JP2003172467A - 電動弁 - Google Patents

電動弁

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Abstract

(57)【要約】 【課題】螺合部にスラッジ等を付着させず、冷凍機油の
キャン内での滞留による作動不良を防止して、信頼性を
向上させる。 【解決手段】電動弁10'は、弁室21内の弁座22に
弁軸24によって離接する弁体23で通過流量を調整す
る弁本体20と、弁本体20に固着され弁体23を弁座
22に離接させるロータ30を内蔵するキャン40と、
キャン40に外嵌されロータ30を回転駆動するステー
タ50とを備える。弁体23を弁座22に離接させる駆
動機構は、弁本体20よりロータ30方向に延出して固
定され固定ねじ部25が形成されたガイドブッシュ26
と、ロータ30を支持しガイドブッシュ26の固定ねじ
部25に螺合する移動ねじ部31を有する弁軸ホルダ3
2とから構成されるねじ送り機構である。ガイドブッシ
ュ26に均圧孔Hを、固定ねじ部の下方の離れた位置に
穿設し、ガイドブッシュ26と弁本体20とで形成され
た環状溝Mに連通させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機、冷凍
機等に組み込まれて使用される電動弁に係り、特に、ス
ラッジ等の付着による詰まりを防止する防止機能を有す
る電動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の空気調和機、冷凍機等に
組み込まれて使用される電動弁は、冷媒等の流体の流量
を調整する機能を有し、通常、弁室及び弁座を備えた弁
本体と、鍔状部を介して弁本体の上部に固着された有底
円筒状のキャンとを備えており、キャンの内側にはロー
タが内蔵され、キャンの外部には中央部に挿通孔を有す
るステータが外嵌されている。
【0003】図4は、公知の電動弁10の縦断面図を示
している。電動弁10は、弁室21内の弁座22に離接
する弁体23により冷媒の通過流量を調整する弁本体2
0と、弁本体20に固着され弁体23を離接させるロ−
タ30を内蔵するキャン40と、キャン40に外嵌され
ロータ30を回転駆動するステータ50とを備えてい
る。ロータ30とステータ50とはステッピングモータ
を構成している。また、弁本体20の下部及び側部に
は、冷媒の流出入管20a,20bが弁室21に連通し
て連結されている。
【0004】弁本体20には弁室21を形成し、弁室2
1の下方には弁座22を形成し、上方にはガイドブッシ
ュ26を固定し、ガイドブッシュ26との間に環状溝M
を形成する。キャン40との接合は、弁本体20にカシ
メ固着された鍔状板41の段差部にキャンの端部を突き
合わせ溶接することにより行っている。
【0005】キャン40は有底円筒状をしており、弁本
体20の上部に固着された鍔状板41に固着され、内部
は気密状態に保たれている。ステータ50は磁性材によ
り構成されるヨーク51と、このヨーク51にボビン5
2を介して巻回される上下のステータコイル53,53
とから構成され、キャン40に外嵌する嵌合穴50aが
形成されている。ステータ50から、ステータコイル5
3,53に接続された複数のリード端子54が突出して
おり、このリード端子54にコネクタ56が連結され、
該コネクタ56に複数のリード線55が接続されてい
る。
【0006】ニードル弁からなる弁体23は弁軸24の
下端に形成されている。弁体23を弁座22に離接させ
る駆動機構は、弁本体20よりロータ30方向に延出し
て固定され固定ねじ部25が形成される筒状のガイドブ
ッシュ26と、該ガイドブッシュ26の固定ねじ部25
に螺合する移動ねじ部31を有する弁軸ホルダ32とか
ら構成される。
【0007】上記固定ねじ部25はガイドブッシュ26
の外周に雄ねじで構成され、移動ねじ部31は弁軸ホル
