JP2003176179A - セラミックグリーンシートの製法および積層型電子部品の製法 - Google Patents

セラミックグリーンシートの製法および積層型電子部品の製法

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JP2003176179A
JP2003176179A JP2001377147A JP2001377147A JP2003176179A JP 2003176179 A JP2003176179 A JP 2003176179A JP 2001377147 A JP2001377147 A JP 2001377147A JP 2001377147 A JP2001377147 A JP 2001377147A JP 2003176179 A JP2003176179 A JP 2003176179A
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green sheet
ceramic green
ceramic
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Koushirou Sugimoto
幸史郎 杉本
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】キャリアフィルム上における界面の濡れ性を改
善できるスラリを形成し、それを用いて欠陥のない均質
なセラミックグリーンシートを形成するためのセラミッ
クスラリおよびそれを用いたセラミックグリーンシート
の製法および積層型電子部品の製法を提供する。 【解決手段】セラミック粉末、バインダおよび溶媒を含
むセラミックスラリを用いてキャリアフィルム3の表面
に塗布膜5を形成する塗布工程と、該塗布膜5を乾燥す
る乾燥工程とを具備するセラミックグリーンシートの製
法において、前記塗布膜5の接触角θが50°以下であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックグリー
ンシートの製法および積層型電子部品の製法に関し、特
に、薄層化したセラミック層により構成される積層セラ
ミックコンデンサ、積層型アクチュエータ、圧電トラン
スおよび多層基板等の積層型電子部品に好適に用いられ
るセラミックグリーンシートの製法および積層型電子部
品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、積層型電子部品の小型、高性能
化に伴い、それに用いられるセラミック層の薄層化が求
められている。近年では、例えば、5μm以下という極
めて薄いセラミックグリーンシートを得るための製法の
改良が図られており、例えば、特開平11−14499
2号公報に開示されるようなものが知られている。
【0003】この公報に開示されたセラミックグリーン
シートの製法では、セラミックスラリが、例えば、Ba
TiO3等のセラミック粉末と、ブチラール系樹脂から
なるバインダと、トルエンとエチルアルコールとを1:
1で混合した混合溶媒とから構成され、塗布工程におい
ては、キャリアフィルム上に、予め、1度目の塗布膜を
形成し、その塗布膜上に2度目の塗布膜を形成すること
が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−144992号公報に開示されるようなセラミッ
クグリーンシートの製法では、セラミックスラリが高分
子重合度の高いバインダにより構成され、しかも12重
量%程度と多く混合されているために、セラミックスラ
リの粘度が高くなり、塗布工程においてキャリアフィル
ムに対する塗布膜の接触角θが50°より大きくなり濡
れ性が悪化するという問題があった。
【0005】また、上記のように2度の塗布工程により
形成されるようなセラミックグリーンシートでは、剥離
を容易にするために、1度目に形成した塗布膜が過度に
乾燥されているために、その上面に2度目の塗布膜を形
成したとしても1度目の塗布膜に形成されたピンホール
等の欠陥の痕跡が残り易くなり平滑な塗布膜を形成し難
いという問題があった。
【0006】また、所望のセラミックグリーンシートを
得るために少なくとも2回の塗布工程が必要となり製造
コストが増加するという問題があった。
【0007】さらに、このように平滑性の劣るセラミッ
クグリーンシート上に電極ペーストを印刷すると、セラ
ミックグリーンシートの欠陥部に電極ペーストが浸透す
