JP2003171172A - アルミナ焼結体、刃先交換式チップ及び切削工具 - Google Patents

アルミナ焼結体、刃先交換式チップ及び切削工具

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JP2003171172A
JP2003171172A JP2001367745A JP2001367745A JP2003171172A JP 2003171172 A JP2003171172 A JP 2003171172A JP 2001367745 A JP2001367745 A JP 2001367745A JP 2001367745 A JP2001367745 A JP 2001367745A JP 2003171172 A JP2003171172 A JP 2003171172A
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alumina sintered
alumina
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earth element
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Hideaki Yukimachi
秀晃 行待
Yuuki Hatano
祐規 波多野
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NGK Spark Plug Co Ltd
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  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱衝撃性に優れたアルミナ焼結体、並びに
これを利用したところの、高速切削の可能な刃先交換式
チップ及び切削工具を提供すること。 【解決手段】 アルミナ、ジルコニア及び希土類元素の
酸化物を含み、希土類元素の酸化物が粒界相に実質的に
含まれてなるアルミナ焼結体、並びにこれを使用した刃
先交換式チップ及びこれを組み込んでなる切削工具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はアルミナ焼結体、
刃先交換式チップ及び切削工具に関し、更に詳しくは、
高耐久性を有するアルミナ焼結体、並びに高温度下での
切削性能に優れた刃先交換式チップ及び切削工具に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミナ焼結体は優れた耐摩耗性、及び
耐熱性を有しているので、切削工具、ベアリングボー
ル、高温部材、熱処理容器などの分野でも広く用いられ
てきた。しかし、アルミナ単体では強度、及び破壊靭性
(耐久性)が低い。そこで現在までに様々な複合焼結体
による改善手法が提案されてきた。
【0003】特開昭61−58857号公報に記載され
ているところの、酸化ジルコニウムを添加する方法もそ
の一つである。前記公報に記載された方法においては、
酸化ジルコニウムを添加すると、破壊靭性は改善される
ものの、特に加熱と冷却とが繰り返されるような環境下
では酸化ジルコニウムが相変態を起こして、強度が低下
してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、前
記課題を解決することにある。更に言うと、この発明の
目的は、耐熱衝撃性及び耐久性とを有するアルミナ焼結
体を提供することにある。又、この発明の目的は、高速
かつ連続的な衝撃や加熱及び冷却が繰り返される環境下
においても、欠け及び割れ等が発生することのない高耐
久性のアルミナ焼結体を提供することにある。この発明
の他の目的は、前記アルミナ焼結体を使用することによ
り高温度下においても優れた切削性能を発揮する刃先交
換式チップ及び切削工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、アルミナとジルコニアと希土類元素の酸化物
とを含有し、粒界相に希土類元素を含有することを特徴
とするアルミナ焼結体であり、前記アルミナ焼結体の好
適な態様においては、前記希土類元素がランタノイドに
属する少なくとも一種の元素であり、前記アルミナ焼結
体の好適な態様においては、前記希土類元素がイットリ
ウム族に属する少なくとも一種の元素であり、前記アル
ミナ焼結体の好適な態様においては、前記希土類元素
が、Yb、Lu及びDyよりなる群から選択される少な
くとも一種であり、前記アルミナ焼結体の好適な態様に
おいては、前記希土類元素の酸化物が、アルミナ焼結体
中で多くとも0.1質量%の割合で含有されてなり、前
記アルミナ焼結体の好適な態様においては、前記ジルコ
ニアが、アルミナ焼結体中で2〜10質量%の割合で含
有されてなり、前記アルミナ焼結体の好適な態様におい
ては、前記粒界相が大きくても30nmの厚みを有して
なり、前記課題を解決するための他の手段は、前記アル
ミナ焼結体を使用してなることを特徴とする刃先交換式
チップであり、前記課題を解決するための更に他の手段
は、前記刃先交換式チップを組み込んでなることを特徴
とする切削工具である。
【0006】
【発明の実施の形態】この発明に係るアルミナ焼結体
は、アルミナ、ジルコニア及び希土類元素の酸化物を含
有する。
【0007】前記アルミナ焼結体を得るためのアルミナ
としては、α−アルミナ、γ−アルミナ、η−アルミ
ナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ、ρ−
アルミナ等を挙げることができ、また市販のアルミナを
制限なく使用することができる。
【0008】アルミナ焼結体におけるアルミナは粒子と
して存在する。この粒子としてのアルミナを以下におい
てアルミナ粒子と称することがある。このアルミナ粒子
は、不可避不純物を含むことがあり、また後述する焼結
助剤を含んでいてもよい。
【0009】前記アルミナ粒子は、結晶粒を含む。その
アルミナ粒子の平均粒径は、従来から公知の切削工具等
に使用されるアルミナ焼結体におけるアルミナ粒子の平
均粒径と同様であるが、通常、大きくとも5μmであ
り、好ましくは0.3〜2μm、更に好ましくは0.5
〜1.5μmの範囲内にある。アルミナ粒子の平均粒径
が前記範囲を外れることがあってもこの発明の目的を達
成することができるのであるが、一般的には、アルミナ
粒子の平均粒径が3μmよりも大きくなると、室温及び
高温におけるアルミナ焼結体の強度及び硬度等が小さく
なり、このようなアルミナ焼結体からなる刃先交換式チ
ップ及びこれを組み込んだ切削工具はその切削性能が低
下する虞がある。一方、アルミナ粒子の平均粒径が0.
