JP2003169679A - ヒトβ3受容体発現動物 - Google Patents

ヒトβ3受容体発現動物

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JP2003169679A
JP2003169679A JP2001373326A JP2001373326A JP2003169679A JP 2003169679 A JP2003169679 A JP 2003169679A JP 2001373326 A JP2001373326 A JP 2001373326A JP 2001373326 A JP2001373326 A JP 2001373326A JP 2003169679 A JP2003169679 A JP 2003169679A
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Tomoyuki Yamashita
知幸 山下
Kohei Ogawa
行平 小川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトβ3受容体発現動物の提供。 【解決手段】非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体をコ
ードする遺伝子のプロモーター領域の支配下にヒトβ3
アドレナリン受容体の構造遺伝子を連結したDNA、及び
該DNAを遺伝子導入してなる非ヒト動物又はその一部。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトβ3アドレナ
リン受容体遺伝子導入動物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】βアドレナリン受容体は、神経伝達物質
の一種であるノルアドレナリン、及びクロマフィン細胞
から放出されるアドレナリンにより活性化される受容体
の一種であり、β1、β2、β3に分類される。β1の
刺激は拍動数の増加を引き起こし、β2の刺激は平滑筋
組織の弛緩を誘起し、血圧を低下させ、β3は脂肪細胞
の脂肪分解を促進させ、熱産生を上昇させると考えられ
ている。従って、β3アドレナリン受容体作動薬が、糖
尿病、肥満、高脂血症の予防、治療薬として有用である
ことが示されている(Nature 309, p163-165, 1984、 I
nt. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 20, p191-199, 1
996、 Drug Development Research 32, p69-76, 1994、
J. Clin. Invest. 101, p2387-2393, 1998)。
【0003】β3アドレナリン受容体は主に脂肪細胞に
存在する。薬理学的な解析により、β3アドレナリン受
容体が白色脂肪細胞における脂肪分解(脂肪を脂肪酸と
グリセロールに分解する)、及び褐色脂肪細胞における
熱産生(脂肪酸を熱と二酸化炭素に分解する)に関与し
ていることが示されている(Annu. Rev. Pharmacol.Tox
icol., 37, p421-450, 1997)。発生工学的な手法によ
るβ3アドレナリン受容体の機能解析も行われ、ススリ
ック(Susulic)らはβ3アドレナリン受容体が欠損し
たマウスを作製し、この欠損マウスの体脂肪量が野生型
マウスより多いことを示している(J. Biol. Chem., 27
0, p29483-29492, 1995)。またリヴェリ(Revelli)ら
もβ3アドレナリン受容体欠損マウスを作製し、野生型
マウスよりこの欠損マウスの方が体脂肪量が多いこと、
及び高脂肪食により体脂肪が増加しやすいことを示して
いる(J. Clin. Invest., 100, p1098-1106, 1997)。
これらノックアウトマウスを用いた解析により、β3ア
ドレナリン受容体の機能低下が、体脂肪の蓄積、すなわ
ち肥満症に結びつくことが明らかにされている。
【0004】ところで、β1アドレナリン受容体又はβ
2アドレナリン受容体に作用するβ3作用薬は、患者に
投与すると副作用を生じる可能性が懸念される。従っ
て、上記β3アドレナリン受容体に関する知見から、こ
うした副作用を生じる可能性が懸念されるβ1アドレナ
リン受容体及びβ2アドレナリン受容体には作用せず、
選択的にβ3アドレナリン受容体を活性化する薬剤で肥
満症や糖尿病を治療する試みがなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒトβ3ア
ドレナリン受容体遺伝子導入動物を提供することを目的
とする。具体的には、本発明は、ヒトβ3アドレナリン
受容体の機能の解明、脂質代謝研究、肥満症、糖尿病な
どにおける予防・治療方法の検討、ヒトβ3アドレナリ
ン受容体発現細胞の供給、ヒトβ3アドレナリン受容体
のリガンド結合研究、ヒトβ3アドレナリン受容体の標
的遺伝子制御機構などを解明することを目的として利用
するのに、最適な動物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来より、β3アドレナ
リン受容体への選択性が高い薬剤が望まれているが、げ
っ歯類とヒトのβ3アドレナリン受容体の種差により、
げっ歯類のβ3アドレナリン受容体でスクリーニングし
た薬剤は、ヒトβ3アドレナリン受容体に対する作用が
弱いことが知られている(Horm. Metab. Res., 22, p17
-21, 1989, Br.J. Pharmacol., 110, p929-936, 1993,
Horm. Metab. Res., 28, p394-396, 1996)。この種差
を解決するため、近年、ヒトβ3アドレナリン受容体を
発現する培養細胞を用いたスクリーニングが行われてい
る。しかしながら、リコンビナント細胞によりスクリー
ニングされたヒトβ3アドレナリン受容体アゴニスト
は、種差の問題により、実験動物のβ3アドレナリン受
容体に作用しない可能性も十分に予測される。
【0007】近年、イトウ(Ito)らはススリックらの
β3欠損マウスに、プロモーター領域を含むヒトβ3ア
ドレナリン受容体遺伝子を導入し、ヒトβ3アドレナリ
ン受容体のみを発現するトランスジェニックマウスを作
製している(Diabetes, 47,p1464-1471, 1998)。げっ
歯類のβ3アドレナリン受容体は白色脂肪組織及び褐色
脂肪組織の両方に発現しているが、ヒトではβ3アドレ
ナリン受容体は主に褐色脂肪組織に発現し、白色脂肪組
織にはわずかしか発現していないことが知られている
(Endocrinology, 135, p1025-1031, 1994)。また、It
oらのトランスジェニックマウスは、ヒトのβ3アドレ
ナリン受容体プロモーター領域を利用しているため、受
容体の発現量は褐色脂肪組織で高いものの白色脂肪組織
にはほとんど発現していない。従って、マウス等のげっ
歯類を用いてヒトβ3アドレナリン受容体アゴニストの
薬理作用を試験するためには、ヒトβ3アドレナリン受
容体がマウス脂肪組織での発現パターン、すなわち、白
色脂肪組織及び褐色脂肪組織の両方で発現しているマウ
スを用いることが望ましく、また、そのマウスが肥満、
糖尿病の病態を示していればなお良いことを本発明者ら
は見出した。しかしながら、こうした動物がまだ作製さ
れていないのが現状である。
【0008】また、目的のタンパク質を脂肪細胞特異的
に発現させるトランスジェニックマウスを作製する場
合、ほとんどがaP2 脂肪酸結合タンパク質のプロモータ
ー領域(5.4kb)が用いられている(Endocrinology, 14
2, p348-358, 2001、J. Biol.Chem., 275, p34797-3480
2, 2000、Am. J. Physiol., 270, pE768-775, 1996、Pr
oc. Natle. Acad. Sci. U. S. A., 87, p9590-9594, 19
90)。脂肪組織特異的(白色脂肪組織+褐色脂肪組織)
に目的タンパクを発現させるツールとして、マウスβ3
受容体のプロモーター領域を利用した報告はまだない。
【0009】本発明者らは、上記の課題を解決するため
に鋭意研究した結果、非ヒト動物のβ3アドレナリン受
容体遺伝子のプロモーター領域の支配下にヒトβ3アド
レナリン受容体の構造遺伝子を組み込んだDNAを有する
非ヒト動物の作製に成功し、驚くべきことにそのヒトβ
3アドレナリン受容体の実質的な発現組織が白色脂肪及
