JP2006208791A - 波長可変フィルタおよび波長可変フィルタの製造方法 - Google Patents

波長可変フィルタおよび波長可変フィルタの製造方法 Download PDF

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亮介 中村
Shiyoukou Tei
昌鎬 鄭
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    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B26/00Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements
    • G02B26/001Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements based on interference in an adjustable optical cavity

Abstract

【課題】当該波長可変フィルタから出射した光の減衰を防止することができ、また、様々な波長の光に対して波長分離が可能な波長可変フィルタおよび波長可変フィルタの製造方法を提供すること。
【解決手段】貫通孔24を有するベース基板2と、開口部311を有する可動部31を備える可動基板3と、開口部311を覆うように可動部31に接合され、可動反射膜210が設けられた光透過基板4と、干渉用ギャップ9を介して可動反射膜210と対向する部位に固定反射膜200が設けられた固定基板5と、クーロン力により可動部31を固定基板5に対して変位させることにより、干渉用ギャップ9の間隔を変更する駆動部とを備え、固定反射膜200と可動反射膜210との間で反射を繰り返し、干渉用ギャップ9の間隔に応じた波長の干渉光を外部に出射し得るよう構成されたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、波長可変フィルタおよび波長可変フィルタの製造方法に関するものである。
各波長における強度分布を調べる波長可変フィルタ(Optical Tunable Filter)が知られている。
本発明に関わる波長可変フィルタの関連特許は、以下のようなものがある。
<表面マイクロマシニングによるフィルタ>
従来の波長可変フィルタの可変ギャップの厚みは、犠牲層の厚みのみにより制御される。この方法によると、犠牲層の製膜条件によって厚さにバラツキが生じてしまい、薄膜と駆動電極との間のクーロン力が一定ではなく、安定した駆動が得られないという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
<SOIウエハーを用いたフィルタ>
一方、US6341039では、SOI(Silicon on Insulator)ウエハーのSiO層を犠牲層として用い、可変ギャップを形成している。これによれば、可変ギャップを精度よく形成することができる。
しかしながら、駆動電極と可動部との間に絶縁構造が形成されていないため、大きな静電引力が発生した際に、可動部と駆動電極が貼り付きを起こしてしまうという問題がある(例えば、特許文献2参照)。
<両方式に共通する問題点>
最終的に犠牲層をリリースして可変ギャップを形成するが、リリース用の液体を犠牲層に導入するためのリリースホールが必要となる。このため、クーロン力が作用する面積が減少し、駆動電圧が増加してしまうという問題がある。また、可変ギャップが小さいと、犠牲層をリリースする際に薄膜と駆動電極基板の間に水の表面張力によるスティッキングと呼ばれる貼り付き現象が発生する。これらより、犠牲層をリリースしないような構造が求められている。
また、可動部の光が透過する部位がシリコンで形成されているため、赤外光の波長分離以外には、用いることができないという問題がある。
特開2002−174721号公報 米国特許第6341039号明細書
本発明の目的は、当該波長可変フィルタから出射した光の減衰を防止することができ、また、様々な波長の光に対して波長分離が可能な波長可変フィルタおよび波長可変フィルタの製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の波長可変フィルタは、凹部を有する第1の基板と、
前記凹部に対向する位置に開口部を有する可動部と、該可動部を変位可能に支持する支持部とを備え、前記第1の基板に接合された導電性を有する第2の基板と、
前記開口部に対応する部位に位置するように、前記可動部に接合された光透過性を有する第3の基板と、
前記凹部の底部に設けられた固定反射膜と、
前記第3の基板の前記凹部側に設けられ、前記固定反射膜に対し、干渉用ギャップを介して対向配置された可動反射膜と、
前記開口部に対応する部位に導光路を有し、絶縁層を介して前記第2の基板と対向するように配置された、前記可動部を駆動させる電極を構成する第4の基板と、
前記可動部と前記第4の基板との電位差により生じるクーロン力によって、前記可動部を前記第1の基板に対して変位させることにより、前記干渉用ギャップの間隔を変更する駆動部とを有し、
前記固定反射膜と前記可動反射膜との間において反射を繰り返し、干渉を生じさせて前記干渉用ギャップの間隔に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成されたことを特徴とする。
これにより、様々な波長の光に対して(例えば、可視光等)も波長分離が可能となる。また、可動反射膜が、第3の基板に設けられているため、可動反射膜の厚さ(膜厚)を均一なものとすることができ、よって可動反射膜の膜厚の不均一による光の減衰を防止することができる。また、クーロン力を用いることにより、可動部を安定して駆動することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記駆動部は、前記第2の基板と前記第4の基板との間に設けられた駆動用ギャップを有し、
前記第2の基板と第4の基板とのうちの少なくとも一方の前記駆動用ギャップに臨む部位に絶縁処理が施されていることが好ましい。
これにより、第2の基板と第4の基板との短絡を防止することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記絶縁処理は、前記駆動用ギャップに臨む部位の表面に、絶縁膜を被覆形成することにより行われることが好ましい。
これにより、絶縁処理を容易かつ確実に施すことができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記絶縁処理は、前記駆動用ギャップに臨む部位の表面を酸化および/または窒化することにより行われることが好ましい。
