JP2005062386A - 波長可変光フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

波長可変光フィルタ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 静電ギャップを高精度に、かつ、短時間で形成するとともに、低い駆動電圧で駆動する。
【解決手段】 本発明による波長可変光フィルタは、上面に高反射膜23が形成され、自在に上下動する可動体21aを支持する可動部2と、可動体21aの下面と静電ギャップEGを隔てて対向した駆動電極12が形成された駆動電極部1と、高反射膜23と光学ギャップOGを隔てて対向した高反射膜32が形成された光学ギャップ部3とが互いに接合されて構成されている。また、可動部2には、光学ギャップOGに対応したスペーサ21bが一体に形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、波長分割多重化(WDM:Wavelegth Division Multiplexing)光通信網等において、光ファイバ中を伝送される異なる波長を有する複数の光の中から所望の波長を有する光を取り出すために光を波長選択的に透過させる波長可変光フィルタ及びその製造方法に関する。
従来の波長可変光フィルタは、ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用したものであり、基板上に形成された固定鏡と、固定鏡との間に静電ギャップを形成した状態で固定鏡に対向配置された可動鏡とを有し、可動鏡に設けられた可動電極と固定鏡に設けられた固定電極との間に駆動電圧を印加して可動鏡を固定鏡に対して変位させることにより静電ギャップの長さを可変としている。この静電ギャップは、マイクロマシーニング技術を使用して、固定鏡と可動鏡との間に予め所定の形状及び大きさの犠牲層を設けた後、この犠牲層をエッチングによりすべて、あるいは一部を除去することによって形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−174721公報([請求項9],[0005],[0018],[0037],[0049]〜[0056]、図6)
波長可変光フィルタでは、可動鏡に設けられた可動電極と固定鏡に設けられた固定電極との間に形成される平行板コンデンサに駆動電圧を印加することにより可動鏡と固定鏡との間に静電引力を発生させ、可動鏡を固定鏡に対して変位させている。ここで、面積S、間隔dの2枚の極板が誘電率εの誘電体を隔てて対向して構成される平行板コンデンサに駆動電圧Vを印加した場合、2枚の極板に働く静電引力Fは、周知の通り、式(1)で表される。
F=(1/2)・ε・(V/d)2・S ・・・(1)
上記した従来例では、上記間隔dに相当する上記静電ギャップの長さは犠牲層の膜厚だけで決定されるが、製造時の製膜条件を厳密に設定したとしても犠牲層の膜厚にバラツキが生じるおそれがある。このバラツキが生じた場合には、可動電極と駆動電極との間に、ある駆動電圧Vを印加しても設計時にその駆動電圧Vに対して想定した静電引力Fを発生させることができないため、設計通りに可動鏡を変位させることができない。この結果、各波長可変光フィルタごとに、各波長を有する光を取り出すための駆動電圧を調整して設定する必要があるため、使い勝手が悪いという課題があった。さらに、上記犠牲層の膜厚のバラツキが大きい場合には、光ファイバ中を伝送される異なる波長を有する複数の光のうち、短い波長帯域の光又は長い波長帯域の光を取り出すことができない波長可変光フィルタが製造されてしまうおそれがある。
また、上記した従来例では、一旦犠牲層を形成した後、最終的に除去される。この犠牲層は、形成するにも除去するにも時間がかかる。このように製造時間がかかるということは、完成した波長可変光フィルタのコストアップの要因となるとともに、犠牲層を除去する際に他の部分にダメージを与えてしまうおそれがある。そこで、従来では、この犠牲層を短時間で、かつ、完全に除去するために、通常、犠牲層の上面に形成されている可動鏡や可動電極等に、リリースホールと呼ばれ、犠牲層をウエットエッチングするエッチング液を犠牲層の形成領域全体に行き渡らせるための孔が形成される。したがって、このリリースホールが形成された分だけ可動電極の面積が減少するので、上記した式(1)から分かるように、所定の静電引力Fを発生させるためには、駆動電圧Vを高くする必要があり、その分消費電力が増大する。なお、犠牲層の形成時間を短縮することについては特に工夫がなされていない。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、静電ギャップを高精度に、かつ、短時間で形成することができ、低い駆動電圧で駆動することができる波長可変光フィルタ及びその製造方法を得るものである。
本発明に係る波長可変光フィルタでは、一方の面に可動鏡が形成され、自在に上下動する可動体を支持する可動部と、上記可動体と所定の静電ギャップを隔てて対向した駆動電極が形成された駆動電極部と、上記可動鏡と所定の光学ギャップを隔てて対向した固定鏡が形成された光学ギャップ部とが互いに接合され、上記可動部に上記光学ギャップに対応したスペーサが一体に形成されている。
本発明によれば、静電ギャップが高精度に、かつ、短時間で形成されているとともに、可動体にリリースホールが形成されていないので、低い駆動電圧で駆動することができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタでは、上記駆動電極の上記可動体の他方の面に対向した領域と、上記可動体の上記駆動電極に対向した領域とのいずれか一方又は両方に絶縁膜が形成されている。
本発明によれば、使用時に静電引力により可動体が駆動電極に張り付くスティッキング(sticking)と呼ばれる現象を防止することができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタでは、上記可動体の他方の面に形成される反射防止膜が上記絶縁膜を兼ねている。
本発明によれば、少ない製造工程で安価に波長可変光フィルタを構成することができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタでは、上記可動部はシリコンを含み、上記駆動電極部又は上記光学ギャップ部のいずれか一方又は両方はアルカリ金属を含有したガラスからなり、上記可動部と上記駆動電極部又は、上記可動部と上記光学ギャップ部のいずれか一方又は両方は、陽極接合により接合されている。