ダ32の内周に雌ねじとして形成されている。
【0008】弁軸ホルダ32はガイドブッシュ26の外
側に位置する下方開口の円筒形状であり、内面に移動ね
じ部31が形成され、弁軸ホルダ32の中心に弁軸24
の上部縮径部が嵌合してプッシュナット33により連結
されている。弁体23が下端に形成されている弁軸24
は、弁軸ホルダ32の中心に上下動可能に嵌挿されてお
り、弁軸ホルダ32内に縮装された圧縮コイルばね34
によって常時下方に付勢されている。
【0009】弁軸ホルダ32とロータ30とは支持リン
グ36を介して結合されており、支持リング36の内周
孔部に弁軸ホルダ32の上部突部が嵌合し、上記突部の
外周をカシメ固定してロータ30、支持リング36及び
弁軸ホルダ32を結合している。
【0010】ガイドブッシュ26には、ストッパ機構の
一方を構成する下ストッパ体27が固着されており、下
ストッパ体27の上方に板状の下ストッパ片27aが突
設される。また、弁軸ホルダ32にはストッパ機構の他
方を構成する上ストッパ体37が固着され、下方に向け
て板状の上ストッパ片37aが突設され下ストッパ片2
7aと係合可能である。
【0011】下ストッパ体27はガイドブッシュ26の
外周に形成された螺旋溝部分26aに固着され、上スト
ッパ体37は弁軸ホルダ32の外周に形成された螺旋溝
部分32bに固着されている。また、ガイドブッシュ2
6の側面には、弁室21とキャン40内の空間との均圧
を図る目的で均圧孔32aが固定ねじ部25の直下部に
設けられ、該均圧孔32aを通じて冷媒の流通が容易と
なるように構成されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記電
動弁においては、均圧孔は上記螺合部に近接して設けら
れる結果、冷媒内に混入しているスラッジ等が弁軸及び
弁軸ホルダを摺動させるガイドブッシュ内周の雌ねじ部
と弁軸ホルダ外周の雄ねじ部との螺合部に付着して詰ま
り、円滑な螺合を妨げられるばかりでなく、キャン室の
均圧孔より下位にある部分に冷凍機油が滞留し、ロータ
30の回転抵抗となることが懸念されていた。
【0013】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的とするところは、弁軸及び弁
軸ホルダを摺動させるガイドブッシュの内周の雌ねじ部
と、弁軸ホルダの外周の雄ねじ部との螺合部にスラッジ
等の付着による詰まりや流体(冷媒)に混入されている
冷凍機油の滞留に伴って生ずる影響をできるだけ小さく
して、作動の信頼性を向上させた電動弁を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本発明に係る電動弁は、弁室内の弁座に弁軸によって離
接する弁体で通過流量を調整する弁本体と、弁本体に固
着され弁体を弁座に離接させるロータを内蔵するキャン
と、キャンに外嵌されロータを回転駆動するステータと
を備えた電動弁において、弁体を弁座に離接させる駆動
機構は、弁本体よりロータ方向に延出して固定され固定
ねじ部及び均圧孔が形成されたガイドブッシュと、ロー
タを支持しガイドブッシュの固定ねじ部に螺合する移動
ねじ部を有する弁軸ホルダとを具備し、上記均圧孔を、
固定ねじ部から弁室側に離れた位置のガイドブッシュに
穿設したことを特徴とする。また、上記手段の実施態様
として、上記均圧孔をガイドブッシュと弁本体とで形成
された環状溝に連通させたことを特徴とする。また、上
記手段の実施態様として、上記均圧孔の位置をキャン内
部空間の最下部近傍としたことを特徴とする。また、更
に、上記手段の実施態様として、上記ガイドブッシュの
弁本体への圧入位置は上記環状溝を避けた位置に形成さ
れていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施形態】図1は、本発明に係る電動弁10'