これにより、絶縁処理を容易かつ確実に施すことができる。
本発明の波長可変フィルタでは、外部からの光は、前記導光路を介して前記干渉用ギャップに入射することが好ましい。
これにより、干渉用ギャップに光を確実に入射させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第2の基板と前記第4の基板とは、それぞれ、シリコンで構成されていることが好ましい。
これにより、導電性を有し、安定して駆動が可能な可動部を容易に得ることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記絶縁層は、シリコン酸化物で構成されていることが好ましい。
このものは、絶縁性に優れる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第2の基板と前記絶縁層と前記第4の基板とは、シリコンで構成された第4の基板用基材上に、シリコン酸化物で構成された中間層と、シリコンで構成された第2の基板用基材とがこの順で積層されている積層体を加工して形成されたものであることが好ましい。
これにより、第2の基板と絶縁層と第4の基板とを容易に形成することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記導光路は、前記第4の基板に設けられた貫通孔であることが好ましい。
これにより、外部からの光を干渉用ギャップに容易に入射させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第3の基板は、赤外光および赤外光より短波長の光を透過可能なものであることが好ましい。
これにより、赤外光および赤外光より短波長の光の波長分離が可能となる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第3の基板は、前記可動部の前記第1の基板と対向する面側に接合されていることが好ましい。
これにより、第3の基板と可動部とを容易に接合することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第3の基板は、前記可動部の前記第1の基板と対向する面側に設けられていることが好ましい。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第3の基板は、前記開口部を包含するように該開口部を覆っていることが好ましい。
これにより、干渉を生じた光以外の光が外部に出射することを確実に防止するこ
とができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動部は、平面視で略円形をなしていることが好ましい。
これにより、可動部を効率よく駆動することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第1の基板および前記第3の基板は、それぞれ、ガラスで構成されていることが好ましい。
これにより、光を効率よく透過させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記ガラスは、アルカリ金属を含有したガラスであることが好ましい。
これにより、第1の基板と第2の基板および第2の基板と第3の基板とが強固に、かつ高い密着性をもって接合された波長可変フィルタを得ることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動部と前記支持部とは一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、可動部を効率よく駆動させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記固定反射膜および前記可動反射膜は、それぞれ多層膜であることが好ましい。
これにより、膜厚を容易に変化させることができ、反射膜の製造を容易なものとすることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動反射膜は、絶縁膜であることが好ましい。
これにより、別途絶縁膜を設ける必要が無く、構造を簡易なものとすることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第1の基板の前記干渉用ギャップと反対側の面と前記第3の基板の前記干渉用ギャップと反対側の面とに、それぞれ反射防止膜を有することが好ましい。
これにより、光の反射を抑制し、光を効率的に透過させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記反射防止膜は、多層膜であることが好ましい。
これにより、膜厚を容易に変化させることができ、反射防止膜の製造を容易なものとすることができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法は、凹部を有し、該凹部の底部に固定反射膜が設けられた第1の基板を用意する工程と、
シリコンで構成された第4の基板用基材上に、シリコン酸化物で構成された中間層と、シリコンで構成された第2の基板用基材とがこの順で積層されている積層体に対して加工を施すことにより、絶縁層と該絶縁層を介して両側に、それぞれ、導光路を有する第4の基板と、開口部を有する可動部と該可動部を変位可能に支持する支持部とを備える第2の基板とが形成された構造体を用意する工程と、
可動反射膜が設けられた第3の基板を用意する工程と
前記開口部を覆うように、前記第3の基板を前記可動部に接合する工程と、
前記固定反射膜と前記可動反射膜とが対向するように、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する工程とを有することを特徴とする。
これにより、可視光に対しても波長分離が可能で、可動反射膜の厚さ(膜厚)が均一な波長可変フィルタを容易に製造することができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記積層体の加工は、前記導光路を構成する貫通孔を形成する工程を有することが好ましい。
これにより、導光路を容易に形成することができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記積層体の加工は、前記第2の基板に開口部を形成する工程を有することが好ましい。