本発明によれば、極めて高精度で静電ギャップが形成される。したがって、可動体と駆動電極との間に、ある駆動電圧を印加すれば、設計時にその駆動電圧に対して想定した静電引力を発生させることができ、設計通りに可動体を変位させることができる。この結果、各波長可変光フィルタごとに、各波長を有する光を取り出すための駆動電圧を調整して設定する必要がないため、使い勝手が良く、また光ファイバ中を伝送される異なる波長を有するすべての光を取り出すことができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタの製造方法では、第1の基板に凹部を形成した後、上記凹部に駆動電極を形成して駆動電極部とする。また、第2の基板に固定鏡を形成して光学ギャップ部とする。次に、導電性を有する活性層、絶縁層及びベース層が順次積層された第3の基板を、上記絶縁層をエッチングストップ層として上記ベース層をエッチングしてスペーサを形成する。次に、上記第3の工程で製造された構造体と上記駆動電極部とを、上記駆動電極と上記活性層とを対向させて接合した後、上記絶縁層を除去し、上記活性層に可動体を形成した後、上記可動体に可動鏡を形成する。そして、上記第4の工程で製造された構造体と上記光学ギャップ部とを、上記可動鏡と上記固定鏡とを対向させて接合することにより、波長可変光フィルタを製造する。
本発明によれば、犠牲層を形成することなく、駆動電極と可動体とのギャップが形成される。したがって、その分短時間で製造することができ、コストダウンを図ることができる。さらに、その犠牲層を除去するためのリリースホールを可動体等に形成する必要がなく、その分設計通りの面積を有する可動体が得られる。したがって、製造された波長可変光フィルタを低い駆動電圧で駆動することができ、その分消費電力を削減することができる。また、絶縁層がエッチングストップ層として機能しているので、高精度な膜厚を有する可動体を形成することができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタの製造方法では、上記活性層はシリコンからなり、上記第1の基板又は上記第2の基板のいずれか一方又は両方はアルカリ金属を含有したガラスからなり、上記第4の工程又は上記第5の工程のいずれか一方又は両方では、上記接合を陽極接合により行う。
本発明によれば、極めて高精度で静電ギャップが形成される。したがって、可動体と駆動電極との間に、ある駆動電圧を印加すれば、設計時にその駆動電圧に対して想定した静電引力を発生させることができ、設計通りに可動体を変位させることができる。この結果、各波長可変光フィルタごとに、各波長を有する光を取り出すための駆動電圧を調整して設定する必要がないため、使い勝手が良く、また光ファイバ中を伝送される異なる波長を有するすべての光を取り出すことができる。また、可動部との接合面には何らの加工も施しておらず、鏡面状態を保持しているガラスからなる光学ギャップ部とシリコンからなる活性層とを陽極接合しているので、接合界面における平坦度が良好であり、光学ギャップも高精度に形成することができる。このため、波長可変光フィルタを安定的に駆動することができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタの製造方法では、第1の基板に凹部を形成した後、上記凹部に駆動電極を形成して駆動電極部とする。また、第2の基板に固定鏡を形成して光学ギャップ部とする。次に、シリコンの(100)基板からなる第3の基板を異方性エッチングしてスペーサを形成する。次に、上記第3の工程で製造された構造体と上記駆動電極部とを、上記駆動電極と上記スペーサで囲まれた領域とを対向させて接合した後、上記スペーサで囲まれた領域に可動体を形成し、上記可動体に可動鏡を形成する。そして、上記第4の工程で製造された構造体と上記光学ギャップ部とを、上記可動鏡と上記固定鏡とを対向させて接合することにより、波長可変光フィルタを製造する。
本発明によれば、犠牲層を形成することなく、駆動電極と可動体とのギャップが形成される。したがって、その分短時間で製造することができ、コストダウンを図ることができる。さらに、その犠牲層を除去するためのリリースホールを可動体等に形成する必要がなく、その分設計通りの面積を有する可動体が得られる。したがって、製造された波長可変光フィルタを低い駆動電圧で駆動することができ、その分消費電力を削減することができる。また、高価なSOI(Silicon on Insulator)基板を用いないので、安価に構成することができる。また、異方性ウエットエッチングを使用してスペーサを形成しているので、その製造時間が短く、その分、コストダウンを図ることができる。
また、本発明に係る波長可変光フィルタの製造方法では、上記第1の基板又は上記第2の基板のいずれか一方又は両方はアルカリ金属を含有したガラスからなり、上記第4の工程又は上記第5の工程のいずれか一方又は両方では、上記接合を陽極接合により行っている。
本発明によれば、極めて高精度で静電ギャップが形成される。したがって、可動体と駆動電極との間に、ある駆動電圧を印加すれば、設計時にその駆動電圧に対して想定した静電引力を発生させることができ、設計通りに可動体を変位させることができる。この結果、各波長可変光フィルタごとに、各波長を有する光を取り出すための駆動電圧を調整して設定する必要がないため、使い勝手が良く、また光ファイバ中を伝送される異なる波長を有するすべての光を取り出すことができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における波長可変光フィルタを示す断面図である。なお、図1は、波長可変光フィルタの中央からややずれた位置における断面図である(図2のA−A'参照)。
この実施の形態1の波長可変光フィルタは、駆動電極部1と、可動部2と、光学ギャップ部3とから構成されており、駆動電極部1と可動部2との間にはその長さが約4μmの静電ギャップEGが、可動部2と光学ギャップ部3との間にはその長さが約30μmの光学ギャップOGがそれぞれ形成されている。駆動電極部1は、断面略コ字状のガラス基板11の略中央部に形成された凹部11a上に略リング状の駆動電極12が形成されて構成されている。ガラス基板11は、例えば、ナトリウム(Na)やカリウム(K)等のアルカリ金属を含有したガラスからなる。この種のガラスとしては、例えば、アルカリ金属を含有したホウケイ酸ガラス、具体的には、コーニング社製のパイレックス(登録商標)・ガラスがある。ガラス基板11を構成するガラスは、駆動電極部1と可動部2とを陽極接合(後述)により接合する場合には、ガラス基板11を加熱するため、可動部2を構成するシリコンと熱膨張係数がほぼ等しいことが要求されることから、上記パイレックス(登録商標)・ガラスのうち、コーニング#7740(商品名)が好ましい。
