JP2003167205A - 複合光学素子 - Google Patents

複合光学素子

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JP2003167205A
JP2003167205A JP2001368367A JP2001368367A JP2003167205A JP 2003167205 A JP2003167205 A JP 2003167205A JP 2001368367 A JP2001368367 A JP 2001368367A JP 2001368367 A JP2001368367 A JP 2001368367A JP 2003167205 A JP2003167205 A JP 2003167205A
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prism
elastic
light
elastic optical
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JP2001368367A
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English (en)
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Kenichi Kusaka
健一 日下
Kazuhiro Hayashi
一博 林
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で光路切り替えの際の移動スペ
ースを小さくする。 【解決手段】 弾性光学素子とプリズムとにて構成
し、弾性光学素子とプリズムとを密着または分離させて
光路を切り替える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顕微鏡やカメラ等
の光学機器において用いられる光路分割素子、あるいは
光線拡散効果を制御する素子として利用し得る複合光学
素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】顕微鏡の鏡筒または倒立顕微鏡の本体に
は、一つの光路を二つの光路に切り替える光路切り替え
プリズムが用いられている。例えば、倒立顕微鏡にて用
いられるこの光路切り替えプリズムは、図8に示すよう
なもので、透過プリズム1と全反射プリズム2とを用
い、これらが移動可能になっている。例えば、図8
(A)のように透過プリズム1を光路中に配置した場合
は、光束は透過プリズム1内を直進し、第1の光路に進
む。また図8(B)のように透過プリズム1を光路外に
移動させた後、全反射プリズム2を光路内に配置する。
この場合、光束は全反射プリズム2により反射されるの
で、光束は第1の光路とは別の第2の光路へ向かう。こ
のように、2つの異なるプリズムを切り替えることによ
り、光路を切り替えることができる。
【0003】また、図9に示す顕微鏡の照明光学系にお
いては、表面に微細な凹凸が形成されている光学素子、
いわゆる光拡散板が用いられている。光拡散板により、
照明光が拡散されるので、均一な照明を行なうことがで
きる。
【0004】ここで、図9において3は光源、4はコレ
クターレンズ、5は光拡散板、6は視野絞り、7は反射
鏡、8は照明レンズ、9は明るさ絞り、10はコンデン
サーレンズ、11は物体面である。
【0005】この照明光学系において、光源3よりの照
明光はコレクターレンズ4を通った後、光拡散板5によ
り拡散される。この拡散された照明光は、視野絞り6を
通り、反射鏡7にて反射され、照明レンズ8、明るさ絞
り9を通り、コンデンサーレンズ10を通って物体面を
均一に照明する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図8に示す光路切り替
え機構は、夫々の光路長が変わることなく2つの光路を
切り替えるために、透過プリズム1と全反射プリズム2
とは、横方向にスライドさせるものである。比較的シン
プルな構造であり、光路切り替えによく用いられる方法
である。しかし、夫々のプリズムが退避するスペースが
必要となるため、2つの切り替えに対してプリズム3個
分のスペースを要し、装置の大型化に繋がりやすい。
【0007】図9に示す顕微鏡の透過照明系の場合、例
えば倍率が10×の対物レンズから100×以上の対物
レンズの視野を、明るく均一に照明することが求められ
る。この場合、低倍率側では照明ムラが発生し易く、高
倍率側では照明が暗くなる傾向にある。この問題を解決
する一つの手段として、低倍率側では拡散板5を光路内
に配置し、高倍率側では拡散板5を光路から外してより
明るい照明を得ることがあげられる。これを実施するに
は、拡散板の移動や退避するためのスペースが必要とな
り、顕微鏡の大型化に繋がりやすい。
【0008】本発明は、前記従来例の欠点を解消するた
めになされたものであって、光路の切り替えを行なう際
に、大きなスペースを必要としない複合光学素子を提供
するものである。また、拡散板による光拡散作用を簡単
に有効あるいは無効にできる複合光学素子を提供するも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の複合光学素子
は、弾性光学素子とプリズムとよりなり、この光学素子
とプリズムとを密着させまた密着したものを分離するよ
うに構成したことを特徴とするものである。
【0010】本発明の複合光学素子は、図1に示すよう
に、全反射プリズム12と弾性光学素子13と移動機構
14を備えている。そして、この移動機構14により、
全反射プリズム12と弾性光学素子13の間隔を変化さ
せている。ここで、図1の構成では、移動機構14に弾
性光学素子13が保持されている。よって、弾性光学素
子13が矢印の方向に移動する。図1(A)は、プリズ
ム12と弾性光学素子13が分離した状態を示してい
る。また、図1(B)は、プリズム12と弾性光学素子
13が密着した状態を示している。
【0011】そして、図1(A)のように全反射プリズ