ることによりセラミックグリーンシートを焼成して形成
されるセラミック層の絶縁性が低下し、積層型電子部品
の高温負荷寿命および耐電圧等の信頼性が低下するとい
う問題があった。
【0008】従って、本発明は、キャリアフィルム上に
おける界面の濡れ性を改善できるセラミックスラリを用
いて欠陥のない均質なセラミックグリーンシートを得る
ことができるセラミックグリーンシートの製法を提供す
ることを目的とする。さらには、これらのセラミックグ
リーンシートを用いて高積層であっても信頼性を向上で
きる積層型電子部品の製法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミックグリ
ーンシートの製法は、セラミック粉末、バインダおよび
溶媒を含むセラミックスラリを用いてキャリアフィルム
の表面に塗布膜を形成する塗布工程と、該塗布膜を乾燥
する乾燥工程とを具備するセラミックグリーンシートの
製法において、前記塗布膜の接触角θが50°以下であ
ることを特徴とする。
【0010】このようにセラミックスラリのキャリアフ
ィルムに対する接触角θが50°以下であるため、セラ
ミックスラリの表面張力が低く、塗布直後にキャリアフ
ィルム上にセラミックスラリが濡れ広がるためキャリア
シートとのハジキが抑えられ、このため、セラミックグ
リーンシートを薄層化してもオープンボイドやピンホー
ル等の欠陥を抑制することができる。
【0011】上記セラミックグリーンシートの製法で
は、セラミックスラリは、粘度測定における降伏値が1
-3Pa以下であることが望ましい。セラミックスラリ
の降伏値を10-3Pa以下とすることにより、塗布膜の
保形力が低下し、キャリアフィルムに対する接触角θを
さらに小さくできることから、セラミックグリーンシー
トの欠陥を防止し平滑性を高めることができる。
【0012】上記セラミックグリーンシートの製法で
は、セラミック粉末の平均粒径が0.1〜1μmである
ことが望ましい。セラミックスラリを構成するセラミッ
ク粉末の平均粒径を0.1〜1μmの範囲とすることに
より、セラミック粉末同士の凝集が抑えられ均質で欠陥
の無いセラミックグリーンシートを容易に得ることがで
きる。
【0013】上記セラミックグリーンシートの製法で
は、バインダの高分子重合度が1500以下であること
が望ましい。バインダの高分子重合度を1500以下と
することにより、セラミックスラリの降伏値をさらに低
下できることから、キャリアフィルム上での濡れ性をさ
らに高め、セラミックグリーンシートの平滑性を高める
ことができる。
【0014】また、高分子重合度を小さくすることによ
り、塗工直後のキャリアフィルム側へのバインダの沈降
を抑制できるため、キャリアフィルムからのセラミック
グリーンシートの離型性を高めるとともに、表面のオー
プンボイドやピンホール等の欠陥を防止できる。
【0015】上記セラミックグリーンシートの製法で
は、界面活性剤がアルキレンオキサイド付加物を有する
アルキレングリコールであることが望ましい。界面活性
剤としてアルキレングリコールを用いることにより、セ
ラミック粉末への吸着速度を高めるとともに分散性を向
上できる。さらには、このアルキレングリコールに結合
されている付加物をアルキレンオキサイドとすることに
より、さらに、動的表面張力を低下することができ、こ
のためセラミックスラリの降伏値を低くできることから
キャリアフィルムに対する濡れ性をさらに高めることが
できる。
【0016】本発明のセラミックグリーンシートの製法
では、キャリアフィルムは表面に硬化型シリコン樹脂膜
からなる有機膜を有し、且つ該有機膜の厚みが40nm
以上であることが望ましい。
【0017】このように有機膜として、厚み40nm以
上の硬化型シリコン樹脂膜を用いることにより、セラミ
ックスラリに含まれる溶媒による浸食を防止し、セラミ
ックグリーンシートが薄くても均質性を高めることがで
きるとともに、キャリアフィルムからの離型性を高める
ことができる。
【0018】本発明のセラミックグリーンシートの製法
では、塗布工程における塗布膜の成形速度が、10〜1
00m/minであり、乾燥工程における塗布膜形成直
後の温度を溶媒の沸点以下とし、最終の温度を溶媒の沸
点以上とすることが望ましい。
【0019】本発明では、セラミックグリーンシートを
形成する際に、濡れ性の高いセラミックスラリを用いる
ことにより、成形時の成形速度を上記のように高速化し
てキャリアフィルムの移動を速くしても全面均一な塗布
膜を維持できる。
【0020】また、塗布膜を上記のように低温から徐々
