JP2003180159A - 樹木の生長点を多く含む一年目、二年目に成長した枝や剪定材を利用した菌茸類の栽培及び菌茸菌糸体を含む家畜や魚類の養殖餌の開発技術 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】果樹及び公園等の剪定素材を環境ゼロミッショ
ンを目的にし、万年茸の培地に利用して栽培し、剪定素
材に含まれている有効成分を資源として万年茸に含有さ
せ栽培するシステムの開発。 【解決手段】剪定素材をチップ状にし、培地として利用
し万年茸を栽培すると剪定素材に含まれている成分を損
なわずに万年茸に含有させることができる。その方法は
培地の殺菌工程において８０℃以下の温度で殺菌するこ
とが望ましい。培地を８０℃以下の温度で殺菌を完全に
するには培地のｐＨを５．５以下の酸性にする。ｐＨの
調整はその培地に入れた樹が持つ有機酸を選択し利用す
る。培地から万年茸の育成には室内の大気環境が弱嫌気
性状態にすると形状が枝状又は鹿角状に成長し、タンパ
ク多糖体、キチン質、ゲルマニウム、有機酸、ポリフェ
ノール類の含有量が増加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】菌茸類の栽培技術に関するシ
ステム。

【０００２】

【従来の技術】果実の剪定剤、庭園、公園、街路樹の剪
定剤はこれまで廃棄又は焼却されていた。焼却はダイオ
キシンの発生原因とされ、最近では禁止される傾向にあ
る。他にはチップ化し街路や公園に敷かれている。果樹
園ではチップは昆虫や昆虫の卵が紛れ嫌われている。多
くは廃棄処分され、有効利用されていない。

【０００３】剪定剤などの一年目、二年目の素材はタン
ニン、リグニンの含有率が高く、菌茸類の栽培培地には
向かないために利用されていない。

【０００４】万年茸の栽培はハウス栽培等の施設のなか
で栽培が一般的であるがハウスのビニールは雨よけと遮
光だけが目的であり、選択的に波長特性を利用し光合成
させる栽培はされていない。空気中の酸素濃度は自然の
成り行きで栽培され選択的な炭酸ガス濃度の調整による
栽培期間の短縮やタンパク多糖体等の内容成分を高める
ために選択的炭酸ガスの調整による嫌気性の環境は作ら
れていない。

【０００５】万年茸の菌床培地は落葉樹、広葉樹などの
大きな木の切り株を利用しており、木の生長点の多く含
む場所を選択的に利用し、ポリフェノール類、フラボノ
イド類及び樹木の持つ成長ホルモンを選択的に有効に取
り出し万年茸に含有させる栽培は行われていない。生産
量の拡大には森林資源の存在が欠かせない条件である。

【０００６】健康食品として利用されているフラボノイ
ド類の多くはこれまで葉から抽出し摂取されている。お
茶の葉、桑の葉、銀杏の葉、ビワの葉等である。万年茸
の栽培によってフラボノイド類ポリフェノール類を選択
的に吸収させる方法は存在していない。

【０００７】剪定剤などは公害の原因として敬遠されて
いるのが、現状では廃棄場所に問題が生じている。クリ
ーンエコシステムとして資源の有効利用を考慮した菌茸
類の栽培はされていない。

【０００８】菌茸類の栽培工程では高圧殺菌、高温殺菌
が多く、１００℃以上の殺菌によって菌床培地を殺菌
し、植菌している。タンパク多糖体などの高品質のタン
パク質の育成には８０℃を超えない低温下の殺菌が望ま
しく、８０℃以下の低温殺菌は行われていない。

【０００９】おからも豆腐製造の工程では食品廃棄物と
して再利用化の法律が制定されたが、大量処分の効果的
処理はまだ実現されていない。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】果樹生産、食品生産な
ど全ての産業現場が循環クリーンエコシステムを求めら
れている。大量に発生する剪定材、おから共にこれまで
大量使用される循環式クリーンシステムが確立していな
い。しかしこの二つの素材に含まれている資源の価値は
人類や家畜の健康に直接結びつく素材が多く、果樹の剪
定素材には、多糖体、ポリフェノール類、フラボノイド
類、ギンコライドその他の成長ホルモンなどである。大
豆のおからには大豆タンパク、イソフラボン、カルシウ
ムなどある。これまではこれらの処理は、化学的抽出に
よって利用する傾向が多く、失敗例が多い。循環式エコ
システムの考え方は生産工程から廃棄物を出さない方法
として、菌茸類の培地の分解能力を利用するとその後も
家畜の飼料として利用でき最後は完全な有機堆肥に転換
でき完全な有機リサイクルシステムが提供できる。