び褐色脂肪組織であることを見出した。さらに、非ヒト
動物のβ3アドレナリン受容体遺伝子のプロモーター領
域の支配下にヒトβ3アドレナリン受容体の構造遺伝子
を組み込んだDNAを遺伝子導入した非ヒト動物に肥満、
糖尿病を発症させ、ヒトβ3を発現する肥満、糖尿病モ
デル動物の作製に初めて成功し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は以下の通りである。 (1) 非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体遺伝子の
プロモーター領域の支配下にヒトβ3アドレナリン受容
体をコードする遺伝子を連結したDNA。 (2) マウスのβ3アドレナリン受容体遺伝子のプロ
モーター領域の支配下にヒトβ3アドレナリン受容体を
コードする遺伝子を連結したDNA。 (3) 前記(1)又は(2)のDNAを遺伝子導入してなること
を特徴とする非ヒト動物又はその一部。 (4) 前記(1)又は(2)のDNAを遺伝子導入してなること
を特徴とするマウス又はその一部。 (5) ヒトβ3アドレナリン受容体を白色脂肪組織及
び褐色脂肪組織に実質的に発現させたことを特徴とする
非ヒト動物又はその一部。
【0011】本発明の動物(マウスを含む)又はその一
部は、高脂肪食を与えることにより肥満又は糖尿病のい
ずれかの病態を示すことを特徴とし、また、遺伝的な病
態を示す非ヒト動物との交配により肥満又は糖尿病のい
ずれかの病態を示すことを特徴とする。ここで、上記マ
ウスは、Aマウスとの交配により得られたマウスであ
って肥満又は糖尿病のいずれかの病態を示すものを例示
することができる。
【0012】(6) 前記動物若しくはその一部、又は
前記マウス若しくはその一部に被験物質を適用し、ヒト
β3アドレナリン受容体に関連する疾患に対する前記被
験物質の効果を検定することを特徴とする、β3アドレ
ナリン受容体に関連する疾患の予防又は治療のために用
いられる物質のスクリーニング方法。
【0013】β3アドレナリン受容体に関連する疾患と
しては、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化
症、排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾患、消化器疾患、
内分泌疾患及び癌からなる群から選択される少なくとも
一つが挙げられ、本発明においては、単一の疾患をスク
リーニングすることも、これらの疾患から選択される複
数の疾患をスクリーニングすることもできる。
【0014】(7) 非ヒト動物のβ3アドレナリン受
容体遺伝子のプロモーター領域の支配下に目的タンパク
質をコードする遺伝子を連結したDNAを遺伝子導入して
なることを特徴とする非ヒト動物又はその一部。 (8) 目的タンパク質を実質的に白色脂肪組織及び褐
色脂肪組織に発現させたことを特徴とする非ヒト動物又
はその一部。 (9) 目的タンパク質を実質的に非ヒト動物の白色脂
肪組織及び褐色脂肪組織に発現させることを特徴とす
る、非ヒト動物又はその一部の作製方法。 以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、ヒトβ3アドレナリン
受容体をコードする遺伝子(ヒトβ3-AR遺伝子とも
いう)が、非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体のプロ
モーターの制御下で発現できるように、当該プロモータ
ーの支配下にヒトβ3-AR遺伝子を連結したDNAに関す
るものであり、上記DNAを動物に導入することにより、
ヒトβ3アドレナリン受容体の実質的な発現組織を白色
脂肪組織及び褐色脂肪組織とすることを特徴とするもの
である。
【0016】1.非ヒト哺乳動物のβ3アドレナリン受
容体遺伝子の発現ユニットを持つ発現用組換えDNAの作
製 本発明において、宿主である非ヒト動物細胞を形質転換
するための発現用組換えDNAは、ヒト由来のβ3アドレ
ナリン受容体をコードする遺伝子(構造遺伝子)をプロ
モーターに連結又は挿入することにより得ることができ
る。ここで、プロモーターとは、非ヒト動物のβ3アド
レナリン受容体をコードする遺伝子の転写プロモーター
であって、上記ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子を発
現させることができるように機能するものである。上記
プロモーターとしては、マウス由来のβ3アドレナリン
受容体をコードする遺伝子から得られるプロモーターが
挙げられる。
【0017】本発明においては、ヒトβ3アドレナリン
受容体遺伝子に、予めプロモーターを連結した遺伝子発
現カセットを作製しておいて、これをベクターに組み込
むこともできる。プロモーターを連結する場合は連結及
び挿入の順序は任意であるが、ヒトβ3アドレナリン受
容体遺伝子がプロモーターの支配下に機能させるように
するため、プロモーターの下流に当該遺伝子を連結し、
さらにその下流にターミネーターを連結することが好ま
しい。本発明においては、ヒトβ3アドレナリン受容体
遺伝子、プロモーター及びターミネーターは、正しい転
写方向を有する限り順不同で組み込むことができる。
【0018】ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子及びプ
ロモーターは、公知の遺伝子単離方法により、又は市販
のキットを用いて得ることができる。ヒトβ3アドレナ
リン受容体遺伝子とプロモーターとの連結は、例えばリ
ガーゼを用いた公知の任意の手法により行うことができ
る。
【0019】本発明で対象とし得るβ3アドレナリン受
容体遺伝子のプロモーター領域の由来となる非ヒト動物
としては、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット又はマウ
ス等の非ヒト哺乳動物があげられ、なかでもげっ歯目
(Rodentia)が好ましく、とりわけマウス、特にC57BL/
6系統のマウスがさらに好ましい。また、遺伝子を導入
する対象となる非ヒト動物も、上記と同様の動物を例示
することができる。遺伝子を導入して疾患モデル動物と
して使用する場合は、本発明ではC57BL/6系統のマウス
が最も好ましい。
【0020】β3アドレナリン受容体遺伝子のプロモー
ター領域の由来となる非ヒト動物と、DNAを遺伝子導入
する非ヒト動物とは、異種であってもよいが、好ましく
は同種である。他に鳥類動物として、ニワトリなども本
発明で対象とする非ヒト動物に含まれる。これらの遺伝
子導入する非ヒト動物はノックアウトされていてもされ
ていなくても良い。
【0021】ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子はエモ
リン(Emorine)ら、(Science,245,p1118-1121,198
9)により初めて単離されている。該受容体は7回膜貫
通ドメインを有するG蛋白結合受容体(GPCR)に分類さ
れ、アドレナリンなどの刺激を受けると細胞内のcAMPが
増加する。単離されたヒトβ3アドレナリン受容体DNA
をCHO細胞で発現させると、アドレナリン刺激により細
胞内のcAMPが増加することから、機能面においてもヒト
β3アドレナリン受容体遺伝子であることが確認されて
いる。ヒトβ3アドレナリン受容体は、当初は402アミ
ノ酸のポリペプチドであるとされていたが、グラネマン
(Granneman)ら、(Mol. Pharmacol.,42,p964-970,
1992)の指摘により、今日ではヒトβ3アドレナリン受
容体遺伝子内にはイントロンが存在し、アミノ酸をコー
ドする領域は第1、第2エキソンに含まれ、408アミノ酸
のポリペプチドであることが知られている。上記したヒ
トβ3アドレナリン受容体遺伝子以外にも、レリアス
(Lelias)らによる、ヒトβ3アドレナリン受容体cDNA
(FEBS Letters,324,p127-130,1993)が公知であ
る。
【0022】本発明におけるヒトβ3アドレナリン受容
体遺伝子とは、この遺伝子をCHO細胞に導入して発現さ
せたときに、上記細胞系においてアデニル酸シクラーゼ
の活性化に関与できるような部位を含む遺伝子であっ
て、その活性化が、エモリンらが報告(Science,24
5,p1118-1121,1989)しているように、サルブタモー
ル、BRL37344及び(1)-イソプロテレノールの順で増大
し、かつ、グラネマン(Granneman)らが報告(Mol.