に高温まで高めるという方法をとることにより、溶剤の
急激な沸騰による表面荒れやひび割れなどの欠陥を抑制
でき、薄層化しても均質で欠陥の無いセラミックグリー
ンシートを容易に形成できる。
【0021】さらには、上記のように、キャリアフィル
ムに対する濡れ性を高めたセラミックスラリを用いてい
ることから、従来のように2度の塗布工程を用いなくて
も平滑な塗布膜を容易に形成できるため、工程数を削減
でき、このことにより製造コストを低減することができ
る。
【0022】上記セラミックグリーンシートの製法で
は、厚みが3.5μm以下であることが望ましい。本発
明のセラミックグリーンシートの製法はキャリアフィル
ムからの離型が困難となるような極めて薄く形成される
セラミックグリーンシートを形成するために好適に用い
られ、特に、その厚みが3.5μm以下であるものに対
して、その軽剥離性およびセラミックグリーンシートの
強度および均質性を改善できるものである。
【0023】本発明の積層型電子部品の製法は、上記の
製法により得られたセラミックグリーンシート上に電極
ペーストを塗布して電極パターンを形成する工程と、該
電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを
複数積層する工程と、該積層体を焼成する工程とを具備
することを特徴とする。
【0024】即ち、上記の製法により形成されたセラミ
ックグリーンシートは薄層化しても、オープンボイドや
ピンホール等の欠陥がないことから、高積層の積層型電
子部品を形成した場合においても高信頼性を容易に得る
ことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるセラミック
スラリについて説明する。
【0026】本発明のセラミックスラリの特性であるキ
ャリアフィルムに対する接触角θは50°以下であるこ
とが重要である。そして、接触角θが50°以下、望ま
しくは45°以下であることが、セラミックスラリのキ
ャリアフィルムに対する濡れ性を改善でき、塗布直後の
ハジキ等を防止する上で望ましい。
【0027】そして、このような接触角θを形成するセ
ラミックスラリの粘度特性としては、オープンボイドや
ピンホールの発生を抑制し、高速成形が可能な条件に調
整する必要があるが、例えば、ハーケ社製のレオメータ
RS100を用いて、コーン直径20mmφ、コーン角
度1°の装置条件において、降伏値は10-3以下が望ま
しく、特に、塗布膜の保形性を高めるとともに、バイン
ダの沈降を抑制し均質性を向上させるという理由から、
降伏値は10-4〜10-3であることが望ましい。また、
粘度は、低せん断速度域10〜30s-1において50〜
500Pa・sで、高せん断速度域1800〜2200
-1において20〜200Pa・sの範囲であること
が、急激なせん断速度の変化を余儀なくされる高速成形
において塗膜の表面状態を安定化させるという理由から
望ましい。
【0028】ここで、図1は、本発明のセラミックスラ
リを用いて形成された塗布膜のキャリアフィルムに対す
る接触角θを示す模式図である。
【0029】一般に、濡れは液体が固体表面から気体を
押しのける現象であり、固体表面と液体との付着現象で
あるが、エネルギー的には、固気界面張力をσSG、固液
界面張力をσSL、液滴(ここでは、セラミックスラリ)
の表面張力をσLとしたときに、σLcosθ=σSG−σ
SLの関係で表されるものであるが、図1に示すように、
接触角θはキャリアフィルム3上に形成された塗布膜5
のキャリアフィルム3とのなす接触角θである。
【0030】そして、本発明では、キャリアフィルム3
から一定寸法(例えば、50×50mm2)の面積の切
出し片を作製して、この切出し片の一方表面側にセラミ
ックスラリを塗布してセラミックスラリの塗布膜5を形
成し、このセラミックスラリの塗布膜5を横方向から写
真撮影を行い、塗布膜5とキャリアフィルム3との接触
角θをその写真から評価することにより評価できる。
【0031】本発明を実施するにあたっては、セラミッ
ク粉末の種類や具体的な組成に特別の制約は無く、チタ
ン酸バリウム系やチタン酸ストロンチウム系、チタン酸
鉛系などの誘電体セラミック粉末、アルミナ、シリカな
どの絶縁セラミック粉末などの種々のセラミック粉末を
用いたセラミックスラリに広く適用することが可能であ
る。
【0032】また、このセラミック粉末には、上記の主
成分のほかに、焼結性を高める焼結助剤や誘電特性を制
御する添加剤を含んでも良い。例えば、セラミック粉末
