JP2003170671A - 感熱孔版原紙とその製版方法及び印刷方法 - Google Patents

感熱孔版原紙とその製版方法及び印刷方法

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JP2003170671A JP2001372397A JP2001372397A JP2003170671A JP 2003170671 A JP2003170671 A JP 2003170671A JP 2001372397 A JP2001372397 A JP 2001372397A JP 2001372397 A JP2001372397 A JP 2001372397A JP 2003170671 A JP2003170671 A JP 2003170671A
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Haruo Kinoshita
春夫 木下
Hiroshi Sogo
博 十河
Yasuo Yamamoto
康夫 山本
Hideyuki Kinoshita
秀之 木下
Tsutomu Nio
務 仁尾
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Asahi Kasei Corp
Riso Kagaku Corp
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Asahi Kasei Corp
Riso Kagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 孔版印刷におけるインキ乾燥性を高め、多枚
数連続印刷時に伸びや印刷シワの発生することのない感
熱孔版原紙とその製版方法、および印刷方法を提供する
こと。 【解決手段】 印刷用インキを保持する連続気孔を形成
する多孔質樹脂シートからなる支持体と、連通孔を有し
厚みが1〜100μm、平均孔径が0.01〜10μ
m、透気度が1〜600秒で、連通孔の屈曲率が1.1
〜6.0の微多孔性フィルムとが実質一体化された多孔
質複合シートの微多孔性フィルム面側において、印刷画
像の非画線部に相当する部分の微細孔を閉塞させてイン
キ非通過部としたことを特徴とする感熱孔版原紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版原紙とそ
の製版方法、および印刷方法に関する。更に詳しくは、
本発明は、インキ乾燥性に優れる低粘度インキを用いた
場合のインキ転移量を適正量に抑制することが可能であ
り、かつ製版時の熱変形を抑制することが可能であり、
印刷機内で搬送時や印刷用ドラムへの巻装時におけるシ
ワの発生を防止し、さらに多枚数連続印刷時に伸びや印
刷シワの発生することのない感熱孔版原紙とその製版方
法、および印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、孔版印刷用の原紙(孔版原紙)と
しては、赤外線照射またはサーマルヘッドによって穿孔
される感熱孔版原紙が知られており、熱可塑性プラスチ
ックフィルムと、該フィルムの支持体である多孔性薄葉
紙等を接着剤にて貼り合わせたものが一般に用いられて
いる。
【0003】また感熱孔版原紙を用いた孔版印刷装置と
しては、主に輪転式孔版印刷装置および簡易押圧式孔版
印刷装置が知られている。これらの印刷装置では、印刷
画像の画線部に対応してフィルムに空けられた孔を通し
て、孔版原紙の支持体側からインキが押し出され、印刷
用紙に転移することにより印刷が行われる。
【0004】従来の孔版印刷システムにおいては、イン
キが印刷用紙に浸透するのに時間がかかるため、インキ
乾燥性の点で改良が求められていた。すなわち、印刷用
紙表面にインキがなかなか浸透しないことから、印刷直
後の印刷物に触れると指等を汚したり、多色印刷の際の
2色目以降の印刷や両面印刷における裏面の印刷を続け
て行うと、乾燥が不十分な印刷用紙上のインキが印刷機
のゴムロール等に転移して、さらにそのインキが次の印
刷用紙に再転移することで印刷物を汚したりするという
問題があった。それ故、乾燥を十分に行うため、次工程
に移るまでに長時間(たとえば10〜20分程度)待た
なければならないという問題があった。
【0005】ここでインキの乾燥性を高めるためには、
低粘度のインキを使用することにより、印刷用紙へのイ
ンキの浸透性を高めることが有効である。しかし、低粘
度のインキを使用した場合でも、インキ転移量が過剰で
あるとやはり乾燥性は悪化する。そのため、従来の孔版
印刷システムにおいて、低粘度インキを使用する場合
は、インキ転移量を抑制するために、少なくとも穿孔径
は20μm以下にする必要がある。
【0006】しかしながら、穿孔径を小さくした場合に
は、穿孔するドット密度を上げて、画線部がかすれない
ようにする必要があるため、サーマルヘッドの発熱素子
密度(解像度)を上げる必要がある。これは、サーマル
ヘッドのコストアップの他、サーマルヘッドの耐久性確
保、歩留まり向上、感熱孔版原紙のフィルム感度増加等
の周辺技術のレベル向上を要する。
【0007】上記課題を解決するために、予めサブミク
ロン単位の微小な連続気孔を形成した微多孔プラスチッ
クシート(以下、微多孔性フィルムと略す)を用いて、
非画線部に対応する孔を閉塞しインキ不通過部分を形成
させる孔版原紙、およびその製版方法と印刷方法が、本
発明者らによって提案されている。
【0008】しかし、上記の微多孔性フィルムは、その
製膜時に延伸工程が入るため、加熱により熱収縮しやす
い性質を持っており、製版時のサーマルヘッドによる加
熱により微多孔性フィルムが必要以上に熱変形してしま
い、製版時の寸法再現性が劣るという問題があった。さ
らに、そのような熱変形した微多孔性フィルムによる原
紙は、その平面性が崩れるため、印刷機内において搬送
させる際や、印刷用ドラムへ巻装させる際に原紙にシワ
が発生して印字品位を損なうという問題があった。
【0009】また、上記の微多孔性フィルムは、引張り
