JP2003172890A - 光スイッチの製造方法 - Google Patents

光スイッチの製造方法

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JP2003172890A
JP2003172890A JP2001370451A JP2001370451A JP2003172890A JP 2003172890 A JP2003172890 A JP 2003172890A JP 2001370451 A JP2001370451 A JP 2001370451A JP 2001370451 A JP2001370451 A JP 2001370451A JP 2003172890 A JP2003172890 A JP 2003172890A
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optical waveguide
chip
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optical
optical switch
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Tomohiko Kanie
智彦 蟹江
Makoto Katayama
誠 片山
Toshiaki Kakii
俊昭 柿井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光導波路チップと電気機械チップとが精度良
く確実に一体化された光スイッチの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 先ず、複数のコア領域と、コア領域を覆
うように設けられるクラッド領域とを含む光導波路が第
1の基材上に形成される(S101)。光導波路の表層部
にはアルカリ金属を含有するガラス膜が形成されて光導
波路チップが作製される(S102)。第2の基材上に、
光導波路を伝搬する光の光路を変更する可動部と、半導
体から構成される静止部とが形成されてMEMチップが
製造される(S103)。そして、静止部とガラス膜とが
陽極接合により接合されて光スイッチが製造される(S
104)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の光路を変更す
るために用いられる光スイッチの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光スイッチは光ネットワークに使用され
る。光ネットワークにより伝送される情報量が増加する
とともに、光スイッチの性能向上の要求が高まってい
る。例えば、光スイッチには、損失が低いこと、スイッ
チング特性の波長依存性及び偏波依存性が小さいこと、
低電圧動作が可能であること、及び消費電力が小さいこ
となどが要求される。このような要求を満たす光スイッ
チとして、マイクロマシンシステム(Micro Electro Mec
hanical System:MEMS)技術を応用した機械式光ス
イッチが注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】MEMS技術を応用し
た光スイッチの中には、複数の光導波路を有する光導波
路チップと、光が伝搬する経路を切り替える可動部を有
する電気機械チップとから構成されるものがある。これ
らのチップは、半導体装置の製造に利用される微細加工
技術を応用して個別に作製される。そして、これらのチ
ップが互いに接合されて、光スイッチが製造される。こ
のとき、光導波路チップと電気機械チップとの接合に接
着剤等が使用されると、光スイッチの長期間にわたる信
頼性が十分に保証されないという問題がある。また、光
導波路チップと電気機械チップとを接合する際には、両
者を高い精度で位置合わせする必要がある。接着剤を用
いた場合には、高い位置合わせ精度が得られない場合が
ある。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みて為されたも
のであり、光導波路チップと電気機械チップとが精度良