駆動電極12は、例えば、金(Au)やクロム(Cr)等の金属、あるいは透明導電性材料からなる。透明導電性材料としては、例えば、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In23)、あるいは錫ドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)等がある。また、駆動電極12の膜厚は、例えば、0.1〜0.2μmである。なお、駆動電極12は、図示しないが、ガラス基板11の外部に設けられた端子に配線を介して接続されている。
可動部2は、可動部基板21と、反射防止膜22と、高反射膜23とから構成されている。可動部基板21は、例えば、SOI(Silicon on Insulator)からなり、約50μmの膜厚を有し、図1及び図2に示すように、可動体21aと、スペーサ21bと、絶縁部21cと、4個のヒンジ21dと、支持部21eとが一体に形成されて構成されている。可動体21aは、略円盤状であり、可動部基板21の略中央に形成されている。可動体21は、その周縁部に形成された4個のヒンジ21bを介して支持部21cに支持され、自在に上下動する。スペーサ21bは、約30μmの膜厚を有し、断面略台形状である。絶縁部21cは、例えば、二酸化シリコン(SiO2)からなり、例えば、約4μmの膜厚を有し、略中央部に略円形の孔が形成されている。4個のヒンジ21dは、可動体21aの周縁に、隣接するもの同士が約90度の角度をなして位置している。
反射防止膜22は、可動体21aの下面のほぼ全域に略円盤状に形成され、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に積層した多層膜からなる。反射防止膜22は、図1において駆動電極部1の略中央下方(図1の矢印参照)から入射された光が図中下方に反射されるのを防止するとともに、一旦反射防止膜22の上方に透過された後高反射膜23で反射された光が図中上方に再度反射されるのを防止する。高反射膜23は、可動体21aの上面のほぼ全域に略円盤状に形成され、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に積層した多層膜からなる。高反射膜23は、図1において駆動電極部1の略中央下方(図1の矢印参照)から入射され、一旦その上方に透過された光を、光学ギャップ部3を構成するガラス基板31の下面に形成された高反射膜32との間で複数回にわたって反射させるためのものである。反射防止膜22及び高反射膜23は、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜及び五酸化タンタル(Ta25)の薄膜の各膜厚を変更することにより形成される。
光学ギャップ部3は、ガラス基板31と、高反射膜32と、反射防止膜33とから構成されている。ガラス基板31は、ガラス基板11と同一の材質のガラスからなり、略直方体状である。高反射膜32は、ガラス基板31の略中央下面に略円盤状に形成され、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に積層した多層膜からなる。高反射膜32は、図1において可動部2の略中央下方から入射され、一旦その上方に透過された光を、可動部2を構成する高反射膜23との間で複数回にわたって反射させるためのものである。反射防止膜33は、ガラス基板31の略中央上面に略円盤状に形成され、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に積層した多層膜からなる。反射防止膜33は、図1において光学ギャップ部3を構成するガラス基板31を透過した光が図中下方に反射されるのを防止する。高反射膜32及び反射防止膜33は、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜及び五酸化タンタル(Ta25)の薄膜の各膜厚を変更することにより形成される。
次に、上記構成の波長可変光フィルタの製造方法について、図3〜図8を参照して説明する。まず、駆動電極部1を製造するために、コーニング#7740のパイレックス(登録商標)・ガラスからなるガラス基板14(図3(a)参照)の上面に、図3(b)に示すように、化学的蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)装置や物理的蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)装置を使用して、金(Au)やクロム(Cr)等の金属膜15を形成する。PVD装置としては、例えば、スパッタリング装置、真空蒸着装置、あるいはイオンプレーティング装置等がある。金属膜15の膜厚は、例えば、0.1μmとする。具体的には、クロム(Cr)膜の場合にはその膜厚を0.1μmとすれば良いが、金(Au)膜の場合にはガラス基板14との密着性が良好でないことから、膜厚が例えば0.03μmであるクロム(Cr)膜を形成した後、膜厚が例えば0.07μmである金(Au)膜を形成する。
次に、金属膜15の上面全面にフォトレジスト(図示略)を塗布し、マスクアライナーで金属膜15の上面全面に塗布されたフォトレジストを露光した後、現像液で現像するフォトリソグラフィ(photolithography)技術を使用して、ガラス基板14のうち、後にガラス基板11の凹部11a(図1参照)となる部分を形成するために、フォトレジストパターン(図示略)を形成する。次に、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、塩酸又は硫酸(クロム膜の場合)、あるいは王水又は酸素や水の存在下でシアン化物イオンを含む溶液(金膜の場合)(以下、金属エッチング液と呼ぶ。)により金属膜15のうち不要な部分を除去した後、図示せぬフォトレジストパターンを除去して、図3(c)に示すエッチングパターン16を得る。