強度およびコシが非常に小さいため、印刷用ドラムに巻
装して多枚数連続印刷を行うと、印刷ドラムの回転方向
に負荷を受けて伸びてしまうため、印刷時の寸法再現性
が劣るという問題、あるいは原紙が部分的な負荷を受け
てシワ(以下、印刷シワとする)が発生してしまい、印
字品位を損なうという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑みてなされたものであり、孔版印刷におけるインキ
乾燥性を高めるため、印刷用紙への浸透性の高い低粘度
のインキを用いた場合のインキ転移量を適正量に抑制
し、かつ原紙の製版時の熱変形を抑制して印刷機内での
搬送時や印刷用ドラムへの巻装時のシワを防止し、さら
に多枚数連続印刷時に伸びや印刷シワの発生することの
ない感熱孔版原紙とその製版方法、および印刷方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の連続気
孔を形成する多孔質樹脂シートによる支持体と、多数の
連通した微細孔を有する微多孔性フィルムとが実質的に
一体化している多孔質複合シートを感熱孔版原紙として
用いることにより、上記課題の解決に著しく寄与するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は次の態様からなる。 (1)印刷用インキを保持する連続気孔を形成する多孔
質樹脂シートからなる支持体と、連通孔を有し、厚みが
1〜100μm、平均孔径が0.01〜10μm、透気
度が1〜600秒で、連通孔の屈曲率が1.1〜6.0
の微多孔性フィルムとが実質一体化された多孔質複合
シートの微多孔性フィルム面側において、印刷画像の非
画線部に相当する部分の微細孔を閉塞させてインキ非通
過部としたことを特徴とする感熱孔版原紙。
【0013】(2)前記多孔質樹脂シートからなる支持
体が、焼結成形板あるいは不織布であることを特徴とす
る、上記(1)に記載の感熱孔版原紙。
【0014】(3)前記微多孔性フィルム面側におい
て、印刷画像の非画線部に相当する部分の微細孔を閉塞
させてインキ非通過部とするネガ製版を行なうことを特
徴とする、上記(1)又は(2)に記載の感熱孔版原紙
の製版方法。
【0015】(4)粘度が0.001〜1Pa・sのイ
ンキを用いて印刷を行うことを特徴とする、上記(1)
又は(2)に記載の感熱孔版原紙を用いた印刷方法。
【0016】(5)前記多孔質樹脂シートを剥離するこ
となく印刷機内にて搬送し、印刷用ドラムあるいはその
筐体へ巻装させて印刷を行うことを特徴とする、請求項
1又は2に記載の感熱孔版原紙を用いた印刷方法。
【0017】以下に、本発明の優れた効果についてさら
に詳細に述べる。本発明による第一の効果は、微多孔性
フィルムの厚みが1〜100μm、平均孔径が0.01
〜10μm、透気度が1〜600秒で、連通孔の屈曲率
が1.1〜6.0と屈曲した孔経路にすることで、印刷
用紙への浸透時間が非常に速い低粘度インキ(粘度0.
001〜1Pa・s)の通過量を、微多孔性フィルムの
微孔により適正量に抑制することができ、その結果、従
来のインキ(粘度2〜10Pa・s)に比べて、インキ
の浸透時間を大幅に速くさせることができ、印刷物にお
けるインキの即乾燥性を達成できることである。また、
インキ転移量が適正量に抑制されているので、印刷物の
インキによる滲み等も発生しない。
【0018】本発明による第二の効果は、感熱孔版原紙
を上記多孔質複合シートとすることで、これをサーマル
ヘッド等の加熱手段により製版を行っても、多孔質樹脂
シートによる支持体の優れた熱寸法安定性により、原紙
は熱変形なく製版することが可能なことである。
【0019】本発明による第三の効果は、感熱孔版原紙
を上記多孔質複合シートとしたことにより、その支持体
である多孔質樹脂シートによって引張り強度およびコシ
が原紙に付与されるため、印刷機内での搬送時や印刷用
ドラムへの巻装時においても原紙にシワが発生すること
がなく、さらに多枚数連続印刷を行っても、原紙の伸び
や印刷シワの発生がないことである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明において、感熱孔版原紙として用
いる多孔質複合シートの微多孔性フィルムの厚みは1〜
100μmであり、好ましくは10〜80μmで、より
好ましくは15〜50μmである。
【0021】厚みが1μm未満では、微多孔性フィルム
のコシや強度が不足して加工性が著しく低下し、前記支
持体との積層時の加工性に劣る問題がある。一方、厚み
が100μmを超えると、原紙の熱容量が大きくなるた
めにサーマルヘッドによる製版時に多くの熱量を必要と
するため、サーマルヘッドに供給する印加エネルギーが
増大して、場合によってはサーマルヘッドの発熱素子が
破壊されたり、あるいはフィルム厚みに起因してインキ
通過性が悪くなるので印刷物のベタ部に白点が多発した
り、細字部にてカスレが生じて文字の判読ができなくな
るので好ましくない。
【0022】本発明の原紙の微多孔性フィルムの平均孔
径は、使用するインキの粘度や表面張力に応じて任意に
選択することができるが、好ましくは0.01〜10μ
mであり、より好ましくは0.1〜1.0μmである。
平均孔径が0.01μm未満では、十分なインキ通過性
が得られず、印刷画像においてベタ部のカスレが生じた
り文字の再現性に劣るので好ましくない。一方、平均孔
径が10μmを超えると、インキ転移量が過剰になり、
印刷物において裏写りや擦れといった問題が生じるので
好ましくない。
【0023】本発明の原紙の微多孔性フィルムの透気度
は1〜600秒であり、好ましくは5〜100秒であ
り、より好ましくは10〜60秒である。透気度が1秒
未満では、インキ転移量が過剰になり、印刷物において
裏写りやコスレといった問題が生じるので好ましくな
い。一方、透気度が600秒を超えると、インキが通過
しにくくなるため、印刷画像においてベタ部のカスレが
生じたり文字の再現性に劣るので好ましくない。
【0024】本発明の原紙の微多孔性フィルムの連通孔
の屈曲率は1.1〜6.0であり、より好ましくは1.