これにより、第2の基板に開口部が形成される。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記積層体の加工は、前記中間層の、前記可動部および前記支持部に対応する部位を除去して、前記第2の基板と前記第4の基板との間に駆動用ギャップを形成する工程を有することが好ましい。
これにより、駆動用ギャップを容易に形成することができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記第2の基板と第4の基板とのうちの少なくとも一方の前記駆動用ギャップに臨む部位に絶縁処理を施す工程を有することが好ましい。
これにより、第2の基板と第4の基板との短絡を防止することができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記可動部と前記第3の基板との接合および前記第1の基板と前記第2の基板との接合は、それぞれ、陽極接合により行うことが好ましい。
これにより、第2の基板用基材と第1の基板および第1の基板と第3の基板とを強固に、かつ高い密着性をもって接合することができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合することによって、前記固定反射膜と前記可動反射膜とを干渉用ギャップを介して対向させることが好ましい。
これにより、干渉用ギャップを容易に形成することができる。
本発明の波長可変フィルタの製造方法では、前記凹部の形成は、エッチング法により行うことが好ましい。
これにより、精度の高い凹部を形成することができる。
以下、本発明の波長可変フィルタを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の波長可変フィルタの第1実施形態の可動基板および光透過基板を示す平面図(上面図)、図2は、第1実施形態の波長可変フィルタにおける図1のA−A線での断面図、図3は、本発明の波長可変フィルタの動作の一例を説明する図である。また、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
波長可変フィルタ1は、例えば、波長可変フィルタ1内に入射した光のうち、所定の波長に対応する光(干渉光)を出射させる装置であり、図2に示すように、ベース基板(第4の基板)2と、絶縁層10と、可動基板(第2の基板)3と、光透過性を有する光透過基板(第3の基板)4と、光透過性を有する固定基板(第1の基板)5とを有している。
ベース基板2と、絶縁層10と、可動基板3とは、SOI(Silicon On Insulator)基板を加工して形成されている。なお、SOI基板については、後述する。
図1に示すように、可動基板3は、シリコン(Si)で構成されており、中央部に配置され平面視で略円形状をなす可動部31と、可動部31を図2中上下方向に変位(移動)可能に支持する支持部32と、固定部33とを有している。この可動基板3は、固定部33の図2中上側で、ベース基板2に固定(接合)され、図2中下側で、絶縁層10に固定(接合)されている。
また、可動基板3の表面には、絶縁処理が施され、シリコン酸化(SiO2)膜、シリコン窒化(SiN)膜、シリコンオキシナイトライド(SiOHN)膜等の絶縁膜300が設けられている。
可動部31は、平面視で略円形の開口部311を有している。開口部311は、可動部31を形成する円に対して同心円状に形成されている。
なお、可動部31および開口部311の形状は、図示の形状に特に限定されないが、開口部311の形状は、可動部31の形状と略同一形状をなしているのが好ましい。
可動部31の厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。可動部31の厚さを上記のものとすることにより、可動部31の駆動効率をより高くすることができる。なお可動部31の駆動については、後述する。
図1中の中央付近には、弾性(可撓性)を有し、可動部31を変位可能に支持する4つの支持部32、32、32、32が、それぞれ、可動部31と固定部33とに一体的に形成されている。すなわち、各支持部32を介して可動部31が固定部33に接続されている。
この支持部32は、可動部31の外周側面に、開口により仕切られて等角度間隔(90°間隔)で、設けられている。
なお、支持部32の数は必ずしも4つに限定されず、例えば、2つ、3つ、または、5つ以上でもよい。また、支持部32の形状は、図示のものに限定されない。
ベース基板2は、シリコンで構成されている。このベース基板2の、後述する駆動用ギャップ8に臨む部位の表面には、絶縁処理が施されている。本実施形態では、ベース基板2の表面のうちの、絶縁層10と接合されている部位を除く表面全体に、絶縁処理が施されている。
絶縁処理は、例えば、ベース基板2の表面に絶縁膜を被覆形成したり、または、ベース基板2の表面を酸化、窒化または酸窒化したりすることにより行われる。本実施形態では、ベース基板2の表面に絶縁膜310が被覆形成されている。
絶縁膜310としては、シリコン酸化(SiO2)膜、シリコン窒化(SiN)膜、シリコン酸窒化(SiOHN)膜等が挙げられる。
ベース基板2は、開口部311の下部(開口部311に対応する部位)に、貫通孔24を有している。
この貫通孔24は、導光路を構成しており、外部からの光は、貫通孔24を介して後述する干渉用ギャップ9内へ入射し得るよう構成されている。
ベース基板2における、貫通孔24の周縁部分の上面21は、可動部31に対向するように配置されている。
この上面21の外形形状は、可動部31の外形形状に対応しており、本実施形態では、平面視で略環状をなしている。また、上面21の寸法(外形寸法)は、可動部31より少し大きく設定されている。
このような、ベース基板2全体が、電極を構成しており、特に、上面21が、可動部31を駆動させる駆動電極として作用する。また、ベース基板2は、波長可変フィルタ1の外部から導電層(図示せず)を介して電圧を印加し得るよう構成されている。
ベース基板2の上面21と、駆動用ギャップ8と、可動部31の外周部とで、クーロン力によって駆動する方式の駆動部(アクチュエータ)の主要部が構成される。
ベース基板2の厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、100〜1000μm程度であるのが好ましく、200〜500μm程度であるのがより好ましい。
絶縁層10は、シリコン酸化物で構成されている。この絶縁層10は、ベース基板2と可動基板3との間に設けられており、これらベース基板2と可動基板3との短絡(ショート)を防止する絶縁層として機能している。