【００１１】

【発明が解決するための手段】本発明は果樹園、庭園等
の剪定材を放置又は廃棄されている現状から、地域の資
源を有効に利用し、地域の産業の創造を目的とする。剪
定材の効果的な利用から万年茸を栽培する栽培技術によ
って万年茸に含有するタンパク多糖体の一つ、β−Ｄ−
グルカンの含有率を上げ、同時に果実や銀杏、桑、ヒワ
の木、お茶などの葉に多く含まれている、フラボノイド
類や果実に含まれているプリフェノール類を含有される
技術である。これまで木の葉からフラボノイド類を抽出
することが銀杏、桑の葉、お茶などでは葉を採集し、抽
出し、利用されている。木の一年目、二年目の若い枝は
落葉樹は落葉時から春の新芽が出る期間、常緑樹は４月
の新芽が出る前の期間に葉が光合成したポリフェノール
類フラボノイド類が濃縮され多く含有している。銀杏の
葉には多くのフラボノイド類、ギンコライドは既に公知
となっている。銀杏が紅葉し落葉した後の一年目、二年
目の枝に多くのフラボノイド類、ギンコライドが含有し
ており、その剪定剤をチップ状にして７０〜８０℃の高
温で１０〜２０時間の一定時間帯で蒸す工程を持つと銀
杏の木が保有している、抗菌作用が低下し、万年茸の培
地として利用することが出来る。その培地によって万年
茸を生育させると銀杏の木に含有しているフラボノイド
類、ギンコライドの成分を損なわず含有したまま生育す
る。他に落葉樹のリンゴ、梅、桑、梨、ブドウ、桃、
柿、や園芸作物の桑及び常緑樹の柑橘類、楠、ビワ、南
天、においても秋から冬の葉の光合成が進み一定の時期
には同様にポリフェノール類、フラボノイド類を含有し
ており、同時に抗菌作用の多いタンニン質を多く含有し
ている。一定時間高温で蒸す工程によって木の持つ抗菌
作用を低下させると万年茸の培地として利用が可能であ
る。木によっては木の酸度ＰＨ及び木が持つ油脂分の含
有量に違いがあり、同一の樹でも栽培地域によって酸
度、油脂分の含有量に違いがあり、一定ではない。高温
殺菌の温度が８０℃を超え、長時間蒸す工程を経過する
と菌床培地の温度が油脂分によって上がりその結果、培
地が炭化し、β−Ｄ−グルカンの含有量及びポリフェノ
ール類、フラボノイド類は変成し万年茸の含有量は大幅
に低下する。最適殺菌温度帯は７０〜８０℃である。但
し菌床培地に混入が予測できる菌類、耐熱菌はこの温度
帯では培地の完全な殺菌は困難である。菌床培地の完全
な殺菌が行われていないと他の菌類に侵され万年茸の栽
培効率は大幅に低下する。万年茸はＰＨ５．５が最適生
育酸度であるがＰＨ１．２から生命は維持し、ＰＨ３に
おいても生育は可能である。樹の酸度は全て違いがあ
り、ＰＨ４〜５の範囲で培地を調整し８０℃以下の温度
で一定時間殺菌を行うと菌床培地の内部は殺菌ができ
る。ＰＨの調整には梅の木はクエン酸、リンゴの木はリ
ンゴ酸、その他樹木の種類によって選択する有機酸を選
別する。木酢、竹酢も有効なＰＨ調整剤である。剪定素
材だけでは菌の増殖に時間がかかり、栄養成分として、
ふすま、ぬか、大豆おから等を一定量撹拌する。菌床培
地を殺菌後万年茸の菌を植菌し、菌糸を一定期間培養
後、炭酸ガス濃度３，０００ｐｐｍ以上の弱嫌気性から
嫌気性の環境で室内温度は２０〜３０℃湿度８０〜９５
％を維持し、育成する。選択的に子実体にポリフェノー
ル類、フラボノイド類を多く含有させるには光の波長４
５０ｎｍをキチン質の育成には５５０〜６５０ｎｍの両
方の波長特性を持つ蛍光灯を選択し一定時間照射する。
ＰＨの調整により、８０℃以下の温度帯で培地を殺菌
し、タンパク多糖体及びフラボノイド類、ポリフェノー
ル類キチン質を安定し含有させる万年茸の栽培方法。

