JP2003172177A - 空燃比センサのヒータ制御装置 - Google Patents

空燃比センサのヒータ制御装置

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JP2003172177A
JP2003172177A JP2001368338A JP2001368338A JP2003172177A JP 2003172177 A JP2003172177 A JP 2003172177A JP 2001368338 A JP2001368338 A JP 2001368338A JP 2001368338 A JP2001368338 A JP 2001368338A JP 2003172177 A JP2003172177 A JP 2003172177A
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temperature
heater
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JP2001368338A
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English (en)
Inventor
Sueaki Inoue
季明 井上
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサ素子にヒートショックを生じない範囲
でできるだけ早期にセンサ素子の活性化を図る。 【解決手段】 センサ素子を加熱するための電気式ヒー
タ(8)と、この電気式ヒータ(8)に対してエンジン
始動直後に初期通電量で通電を開始し、エンジン始動後
に通電量を直線的に増加させる手段(11)とを備える
空燃比センサのヒータ制御装置において、前記直線の傾
きを定める単位時間当たりの通電量増加分をエンジンの
始動時環境温度に応じ始動時環境温度が低いほど小さく
なるように設定する手段(11)を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は空燃比センサのヒ
ータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空燃比センサのヒータ制御装置として特
開平9−184443号公報に示されるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、センサ素子
を早期に活性化させるため、センサ素子を加熱するため
の電気式ヒータを備える空燃比センサが多くなってお
り、こうした空燃比センサが排気通路の触媒下流に備え
られる場合に、センサ素子が割れることがある。これ
は、始動直後の低温時に排気中の水分が触媒通過時に凝
縮して容器内に溜まり、この凝縮水またはこの凝縮水の
蒸発による水蒸気がヒータ加熱されているセンサ素子に
付着してヒートショックを生じさせることに起因してい
る。
【0004】この場合、どれくらいの凝縮水が生じるか
は実験により測定できるので、凝縮水を全て気化させる
ために必要な熱量C(始動時水温により設定)もわか
る。そこで、上記の従来装置では、所定時間毎に触媒に
与えられる熱量Qを算出し、この熱量Qを始動時から積
算して始動より触媒に与えられた総熱量ΣQを求め、こ
れと上記の熱量Cと比較し、総熱量ΣQがC未満では凝
縮水によりヒートショックが生じる可能性があるので電
気式ヒータへの通電を禁止し、総熱量ΣQがC以上とな
れば凝縮水が全て蒸発し従って凝縮水によりヒートショ
ックが生じる可能性がなくなったと判断して電気式ヒー
タへの通電を行っている。
【0005】しかしながら、従来装置のように凝縮水が
蒸発するのを待って電気式ヒータへの通電を開始するの
では、その待つ間でセンサ素子を積極的に活性化できな
いため、空燃比センサ出力を用いての制御(例えば触媒
劣化診断等)を開始し得る時期が遅れてしまう。
【0006】そこで、凝縮水により被水状態になること
があっても始動から電気式ヒータへの通電を開始し、そ
の際センサ素子に割れを生じない範囲で通電量を直線的
に増加させることが考えられる。その場合、始動時の環
境温度が高いと凝縮水は早く蒸発するであろうし、これ
に対して始動時の環境温度が低ければ凝縮水はゆっくり
としか蒸発しないであろうと推測されるので、直線の傾
きを表す所定時間当たりの通電量増加分を一定値で設定
するのでは、全ての始動時環境温度に対して適切となら
ない。例えば始動時環境温度としての始動時外気温や始
動時水温が極低温の状態でもヒートショックを起こさな
いように所定時間当たりの通電量増加分を小さな値に設
定した場合に、始動時外気温や始動時水温が高温のとき
には設定値が小さ過ぎセンサ素子の活性化を不要に遅ら
せてしまう。かといって始動時外気温や始動時水温が高
温の状態ではヒートショックも生じにくいので所定時間
当たりの通電量増加分を大きな値に設定した場合に、始
動時外気温や始動時水温が極低温のときに設定値が大き
すぎヒートショックが生じる。
【0007】そこで本発明は、単位時間当たりの通電量
増加分を始動時外気温や始動時水温といった始動時環境
条件に応じて設定(例えば始動時外気温や始動時水温が
低いほど小さく設定)することにより、センサ素子にヒ
ートショックを生じない範囲でできるだけ早期にセンサ
素子の活性化を図ることを目的とする。
【0008】なお、特開平11−264811号公報に
はセンサ素子を加熱するための電気式ヒータに対して始
動開始から最大電力を供給したとき特に冷間始動時など
には電気式ヒータとその周囲の部材との間で急激な温度