3μm未満であると、希土類元素の酸化物を含むことに
よる添加効果が現れないことがある。なお、アルミナ粒
子の平均粒径は、アルミナ焼結体を鏡面研磨し、サーマ
ルエッチングした後に、走査型電子顕微鏡(SEM)写
真を撮り、このSEM写真からインターセプト法により
算出することができる。
【0010】この発明に係るアルミナ焼結体中における
アルミナの含有量は、通常、90〜98質量%、好まし
くは92〜97質量%である。
【0011】この発明にかかるアルミナ焼結体を得るた
めのジルコニアとしては、例えば酸化ジルコニウム、安
定化ジルコニア及び部分安定化ジルコニアを挙げること
ができる。安定化ジルコニアとしては、酸化ジルコニウ
ムに、CaO、MgO、CeO,又はY等の安
定化剤を固溶させて立方晶又は正方晶としてなる所謂安
定化ジルコニアを挙げることができる。また、部分安定
化ジルコニアとしては、安定化剤を完全に立方晶固溶体
にするほどは加えていない組成のジルコニアである限り
特に制限がない。また、部分安定化ジルコニアとして、
析出型部分安定化ジルコニア及び分散型部分安定化ジル
コニアのいずれをも使用することができる。
【0012】アルミナ焼結体において、ジルコニアは粒
子として存在する。ジルコニアの粒子(以下において、
ジルコニア粒子と称することがある。)の粒径は、通
常、0.1〜3μmであり、好ましくは0.7〜1.5
μmである。ジルコニア粒子の粒径が前記範囲よりも大
きいと、粗大になったジルコニア粒子が破壊起源になり
やすくなると言った不都合を生じる場合があり、また前
記範囲よりも小さいとジルコニアの相変態による靭性向
上への効果が薄れると言った不都合を生じることがあ
る。したがって、酸化ジルコニウム粒子の粒径が前記範
囲から外れていてもこの発明の目的を達成することがで
きるのであるが、前記粒径の範囲内にあるのが望まし
い。
【0013】アルミナ焼結体におけるジルコニア粒子の
粒径は、アルミナ粒子の粒径を測定するのと同様の手法
により決定されることができる。
【0014】ジルコニアのアルミナ焼結体における含有
量は、通常、2〜10質量%であり、好ましくは3〜8
質量%である。ジルコニアの含有量が10質量%よりも
多いと、アルミナに比べて硬度の低いジルコニアの影響
を受けることにより、アルミナ焼結体自体の耐摩耗性、
アルミナ焼結体を使用する刃先交換式チップ及び切削工
具の耐摩耗性が低下することがあり、またジルコニアの
含有量が2質量%よりも小さいとアルミナ焼結体の強度
が向上しないことがある。
【0015】希土類元素の酸化物における希土類元素と
しては、Sc、Y、ランタノイドに属する元素及びアク
チノイドに属する元素を挙げることができる。この発明
における希土類元素としてこれらの中で好ましいのは、
ランタノイドに属する少なくとも一種の元素であり、更
に好ましいのは、イットリウム族に属する少なくとも一
種の元素であり、特に好ましいのは、原子番号66〜7
1に属する少なくとも一種の元素であり、特にはYb、
Lu及びDyよりなる群から選択される少なくとも一種
である。この発明においては、粒界相に含まれる希土類
元素はその一種だけであってもよく、また二種以上であ
っても良い。特に、アルミナ焼結体が、Yb、Lu及び
Dyからなる群から選択される少なくとも一種の希土類
元素の粒子を粒界相に含有すると、アルミナ焼結体が持
つ本来の性能を損なうことがなく、また高温下での性能
の急激な低下が抑えられるので、前記アルミナ焼結体
は、室温と高温とでの特性のバランスに優れ、切削性能
にも優れることが可能となる。
【0016】この発明に係るアルミナ焼結体は、希土類
元素の酸化物を含む。希土類元素の酸化物のアルミナ焼
結体における含有量は、通常多くとも0.1質量%、好
ましくは0.05〜0.1質量%である。前記アルミナ
焼結体は、含有する希土類元素の酸化物の含有量が、
0.1質量%を超えると、高温時の耐久性に劣ることが
ある。
【0017】希土類元素の酸化物は、粒界相中に含まれ