がチタン酸バリウムを主成分としている場合に、添加剤
としてガラス、酸化マンガン、酸化マグネシウム、希土
類酸化物などを含有してもよい。
【0033】また、セラミック粉末の平均粒径について
は、上述のように、セラミック粉末同士の凝集を抑える
とともに、セラミックスラリの表面張力を低減できると
いう理由から、0.1〜1μmであることが望ましく、
特に、セラミックスラリを均一に分散し、それを用いて
形成されるセラミックグリーンシートを高密度化すると
いう理由から、0.4〜0.8μmであることがより望
ましい。尚、セラミック粉末の平均粒径は電子顕微鏡写
真を切片法により評価した平均値とした。
【0034】また、バインダとしては、ポリビニルブチ
ラール樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などを用いること
が可能であるが、目的とするセラミックグリーンシート
に応じて、適宜その種類及び量が選択される。その他の
バインダとして、脱バインダ性の点で有利なアクリル性
バインダを用いることもできる。
【0035】また、セラミックスラリを構成するバイン
ダは、高分子重合度が1500以下であることが表面張
力を小さくでき、かつキャリアフィルム3上での濡れ性
をさらに高めるという理由から望ましく、特に、塗布直
後のキャリアフィルム3側へのバインダの沈降を抑制で
き、キャリアフィルム3からのセラミックグリーンシー
トの離型性を高めるとともに、セラミックグリーンシー
トの強度を高めるという理由から、高分子重合度は85
0〜1350であることが望ましい。
【0036】また、本発明のセラミックスラリを構成す
る溶媒は、用いる有機性添加物と相溶するものであれ
ば、特に限定するものではなく、例えば、トルエン、キ
シレンのような芳香族系、あるいは、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のア
ルコール系を用いることが可能であり、さらには、これ
らの混合溶媒を用いることが好適である。
【0037】例えば、バインダとしてポリビニルブチラ
ール樹脂等のブチラール系樹脂を用いる場合、ブチラー
ル系樹脂が水酸基を有することから相溶性を高めるため
に芳香族系溶媒とともに水酸基と結合しやすいアルコー
ル系溶媒を含有させることが望ましく、このように芳香
族系溶媒とアルコール系溶媒とを混合することにより、
溶媒の乾燥性を制御できるとともに、キャリアフィルム
3上に形成された有機膜1との濡れ性を向上できる。因
みに、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒との混合比質量
比で30/70〜65/35が望ましく、特に、上記の
溶解性、乾燥性および濡れ性をより適正化しやすくなる
という理由から40/60〜60/40がより望まし
い。
【0038】また、アルコール系溶媒の溶解性はその溶
媒が有する電子吸引性に基づくものであるが、溶媒の電
子吸引性の指標である双極子モーメントは1.5D以上
であることが望ましく、特に、バインダの溶解性を高め
るとともに、キャリアフィルム3上に形成した有機膜1
の浸食を抑制するという理由から双極子モーメントは
1.5D〜2.5Dであることがより望ましい。そし
て、このようなアルコール系溶媒としてメチルアルコー
ル(1.66D)やエチルアルコール(1.68D)を
好適に用いることができる。
【0039】また、本発明のセラミックスラリでは、そ
の接触角θを低下させるために界面活性剤を添加するこ
とが望ましい。界面活性剤としてはセラミック粉末への
吸着速度を高めるとともに分散性を向上できるアルキレ
ングリコールが好ましく、分子中に二重結合もしくは三
重結合を有することによりバインダやセラミック粒子と
の結合を高め、セラミックスラリの表面張力を低くでき
るという理由からアセチレングリールやブチレングリコ
ールエチレンオキシドを用いることが望ましい。特に、
動的表面張力を低下させてセラミックスラリの濡れ性を
より高めることができるという理由から、アルキレンオ
キサイド付加物を有するアルキレングリコールとしてブ
チレングリコールエチレンオキシドがより望ましい。そ
して、この添加量は降伏値並びに接触角θを下げ、濡れ
性を改善するために、セラミック粉末、溶媒、バイン
ダ、可塑剤からなるセラミックスラリ100質量部に対
して1〜3質量部であることが望ましい。
【0040】この他に、バインダのガラス転移点を見か
け上低下させ、セラミックスラリの粘度調整のために可