く確実に一体化される光スイッチの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光スイッチ
の製造方法は、光が伝搬できる複数の光路を有する光導
波路層と、複数の光路のうち光が伝搬する光路を変更す
る可動部とを備える光スイッチを製造する方法であっ
て、(1)第1の基材上に、光導波路層を形成し、(2)ア
ルカリ金属を含有するガラス膜を光導波路層の表面上又
は表層部内に形成し、(3)第2の基材上に、半導体で構
成された静止部と、この静止部に対して移動可能な上記
の可動部とを形成し、(4)ガラス膜と静止部とを陽極接
合することにより第1及び第2の基材を一体化して、光
スイッチを製造することを特徴とする。この製造方法に
よれば、アルカリ金属を含有するガラス膜と半導体で構
成された静止部とが陽極接合されるため、第1及び第2
の基材は精度良く確実に一体化されて光スイッチが製造
される。
【0006】上記のガラス膜は、アルカリ金属が添加さ
れたガラスを表面上に堆積することにより形成されると
好ましい。また、ガラス膜は、アルカリ金属をイオン打
ち込みすることによって、光導波路の表層部内に形成さ
れると好ましい。このようにすれば、光導波路層の表面
又は表層部は、アルカリ金属を含有するガラス膜となる
ため、第2の基材上に形成される静止部と確実に陽極接
合される。
【0007】静止部はシリコンから構成されると有用で
ある。静止部は、シリコンから構成されると、上記のガ
ラス膜と確実に陽極接合される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る光スイッチの
製造方法の実施形態について図面を参照しながら説明す
る。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一
の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】(第1の実施形態)本発明に係る光スイッ
チの製造方法の第1の実施形態を説明する。第1の実施
形態において製造される光スイッチは、光導波路チップ
及びMEM(micro-electro-mechanical)チップを有す
る。したがって、その製造方法は、光導波路チップ製造
工程、MEMチップ製造工程、及び光導波路チップとM
EMチップとを組み合わせる工程を有する。これらの工
程の概略を説明すると、図1に示す通り、光導波路チッ
プ製造工程は、クラッド領域と複数のコア領域を含む光
導波路を形成するステップ(S101)と、光導波路の表
層部にアルカリ金属を含有するガラス膜を形成するステ
ップ(S102)を有する。MEMチップ製造工程におい
ては、光導波路を伝搬する光の光路を変更する可動部
と、半導体から構成される静止部とを形成するステップ
(S103)が実施されてMEMチップが製造される。ま
た、組み合わせる工程では、ガラス膜と静止部とが陽極
接合されて(S104)、光スイッチが製造される。以
下、各工程について詳細に説明する。
【0010】(光導波路チップ製造工程)始めに、当該
製造工程において製造される光導波路チップの構成の一
例を説明する。図2は、光導波路チップの構成の一例を
示す斜視図である。図2を参照すると、光導波路チップ
2は、基材20と、基材20上に形成されたコア領域2
1a〜21dと、コア領域21a〜21dを覆うように
設けられたクラッド層22とを有する。また、光導波路
チップ2には、図中のy軸方向に伸びる溝部25が設け
られている。溝部25の側面25a,25bの間隔は例
えば50μm程度とできる。側面25aにはコア領域2
1a,21bの一端が現れ、側面25bにはコア領域2
1c,21dの一端が現れる。溝部25において、コア
領域21a,21cは互いに光学的に結合され、コア領
域21b,21dは互いに光学的に結合されている。ま
た、コア領域21a〜21dの他端は、光導波路チップ
2の側面に現れ、光の入射部及び出射部として用いられ
る。クラッド層22上にはスペーサ層26が設けられて
いる。スペーサ層26は、アルカリ金属を含むガラスか
ら構成される。
【0011】次に、上記の光導波路チップ2の製造工程
を説明する。図3(a)〜(f)は、光導波路チップ製造工
程を説明する図である。
【0012】先ず、基材20を用意する(図3(a))。基