る。換言すると、この発明に係るアルミナ焼結体におけ
る粒界相は、希土類元素の酸化物を少なくとも含有す
る。粒界相中に含有されることを許容される他の酸化物
としては、例えばアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金
属酸化物、SiO、TiO等を挙げることができ
る。アルミナ焼結体において、アルカリ金属酸化物、ア
ルカリ土類金属酸化物、SiO、TiO等の含有量
は、酸化物換算の総量がアルミナ焼結体中のアルミナ1
00molに対して多くても0.1mol(0.1mo
l以下)、好ましくは多くても0.05mol、更に好
ましくは多くても0.03molである。上記総量が
0.1molを超えると、高温での強度及び硬度が低下
し、目的とするアルミナ焼結体、刃先交換式チップ及び
切削工具を得ることができないことがある。
【0018】前記粒界相の厚みは、通常、大きくても3
0nmであり、好ましくは10〜20nmである。粒界
相の厚みが30nm以下であると、アルミナ焼結体は高
温強度が良好に維持され、また硬度の低下もなく、した
がって、このようなアルミナ焼結体を利用した刃先交換
式チップ及び切削工具は高速での切削を有利に行うこと
ができる。
【0019】この粒界相の厚みは、エネルギー分散型X
線分析装置(例えばノーラン社製の型式バンテージ)を
取り付けた透過型電子顕微鏡(例えば日本電子(株)製
JEM−2010F)で、アルミナ焼結体の研磨面を撮
像し、例えば図1に示されるように得られた画像におけ
る粒界相に直交する方向で粒界相を横切るようにスキャ
ニングし、例えば図2に示されるようなX線強度のグラ
フを得、このグラフにおけるX線強度のピークを形成す
る傾斜線とベースラインとが交差する一対の点間の距離
から算出される長さをもって厚みとし、このようにして
数点の測定を行って得られた厚みの内もっとも薄い厚み
を実際の厚みとして決定することができる。
【0020】この粒界相の厚みは、希土類元素の酸化物
の種類、添加量、分散状態及び焼結体中に液相を形成す
るその他の物質例えばSiO及びMgO等の存在によ
り調節されることができる。
【0021】この発明に係るアルミナ焼結体は、通常、
その密度が3.98g/cm以上理論密度以下であ
り、好ましくは3.99g/cm以上理論密度以下で
ある。アルミナ焼結体の密度が前記範囲内にあるとアル
ミナ焼結体の緻密化を達成して強度及び硬度を向上させ
ることができ、耐摩耗性も向上させることができる。
又、この発明におけるアルミナ焼結体の理論密度に対す
る相対密度は好ましくは99%以上、より好ましくは9
9.6%以上、更に好ましくは99.7%以上である。
このような相対密度であると、アルミナ焼結体中の残留
気孔が容易に排出されて消失し、その結果、アルミナ焼
結体の残留気孔が完全に消失し、高温強度及び高温硬度
に優れ、高速切削加工に好適な刃先交換式チップ及び切
削工具を得ることができる。
【0022】この発明に係るアルミナ焼結体は、希土類
元素の酸化物を含有する粒界相でアルミナ粒子及びジル
コニア粒子を結合しているので、衝撃に対する強度、低
温及び高温の繰り返しに対する耐久性に優れる。
【0023】このように優れたアルミナ焼結体を得る方
法については特に限定がないのであるが、通常は、アル
ミナとジルコニアと希土類元素の酸化物と要すれば従来
から焼結助剤と称される酸化物とを含む原料混合物を調
製した後に、これを成形し、焼成する方法を挙げること
ができる。
【0024】なお、希土類元素の酸化物及び焼結助剤と
称される酸化物の代わりに、焼結加熱すると希土類元素
の酸化物及び前記酸化物に容易に変換される希土類元素
含有化合物又は従来から焼結助剤と称される酸化物中の
金属を含有する化合物例えば有機金属化合物、硝酸塩、
炭酸塩、硫酸塩及び水酸化物等を採用することもでき
る。
【0025】原料としてのアルミナは、公知の構造材料
用のアルミナ粉末を用いることができ、特に純度99.