塑剤を添加することも可能であるが、可塑剤としてジブ
チルフタレート(DBP)を好適に用いることができ
る。
【0041】そして、本発明のセラミックスラリは、上
記のセラミック粉末、バインダおよび溶媒を配合してボ
ールミルにより分散させてプレスラリを調製した後、こ
のプレスラリに対して所定量の界面活性剤を添加して調
製される。
【0042】次に、本発明のセラミックスラリを用いて
形成されるセラミックグリーンシート9について図2を
もとに説明する。
【0043】セラミックグリーンシート9は、キャリア
フィルム3上に上記のセラミックスラリを塗布して形成
される塗布膜5を乾燥することにより形成される。
【0044】ここで用いられるキャリアフィルム3とし
て、例えば、PETフィルムからなるキャリアフィルム
3が好適に用いられる。表面粗さは、セラミックスラリ
の濡れ性を高めるために100nm以下、特に50〜7
0nmの範囲であることが望ましい。
【0045】このキャリアフィルム3のセラミックスラ
リが塗布される表面側は、薄層化したセラミックグリー
ンシート9の離型性を良くするために有機膜10が形成
されていることが望ましい。その有機膜10としては、
シリコン樹脂などを用いることがよく、高い離型性を有
するという理由から、特に、硬化型シリコン樹脂膜が望
ましい。さらに、その厚みは溶剤による有機膜10の浸
食を抑制するという理由から40nm以上であることが
望ましく、特に、塗布されたセラミックスラリ中のバイ
ンダの沈降や有機膜10への引きこみを抑制するという
理由から40〜80nmであることがより望ましい。
【0046】また、本発明のセラミックグリーンシート
9の成形法としては、ドクターブレード法、グラビアコ
ート法、リバースロールコート法、ダイコート法などを
用いることが可能であるが、より薄層化したセラミック
グリーンシート9を均一厚みで形成するという点で、ダ
イコート法が好適に用いられる。
【0047】また、これらのセラミックグリーンシート
9を形成するための成形速度は、成形法により多少異な
るが、表面張力が低く濡れ性の良いセラミックスラリを
用いて薄層化したセラミックグリーンシート9を成形す
るためには10〜100m/minであることが望まし
いが、バインダの沈降や引き込みを抑制するとともに厚
みばらつきを低減するためには乾燥速度を適正化するこ
とが必要であり、このため成形速度は50〜100m/
minであることがより望ましい。
【0048】そして、塗布されたセラミックスラリから
セラミックグリーンシート9が形成される際の乾燥条件
としては、塗工直後の温度は溶媒の沸点以下とし、その
温度から徐々に上げ、最終乾燥工程において溶媒の沸点
以上にする条件が、セラミックスラリに含まれる溶媒に
急激な沸騰を抑制するという理由から望ましい。
【0049】上記のようにして形成されたセラミックグ
リーンシート9は、その表面粗さ(Ra)が50〜15
0nmの範囲であることが望ましく、特に、導電性ペー
スト等の印刷性や導電性ペーストに含まれる金属の貫通
による電気的短絡を防止するという理由から、60〜1
20nmがより好ましい。
【0050】また、セラミックグリーンシート9の厚み
は、積層セラミックコンデンサのセラミック層の薄層化
による高容量化に対して3.5μm以下であることが望
ましく、特に、高容量化と高絶縁性を得るために、厚み
は1〜3μmであることがより望ましい。
【0051】また、その厚みばらつきは、セラミック層
の静電容量の公差の向上および高絶縁性化のために、
0.01〜0.05μmであることが好ましい。
【0052】次に、本発明のセラミックグリーンシート
9の製法により形成されたセラミックグリーンシート9
を用いて積層型電子部品の一例である積層セラミックコ
ンデンサを製造する方法について述べる。図2は本発明
の積層セラミックコンデンサの製法を説明するための工
程図である。
【0053】本発明の積層セラミックコンデンサの製法
では、先ず、図3(a)に示すように、成形したセラミ
ックグリーンシート9の一方主面側に電極ペーストを塗
布して電極パターン11を形成する。本発明の製法によ
り得られたセラミックグリーンシート9では、電極ペー
ストの染み込みおよびオープンボイドへの浸透が無く、
電極パターン11の表面粗さも良好となる。このように
積層型電子部品を作製するためのセラミックグリーンシ
ート9の成形工程において、3.5μm以下の厚みのセ
ラミックグリーンシート9を形成する場合にこそ本発明
を用いる意義を有する。