5〜5.0の範囲である。屈曲率が1.1未満の場合、
インキ転移量が過剰になり、印刷物において裏写りやコ
スレといった問題が生じるので好ましくなく、屈曲率が
6.0を超える場合は、インキが通過しにくくなるた
め、印刷画像においてベタ部のカスレや文字の再現性に
劣るので好ましくない。
【0025】本発明において、多孔質複合シートに用い
る微多孔性フィルムは、本発明の感熱孔版原紙としての
要件を満足するものであれば特にその素材を限定するも
のではないが、経済性および加工性の点から、ポリオレ
フィン系樹脂が好ましく、特に微多孔性フィルムとして
の延伸加工性に優れるポリエチレン樹脂が、より好まし
い。
【0026】本発明において好適に用いられるポリエチ
レン樹脂の粘度平均分子量は15〜200万であり、好
ましくは40〜100万である。粘度平均分子量が15
万未満では、微多孔性フィルムとしての十分な強度やタ
フネスが得られず、多孔質樹脂シートとの一体成形時に
フィルムにシワ等が発生しやすく、好ましくない。一
方、粘度平均分子量が200万を超えると、著しくフィ
ルム成形加工性に劣り、本発明を満足する微多孔性フィ
ルムが得られない。
【0027】本発明において用いるポリエチレン樹脂と
しては、エチレンの単独重合体、エチレンとプロピレ
ン、ブテン−1ヘキセン−1、オクテン−1の様な1種
以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビ
ニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタアクリル酸エステルなどの共重合体等が挙げら
れる。なかでも、強度とのバランスおよび延伸加工性か
ら高密度ポリエチレン樹脂がより好ましく、強度、タフ
ネスおよび熱的特性を改善することを目的としてオレフ
ィン系樹脂や共重合体等を、本発明の目的を阻害しない
範囲で混合して使用することができる。
【0028】本発明の微多孔性フィルムは、本発明の感
熱孔版原紙としての微多孔性フィルムの要件を満足する
ものであれば特にその製造方法を限定するものではない
が、具体的製造方法としては、例えば予めポリマーに炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機物を溶融混合
し、押出し機の先端に取り付けたTダイや環状スリット
ダイ等で形成されたフィルムを延伸加工し、そのポリマ
ーと無機物との界面を剥離開孔させて連通孔を得る方
法、または結晶性ポリマーを用いてフィルム成形加工時
にアニーリング等の熱処理により非晶部と結晶部とを形
成した後、延伸加工により非晶部と結晶部との界面を開
孔させて連通孔を形成させる方法等のいわゆる延伸開孔
法という製造方法が選択できる。
【0029】また湿式開孔法と呼ばれる方法を用いても
よく、具体的にはポリマーの中に例えばシリカのような
無機物の粒子を溶融混合してフィルムを形成し、その後
で無機物を苛性ソーダのような抽出液で抽出し、生じた
無機物の抜け跡を利用する方法、またはポリマーの中に
可塑剤として使用されるフタル酸エステルのような液体
を溶融混合してフィルムを形成し、その後で液体を溶剤
等で抽出し、その液体の抜けた跡を利用する方法、およ
び前記無機物と可塑剤を併用して溶融混合し、同様にそ
れらの両方を抽出して抜けた跡を利用する方法等があ
り、いずれの場合も微多孔性フィルムとしての強度およ
び孔径をコントロールする目的で延伸加工を施すことも
有効である。
【0030】本発明の多孔質複合シートの支持体である
多孔質樹脂シートは、成形体の片面から他面へ貫通した
連続気孔を形成しているものであれば良く、中でも平滑
性と成形加工性とに優れた焼結板および不織布が好適で
ある。焼結板は、樹脂パウダーを希望の形状の金型に充
填し、加圧あるいは無加圧状態で加熱焼結することで連
続的に得ることができる。あるいは、樹脂パウダーをベ
ルトコンベア上に充填し、コンベアを加温室に通して樹
脂パウダーを焼結させることによって、連続的に得るこ
ともできる。
【0031】本発明に用いる焼結板を構成する樹脂は、
脆形性、二次加工性等を考慮すると熱可塑性樹脂が良
く、中でも経済性や耐薬品性および加工性に優れること
から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂に代表さ
れるポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。ポリ
オレフィン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エ
チレンとプロピレン、ブテン−1,ヘキセン−1,オク
テン−1の様な1種以上のα−オレフィンとの共重合
