行
った。その後、実施例1と同様にインク廃水を被処理物
として水熱反応を行ったが、反応器内の温度が安定せ
ず、反応開始後15分経過したところで、あらかじめ設
定していた反応器内の許容温度(670℃)を超えてし
まい、水熱反応を継続して行うことができなかった。
【0042】実施例2 両親媒性物質として、アセトンの代わりに界面活性剤水
溶液(三洋化成(株)製、商品名ノニボール110:ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテルの3重量%の
水溶液)を用いた点を除いて実施例1と同様に廃油およ
びインク廃水を被処理物として水熱反応処理を行った。
その結果、インク廃水の水熱反応において、反応温度を
問題なく制御することができ、水熱反応を安定して継続
することができた。得られた反応生成液は無色透明で、
TOCは10ppmで、有機物がほぼ完全に分解されて
いた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の水熱反応方法を示すフロー
【符号の説明】
1 反応器 1a 注入装置 2 エアコンプレッサー 3 外部熱源 4 水槽 5 被反応物供給路 6 被処理物槽 7 両親媒性物質槽 8 補助燃料槽 9 熱交換器 10 気液分離装置 11 酸化剤供給路 12 水供給路 13 被処理物供給路 14 補助燃料供給路 15 循環路 16 両親媒性物質供給路 19 ガス排出路 20 液体排出路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/74 101 C08J 11/14 4F301 11/08 B09B 3/00 304Z C08J 11/14 ZAB (71)出願人 598124412 ジェネラル アトミックス インコーポレ イテッド アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン ディエゴ ジェネラル アトミックス コ ート 3550 (72)発明者 脇田 正明 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 Fターム(参考) 3B116 AA33 AB53 BB22 BB62 CC01 3B201 AA33 AB53 BB22 BB62 BB93 CC01 4D004 AA02 AA06 AA07 AA47 AA50 AC04 CA39 CC02 CC15 4D050 AA12 AB11 BB01 BC01 BC02 BD02 BD03 4D059 AA01 BC01 CB17 DB02 DB05 DB21 DB40 4F301 CA07 CA22 CA68 CA72 CA73 CA74

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性の被処理物および酸化剤を含む被
    反応物を被反応物供給系から反応器内へ供給し、水の超
    臨界または亜臨界状態で水熱反応させる水熱反応工程
    と、 両親媒性物質を被反応物供給系に供給して被反応物供給
    系内の洗浄を行う洗浄工程とを含む水熱反応方法。
  2. 【請求項2】 洗浄工程を、水熱反応開始前、供給され
    る被反応物の種類の切り替え時および/または被反応物
    の供給後に行う請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 水溶性有機化合物および/または界面活
    性剤を両親媒性物質として使用する請求項1または2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 両親媒性物質による洗浄工程後、被反応
    物供給系内を水で洗浄する水洗工程を含む請求項1〜3
    のいずれかに記載の方法。
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