JP2002126712A - ダイオキシン類の処理方法および装置 - Google Patents

ダイオキシン類の処理方法および装置

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JP2002126712A
JP2002126712A JP2000300235A JP2000300235A JP2002126712A JP 2002126712 A JP2002126712 A JP 2002126712A JP 2000300235 A JP2000300235 A JP 2000300235A JP 2000300235 A JP2000300235 A JP 2000300235A JP 2002126712 A JP2002126712 A JP 2002126712A
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dioxins
extraction
extractant
reactor
water
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JP2000300235A
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English (en)
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Masaaki Wakita
正明 脇田
Masanori Hashimoto
正憲 橋本
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Komatsu Ltd
Kurita Water Industries Ltd
General Atomics Corp
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Komatsu Ltd
Kurita Water Industries Ltd
General Atomics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン類含有物に含まれているダイオ
キシン類を簡単な操作で効率よく、しかも低コストで安
全に無害化することができるダイオキシン類の処理方法
および装置を提供する。 【解決手段】 ダイオキシン類を含む被抽出物11を粉
砕機12で粉砕したのち抽出装置3に導入し、一方抽出
剤槽2の抽出剤18を循環路16に供給し、循環路16
を循環させることにより被抽出物層46を下向流で通液
し、被抽出物11中のダイオキシン類を抽出する。この
抽出処理液31は循環路16から一部ずつ取り出し熱交
換器23で加熱し、高圧ポンプ22により系路24から
水熱反応装置5の供給装置26に送り、ここで酸化剤槽
6からポンプ27により系路28を通して送られる酸化
剤30(例えば空気、過酸化水素水)と混合し、混合流
を反応器32に下向流で供給し、水の超臨界または亜臨
界状態の状態で水熱反応を行い、ダイオキシン類を酸化
分解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水の超臨界または
亜臨界状態で水熱反応によりダイオキシン類を酸化分解
して無害化するダイオキシン類の処理方法および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリクロロジベンゾ−p−ジオキシン
(PCDD)、ポリクロロジベンゾフラン(PCDF)
およびコプラナーPCBなどを一般にダイオキシン類と
称しており、塩素の置換数、塩素の置換位置などによっ
て多くの同族体がある。このようなダイオキシン類はご
み焼却施設やパルプ工場の塩素漂白工程等の産業工程で
発生しており、極めて毒性が強く社会的な問題となって
いる。ダイオキシン類を発生させないための発生源対策
はもちろんであるが、すでに汚染されたごみ焼却場内お
よびその周辺の土壌、あるいは河川、湖沼、海等の底質
などのダイオキシン類含有物の無害化処理技術の開発、
実用化が緊急の課題である。
【0003】ダイオキシン類含有物の無害化処理技術に
は、焼却、化学的分解、生物的分解などの方法がある。
しかし、ダイオキシン類含有物が土壌などの固体の場合
には適用できる処理技術が限定されたり、処理されるダ
イオキシン類が微量であるにもかかわらず大規模な装置
が必要でありコスト高になる。このため、種々のダイオ
キシン類含有物からダイオキシン類を簡単に効率よく、
しかも低コストで無害化することができる方法が要望さ
れている。
【0004】特開平11−5099号には、ダイオキシ
ン類を含んだ汚泥にダイオキシン抽出剤を混合してダイ
オキシン類を抽出する方法が記載され、ダイオキシン抽
出剤としてアセトン、アセトニトリル、ベンゼン、ジメ
チルスルホキシド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが例示
されている。しかし上記公報には、抽出したダイオキシ
ン類の具体的な処理方法は記載されていない。
【0005】ところで、水の超臨界または亜臨界状態
で、被反応物を酸化反応や加水分解反応させて廃棄物を
分解したり、エネルギーを生成したり、化学物質を製造
したりする水熱処理は30年以上に亘って研究され、利
用されてきている。特に近年、水の超臨界または亜臨界
状態で有機物を含む被反応物と、酸化剤を反応させるこ
とにより酸化反応を生じさせ、被反応物中の有機物を短
時間で、ほぼ完全に分解する水熱処理が注目されてい
る。
【0006】このように水熱処理して被反応物中の有機
物を酸化分解する場合、被反応物、酸化剤および水を加
圧、加熱し反応器へ供給し、反応させる。(この場合、