このような絶縁層10の厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、1〜4μm程度であるのがより好ましい。
また、絶縁層10は、スペーサとしても機能している。これにより、ベース基板2の上面21と可動部31(可動基板3)との間にギャップ(間隙)が形成されている。
この上面21と、可動部31(可動基板3)との間のギャップは、駆動用ギャップ8となるものである。
この駆動用ギャップ8の厚さ(平均)は、用途などにより適宜選択され、特に限定されないが、1〜4μm程度であるのが好ましい。
光透過基板4は、赤外光および赤外光より短波長の光を透過可能なものである。
この光透過基板4は、開口部311に対応する部位に位置するように可動部31に接合されている。この場合、光透過基板4は、可動部31の固定基板5側(図2中上側)に接合されている(設けられている)。この光透過基板4は、開口部311を包含するように開口部311を覆っている。
このような光透過基板4の構成材料としては、例えば、ガラスが好ましく、特に、アルカリ金属を含有したガラスであるのが好ましい。
光透過基板4の厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜1000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
光透過基板4の固定基板5側(図2中上側)の表面には、光を効率的に反射させる可動反射膜(HRコート)210が形成されている。
可動反射膜210は、その厚さ(膜厚)が均一に光透過基板4に形成されている。
この可動反射膜210は、絶縁性を有する多層膜で構成されている。すなわち、可動反射膜210は、絶縁膜を兼ねる。
固定基板5は、可動基板3のベース基板2と反対側に接合されている。この固定基板5は、開口部311と対向する位置に、凹部51を有している。
凹部51の外形形状は、可動部31の外形形状に対応しており、本実施形態では、平面視で略円形をなしている。凹部51の寸法は、可動部31より少し大きく設定されている。
このような固定基板5の構成材料としては、例えば、光透過基板4と同様のものが好ましい。
凹部51の底部には、絶縁性を有し、光を効率的に反射させる固定反射膜(HRコート)200が設けられている。この固定反射膜200は、例えば、可動反射膜210と同様の多層膜で形成されている。
固定反射膜200は、平面視で、少なくとも開口部311の全体に重なるように(固定反射膜200を開口部311に投影したとき、開口部311に対応する部分および近傍の領域に位置するように)設けられている。
この固定反射膜200は、干渉用ギャップ9を介して可動反射膜210に対し、対向配置されている。ここで、干渉用ギャップ9は、固定反射膜200と可動反射膜210との間の空間で構成されている。すなわち、可動部31と、凹部51とが、干渉用ギャップ9を画成している。
このような固定基板5の厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
また、干渉用ギャップ9の厚さ(平均)は、用途などにより適宜選択され、特に限定されないが、0.5〜20μm程度であるのが好ましい。
光透過基板4の下面(干渉用ギャップ9と反対側の面)と固定基板5の上面(干渉用ギャップ9と反対側の面)とには、それぞれ、外光(入射光)の反射を抑制する反射防止膜(ARコート)100と反射防止膜110とが設けられている。反射防止膜100は、開口部311内に設けられている。すなわち、厚さ方向から見たとき、反射防止膜100全体が、開口部311内に位置するように設けられている。
上記のように構成された波長可変フィルタ1において、前述した導電層と固定部33との間に電圧が印加されると、上面21(ベース基板2)と可動部31とが逆極性に帯電して、電位差が生じ、両者の間にクーロン力(静電気力)が発生する。このクーロン力による吸引力により、駆動用ギャップ8を利用して、可動部31を干渉用ギャップ9が増加する方向に変位させることにより、可動部31は、固定基板5に対して変位して、(図2中下方向に変位して)静止する。
この場合例えば、印加電圧を連続的、段階的に変化させることによって、可動部31を干渉用ギャップ9内の下方向の所定の位置に移動させることができる。
これにより、干渉用ギャップ9の距離xを所定の距離に調節(変更)することができ、所定の波長の光(干渉光)を出射させることが可能となる。
次に、本発明の波長可変フィルタの動作(作用)について図3を用いて説明する。
図3に示すように、光源400から出射された光Lは、貫通孔24から波長可変フィルタ1に入射する。すなわち、光Lは、貫通孔24、開口部311、反射防止膜100、光透過基板4および固定反射膜200を透過し、干渉用ギャップ9に入射する。
干渉用ギャップ9に入射した光Lは、固定反射膜200と可動反射膜210との間において反射を繰り返し、干渉を生じる。この際、固定反射膜200および可動反射膜210により、光Lの損失を抑えることができる。
前記光Lの干渉の結果、距離xに応じた波長の光(以下「干渉光」という)は、可動反射膜210を透過し、固定基板5および反射防止膜110を介して外部に出射する。
以上説明したように、この波長可変フィルタ1によれば、開口部311および光透過基板4を介して干渉光を出射させることにより、赤外光に限らず、紫外光および可視光等の赤外光より短波長の特定波長の光を分離することができる。
また、可動反射膜210が、光透過基板4に設けられているため、可動反射膜210の厚さ(膜厚)が均一であり、可動反射膜210は、高い平坦度を有する。これにより、波長可変フィルタ1から出射した干渉光の減衰を確実に防止することができる。
また、絶縁膜300、310が、設けられているため、上面21と、可動部31との接触の際の短絡(ショート)を防ぐことができる。これにより、波長可変フィルタ1の信頼性が、格段に向上する。
また、反射防止膜100および反射防止膜110を設けたことにより、波長可変フィルタ1に入射する光および干渉用ギャップ9で干渉した干渉光の反射を抑制し、光を効率的に透過させることができる。
また、本実施形態では、可動部31は、平面視で略円形状をなしているため、可動部31を効率よく駆動することができる。
また、貫通孔24が、干渉用ギャップ9内の空気の逃げ道としての機能を兼ねるため、可動部31が変位する際の干渉用ギャップ9内の空気の、可動部31に対してのエアダンピング効果を防止することができる。
次に、本発明の波長可変フィルタの製造方法について、図1に示す波長可変フィルタ1を製造する場合を一例として説明する。