差が生じヒートショックによりセンサ素子が破損してし
まうおそれがあるため、センサ素子の始動時の活性度合
(始動時のセンサ素子温度など)に基づき設定される初
期通電量で電気式ヒータへの通電を開始し、始動開始か
ら制御時間内で最大通電量となるように、電気式ヒータ
への通電量を直線的に増加させるようにしたものが開示
されている。このものでは、直線の傾きを表す所定時間
当たりの通電量増加分が次の式で算出されるため、所
定時間当たりの通電量増加分は可変値であり、しかも
式の初期通電量が始動時水温に応じて設定されるのであ
るから、合わせ考えると、特開平11−264811号
公報においても本発明と同様に始動時環境温度に基づい
て所定時間当たりの通電量増加分を設定しているといえ
る。
【0009】 所定時間当たりの通電量増加分(直線の傾き) =(最大通電量−初期通電量)/制御時間 … しかしながら、式の制御時間は一定であるため、始動
時水温が低くて初期通電量が小さくなるときには式に
よれば所定時間当たりの通電量増加分が大きくなり、こ
の逆に始動時水温が高くて初期通電量が大きくなるとき
には所定時間当たりの通電量増加分が小さくなるのであ
り、始動時水温が低いほど単位時間当たりの通電量増加
分を小さくする本発明とは設定の仕方が逆になってい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、センサ素
子を加熱するための電気式ヒータと、この電気式ヒータ
に対してエンジン始動直後に初期通電量で通電を開始
し、エンジン始動後に通電量を直線的に増加させる手段
とを備える空燃比センサのヒータ制御装置において、前
記直線の傾きを定める単位時間当たりの通電量増加分を
エンジンの始動時環境温度(例えば始動時外気温や始動
時冷却水温)に応じ始動時環境温度が低いほど小さくな
るように設定する手段を設ける。
【0011】第2の発明では、第1の発明において前記
初期通電量をエンジンの始動時環境温度に応じて設定す
る。
【0012】第3の発明は、第1または第2の発明にお
いて前記始動時環境温度が始動時外気温または始動時冷
却水温である。
【0013】第4の発明では、第1から第3までのいず
れか一つの発明において前記単位時間当たりの通電量増
加分を始動後のエンジン運転履歴に基づいて高温の排気
が得られる運転履歴であるほど大きくなる側に補正す
る。
【0014】第5の発明では、第4の発明においてエン
ジン始動からの吸入空気流量の積算値を演算する手段を
備え、前記エンジン始動後の運転履歴を前記エンジン始
動からの吸入空気流量の積算値に基づいて推定する。
【0015】第6の発明では、第1から第5までのいず
れか一つの発明において前記ヒータへの供給電力の積算
値を演算する手段を備え、前記単位時間当たりの通電量
増加分を始動からの前記ヒータへの供給電力の積算値に
基づいてこの値が小さいほど小さくなる側に補正する。
【0016】
【発明の効果】始動時環境温度が高いと凝縮水は早く蒸
発するであろうし、これに対して始動時環境温度が低け
れば凝縮水はゆっくりとしか蒸発しないであろうと推測
されることから、第1、第2、第3の発明によれば始動
時環境温度が低くて凝縮水が蒸発しにくい状況では単位
時間当たりの通電量増加分が小さく設定されてヒートシ
ョックが防止され、また始動時環境温度が高く凝縮水の
蒸発が容易になる状況では単位時間当たりの通電量増加
分が大きく設定されてセンサ素子の早期活性化が図られ
る。
【0017】エンジン始動後すぐに発進する場合にはエ
ンジン負荷が高く高温の排気で早期に凝縮水が蒸発して
ゆくのに対して、始動後にアイドル状態で放置される場
合にはエンジン負荷が低く低温の排気しか流れないため
凝縮水が蒸発しにくいと考えられる。エンジン始動後す
ぐに発進するとかアイドル放置するとかいったことは始
動後のエンジン運転履歴であり、こうした始動後のエン
ジン運転履歴を考慮しないとすれば、最悪の場合を考え
て単位時間当たりの通電量増加分を設定しなければなら
ない。すなわち最悪の場合とは始動後にアイドル放置さ
れる場合であり、この場合に対して単位時間当たりの通
電量増加分を設定するとすれば単位時間当たりの通電量
増加分を小さく設定しなければならない。そうなると、
エンジン始動後すぐに発進することにより、エンジン負
荷が高く高温の排気で早期に凝縮水が蒸発してゆく場合
に、設定値が小さ過ぎてセンサ素子の活性化が遅れてし
まうのであるが、第4、第5の発明によれば、エンジン
負荷が高く高温の排気で早期に凝縮水が蒸発してゆく運
転履歴のときには単位時間当たりの通電量増加分を大き
くなる側に補正することで、エンジン始動後すぐに発進
する場合においてもセンサ素子の活性化を早めることが
できる。
【0018】特にセンサ素子内部にヒータを内蔵させて
いる場合には、ヒータ近傍とセンサ素子末端部の温度差
により図6に示したように熱応力が発生する。この場
合、ヒータ近傍の温度は始動からのヒータへの供給電力
の積算値を用いて推定できる。すなわち始動からのヒー
タ供給電力積算値が小さいとヒータ近傍の局所的な昇温
にとどまっており、ヒータ近傍以外の部位とは温度差が
大きく、一方、始動からのヒータ供給電力積算値が大き
いとヒータ近傍以外の部分にも昇温効果が促されセンサ
素子の全体的な昇温が行われ温度差は小さいと考えるこ
とができる。よって始動からのヒータ供給電力積算値が
小さいほど温度差が大きいことを表すので、第6の発明
により、始動からのヒータ供給電力積算値に基づきこの
値が小さいほど小さくなる側に単位時間当たりの通電量
増加分を補正することで、ヒータ近傍の急激な温度変化
に伴う熱応力によって生じるセンサ素子の割れを防止で