次に、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、フッ化水素酸(HF)によりガラス基板14のうち不要な部分を除去して図3(d)に示す凹部11aを形成した後、ウエットエッチング技術を使用して、上記した金属エッチング液によりエッチングパターン16を除去して、図3(e)に示すように、約4μmの深さを有する凹部11aが形成されたガラス基板11を得る。次に、CVD装置やPVD装置を使用して、ガラス基板11の上面に、図3(f)に示すように、金(Au)やクロム(Cr)等の金属膜17を形成する。金属膜17の膜厚は、例えば、0.1〜0.2μmとする。次に、金属膜17の上面全面にフォトレジスト(図示略)を塗布した後、上記したフォトリソグラフィ技術を使用して、金属膜17のうち、後に駆動電極12となる部分を残すために、フォトレジストパターン(図示略)を形成する。次に、ウエットエッチング技術を使用して、上記した金属エッチング液により金属膜17のうち不要な部分を除去した後、図示せぬフォトレジストパターンを除去して、図3(g)に示すように、駆動電極12を得る。以上説明した製造工程により、図1に示す駆動電極部1が製造される。
次に、可動部2を製造するために、図4(a)に示すSOI基板24を用いる。SOI基板24は、ベース層25と、絶縁層26と、活性層27とから構成されている。ベース層25は、シリコン(Si)からなり、その膜厚は例えば、約130μmである。絶縁層26は、二酸化シリコン(SiO2)からなり、その膜厚は例えば、約4μmである。活性層27はシリコン(Si)からなり、その膜厚は例えば、約10μmである。図1に示す約30μmの膜厚を有するスペーサ21bを形成するために、図4(b)に示すように、約130μmの膜厚を有するベース層25を約30μmの膜厚を有するベース層28に薄膜化する。このベース層25の薄膜化には、半導体製造分野において用いられている周知のウエットエッチング除去法、ドライエッチング除去法、あるいは研磨除去法を用いる。
次に、図4(b)に示すベース層28の上面全面及び活性層27の下面全面に、シリコンを酸化性雰囲気中で加熱する熱酸化や、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)−CVD装置を使用して、図4(c)に示すように、エッチングパターン材料としての二酸化シリコン(SiO2)膜29a及び29bを形成する。次に、二酸化シリコン(SiO2)膜29aの上面全面にフォトレジスト(図示略)を塗布するとともに、二酸化シリコン(SiO2)膜29bの下面全面にフォトレジスト30bを塗布した後、上記したフォトリソグラフィ技術を使用して、二酸化シリコン(SiO2)膜29aのうち、後にスペーサ21bとして除去すべきベース層28の部分に対応した領域を除去するために、図4(d)に示すように、フォトレジストパターン30aを形成する。次に、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、フッ化水素酸(HF)により、二酸化シリコン(SiO2)膜29aのうち不要な部分を除去した後、フォトレジストパターン30a及びフォトレジスト30bを除去して、図5(a)に示すように、エッチングパターン29a1を得る。
次に、図5(a)に示す構造体からシリコン(Si)からなるベース層28の不要な部分を除去することにより、図5(b)に示すように、スペーサ21bを形成する。このスペーサ21bの形成には、ウエットエッチング除去法又はドライエッチング除去法を用いる。いずれの除去法においても絶縁層26が活性層27に対するエッチングストップ層の役割を果たすために、活性層27がダメージを受けず、歩留まりの高い波長可変光フィルタを製造することができる。以下、ウエットエッチング除去法及びドライエッチング除去法について説明する。
(1)ウエットエッチング除去法
図5(a)に示す構造体を例えば、1〜40重量%(好ましくは、10重量%前後)の濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に浸漬することにより、式(2)に示す反応式に基づいてベース層28を構成するシリコン(Si)がエッチングされる。
Si+2KOH+H2O→K2SiO3+2H2 ・・・(2)
この場合のシリコン(Si)のエッチングレートは、二酸化シリコン(SiO2)のエッチングレートよりも非常に大きいので、二酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層26がシリコン(Si)からなる活性層27に対するエッチングストップ層の役割を果たす。
なお、この場合に用いるエッチング液としては、上記した水酸化カリウム(KOH)水溶液の他、半導体表面処理剤やフォトリソグラフィ用のポジレジスト用現像液として広く使用されている水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:Tetramethyl ammonium hydroxide)水溶液、エチレンジアミン−ピロカテコール−ジアジン(EPD:Ethylenediamine Pyrocatechol Diazine)水溶液又は、ヒドラジン(Hydrazine)水溶液などがある。このウエットエッチング除去法を用いれば、図5(a)に示す構造体の一団を、生産条件等をほぼ等しくして一括して処理するバッチ処理を行うことができるので、生産性を向上させることができる。
(2)ドライエッチング除去法
図5(a)に示す構造体をドライエッチング装置のチャンバー内に載置し、真空状態した後、チャンバー内に例えば、圧力390Paの二フッ化キセノン(XeF2)を60秒間導入することにより、式(3)に示す反応式に基づいてベース層28を構成するシリコン(Si)がエッチングされる。
2XeF2+Si→2Xe+SiF4 ・・・(3)
この場合のシリコン(Si)のエッチングレートは、二酸化シリコン(SiO2)のエッチングレートよりも非常に大きいので、二酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層26がシリコン(Si)からなる活性層27に対するエッチングストップ層の役割を果たす。また、この場合のドライエッチングは、プラズマエッチングではないので、絶縁層26がダメージを受けにくい。なお、上記した二フッ化キセノン(XeF2)を用いたドライエッチングの他、四フッ化炭素(CF4)や六フッ化硫黄(SF6)を用いたプラズマエッチングがある。