図4〜図6は、第1実施形態の波長可変フィルタの製造方法を説明する図(製造工程を模式的に示す図)である。なお、以下の説明では、図4〜図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、製造方法について説明するが、製造工程を[1]から[7]の工程に大別し、順番に説明する。
[1]固定基板5を用意する工程
まず、図4(a)に示すように、光透過性を有する透明基板50を用意する。透明基板50には、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。透明基板50の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス等が挙げられるが、例えば、ナトリウム(Na)のようなアルカリ金属を含有したガラスが好ましい。これらのガラスは、可動イオンを含んだガラスであるため、シリコン(可動基板3)との陽極接合が可能となる。特に、陽極接合時には透明基板50を加熱するため、シリコンと熱膨張係数がほぼ等しいものが好ましい。これにより、接合後のシリコンの反りやたわみを防止することができる。
このような観点からは、ソーダガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用いることができ、例えば、コーニング社製のパイレックスガラス(「パイレックス」は登録商標)等が好適に用いられる。
次に、図4(b)に示すように、透明基板50の上面にマスク層6を形成(マスキング)する。
マスク層6を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Tiなどの金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン等が挙げられる。マスク層6にシリコンを用いると、マスク層6と透明基板50との密着性が向上する。マスク層6に金属を用いると、形成されるマスク層6の視認性が向上する。
マスク層6の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1μm程度とすることが好ましく、0.09〜0.11μm程度とすることがより好ましい。マスク層6が薄すぎると、透明基板50を十分に保護できない場合があり、マスク層6が厚すぎると、マスク層6の内部応力によりマスク層6が剥がれ易くなる場合がある。
マスク層6は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキ法等により形成することができる。
次に、図4(c)に示すように、マスク層6に、開口63を形成する。
開口63は、例えば、凹部51を形成する位置に設ける。また、開口63の形状(平面形状)は、形成する凹部51の形状(平面形状)に対応させる。
この開口63は、例えば、フォトリソグラフィー法により形成することができる。具体的には、まず、マスク層6上に、開口63に対応したパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。次に、かかるレジスト層をマスクとして、マスク層6の一部を除去する。次に、前記レジスト層を除去する。これにより、開口63が形成される。なお、マスク層6の一部除去は、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、塩酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等の剥離液への浸漬(ウェットエッチング)などにより行うことができる。なお、以下の各工程におけるマスク層の除去においても、同様の方法を用いることができる。
次に、図4(d)に示すように、透明基板50上に凹部51を形成する。
凹部51の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法などが挙げられる。エッチングを行うことにより、透明基板50は、開口63より食刻され、円柱状を有する凹部51が形成される。
特に、ウェットエッチング法によると、より理想的な円柱状に近い凹部51を形成することができる。なお、ウェットエッチングを行う際のエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。このとき、エッチング液にグリセリン等のアルコール(特に多価アルコール)を添加すると、凹部51の表面が極めて滑らかなものとなる。
次に、マスク層6を除去する。特に、透明基板50を除去液に浸漬することによりマスク層6を除去すると、簡易な操作で、効率よく、マスク層6を除去できる。
次に、図4(f)に示すように、凹部51の底部に固定反射膜200を形成する。
具体的には、多層膜で構成される反射膜を成膜する。この成膜方法としては、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法等により形成することができる。
多層膜の構成材料としては、例えばシリコン酸化物(SiO)や五酸化タンタル(Ta)やシリコン窒化膜(SiN)等が好ましい。これらを適宜選択して用いることにより、非常に高い反射率を有する反射膜や非常に低い反射率(非常に高い透過率)を有する反射防止膜が得られる。これらを交互に積層することにより、所定の厚さの多層膜を設けることができる。
多層膜の各層の厚さ、層数、材質を設定(調整)することによって、所定の波長の光を透過または反射させることができる多層膜を形成することができる(特性を変化させることができる)。例えば、反射膜の場合は、各層の厚さを設定することにより反射率を調整することができ、各層の層数を設定することにより、反射する光の波長を調整することができる。これにより、所望の特性を有する固定反射膜200を容易に形成することができる。
また、固定反射膜200の全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜4μm程度が好ましい。
以上により、凹部51の底部に固定反射膜200が設けられた固定基板5が得られる。
[2]構造体130を用意する工程
まず、SOI基板120を用意する。SOI基板120は、厚さ100〜800μm程度のシリコンで構成されたシリコン支持基板(第4の基板用基材)111上に、厚さ2〜10μm程度のシリコン酸化物で構成された中間層112、および厚さ10〜200μm程度のシリコンで構成された活性層(第2の基板用基材)113がこの順で積層されている積層体で構成されている。SOI基板120としては、片面にシリコン酸化物膜が形成されたシリコン基板を互いに貼り合わせたものを用いてもよいし、市販品(汎用品)を用いてもよい。特に市販品を用いることにより、表面の平坦度の高い、厚みが均一で、所望の厚さを有する良質な積層体を容易かつ安価に準備することができる。また、他の装置の母材として用意されているものをこの構造体130の母材としても用いることができる。