被反応物に予め適当量の水を含む場合は水を供給する必
要はない。)反応の結果有機物は酸化分解され、水と二
酸化炭素を主とする高温高圧の反応生成物が得られる。
反応生成物はエネルギー回収されるか、冷却、減圧さ
れ、ガス分と液分とに分離される。
【0007】このような水熱処理を利用してダイオキシ
ンを分解する方法として、特開平9−327678号に
は、ダイオキシン類を含む無機粉末を超臨界水に分散さ
せてダイオキシン類を分解する方法が記載されている。
しかし上記方法では、ダイオキシン類に汚染された土壌
などを処理する場合には土壌全体を超臨界水に分散させ
て処理する必要があるので大規模な反応装置が必要とな
り、コスト高になる。また上記方法はバッチ式の処理方
法であり、連続的に処理することはできない。
【0008】また「用水と廃水」、Vol. 41, No. 8, p3
4(1999)には、ダイオキシン類汚染土壌に高温高圧水を
通水してダイオキシン類を高温高圧水中に溶解させて抽
出し、この抽出処理液を過酸化水素の存在下に超臨界水
酸化する方法が記載されている。しかし上記方法は、水
不溶性のダイオキシン類を水に溶解させる必要があるの
で、抽出系を極めて高温かつ高圧状態に維持し、超臨界
またはそれに近い状態の高温高圧水で抽出する必要があ
り、コスト高になる。さらに、土壌全体をこのような高
温高圧状態で抽出する必要があるので耐熱および耐圧性
の大規模な抽出装置が必要となり、コスト高になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ダイ
オキシン類含有物に含まれているダイオキシン類を簡単
な操作で効率よく、しかも低コストで安全に無害化する
ことができるダイオキシン類の処理方法および装置を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は次のダイオキシ
ン類の処理方法および装置である。 (1) ダイオキシン類含有物にダイオキシン類を可溶
化する有機性抽出剤を接触させてダイオキシン類を抽出
する抽出工程と、抽出工程で得られた抽出処理液を水の
超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解する
水熱反応工程とを含むダイオキシン類の処理方法。 (2) 有機性抽出剤が疎水性および親水性を有する両
親媒性物質と水とを含む抽出剤である上記(1)記載の
ダイオキシン類の処理方法。 (3) 両親媒性物質が界面活性剤である上記(2)記
載のダイオキシン類の処理方法。 (4) ダイオキシン類含有物にダイオキシン類を可溶
化する有機性抽出剤を接触させてダイオキシン類を抽出
する抽出装置と、抽出装置で得られた抽出処理液を水の
超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解する
水熱反応装置とを含むダイオキシン類の処理装置。
【0011】本発明で処理の対象になるダイオキシン類
含有物は、ダイオキシン類を含有するものであれば特に
限定されない。例えば、ダイオキシン類を含有する土
壌、底質、飛灰、汚泥、紙、布などがあげられる。具体
的には、ごみ焼却場内およびその周辺の土壌、ごみ埋立
て地の土壌、パルプ工場の塩素漂白排水処理汚泥、なら
びに工場、ごみ焼却場およびごみ埋立て地周辺の河川、
湖沼および海等の底質などがあげられる。本発明は固体
に適用するのが好ましく、特に土壌または底質に対して
適用するのが好ましい。
【0012】ダイオキシン類としては、ポリクロロジベ
ンゾ−p−ジオキシン(PCDD)、ポリクロロジベン
ゾフラン(PCDF)、コプラナーPCB、およびこれ
らの同族体などがあげられる。具体的には、2,3,
7,8−テトラクロロダイオキシン、1,2,3,7,
8−ペンタクロロダイオキシン、1,2,3,4,7,
8−ヘキサクロロダイオキシン、1,2,3,6,7,
8−ヘキサクロロダイオキシン、1,2,3,7,8,
9−ヘキサクロロダイオキシン、1,2,3,4,6,
7,8−ヘプタクロロダイオキシン、1,2,3,4,
6,7,8,9−オクタクロロダイオキシン等のダイオ
キシン;2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラ
ン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾフラ
ン、2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラ
ン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾフ
ラン、1,2,3,6,7,8−ヘキサクロロジベンゾ
フラン、1,2,3,7,8,9−ヘキサクロロジベン
ゾフラン、2,3,4,6,7,8−ヘキサクロロジベ
ンゾフラン、1,2,3,4,7,8,9−ヘプタクロ
ロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプ
タクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,
8,9−オクタクロロジベンゾフラン等のポリクロロジ
ベンゾフラン;3,3’,4,4’−テトラクロロノン
オルトコプラナーPCB、3,3’,4,4’,5−ペ
ンタクロロノンオルトコプラナーPCB、3,3’,
4,4’,5,5’−ヘキサクロロノンオルトコプラナ
ーPCB等のノンオルトコプラナーPCB;2,3,
3’,4,4’−ペンタクロロモノオルトコプラナーP
CB、2,3’,4,4’,5−ペンタクロロモノオル
トコプラナーPCB、2’,3,4,4’,5−ペンタ
クロロモノオルトコプラナーPCB、2,3,4,
4’,5−ペンタクロロモノオルトコプラナーPCB、
2,3,3’,4,4’,5−ヘキサクロロモノオルト