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0020】図1は積層タイプのジルコニア式酸素セン
サ(空燃比センサ)のセンサ素子2をモデル的に示した
ものである。センサ素子2は、高温状態でジルコニア素
子3の上下両面に酸素濃度差があるときジルコニア素子
3に起電力が発生する性質を利用するものである。すな
わち、センサ素子2は、ジルコニア素子3の上面をエン
ジンの排気通路に晒して置き、下面に大気基準孔4を介
して大気を導くとき大気中の基準酸素濃度と排気中の酸
素濃度との比に応じた起電力が発生する。ただし、理論
空燃比よりリッチな混合気で燃焼したときでも実際には
排気中に酸素が若干存在して十分な起電力が発生しない
ため、触媒作用をもつ白金を電極5、6に用いること
で、理論空燃比を境に電極5、6間に発生する起電力が
大きく変化するようにしている。
【0021】例えば、リッチ混合気で燃焼させたときの
排気が白金(電極5)に触れると、白金の触媒作用によ
り残存する低濃度の酸素は排気中のCO、HCと反応し
て白金表面の酸素がほとんどなくなるため電極5、6間
の酸素濃度差が非常に大きくなり、電極5、6間に約1
Vの起電力を発生する。これに対してリーン混合気で燃
焼させたときの排気には高濃度の酸素と低濃度のCOが
あるためCOと酸素が反応しても余分の酸素が存在し、
このため酸素濃度差は小さく電極5、6間にほとんど起
電力が発生しない。こうしたセンサ素子2の特性はセン
サ素子2が所定温度以上となり活性化した状態での特性
である。
【0022】しかしながら、冷間始動まもない低温時の
ようにセンサ素子2が未活性の状態にあるときには特性
が大きく変化してしまうので、センサ素子2から安定し
た出力を得るために図1のように電気式ヒータ8をジル
コニア素子3の近くに配している。また、排気に晒され
る側の電極5を保護するためセラミクスなどの保護層7
で電極5を被覆している。
【0023】こうした酸素センサは排気通路の触媒上流
および下流に設けられるが、特に排気通路の触媒下流に
設けられる酸素センサでは、低温始動時に触媒からの凝
縮水によりセンサ素子2が被水し、この場合にヒータ8
への通電を行うと、ヒートショックが生じてセンサ素子
2に割れが生じる可能性があるので、コントロールユニ
ット11ではヒータ8への通電を最適に制御して凝縮水
によるセンサ素子2の破損等を防止しながらセンサ素子
2の早期活性化のための加熱を行う。このため、図2に
示すように、マイクロコンピュータを内蔵したコントロ
ールユニット11には、環境温度を検出する手段として
の冷却水温センサ12と外気温センサ13からの温度信
号が、イグニッションキースイッチ14からのON、O
FF信号、クランク角センサ15からのエンジン回転速
度信号、エアフローメータ16からの吸入空気流量信
号、バッテリ電圧信号と共に入力されている。
【0024】なお、排気通路の触媒下流に設けられる酸
素センサ1Aからの出力は、排気通路の触媒上流に設け
られるもう一つの酸素センサ1Bからの出力とともに、
それぞれセンサ回路(図示しない)を介してコントロー
ルユニット11に入力され、コントロールユニット11
では、2つの酸素センサ1A、1Bの活性化後にこれら
2つの酸素センサ1A、1Bからの出力に基づいて吸入
混合気の空燃比が目標空燃比(理論空燃比)に近づくよ
うに、吸気ポートやシリンダに臨ませた燃料噴射弁12
からの燃料噴射量をフィードバック制御し、また触媒の
劣化診断を行う。
【0025】上記ヒータ8への通電制御はヒータ駆動回
路に与える通電パルスのデューティ値を制御するもので
ある。デューティ値とは、所定周期で通電パルスを与え
る場合の周期に対するON時間割合[%]のことであ
り、デューティ値が大きくなるほどヒータ通電量が増
す。
【0026】ここで、本実施形態のデューティ値制御を
図3、図4を用いて概説すると、図3は極低温からのエ
ンジン始動を、また図4は暖機後(暖機完了後)再始動
をモデル的に示しており、図中横軸にはエンジン始動か
らの経過時間を、縦軸にはヒータ駆動回路に与えるデュ
ーティ指令値(以下単に「デューティ指令値」とい
う。)を採っている。
【0027】本実施形態では、特に低温始動時に凝縮水
によりセンサ素子2が被水状態になることがあっても必
ずヒータ8への通電を開始する。この点、特開平9−1
84443号公報では凝縮水が蒸発してしまうまではヒ
ータ通電を禁止するので、本実施形態と相違している。
【0028】このため本実施形態では、デューティ指令
値ONDUTYを次式により演算する。
【0029】 ONDUTY=DUTYST+DUTYUP×TMSTA1…(1) ただし、DUTYST:初期デューティ値[%]、 DUTYUP:単位時間当たりのデューティ増加量[%
/s]、 TMSTA1:始動からの経過時間[s]、 〈1〉上記(1)式の初期デューティ値(初期通電量)
と単位時間当たりのデューティ増加量(以下「デューテ
ィ増加速度」という。)(所定時間当たりの通電量増加
分)とを始動時外気温と始動時水温とに応じた可変値で
設定する。すなわち、 極低温からの始動時には初期デューティ値DUTYS
T(図で縦軸を横切るときの値)と、デューティ増加速
度DUTYUP(図で直線の傾きを表す)とを共に小さ
く、これに対して暖機後再始動時になると、初期デュー
ティ値DUTYSTとデューティ増加速度DUTYUP
とを共に大きく設定する。このため、図3に示す極低温
からの始動と、図4に示す暖機後再始動とを比較する
と、図3に示す極低温からの始動のほうが、初期デュー
ティ値DUTYSTが下のほうにあり、かつ直線の傾き
も緩やかになっている。