Pharmacol.,42,p964-970,1992)しているように、制
限酵素地図における切断部位(図1)のうち少なくとも
BglII、SacI、BamHI及びPstIの位置が一致する遺伝子を
意味する。この遺伝子には、以上の機能的、構造的な特
徴を有する遺伝子の中で、好ましくは402アミノ酸又は4
08アミノ酸をコードしているものが含まれる。
【0023】また、アミノ酸のコード領域だけをヒトβ
3アドレナリン受容体遺伝子とし、エクソン内の非翻訳
領域やイントロン領域を非ヒト動物由来の配列に置き換
えた、キメラヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子を用い
てもよい。また、ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子の
アミノ酸コード領域の配列は、受容体としての機能が変
わらない限り、制限酵素サイトを作出する、活性部位で
ない部分を削除するなどの変更を行ってもよい。
【0024】さらに、上記ヒトβ3アドレナリン受容体
遺伝子とプロモーターとが連結したDNAの一部と相補的
な配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつ、ヒトβ3アドレナリン受容体を発現すること
ができるDNAも本発明に使用することができる。本発明
においてストリンジェントな条件とは、上記DNA同士を
ハイブリダイズさせたときに、塩濃度が15〜30mMであ
り、温度が60〜68℃であってもハイブリダイズ状態が維
持される条件をいう。
【0025】ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子とプロ
モーターとが連結した本発明のDNAを宿主内に導入する
ために使用されるDNAは、宿主細胞に遺伝的に保持(ゲノ
ム内への組込みを含む)されるものであれば特に限定さ
れず、例えば、プラスミド DNA、バクテリオファージ、
レトロトランスポゾンDNA等が挙げられる。また、ゲノ
ム内への組込み(integration)による宿主への導入のた
めの発現用組換えDNA断片としては、PCR法又は化学合成
により作製されたものを使用することも可能である。
【0026】プラスミド DNAとしては、例えば大腸菌由
来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC18、pUC19、pUC1
18、pUC119などのColE系プラスミド等)、枯草菌由来の
プラスミド(例えばpUB110、pTP5等)などが挙げられ、
ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21
A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)等が挙げら
れる。レトロトランスポゾンとしては、Ty因子などが挙
げられる。
【0027】さらに、所望によりエンハンサーなどのシ
スエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シ
グナル、選択マーカーなどを連結することができる。転
写ターミネーターは、宿主中で活性を持つものであれば
いずれの遺伝子に由来するものでもよい。例えば動物細
胞での発現用としてSV40 poly A、TK(Thymidine kinas
e) poly A等を用いることができる。
【0028】2.遺伝子導入動物 本発明の遺伝子導入動物は、未受精卵、受精卵、精子及
びその始原細胞を含む胚芽細胞などに、所定の遺伝子導
入方法によって目的とするヒトβ3アドレナリン受容体
遺伝子を導入することにより作出される。導入の対象と
なる細胞は、非ヒト動物の発生における胚発生の段階の
細胞が好ましく、単細胞又は受精卵細胞の段階でかつ一
般に8細胞期以前の細胞がさらに好ましい。遺伝子導入
方法は特に限定されるものではなく、例えばリン酸カル
シウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集
法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン
法、DEAE-デキストラン法などが挙げられる。
【0029】遺伝子が導入された細胞(例えば受精卵)
は、偽妊娠状態となった仮親の卵管に移植し、着床させ
る。例えば、仮親から生まれた子のうちトランスジェニ
ック動物を選ぶ。その後正常な動物と交配し、F1を得て
系統を樹立する。系統(トランスジェニック動物)樹立
ができたもののみについて発現パターンの解析、表現型
の解析、などを行なう。
【0030】発現パターンの解析は、F1動物を交配し、
胚と成体における発現パターンを解析する。表現型の解
析は、樹立した動物系統について、ヘテロ及びホモ動物
の表現型を解析する。表現型は、肉眼的観察、解剖によ
る内部臓器の観察、各臓器の組織切片の観察、各臓器の
遺伝子発現の観察、X線撮影による臓器又は骨格系の観
察、行動や記憶の観察、血液検査等を用いて解析するこ
とができる。
【0031】また本発明においては、該遺伝子導入方法
により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とす
る遺伝子を導入し、細胞培養、組織培養などに利用する
こともできる。さらに、これらの細胞を上述の胚芽細胞
と公知の細胞融合法によって融合させることにより遺伝
子導入動物を作出することもできる。
【0032】さらに、このようにして作製された遺伝子
導入動物の一部も、本発明の「ヒトβ3アドレナリン受
容体遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物の生体
の一部」として、本発明の「ヒトβ3アドレナリン受容
体遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物」と同様
な目的に用いることが出来る。「遺伝子導入動物の一
部」としては、例えば、ヒトβ3アドレナリン受容体遺
伝子を組み込んだDNAを有する細胞、組織、臓器などが
挙げられ、あるいはこれらに由来する細胞又は組織を培
養し、必要に応じ、継代したものなども「一部」に含ま
れる。
【0033】本発明のヒトβ3アドレナリン受容体遺伝
子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物は、遺伝的な病
態を示す非ヒト動物(例えば肥満及び/又は糖尿病モデ
ル)との掛け合わせにより、ヒトβ3アドレナリン受容
体遺伝子を組み込んだDNAを有し、且つ、肥満又は糖尿
病のいずれかの病態を示す動物モデルを作製することが
可能である。遺伝的な病態とは、生後一定期間内発症す
ることが遺伝学上本来的に予定されている病態を意味す
る。遺伝的な肥満又は糖尿病モデルとしては、例えば、
ob/obマウス(Zhangら、Nature, 372, p425-432, 199
4)、db/dbマウス(Chenら、Cell, 84, p491-495, 199
6)、Ayマウス(Bultmanら、Cell, 71, p1195-1204, 199
2)、Zucker fattyラット(Chuaら、Science, 271, p994-
996, 1996)などが挙げられる。
【0034】また、本発明のヒトβ3アドレナリン受容
体遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物に高脂肪
食を与え、肥満及び/又は糖尿病の病態を発症する動物
モデルを作製することが可能である。高脂肪食とは、例