材20は石英ガラス製又は導電性のシリコン製とでき
る。次に、基材20上にガラス層21が形成される(図
3(b))。ガラス層21にはGeO2といった屈折率増加
剤が添加され、そのため、ガラス層21は純シリカに比
べ高い屈折率を有する。また、ガラス層21は、CVD
(Chemical Vapor Deposition)法より形成されることが
できる。ガラス層21の上にレジスト膜が塗布形成さ
れ、リソグラフィによりレジスト膜がパターン化され
る。その後、RIE(Reactive Ion Etching)法によりエ
ッチングを行い、コア領域となるべきパターン21pを
形成する(図3(c))。続いて、パターン21pが形成さ
れた基材20上に、SiCl4を原料として用いた火炎
堆積(Flame Hydrolysis Deposition:FHD)法により
多孔質ガラス層を形成する。多孔質ガラスを加熱する
と、多孔質ガラスが透明化され、クラッド層22が形成
される(図3(d))。クラッド層22は、上記の原料を用
いたFHD法を経て形成されるため、高純度の石英ガラ
スからなる。なお、クラッド層22は、CVD法により
形成されても良い。
【0013】次いで、クラッド層22上にスパッタ法に
より、ガラス層23を堆積させる(図3(e))。スパッタ
法においては、パイレックス(登録商標)ガラス製のタ
ーゲットが使用される。パイレックスガラスはナトリウ
ム(Na)といったアルカリ金属を含んでいるため、ガラ
ス層23もまたアルカリ金属を含有することとなる。ガ
ラス層23中のアルカリ金属の濃度は1〜4重量%とす
ることができる。
【0014】この後、リソグラフィ及びRIEエッチン
グによりガラス層23の一部を除去すると、スペーサ層
26が形成される。また、スペーサ層26が形成される
際に、その一部がエッチングされてアラインメントマー
ク26aが設けられる。アラインメントマーク26a
は、後述するMEMチップ10に設けられるアラインメ
ントマーク12a,14aとともに、光導波路チップ2
とMEMチップ10とを重ね合わせるときの位置合わせ
に用いられる。続けて、リソグラフィ及びRIEエッチ
ングにより、溝部25が形成される。これにより、コア
領域21a〜21dを有する光導波路チップ2が完成す
る(図3(f))。
【0015】(MEMチップ製造工程)先ず、MEMチ
ップ製造工程において製造されるMEMチップの構成の
一例を説明する。図4は、MEMチップの構成の一例を
示す斜視図である。図4を参照すると、MEMチップ1
0は、基材40aと、電極を兼ねる支持部12と、支持
部12に一方の端部(以下、固定端部13a)が固定され
た片持ち梁状の可動部13と、静止部14とを有する。
可動部13は、図4(a)に示すx軸方向に延びている。
可動部13の他方の端部(以下、自在端部13b)は固定
されていないため、可動部13は固定端部13aを支点
として撓むことができる。可動部13は、導電性のシリ
コン(Si)で形成され、例えば高さ50μm、幅10μ
m、及び長さ2mm程度を有する。可動部13はその自
在端部13bの近傍に複数本の櫛歯13cを有する。自
在端部13bにはミラー16が設けられている。このミ
ラー16は、MEMチップ10が光導波路チップ2上に
固定された際に溝部25に入り込むように設けられてい
る。ミラー16は、例えば、ニッケル(Ni)や金(Au)
といった金属で形成され、厚さ30μm程度、高さ50
μm程度、幅50μm程度といったサイズを有すること
ができる。
【0016】支持部12及び静止部14は、酸化ケイ素
(SiO2)層と導電性Si層とが順次重なる2層構造を
有する。支持部12及び静止部14は、後述するよう
に、光導波路チップ2のスペーサ層26と陽極接合され
る。すなわち、支持部12も静止部としての役割を有し
ている。また、支持部12にはアラインメントマーク1
2aが設けられ、静止部14にはアラインメントマーク
14aが設けられている。これらは、MEMチップ10
と光導波路チップ2とを重ね合わせる際の位置決めに使
用される。
【0017】MEMチップ10には、可動部13とほぼ
平行に伸びる電極部15が設けられている。電極部15
は、SiO2層及びSi層とが順次重なる2層構造を有
する。ここで、Si層は可動部13と同様に導電性を有