コプラナーPCB、2,3,3’,4,4’,5’−ヘ
キサクロロモノオルトコプラナーPCB、2,3’,
4,4’,5,5’−ヘキサクロロモノオルトコプラナ
ーPCB、2,3,3’,4,4’,5,5’−ヘプタ
クロロモノオルトコプラナーPCB等のモノオルトコプ
ラナーPCB;2,2’,3,3’,4,4’,5−ヘ
プタクロロジオルトコプラナーPCB、2,2’,3,
4,4’,5,5’−ヘプタクロロジオルトコプラナー
PCB等のジオルトコプラナーPCB;上記化合物の塩
素原子の一部または全部が臭素原子に置き換わった臭素
化ダイオキシン類などがあげられる。
【0013】ダイオキシン類含有物中のダイオキシン類
は単一の化合物であってもよいし、2種以上の混合物で
あってもよい。
【0014】本発明で使用する有機性抽出剤(以下、単
に有機性抽出剤という場合がある)は、ダイオキシン類
を可溶化するもの、好ましくは常温常圧で可溶化するも
のであれば限定されず、疎水性および親水性を有する両
親媒性物質と水との混合物;有機溶媒などが使用でき
る。抽出剤としては、抽出後のダイオキシン類含有物の
処理の点などから両親媒性物質と水との混合物が好まし
い。例えば、汚染土壌からダイオキシン類を抽出する
際、抽出剤として両親媒性物質と水との混合物を使用し
た場合、有機溶媒を用いた場合に比べて、抽出後の土壌
は水で洗浄するだけで容易に両親媒性物質を分離するこ
とができ、洗浄後の土壌はそのまま現状復帰させること
ができる。
【0015】抽出剤として使用する疎水性および親水性
を有する両親媒性物質としては、一分子内に疎水性基と
親水性基とを有する両親媒性の化合物、または分子が水
中で溶解もしくは会合して疎水性の領域および親水性の
領域を形成する化合物が特に制限なく使用できる。
【0016】疎水性基としては、炭素数8〜20の脂肪
族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、−
(OCH2C(CH3)H)n−(ポリオキシプロピレン基、
nは整数)、炭素数4〜20のフルオロカーボン基など
があげられる。
【0017】親水性基としては、−OH、−O(CH2
2)n−(ポリオキシエチレン基、nは整数)、−CO
OHおよびその塩、−SO3Hおよびその塩、−O−S
3H(硫酸エステル基)およびその塩、−O−PO3
2もしくは(−O)2−PO2H(リン酸エステル基)およ
びそれらの塩、−NH2およびその塩、−NHR(Rは
低級アルキル基)およびその塩、−NR12(R1およ
びR2は低級アルキル基)およびその塩、−N+12
3(R1、R2およびR3は低級アルキル基)、ならびに複
素環4級アンモニウム塩などがあげられる。
【0018】抽出剤として使用する両親媒性物質として
は、界面活性剤、アルコール、フェノール、アミン、ア
ミノ酸などがあげられる。その他にも、水中で溶解また
は会合して疎水性の領域を形成する高分子化合物、例え
ばポリペプチド、多糖類、さらにはバイオサーファクタ
ントと称されている微生物が生産する界面活性作用を有
する物質などがあげられる。これらの中では界面活性剤
が好ましい。
【0019】界面活性剤の具体的なものとしては、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂
肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン性界
面活性剤;脂肪族石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩エ
ステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等の陰
イオン性界面活性剤;脂肪族第四級アンモニウム塩、塩
化ベンザルコニウム塩、脂肪族アミン塩、ピリジニウム
塩等の陽イオン性界面活性剤;カルボキシベタイン、ア
ミノカルボン酸塩、レシチン等の両性界面活性剤などが
あげられる。
【0020】これらの中では、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩;脂肪族
第四級アンモニウム塩、脂肪族アミン塩、ピリジニウム
塩;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩が好まし
い。両親媒性物質は一種単独で使用することもできる
し、二種以上を組み合せて使用することもできる。
【0021】抽出剤中の両親媒性物質の含有量は、両親
媒性物質および水の合計に対して0.01〜7重量%、
好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.
5〜3重量%とするのが望ましい。7重量%より使用量
を多くすることもできるが、コスト高になる。
【0022】両親媒性物質は、ダイオキシン類含有物と
接触させる前に予め水と混合して抽出剤を調製しておく
こともできるし、接触させる際に両親媒性物質と水とを
別々に添加することもできる。
【0023】抽出剤としては有機溶媒も使用でき、例え
ばアセトン、アセトニトリル、ベンゼン、ジメチルスル
ホキシド、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなど
があげられる。
【0024】本発明ではダイオキシン含有物を抽出工程
において上記のような抽出剤と接触させてダイオキシン
類を抽出する。ダイオキシン類含有物と抽出剤とを接触
させる方法は特に限定されず、ダイオキシン類含有物と
抽出剤と混合する方法;ダイオキシン類含有物と両親媒
性物質と水とを混合する方法;ダイオキシン類含有物を
カラムに充填し、このカラムに抽出剤を通液する方法な
どがあげられる。接触は連続式に行うこともできるし、
バッチ式に行うこともできる。
【0025】このような接触は公知の混合抽出装置また