えば420kcal/100g以上の熱量で、かつ、全熱量の40%以
上が脂肪由来である動物用飼料を意味する。より具体的
には、ミルクカゼインを24.5%、コーンスターチを2
1.5%、コーンオイルを20.0%、グラニュー糖を10.0%
含み、熱量が421kcal/100gで全熱量の43%が脂肪由来
である動物用飼料、あるいは、コーンスターチを36
%、ミルクカゼインを14%、グラニュー糖を10%含み、
精製ラードを20%含み、熱量が432kcal/100gで全熱量
の42%が脂肪由来である動物用飼料(いずれも日本クレ
ア社製)などが例示される。
【0035】3.ヒトβ3アドレナリン受容体に関連す
る疾病の予防・治療のために用いる物質のスクリーニン
グ 本発明の非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体遺伝子の
プロモーター領域の支配下にヒトβ3アドレナリン受容
体構造遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物又は
該動物の組織は、被験物質を適用することにより、ヒト
β3アドレナリン受容体に関連する疾病の予防・治療の
ために用いる物質(薬物)をスクリーニングするための
実験モデルとして有効である。上記「ヒトβ3アドレナ
リン受容体に関連する疾病」としては、例えば肥満、糖
尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、排尿障害、肝疾
患、心疾患、脳疾患、消化器疾患、内分泌疾患又は癌な
どが挙げられ、1つの疾患も複数の疾患が合併したもの
も含まれる。
【0036】被験物質としては、例えば、合成化合物、
発酵生産物、ペプチド、非ペプチド性化合物、蛋白質な
どが用いられる。これらの被験物質を、ヒトβ3アドレ
ナリン受容体遺伝子を導入した本発明の非ヒト動物に投
与し、又はその生体の一部(例えば細胞、組織、臓器な
ど)に添加ないし接触し、肥満、糖尿病、高血圧、高脂
血症、動脈硬化症、排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾
患、消化器疾患、内分泌疾患又は癌などに対する効果
(例えば改善効果等)を検定することによって、該疾患
の予防・治療用薬物をスクリーニングすることが出来
る。例えば、改善効果が体脂肪の減少効果である場合
は、被検物質は抗肥満作用を有すると判定し、空腹時血
糖の低下作用である場合は、抗糖尿病作用を有すると判
定することが一例として挙げられる。
【0037】スクリーニングの対象となる物質として
は、例えば合成化合物、発酵生産物、ペプチド、非ペプ
チド性化合物、蛋白質などが挙げられる。また、本発明
のスクリーニング方法により肥満、糖尿病、高血圧、高
脂血症、動脈硬化症、排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾
患、消化器疾患、内分泌疾患又は癌などの改善作用を有
すると判定される物質(ヒトβ3アドレナリン受容体ア
ゴニストなど)は、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、
動脈硬化症、排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾患、消化
器疾患、内分泌疾患又は癌などの予防・治療のために有
効であり、これを用い、公知の製剤手段に従って、肥
満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、排尿障
害、肝疾患、心疾患、脳疾患、消化器疾患、内分泌疾患
又は癌などの疾患の予防・治療用医薬を調製することが
可能である。
【0038】本発明の非ヒト動物のβ3アドレナリン受
容体遺伝子のプロモーター領域の支配下にヒトβ3アド
レナリン受容体構造遺伝子を組み込んだDNAを有する非
ヒト動物又は該動物の組織は、ヒトβ3アドレナリン受
容体アゴニストなどの薬理評価に最適な動物を供給する
ものである。本発明の完成以前にヒトβ3アドレナリン
受容体を発現する非哺乳動物を作製した例として、β3
アドレナリン受容体のノックアウトマウスにヒトβ3ア
ドレナリン受容体遺伝子を導入したイトウ(Ito)らの
報告(Diabetes, 47, p1464-1471, 1998)があるが、こ
の遺伝子導入マウスは、ヒトβ3アドレナリン受容体の
プロモーター領域を使用しているため、ヒトβ3は主に
褐色脂肪組織に発現し、白色脂肪組織での発現量は低
い。薬理学的な解析により、β3アドレナリン受容体が
白色脂肪細胞における脂肪分解(脂肪を脂肪酸とグリセ
ロールに分解する)、及び褐色脂肪細胞における熱産生
(脂肪酸を熱と二酸化炭素に分解する)に関与している
ことが示されている(Annu.Rev. Pharmacol. Toxicol.,
37, p421-450, 1997)。イトウらの遺伝子導入マウス
は、白色脂肪組織でのヒトβ3アドレナリン受容体の発
現量が、褐色脂肪組織におけるヒトβ3アドレナリン受
容体の発現量に比べ、著しく低いため、ヒトβ3アドレ
ナリン受容体作動薬を投与しても、マウスβ3アドレナ
リン受容体作動薬の投与により通常のマウスで見られる
脂肪分解、熱産生の上昇作用が十分に認められない恐れ
がある。またイトウらの遺伝子導入マウスは、肥満、糖
尿病などの病態を有しておらず、β3アドレナリン受容
体に関連した疾病(肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、
動脈硬化症、排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾患、消化
器疾患、内分泌疾患又は癌など)の予防、治療用薬物の
評価には適していないものと思われる。一方、本発明の
非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体遺伝子のプロモー
ター領域の支配下にヒトβ3アドレナリン受容体構造遺
伝子を組み込んだDNAを遺伝子導入した非ヒト動物のヒ
トβ3アドレナリン受容体の発現組織は、実質的に白色
脂肪組織及び褐色脂肪組織である。
【0039】従って、ヒトβ3アドレナリン受容体作動
薬の投与でも、通常のマウスにマウスβ3アドレナリン
受容体作動薬を投与した際に見られる脂肪分解又は熱産
生の上昇作用を評価することが出来る。また、前述のご
とく、本発明のヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子を組
み込んだDNAを有する非ヒト動物は、遺伝的な肥満、糖
尿病モデルとの掛け合わせにより、ヒトβ3アドレナリ
ン受容体遺伝子を組み込んだDNAを有し、且つ、肥満、
糖尿病のいずれかの病態を示す動物モデルを作製するこ
とが可能である。また、本発明のヒトβ3アドレナリン
受容体遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物に高
脂肪食を与え、肥満、糖尿病の病態を発症する動物モデ
ルを作製することが可能である。このようなヒトβ3ア
ドレナリン受容体遺伝子を主に白色脂肪組織及び褐色脂
肪組織に発現し、且つ、肥満、糖尿病のいずれかの病態
を示す動物モデルは、β3アドレナリン受容体に関連し
た疾病(肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化
症、排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾患、消化器疾患、