次に、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、フッ化水素酸(HF)により、図5(c)に示すように、エッチングパターン29a1及び二酸化シリコン(SiO2)膜29bを除去する。次に、活性層27の下面の略中央部に、CVD装置やPVD装置を使用して、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に、例えば、10〜20層程度積層することにより、図5(d)に示す反射防止膜22を形成する。
次に、図3(g)に示す駆動電極部1と、図5(d)に示す構造体とを、略円盤状の反射防止膜22が略リング状の駆動電極12のリング部分に対向するように接合する。この接合には、例えば、陽極接合、接着剤による接合、表面活性化接合、低融点ガラスを用いた接合を用いる。このうち、陽極接合は、以下に示す工程を経て行われる。まず、駆動電極部1の上面に、図5(d)に示す構造体を、反射防止膜22が駆動電極12のリング部分に対向するように載置した状態において、図示せぬ直流電源のマイナス端子をガラス基板11に接続するとともに、上記直流電源のプラス端子を活性層27に接続する。次に、ガラス基板11を例えば、数百℃程度に加熱しつつ、ガラス基板11と活性層27との間に直流電圧を例えば、数百V程度印加する。ガラス基板11を加熱することにより、ガラス基板11内のアルカリ金属のプラスイオン、例えば、ナトリウムイオン(Na+)が移動しやすくなる。このアルカリ金属のプラスイオンがガラス基板11内を移動することにより、相対的に、ガラス基板11の活性層27との接合面がマイナスに帯電する一方、活性層27のガラス基板11との接合面がプラスに帯電する。この結果、シリコン(Si)と酸素(O)とが電子対を共有する共有結合により、図6に示すように、ガラス基板11と活性層27とは強固に接合される。
次に、図6に示す構造体について、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、フッ化水素酸(HF)により、図7(a)に示すように、絶縁層26のうち、その上面が露出している部分をすべて除去することにより、絶縁部21cを形成する。次に、活性層27のうち、その上面が露出している部分にフォトレジスト(図示略)を塗布した後、上記したフォトリソグラフィ技術を使用して、活性層27のうち、後に可動部基板21となる部分を残すために、フォトレジストパターン(図示略)を形成する。次に、図7(a)に示す構造体に図示せぬフォトレジストパターンが形成されたものをドライエッチング装置のチャンバー内に載置した後、例えば、エッチングガスとして六フッ化硫黄(SF6)を流量130sccmで6秒間、デポジション(堆積)ガスとして八フッ化シクロブタン(C48)を流量50sccmで7秒間交互にチャンバー内に導入することにより、活性層27のうち不要な部分を異方性エッチングで除去する。
ここで、ドライエッチング技術を使用して異方性エッチングを行うのは、以下に示す理由による。まず、ウェットエッチング技術を使用した場合、エッチングが進むに従ってエッチング液が可動部基板21に形成された孔から下方の駆動電極部1側に侵入し、駆動電極12を除去してしまうが、ドライエッチング技術を使用した場合はそのような危険性がない。また、等方性エッチングを使用した場合には、活性層27が等方的にエッチングされ、サイドエッチングが発生する。特に、ヒンジ21dにサイドエッチングが発生した場合には、強度が弱くなり、耐久性が劣化してしまう。これに対し、異方性エッチングを使用した場合には、サイドエッチングが発生せず、エッチング寸法の制御に優れており、ヒンジ21dの側面も垂直に形成されるため、強度が弱くなることはない。
次に、上記異方性エッチング後の構造体について、図示せぬフォトレジストパターンを、例えば、酸素プラズマを使用して除去して、図7(b)に示すように、可動部基板21を得る。ここで、酸素プラズマを使用して図示せぬフォトレジストパターンを除去するのは、以下に示す理由による。すなわち、剥離液や硫酸その他の酸性の溶液を使用して図示せぬフォトレジストパターンを除去した場合、剥離液や酸性の溶液が可動部基板21に形成された孔から下方の駆動電極部1側に侵入し、駆動電極12を除去してしまうが、酸素プラズマを使用した場合はそのような危険性がないからである。
次に、可動部基板21の上面の略中央部に、CVD装置やPVD装置を使用して、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に、例えば、10〜20層程度積層することにより、図7(c)に示す高反射膜23を形成する。以上説明した製造工程により、図1に示す可動部2が製造される。
次に、光学ギャップ部3を製造するために、コーニング#7740のパイレックス(登録商標)・ガラスからなるガラス基板31(図8(a)参照)の上面及び略中央下面に、CVD装置やPVD装置を使用して、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に、例えば、10〜20層程度積層することにより、図8(b)に示す高反射膜32及び反射防止膜33を形成する。以上説明した製造工程により、図1に示す光学ギャップ部3が製造される。
次に、図7(c)に示す構造体と、図8(b)に示す光学ギャップ部3とを、略円盤状の高反射膜23が略円盤状の高反射膜32に対向するように接合する。この接合には、例えば、上記した陽極接合、接着剤による接合、表面活性化接合、低融点ガラスを用いた接合を用いる。この接合の際、内部を真空にしたり(真空封止)、内部を最適圧力として(減圧封止)も良い。以上説明した製造工程により、図1に示す波長可変光フィルタが製造される。
次に、上記構成の波長可変光フィルタの動作について、図1を参照して説明する。駆動電極12と可動体21aとの間には駆動電圧を印加する。この駆動電圧は、例えば、60Hzの交流正弦波電圧やパルス状の電圧であり、駆動電極12にはガラス基板11の外部に設けられた端子及び配線(ともに図示略)を介して印加する一方、可動体21aには支持部21e及びヒンジ21d(図2参照)を介して印加する。この駆動電圧による電位差のため、駆動電極12と可動体21aとの間に静電引力が発生し、可動体21aが駆動電極12側に変位する、すなわち、静電ギャップEG及び光学ギャップOGが変化する。このとき、ヒンジ21dが弾性を有しているため、可動体21aは弾性的に変位する。