体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル
酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなど
の共重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエ
チレン、ブテン−1の様な1種以上のα−オレフィンと
の共重合体等が挙げられる。またそれらは、用いる印刷
用インキが水性インキの場合は、スルフォン化、親水性
モノマーのグラフト重合処理、特定の界面活性剤の添
加、親水性の層を設ける等の公知の方法で親水化するこ
ともできる。
【0032】一方、不織布は短繊維あるいはフィラメン
トを、機械的、熱的、化学的な手段で溶接あるいは交絡
させて作ったシートであり、ポリアミド樹脂やポリエス
テル樹脂およびポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が
用いられるが、特に微多孔性フィルムとの積層加工性か
ら焼結板と同様により好適な素材としてはポリオレフィ
ン樹脂が用いられる。
【0033】本発明において、前記の連続気孔を形成す
る支持体と微多孔性フィルムとを積層して多孔質複合シ
ートとするには、予め成形しておいた支持体と微多孔性
フィルムとを熱によって融着させても良いし、前記支持
体を成形工程で冷却する前に、その熱を利用して微多孔
性フィルムを積層しても良い。上記のいずれの方法にお
いても、微多孔性フィルムの孔径や透気度等の微多孔の
特性を阻害しないように、融着温度に配慮する必要があ
り、特に微多孔性フィルムの融点に対し、支持体の融点
が20〜30℃低い素材を選定する方法などが、より好
ましく選択できる。
【0034】本発明において、多孔質複合シートの厚み
は、0.1〜5mmであることが好ましい。厚みが5mmを
超えると、インキが通過しにくくなるため、印刷画像に
おいてベタ部のカスレが生じたり文字の再現性に劣るの
で好ましくない。さらには、印刷ドラムへの巻装時に、
原紙のコシが大きくなりすぎて、巻装できないという問
題が生じて好ましくない。一方、厚みが0.1mm未満で
あると、平滑な表面を有する多孔質樹脂シートを作製す
ることが困難である。
【0035】また、静電気による搬送不良を防止するた
めに、微多孔性フィルムは、表面または内部に帯電防止
剤を備えていてもよい。帯電防止剤としては、各種の界
面活性剤を用いることができる。帯電防止剤は、成形前
の樹脂内部に練り込んで微多孔性フィルム内部に含まれ
るようにしてもよいし、微多孔性フィルムの製膜時に微
多孔性フィルム表面に塗布してもよい。
【0036】その塗布方法は特に限定されず、たとえば
水やアルコールなどの溶剤で希釈して、スプレー、浸
漬、刷毛、ロールコーター等を用いて塗布した後、乾燥
すればよい。微多孔性フィルムの製膜時に塗布する場合
は、微孔成形前・後いずれの段階で行ってもよい。これ
らの含有量または塗布量は特に限定されず、それぞれの
添加目的が十分に達せられると共にインキ通過性を阻害
しない範囲で、任意に設定され得る。
【0037】本発明の感熱孔版原紙の製版方法は、所望
の印刷画像において非画線部に相当する部分の微多孔性
フィルム面側の微細孔を閉塞させてインキ非通過部とす
るネガ製版を行うことを特徴とする。
【0038】孔を閉塞させる方法としては、特に限定さ
れないが、例えば熱溶融による方法あるいは樹脂または
ワックスを転写させる方法、あるいは光硬化性液体を塗
布または含浸させた後、その液体を硬化させて孔を塞ぐ
方法等があるが、本発明においては、熱溶融による方法
が最も好ましい。
【0039】熱溶融による方法としては、サーマルヘッ
ドやレーザー照射等の加熱手段による方法があり、本発
明においてはサーマルヘッドによる熱溶融が特に好まし
く用いられ、これにより、電子データに基づいて製版時
の制御を容易かつ正確に行うことができ、鮮明な印刷画
像を得ることができる。サーマルヘッドとしてはライン
サーマルヘッドでもよいし、シリアルタイプのサーマル
ヘッドでもかまわない。なお、サーマルヘッドの抵抗体
は、主にスパッタリングにて形成された薄膜サーマルヘ
ッドでもよいし、厚膜印刷法にて形成された厚膜サーマ
ルヘッドでもよい。
【0040】図1に、サーマルヘッドにより微多孔性フ
ィルムの熱溶融を行って製版している状態を模式的に示
す。感熱孔版原紙1は、任意の送りローラ(図示せず)
によりサーマルヘッド2とプラテンローラ3とから構成
される画像形成部に送られる。そして、画像信号に基づ
き発熱するサーマルヘッド2の発熱素子4の発熱によ
り、感熱孔版用原紙1の微多孔性フィルム表面(製版
面)が収縮および溶融され、微孔が閉塞された閉塞部
(非画線部)5が設けられる。ここで、感熱孔版原紙1