本実施形態では、厚さの一例として、シリコン支持基板300μm、中間層4μm、活性層30μmとした。
次に、上記SOI基板120に対してその上面および下面にマスク層を形成する。
次に、マスク層を一部除去してシリコン支持基板111の下部に開口を形成する。この開口は、例えば、貫通孔24を形成する位置に設ける。また、開口の形状(平面形状)は、形成する貫通孔24の形状(平面形状)に対応させる。
次に、いわゆる「Bosch」プロセスにより、プラズマエッチング装置にて、エッチングガスとしてSF等、保護膜形成用ガスとして、C等を交互に供給し、高周波電圧を印加して、シリコン支持基板111が貫通するまで異方性ドライエッチングを行い、貫通孔24を形成する。
以上により、図5(h)に示すように、貫通孔24を有するベース基板2が得られる。
次に、可動部31や支持部32を形成するためのパターン(図示せず)を、SOI基板120(活性層113)の上面に形成したマスク層に形成し、前述したBoschプロセスにより、活性層113に対して、中間層112が現れるまで異方性ドライエッチングを行う。これにより、可動部31の周囲部分に円弧状の開口が形成され、可動部31および支持部32が形成される。
次に、マスク層を除去する。
以上により、図5(i)に示すように、開口部311を有する可動部31と、支持部32と、固定部33とが形成された可動基板3が得られる。
次に、フッ酸系エッチング液にて、可動部31および支持部32下部の中間層112をエッチング除去する。これにより、図5(j)に示すように、絶縁層10が形成され、可動部31の下面とベース基板2の上面21との間に駆動用ギャップ8が形成される。
以上により、SOI基板120から、絶縁層10と、絶縁層10を介して両側にベース基板2と可動基板3とが形成された構造体130を精度よく製造することができる。また、SOI基板を用いているので、中間層112がエッチングストップとして働くため、時間管理によらず、正確なエッチングの深さが得られ、可動部31および支持部32を精度よく形成することができる。
[3]絶縁処理を施す工程
次に、構造体130に対して絶縁処理を施す。この方法には次の2通りがあり、いずれを用いてもよい。
1)酸化(熱酸化)の場合
上記のように各部が形成された構造体130を熱酸化炉にて、Oガス雰囲気中で、例えば、1000℃、100分の処理を行い、構造体130のシリコン露出部分を酸化し、シリコン酸化層(膜)を形成する。
2)CVD(絶縁膜を被覆形成する)の場合
モノシラン(SiH)ガスとOガスとを含む雰囲気中で、例えば、400℃、10分の処理を行い、構造体130の略全面に、シリコン酸化膜を被覆形成する。
これにより、図5(k)に示すように、構造体130の表面に絶縁膜300、310が設けられる。
なお、図5(k)は、上記1)の方法により、構造体130のシリコン露出部分にシリコン酸化膜を被覆形成した場合を示している。
なお、絶縁膜300、310は、上記SiO膜のほか、シリコン窒化膜(SiN)あるいはシリコン酸窒化膜(SiOHN)でもよい。これらについても上記1)、2)の方法等により形成する。
上記1)の方法を用いる場合には、構造体130のシリコン露出部分を窒化または酸窒化することにより、シリコン窒化層(膜)またはシリコン酸窒化層(膜)を形成する。
また、上記2)の方法を用いる場合には、雰囲気を、モノシランガスとNガスとを含む雰囲気、またはモノシランガスとOガスとNガスとを含む雰囲気とすることにより、構造体130の表面にシリコン窒化膜またはシリコン酸窒化膜を被覆形成する。
これらにより、ベース基板2と可動基板3の表面、特にベース基板2と可動基板3の駆動用ギャップ8に臨む部位に絶縁処理を容易かつ確実に施すことができる。
[4]光透過基板4を用意する工程
次に、図6(l)に示すように、光透過基板4を用意する。この光透過基板4の構成材料としては、前述した透明基板50と同様のものが挙げられる。
次に、図6(m)に示すように、光透過基板4の上面に可動反射膜210を形成し、下面に反射防止膜100を形成する。なお、反射防止膜100の形状(平面形状)は、開口部311の形状(平面形状)に対応させる。
これら可動反射膜210および反射防止膜100は、固定反射膜200と同様の方法を用いて形成することができる。
なお、反射防止膜100の場合は、各層の厚さを設定することにより反射防止率(透過率)を調整することができ、各層の層数を設定することにより、透過する光の波長を調整することができる。
可動反射膜210の全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜4μmが好ましい。
また、反射防止膜100の全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜4μmが好ましい。
以上により、可動反射膜210および反射防止膜100が設けられた光透過基板4が得られる。
[5]光透過基板4(第3の基板)を可動部31に接合する工程
次に、図6(n)に示すように、開口部311を包含するように、光透過基板4を可動部31に接合する。これにより、反射防止膜100が、開口部311の内部に配置される。
この接合は、例えば、陽極接合により行うことができる。陽極接合は、例えば、次のようにして行う。まず、光透過基板4を直流電源のマイナス端子(図示せず)に、可動基板3を直流電源のプラス端子(図示せず)にそれぞれ接続する。そして、光透過基板4を加熱しながら電圧を印加する。この加熱により、光透過基板4中のNa+が移動しやすくなる。このNa+の移動により、光透過基板4の接合面はマイナスに帯電し、可動基板3の接合面はプラスに帯電する。この結果、光透過基板4と可動基板3とは強固に接合される。
[6]ベース基板2と可動基板3とを接合する工程
次に、図6(o)に示すように、接合面上の絶縁膜300を除去し、可動基板3と固定基板5とを固定反射膜200と可動反射膜210とが、互いに対向するように陽極接合する。これにより、干渉用ギャップ9が形成される。
[7]反射防止膜110を形成する工程
その後、固定基板5の上面に反射防止膜110を形成する。この反射防止膜110は、反射防止膜100と同様の方法を用いて形成することができる。また、反射防止膜100の全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜4μmが好ましい。
なお、反射防止膜110の形成時期は特に限定されず、本工程[7]以前の任意の工程中に形成してもよい。