99%以上の高純度品を用いるのが好ましい。この発明
に係るアルミナ焼結体を得るためには、粒子径が1μm
以下、好ましくは0.8〜1μm、更に好ましくは0.
6〜0.1μmのアルミナ粉末を用いるのが、良い。こ
れらより粗いアルミナ粉末を用いる場合には、予めアル
ミナ粉末を更に粉砕しておくことが推奨される。
【0026】アルミナ焼結体を得るための原料は粉末で
あっても、スラリーであっても良い。アルミナ焼結体を
得るための原料は、通常700〜1100℃程度、好ま
しくは800〜1000℃程度の加熱により仮焼粉末を
使用するが、これに限らず、仮焼しない出発原料粉末を
用いることもできる。また、仮焼をする場合、各々の出
発原料について仮焼する外に、混合後に纏めて仮焼して
粒度調整を行っても良い。
【0027】アルミナ焼結体を得るためにアルミナと希
土類元素の酸化物とを混合する場合、又はアルミナと希
土類元素の酸化物及び従来から焼結助剤と称される酸化
物とを混合する場合、希土類元素の酸化物の添加量は、
アルミナ焼結体における希土類元素の含有量が0.1質
量%以下となるように決定するのがよく、また従来から
公知の焼結助剤と称される酸化物の添加量は、通常、ア
ルミナ100molに対して0.1〜2mol、好まし
くは0.2〜1mol、更に好ましくは0.5〜1mo
lであるのが、良い。
【0028】(刃先交換式チップ)この発明に係る刃先
交換式チップは、この発明に係るアルミナ焼結体を使用
して形成されることができる。刃先交換式チップとして
は、様々の形状を有するチップを挙げることができ、例
えば図3に示されるように、平板状である四角形型チッ
プ、平板状である菱形チップ2、円柱チップ3等を挙げ
ることができる。
【0029】このような各種形状の刃先交換式チップ
は、例えば、前記アルミナ焼結体を得るための原料乃至
原料混合物を調製し、次いで公知の成形方法例えば金型
プレス、押出成形、射出成形、冷間静水圧プレス(CI
P)等によって任意の形状に成形する。原料乃至原料混
合物を調製する方法には特に制限がなく、例えば振動ミ
ル、回転ミル、バレルミル等を用いる方法を採用するこ
とができ、また、アルミナ球石を用いた湿式混合法を採
用することもできる。湿式混合法を採用する場合、不純
物の混入を防ぐために、純度99.9%以上のアルミナ
球石を使用するのがよい。
【0030】上記のような方法により所定の形状となっ
た成形体は、常圧焼結、ガス圧焼結又は熱間静水圧プレ
ス(HIP)等により焼結されて刃先交換式チップ用の
焼結体が得られる。この焼結体に更に研磨等の後処理が
施されて刃先交換式チップが得られる。
【0031】この発明に係る刃先交換式チップは、この
発明に係るアルミナ焼結体を利用して形成されているの
で、耐熱衝撃性及び高温時における耐久性に優れる。し
たがって、この刃先交換式チップを使用して、普通鋳鉄
の一般旋削、パイプビード切削、高硬度材及び難削材の
旋削、普通鋳鉄及びダクタイル鋳鉄の仕上げ切削等を長
時間に亘って行うことができる。
【0032】(切削工具)この発明に係る切削工具は、
例えば図4に示すように、この発明に係る刃先交換式チ
ップ4を交換可能にホルダー5に組み込んでなる工具で
ある。この切削工具は、この発明に係る刃先交換式チッ
プとホルダーとから形成することができれば特に制限は
なく、例えばクランプバイト、クランプオン式スローア
ウェイバイト、及び偏心ピン式スローアウェイバイト等
のバイト、ガンドリル、及びスローアウェイドリル等の
ドリル、スローアウェイフライス等のフライス並びにブ
ローチを挙げることができる。
【0033】この発明に係る切削工具は、この発明に係
るアルミナ焼結体を刃先交換式チップとして組み込んで
なるから、高温時においても切削可能距離が長くなる。
【0034】
【実施例】(実施例1〜7、比較例1)実施例にあって
は、表1に示す配合割合で、純度が99.99%以上で
あり、平均粒径が0.5μmである市販のアルミナ粉末
(大明化学工業(株)、商品名タイミクロン)と、平均