する。また、電極部15は、基材11上に固定されてお
り、静止部14と同様の役割を有する。すなわち、電極
部15の一部は、光導波路チップ2のスペーサ層26と
陽極接合される。さらに、電極部15には、複数本の櫛
歯15cを有するが形成されている。ここで、櫛歯15
cの間隔は櫛歯13cの間隔とほぼ等しく、各櫛歯15
cは櫛歯13c間の隙間に入り込める。なお、図4にお
いては、櫛歯13c,25cは3個ずつ示されている
が、これらの数は3個に限られるものではない。
【0018】続いて、MEMチップ製造工程を説明す
る。ここでは、上記のMEMチップ10が製造される場
合を説明する。図5(a)〜(f)は、MEMチップ製造工
程の各主要ステップにおける断面を示す模式図であり、
この断面は、図5中のI−I線に沿う断面に対応する。
また、簡単のため、櫛歯13cを2つとして説明する。
【0019】先ず、半導体層と絶縁体層とが順次形成さ
れた基板が用意される。このような基板としては、例え
ば、SOI(Silicon On Insulator)基板を好適に使用で
きる。以下では、SOI基板を用いる場合について説明
する。図5(a)に示す通り、SOI基板40は、シリコ
ン(Si)基材40a、酸化シリコン(SiO2)層40
b、及びSi層40cを有する。それぞれの層の膜厚
は、SiO2層40bを2μm程度とし、Si層40c
を50μm程度とできる。また、Si層40cは、砒素
といったドナー不純物を含有し、導電性を有している。
【0020】Si層40c上に、厚さ2μm程度のレジ
スト膜を塗布形成する。続いて、所定のパターンを有す
るフォトマスクを用いてレジスト膜を露光することによ
り、レジストマスク41を形成する(図5(b))。レジス
トマスク41は、形成されるべき支持部12、可動部1
3、静止部14、電極部15、及びアラインメントマー
ク14aに対応するパターンを有する。その後、このレ
ジストマスク41を用いてSi層40cをエッチングす
る(図5(c))。このエッチングには、例えば、四弗化炭
素(CF4)ガスをエッチングガスとしたRIE(Reactive
Ion Etching)法を採用できる。このエッチングによ
り、支持部12と、可動部13及び櫛歯13cとなるべ
き部分と、静止部14と、電極部15と、アラインメン
トマーク14aとが形成される。
【0021】次に、レジストマスク41を除去した後、
SiO2層40b及びエッチングされずに残るSi層4
0cの上に、厚さが50μm程度のレジスト膜を塗布形
成する。その後、所定のフォトリソグラフィにより、ミ
ラー16が形成されるべき部分に開口部43aを有する
レジストマスク43が形成される(図5(d))。次に、開
口部43aを埋めるように、メッキ法によりNiを堆積
させる。ただし、Niの堆積には、メッキ法に限らず、
例えば蒸着法といった堆積方法を採用してもよい。Ni
の堆積が終了した後、レジストマスク43を除去する
と、ミラー16が形成される(図5(e))。また、Niで
なくAuをメッキ法により堆積させてミラー16を形成
してもよい。
【0022】ミラー16が形成された後、エッチングさ
れずに残るSi層40c及びミラー16をマスクとし、
弗化水素(HF)を用いてSiO2層40bの露出部をエ
ッチングする(図5(f))。このエッチングにより、支持
部12、静止部14、及び電極部15が形成される。ま
た、HFを用いたエッチングにおいては、SiO2層4
0bは、その垂直な方向ばかりでなく、平行な方向にも
エッチングが進行する。その結果、可動部13、可動部
13の自在端部13b、及び櫛歯13cとなるべき部分
の下方のSiO2層40bが除去されて、これらが形成
される。その後、ミラー16の側面16aがAuといっ
た金属によりコーティングされ、光反射面16bが形成
される。以上により、MEMチップ10が完成する(図
5(g))。
【0023】(接合工程)次に、光導波路チップ2及び
MEMチップ10から光スイッチ1を作製する手順につ
いて説明する。図6(a)〜(d)は、光導波路チップ2と
MEMチップ10と接合する手順を説明する図である。
なお、図6(a)〜(d)においては、図5で示したMEM
チップ断面と同一の断面が示され、光導波路チップ2に
ついてもMEMチップの断面と対応する断面が示されて