【0054】次に、電極パターン11を形成したセラミ
ックグリーンシート9をキャリアフィルム3から剥離
し、図3(b)に示すように積層圧着した後、所定の積
層セラミックコンデンサのサイズに切断して積層成形体
を形成する。さらに、図3(c)に示すように、この積
層成形体を焼成して電子部品本体13を作製する。
【0055】
【実施例】次に、本発明における実施例を以下に示す。
【0056】まず、表1に示すような割合で、セラミッ
ク粉末、バインダ、可塑剤および溶媒を配合してボール
ミルにより分散させてセラミックスラリを調製した。ま
た、場合によっては、このセラミックスラリ100質量
部に対して所定量の界面活性剤を添加した。ここでセラ
ミック粉末としては平均粒径が0.4、0.8μmのB
aTiO3粉末を用い、溶媒としてはトルエンとエチル
アルコール(双極子モーメント:1.68D)とを表2
に示すような割合で混合した。
【0057】また、バインダとしては高分子重合度の異
なるポリビニルブチラール樹脂を用い、さらに、界面活
性剤としてブチレングリコールエチレンオキシド(B
G)およびアセチレングリコール(AG)を用いた。界
面活性剤の添加量は表2に示した。可塑剤としてDBP
を用いた。
【0058】調製したセラミックスラリは上記した粘度
計を用いて行い、降伏値は上記した粘度測定からせん断
速度0s-1でのせん断応力を読み取って評価した。
【0059】次に、上記のセラミックスラリを用いてダ
イコータにより、PETフィルム上に厚み2.5、3.
5、10μmのセラミックグリーンシートを成形した。
ここで、キャリアフィルム上に形成した有機膜の成分は
硬化型シリコン樹脂とし、その厚みは40、80nmと
した。成形速度は50、100m/min.とした。乾
燥は成形直後の温度を40℃、最終の温度を100℃と
した。
【0060】一方で、成形に用いたキャリアフィルムの
有機膜側に、これらのセラミックスラリの塗布膜を形成
して写真撮影により接触角θを評価した。この場合には
室温乾燥とした。
【0061】次に、このセラミックグリーンシートにN
iを含有する電極ペーストを塗布して電極パターンを形
成し、電極パターンが形成されたセラミックグリーンシ
ートをキャリアフィルムから剥離し、これを300層積
層し、上下に電極パターンが形成されていないセラミッ
クグリーンシートを積層し、これを切断し、積層成形体
を作製し、脱脂処理後、還元雰囲気にて焼成を行い、電
子部品本体を作製した。
【0062】次に、この電子部品本体の両端面に外部電
極ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成し、縦
2.0mm×横1.2mmサイズの積層セラミックコン
デンサを作製した。
【0063】グリーンシートの評価としては、単位面積
(50×50mm2)あたりのオープンボイドおよびピ
ンホール数を実体顕微鏡を用いて評価した。試料数は1
0個とした。
【0064】また、積層セラミックコンデンサの電気特
性の評価として、耐電圧ショート率(n=5)と高温負
荷試験(125℃、12.6V、100時間後の故障率
(絶縁抵抗>105Ωが目安)、n=100)を評価し
た。
【0065】一方、比較例として、高分子重合度が16
00のバインダにより調製したセラミックスラリを用い
てセラミックグリーンシートを作製し、さらに、このセ
ラミックグリーンシートを用いて積層型電子部品を作製
し、本発明品と同じ評価を行った。それらの結果を本発
明の結果とともに表2に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】表2の結果から明らかなように、セラミッ
クスラリの降伏値を10-3Pa以下、接触角θを50°
以下とした試料No.1〜37では、セラミックグリー
ンシート表面のピンホール発生が激減し、ショート率が
0%となり、高温負荷試験での故障率も9%以下であっ
た。
【0069】また、バインダの高分子重合度を850〜
1350とし、かつトルエンとエチルアルコールとの混
合溶媒の混合比を質量比で40/60〜60/40とし
た試料No.2〜3、5〜12、14〜15、および1
7〜37では、濡れ角が48°以下となり、セラミック
グリーンシートの欠陥数を無くし、積層セラミックコン
デンサのショート率を0%となり、さらに高温負荷試験
の不良を0%にできた。さらには、ブチレングリコール
エチレンオキシド(BG)、アセチレングリコール(A
G)のうちいずれかの界面活性剤を1〜3質量部添加し
た試料8〜10、19〜21、25〜30および32〜