内分泌疾患又は癌など)の予防、治療用薬物の評価に最
適な動物であるといえる。
【0040】本発明において、白色脂肪組織及び褐色脂
肪組織に「実質的に発現する」とは、ある哺乳動物1個
体における、白色脂肪組織及び褐色脂肪組織以外の組織
の目的タンパク質の発現量が全組織の発現量に対しmRNA
レベルで10%以下、好ましくは8%以下、さらに好まし
くは5%以下であることをいう。従って、白色脂肪組織
及び褐色脂肪組織に目的タンパク質が発現している量
が、mRNAレベルで全組織の発現量に対し90%以上であれ
ば、実質的に発現しているものといえる。
【0041】この場合の白色脂肪組織及び褐色脂肪組織
以外の組織とは、白色脂肪組織及び褐色脂肪組織以外の
全組織(例えば脳、肝臓、心臓、骨格筋、腎臓、小腸、
膵臓、肺など)をいう。各組織での目的タンパク質の発
現量の解析方法として、mRNAレベルでの解析を行う場合
は、RT-PCR法、ノーザンブロッティング法又はRNAプロ
テクションアッセイ法などが挙げられる。また、タンパ
ク質レベルでの解析を行う場合は、ELISA法やウェスタ
ンブロッティング法などが挙げられる。
【0042】本発明において、目的タンパク質の発現組
織が、実質的に白色脂肪組織及び褐色脂肪組織である非
ヒト動物又はその一部(該動物の細胞、組織、臓器等)
の作製方法は、マウスβ3アドレナリン受容体のプロモ
ーター領域の支配下に目的タンパク質の遺伝子を連結し
たDNAを、マウス受精卵へマイクロインジェクションす
ることによって行う。マウスβ3アドレナリン受容体の
プロモーター領域としては、例えば、ナーミアス(Nahm
ias)ら、(EMBO J., 10, p3721-3727, 1991)が単離し
たマウスβ3アドレナリン受容体遺伝子の第1エキソン
の上流のBamHIサイトまでの約5kbの領域が挙げられる。
該「目的タンパク質」としては、遺伝子導入する非ヒト
動物と同種又は異種のどちらの哺乳動物由来のものであ
ってもよいが、同種である場合は、β3アドレナリン受
容体以外である。また、主に脂肪組織に発現するタンパ
ク質、主に脂肪組織以外の組織で発現するタンパク質、
あるいは脂肪組織とそれ以外の組織で発現しているタン
パク質であってもよい。さらに、哺乳動物以外の生物由
来であるタンパク質であってもよく、例えば、ホタルル
シフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼなどが挙げられ
る。このように本発明の方法により、ヒトβ3アドレナ
リン受容体以外のタンパク質の発現組織も、実質的に白
色脂肪組織及び褐色脂肪組織とすることができる。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言う
までもない。 実施例1 ヒトβ3アドレナリン受容体(ヒトβ3−A
Rという)発現ユニットを持つプラスミドの作製 1)pMHB3の構築 マウスβ3アドレナリン受容体(マウスβ3−ARとい
う)遺伝子は、ナーミアス(Nahmias)ら、(EMBO J., 1
0, p3721-3727, 1991)記載の方法により調製した。ヒ
トβ3−AR遺伝子は、エモリン(Emorine)ら、(Sci
ence, 245, p1118-1121, 1989)に記載の方法により調
製した。図2にヒトβ3−AR遺伝子、マウスβ3−A
R遺伝子及び作製したヒトβ3−AR発現ユニットを持
つトランスジーンの構造を示した。マウスβ3−ARプ
ロモーターの下流にヒトβ3−AR構造遺伝子のエクソ
ン1、イントロン1及びエクソン2を有するpMHB3(図
2、c)は以下の方法により作製した。プラスミドpUC1
19(宝酒造株式会社製)を制限酵素BbeIで切断し、生じ
た3’-突出末端をタカラブランティングキット(宝酒造
株式会社製)で処理して平滑末端とした。これをライゲ
ーションキット(宝酒造株式会社製)でセルフライゲー
ションし、BbeIで切断されないΔBbeI-pUC119を得た。
センス合成DNA(5’-CTAGAGGCGCCACACGAGATGGCTCCGTGGC
CTCACGAGAACAGCTCTCTTGCCCCATGG-3’ :配列番号1)、
及びアンチセンス合成DNA(5’-TCGACCATGGGGCAAGAGAGC
TGTTCTCGTGAGGCCACGGAGCCATCTCGTGTGGCGCCT-3’ :配
列番号2)をアニーリングし、制限酵素XbaI及びSalIで
切断したΔBbeI-pUC119とライゲーションキット(宝酒
造株式会社製)を用いてライゲーションさせ、pMH-1を
得た。この遺伝子コンストラクトの塩基配列を解析した
ところ、合成DNA部分がΔBbeI-pUC119のXbaI-SalI断片
内に正方向に結合されていることが確認され、且つ、検
出しうる塩基配列の転位を含まなかった。
【0044】次に、上記マウスβ3−AR遺伝子を制限
酵素BamHI及びBbeIで切断し、マウスβ3−ARプロモ
ーター領域を含む5kbpの断片を得た。これをBamHI及びB
beIで切断したpMH-1にクローニングして、pMH-2を得
た。この遺伝子コンストラクトの塩基配列を解析したと
ころ、合成DNAとマウスプロモーター領域との連結部分
に検出しうる塩基配列の転位を含まなかった。さらに、
pMH-2を制限酵素NcoIで部分分解し、アガロースゲル電
気泳動後の約8kbpのバンドからジーンクリーン(Bio 10
1社製)による精製を行い、1ヶ所でのみ切断されてい
るpMH-2遺伝子を調製した。これに上記ヒトβ3−AR
遺伝子のNcoI切断によって得られた構造遺伝子領域を含
む2.4kbpの断片をクローニングし、pMHB3を構築した。
この遺伝子コンストラクトを多重制限酵素切断によって
検査したところ、検出しうる転位を認めなかった。この
プラスミドの構築図を図3に示す。
【0045】2)pMHEX1の構築 マウスβ3−ARプロモーターの下流にヒトβ3−AR
構造遺伝子のエクソン1を有するpMHEX1(図2、d)は
以下の方法により作製した。前述のpMHB3を制限酵素Sph
Iで部分分解し、アガロースゲル電気泳動後のバンドか
らジーンクリーン(Bio 101社製)による精製を行い9.3
kbの断片を得た。これをライゲーションキット(宝酒造
株式会社製)でセルフライゲーションし、pMHEX1を構築
した。この遺伝子コンストラクトを多重制限酵素切断に
よって検査したところ、検出しうる転位を認めなかっ
た。このプラスミドの構築図を図4に示す。
【0046】3) pGTB3の構築 コーディング領域のみをヒトβ3−AR遺伝子に置換し
た、マウス−ヒトキメラβ3−AR遺伝子を有するプラ
スミドpGTB3(図2、e)は、図2、fに示すように4つ
の部分をそれぞれ調製し、連結することで作製した。前
述のΔBbeI-pUC119を制限酵素AatIIで切断し、生じた
3’-突出末端をタカラブランティングキット(宝酒造株
式会社製)で処理して平滑末端とした。これをライゲー
ションキット(宝酒造株式会社製)でセルフライゲーシ
ョンし、AatIIで切断されないΔBbeI,ΔAatII-pUC119を
得た。次に、フラグメントAを調製するために、前述の
ヒトβ3−AR遺伝子を鋳型にして、20マーのプライマ
ー1(5’-CACTCTCTGCTGGTTGCCCT-3’ ;配列番号3)
及び60マーのプライマー2(5’-GACGTCCCCACCCAGAGACT
CCGGTCCCCCGCTCGTGTCCCCTACCCGTCGAGCCGTTGG-3’ ;配
列番号4)を用いて、ポリメラーゼチェインリアクショ
ン(PCR)を行った。プライマー2のヒトβ3−ARコ
ーディング配列の3’-側には、マウスβ3−AR第1イ