【0030】初期デューティ値とデューティ増加速度と
を極低温からの始動時に小さく、暖機後再始動時に大き
くしている理由は次の通りである。本発明はセンサ素子
が被水状態になることがあっても始動から必ずヒータ8
への通電を行ってセンサ素子2を早期に活性化させ、酸
素センサ出力に基づく空燃比のフィードバック制御を開
始して排気エミッションを低減させたり、触媒の劣化診
断を余裕を持って行わせることを目的にしているので、
センサ素子2の環境温度をみて早期に昇温可能であれ
ば、初期デューティ値およびデューティ増加速度を大き
くして早期の昇温制御を行う。サーマルショックは、ヒ
ータ8に接触している部位とその周囲の部位との温度差
により発生する熱応力に起因し、このサーマルショック
でセンサ素子2に割れが発生する。冷間始動に際しては
センサ素子2への被水に対して考慮が必要で、特に極低
温時には凝縮水がセンサ素子表面に氷結し、大きなヒー
トマスとなる。このときに初期デューティ値とデューテ
ィ増加速度とを大きく設定するとヒータ8に近接した部
位のみが加熱されてサーマルショックが生じセンサ素子
2の割れに至るので極低温時に大きな値を与えることが
できない。一方、暖機後再始動に際しては、既に凝縮水
も無くなっていると考えられ、またセンサ素子そのもの
の温度がある程度高い状態に維持されていると推定され
るので、初期デューティ値とデューティ増加速度を大き
く設定してもセンサ素子の割れなどの問題は生じない。
以上より早期昇温が可能な場合には大きな初期デューテ
ィ値と大きなデューティ増加速度とを与えている。
【0031】始動時外気温が同じであれば低水温始動
時よりも高水温始動時に初期デューティ値、デューティ
増加速度とも大きくする。始動時外気温に従いセンサ素
子の温度も高いわけであるので、初期デューティ値、デ
ューティ増加速度ともに低水温始動時に比べて高水温始
動時に大きな値を設定してもヒータに接触している部位
とその周囲の部位との温度差が小さいのでセンサ素子が
割れに至らない。割れに至らない状態であれば、より大
きな初期デューティ値、デューティ増加速度を設定する
ことにより早期昇温を行うことができる。
【0032】〈2〉始動からの吸入空気流量の積算値S
UMQAと所定値を比較し、始動からの吸入空気流量積
算値SUMQAが所定値以上になった時点よりデューテ
ィ増加速度を切換えてそれ以前より大きくする。このた
め、デューティ増加速度に対する増加補正係数(1.0
以上の値)を導入し、始動からの吸入空気流量積算値S
UMQAが所定値以上になった時点よりデューティ指令
値ONDUTYを次式により演算する。
【0033】 ONDUTY=DUTYST+DUTYUP×TMSTA1 +DUTYUP×HOSPW×TMSTA2 …(2) ただし、DUTYST:初期デューティ値[%]、 DUTYUP:デューティ増加速度[%/s]、 TMSTA1:始動からの経過時間[s]、 HOSPW :増加補正係数[無名数]、 TMSTA2:SUMQAが所定値以上になった時点か
らの経過時間、 ここで、始動からの吸入空気流量積算値SUMQAが所
定値以上になった時点よりデューティ増加速度を切換え
て大きくする理由は次の通りである。凝縮水によりセン
サ素子2が被水状態にある場合に、凝縮水の蒸発は排気
温度に大きく依存し、排気温度が高いほど凝縮水の蒸発
が早い。また排気温度と吸入空気流量とは図5に示した
ようにエンジン負荷と回転速度に対してほぼ同特性であ
るとみなし得るので、吸入空気流量より排気温度を推定
できる。すなわち、吸入空気流量が増大すると排気が高
温になりその結果として凝縮水が蒸発し易くなる関係に
ある。よって始動時からの吸入空気流量積算値SUMQ
Aは凝縮水からの蒸発量に相当させ得るので、凝縮水が
全て蒸発する時点のSUMQAを所定値として実験によ
り予め求めておけば、実際のSUMQAがこの所定値以
上となったとき凝縮水が全て蒸発したと判定できる。そ
して、凝縮水がセンサ素子に付着したままヒータ加熱に
よりセンサ素子を急激に昇温させるときセンサ素子に割
れを引き起こすのであるから、SUMQAが所定値未満
でセンサ素子が被水状態にあるときにはセンサ素子に割
れが生じないようにデューティ増加速度を小さめに定め
てヒータ加熱の程度を抑制する必要があるのに対して、
凝縮水がない状態になればヒータ加熱の程度を大きくし
てもセンサ素子に割れが生じる心配が無くなるので、増
加補正係数HOSPWによりデューティ増加速度を大き
くなる側に補正するのである。
【0034】図3、図4には始動後すぐに発進した場合
(実線参照)と、始動後にアイドル放置した場合(一点
破線参照)とを重ねて示しており、図3においてSUM
QAが所定値以上となるタイミングは、始動後すぐに発
進した場合のほうが早く訪れているが、それぞれの場合
に当該タイミングより直線の傾きがそれ以前より大きく
なっている。一方、図4では始動後にアイドル放置した
場合においてSUMQAが所定値以上となる前にデュー
ティ指令値ONDUTYが限界デューティ値に達してい
るため、デューティ増加速度は切換えられていない。
【0035】〈3〉デューティ増加速度に対する増加補
正係数HOSPWは、始動からの吸入空気流量積算値S
UMQAが所定値以上になった時点までのヒータ8への
供給電力の積算値SUMPWに基づき、このヒータ供給
電力積算値SUMPWが小さいほど小さくなる値で設定
する。その理由は次の通りである。ヒータ8近傍とセン
サ素子末端部の温度差により図6に示したように熱応力
が発生する。この場合、ヒータ8近傍の温度はSUMQ
Aが所定値以上となった時点までのヒータ供給電力積算
値SUMPWを用いて推定できる。すなわちヒータ供給