いる。また、以下では、簡単のため、スペーサ層26と
陽極接合される部分として、静止部14を中心として説
明する。実際には、スペーサ層26と、支持部12、静
止部14、及び電極部15とが陽極接合されて良い。
【0024】図6(a)を参照すると、先ず、光導波路チ
ップ2のアラインメントマーク26aとMEMチップ1
0のアラインメントマーク12a,14aとが互いに一
致するように位置合わせが行われる(図6(a))。位置合
わせは、アライナを用いて自動的に行うことができる。
図6(b)中には、アラインメントマーク12a,26a
が一致された様子を模式的に示す。このようにアライン
メントマーク同士が一致された後、光導波路チップ2と
MEMチップ10とを重ね合わせる(図6(b))。重ね合
わせた後には、スペーサ層26が、支持部12、及び静
止部14と接し、MEMチップ10のミラー16は光導
波路チップ2の溝部25に入り込んでいる。なお、図示
されてはいないが、電極部15の一部もまたスペーサ層
26と接している。
【0025】続いて、重ね合わされた光導波路チップ2
及びMEMチップ10を加熱炉60に入れる。この加熱
炉60内において、リード線61aを光導波路チップ2
の基材20に接続し、リード線61bをMEMチップ1
0の静止部14に接続する。続いて、加熱炉60内に残
存する空気に含まれる水分を取り除く。このためには、
加熱炉60内を10Pa程度の真空度まで真空引きして
よく、また、乾燥窒素ガス又は乾燥空気で加熱炉60内
を置換してもよい。その後、ヒータ60aを用いて光導
波路チップ2とMEMチップ10とを400℃程度に加
熱するとともに、スペーサ層26側が負電位となるよう
に静止部14とスペーサ層26との間に300V程度の
直流電圧を印加する(図6(c))。すると、静止部14と
スペーサ層26との間で以下の通り陽極接合が起こる。
【0026】スペーサ層26中ではアルカリ金属原子が
イオン化しており、400℃程度の高温の下ではアルカ
リイオンは移動可能となる。そのため、スペーサ層26
は導電性を有することとなる。このような状況で、スペ
ーサ層26側が負電位となるように電圧が印加される
と、スペーサ層26内部でアルカリイオンが静止部14
から遠ざかる方向に移動する。そのため、スペーサ層2
6の表面に空間電荷層が形成される。空間電荷層が形成
されると、印加電圧の殆どが空間電荷層にかかることに
なる。300V程度の電圧が空間電荷層にかかると、ス
ペーサ層26の空間電荷層内の酸素イオンが強電界によ
って移動して静止部14(Si)内のSi原子と結合し、
Si−O結合が形成される。その結果、スペーサ層26
と静止部14とが互いに固定され、光スイッチ1が完成
する(図6(d))。
【0027】次に、図7(a),(b)に示す模式図を参照
しながら、このようにして作製された光スイッチ1の動
作を説明する。図7(a),(b)は、電極部15はスイッ
チ51を介して電源52に接続され、支持部12もまた
電源52に接続されることを模式的に示す。
【0028】図7(a)は、OFF状態の光スイッチ1の
状態を示す。電極部15と可動部13とに電圧が印加さ
れていないときは、可動部13は直線状の形状を保って
いる。このとき、ミラー16は、コア領域21a,21
c間の光学的結合と、コア領域21b,21d間の光学
的結合とを妨げている。よって、例えば図7(a)中に矢
印A1〜A4で示すように、コア領域21aから入射した
光は、溝部25に到達した後ミラー16により反射さ
れ、コア領域21bへと入射される。すなわち、コア領
域21aの入射部から入射された光は、コア領域21b
から出射されることになる。
【0029】図7(b)は、ON状態の光スイッチ1の状
態を示す。電極部15及び可動部13の間に所定電圧値
を有する直流電圧が印加されると、櫛歯15c及び櫛歯
13cの間に静電力が誘起される。この静電力により、
図7(b)に示す通り、可動部13は固定端部13aを支
点として撓み、自在端部13bは電極部15に向かって
移動する。これに伴って、ミラー16もまた図7(b)中
に示す位置へ移動する。そのため、コア領域21a,2
1cの間の光学的結合、及びコア領域21b,21dの
間の光学的結合が実現される。よって、例えば図7(b)
中に矢印B1〜B4で示すように、コア領域21aを伝搬