は抽出塔などにより行うことができる。例えば、ダイオ
キシン類含有物および抽出剤の投入口、排出口ならびに
混合撹拌手段を備えた混合接触式の抽出装置;ダイオキ
シン類含有物を充填する充填カラム、このカラムに抽出
剤を循環させる循環手段を備えた通液接触式の抽出装置
などにより行うことができる。これらの抽出装置は耐熱
および耐圧性の装置である必要はない。
【0026】接触させる際の温度条件は、抽出剤の凍結
温度より高く沸騰温度未満の温度、好ましくは40〜1
00℃、さらに好ましくは50〜90℃とするのが望ま
しく、時間は1〜120分間、好ましくは5〜90分
間、さらに好ましくは20〜60分間とするのが望まし
い。この時の圧力は減圧、常圧または加圧のいずれでも
よく、好ましくは常圧である。
【0027】本発明において好ましい抽出条件は、両親
媒性物質の含有量が0.05〜5重量%、温度が40〜
100℃の条件であり、さらに好ましい抽出条件は、両
親媒性物質の含有量が0.5〜3重量%、温度が50〜
90℃の条件である。この時の圧力は減圧、常圧または
加圧のいずれでもよく、好ましくは常圧である。また本
発明において特に好ましい抽出方法は、両親媒性物質の
含有量が0.05〜5重量%の抽出剤を用いて40〜1
00℃で5〜90分間接触を行う方法であり、最も好ま
しい抽出方法は、両親媒性物質の含有量が0.5〜3重
量%の抽出剤を用いて50〜90℃で20〜60分間接
触を行う方法である。この時の圧力は減圧、常圧または
加圧のいずれでもよく、好ましくは常圧である。
【0028】なお、両親媒性物質として非イオン性界面
活性剤を使用する場合は、使用する非イオン性界面活性
剤の曇点温度以上の温度では親水性が低下するので、曇
点未満の温度で接触させるのが好ましい。またダイオキ
シン類含有物と抽出剤と混合して接触させる場合は、混
合液を撹拌するのが好ましい。抽出剤の使用量は、ダイ
オキシン類含有物の0.1〜200容量倍、好ましくは
0.5〜50容量倍、さらに好ましくは1〜20容量倍
とするのが望ましい。
【0029】接触に際し、ダイオキシン類含有物は予め
粉砕処理しておくのが好ましい。粉砕により抽出剤との
接触面積が多くなるので抽出率が高くなる。粉砕の程度
は、抽出効果、および抽出後のダイオキシン類と抽出処
理液との分離工程の効率などを考慮して決定することが
できる。例えば、土壌の場合20mm以下、好ましくは
10mm以下とするのが望ましい。粉砕の方法および装
置は特に制限されず、ミルやポンプ等の粉砕装置を用い
る方法、超音波照射装置により超音波を照射する方法、
振動を与える装置により振動させる方法などがあげられ
る。
【0030】また接触処理する際に、ダイオキシン類含
有物と抽出剤との混合物に超音波を照射したり、振動を
与えたりする抽出促進手段を併用することにより、抽出
を促進させることもできる。上記抽出促進手段を併用す
る場合は、ダイオキシン類含有物の粉砕も同時に進行す
る。
【0031】このようにしてダイオキシン類含有物と抽
出剤とを接触させると、ダイオキシン類が被抽出物から
容易に脱離し、抽出剤(液)側に移行する。例えば、ダ
イオキシン類が強固に結合している土壌からもダイオキ
シン類が容易に脱離し、抽出剤(液)側に移行する。こ
れにより、ダイオキシン類含有物からダイオキシン類が
抽出される。ダイオキシン類含有物と抽出剤とを混合し
て抽出する場合、抽出終了後は、遠心分離、濾過などの
固液分離手段により、被抽出物と、ダイオキシン類を含
む抽出処理液とに固液分離することができる。被抽出物
は水で洗浄することにより抽出剤を分離することがで
き、特に抽出剤として両親媒性物質と水との混合物を使
用した場合、水で洗浄するだけで容易に両親媒性物質を
土壌から分離することができ、洗浄後の土壌はそのまま
現状復帰させることができる。
【0032】上記により得られる抽出処理液は水熱反応
工程に送られる。水熱反応工程では抽出工程で得られる
抽出処理液を水熱反応装置に導入して水熱反応により有
機物の酸化分解を行う。水熱反応装置は抽出処理液を水
の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解す
るように構成される。
【0033】水熱反応は、超臨界または亜臨界状態の高
温高圧の水および酸化剤の存在下に抽出処理液を酸化反
応により酸化分解する反応である。ここで超臨界状態と
は374℃以上、22MPa以上の状態である。また亜
臨界状態とは例えば374℃以上、2.5MPa以上2
2MPa未満あるいは374℃以下、22MPa以上の
状態、あるいは374℃以下、22MPa未満であって
も臨界点に近い高温高圧状態をいう。
【0034】このような水熱反応は抽出処理液が酸化剤
と混合した状態で水熱反応装置に導入されて行われ、こ
れらの混合物が反応器内部で水熱反応を受ける。酸化剤
としては、空気、酸素、液体酸素、過酸化水素水、硝
酸、亜硝酸、硝酸塩、亜硝酸塩等を用いることができ
る。酸化剤は、抽出処理液と混合されて供給されてもよ
いし、供給口を二重管ノズルにして複層流として供給し
てもよい。また必要により触媒、中和剤、補助燃料、廃
液、廃棄物、水等が添加される場合があるが、これらも
被反応物と混合して、あるいは別々に反応器に供給する
ことができる。
【0035】本発明で用いられる水熱反応装置は超臨界
または亜臨界状態で水熱反応を行うように、耐熱、耐圧
材料により、実質的に垂直方向に配置した筒状反応器で
形成される。反応熱だけでは超臨界または亜臨界状態に
達しない場合には外部加熱手段を設けることができる。
反応器の形状は円筒、だ円筒、多角筒のものを用いるこ
とができ、下端部はコーン状とすることができる。この
ような水熱反応装置により超臨界または亜臨界状態で水
熱反応を行うと、ダイオキシン類、抽出剤および他の有