以上の工程により、図1および図2に示すような波長可変フィルタ1が得られる。
以上説明したように、この波長可変フィルタ1の製造方法によれば、光透過基板4の表面に可動反射膜210を形成するため、可動反射膜210の膜厚の制御を容易かつ確実に行うことができる。これにより、可動反射膜210の膜厚の不均一による干渉用ギャップ9から出射した干渉光の減衰を確実に防止することができる。
また、可動基板3はシリコンで形成されているため、可動部31と、支持部32と、固定部33とを一体的に形成することができ、製造工程を簡易なものとすることができる。
また、絶縁膜300および310を形成する。すなわち、ベース基板2と可動基板3とのうちの少なくとも一方の駆動用ギャップに臨む部位に絶縁処理を施すことにより、スティッキング(可動部31と上面21との貼り付き)の発生を防ぐことができ、確実な絶縁構造を形成できる。
以上述べた効果に加えて、図1および図2に示す波長可変フィルタ1は、比較的安価に製造できるという利点を有している。
なお、本製造方法では、[1]固定基板5を用意する工程、[2]構造体130を用意する工程[4]光透過基板4を用意する工程の順番に製造を行ったが、これらの製造工程の順番は特に限定されず、例えば、[1]→[4]→[2]の順番で行ってもよいし、[2]→[1]→[4]の順番で行ってもよいし、[2]→[4]→[1]の順番で行ってもよいし、[4]→[1]→[2]の順番で行ってもよいし、[4]→[2]→[1]の順番で行ってもよい。
また、本製造方法では、[3]絶縁処理を施す工程は、[2]構造体130を用意する工程の次の工程で行っているが、上記[3]の製造工程の順番は、特に限定されず、上記[2]を行った後、かつ、[5]光透過基板4を可動部31に接合する工程の前であればよい。
以上、本発明の波長可変フィルタを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
なお、前記実施形態では、反射防止膜100、110、可動反射膜210および固定反射膜200を多層膜で形成したが、これに限らず、反射防止膜100、110、可動反射膜210および固定反射膜200を、それぞれ、単層膜で形成してもよい。
また、前記実施形態では、反射防止膜100、110、可動反射膜210および固定反射膜200が、絶縁膜を兼ねているが、これに限らず、例えば、絶縁膜を別途設けてもよい。その場合、熱酸化によるSiO層や、TEOS−CVDにて形成したSiO層等が好適に用いられる。
また、前記実施形態では、ベース基板2と可動基板3との両方に絶縁処理を施したが、これに限らず、ベース基板2と可動基板3とのうちの少なくとも一方に絶縁処理が施されていればよい。
また、陽極接合面以外の各基板間に、別個の基板(層)が設けられていてもよい。
また、前記各実施形態における製造方法では、接合の方法として陽極接合を用いたが、これに限らず、例えば、加熱加圧接続、接着剤、低融点ガラスにより接合しても良い。
また、本発明の波長可変フィルタの用途は、特に限定されず、例えば、被測定物(試料)に所定の波長の赤外光を照射して被測定物を透過した透過赤外光を、波長可変フィルタに入射させて、該波長可変フィルタから出射した干渉光を測定することにより、各波長における被測定物の赤外光吸収スペクトルを調べることが可能なセンサー等が挙げられる。
本発明では、赤外光より短波長の光を透過可能であるため、UV吸収スペクトルや、画像描画デバイスの検査にも適用することができる。また、検査の際に例えば、被測定物を設置する流路を、波長可変フィルタに付設したり、波長可変フィルタの内部、特に固定基板内に設けたりすることにより、その被測定物を測定するコンパクトな分析装置を実現することができる。また、この波長可変フィルタから出射する干渉光を受光するフォトダイオード等の受光素子や、その干渉光を分析するマイクロコンピュータなどを付加することもできる。
さらに、駆動用ギャップ8の容量や、上面21(ベース基板2)と、可動部31との間に印加する電圧や、波長可変フィルタ1から出射した干渉光等、各種の情報に基づいてギャップ量(距離x)の検出を行い、その情報を前記マイクロコンピュータにフィードバックすることによって、ギャップ量の設定や、可動部の駆動を精度よく行うことができる。
本発明の波長可変フィルタの第1実施形態の可動基板および光透過基板を示す平面図である。 第1実施形態の波長可変フィルタにおける図1のA−A線での断面図である。 本発明の波長可変フィルタの動作の1例を説明する図である。 第1実施形態の波長可変フィルタの製造方法を説明する図である。 第1実施形態の波長可変フィルタの製造方法を説明する図である。 第1実施形態の波長可変フィルタの製造方法を説明する図である。
符号の説明
1……波長可変フィルタ 2……ベース基板 21……上面 24……貫通孔 3……可動基板 31……可動部 311……開口部 32……支持部 33……固定部 4……光透過基板 5……固定基板 50……透明基板 51……凹部 6……マスク層 61……レジスト層 63……開口 8……駆動用ギャップ 9……干渉用ギャップ 10……絶縁層 100……反射防止膜 110……反射防止膜 111……シリコン支持基板 112……中間層 113……活性層 120……SOI基板 130……構造体 200……固定反射膜 210……可動反射膜 300、310……絶縁膜 400……光源 L……光 x……距離
SOI基板120

Claims (29)

  1. 凹部を有する第1の基板と、
    前記凹部に対向する位置に開口部を有する可動部と、該可動部を変位可能に支持する支持部とを備え、前記第1の基板に接合された導電性を有する第2の基板と、
    前記開口部に対応する部位に位置するように、前記可動部に接合された光透過性を有する第3の基板と、
    前記凹部の底部に設けられた固定反射膜と、
    前記第3の基板の前記凹部側に設けられ、前記固定反射膜に対し、干渉用ギャップを介して対向配置された可動反射膜と、
    前記開口部に対応する部位に導光路を有し、絶縁層を介して前記第2の基板と対向するように配置された、前記可動部を駆動させる電極を構成する第4の基板と、
    前記可動部と前記第4の基板との電位差により生じるクーロン力によって、前記可動部を前記第1の基板に対して変位させることにより、前記干渉用ギャップの間隔を変更する駆動部とを有し、
    前記固定反射膜と前記可動反射膜との間において反射を繰り返し、干渉を生じさせて前記干渉用ギャップの間隔に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成されたことを特徴とする波長可変フィルタ。