して溝部25に到達した光は、コア領域21cへ入射さ
れ、コア領域21cを伝搬して光スイッチ1より出射さ
れる。以上のように電圧印加の有無により光路が切り替
えられる。光スイッチ1は、このように動作して光スイ
ッチとしての機能を発揮する。
【0030】以上説明した第1の実施形態による光スイ
ッチの製造方法においては、光導波路チップ2の製造の
際、クラッド層22の上にアルカリ金属を含むガラス層
23が堆積され、このガラス層23からスペーサ層26
が形成される。光導波路チップ2とMEMチップ10と
を組み合わせて光スイッチを製造する際には、アルカリ
金属を含むスペーサ層26と、MEMチップ10が有す
るSi製の静止部14とが陽極接合により互いに固定さ
れる。すなわち、光導波路チップ2にアルカリ金属を含
むスペーサ層26が設けられるため、スペーサ層26と
静止部14とを陽極接合することにより、光導波路チッ
プ2とMEMチップ10とを確実に固定することができ
る。
【0031】スペーサ層26が光導波路チップ2に設け
られていない場合には、光導波路チップ2とMEMチッ
プ10とを陽極接合によって接合することができない。
これは、クラッド層22が高純度の石英ガラスから構成
されるためである。この場合に、光導波路チップ2とM
EMチップ10とを接合する方法としては、次の2通り
がある。一つの方法は、接着剤を用いる方法であり、光
スイッチの長期間にわたる信頼性が十分に保証されな
い、或いは、高い位置合わせ精度が得られないという問
題がある。他の方法は、光導波路チップ2とMEMチッ
プ10とを組み合わせる際に、両者の間にパイレックス
ガラス製のガラス板を挿入し、この板を介して両チップ
を接合する方法である。この場合には、光導波路チップ
2、MEMチップ10、及びガラス板を相互に位置合せ
する必要があるため、高い位置合わせ精度を確保するの
が難しい。これに対し、第1の実施形態による光スイッ
チの製造方法においては、光導波路チップ2とMEMチ
ップ10とを陽極接合により接合できる。そのため、接
着剤を用いた接着に比べ、両チップの位置合わせ精度を
向上でき、光スイッチの信頼性を向上できる。また、ガ
ラス板を用いる場合に比べ、位置合わせ精度を向上で
き、しかも、位置合わせ作業が容易化される。
【0032】(第2の実施形態)本発明に係る光スイッ
チの製造方法の第2の実施形態を説明する。第2の実施
形態による光スイッチの製造方法は、光導波路チップ2
のスペーサ層26の形成手順が異なる以外は、第1の実
施形態と同一である。また、第2の実施形態において製
造される光スイッチは、第1の実施形態において製造し
た光スイッチとほぼ同一の構成を有する。以下では、相
違点を中心に説明する。
【0033】先ず、第1の実施形態において図3(a)〜
(d)を参照しながら説明した手順に従って、クラッド層
となるべきガラス層23まで形成する。次に、ガラス層
23に対してNaをイオン打ち込みする。イオン打ち込
みには、通常のイオン打ち込み装置を用いることができ
る。また、Naの原料としては、NaClを用いること
ができる。加速電圧等の条件を適宜調整し、ガラス層2
3の表面から10μm程度の深さの領域をNa含有ガラ
ス層24とする。Na含有ガラス層24におけるNa濃
度は、1〜4重量%であると好ましい。
【0034】Na含有ガラス層24が形成された後、リ
ソグラフィ及びRIEエッチングによりガラス層24の
一部を除去すると、スペーサ層26が形成される。続け
て、リソグラフィ及びRIEエッチングにより、溝部2
5を形成する。これにより、コア領域21a〜21dを
有する光導波路チップ2が完成する。
【0035】この後、第1の実施形態にて説明した手順
と同様にしてMEMチップ10を作製し、同じく第1の
実施形態における光導波路チップ2及びMEMチップの
接合手順を実施すると、光スイッチ100が完成する。
【0036】第2の実施形態においても、光導波路チッ
プ2とMEMチップ10とが組み合わされる際には、光
導波路チップ2のスペーサ層26と、MEMチップ10
の支持部12及び静止部14とが陽極接合により接合さ
れる。したがって、第1の実施形態と同様の効果を奏す
る。
【0037】(第3の実施形態)次いで、本発明に係る
光スイッチの製造方法の第3の実施形態を説明する。図