ントロンのAatIIサイトまでの配列を付与した。
【0047】PCRはEX-Taqポリメラーゼ(宝酒造株式会
社製)を用いて行った。PCR産物をアガロースゲル電気
泳動にて精製し、pT7Blue T-ベクター(Novagen社製)
にサブクローニングし、pMHAを得た。この遺伝子コンス
トラクトの塩基配列を解析したところ、検出しうる塩基
配列の転位を含まなかった。
【0048】次に、フラグメントBを調製するために、
前述のマウスβ3−AR遺伝子を鋳型にして、19マーの
プライマー3(5’-GCGCAGTCACCTTCCCAGC-3’ ;配列番
号5)及び26マーのプライマー4(5’-GCTAGCCCTTTGAG
AGAGAGCGGGAC-3’ ;配列番号6)を用いて、PCRを行
った。プライマー4のマウスβ3第1イントロンの配列
の3'-側には、ヒトβ3−AR第2エキソンの一部の配
列を付与した。この際、塩基配列を改変し、アミノ酸配
列に影響せずに新たに、ヒトβ3−AR第2エキソン内
にNheIサイトを付与した(GCTTCT Ala403Ser404
GCTAGC Ala403Ser404)。PCRはKODポリメラーゼ(東洋
紡績株式会社製)を用いて行った。PCR産物をアガロー
スゲル電気泳動にて精製し、pT7Blue T-ベクター(Novag
en社製)にサブクローニングし、pMHBを得た。この遺伝
子コンストラクトの塩基配列を解析したところ、検出し
うる塩基配列の転位を含まなかった。
【0049】次に、フラグメントCを調製するために、
前述のマウスβ3−AR遺伝子を鋳型にして、40マーの
プライマー5(5’-GCTAGCTGGGGAGTTTCTTAGAGGGCCGTGAAG
ATCCAGC-3’;配列番号7)及び19マーのプライマー6
(5’-AAAGGGAGGGAGGGGTGCT-3’;配列番号8)を用い
て、PCRを行った。プライマー7の5‘−側にはヒトβ
3第2エキソンの一部の配列を付与した。この際、塩基
配列を改変し、アミノ酸配列に影響せずに新たに、ヒト
β3第2エキソン内にNheIサイトを付与した(GCTTCT
Ala403Ser404 → GCTAGC Ala403Ser404)。PCRはKOD
ポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製)を用いて行った。
PCR産物をアガロースゲル電気泳動にて精製し、ΔBbeI,
ΔAatII-pUC119にサブクローニングし、pGT-1を得た。
この遺伝子コンストラクトの塩基配列を解析したとこ
ろ、検出しうる塩基配列の転位を含まなかった。次に、
pMHBを制限酵素XbaI及びNheIで切断し、580bpの断片を
得た。これをXbaI及びNheIで切断したpGT-1にクローニ
ングして、pGT-2を得た。この遺伝子コンストラクトを
多重制限酵素切断で検査したところ、検出しうる転位を
含まなかった。さらに、pMHAを制限酵素EcoRI及びAatII
で切断し、350bpの断片を得た。これをEcoRI及びAatII
で切断したpGT-2にクローニングして、pGT-3を得た。こ
の遺伝子コンストラクトを多重制限酵素切断で検査した
ところ、検出しうる転位を含まなかった。pGT-3を制限
酵素Pst1及びSmaIで切断し、1.7kbpの断片を得た。これ
を、PstI及びSmaIで切断し、ベクター部分をアガロース
ゲル電気泳動で精製した、上記pMHB3にクローニング
し、pGTB3を得た。この遺伝子コンストラクトを多重制
限酵素切断によって検査したところ、検出しうる転位を
認めなかった。このプラスミドの構築図を図5に示す。
【0050】実施例2 ヒトβ3−AR遺伝子が導入さ
れたトランスジェニックマウスの作製 pMHB3、pMHEX1及びpGTB3を制限酵素EcoRI及びSalIで切
断し、アガロースゲル電気泳動によりマウスβ3−AR
制御遺伝子の下流にヒトβ3−AR構造遺伝子が結合し
たトランスジーン(MHB3、MHEX1及びGTB3)を調製し
た。各トランスジーンは、30 ng/μlの濃度でトリス-ED
TA緩衝液に溶解した。C57BL/6系雌マウスに卵胞刺激ホ
ルモン(5IU/固体)を腹腔内に注射し、48時間後に黄体
形成ホルモン(5IU/固体)を腹腔内注射して過排卵状態
にした後、同系雄マウスにメイティングした。膣栓確認
した固体から受精卵を集め、前記した各トランスジーン
溶液を、雄性前核にそれぞれ微量注入した。ゴードン
(Gordon)ら、(Proc. Natle.Acad. Sci. U. S. A.., 7
7, p7380-7384 , 1980)に記載された方法に従って、偽
妊娠のICR系雌マウスの卵管に移植し、着床させた。相
沢ら、(ジーンターゲッティング−ES細胞を用いた変異
マウスの作製−、羊土社、1995)に記載された方法によ
り、離乳した出産仔の尾の約1cm断片からDNAを抽出し
た。採取したDNAを用いて、ポリメラーゼチェインリア
クション(PCR)法により試験した。すなわち、ヒトβ
3−AR遺伝子中の21マーのプライマー7(5’-GGCTCCG
TGGCCTCACGAGAA-3’: 配列番号9)、及び25マーのプ
ライマー8(5’-CCCAACGGCCAGTGGCCAGTCAGCG-3’: 配
列番号10)を用いてPCRを行った。尾DNA調製物1μlを用
いて、まず95℃、7分間1回、続いて95℃1分→68℃1
分→72℃2分のサイクルを30回反復し、その後72℃7分
反応した。反応物を2.0%アガロースゲルに通して電気
泳動し、315bpの大きさのDNAバンドが見られるマウスを
選別した。59個体の産仔マウスを解析した結果、PCR陽
性個体は8個体(A〜G:雄性、Z:雌性)であった。こ
れらのマウスはC57BL/6jマウス(日本クレア)と交配さ
せ、系統化を行った。
【0051】実施例3 ヒトβ3−AR遺伝子導入マウ
スの遺伝子解析 前述の尾DNA調製物を、導入したヒトβ3−AR遺伝子
を1ヶ所で切断する制限酵素BglIIで完全分解し、1.0%
アガロースゲルを通して電気泳動を行い、かつサザン
(Southern)、(J. Mol. Biol., 98, p503-517, 197
5)に記載された方法でナイロンフイルターへ移した。
ヒトβ3遺伝子配列を含む315bpのジコキシゲニン(DIG)
−DNAプローブは前述のヒトβ3遺伝子中の21マーのプ
ライマー7(5’-GGCTCCGTGGCCTCACGAGAA-3’: 配列番
号9)、25マーのプライマー8(5’-CCCAACGGCCAGTGGCC
AGTCAGCG-3’: 配列番号10)、及びpMHB3を鋳型とし
て用いて、DIG-PCRラベリングキット(ロッシュ・ダイ
アグノスティック株式会社製)を用いて調製した。上記
のフィルターに対し、DIG-DNAプローブで42℃で一晩ハ
イブリダイゼーションを行い、その後2xSSC、0.1%SDS
にて室温で2回洗浄し、次に0.1xSSC、0.1%SDSにて68℃
で2回洗浄した。このサザンハイブリダイゼーションの
結果、マウスβ3−ARに由来する3.5kbpのバンド以外
に、ヒトβ3−AR遺伝子に起因するバンドを検出し
た。遺伝子解析の結果を図6に示す。
【0052】実施例4 ヒトβ3−AR発現組織の解析 遺伝子導入マウス及び野生型C57BL/6マウスはいずれも
雄性マウスを用い、副睾丸周囲の白色脂肪組織、肩甲骨
間の褐色脂肪組織、脳、心臓、下肢部の骨格筋、腎臓、
小腸、膵臓、及び肺を摘出した。摘出組織から、Isogen
(日本ジーン社製)を用いて全RNAを抽出した。それぞ
れの組織の全RNA 1μgを用いて、RNA PCRKit(AMV) Ver.