機物は酸化剤により酸化されて最終的に水と二酸化炭素
に分解され、あるいは加水分解により低分子化し、無機
物は固体あるいは溶融状態で分離する。反応生成物は固
形物を分離後、冷却、減圧され、ガス分と液分に分離さ
れる。このように超臨界圧または亜臨界圧状態で水熱反
応を行うと、ダイオキシン類は短時間でほぼ完全に分解
され、無害化する。
【0036】上記の水熱反応装置は従来より水熱反応に
用いられているものをそのまま用いることができるが、
特開平11−156186号に示されているように、上
部に逆流を伴う混合反応域、下部に栓状流反応域を形成
する実質的に垂直な反応器に、さらに上部に設けられた
供給装置から抽出処理液と酸化剤の混合流を下向流で供
給して上部の混合反応域で逆流を伴う混合流を形成して
水熱反応を行い、下部の栓状流反応域で平行な下向栓流
を形成して追加の水熱反応を行う構造のものが好まし
い。
【0037】水熱反応装置の材質は制限されないが、ハ
ステロイ、インコネル、ステンレス等の耐食性の材質が
好ましい。水熱反応装置には耐腐食性ライナーを設ける
のが好ましい。耐腐食性ライナーは特に限定されず、特
開平11−156186号に開示されたような耐腐食性
ライナーと圧力負荷壁との間に間隙が存在するような耐
腐食性ライナーを用いることができる。
【0038】水熱反応装置には反応混合物を排出口から
排出する前に冷却するための冷却手段を設けることがで
きる。冷却手段は特に限定されないが、反応器内に水を
導入して冷却し、無機塩を溶解してその排出を促進する
ことができる。また、反応器内に酸やアルカリを含む水
を導入して冷却し、アルカリや酸の中和を行うことがで
きる。固体の粘着性が著しい場合には、反応器の内壁に
付着した固体を除去するための機械的除去装置を設ける
ことができる。固体除去のための機械的除去装置は特に
限定されないが、特開平11−156186号で開示さ
れた切欠窓部分を含む実質的に円筒状のスクレーパが好
適である。
【0039】水熱反応装置から排出される反応流体中の
固形物を分離する分離手段を設けることができる。特
に、超臨界状態の反応流体中では無機塩類が溶解せずに
固体として含まれているため、水熱反応により被反応物
から生成する塩の量が多い場合、不溶化している無機物
を分離することにより、処理水の再利用が容易になる。
固形物分離手段は特に限定されず、水熱反応装置から反
応流体を導入する流入口および固体を除去した流体を排
出する流出口を備えた容器と、容器内に配設されて前記
反応流体に含まれている前記固体を除去し、排出する手
段とを備えたものが使用できる。なお、冷却、減圧の工
程で、固体分離や気液分離の手段を含むこともできる。
【0040】水熱反応装置による反応開始の手段は特に
制限されない。通常、反応器は反応開始にあたって所定
の反応温度付近に予熱される。予熱は加熱装置を反応器
に設けるか、あるいは抽出処理液および/または酸化剤
供給路に設けて加熱された水や空気を導入して実施する
ことができる。また、通常、反応器に水や酸化剤を供給
し、通常設けられる圧力調整弁によって所定の圧力に加
圧される。所定の温度、圧力に調整された後、被反応物
である抽出処理液を含む流体を供給して水熱反応を開始
する。反応によってダイオキシン類、抽出剤および他の
有機物が分解され、反応熱が発生する。水熱反応装置上
部(反応器上部)に逆流を伴う混合反応域を設けた場
合、ここで逆流を伴う混合作用で被反応物、酸化剤およ
び反応器内容物などが十分に混合されるため、流体の温
度が上昇する。これにより、供給される被反応物は速や
かに水熱反応を開始し、安定した反応が継続されること
になる。反応流体は反応器内を下向きに移動し、栓状流
反応域で継続反応した後、排出口から排出される。反応
器の長さ:直径の比は1:1〜100:1が好ましい。
【0041】水熱反応装置を出た反応流体は、固体が存
在している場合は固体を分離した後、冷却して減圧され
気液分離される。反応容器内で冷却されて液体が生成し
ている場合は、必要によりさらに冷却された後、気液分
離を行う。最終的に生成した水、気体などは、そのまま
エネルギー回収されたり、物質として再利用されたり、
そのままあるいは追加処理されて廃棄される。
【0042】土壌を例にとってさらに具体的な処理方法
の一例を説明する。ダイオキシン類で汚染された土壌は
通常の土木技術で掘り出し、ミルやポンプなどの粉砕装
置で前記粒径まで粉砕する。得られた粉砕土壌を抽出槽
に入れ、前記濃度の抽出剤を加え、土壌と抽出剤との混
合物を前記温度で前記時間撹拌し、抽出処理する。抽出
終了後は、遠心分離、濾過などにより固液分離し、分離
土壌を洗浄したのち脱水または適宜空気などで乾燥する
ことにより回収する。回収した土壌は抽出効果を確認し
た後、保管または現状復帰や埋立てなどに利用される。
また別の方法として、粉砕土壌をカラムに充填し、前記
温度で抽出剤をカラムに循環通液することにより、抽出
処理することもできる。こうして得られるダイオキシン
類を含む抽出処理液はダイオキシン類と抽出剤とを分離
することなく、そのまま水熱反応装置へ送り、ダイオキ
シン類および抽出剤を同時に分解処理して無害化するこ
とができる。
【0043】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ダイオキ
シン類含有物に抽出剤を接触させてダイオキシン類を抽
出した抽出処理液を水の超臨界または亜臨界状態で水熱
反応により酸化分解するようにしたので、ダイオキシン
類を簡単な操作で効率よく、しかも低コストで安全に無
害化することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
により説明する。図1は実施形態のダイオキシン類の処
理装置を示すフロー図である。
【0045】図1において、1は被抽出物槽、2は抽出