の微多孔性フィルム表面には、サーマルヘッドへ微多孔
性フィルムの溶融物が融着しないように剥離層6を備え
ている。
【0041】剥離剤としては、シリコーン系、フッ素
系、ワックス系、または活性剤系の1種または2種以上
からなる剥離剤が好ましい。剥離剤の塗布方法は特に限
定されず、たとえば、離型剤を含む成分を任意の溶剤に
分散または溶解させ、ロールコーター、グラビアコータ
ー、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗工し
てから、溶剤を蒸発させればよい。また塗布は、微多孔
性フィルムの製膜時において、微孔形成の前・後いずれ
の段階で行ってもよい。あるいは多孔性樹脂シートとの
一体成形後、微多孔性フィルム表面に塗布してもよい。
形成される剥離層の厚みは、インキ通過性を阻害せずか
つ十分な剥離性が得られるよう、0.001〜0.5g
/m2程度であることが好ましい。
【0042】以上のようにして製版された原紙を用い、
その製版面を印刷用紙と接触させて、非製版面である原
紙の反対側からインキを供給し、印刷圧力をかけること
で、製版面の非製版部の微孔からインキがしみ出し、印
刷用紙に転移して孔版印刷を行うことができる。なお、
非画線部における微孔は、インキの浸出を妨げるため
に、少なくとも製版面において閉塞されていれば十分で
あり、微多孔性フィルムの一方の面から他方の面に貫通
しない気孔となっていればよい。つまり、非製版面にお
いては全面に気孔が残っていてもよい。
【0043】インキの着色剤として顔料を用いると、微
多孔性フィルムの孔径との関係で、目詰まりを起こす恐
れがあるので、着色剤としては染料を使用することが好
ましく、顔料を用いる場合には微分散のものを使用す
る。その他、インキのビヒクル、添加剤などの成分は特
に限定されることはなく、たとえばインクジェットやス
タンプ用の水性あるいは油性インキなどを好ましく用い
ることができる。
【0044】本発明において、インキの粘度は、インキ
通過性やインキの即乾燥性の観点から、0.001〜1
Pa・sの低粘度インキであることが好ましい。インキ
の粘度が小さいほど印刷用紙への浸透性が高くなる。よ
って粘度が1Pa・sを超えると印刷用紙への浸透性が
十分に得られず、即乾燥性を得るのは困難である。また
その場合、印刷物のベタ部に白点が多発したり、細字部
にてカスレが生じて文字の判読ができなくなるので好ま
しくない。なお、一層高いインキ乾燥性が求められる場
合は、好ましくは0.1Pa・s以下の粘度のインキが
用いられる。また、粘度が0.001Pa.s未満のイ
ンキは、インキとして製造するのは非常に困難であった
り、印刷機内にてインキ漏れ等の不具合が顕著に生じ
て、好ましくない。
【0045】また、多孔質複合シートにおいて、微多孔
性フィルム面の表面粗さは、製版時のサーマルヘッド等
の加熱手段との接触性の観点から、Rz(十点平均粗
さ:JIS B 0601)で20μm以下であること
が好ましい。Rzが20μmを超える場合、その凹部に
サーマルヘッド表面が接触できず、微孔を閉塞させるこ
とが困難であり好ましくない。また、表面粗さが大きす
ぎると、印刷用紙と微多孔性フィルムとの間の凹凸が大
きくなって、その隙間に過剰なインキが供給される結
果、インキ転移量が必要以上に多くなる恐れもある。
【0046】なお、上記の微多孔性フィルム面の凹凸の
大きさは、おもに多孔性樹脂シートの表面凹凸状態やそ
の焼成条件、および微多孔性フィルムとの一体成形の条
件に左右される。前者においては、樹脂パウダーによる
焼結成形の場合は、できるだけ小さく均一な樹脂パウダ
ーを使用し、焼結成形時に必要であれば熱プレスを行う
と、表面凹凸が小さい状態を得られるので好ましい。
【0047】さらに本発明において、上述したように製
版された感熱孔版原紙は、多孔質樹脂シートを剥離する
ことなく、そのまま印刷機内にて搬送し、製版面を外側
にして印刷用ドラムあるいはその筐体へ巻装したあと、
印刷を行う。
【0048】印刷用ドラムとしては、特に限定されず、
エッチング加工あるいは電鋳加工されたステンレス等の
金属多孔板による版胴を用いて、その上に本発明の原紙
を巻装させてもよいし、あるいは樹脂焼結による円筒の
上に本発明の原紙を巻装させてもよいし、あるいは上記
の版胴や円筒を使用せず、印刷用ドラムの骨格となるも
の、すなわち印刷ドラムの筐体に本発明の原紙を巻装さ
せて使用してもよい。さらには、印刷用ドラムの形状と
しては、特に円形にこだわる必要はなく、円弧型ドラム
でもよいし、板状のもの等でもよく、適宜選択してよ
い。
【0049】以下に実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。(例え