電力積算値SUMPWが小さいとヒータ8近傍の局所的
な昇温にとどまっておりヒータ8近傍以外の部位とは温
度差が大きく、一方ヒータ供給電力積算値SUMPWが
大きいとヒータ8近傍以外の部分にも昇温効果が促され
センサ素子の全体的な昇温が行われ温度差は小さいと考
えることができる。よってヒータ供給電力積算値SUM
PWが小さいほど温度差が大きいと考えることができる
ので、ヒータ供給電力積算値SUMPWが小さいほど増
加補正係数HOSPWを小さく設定してヒートショック
によるセンサ素子の割れを防止する。
【0036】これを図3でみると、始動後すぐに発進し
た場合に始動からの吸入空気流量積算値SUMQAが所
定値以上となった時点までのヒータ供給電力積算値SU
MPWよりも始動後にアイドル放置した場合にSUMQ
Aが所定値以上となった時点までのヒータ供給電力積算
値SUMPWのほうが大きい。このため、始動後すぐに
発進した場合に始動からの吸入空気流量積算値SUMQ
Aが所定値以上となるタイミングからの直線の傾きのほ
うが、始動後にアイドル放置した場合にSUMQAが所
定値以上となるタイミングからの直線の傾きより小さい
(緩くなっている)ことに現れている。
【0037】〈4〉バッテリ電圧補正を行う場合には、
上記(1)、(2)式に代えて次式を用いる。
【0038】 ONDUTY=(DUTYST+DUTYUP×TMSTA1) ×(VBMAX/VB) …(3) ONDUTY=(DUTYST+DUTYUP×TMSTA1 +DUTYUP×HOSPW×TMSTA2) ×(VBMAX/VB) …(4) ただし、VBMAX :限界印加電圧、 VB :バッテリ電圧、 ここで上記(3)、(4)式の限界印加電圧VBMAX
はヒータ性能の一部をなす仕様である。ヒータ8は白金
またはタングステンを導電素材9としその周囲をアルミ
ナで被覆され、更にその周囲をセンサ素子であるセラミ
クスで構成されている。ヒータ8の加工行程で焼結除材
として使用されるカルシウムやマグネシウムが白金とア
ルミナの間に介在するため、所定値以上の高温になると
白金とカルシウムが相互に入れ換わるマイグレーション
現象が発生し、白金が細くなる。白金が細くなると電気
抵抗が増大し、その部位での発熱が大きくなり断線に至
る。つまり、限界印加電圧とはそれ以上の電圧をかける
とヒータ8が断線にいたる限界値のことである。そこ
で、VBMAX/VBをバッテリ電圧補正係数として導
入しておけば、バッテリ電圧VBが限界印加電圧VBM
AXを越える場合に、バッテリ電圧補正係数であるVB
MAX/VBは1未満の値となり、デューティ指令値
(通電量)が小さくなる側に補正されるので、ヒータ8
の断線が避けられる。
【0039】これで図3、図4を用いての概説を終え
る。
【0040】次にコントロールユニット11で行われる
これらのデューティ値制御を図7のフローチャートに基
づいて詳述すると、図7は一定時間毎に実行する。
【0041】ステップ1では始動フラグをみる。イグニ
ッションキースイッチ14を始動のためOFF位置から
ON位置へと切換えたとき、始動フラグはゼロの状態に
あるためステップ2に進みエンジン回転速度に基づいて
始動したかどうかをみる。イッグニッションキースイッ
チ14をON位置からSTART位置へと切換えるとス
タータがエンジンのクランキングを行いやがて完爆すれ
ばエンジン回転速度が完爆回転速度へと急上昇するの
で、クランク角センサにより検出されるエンジン回転速
度が完爆回転速度以上あれば始動したと判断し、ステッ
プ3以降に進んで始動直後の操作を実行する。すなわち
ステップ3では外気温センサ14からの外気温、水温セ
ンサ12からの冷却水温、バッテリ電圧VBを読み込
む。2つの温度の読み込みは始動直後のみであるので、
このとき読み込まれる外気温と冷却水温とはそれぞれ始
動時外気温TMPOUTと始動時水温TMPTWとな
る。
【0042】これら2つの温度TMPOUT、TMPT
Wからステップ4で図8に示すマップを検索して初期デ
ューティ値DUTYST[%]とデューティ増加速度D
UTYUP[%/s]とを演算する。初期デューティ
値、デューティ増加速度のマップ値であるDTYST1
〜DTYST8、DTYUP1〜DTYUP8に数値は
記載していないが、始動時外気温TMPOUTが同じ条
件のとき、冷間始動時(TMPTW≦60℃)と暖機後
再始動時(TMPTW>60℃)とでは冷間始動時のほ
うが小さい値が入っている。また、始動時の水温条件が
同じでも始動時外気温が低くなるほど小さな値が入って
いる。
【0043】ステップ5では ONDUTY=DUTYST×(VBMAX/VB)…(5) ただし、VBMAX:限界印加電圧 の式によりデューティ指令値ONDUTYを算出する。
【0044】ステップ6、7では第1タイマを起動し、
始動フラグを1にセットする。第1タイマは始動からの
経過時間を計測するためのものである。この第1タイマ
にはコントロールユニット11に内蔵のものを使えばよ
く、第1タイマの起動で第1タイマ値TMSTA1
[s]がインクリメントされてゆく(図示しない)。ま
た、上記のステップ4で演算した初期デューティ値DU
TYST、デューティ増加速度DUTYUPのマップ値
は、始動後にも用いるのでステップ8において所定のメ
モリにストアしておく。
【0045】ステップ9ではヒータ8への供給電力Pw
を積算する。これはメモリSUMPW(初期値はゼロ)
にPwを加算してゆけばよい。ステップ9はヒータへの
供給電力の積算値を演算する手段を果たす部分である。
ヒータ8への供給電力Pwはヒータ8に流れる電流値と
ヒータ8に印加される電圧(バッテリ電圧)との積で算
出すればよい。