剤槽、3は抽出装置、4は抽出処理液槽、5は水熱反応
装置、6は酸化剤槽である。被抽出物槽1にはダイオキ
シン類を含む被抽出物を導入する被抽出物導入路10が
連絡している。被抽出物槽1から、槽内の被抽出物11
を粉砕して供給するための粉砕機12を有する系路13
が抽出装置3の上部に連絡している。
【0046】抽出装置3は上部に系路13、下部に被抽
出物取出路14が連絡し、また抽出剤を上部から導入
し、下部から取り出して循環するようにポンプ15を有
する循環路16が接続している。循環路16には抽出剤
槽2から系路17が連絡し、抽出剤18が抽出装置3に
供給できるように構成されている。抽出装置3には必要
により加熱装置19が設けられる。抽出装置3は高温高
圧の装置である必要はない。
【0047】抽出処理液槽4には循環路16から分岐す
る系路21が連絡している。抽出処理液槽4から、高圧
ポンプ22および熱交換器23を有する抽出処理液供給
路24が、水熱反応装置5の上部に設けられた供給装置
26に連絡している。供給装置26には、酸化剤30を
供給する酸化剤槽6からポンプ27を有する系路28が
連絡している。この供給装置26は酸化剤30と抽出処
理液31の混合流を反応器32に下向流として供給する
ように反応器32に取付けられている。
【0048】水熱反応装置5は中空の反応器32を有
し、内部に反応域が形成されるようになっている。水熱
反応装置5には必要により保温材33が設けられる。反
応器32の下部から系路37が熱交換器23に連絡し、
熱交換器23から系路38が冷却器39を介して気液分
離器40に連絡している。気液分離器40から気体排出
路41および液体排出路42が系外に連絡している。冷
却器39には冷却水路44が連絡している。なお上記の
装置においてポンプ、弁等が必要であるが、省略して図
示されている。
【0049】上記の装置における処理は以下のように行
われる。ダイオキシン類を含む被抽出物11は被抽出物
槽1から取り出し、粉砕機12で粉砕したのち系路13
から抽出装置3に導入し、被抽出物層46を形成させ
る。抽出剤槽2の抽出剤18は系路17から循環路16
に供給し、循環路16を循環させることにより被抽出物
層46を下向流で通液する。この時の条件は抽出剤の凍
結温度より高く沸騰温度未満の温度、好ましくは40〜
100℃、さらに好ましくは50〜90℃とするのが望
ましく、抽出時間は1〜120分間、好ましくは5〜9
0分間、さらに好ましくは20〜60分間とするのが望
ましい。圧力は減圧、常圧または加圧のいずれでもよ
く、好ましくは常圧である。これにより、被抽出物11
中のダイオキシン類は抽出剤18に移行する。ダイオキ
シン類を抽出した抽出処理液31は循環路16から一部
ずつ取り出し抽出処理液槽4に貯留する。ダイオキシン
類を抽出した被抽出物は、連続式、間欠式またはバッチ
式に被抽出物取出路14から系外へ排出する。
【0050】抽出処理液槽4の抽出処理液31は熱交換
器23で加熱し、高圧ポンプ22により抽出処理液供給
路24から水熱反応装置5の供給装置26に送り、ここ
で酸化剤槽6からポンプ27により系路28を通して送
られる酸化剤30(例えば空気、過酸化水素水)と混合
し、混合流を反応器32に下向流で供給して水熱反応を
行う。反応器32では反応開始時に熱交換器23または
系路28に設けられる予熱器(図示せず)により、加熱
を行って超臨界または亜臨界状態に保って水熱反応を行
う。供給装置26から供給される混合流は反応器32の
内部で酸化分解が行われる。これによりダイオキシン
類、抽出剤およびその他の有機物が分解される。
【0051】反応器32の反応物は系路37から熱交換
器23に導入して被反応物となる抽出処理液31を加熱
した後、冷却器39に導入して冷却水路44から供給す
る冷却水で冷却し、気液分離器40で気液分離し、気体
排出路41から気体を排出し、液体排出路42から処理
水を排出する。
【0052】図1の装置において、水熱反応により被反
応物から生成する塩の量が多い場合は、水熱反応装置5
の下端と熱交換器23との間に、塩を分離するための固
液分離器を設けることができる。
【0053】好ましい形態の水熱反応装置5について、
以下に説明する。水熱反応装置5は耐熱、耐圧性材料に
より下部が円錐状となった円筒状の反応器32が好まし
く、この反応器32は上から逆流を伴う混合反応域、栓
状流反応域および冷却域が形成されている。反応器32
の上部に供給装置26が設けられている。供給装置26
は下端部に供給口を有する小円筒状の供給ノズルと混合
部からなる。混合部の供給ノズルは水熱反応装置5の上
部から供給口が反応器32内に下向きに開口するように
取り付けられている。混合部に設けられた被反応物導入
部および酸化剤導入部に、それぞれ抽出処理液供給路2
4および系路28が連絡している。
【0054】反応器32の内壁には耐腐食性のライナー
が形成されている。反応器32のライナーの内側に間隔
を保って下部が円錐状となった円筒からなるスクレーパ
が回転可能に設けられており、反応器32の下端部の小
径部に挿入された小径部に連絡する駆動機構により回転
させられるようになっている。水熱反応装置5の小径部
の中央部を通して下から冷却水路が立ち上がっている。
反応器32の下端部の小径部には反応物取出部が設けら
れており、系路37が連絡している。
【0055】上記の装置における水熱反応は、抽出処理
液供給路24から抽出処理液を供給し、系路28から酸
化剤30を供給して供給装置26および混合部で混合
し、混合物を供給ノズルの供給口から反応器32内に下
向流で供給して、超臨界または亜臨界の状態で水熱反応
を行う。この間、駆動機構によりスクレーパを回転させ
て、反応器32の内壁に付着する固形物を剥離し、冷却
水路から冷却水を反応器32の下部に吹き込んで冷却