ば、サーマルヘッドの解像度や種類は、本文記載の解像
度や種類以外でも構わないし、剥離剤等の各材料の種類
や処方も、本文記載の種類や処方以外でも構わない。)
【0050】実施例及び比較例で得た感熱孔版原紙の物
性及び性能についての測定および評価は、下記の方法で
行った。
【0051】(1)微多孔性フィルムの厚み 微小測厚計にて測定した3点の平均を、微多孔性フィル
ムの厚みとする。
【0052】(2)透気度 東洋精機製B型ガーレー式デンソメーターを用い、JI
S P8117に準拠し、標線目盛り0〜100まで要
する時間をストップウオッチで測定した。
【0053】(3)屈曲率 微多孔性フィルムの透気度測定における空気の流れが、
クヌーセンの流れに従うとして、次式より屈曲率を求め
た。 屈曲率τ=(0.01ε・d・ν/3l・Ps・Rga
s)1/2 但し、ε:気孔率(%)、d:孔径(μm)、l:フィ
ルム厚み(μm)、ν:空気の分子速度(m/se
c)、Ps:標準圧力(101325Pa)、Rga
s:空気の透過速度定数(m3/(m2・sec・P
a))
【0054】(4)微多孔性フィルムの平均孔径 水銀圧入法により測定した体積基準のメディアン径を平
均孔径とした。
【0055】(5)製版方法 各原紙のサーマルヘッドとの接触面すなわち微多孔性フ
ィルム面に、ポリエーテル変性シリコーンオイル(TS
F400,GE東芝シリコーン株式会社製)5重量部お
よびメタノール95重量部からなる剥離剤溶液をワイヤ
ーバーで塗布し、乾燥膜厚0.1g/m2の剥離層を形
成した。次に上記の各原紙を、製版用治具(任意のサー
マルヘッドが装着可能であり、さらにサーマルヘッド駆
動条件や製版圧条件等を任意に設定可能なもの)にて、
6〜16ポイントの文字部分とベタ部分とが混在した印
字率25%の印刷原稿をネガポジ反転させて製版し、熱
がかかった部分の孔を塞ぎ非画線部とする方法で、各原
紙の製版を行った。なお、今回のサーマルヘッド製版
は、解像度300dpiの熱転写印字用サーマルヘッド
にて行った。
【0056】(6)孔閉塞性の評価 製版後の各原紙について、孔の閉塞度合いをSEMによ
って観察して、下記の基準で評価した。 ○:孔が完全に塞がれており、使用可能 △:孔が僅かに塞がれていない部分もあるが、実用上使
用可能 ×:孔が塞がれていない部分が多く、熱がかかっていな
い非画線部にピンホール状にインキが印刷用紙に転移す
るため、使用不可能
【0057】(7)製版による原紙の熱変形(寸法変化
率) 製版前後の各原紙の寸法変化率(%)を、次式によって
求めた。 〔(製版前の寸法)―(製版後の寸法)〕×100/(製版
前の寸法) (%) 寸法変化に関する下記の基準により、使用可否の判断を
行った。 ○:寸法変化率が0.2%未満であり、使用可能 △:寸法変化率が0.2〜0.6%未満であり、実用上
使用可能 ×:寸法変化率が0.6%以上であり、使用不可
【0058】(8)原紙の搬送、および巻装時のシワ 製版済みの各原紙を、理想科学工業株式会社製孔版印刷
機(RISOGRAPH GR375)に装着し、原紙
を自動にて搬送し、さらに印刷用ドラムに巻装させて、
原紙へのシワ発生の有無を目視評価した。 ○:シワの発生がなく、使用可能 △:シワの発生が僅かにあるが、実用上使用可能 ×:シワが発生し、使用不可
【0059】(9)印刷方法 粘度3.2×10-3Pa・sの水性染料インキ(エプソ
ンIJプリンタ用インキ:型番ICI−BK05)を、
製版済みの原紙が巻装された印刷ドラム内部に導入し、
孔版印刷を行った。
【0060】(10)ベタ均一性、細字再現性、インキ
乾燥性の評価 上記の印刷方法を用いて得られた印刷物の、ベタ均一
性、細字再現性およびインキ乾燥性について、下記の基
準により使用可否の判断を行った。
【0061】(ベタ均一性:印刷物のベタ部分の目視評
価) ○:インキ通過性が良好で、ベタが均一に出ており使用
可能 △:ベタに若干の濃度ムラやインキ不通過部による白点
があるが、実用上使用可能 ×:インキ通過性が悪く、ベタの濃度ムラや白点が目立
ち使用不可
【0062】(細字再現性:印刷物の文字部分の目視評
価) ○:文字のインキ転移像に滲みもなくシャープであり使
用可能 △:わずかな滲み、またはかすれがあるが、実用上使用
可能 ×:滲み、またはかすれが目立ち、文字として判読出来
ず使用不可
【0063】(インキ乾燥性:印刷物のベタ部分を指で
擦り、擦れ度合いを目視評価) ○:擦れが生じず、印刷物が汚れず使用可能 △:若干の擦れが生じ、印刷物も若干汚れるが、実用上
問題なく使用可能 ×:擦れが生じ、印刷物の汚れが目立ち、使用不可
【0064】(11)原紙の伸びおよび印刷シワの発生
の評価 3000枚連続印刷を行い、原紙の伸びおよび印刷シワ
の発生について、下記の基準により使用可否の判断を行