2(宝酒造株式会社製)により、cDNAを合成した。さら
に1μlのcDNA溶液を鋳型として、ヒトβ3−AR遺伝子
中の21マーのプライマー7(5’-GGCTCCGTGGCCTCACAGAAA
-3’: 配列番号9)、及び25マーのプライマー8(5’-CCC
AACGGCCAGTGGCCAGTCAGCG-3’: 配列番号10)を用いて
PCRを行った。反応は、まず95℃、7分間1回、続いて95
℃1分→68℃1分→72℃2分のサイクルを30回反復し、
その後72℃7分反応した。反応物を2.0%アガロースゲ
ルに通して電気泳動し、315bpの大きさのDNAバンドが見
られる組織をヒトβ3−AR発現組織とした。マウスβ
3−ARの発現組織を解析する場合は、上記のcDNA溶液
1μlを鋳型として、マウスβ3−AR遺伝子中の21マー
のプライマー9(5’-GGCTCCGTGGCCTCACGAGAA-3’: 配列
番号11)、及び21マーのプライマー10(5’-TGGCCCCTGGTG
GCATTACGA-3’: 配列番号12)を用いてPCRを行った。
反応は、まず95℃、7分間1回、続いて95℃1分→68℃
1分→72℃2分のサイクルを30回反復し、その後72℃7
分反応した。反応物を2.0%アガロースゲルに通して電
気泳動し、275bpの大きさのDNAバンドが見られる組織を
マウスβ3−AR発現組織とした。解析の結果、野生型
C57BL/6マウスでは、解析を行ったすべての組織でヒト
β3−ARの発現は検出されず、マウスβ3−ARの発
現が、主に白色脂肪組織及び褐色脂肪組織で検出され
た。この結果は、(Nahmias)ら、(EMBO J., 10, p3721-
3727, 1991)記載の結果と同様であった。一方、ヒトβ
3−AR遺伝子が導入されたトランスジェニックマウス
では、ヒトβ3−AR及びマウスβ3−ARの発現が主
に白色脂肪組織及び褐色脂肪組織で検出された。これら
の結果から、作製したトランスジェニックマウスにおけ
るヒトβ3−AR発現組織は、マウスβ3−ARの発現
組織と同様、白色脂肪組織及び褐色脂肪組織であること
が示された。ヒトβ3−AR発現組織の解析結果の一例
を図7に示す。
【0053】同様の解析を他の系統でも行い、導入した
トランスジーンに関係なく、ヒトβ3−ARが主に白色
脂肪組織及び褐色脂肪組織で発現していることが示され
た。インターロイキン4(Huralら、J. Immunol., 165,
p3239-3249, 2000)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)
受容体(Kappelら、Blood, 93, p4284-4292, 1999)及
びコレステロール7α−ヒドロキシラーゼ(Antesら、
J. Biol. Chem., 275,p26649-26660, 2000)などでは発
現組織特異性を決定するエンハンサーが、プロモーター
領域では無くイントロンに有することが知られている。
しかしながら、マウスβ3−AR遺伝子の脂肪組織特異
性を決定するエンハンサー領域は第1イントロンではな
く、3種類のトランスジーンに共通するマウスβ3−A
Rプロモーター領域(5.0kbp)に存在することが示唆さ
れた。従って、マウスβ3−ARプロモーター領域は、
目的タンパク質を脂肪組織特異的に発現させる際の有効
なツールになると思われた。
【0054】実施例5 1)遺伝的肥満、糖尿病マウス(Aマウス)との掛け
合わせによるモデル動物の作製 雄性のF系統マウスを雌性のAマウス(C57BL/6j(Ay/
a)(ジャクソン研究所))と交配させ、F1マウスを
得た。離乳後、毛色が黒色のものは正常マウス、黄色の
ものはAマウスとして判別した。また、PCRは、実施
例2に記載した方法により試験した。すなわち、ヒトβ
3−AR遺伝子中の21マーのプライマー7(5’-GGCTCCG
TGGCCTCACGAGAA-3’: 配列番号9)、及び25マーのプ
ライマー8(5’-CCCAACGGCCAGTGGCCAGTCAGCG-3’: 配
列番号10)を用いてPCRを行った。尾DNA調製物1μlを用
いて、まず95℃、7分間1回、続いて95℃1分→68℃1
分→72℃2分のサイクルを30回反復し、その後72℃7分
反応した。反応物を2.0%アガロースゲルに通して電気
泳動し、315bpの大きさのDNAバンドが見られるマウスを
選別した。毛色及びPCR解析により、ヒトβ3−AR遺
伝子を有する正常マウスC57BL6j(hβ3/-、a/a)、及び、
ヒトβ3−AR遺伝子を有するAマウスC57BL/6j(hβ
3/-、Ay/a)を得た。ヒトβ3−AR遺伝子をホモ接合体
として有するマウスを得るために、上記F1マウスC57B
L6j(hβ3/-、a/a)とC57BL/6j(hβ3/-、Ay/a)を交配さ
せ、F2マウスを得た。上記と同様にPCRによる遺伝子
解析を行い、ヒトβ3−AR遺伝子を有するマウスを選
択した。さらに、ヒトβ3−AR遺伝子を有するマウス
の尾DNA調製物を、トランスジーン内に切断サイトが存
在する制限酵素で完全分解し、1.0%アガロースゲルを
通して電気泳動を行い、かつサザン(Southern)、(J.
Mol. Biol., 98, p503-517, 1975)に記載された方法
でナイロンフイルターへ移した。ヒトβ3−AR遺伝子
配列を含む315bpのジコキシゲニン(DIG)-DNAプローブは
ヒトβ3−AR遺伝子中の21マーのプライマー7(5’-G
GCTCCGTGGCCTCACGAGAA-3’: 配列番号9)、25マーの
プライマー8(5’-CCCAACGGCCAGTGGCCAGTCAGCG-3’:
配列番号10)、及びpMHB3を鋳型として用いて、DIG-PCR
ラベリングキット(ロッシュ・ダイアグノスティック株
式会社製)を用いて調製した。上記のフィルターに対
し、DIG-DNAプローブで42℃で一晩ハイブリダイゼーシ
ョンを行い、その後2xSSC、0.1%SDSにて室温で2回洗浄
し、次に0.1xSSC、0.1%SDSにて68℃で2回洗浄した。こ
のサザンハイブリダイゼーションによりマウスβ3−A
R遺伝子由来のバンドとヒトβ3−AR遺伝子由来のバ
ンドが観察された。ホモ接合体の判別は、これらのバン
ドの濃さを、モデルGS-700イメージングデンシトメータ
ー(バイオラッド社製)により解析して行った。F1マ
ウス(ヘテロ接合体)より、(ヒトβ3−ARのバンド
の濃さ/マウスβ3−ARのバンドの濃さ)の値が大き
いマウスをホモ接合体と判別した。ヒトβ3−AR遺伝
子をホモ接合体として有するマウスの判別結果の典型例
を図8に示す。
【0055】2)高脂肪食による、肥満、糖尿病モデル
動物の作製 食餌による肥満、糖尿病モデルを作製するため、前述の
ヒトβ3−AR遺伝子をヘテロ接合体に有する正常マウ
スC57BL/6j(hβ3/-、a/a)に長期間、高脂肪食(日本ク
レア社製)を与えた。コントロールの標準食として、CR
F-1(チャールズリヴァー日本社製)を用いた。雄性の
ヒトβ3−AR遺伝子をヘテロ接合体に有する正常マウ
スC57BL/6j(hβ3/-、a/a)8匹を一つのケージで飼育
し、高脂肪食を与えた(グループ1)。雄性の野生型マ
ウスC57BL6/j(-/-、a/a)8匹を一つのケージで飼育し、
高脂肪食を与えた(グループ2)。雄性のヒトβ3−A
R遺伝子をヘテロ接合体に有する正常マウスC57BL/6j(h
β3/-、a/a)7匹を一つのケージで飼育し、標準食を与
えた(グループ3)。そして雄性の野生型マウスC57BL6
/j(-/-、a/a)7匹を一つのケージで飼育し、標準食を与
えた(グループ4)。4グループとも6週齢から15週齢
までの9週間、自由に摂水、摂餌できる条件下で飼育
し、週1回、それぞれのマウスの体重を測定した。その
結果、ヒトβ3−AR遺伝子をヘテロ接合体に有する正
常マウスC57BL/6j(hβ3/-、a/a)の体重変化は、野生型
マウスC57BL6/j(-/-、a/a)のそれとほとんど変わり無
く、ヒトβ3−AR遺伝子の導入が体重に影響を与えて
はいないことが判明した。また、高脂肪食の摂取によ
り、ヒトβ3−AR遺伝子をヘテロ接合体に有する正常
マウスC57BL/6j(hβ3/-、a/a)の、食餌由来の肥満、糖
尿病モデルが作製できることが判明した。体重変化の結
果を図9に示す。
【0056】
【発明の効果】本発明により、ヒトβ3アドレナリン受
容体遺伝子導入動物が提供される。本発明の動物は、食
餌由来の肥満又は糖尿病のモデル動物として有用であ
る。