し、液化した液体に可溶性成分を溶解させ流下させる。
反応物は液体および固体とともに系路37から取り出さ
れる。
【0056】上記の水熱反応では反応器32の上部に逆
流を伴う混合反応域、その下部に栓状流反応域、さらに
その下部に冷却域が形成される。逆流を伴う混合反応域
と栓状流反応域が水熱反応域であり、冷却水によって冷
却される冷却域では水熱反応は起こらない。逆流を伴う
混合反応域では下向流とともに、逆流である上向流が形
成されており、供給口から供給される混合流は循環する
下向流と混合して循環し、供給直後に被反応物と酸化剤
の混合物が循環流中に均一に分散する。このため混合物
は循環流の熱を受けて直ちに超臨界または亜臨界状態に
なるため水熱反応が進行し、逆流を伴う混合反応域中を
循環する間に被反応物の大部分が分解する。
【0057】逆流を伴う混合反応域の循環流のうち、供
給口から供給される混合流に相当する量は栓状流反応域
に移り、重力により下向流を形成する。栓状流反応域に
おける下向流は実質的に平行流であり、緩速流として流
下し、その間水熱反応は継続し、残余の被反応物は分解
される。
【0058】冷却域では冷却水路から吹込まれる冷却水
により冷却されて超臨界温度以下になることにより反応
物中の液成分が液化し、塩等の可溶性成分を溶解し、固
形物を分散させた状態で反応物とともに系路37から取
り出される。反応装置から取り出された反応流体は気液
分離することにより固形物を分散させた液体と気体に分
離され、必要によりさらに冷却、気液分離が繰り返され
る。
【0059】上記の装置において、水熱反応により被反
応物から生成する塩の量が少ない場合、スクレーパおよ
び駆動機構は省略することができる。水熱反応装置とし
ては、図1に示す水熱反応装置5として上記の装置を用
いることができる。
【0060】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。な
お、各実施例および比較例では、ダイオキシン類含有物
として、ダイオキシン類で汚染された土壌(10,00
0pg−TEQ/g−土壌、土壌平均粒径2mm以下)
を使用した。なお、上記TEQは2,3,7,8−テト
ラクロロダイオキシン毒性等価量(2,3,7,8−T
CDD Toxicity Equivalency
Quantity)と呼ばれる指標であり、ダイオキシ
ン類の毒性の総量を2,3,7,8−テトラクロロダイ
オキシンの量に換算して表示する指標である。
【0061】実施例1 陰イオン界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムを水に溶解し、濃度0.05重量%の抽出剤
を調製した。次にダイオキシン類汚染土壌1.00gお
よび上記抽出剤150mLを200mLのビーカーに入
れ、22℃で、撹拌羽根を用いて150rpmで撹拌し
ながら30分間抽出した。その後、3000rpmで遠
心分離して上澄液(抽出剤)を回収し、上澄液中のダイ
オキシン類の濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0062】実施例2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの濃度が0.1
重量%の抽出剤を用いた以外は実施例1と同じ方法で行
った。結果を表1に示す。
【0063】実施例3 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりに、非
イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン モノ−
4−ノニルフェニルエーテル(オキシエチレン重合度:
15)を用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。結
果を表1に示す。
【0064】実施例4 抽出温度を50℃に変更した以外は実施例1と同じ方法
で行った。結果を表1に示す。
【0065】実施例5 抽出温度を50℃に変更した以外は実施例3と同じ方法
で行った。結果を表1に示す。
【0066】実施例6 撹拌する前に超音波処理した以外は実施例4と同じ方法
で行った。すなわち、ダイオキシン類汚染土壌1.00
gおよび実施例1と同じ抽出剤150mLを200mL
のビーカーに入れた後、このビーカーを超音波浴(発振
周波数:36kHz、出力:65W)に入れて5分間超
音波処理した。その後、50℃で、撹拌羽根を用いて1
50rpmで撹拌しながら30分間抽出した。その後は
実施例1と同じ方法で上澄液中のダイオキシン類の濃度
を測定した。結果を表1に示す。
【0067】実施例7 ポリオキシエチレン モノ−4−ノニルフェニルエーテ
ル(オキシエチレン重合度:15)を水に溶解し、濃度
1重量%の抽出剤を調製した。ダイオキシン類汚染土壌
10gおよび上記抽出剤150mLを200mLのビー
カーに入れた後、実施例6と同じ方法で10分間超音波
処理した。その後、60℃で、撹拌羽根を用いて150
rpmで撹拌しながら60分間抽出した。その後は実施
例1と同じ方法で上澄液中のダイオキシン類の濃度を測
定した。結果を表1に示す。
【0068】実施例8 ポリオキシエチレン モノ−4−ノニルフェニルエーテ
ル(オキシエチレン重合度:20)を水に溶解し、濃度
1重量%の抽出剤を調製した。ダイオキシン類汚染土壌
10gおよび上記抽出剤150mLを200mLのビー
カーに入れた後、実施例6と同じ方法で10分間超音波
処理した。その後、90℃で、撹拌羽根を用いて150
rpmで撹拌しながら60分間抽出した。その後は実施
例1と同じ方法で上澄液中のダイオキシン類の濃度を測
定した。結果を表1に示す。
【0069】比較例1 抽出剤の代わりに水を単独で用い、実施例1と同じ方法
で行った。結果を表1に示す。