【0046】ステップ10では上記のステップ5で算出
したデューティ指令値ONDUTYを出力する。
【0047】上記の始動フラグの1へのセットにより次
回にはステップ1よりステップ11に進み、始動からの
吸入空気流量の積算値を表すメモリSUMQA(初期値
はゼロ)と所定値を比較する。所定値は触媒に生じる凝
縮水のすべてが蒸発するまでに要する、始動からの吸入
空気流量の積算値を実験により予め求めた値である。所
定値は簡単には一定でもよいが、ここでは始動時外気温
ONTMPOUTと始動時水温TMPTWから図9に示
すマップを検索して演算する。
【0048】所定値を始動時水温と始動時外気温に応じ
た可変値とした理由は次の通りである。始動時外気温が
一定の条件において始動時水温が低い場合は凝縮水の量
が多いのに対して、暖機後再始動の場合には凝縮水は少
ないかまたは無いと推定される。また、始動時の水温条
件が同じでも、始動時外気温が低いほど凝縮水の量が多
いと推定される。すなわち、エンジン始動時の環境温度
によって凝縮水の量が異なるのであるから、凝縮水がす
べて蒸発に至るまでに必要な排気熱量(つまり凝縮水が
すべて蒸発するまでに要する始動からの吸入空気流量の
積算値である所定値)もこれに応じて変化させる必要が
あるからである。
【0049】所定値のマップ値である所定値1〜所定値
8に数値は記載していないが、始動時外気温TMPOU
Tが同じ条件のとき、冷間始動時(TMPTW≦60
℃)と暖機後再始動時(TMPTW>60℃)とでは冷
間始動時のほうが大きな値が入っている。また、始動時
の水温条件が同じでも始動時外気温が低くなるほど大き
な値が入っている。これにより、極低温での始動と暖機
後再始動とでは、暖機後再始動のほうが所定値が小さい
のであり、これにより凝縮水の蒸発完了のタイミングを
精度良く与えることができる。
【0050】始動直後はSUMQAの値が所定値未満に
あるので、ステップ12に進んで吸入空気流量Qaを読
み込み、これをステップ13で積算する。これはメモリ
SUMQA(初期値はゼロ)にQaを加算してゆけばよ
い。ステップ13はエンジン始動からの吸入空気流量の
積算値を演算する手段を果たす部分である。
【0051】ステップ14では、既にストアされている
DUTYST、DUTYUP、そのときの第1タイマ値
TMSTA1を用いて上記(3)式によりデューティ指
令値ONDUTYを算出した後、ステップ9、10の処
理を実行する。
【0052】ステップ13での吸入空気流量Qaの積算
を繰り返すと、やがてSUMQAが所定値以上となるの
で、このときには触媒に生じた凝縮水がすべて蒸発した
と判断してステップ15に進み、初めてSUMQAが所
定値以上となったのかどうかをみる。初めてSUMQA
が所定値以上となったときにだけステップ16、17に
進む。
【0053】まずステップ16では第2タイマを起動す
る。第2タイマは、SUMQAが所定値以上となったタ
イミングからの経過時間を計測するためのものである。
第2タイマもコントロールユニット11に内蔵のものを
使えばよく、第2タイマの起動で第2タイマ値TMST
A2[s]がインクリメントされてゆく(図示しな
い)。
【0054】ステップ17では、SUMQAが所定値以
上となった時点までのヒータ供給電力の積算値を表すメ
モリSUMPWの値から図10に示すテーブルを検索す
ることによりデューティ増加速度に対する増加補正係数
HOSPWを演算する。図のSMPW1〜SMPW8は
SUMPWの領域を8つに分割するための値(一定値)
である。増加補正係数のマップ値であるHOSPW1〜
HOSPW8に数値は記載していないが、SUMPWが
小さいほど小さくなる値である。この増加補正係数HO
SPWは次回からのONDUTYの算出に必要となるの
で、所定のメモリにストアしておく。
【0055】ステップ18では、このようにして求めた
増加補正係数HOSPW、そのときの第2タイマ値TM
STA2、既にストアされているDUTYST、DUT
YUP、そのときの第1タイマ値TMSTA1を用いて
上記(4)式によりデューティ指令値ONDUTYを算
出した後、その算出したデューティ指令値ONDUTY
と限界デューティ値(図では「限界値」で略記)とをス
テップ19で比較する。限界デューティ値は限界印加電
圧VBMAXとなるときのデューティ値である。
【0056】デューティ指令値ONDUTYが限界デュ
ーティ値未満であれば、ステップ10に進み、ステップ
10の処理を実行する。
【0057】ステップ18の処理を繰り返すと、デュー
ティ指令値ONDUTYが徐々に大きくなってゆくの
で、やがてデューティ指令値ONDUTYが限界デュー
ティ値以上となれば、ステップ20に進みデューティ指
令値ONDUTYを限界デューティ値に制限する。
【0058】ステップ21は後処理の部分であり、次回
の始動時に備えて2つのタイマ値TMSTA1、TMS
TA2、メモリSUMQA、SUMPWの値をゼロに戻
す。
【0059】ここで、本実施形態の作用を説明する。
【0060】触媒に生じた凝縮水によりセンサ素子2が
被水状態になることがあっても、センサ素子内蔵の電気
式ヒータ8に対してエンジン始動から初期デューティ値
DUTYST(初期通電量)で通電を開始し、その後は
デューティ増加速度DUTYUP(単位時間当たり一定
の通電量増加分)を用いてデューティ指令値ONDUT
Y(通電量)を直線的に増加させる。この場合に、始動
時水温や始動時外気温(始動時環境温度)が高いと凝縮
水は早く蒸発するであろうし、これに対して始動時水温
や始動時外気温が低ければ凝縮水はゆっくりとしか蒸発
しないであろうと推測されることから、本実施形態によ
れば始動時水温や始動時外気温が低くて凝縮水が蒸発し