  2. 前記駆動部は、前記第2の基板と前記第4の基板との間に設けられた駆動用ギャップを有し、
    前記第2の基板と第4の基板とのうちの少なくとも一方の前記駆動用ギャップに臨む部位に絶縁処理が施されている請求項1に記載の波長可変フィルタ。
  3. 前記絶縁処理は、前記駆動用ギャップに臨む部位の表面に、絶縁膜を被覆形成することにより行われる請求項2に記載の波長可変フィルタ。
  4. 前記絶縁処理は、前記駆動用ギャップに臨む部位の表面を酸化および/または窒化することにより行われる請求項2に記載の波長可変フィルタ。
  5. 外部からの光は、前記導光路を介して前記干渉用ギャップに入射する請求項1ないし4のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  6. 前記第2の基板と前記第4の基板とは、それぞれ、シリコンで構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  7. 前記絶縁層は、シリコン酸化物で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  8. 前記第2の基板と前記絶縁層と前記第4の基板とは、シリコンで構成された第4の基板用基材上に、シリコン酸化物で構成された中間層と、シリコンで構成された第2の基板用基材とがこの順で積層されている積層体を加工して形成されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  9. 前記導光路は、前記第4の基板に設けられた貫通孔である請求項1ないし8のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  10. 前記第3の基板は、赤外光および赤外光より短波長の光を透過可能なものである請求項1ないし9のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  11. 前記第3の基板は、前記可動部の前記第1の基板と対向する面側に接合されている請求項1ないし10のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  12. 前記第3の基板は、前記可動部の前記第1の基板と対向する面側に設けられている請求項1ないし11のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  13. 前記第3の基板は、前記開口部を包含するように該開口部を覆っている請求項1ないし12のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  14. 前記可動部は、平面視で略円形をなしている請求項1ないし13のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  15. 前記第1の基板および前記第3の基板は、それぞれ、ガラスで構成されている請求項1ないし14のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  16. 前記ガラスは、アルカリ金属を含有したガラスである請求項15に記載の波長可変フィルタ。
  17. 前記可動部と前記支持部とは一体的に形成されている請求項1ないし16のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  18. 前記固定反射膜および前記可動反射膜は、それぞれ多層膜である請求項1ないし17のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  19. 前記可動反射膜は、絶縁膜である請求項1ないし18のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  20. 前記第1の基板の前記干渉用ギャップと反対側の面と前記第3の基板の前記干渉用ギャップと反対側の面とに、それぞれ反射防止膜を有する請求項1ないし19のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  21. 前記反射防止膜は、多層膜である請求項20に記載の波長可変フィルタ。
  22. 凹部を有し、該凹部の底部に固定反射膜が設けられた第1の基板を用意する工程と、
    シリコンで構成された第4の基板用基材上に、シリコン酸化物で構成された中間層と、シリコンで構成された第2の基板用基材とがこの順で積層されている積層体に対して加工を施すことにより、絶縁層と該絶縁層を介して両側に、それぞれ、導光路を有する第4の基板と、開口部を有する可動部と該可動部を変位可能に支持する支持部とを備える第2の基板とが形成された構造体を用意する工程と、
    可動反射膜が設けられた第3の基板を用意する工程と
    前記開口部を覆うように、前記第3の基板を前記可動部に接合する工程と、
    前記固定反射膜と前記可動反射膜とが対向するように、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する工程とを有することを特徴とする波長可変フィルタの製造方法。
  23. 前記積層体の加工は、前記導光路を構成する貫通孔を形成する工程を有する請求項22に記載の波長可変フィルタの製造方法。
  24. 前記積層体の加工は、前記第2の基板に開口部を形成する工程を有する請求項22または23に記載の波長可変フィルタの製造方法。
  25. 前記積層体の加工は、前記中間層の、前記可動部および前記支持部に対応する部位を除去して、前記第2の基板と前記第4の基板との間に駆動用ギャップを形成する工程を有する請求項22ないし24のいずれかに記載の波長可変フィルタの製造方法。
  26. 前記第2の基板と第4の基板とのうちの少なくとも一方の前記駆動用ギャップに臨む部位に絶縁処理を施す工程を有する請求項25に記載の波長可変フィルタの製造方法。
  27. 前記可動部と前記第3の基板との接合および前記第1の基板と前記第2の基板との接合は、それぞれ、陽極接合により行う請求項22ないし26のいずれかに記載の波長可変フィルタの製造方法。
  28. 前記第1の基板と前記第2の基板とを接合することによって、前記固定反射膜と前記可動反射膜とを干渉用ギャップを介して対向させる請求項22ないし27のいずれかに記載の波長可変フィルタの製造方法。
  29. 前記凹部の形成は、エッチング法により行う請求項22ないし28のいずれかに記載の波長可変フィルタの製造方法。
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