この波長可変光フィルタに、複数(例えば、60〜100個)の赤外の波長を有する光が図1において駆動電極部1の略中央下方(図1の矢印参照)から入射し、ガラス基板11を透過する。この光は、反射防止膜22によりほとんど反射されず、かつ、シリコンからなる可動体21aを透過して、下方に高反射膜21が、上方に高反射膜32がそれぞれ形成された空間(反射空間)に進入する。上記反射空間に進入した光は、高反射膜23と高反射膜32との間で反射を繰り返し、最終的に高反射膜32及びガラス基板31を透過してこの波長可変光フィルタの上方から出射する。このとき、ガラス基板31の上面に反射防止膜33が形成されているため、光がガラス基板31と空気の界面でほとんど反射されずに出射する。
上記の高反射膜32(固定鏡)と高反射膜23(可動鏡)との間で光が反射を繰り返す過程において、高反射膜32と高反射膜23との間の距離(光学ギャップOG)に対応する干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰し、この干渉条件を満たした波長の光だけが残って最終的にこの波長可変光フィルタから出射する。これがファブリ・ペロー干渉計の原理であり、この干渉条件を満たした波長の光が透過することとなるため、駆動電圧を変更することにより、可動体21aが変位して光学ギャップOGが変更されると、透過する光の波長を選択することが可能となる。
このように、この実施の形態1による波長可変光フィルタは、ガラス基板11を有する駆動電極部1と、シリコン(Si)からなる可動部2と、ガラス基板31を有する光学ギャップ部3とを接合して構成されているので、静電ギャップEGが高精度で形成される。特に、陽極接合を用いた場合には、極めて高精度で静電ギャップEGが形成される。したがって、可動体21aと駆動電極12との間に、ある駆動電圧を印加すれば、設計時にその駆動電圧に対して想定した静電引力を発生させることができ、設計通りに可動体21aを変位させることができる。この結果、各波長可変光フィルタごとに、各波長を有する光を取り出すための駆動電圧を調整して設定する必要がないため、使い勝手が良く、また光ファイバ中を伝送される異なる波長を有するすべての光を取り出すことができる。
また、この実施の形態1による波長可変光フィルタは、製造過程で犠牲層が形成されないため、その分短時間で製造することができ、コストダウンを図ることができる。さらに、その犠牲層を除去するためのリリースホールを可動部基板21等に形成する必要がないため、その分設計通りの面積を有する可動体21aが得られる。したがって、上記した従来例と比べて、低い駆動電圧で駆動することができ、その分消費電力を削減することができる。
また、この実施の形態1による波長可変光フィルタでは、可動部2との接合面には何らの加工も施しておらず、鏡面状態を保持しているガラス基板31を有する光学ギャップ部3とシリコン(Si)からなる可動部2とを接合、特に、陽極接合しているので、接合界面における平坦度が良好であり、光学ギャップOGも高精度に形成することができる。このため、波長可変光フィルタを安定的に駆動することができる。さらに、この実施の形態1による波長可変光フィルタでは、透明なガラス基板31が封止キャップをも兼ねているので、波長可変光フィルタの動作をモニタすることができる。
また、この実施の形態1による波長可変光フィルタでは、SOI基板24から可動部2を形成しているが、その際、絶縁層26がエッチングストップ層として機能しているので、高精度な膜厚を有する可動体21aを形成することができる。また、SOI基板24として、一般に市販されているものを用いた場合には、既にその製造メーカによって活性層27の表面が鏡面に仕上げられているので、それを利用して高精度な反射防止膜22及び高反射膜23を形成することができる。また、この実施の形態1では、スペーサ21bを形成する際に、ベース層28の表面に二酸化シリコン(SiO2)膜からなるエッチングパターン29a1を形成しているが、この二酸化シリコン(SiO2)膜がエッチング工程でダメージを受けることはない。したがって、エッチングパターン29a1が除去されたベース層28の光ギャップ部3との接合界面は、良好な平坦度を保持しており、このことも光学ギャップOGの高精度な形成に寄与している。さらに、光学ギャップOGの長さについても容易に制御することができる。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2における波長可変光フィルタを示す断面図である。なお、図9は、波長可変光フィルタの中央からややずれた位置における断面図である(図10のA−A'参照)。図9において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。図9に示す波長可変光フィルタにおいては、図1に示す可動部2に換えて、可動部41が新たに設けられている。この実施の形態2の波長可変光フィルタでは、駆動電極部1と可動部41との間にはその長さが約4μmの静電ギャップEGが、可動部41と光学ギャップ部3との間にはその長さが約30μmの光学ギャップOGがそれぞれ形成されている。
可動部41は、可動部基板42と、反射防止膜22と、高反射膜23とから構成されている。可動部基板42は、シリコンからなり、その表面が(100)面となっている、いわゆる(100)基板であって、約50μmの膜厚を有し、図9及び図10に示すように、可動体42aと、スペーサ42bと、4個のヒンジ42cと、支持部42dとが一体に形成されて構成されている。可動体42aは、略円盤状であり、可動部基板42の略中央に形成されている。可動体42aは、その周縁部に形成された4個のヒンジ42cを介して支持部42dに支持され、自在に上下動する。スペーサ42bは、約30μmの膜厚を有し、断面略台形状である。4個のヒンジ42cは、可動体42の周縁に、隣接するもの同士が約90度の角度をなして位置している。
次に、上記構成の波長可変光フィルタの製造方法について、図11を参照して説明する。なお、駆動電極部1及び光学ギャップ部3の製造方法については、上記した実施の形態1における駆動電極部1及び光学ギャップ部3の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。可動部41を製造するために、図11(a)に示すシリコン基板51を用いる。シリコン基板51は、(100)基板からなり、その膜厚は例えば、約50μmである。