にくい状況では初期デューティ値DUTYST、デュー
ティ増加速度DUTYUPとも小さく設定されるので
(図3参照)、ヒートショックが防止され、一方、始動
時水温や始動時外気温が高く凝縮水の蒸発が容易になる
状況では初期デューティ値DUTYST、デューティ増
加速度DUTYUPとも大きく設定されるので(図4参
照)、センサ素子の早期活性化が図られる。
【0061】また、エンジン始動後すぐに発進する場合
にはエンジン負荷が高く高温の排気で早期に凝縮水が蒸
発してゆくのに対して、始動後にアイドル状態で放置さ
れる場合にはエンジン負荷が低く低温の排気しか流れな
いため凝縮水が蒸発しにくいと考えられる。エンジン始
動後すぐに発進するとかアイドル放置するとかいったこ
とは始動後のエンジン運転履歴であり、こうした始動後
のエンジン運転履歴を考慮しないとすれば、最悪の場合
を考えてデューティ増加速度DUTYUPを設定しなけ
ればならない。すなわち最悪の場合とは始動後にアイド
ル放置される場合であり、この場合に対してデューティ
増加速度DUTYUPを設定するとすればデューティ増
加速度DUTYUPを小さく設定しなければならない。
そうなると、エンジン始動後すぐに発進することによ
り、エンジン負荷が高く高温の排気で早期に凝縮水が蒸
発してゆく場合に、設定値が小さ過ぎてセンサ素子の活
性化が遅れてしまうのであるが、本実施形態によれば、
エンジン負荷が高く高温の排気で早期に凝縮水が蒸発し
てゆく運転履歴のときにはデューティ増加速度DUTY
UPを大きくなる側に補正することで、エンジン始動後
すぐに発進する場合においてもセンサ素子2の活性化を
早めることができる。
【0062】なお、この場合に、エンジン負荷が高く高
温の排気で早期に凝縮水が蒸発してゆく運転履歴のとき
にデューティ増加速度DUTYUPを大きくなる側に補
正することは、具体的にはエンジン負荷が高く高温の排
気で早期に凝縮水が蒸発してゆく運転履歴のときにデュ
ーティ増加速度DUTYUPを大きくする側に切換える
時期を早くすることによって果たされている。
【0063】また、センサ素子内部にヒータ8を内蔵さ
せている場合には、ヒータ2近傍とセンサ素子2末端部
の温度差により図6に示したように熱応力が発生する。
この場合、ヒータ8近傍の温度は始動からのヒータ8へ
の供給電力の積算値SUMPWを用いて推定できる。す
なわちSUMPWが小さいとヒータ8近傍の局所的な昇
温にとどまっておりヒータ8近傍以外の部位とは温度差
が大きく、一方、SUMPWが大きいとヒータ8近傍以
外の部分にも昇温効果が促されセンサ素子の全体的な昇
温が行われ温度差は小さいと考えることができる。よっ
てSUMPWが小さいほど温度差が大きいことを表すの
で、本実施形態により、始動からのヒータ供給電力積算
値SUMPWに基づきこの値が小さいほど小さくなる側
にデューティ増加速度を補正することで、ヒータ近傍の
急激な温度変化に伴う熱応力によって生じるセンサ素子
の割れを防止できる。
【0064】なお、この場合に、始動からのヒータ供給
電力積算値SUMPWに基づきこの値が小さいほど小さ
くなる側にデューティ増加速度を補正することは、具体
的には、始動からのヒータ供給電力積算値SUMPWに
基づきこの値が小さいほど小さくなる側に増加補正係数
HOSPWを設定することによって果たされている。
【0065】このように、本実施形態では、センサ素子
が凝縮水により被水状態となることがあっても始動時水
温と始動時外気温に応じたデューティ初期値DUTYS
Tとデューティ増加速度DUTYUPとを用いて始動か
ら必ずヒータ8への通電を行い、始動からの吸入空気流
量の積算値SUMQAに基づいて凝縮水が全て蒸発した
かどうかを判定し、凝縮水が全て蒸発したときにはデュ
ーティ増加速度DUTYUPをそれ以前より大きくし、
かつ凝縮水が全て蒸発するまでのヒータ供給電力積算値
をみてこの値が小さいときにはデューティ増加速度DU
TYUPを小さくなる側に補正するようにしたので、凝
縮水によるセンサ素子の割れ及びヒータ近傍の急激な温
度変化に伴う熱応力によって生じるセンサ素子の割れを
いずれも防止しつつ、酸素センサを早期に活性化するこ
とができる。この早期のセンサの活性化により、酸素セ
ンサ出力に基づく空燃比のフィードバック制御を開始で
きる時期が早まり、その分排気エミッションの低減が可
能となる。
【0066】図11は第2実施形態の極低温でのエンジ
ン始動時のデューティ指令値の特性図で、比較のため第
1実施形態の場合を重ねて示している。第1実施形態で
は、始動からの吸入空気流量積算値SUMQAが所定値
以上となった時点よりデューティ増加速度DUTYUP
を直線的に大きくしたが(一点鎖線参照)、第2実施形
態では、吸入空気量積算値SUMQAが所定値以上とな
った時点より下に凸の曲線でデューティ指令値を大きく
するようにしたものである。
【0067】これは、始動からの吸入空気流量積算値S
UMQAが所定値以上となった時点以降の排気熱(つま
りSUMQAが所定値以上となった時点からの吸入空気
流量の積算値)によってもセンサ素子全体の温度が上昇
していくため、その分大きくヒータによる昇温が可能に
なるためである。
【0068】デューティ指令値を図示のような曲線で与
えるには、上記(4)式に代えて新たに増量補正量HO
SDTYを導入した次式を採用し、その増量補正量HO
SDTYを図12を内容とするテーブルを検索すること
により演算させればよい。