った。
【0065】(伸び) ○:3000枚印刷後の伸び変化率が0.5%未満であ
り、使用可能 △:3000枚印刷後の伸び変化率が0.5〜1.0%
未満であり、実用上使用可能 ×:3000枚印刷後の伸び変化率が1.0%以上であ
り、使用不可
【0066】(印刷シワ) ○:印刷シワの発生がなく、使用可能 △:印刷シワの発生が僅かにあるが、実用上使用可能 ×:印刷シワが発生し、使用不可
【0067】
【実施例1】粘度平均分子量50万のポリエチレン樹脂
30重量部に可塑剤としてジオクチルフタレート(以下
「DOP」と略す)50重量部およびシリカの無機物を
20重量部、フエノール系酸化防止剤を0.5重量部添
加し、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出し機を用
いて、250℃で混練し、Tダイから押し出して冷却ロ
ールで引き取り、厚さ150μの微多孔性フィルムの原
反シートを得た。得られたシートを塩化メチレンに浸漬
し可塑剤を除去し、その後苛性ソーダに浸漬し、シリカ
を除去した。次いで二軸延伸機を用いて延伸温度125
℃で縦4倍、横2倍に逐次二軸延伸し、熱処理を行って
連通孔の微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フ
ィルムの厚みは30μm、屈曲率は1.8、平均孔径は
0.15μm、透気度は50秒であった。
【0068】次にMIが25g/10分、密度が0.9
15g/ccのポリエチレン粉末、サンテックPAK0
025(旭化成株式会社製)を、金属の平板上に約1mm
の厚さで平らに堆積させ、加熱焼結させた。該焼結体に
前記微多孔性フィルムを乗せ、熱によって微多孔性フィ
ルムと焼結体とを一体化させ、多孔質複合シートを得
た。該多孔質複合シートの透気度は55秒であった。
【0069】以上のようにして得られた原紙を、前述し
たように製版および孔版印刷機の印刷用ドラムに巻装さ
せ、被印刷体としてNPIコート紙(日本製紙株式会社
製)を使用して、30枚連続印刷を行った。前記評価方
法に基づき、孔閉塞性、製版による原紙の熱変形(寸法
変化率)、原紙の搬送および巻装時のシワ、ベタ均一
性、細字再現性、インキ乾燥性、連続印刷時の原紙の伸
びおよび印刷シワの発生を評価した。
【0070】
【実施例2】実施例1において、厚さ300μmの原反
シートを得た以外は、実施例1と同様にして多孔質複合
シートを作製した。得られた微多孔性フィルムの厚みは
60μm、屈曲率は2.8,平均孔径は0.15μm、
透気度は90秒であり、該微多孔性フィルムと焼結板と
を熱により一体化させた多孔質複合シートの透気度は9
5秒であった。次に、実施例1と同様に、各評価を行っ
た。
【0071】
【実施例3】実施例1において、ポリエチレン樹脂の添
加量を20重量部とし、DOPの添加量を55重量部、
シリカの添加量を25重量部に変更した以外は、実施例
1と同様にして多孔質複合シートを作製した。得られた
微多孔性フィルムの厚みは30μm、屈曲率は1.3,
平均孔径は0.2μm透気度は20秒であり、該微多孔
性フィルムと焼結板とを熱により一体化させた多孔質複
合シートの透気度は25秒であった。次に、実施例1と
同様に、各評価を行った。
【0072】
【実施例4】実施例1において、ポリエチレン樹脂の添
加量を35重量部とし、DOPの添加量を45重量部、
シリカの添加量を20重量部にし、かつ横の延伸倍率を
2倍から1.3倍に変更した以外は、実施例1と同様に
して多孔質複合シートを作製した。得られた微多孔性フ
ィルムの厚みは30μ、屈曲率は5.0、平均孔径は
0.15μm、透気度は500秒であり、該微多孔性フ
ィルムと焼結板とを熱により一体化させた多孔質複合シ
ートの透気度は550秒であった。次に実施例1と同様
に各評価を行った。
【0073】
【実施例5】粘度平均分子量が50万のポリプロピレン
樹脂ホモポリマー30重量部に可塑剤としてジブチルフ
タレート(以下、「DBP」と略す)を50重量部、及
びシリカの無機物を20重量部、フエノール系安定剤を
1重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押
出し機を用いて270℃で混練し、Tダイから押し出し
て冷却ロールで引き取り、厚さ150μの原反シートを
得た。得られたシートを塩化メチレンに浸漬して可塑剤
を除去し、その後苛性ソーダに浸漬し、シリカを除去し
た。その後二軸延伸機を用いて延伸温度158℃で縦4
倍横2倍に逐次二軸延伸し、その後熱処理を行って連通
孔の微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィル
ムの厚みは32μm、屈曲率は1.9、平均孔径は0.