次に、図11(a)に示すシリコン基板51の上面全面に、熱酸化やTEOS−CVD装置を使用して、図11(b)に示すように、エッチングパターン材料としての二酸化シリコン(SiO2)膜52を形成する。次に、二酸化シリコン(SiO2)膜52の上面全面にフォトレジスト(図示略)を塗布した後、上記したフォトリソグラフィ技術を使用して、二酸化シリコン(SiO2)膜52のうち、後にスペーサ42bとして除去すべきシリコン基板51の部分に対応した領域を除去するために、図11(c)に示すように、フォトレジストパターン53を形成する。次に、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、フッ化水素酸(HF)により、二酸化シリコン(SiO2)膜52のうち不要な部分を除去した後、フォトレジストパターン53を除去して、図11(d)に示すように、エッチングパターン54を得る。
次に、図11(d)に示す構造体からシリコン(Si)からなるシリコン基板51の不要な部分を除去することにより、図11(e)に示すように、スペーサ42bを有する可動部構造体55を形成する。このスペーサ42bの形成には、以下に示す異方性ウエットエッチング除去法を用いる。
・異方性ウエットエッチング除去法
図11(d)に示す構造体を例えば、1〜40重量%(好ましくは、10重量%前後)の濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に浸漬することにより、上記式(2)に示す反応式に基づいて、シリコン基板51がエッチングされる。この場合、シリコン基板51の(111)面のエッチングレートは、他の面のエッチングレートに比べて約200分の1程度遅いことから、シリコン基板51には、約55度の傾斜面を有する(111)面が現れ、これがスペーサ42bとなる。このように、低濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いることにより、エッチング底面の表面粗さを向上させることができる。
なお、この場合に用いるエッチング液としては、上記した水酸化カリウム(KOH)水溶液の他、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:Tetramethyl ammonium hydroxide)水溶液、エチレンジアミン−ピロカテコール−ジアジン(EPD:Ethylenediamine Pyrocatechol Diazine)水溶液又は、ヒドラジン(Hydrazine)水溶液などがある。この異方性ウエットエッチング除去法を用いれば、図11(d)に示す構造体の一団を、生産条件等をほぼ等しくして一括して処理するバッチ処理を行うことができるので、生産性を向上させることができる。
次に、ウエットエッチング技術を使用して、例えば、フッ化水素酸(HF)により、図11(f)に示すように、エッチングパターン54を除去する。次に、可動部構造体55の下面の略中央部に、CVD装置やPVD装置を使用して、二酸化シリコン(SiO2)の薄膜と五酸化タンタル(Ta25)の薄膜とを交互に、例えば、10〜20層程度積層することにより、図11(g)に示す反射防止膜22を形成する。なお、図11(g)に示す構造体と図3(g)に示す駆動電極部1との接合以降の可動部41の製造方法については、絶縁層26から絶縁部21cを形成する工程以外は、上記した実施の形態1における、図5(d)に示す構造体と図3(g)に示す駆動電極部1との接合以降の可動部2の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。また、上記構成の波長可変光フィルタの動作についても、上記した実施の形態1における波長可変フィルタの動作と略同様であるので、その説明を省略する。
このように、この実施の形態2による波長可変光フィルタは、高価なSOI基板を用いないので、上記した実施の形態1による波長可変光フィルタと比べて安価に構成することができる。また、この実施の形態2による波長可変光フィルタは、異方性ウエットエッチング除去法を使用してスペーサ42bを形成しているので、その製造時間が短く、その分、コストダウンを図ることができる。もちろん、上記した実施の形態1で得られる効果も同様に得られる。
以上、この実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、上述の実施の形態1においては、可動部2を製造するのにSOI基板24を用いる例を示したが、これに限定されず、SOS(Silicon on Sapphire)基板を使用してもよく、またその上面に二酸化シリコン(SiO2)膜が形成されたシリコン基板と、他のシリコン基板とを上面同士を重ねて張り合わせたものを使用しても良い。
また、上述の各実施の形態においては、駆動電極部1及び光学ギャップ部3の両方をガラス基板で構成する例を示したが、これに限定されず、駆動電極部1及び光学ギャップ部3は、赤外等の所望の透過波長帯域の光を透過する材料、例えば、シリコン、サファイヤ、ゲルマニウムなどでも良い。また、上述の実施の形態1においては、スペーサ21bを形成する際には異方性ウエットエッチング除去法を用いない例を示したが、これに限定されない。すなわち、SOI基板24を構成するベース層25を上記した(100)基板で構成し、スペーサ21bを形成する際には異方性ウエットエッチング除去法を使用しても良い。この場合には、その製造時間が短く、その分、コストダウンを図ることができる。また、上述の実施の形態1においては、SOI基板24のベース層25からベース層28を形成する例を示したが、これに限定されず、ベース層25の膜厚が当初より約30μmであるSOI基板24を使用してももちろん良い。逆に、上述の実施の形態2において、シリコン基板51の膜厚が約50μmより厚い場合には、ウエットエッチング除去法や研磨によりその膜厚を約50μmにした後に、その上面に二酸化シリコン膜52を形成するようにしても良い。