8は、第3の実施形態において製造される光導波路チッ
プの構成を示す斜視図である。図8を参照すると、光導
波路チップ102は、スペーサ層26を有しておらず、
替わりにガラス層23を有している。この点を除くと、
光導波路チップ102は、光導波路チップ2と同一の構
成を有する。
【0038】図8に示す光導波路チップ102は以下の
通り作製される。すなわち、第1の実施形態において説
明した手順に従って、クラッド層22上にスパッタ法に
よりガラス層23を形成するステップまでを実施する。
続いて、所定のリソグラフィとエッチングとにより、ア
ラインメントマーク及び溝部25を各々形成すると、光
導波路チップ102が完成する。
【0039】図9(a)は、第3の実施形態において製造
されるMEMチップの構成を示す斜視図である。図9
(b)は、図9(a)のII−II線に沿う断面図である。図9
(c)は、第3の実施形態において製造される光スイッチ
の断面図である。図9を参照すると、支持部12及び静
止部14の上面は、櫛歯13cの上面に比して、Δtだ
け高く位置している。また、可動部13の上面は櫛歯1
3cの上面と同一仮想平面上に位置する。MEMチップ
110は、例えば以下の通り作製されることができる。
すなわち、SOI基板40のSi層40c上にレジスト
マスク41を形成するのに先立って、フォトリソグラフ
ィとエッチングとにより、可動部13及び櫛歯13cと
なるべき部分のSi層40をΔtの分だけ薄くしてお
く。その後、第1の実施形態で説明したMEMチップの
製造工程を実施することにより、MEMチップ110が
作製される。
【0040】続いて、第1の実施形態の接合工程と同様
の手順により、MEMチップ110と光導波路チップ1
02とを重ね合わせ、陽極接合により、ガラス層23と
支持部12及び静止部14とを接合する。この接合によ
り、図9(c)に示す光スイッチ101が完成する。
【0041】光スイッチ101においては、可動部13
及び櫛歯13cは、支持部12及び静止部14に比べ、
図9(b)に示すΔtの分だけ低く構成されるため、ガラ
ス層23と接触することはなく動ける。しかも、ガラス
層23はアルカリ金属を含有するガラスから構成されて
いるため、ガラス層23と支持部12及び静止部14と
が陽極接合されることができる。よって、第3の実施形
態による光スイッチの製造方法もまた、第1の実施形態
と同様の効果を奏する。
【0042】以上、いくつかの実施形態を参照しなが
ら、本発明に係る光スイッチの製造方法を説明したが、
本発明はこれに限られることなく、様々に変形可能であ
る。例えば、第3の実施形態においては、光導波路チッ
プ102のクラッド層22の上にアルカリ金属を含むガ
ラス層23をスパッタ法により形成したが、クラッド層
22の表面にNaを打ち込むことにより、Naを含むガ
ラス層を形成するようにしても良い。また、この場合、
クラッド層22の表面の全面にイオンを打ち込む必要は
なく、支持部12、静止部14、及び電極部15と接す
る部分にのみNaが含まれるようにしてよい。
【0043】また、第1の実施形態において、クラッド
層22上にアルカリ金属を含有するガラス層23を堆積
させる際にスパッタ法を採用する場合を説明したが、ス
パッタ法に限らず、CVD法やFHD法により、このガ
ラス層23を堆積させても良い。また、回転塗布法によ
り堆積させても構わない。
【0044】上記の実施形態においては、アルカリ金属
としてNaを例示したが、これに限らず、リチウム(L
i)やカリウム(K)を始めとする他のアルカリ金属であ
ってもよい。
【0045】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る光スイッチの製造方法においては、光導波路上に設け
られたアルカリ金属を含有するガラス膜と、MEMチッ
プ上に設けられた半導体から構成される静止部とが陽極
接合により接合される。そのため、光導波路チップとM
EMチップとが容易且つ確実に一体化される。すなわ
ち、本発明によれば、光導波路チップと電気機械チップ
とが精度良く確実に一体化される光スイッチの製造方法
を提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施形態による光スイッチの製