の一実施形態の縦断面図であり、図2は図1のX部分の
拡大図であり、これらの図に基づいて説明する。以下、
本発明の実施例を説明するに当って、図1,2において
図4に示す公知例の電動弁10と同じ構成部分には、同
一符号を付すことで説明を省略する。
【0016】本実施例において、ガイドブッシュ26の
側面下方には、弁室21内の冷媒圧力とキャン40内の
冷媒圧力を均等にするための均圧孔Hが形成してある。
均圧孔Hは、弁室21の上端の大径穴とガイドブッシュ
26とで形成された環状溝Mに通じている。環状溝M
は、弁室21の上端のガイドブッシュ26が嵌入してい
る弁本体20の大径穴上部を更に大径として切削する
か、或いは、弁本体20の成形時に形成される。そし
て、この環状溝Mは、弁本体20と下ストッパ体27下
部とで形成される空間部Sと連通しており、したがっ
て、上記空間部Sと弁室21とは、環状溝M及び均圧孔
Hを通じて連通し、冷媒は流通し易くなっている。冷媒
及び冷凍機油は、弁軸24とガイドブッシュ26との隙
間を通じてキャン40内に入り込み、弁体23への背圧
作用やガイドブッシュ26と弁軸ホルダ32との間等の
潤滑作用を行うが、冷媒内に混在するスラッジもキャン
40内に移動し、スラッジは螺合部の円滑な動作を妨げ
易く、また冷凍機油の滞留は使用状態によってはロータ
30の回転抵抗の要因となる。そこで、本実施例のよう
に、環状溝M及び均圧孔Hを設けることで、冷媒の均圧
化に加えて、ねじ螺合部のスラッジ付着を防止し冷凍機
油のキャン内滞留を防止する。
【0017】前記電動弁10'の動作について説明す
る。ステータコイル53,53に一方向の通電を行い励
磁すると、弁本体20に固着されたガイドブッシュ26
に対しロータ30及び弁軸ホルダ32が回転し、ガイド
ブッシュ26の固定ねじ部25と弁軸ホルダ32の移動
ねじ部31とのねじ送り機構により、弁軸ホルダ32
が、例えば、下方に移動して弁体23が弁座22に着座
圧接して弁口は閉じられる。
【0018】ステータコイル53,53に他方向の通電
を行い励磁すると、弁本体20に固着されたガイドブッ
シュ26に対し、ロータ30及び弁軸ホルダ32が前記
と逆方向に回転され、ガイドブッシュ26の固定ねじ部
25と弁軸ホルダ32の移動ねじ部31とのねじ送り機
構により、今度は弁軸ホルダ32が上方に移動して弁軸
24の下端の弁体23が弁座22から離れて弁口が開か
れ、冷媒は弁口を通過することができる。そして、ロー
タ30の回転量により冷媒の通過量を調整することがで
き、ロータの回転量はパルス数にて規制されるため正確
な調整を行うことができる。さらに、上記環状溝Mの存
在により、弁本体20へのガイドブッシュ26の圧入に
際して、弁本体20の圧入部が鍔状板41のカシメ部分
20cを避けて形成されることとなり、鍔状板41のカ
シメ固定力による影響を受け難くしているのである。即
ち、図2に示すように、ガイドブッシュ26の弁本体2
0への圧入部分Tは、弁本体20のTの個所となり、圧
入部分Tは弁本体20の環状溝Mの形成部分を避けた位
置に形成されるので、鍔状板41のカシメ固定力による
影響を受け難いのである。なお、図2は図1のX部分の
拡大図であり、弁本体20、ガイドブッシュ26、弁軸
24及び環状溝Mを部分的に示す図である。
【0019】このようにロータ30が回転し、ガイドブ
ッシュ26の固定ねじ部25と弁軸ホルダ32の移動ね
じ部31とのねじ送り機構によりロータ30、弁軸ホル
ダ32及び弁軸24が軸方向に摺動するが、本実施例の
ように均圧孔Hと固定ねじ部25と移動ねじ部31から
ねじ部との距離を取って配置することで、冷媒回路中の
スラッジ等のねじ部への付着による詰まりを防止し、ま
た、冷凍機油もキャン室下部の空間部Sに滞留すること
がないから、電動弁の作動性能を低下させることがな
い。さらに、以上のように述べた実施例において、弁軸
24と圧縮コイルばね34の端部との干渉が生じるおそ