粒径が0.3μmである酸化ジルコニウム粉末と、平均
粒径が0.5μmである希土類元素の酸化物とを、高純
度アルミナ球石(純度99.5%以上)を使用して水を
媒体として湿式混合した。比較例にあっては希土類元素
の酸化物を無添加とした外は、実施例と同様にして湿式
混合した。なお、アルミナ純度99.5%以上の球石を
使用したので、球石の摩耗による不純物の混入を低減す
ることができた。
【0035】湿式混合後に所定の形状に成形し、得られ
た成形体を1360℃で焼成した。この焼成における保
持時間は1時間であった。次いで、得られた焼成物を1
450℃で150MPaの圧力下に大気中でHIP処理
を施した。HIP処理における保持時間は2.5時間で
あった。
【0036】得られたアルミナ焼結体につき、アルミナ
結晶粒の平均粒径、粒界相の厚み、室温及び高温度にお
ける曲げ強度、室温及び高温度におけるビッカース硬度
を以下の方法に従って測定した。測定結果を表1に示し
た。
【0037】(1)アルミナ結晶粒及びジルコニアの結晶
粒の平均粒径 アルミナ焼結体を鏡面研磨し、サーマルエッチングした
後、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮り、このSE
M写真からインターセプト法により算出した。
【0038】(2)粒界相の厚み アルミナ焼結体を鏡面研磨し、更に試料厚さが100n
m以下になるように加工した後、透過型電子顕微鏡(T
EM)写真を撮り、エネルギー分散型X線分析装置によ
り測定し、粒界の傾きを考慮し、数カ所を測定して粒界
相のもっとも薄い厚みを実際の厚みとして判定した。
【0039】(3)アルミナ焼結体の室温曲げ強度 JIS R 1601に定められた曲げ強さ試験方法によ
り室温における三点曲げ強度を測定した。
【0040】(4)アルミナ焼結体の高温曲げ強度 JIS R 1604に定められた曲げ強さ試験方法によ
り1000℃における三点曲げ強度を測定した。
【0041】(5)アルミナ焼結体の室温硬度 JIS R 1610に定められたビッカース硬さ試験方
法により、荷重9.807N(1kgf)で測定した。
【0042】(6)アルミナ焼結体の高温硬度 JIS R 1623に定められたビッカース硬さ試験方
法により、荷重9.807N(1kgf)で測定した。
【0043】
【表1】
【0044】上述のようにして作成したアルミナ焼結体
をSNGN432形状に加工し(刃先処理:0.2mm
×25度)、以下の条件で切削試験を行った。試験は各
試料につき3回ずつ行い、フレーキングに至るまでの切
削距離の平均値を求めた。その結果を表2に示した。
【0045】なお、実施例1、2及び比較例1で得られ
たアルミナ焼結体も、この実施例におけるのと同様にし
てチップに形成し、ホルダーに装着してこの実施例と同
様の切削試験を行った。切削試験結果を表2に示した。
【0046】[切削試験条件] 被削材:普通鋳鉄(FC200) 切削条件:ドライ 切削速度:800m/分 工具送り速度:0.3mm/rev 切削深さ:2.0mm
【0047】
【表2】
【0048】表1及び表2から判るように、アルミナ焼
結体は室温及び高温度下における強度及び硬度に優れて
いる。このアルミナ焼結体は、低温と高温とが繰り返さ
れる環境下にあっても優れた耐熱衝撃性を示した。アル
ミナ焼結体を刃先交換式チップ又は切削工具として用い
ると、アルミナ焼結体に高速かつ連続的に衝撃と加熱及
び冷却とが切削時に繰り返されることになる。したがっ
て、耐熱衝撃性に劣るアルミナ焼結体を用いた刃先交換
式チップ又は切削工具で切削を行うと、刃先の欠け及び
クラック等が生じて短時間のうちに刃先交換をしなけれ
ばならなくなることが従来多かったが、この発明に係る
アルミナ焼結体を使用した刃先交換式チップ又は切削工
具においては、表2に示されるように、平均切削可能距
離が飛躍的に伸びる。更に表1及び表2の結果から、特
に、希土類元素酸化物の含有量が0.1質量%以下であ