造方法のフロー図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における光導波路チッ
プの構成を示す斜視図である。
【図3】図3(a)〜(f)は、第1の実施形態における光
導波路チップの製造手順を説明する図である。
【図4】図4は、第1の実施形態におけるMEMチップ
の構成を示す斜視図である。
【図5】図5(a)〜(f)は、第1の実施形態におけるM
EMチップの製造手順を説明する図する。
【図6】図6(a)〜(d)は、光導波路チップとMEMチ
ップとを接合する手順を説明する図である。
【図7】図7(a),(b)は、光スイッチ1の動作を説明
するための模式図である。
【図8】図8は、第3の実施形態における光導波路チッ
プの構成を示す斜視図である。
【図9】図9(a)は、第3の実施形態におけるMEMチ
ップの構成を示す斜視図である。図9(b)は、図9(a)
のII−II線に沿う断面図である。図9(c)は、第3の実
施形態における光スイッチの断面図である。
【符号の説明】
1…光スイッチ、2…光導波路チップ、10…MEMチ
ップ、20…基材、12a,14a,26a…アライン
メントマーク、12…支持部、13…可動部、13c,
15c…櫛歯、14…静止部、15…電極部、16…ミ
ラー、21…ガラス層、22…クラッド層、23…ガラ
ス層、21a〜21d…コア領域、25…溝部、26…
スペーサ層、34…ガラス層、40…基板、40a…基
材、60…加熱炉。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柿井 俊昭 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H041 AA15 AB13 AC06 AZ02 AZ05 AZ08 2H047 KA03 KA12 LA12 PA04 PA21 PA24 QA04 RA08 TA44

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光が伝搬できる複数の光路を有する光導
    波路層と、前記複数の光路のうち光が伝搬する光路を変
    更する可動部とを備える光スイッチを製造する方法であ
    って、 第1の基材上に、前記光導波路層を形成し、 アルカリ金属を含有するガラス膜を前記光導波路層の表
    面上又は表層部内に形成し、 第2の基材上に、半導体で構成された静止部と、前記静
    止部に対して移動可能な前記可動部とを形成し、 前記ガラス膜と前記静止部とを陽極接合することにより
    前記第1及び第2の基材を一体化して、光スイッチを製
    造することを特徴とする光スイッチの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ガラス膜は、アルカリ金属が添加さ
    れたガラスを前記光導波路の表面上に堆積することによ
    り形成されることを特徴とする請求項1記載の光スイッ
    チの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ガラス膜は、アルカリ金属をイオン
    打ち込みすることによって、前記光導波路の表層部内に
    形成されることを特徴とする請求項1記載の光スイッチ
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記静止部はシリコンから構成されるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の
    光スイッチの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006224224A (ja) * 2005-02-16 2006-08-31 Fujitsu Ltd マイクロ揺動素子およびその製造方法
US7349593B2 (en) 2003-06-27 2008-03-25 Fujitsu Limited Optical wavelength switch having planar lightwave circuit structure

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