また、上述の各実施の形態において、駆動電極12の上面又は、可動体21a及び42aの下面であって、少なくとも駆動電極12に対向した領域のいずれか一方又は両方に、例えば、二酸化シリコン(SiO2)又は窒化シリコン(SiNx)からなる絶縁膜を形成しても良い。このように構成すれば、何らかの原因で可動電極と駆動電極との間に大きな駆動電圧が印加された場合に静電引力により可動体21a又は42aが駆動電極12に張り付くスティッキング(sticking)と呼ばれる現象を防止することができる。これにより、波長可変光フィルタの耐久性を向上させることができる。また、可動体21a及び42aの略中央下面に形成される反射防止膜22を構成する二酸化シリコン(SiO2)膜も五酸化タンタル(Ta25)膜もともに絶縁体である。そこで、反射防止膜22を可動体21a及び42aの下面全面に形成して、上記した絶縁膜として兼用しても良い。この場合、可動体21a及び42aの下面の周辺部については、反射防止膜22として機能するだけの層数を形成する必要はなく、絶縁膜として機能するだけの層数形成すれば良い。このように、反射防止膜22を絶縁膜として兼用すれば、少ない製造工程でスティッキングを防止することができ、安価に波長可変光フィルタを構成することができる。
また、上述の各実施の形態においては、ヒンジ21d及び42cは4個である例を示したが、これに限定されず、ヒンジの数は、3個、5個、6個以上でも良い。この場合、隣接するヒンジは、可動体21a及び42aの周辺部に等距離となる位置に形成する。また、上述の各実施の形態においては、光学ギャップ部3の下面の大部分の領域に高反射膜32を、上面の大部分の領域に反射防止膜33をそれぞれ形成する例を示したが、これに限定されず、高反射膜32及び反射防止膜33は、光学ギャップ部3の下面及び上面のうち、高反射膜23に対向した領域だけに形成しても良い。
本発明の実施の形態1を示す波長可変光フィルタの断面図。 同波長可変光フィルタを構成する可動部基板の上面図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。 本発明の実施の形態2を示す波長可変光フィルタの断面図。 同波長可変光フィルタを構成する可動部基板の上面図。 同波長可変光フィルタの製造工程を示す図。
符号の説明
1 駆動電極部、2,41 可動部、3 光学ギャップ部、11,14,31 ガラス基板、11a 凹部、12 駆動電極、15,17 金属膜、16,29a1,54 エッチングパターン、21,42 可動部基板、21a,42a 可動体、21b,42b スペーサ、21c 絶縁部、21d,42c ヒンジ、21e,42d 支持部、22,33 反射防止膜、23,32 高反射膜、24 SOI基板、25,28 ベース層、26 絶縁層、27 活性層、29a,29b,52 二酸化シリコン膜、30a,53 フォトレジストパターン、30b フォトレジスト、51 シリコン基板、55 可動部構造体、EG 静電ギャップ、OG 光学ギャップ。

Claims (8)

  1. 一方の面に可動鏡が形成され、自在に上下動する可動体を支持する可動部と、
    前記可動体と所定の静電ギャップを隔てて対向した駆動電極が形成された駆動電極部と、
    前記可動鏡と所定の光学ギャップを隔てて対向した固定鏡が形成された光学ギャップ部とが互いに接合され、
    前記可動部に前記光学ギャップに対応したスペーサが一体に形成されていることを特徴とする波長可変光フィルタ。
  2. 前記駆動電極の前記可動体に対向した領域と、前記可動体の前記駆動電極に対向した領域とのいずれか一方又は両方に絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の波長可変光フィルタ。
  3. 前記可動体の他一方の面に形成される反射防止膜が前記絶縁膜を兼ねることを特徴とする請求項2記載の波長可変光フィルタ。
  4. 前記可動部はシリコンを含み、前記駆動電極部又は前記光学ギャップ部のいずれか一方又は両方はアルカリ金属を含有したガラスからなり、前記可動部と前記駆動電極部又は、前記可動部と前記光学ギャップ部のいずれか一方又は両方は、陽極接合により接合されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の波長可変光フィルタ。
  5. 第1の基板に凹部を形成した後、前記凹部に駆動電極を形成して駆動電極部とする第1の工程と、
    第2の基板に固定鏡を形成して光学ギャップ部とする第2の工程と、
    導電性を有する活性層、絶縁層及びベース層が順次積層された第3の基板を、前記絶縁層をエッチングストップ層として前記ベース層をエッチングしてスペーサを形成する第3の工程と、
    前記第3の工程で製造された構造体と前記駆動電極部とを、前記駆動電極と前記活性層とを対向させて接合した後、前記絶縁層を除去し、前記活性層に可動体を形成した後、前記可動体に可動鏡を形成する第4の工程と、
    前記第4の工程で製造された構造体と前記光学ギャップ部とを、前記可動鏡と前記固定鏡とを対向させて接合する第5の工程と
    を有することを特徴とする波長可変光フィルタの製造方法。
  6. 前記活性層はシリコンからなり、前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれか一方又は両方はアルカリ金属を含有したガラスからなり、前記第4の工程又は前記第5の工程のいずれか一方又は両方では、前記接合を陽極接合により行うことを特徴とする請求項5記載の波長可変光フィルタの製造方法。
  7. 第1の基板に凹部を形成した後、前記凹部に駆動電極を形成して駆動電極部とする第1の工程と、
    第2の基板に固定鏡を形成して光学ギャップ部とする第2の工程と、
    シリコンの(100)基板からなる第3の基板を異方性エッチングしてスペーサを形成する第3の工程と、
    前記第3の工程で製造された構造体と前記駆動電極部とを、前記駆動電極と前記スペーサで囲まれた領域とを対向させて接合した後、前記スペーサで囲まれた領域に可動体を形成し、前記可動体に可動鏡を形成する第4の工程と、
    前記第4の工程で製造された構造体と前記光学ギャップ部とを、前記可動鏡と前記固定鏡とを対向させて接合する第5の工程と
    を有することを特徴とする波長可変光フィルタの製造方法。
  8. 前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれか一方又は両方はアルカリ金属を含有したガラスからなり、前記第4の工程又は前記第5の工程のいずれか一方又は両方では、前記接合を陽極接合により行うことを特徴とする請求項7記載の波長可変光フィルタの製造方法。
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