【００１２】万年茸の最適生育温度帯は２０〜３０℃湿
度８０〜９０％であり、他に万年茸は空気中の炭酸ガス
濃度を調整し弱嫌気性から嫌気性の状態で維持し光の波
長を４５０ｎｍ前後と５５０〜６５０ｎｍの特性を持つ
蛍光灯を５〜８時間／日、照射することによって子実体
の早い生育が見られる。子実体の形状は鹿角状の形状に
なり大きく生育する。子実体の形状が鹿角状に生育する
と万年茸の中のβ−Ｄ−グルカンの含有量が好気性の環
境で生育する普通の茸の形状よりも３〜５倍多く最大で
は個体の６０％の含有量を示した。子実体の形状が鹿角
状の形状になり、波長光４５０ｎｍ前後を一定時間照射
するとポリフェノール類、フラボノイド類の含有量は個
体の重量１００ｇに対して１００〜３５０ｍｇと増加
し、キチン質は５５０〜６５０ｎｍの波長光を一定時間
照射すると６〜１５ｇに増加する。炭酸ガス濃度を調整
せず好気性の状態で且つ温度と湿度のバランスだけで生
育すると傘が大きく生育し、β−Ｄ−グルカンの含有量
は固体の１０〜１５％以下しか含有せずポリフェノール
類、フラボノイド類は１００ｇ中１００ｍｇ以下、キチ
ン質は６ｇ以下の含有量であった。

【００１３】万年茸を栽培した培地にはまだ多くの菌糸
体が残存しており、万年茸の菌糸体はカブトムシ、クワ
ガタムシなどの甲虫類の餌となる。残存培地そのものが
餌になり、幼虫の飼育ができる。

【１０１４】万年茸に含まれている菌糸体にはタンパク
多糖体の一つ、β−Ｄ−グルカンを含有している、この
物質は家畜の免疫力を改善する効果があり、家畜厩舎の
床材として利用したり、家禽類、豚、牛の餌に一定量混
ぜることによって免疫力が改善される。

【１０１５】果樹園、公園などの剪定材はその多くがこ
れまで焼却処分されていた。焼却処分は今後禁止する行
政指導がおななわれている。しかし有効的なリサイクル
システムは確立されていない。例えば青森県のリンゴ栽
培面積は約２５，０００ｈａであり、リンゴの剪定材は
１ｈａ約３ｔである。青森県だけで７５，０００ｔの農
業公害素材が残存している。現在全国に約２９５，００
０ｈａの果樹園があり、約８８５，０００ｔの剪定材が
廃棄されている。豆腐製造から発生しているおからの量
も消費地に多い、おからは水分が多く且つ腐敗が早いた
めに、再加工が困難な事例が多い。おからの腐敗を防止
するにはカルシウムイオン又は粉末カルシウムを添加又
はＰＨ４前後に調整すると腐敗するまでの時間が延長で
きる。水分の吸収には剪定素材の木屑によって処理でき
る。豆腐の製造場所又は剪定素材の木屑生産場所のどち
らかに場所を選定し一定量を撹拌し、ＰＨ４〜５の範囲
において温度７０〜８０℃で一定の時間殺菌後に２０℃
以下の温度環境下において万年茸を植菌し、一定温度と
湿度下のなかで一定期間タンク培養を行う。１５〜３０
日で菌糸体がタンク培地全体に繁殖する。簡便な粉末乾
燥機において乾燥処理すると持続性のある完全有機飼料
として利用できる。大量処理も可能である。この廃棄物
を再資源化するシステムは公害の減少と地域の新産業の
創生が可能である。

【発明の実施の形態】

【００１６】菌床培地となる落葉果樹の剪定作業の多く
は晩秋から早春の新芽が出ない時期である。常緑の果樹
は秋の収穫が終わった時期、楠も同じ時期、びわは花芽
が出る前の早秋、桑、銀杏は秋から早春に多くのポリフ
ェノール類、フラボノイド類が生長点に含まれている。
常緑樹は葉を取り除き、一年目、二年目の枝を含む剪定
材をチップ状に粉砕し、チップのの繋ぎ材としてふすま
や糠を全体重量の１／３前後混ぜ、ＰＨ調整のためにリ
ンゴ酸、クエン酸、等の有機酸又は木酢、竹酢等を調合
し水を加え撹拌する。ＰＨのバランスは初めに試験的デ
ータを取らなければチップの状態では確認出来ない。一
定時間チップを蒸し、ＰＨを確認しバランスを取る。菌
床培地の大きさは生産する万年茸の大きさに合わせて設
定する。一般的には１、０００ｃｃ前後のプラスチッ
ク、ガラス瓶、又はプラスチックフイルムの耐熱性の素
材などが可能である。他に陶器でも可能である菌床培地
をＰＨ４〜５の間で調整し培地容器に入れ７０〜８０℃
の温度で１０時間〜２０時間殺菌し、その後、培地温度
が２０℃以下の温度になった状態で万年茸を植菌し、１
０〜２０℃の温度帯で１０〜２０日菌床培地の培養す
る。万年茸の菌糸が完全に培養できた状態を確認した時
点で育成部屋に入れ、室温２０〜３０℃湿度８０〜９５
％、炭酸ガス濃度３，０００ｐｐｍ以上の弱嫌気性から
嫌気性の室内で光の波長４５０ｎｍ、５５０〜６５０ｎ
ｍ間で管理すると７０〜９０日後には、１、０００ｃｃ
の菌床培地で生重量９０〜１５０ｇの鹿角状の万年茸が
栽培出来る。収穫後乾燥した万年茸の乾燥重量は３０〜
５０ｇとなる。それぞれの含有量の分析は以下の通りで
ある。β−Ｄ−グルカンは酵素法、全ポリフェノール
類、フラボノイド類はＦｏｌｉｎ−Ｄｅｉｓ法キチン質
はＥｌｓｏｎ−Ｍｏｒｇａｎ法によっておこなった。