37では接触角θを44°以下にでき、特に、ブチレン
グリコール(BG)を用いた試料No.8〜10、19
〜21では接触角θが35°以下であった。
【0070】一方、高分子重合度が1600のバインダ
を用いて調製したセラミックスラリにより作製した試料
No.38では、接触角θが55°、降伏値が3×10
-3Paとなり、ピンホールの発生が多く、それに伴いシ
ョート率および高温負荷故障率が多発した。
【0071】
【発明の効果】本発明のセラミックグリーンシートの製
法では、セラミック粉末、バインダおよび溶媒を含有
し、キャリアフィルム上に塗布したときの、キャリアフ
ィルムに対する接触角θを50°以下とすることによ
り、セラミックグリーンシートの膜厚を3.5μm以下
に薄層化しても、ピンホール等の欠陥が無く、均質で剥
離性に優れるセラミックグリーンシートを作製できる。
また、このような均質なセラミックグリーンシートを用
いることによって耐電圧試験や高温負荷試験に対し高信
頼性の積層型電子部品を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリアフィルム上に形成された塗布膜の接触
角θを表す模式図である。
【図2】キャリアフィルム上に形成されたセラミックグ
リーンシートを示す模式図である。
【図3】本発明の積層型電子部品を作製するための工程
図である。
【符号の説明】
3 キャリアフィルム 5 塗布膜 9 セラミックグリーンシート 11 電極パターン θ 接触角

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック粉末、バインダおよび溶媒を含
    むセラミックスラリを用いてキャリアフィルムの表面に
    塗布膜を形成する塗布工程と、該塗布膜を乾燥する乾燥
    工程とを具備するセラミックグリーンシートの製法にお
    いて、前記塗布膜の接触角θが50°以下であることを
    特徴とするセラミックグリーンシートの製法。
  2. 【請求項2】セラミックスラリは、粘度測定における降
    伏値が10-3Pa以下であることを特徴とする請求項1
    に記載のセラミックグリーンシートの製法。
  3. 【請求項3】セラミック粉末の平均粒径が0.1〜1μ
    mであることを特徴とする請求項1または2に記載のセ
    ラミックグリーンシートの製法。
  4. 【請求項4】バインダの高分子重合度が1500以下で
    あることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか記
    載のセラミックグリーンシートの製法。
  5. 【請求項5】界面活性剤がアルキレンオキサイド付加物
    を有するアルキレングリコールであることを特徴とする
    請求項1乃至4のうちいずれか記載のセラミックグリー
    ンシートの製法。
  6. 【請求項6】キャリアフィルムは表面に硬化型シリコン
    樹脂膜からなる有機膜を有し、且つ該有機膜の厚みが4
    0nm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のう
    ちいずれか記載のセラミックグリーンシートの製法。
  7. 【請求項7】塗布工程における塗布膜の成形速度が、1
    0〜100m/minであり、乾燥工程における塗布膜
    形成直後の温度を溶媒の沸点以下とし、最終の温度を溶
    媒の沸点以上とすることを特徴とする請求項1乃至6の
    うちいずれか記載のセラミックグリーンシートの製法。
  8. 【請求項8】セラミックグリーンシートの厚みが3.5
    μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のうち
    いずれか記載のセラミックグリーンシートの製法。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8のうちいずれか記載の製法
    により得られたセラミックグリーンシート上に電極ペー
    ストを塗布して電極パターンを形成する工程と、該電極
    パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数
    積層する工程と、該積層体を焼成する工程とを具備する
    ことを特徴とする積層型電子部品の製法。
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