15μm、透気度は60秒であった。
【0074】次に、MIが20g/10分のエチレン含
有量6重量部のプロピレンランダム共重合体の粉末を用
いて、実施例1と同様な方法で厚み1mmの焼結板を得
た。その後、熱によって微多孔性フィルムと焼結板とを
一体化させ、透気度65秒の多孔質複合シートを得た。
その後、実施例1と同様に各評価を行った。
【0075】
【実施例6】実施例1において、焼結板のかわりに、密
度が0.915g/ccの低密度ポリエチレンを用い
て、目付量160g/m2の不織布を支持体として用い
た以外は、実施例1と同様にして多孔質複合シートを作
製した。得られた多孔質複合シートの透気度は50秒で
あった。次に、実施例1と同様に、各評価を行った。
【0076】
【実施例7】実施例1において、被印刷体として一般上
質紙(商標:理想用紙厚口S、理想科学工業株式会社
製)を使用した以外は、実施例1と同様に実施した。
【0077】
【比較例1】延伸手段において、フィルム厚みが1.7
μmになるようにあらかじめ単膜製膜して、ポリエステ
ルフィルムを作製した。このフィルムに、天然繊維と合
成繊維(ポリエステル繊維)とを混抄してなる坪量が1
1g/m2の支持体を、塗布量0.8g/m2のポリ酢酸
ビニル樹脂を介して張り合わせた後、フィルムの表面に
シリコーン系離型剤を0.1g/m2塗布して孔版原紙
を作製した。得られた原紙について、サーマルヘッドに
よる製版(ただし、ネガポジ反転はさせずに、印字部に
相当する部分を穿孔させた)を行い、平均孔径60μ
m、透気度1秒の原紙を得た。これを、実施例1と同様
に搬送、巻装、印刷を行い、さらに各評価を行った。
【0078】
【比較例2】実施例1において、微多孔性フィルムを焼
結板と一体化させることなく、そのまま製版した以外
は、実施例1と同様に実施した。
【0079】
【比較例3】実施例1に於いて、厚み800μmの微多
孔性フィルムの原反シートを得た以外は、実施例1と同
様にして多孔質複合シートを得た。得られた微多孔性フ
ィルムの厚みは230μm、屈曲率は3.5、平均孔径
は0.15μm、透気度は650秒であり、該微多孔性
フィルムと焼結板とを熱により一体化させた多孔質複合
シートの透気度は680秒であった。次に、実施例1と
同様に、各評価を行った。
【0080】
【比較例4】実施例1に於いて、ポリエチレン樹脂添加
量を50重量部、DOPの添加量を40重量部、シリカ
の添加量を10重量部に変更した以外は、実施例1と同
様にして多孔質複合シートを得た。得られた微多孔性フ
ィルムの厚みは50μm、屈曲率は6.5、平均孔径は
0.15μm、透気度は650秒であり、該微多孔性フ
ィルムと焼結板とを熱により一体化させた多孔質複合シ
ートの透気度は660秒であった。次に、実施例1と同
様に、各評価を行った。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】以上の結果より、本発明の感熱孔版原紙
およびその製版方法によると、孔閉塞性に優れ、製版時
の原紙の熱変形が抑制された感熱孔版原紙を得ることが
でき、印刷機内部にて搬送性および印刷ドラムへの巻装
性に優れシワの発生がない。さらに本発明の感熱孔版原
紙の印刷方法によると、ベタ均一性、細字再現性および
インキ乾燥性に優れる印刷物が得られ、さらに多枚数連
続印刷時の伸びや印刷シワの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サーマルヘッドにより微多孔性フィルムの熱
溶融を行って製版している状態を示す模式図
【符号の説明】
1 感熱孔版原紙 2 サーマルヘッド 3 プラテンローラ 4 発熱素子 5 閉塞部(非画線部) 6 剥離層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 十河 博 滋賀県守山市小島町515番地 旭化成株式 会社内 (72)発明者 山本 康夫 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 木下 秀之 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 仁尾 務 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 Fターム(参考) 2H084 AA13 AA38 AE05 BB04 CC09 2H113 AA01 AA02 AA03 AA05 BA09 BC10 DA41 EA07 EA12 2H114 AB23 AB25 BA06 BA10 DA41 DA73 DA76 EA01 EA02 EA08 FA01 FA06 GA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷用インキを保持する連続気孔を形成
    する多孔質樹脂シートからなる支持体と、連通孔を有
    し、厚みが1〜100μm、平均孔径が0.01〜10
    μm、透気度が1〜600秒で、連通孔の屈曲率が1.
    1〜6.0 の微多孔性フィルムとが実質一体化された
    多孔質複合シートの微多孔性フィルム面側において、印
    刷画像の非画線部に相当する部分の微細孔を閉塞させて
    インキ非通過部としたことを特徴とする感熱孔版原紙。
  2. 【請求項2】 前記多孔質樹脂シートからなる支持体
    が、焼結成形板あるいは不織布であることを特徴とす
    る、請求項1に記載の感熱孔版原紙。
  3. 【請求項3】 前記微多孔性フィルム面側において、印
    刷画像の非画線部に相当する部分の微細孔を閉塞させて
    インキ非通過部とするネガ製版を行なうことを特徴とす
    る、請求項1又は2に記載の感熱孔版原紙の製版方法。
  4. 【請求項4】 粘度が0.001〜1Pa・sのインキ
    を用いて印刷を行うことを特徴とする、請求項1又は2
    に記載の感熱孔版原紙を用いた印刷方法。
  5. 【請求項5】 前記多孔質樹脂シートを剥離することな
    く印刷機内にて搬送し、印刷用ドラムあるいはその筐体
    へ巻装させて印刷を行うことを特徴とする、請求項1又
    は2に記載の感熱孔版原紙を用いた印刷方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007032477A1 (ja) * 2005-09-16 2007-03-22 Riso Kagaku Corporation 孔版印刷方法

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