れがある場合には、図3に別例として示すように、弁軸
24に段差を設けることによってその当接を防止でき
る。即ち、図3に示すように、弁軸24に段部24aを
形成することにより、圧縮コイルばね34の端部34a
の当接を回避できるのである。なお、図3は、図1の弁
軸24、弁軸ホルダ32及び圧縮コイルばね34を示す
Y部分の別例を示し、符号60は圧縮コイルばね34と
弁軸ホルダ32との間に設けられた平座金を示す。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発
明の電動弁は、ねじ螺合部と均圧孔との距離をとって配
置したことで、ねじ螺合部へのスラッジ等の付着を防止
し、螺合部の摺動を円滑に行わせ、また、キャン内部空
間の最下部付近に均圧孔を設けることで、回転抵抗の要
因となる冷凍機油の停滞を未然に防ぐことができ、電動
弁を永続的に有効に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動弁の一実施例形態の縦断面
図。
【図2】図1のX部分の拡大図。
【図3】図1のY部分の別例の拡大図。
【図4】従来の電動弁の縦断面図。 10・・電動弁(従来例) 10'・・電動弁(本
発明) 20・・弁本体 20a,20b・・流
出入管 20c・・カシメ部分 21・・弁室 22・
・弁座 23・・弁体 24・・弁軸 24a
・・段部 25・・固定ねじ部 26・・ガイドブッシュ 26a
・・螺旋溝部分 27・・下ストッパ体 27a・・下ストッ
パ片 30・・ロ−タ 31・・移動ねじ部 32・・弁軸ホルダ 32a・・均圧孔 33
・・プッシュナット 32b・・螺旋溝部分 34・・圧縮コイルばね 34
a・・端部 36・・支持リング 37・・上ストッパ体 37
a・・上ストッパ片 40・・キャン 41・・鍔状板 50・・ステ−タ 50a・・嵌合穴 51・・ヨ−ク 52・・ボビン 53・・ステ−タコイル 54・・リ−ド端子 55・・リ−ド線 56・・コネクタ 60・
・平座金 H・・均圧孔 M・・環状溝 S・・空間部 T
・・圧入部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大内 共存 東京都世田谷区等々力7丁目17番24号 株 式会社不二工機内 Fターム(参考) 3H062 AA02 AA15 BB26 CC02 DD01 EE08 FF41 HH04 HH08 HH09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁室内の弁座に弁軸によって離接する弁体
    で通過流量を調整する弁本体と、弁本体に固着され弁体
    を弁座に離接させるロータを内蔵するキャンと、キャン
    に外嵌されロータを回転駆動するステータとを備えた電
    動弁において、 弁体を弁座に離接させる駆動機構は、弁本体よりロータ
    方向に延出して固定され固定ねじ部及び均圧孔が形成さ
    れたガイドブッシュと、ロータを支持しガイドブッシュ
    の固定ねじ部に螺合する移動ねじ部を有する弁軸ホルダ
    とを具備し、上記均圧孔を、固定ねじ部から弁室側に離
    れた位置のガイドブッシュに穿設したことを特徴とする
    電動弁。
  2. 【請求項2】上記均圧孔を、ガイドブッシュと弁本体と
    で形成された環状溝に連通させたことを特徴とする請求
    項1記載の電動弁。
  3. 【請求項3】上記均圧孔の位置を、キャン内部空間の最
    下部近傍としたことを特徴とする請求項2に記載の電動
    弁。
  4. 【請求項4】上記ガイドブッシュの弁本体への圧入位置
    は上記環状溝を避けた位置に形成されていることを特徴
    とする請求項2に記載の電動弁。
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