るアルミナ焼結体を利用した刃先交換式チップ及び切削
工具は、希土類元素酸化物の含有量が0.1質量%を超
えるものよりも優れた切削性能を示し、またジルコニア
の含有量が10質量%以下であるアルミナ焼結体を利用
した刃先交換式チップ及び切削工具は、ジルコニアの含
有量が10質量%を超える物よりも優れた切削性能を示
した。
【0049】
【発明の効果】この発明によると、耐熱衝撃性及び耐久
性に優れたアルミナ焼結体を提供することができる。
【0050】この発明によると、高温強度及び高温硬度
に優れたアルミナ焼結体を使用し、或いはこれを組み込
むことにより、高温切削性能に優れた刃先交換式チップ
及び切削工具を提供することができる。
【0051】したがって、この発明に係る刃先交換式チ
ップ及び切削工具を用いると、クーラントレスによる環
境負荷軽減や高速切削による高能率化が実現できる。
【0052】またこの発明に係るアルミナ焼結体は、刃
先交換式チップ及び切削工具以外において、高温度下又
は室温下における高硬度、高強度を必要とする各種産業
分野に属する種々の用途に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はアルミナ焼結体の鏡面についての電子顕
微鏡写真である。
【図2】図2は透過型電子顕微鏡を用いて測定されたX
線分析ポイントとX線強度との関係を示すグラフであ
る。
【図3】図3は刃先交換式チップの3つの具体例を示す
斜視図である。
【図4】図4は刃先交換式チップをホルダーに装着して
なる切削工具の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、2、3、4・・・刃先交換式チップ、5・・・ホル
ダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C046 FF33 FF55 4G030 AA11 AA17 AA36 BA19 CA05 GA04 GA11 GA27 GA29

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナとジルコニアと希土類元素の酸化
    物とを含有し、粒界相に希土類元素を含有することを特
    徴とするアルミナ焼結体。
  2. 【請求項2】前記希土類元素がランタノイドに属する少
    なくとも一種の元素である前記請求項1に記載のアルミ
    ナ焼結体。
  3. 【請求項3】前記希土類元素がイットリウム族に属する
    少なくとも一種の元素である前記請求項1または2に記
    載のアルミナ焼結体。
  4. 【請求項4】前記希土類元素が、Yb、Lu及びDyよ
    りなる群から選択される少なくとも一種である前記請求
    項1〜3のいずれか一項に記載のアルミナ焼結体。
  5. 【請求項5】前記希土類元素の酸化物が、アルミナ焼結
    体中で多くとも0.1質量%の割合で含有されてなる前
    記請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルミナ焼結
    体。
  6. 【請求項6】前記ジルコニアが、アルミナ焼結体中で2
    〜10質量%の割合で含有されてなる前記請求項1〜5
    のいずれか一項に記載のアルミナ焼結体。
  7. 【請求項7】前記粒界相が大きくても30nmの厚みを
    有してなる前記請求項1〜6のいずれか一項に記載のア
    ルミナ焼結体。
  8. 【請求項8】前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の
    アルミナ焼結体を使用してなることを特徴とする刃先交
    換式チップ。
  9. 【請求項9】前記請求項8に記載の刃先交換式チップを
    組み込んでなることを特徴とする切削工具。
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