【0057】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> ASAHI KASEI <120> A transgenic animal expressing human beta 3 adrenaline receptor <130> X13-1393 <140> <141> <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 1 ctagaggcgc cacacgagat ggctccgtgg cctcacgaga acagctctct tgccccatgg 60 <210> 2 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 2 tcgaccatgg ggcaagagag ctgttctcgt gaggccacgg agccatctcg tgtggcgcct 60 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 3 cactctctgc tggttgccct 20 <210> 4 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 4 gacgtcccca cccagagact ccggtccccc gctcgtgtcc cctacccgtc gagccgttgg 60 <210> 5 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 5 gcgcagtcac cttcccagc 19 <210> 6 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 6 gctagccctt tgagagagag cgggac 26 <210> 7 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 7 gctagctggg gagtttctta gagggccgtg aagatccagc 40 <210> 8 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 8 aaagggaggg aggggtgct 19 <210> 9 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 9 ggctccgtgg cctcacgaga a 21 <210> 10 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 10 cccaacggcc agtggccagt cagcg 25 <210> 11 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 11 ggctccgtgg cctcacgaga a 21 <210> 12 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 12 tggcccctgg tggcattacg a 21
【0058】
【配列表フリーテキスト】配列番号1:合成DNA 配列番号2:合成DNA 配列番号3:合成DNA 配列番号4:合成DNA 配列番号5:合成DNA 配列番号6:合成DNA 配列番号7:合成DNA 配列番号8:合成DNA 配列番号9:合成DNA 配列番号10:合成DNA 配列番号11:合成DNA 配列番号12:合成DNA
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子の制限酵素
地図。TはTaqI、BgはBglII、EはEcoNI、SはSacII、BはB
amHI、PはPstIを示す。ATGは開始コドン、TAGは終止コ
ドンを示す。
【図2】ヒト及びマウスβ3アドレナリン受容体遺伝子
の構造、作製したトランスジーン(MHB3、MHEX1、GTB
3)の構造、並びにGTB3作製方法の概略図。 a) ヒトβ3アドレナリン受容体遺伝子の構造 b) マウスβ3アドレナリン受容体の構造 c) トランスジーンMHB3の構造 d) トランスジーンMHEX1の構造 e) トランスジーンGTB3の構造 f) GTB3作製方法の概略
【図3】トランスジーンMHB3の構築図。
【図4】トランスジーンMHEX1の構築図。
【図5】トランスジーンGTB3の構築図。
【図6】ジコキシゲニン標識した315bpのDNAプローブに
よるトランスジェニック(Tg)マウスのサザン解析の結果
を示す図(各サンプル10μg;アルカリ・ブロッティン
グ)。
【図7】トランスジェニックマウスF系統の各組織にお
けるマウスβ3−ARmRNA及びヒトβ3-AR mRNA発現
の解析結果を示す図(RT-PCR;アガロースゲル電気泳
動)。 マウスプライマー;マウスβ3−AR遺伝子を特異的に
増幅 ヒトプライマー;ヒトβ3−AR遺伝子を特異的に増幅
【図8】ジコキシゲニン標識した315bpのDNAプローブに
よるトランスジェニックマウスF系統のホモ接合体の選
択結果を示す図(各サンプル10μg;アルカリ・ブロッ
ティング)。
【図9】高脂肪食によるトランスジェニックマウスF系
統(ヘテロ接合体)の肥満モデルの作製結果を示す図。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA01 BA63 CA04 DA02 EA04 FA02 GA11 GA18 HA08 HA09 4B065 AA90X AA93Y AB01 CA24 CA44

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体遺
    伝子のプロモーター領域の支配下にヒトβ3アドレナリ
    ン受容体をコードする遺伝子を連結したDNA。
  2. 【請求項2】 マウスのβ3アドレナリン受容体遺伝子
    のプロモーター領域の支配下にヒトβ3アドレナリン受
    容体をコードする遺伝子を連結したDNA。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のDNAを遺伝子導
    入してなることを特徴とする非ヒト動物又はその一部。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載のDNAを遺伝子導
    入してなることを特徴とするマウス又はその一部。
  5. 【請求項5】 ヒトβ3アドレナリン受容体を白色脂肪
    組織及び褐色脂肪組織に実質的に発現させたことを特徴
    とする非ヒト動物又はその一部。
  6. 【請求項6】 高脂肪食を与えることにより肥満又は糖
    尿病のいずれかの病態を示すことを特徴とする、請求項
    3又は5に記載の非ヒト動物又はその一部。
  7. 【請求項7】 高脂肪食を与えることにより肥満又は糖
    尿病のいずれかの病態を示すことを特徴とする請求項4
    に記載のマウス又はその一部。
  8. 【請求項8】 遺伝的な病態を示す非ヒト動物との交配
    により肥満又は糖尿病のいずれかの病態を示すことを特
    徴とする請求項3、5又は6に記載の非ヒト動物又はそ
    の一部。
  9. 【請求項9】 遺伝的な病態を示すマウスとの交配によ
    り肥満又は糖尿病のいずれかの病態を示すことを特徴と
    する請求項4又は7に記載のマウス又はその一部。
  10. 【請求項10】 マウスが、Aマウスとの交配により
    得られたものであって肥満又は糖尿病のいずれかの病態
    を示すものである請求項4に記載のマウス又はその一
    部。
  11. 【請求項11】 請求項3、5、6若しくは8に記載の
    動物若しくはその一部、又は請求項4、7、9若しくは
    10に記載のマウス若しくはその一部に被験物質を適用
    し、ヒトβ3アドレナリン受容体に関連する疾患に対す
    る前記被験物質の効果を検定することを特徴とする、β
    3アドレナリン受容体に関連する疾患の予防又は治療の
    ために用いられる物質のスクリーニング方法。
  12. 【請求項12】 β3アドレナリン受容体に関連する疾
    患が、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、
    排尿障害、肝疾患、心疾患、脳疾患、消化器疾患、内分
    泌疾患及び癌からなる群から選択される少なくとも一つ
    である請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 非ヒト動物のβ3アドレナリン受容体
    遺伝子のプロモーター領域の支配下に目的タンパク質を
    コードする遺伝子を連結したDNAを遺伝子導入してなる
    ことを特徴とする非ヒト動物又はその一部。
  14. 【請求項14】 目的タンパク質を実質的に白色脂肪組
    織及び褐色脂肪組織に発現させたことを特徴とする非ヒ
    ト動物又はその一部。
  15. 【請求項15】 目的タンパク質を実質的に非ヒト動物
    の白色脂肪組織及び褐色脂肪組織に発現させることを特
    徴とする、非ヒト動物又はその一部の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111518837A (zh) * 2020-04-02 2020-08-11 广州欣意生物技术有限公司 一种敲除adrb3基因的小鼠及其应用

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