【0070】比較例2 抽出剤の代わりに水を単独で用い、実施例4と同じ方法
で行った。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】 *1 略号 A:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム B:ポリオキシエチレン モノ−4−ノニルフェニルエーテル(オキシエチレ ン重合度:15) C:ポリオキシエチレン モノ−4−ノニルフェニルエーテル(オキシエチレ ン重合度:20)
【0072】表1の結果から、水単独ではダイオキシン
類は抽出することはできないが、実施例1〜8のように
両親媒性物質を併用することによりダイオキシン類を簡
単な操作で効率よく抽出することができることがわか
る。
【0073】実施例9 実施例8で得たダイオキシン類を含む抽出処理液(TO
C:4900ppm)を、内径8mm、長さ450mm
のハステロイC276管を反応装置として、水熱酸化反
応を行った。酸化剤としては35重量%濃度の過酸化水
素水を用い、これを1ml/minの割合で高圧ポンプ
で反応装置に圧入した。過酸化水素水は反応装置に入る
前の配管部で外部熱源により370℃に予熱した。抽出
処理液は過酸化水素水と反応装置をつなぐ配管中で混合
し、この混合液を1.5ml/min(抽出処理液とし
ては0.5ml/min)の割合で反応装置直前に設け
た注入口から反応装置へ圧入した。
【0074】反応装置はセラミックヒーターと内部に設
けた熱伝対を使って、反応流体の温度が650℃となる
ようにした。反応流体は二重管式冷却器で冷却した。圧
力は出口に設けた圧力弁で24MPaに調整した。得ら
れた水熱反応処理液は無色透明で、ダイオキシン類の濃
度は検出限界(10ng−TEQ/L)以下、TOCの
濃度も検出限界(1ppm)以下であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施形態のダイオキシン類の処理装置を
示すフロー図である。
【符号の説明】
1 被抽出物槽 2 抽出剤槽 3 抽出装置 4 抽出処理液槽 5 水熱反応装置 6 酸化剤槽 10 抽出物導入路 11 被抽出物 12 粉砕機 13、17、21、28、37、38 系路 14 被抽出物取出路 15、27 ポンプ 16 循環路 18 抽出剤 19 加熱装置 22 高圧ポンプ 23 熱交換器 24 抽出処理液供給路 26 供給装置 30 酸化剤 31 抽出処理液 32 反応器 33 保温材 39 冷却器 40 気液分離器 41 気体排出路 42 液体排出路 44 冷却水路 46 被抽出物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B09B 3/00 C07D 319/24 C02F 11/00 B09B 3/00 304K C07D 307/91 304G 319/24 304Z (71)出願人 000001063 栗田工業株式会社 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 (72)発明者 脇田 正明 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 橋本 正憲 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BB00 BB01 BB02 BC05 BD00 BD11 4C037 SA03 4D004 AA02 AA12 AA37 AA41 AB07 AC05 CA40 CB04 CC05 4D056 AB19 AC01 AC20 CA31 4D059 AA00 AA09 BH01 BH08 BK30 DB11 DB40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイオキシン類含有物にダイオキシン類
    を可溶化する有機性抽出剤を接触させてダイオキシン類
    を抽出する抽出工程と、 抽出工程で得られた抽出処理液を水の超臨界または亜臨
    界状態で水熱反応により酸化分解する水熱反応工程とを
    含むダイオキシン類の処理方法。
  2. 【請求項2】 有機性抽出剤が疎水性および親水性を有
    する両親媒性物質と水とを含む抽出剤である請求項1記
    載のダイオキシン類の処理方法。
  3. 【請求項3】 両親媒性物質が界面活性剤である請求項
    2記載のダイオキシン類の処理方法。
  4. 【請求項4】 ダイオキシン類含有物にダイオキシン類
    を可溶化する有機性抽出剤を接触させてダイオキシン類
    を抽出する抽出装置と、 抽出装置で得られた抽出処理液を水の超臨界または亜臨
    界状態で水熱反応により酸化分解する水熱反応装置とを
    含むダイオキシン類の処理装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004337815A (ja) * 2003-05-19 2004-12-02 Chubu Electric Power Co Inc 改質装置及び方法
JP2007000757A (ja) * 2005-06-23 2007-01-11 Nippon Tmi Co Ltd 残留性有機汚染物質の分離処理方法
JP2009201690A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 汚染物質を含む処理残渣の処理方法、それに用いる容器
CN115248258A (zh) * 2021-04-27 2022-10-28 湖南中烟工业有限责任公司 一种包装材料中多氯联苯的待测样品制备和检测方法

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