【0069】 ONDUTY=(DUTYST+DUTYUP×TMSTA1 +DUTYUP×HOSPW×TMSTA2 +HOSDTY) ×(VBMAX/VB) …(6) ただし、DUTYST:初期デューティ値[%]、 DUTYUP:デューティ増加速度[%/s]、 TMSTA1:始動からの経過時間、 HOSPW :増加補正係数、 TMSTA2:SUMQAが所定値以上になった時点か
らの経過時間、 HOSDTY:増量補正量[%]、 VBMAX :限界印加電圧、 VB :バッテリ電圧、 この第2実施形態によれば、センサ素子2の活性化の時
期をさらに早めることができる。
【0070】実施形態では、センサ素子内部にヒータを
内蔵した積層タイプの酸素センサで説明したように、特
にこのタイプの酸素センサに有効なヒータ通電制御であ
るが、それ以外のタイプの酸素センサを排除するもので
ない。
【0071】実施形態では、触媒に生じた凝縮水により
被水状態になる酸素センサ、つまり排気通路の触媒下流
に設けられる酸素センサについて説明したが、排気通路
の触媒上流に設けられる酸素センサであっても凝縮水に
より被水状態になるのであれば、本発明の適用がある。
【0072】また、酸素センサで説明したが、これに限
定されるものでもない。センサ素子の内部や近傍に電気
的ヒータを備えると共にセンサ素子が被水状態になる可
能性があり、ヒータへの通電によってセンサ素子に割れ
の生ずるセンサであれば、本発明の適用がある。
【0073】実施形態では、デューティ指令値ONDU
TYの特性を、図3、図4に示したように直線で構成
し、かつ直線の傾きを1点で切換える場合で説明した
が、これに限られるものでなく、例えば複数点で切換え
るようにすることも、また連続的に切換えるようにする
ことも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層タイプの酸素センサの検出原理を説明する
ための断面モデル図。
【図2】エンジンの制御システムの概略図。
【図3】極低温でのエンジン始動時のデューティ指令値
の特性図。
【図4】暖機後再始動時のデューティ指令値の特性図。
【図5】エンジン回転速度、エンジン負荷に対する排気
温度、吸入空気流量の特性図。
【図6】有限要素法による熱応力の解析結果を示す特性
図。
【図7】デューティ指令値の演算を説明するためのフロ
ーチャート。
【図8】始動時外気温と始動時水温に対する初期デュー
ティ値、デューティ増加速度のマップ特性図。
【図9】始動時外気温と始動時水温に対する所定値のマ
ップ特性図。
【図10】ヒータ供給電力積算値に対する増加補正係数
のテーブル特性図。
【図11】第2実施形態の極低温でのエンジン始動時の
デューティ指令値の特性図。
【図12】第2実施形態の増量補正量の特性図。
【符号の説明】
1A、1B 酸素センサ(空燃比センサ) 2 センサ素子 8 ヒータ 11 コントロールユニット 12 水温センサ 13 外気温センサ 14 イグニッションスイッチ 15 クランク角センサ 16 エアフローメータ
フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA00 CA01 DA04 DA09 EA07 EB00 FA00 FA02 FA07 FA20 FA30 FA38 3G301 JA20 JB01 KA01 NA08 NB15 ND41 PA01Z PA10Z PD05Z PD09A PD09Z PE03Z PE08Z PF16Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】センサ素子を加熱するための電気式ヒータ
    と、 この電気式ヒータに対してエンジン始動直後に初期通電
    量で通電を開始し、エンジン始動後に通電量を直線的に
    増加させる手段とを備える空燃比センサのヒータ制御装
    置において、 前記直線の傾きを定める単位時間当たりの通電量増加分
    をエンジンの始動時環境温度に応じ始動時環境温度が低
    いほど小さくなるように設定する手段を設けることを特
    徴とする空燃比センサのヒータ制御装置。
  2. 【請求項2】前記初期通電量をエンジンの始動時環境温
    度に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の
    空燃比センサのヒータ制御装置。
  3. 【請求項3】前記始動時環境温度は始動時外気温または
    始動時冷却水温であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の空燃比センサのヒータ制御装置。
  4. 【請求項4】前記単位時間当たりの通電量増加分を始動
    後のエンジン運転履歴に基づいて高温の排気が得られる
    運転履歴であるほど大きくなる側に補正することを特徴
    とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の空燃
    比センサのヒータ制御装置。
  5. 【請求項5】エンジン始動からの吸入空気流量の積算値
    を演算する手段を備え、前記エンジン始動後の運転履歴
    を前記エンジン始動からの吸入空気流量の積算値に基づ
    いて推定することを特徴とする請求項4に記載の空燃比
    センサのヒータ制御装置。
  6. 【請求項6】前記ヒータへの供給電力の積算値を演算す
    る手段を備え、前記単位時間当たりの通電量増加分を始
    動からの前記ヒータへの供給電力の積算値に基づいてこ
    の値が小さいほど小さくなる側に補正することを特徴と
    する請求項1から5までのいずれか一つに記載の空燃比
    センサのヒータ制御装置。
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