【００１７】発明の実施形態その２タンク培養器におい
て剪定素材のチップと大豆おからを等分又は１：３の比
率で配合し菌床培地をつくりミキシングする。リンゴ酸
などによって全体の酸度ＰＨ４〜５にし、７０〜８０℃
の加熱殺菌を行い、殺菌後、２０℃以下に温度を下げた
後に、万年茸の菌を撹拌し投入する。タンク培養器の中
には他の菌類を入れない工夫の中で定期的に撹拌し、全
体に万年茸を繁殖させる。全体に万年茸が繁殖するとタ
ンク培養器の中は白く全体に膜をつくり菌糸体がタンク
全体に培養出来た状態で取り出し、水分立１５％以下に
乾燥させると持続性のある畜産又は養殖場の餌に利用で
きる。

【発明の効果】果樹産地、公園の剪定素材は毎年大量の
各地で発生している。循環式グリーンエコシステムによ
って処理でき、且つ地域の産業として再資源化され、β
−Ｄ−グルカン及びポリフェノール類、フラボノイド
類、キチン質は健康食品の大きな素材である。豆腐製造
から廃棄されている大豆おからも残存物は資源としての
価値は高い素材である。剪定素材と大豆おからをミック
スし、万年茸の菌によって発酵した素材は畜産の餌と云
うよりも体質改良剤に近い構造を有している。畜産の餌
は低価格によって多量に消化され、共に廃棄物から利用
することから価格的には対応が可能である。どちらも有
機的循環リサイクルシステムとして持続的要素の高い効
果がある。地域の高齢化社会の健康に結びつき社会貢献
の大きなシステムである。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】果樹園芸並びに庭園、公園、街路樹などの
   一年目、及び二年目の枝及び剪定材を利用し、菌茸類を
   栽培する技術。落葉果実のリンゴ、ブドウ、梨、柿、
   桃、梅、キウイフルーツ等や常緑果実の柑橘類、ビワ、
   及び園芸花卉品目の銀杏、桑などの剪定素材や庭園、公
   園の樹木の剪定素材の一つ、夏ハゼ、楠、南天等を利用
   し、万年茸の菌床培地に利用した栽培技術。剪定素材に
   は生長点が多く含まれている。一年目、二年目に成長し
   た樹木の枝にはポリフェノール類、フラボノイド類及び
   樹木の持つ、多くの成長ホルモンを始め有効成分を含有
   している。生長点を多く含む一年目、二年目の枝を粉砕
   し万年茸の菌床培地に利用し、その成分を万年茸の栽培
   によって吸収させ育成する技術。
2. 【請求項２】万年茸の栽培室の大気を炭酸ガス濃度の調
   整によって弱嫌気性から嫌気性の状態にして光の波長を
   ４５０ｎｍ及び５５０〜６５０ｎｍの範囲で選択し、一
   定時間照射することによって栽培期間が約３０％短縮で
   き、同時に万年茸に含有するタンパク多糖体の一つ、β
   −Ｄ−グルカンを固体重量に対して４０〜６０％、キチ
   ン質は６〜１５％に、ポリフエノール類。フラボノイド
   類が１００ｇの中に１００〜３５０ｍｇと多くを含有さ
   せ栽培する技術。
3. 【請求項３】剪定材を菌茸の菌床培地に利用し、これま
   で産業公害の一つであった素材を有効利用し、同時にそ
   の収穫後の菌床培地を甲虫及びクワガタムシの培地とし
   て繁殖させ、最後は完全な園芸作物の有機堆肥として利
   用した循環型エコリサイクルシステムとして活用する技
   術開発。
4. 【請求項４】剪定素材をチップ状にして食品廃棄物の一
   つおからを一定量の比率で撹拌し、ＰＨを調整後に、一
   定時間低温殺菌を行い、後にその中で万年茸の菌糸を培
   養し、万年茸の菌によって培地が分解した後に、培地と
   その中の菌糸体を乾燥するとタンパク多糖体の一つ、β
   −Ｄ−グルカンの含有量が多く且つ、ポリフェノール
   類、フラボノイド類の含有も多く、おからの大豆タンパ
   クが多く含有しており高品質の、畜産や養殖の餌として
   利用できる。