ム12と弾性光学素子13とが離れている場合は、光路
Aからの光は全反射プリズム12の面12aにより全反
射されて光路Bの方向に向かう。一方、図1(B)のよ
うに弾性光学素子13と全反射プリズム12が密着して
いる場合は、光路Aからの光は全反射プリズム12の面
12aで全反射されることなく、密着面(面12a)を
透過して光路Cの方向に向かう。
【0012】このように、図1の構成では、弾性光学素
子13の移動により異なる2つの状態、即ち全反射プ
リズム12と弾性光学素子13が密着した状態と、全
反射プリズム12と弾性光学素子13が離れた状態を形
成することができる。そして、どちらか一方の状態にす
ることで、光路をBとCとに切り替えることが可能であ
る。しかも、全反射プリズム12と弾性光学素子13と
を分離させたときに必要な間隙は、僅かであればよい。
これは、弾性光学素子13の移動量が僅かで良いことを
意味している。したがって、従来のように移動のため
の、スペースを大きくとる必要はない。よって、顕微鏡
等の光学機器に用いても、光学機器が大型化することは
ない。
【0013】ここで移動させる部材(移動機構)14
は、全反射プリズム12に設けてもよい。勿論この移動
機構14は、光路を遮断しない位置に設けられる。
【0014】本発明の複合素子は、一方のプリズム(光
学素子)の僅かな移動により光路の切り替えが可能であ
り、プリズムの配置および移動のためのスペースは極め
て小である。実質三つのプリズム分の移動域を必要とす
る図8に示す従来例に比べて極めてコンパクトな構成に
し得る。
【0015】ここで、図1に示す複合光学素子は、全反
射プリズムと弾性光学素子とよりなるものである。しか
しながら、複合光学素子を使用する光学系や光学機器等
の使用目的に応じ、全反射プリズムの代わりに平行平面
板やその他の光学素子を用いることもできる。
【0016】即ち、本発明の複合光学素子は、平面より
なる光学素子と、弾性光学素子と、両光学素子を密着ま
たは分離させる移動機構を備えたものであればよい。
【0017】ここで、平面よりなる光学素子とは、平行
平面形状の透明板であって、ガラスその他の光学材料に
て形成されたものを指す。また、平面よりなる光学素子
における「平面」とは、巨視的に見て実質上表面の形状
が平坦である面を指す。したがって、凸レンズや凹レン
ズのような曲面は含まない。また、表面に微小な凹凸を
有している場合や、その凹凸が粗い場合であっても、全
体として表面の形状が平坦である場合は平面に含まれる
とする。上記平面よりなる光学素子のうち、微視的には
微小な凹凸を有するが、巨視的には実質上平面をなす光
学素子がある。このような光学素子は拡散板(ディフュ
ーザー、フロスト)と呼ばれている。この拡散板と弾性
光学素子を組み合わせた場合、両光学素子が分離した状
態においては、微小な凹凸を有する面で光は拡散され
る。一方、両光学素子をほぼ完全に密着させた状態にお
いては、弾性光学素子との密着によって微少な凹凸がな
くなる。そのため、光は拡散されない。
【0018】更に、上記複合光学素子は、微小な凹凸を
有する面と弾性光学素子の面との密着度を変化させるこ
とにより、この密着された面での光の拡散の程度を変化
させ、制御することが可能である。
【0019】これにより、例えば照明系による物体の照
明において、十分な光量での照明や拡散光による均一な
照明等に本発明の複合光学素子を利用することが可能に
なる。本発明の複合光学素子において、弾性光学素子の
d線での屈折率ndが次の条件(1)を満足することが
望ましい。 (1) 1.35<nd<1.80
【0020】前述のように、本発明の複合光学素子は、
弾性光学素子と、光学素子を備える。そして、この弾性
光学素子と光学素子とを密着あるいは分離させることに
より、入射光の進行方向を変化させている。このうち、
全反射を利用して光路を切り替える構成においては、光
学素子としてプリズムを用いている。この場合、弾性光
学素子とプリズムとを密着したときに、密着面(弾性光
学素子と接している面)で全反射が生じないようにする
必要がある。つまり密着面が実質上境界面とならないよ
うにする必要がある。そのためには、弾性光学素子の屈
折率とプリズムの屈折率ができるだけ同じであることが
望ましい。その範囲を示したのが条件(1)である。
【0021】この条件(1)から外れると、弾性光学素
子とプリズムの屈折率差を十分小さくすることができな
い。また、プリズムに用いる光学材料の選択範囲が限ら
れてしまう。
【0022】なお、全反射を利用しない構成、例えば密
着面(境界面)における光線の屈折率を利用するような
構成では、上記(1)の条件を満足する必要はない。
【0023】また、本発明の光学素子において、波長が
435nmから656nmの範囲における弾性光学素子
の平均透過率が以下の条件(2)を満足することが望ま
しい。 (2) T>70%(/cm)
【0024】上記条件を満足する場合、効率よく光を透
過させることができるので、弾性光学素子は光量損失の
少ない光路切り替え素子として機能する。
【0025】なお、故意に上記条件を外して、透過する
光量を制限することもできる。この場合、2つの光路に
おける光量を異ならせることができる。また、透過する
波長に選択性を持たせて、透過する光の色調を調整する
こともできる。
【0026】また、本発明の複合光学素子において、弾
性光学素子を強度のある光学素子(以下、ベース光学素
子とする)で保持するか、弾性光学素子全体(ただし、
密着させる面を除く)を強固な枠で保持することが望ま
しい。ここで、強固な枠とは金属枠などのように、変形
しにくい枠のことである。
【0027】図1では、弾性光学素子13は、2つの面
13b,13cで駆動機構14の保持部材14aに保持
されている。しかしながら、この状態で全反射プリズム
12に密着させると、弾性光学素子13は、例えば、紙
面垂直方向に変形する(膨らむ。)このため、弾性光学
素子13の面13aと全反射プリズム12の面12a
は、完全に密着しなくなる恐れが生じる。
【0028】そこで、弾性光学素子が密着する相手、例
えば全反射プリズムの面の大きさとほぼ同じ大きさの面
を有するベース光学素子を用い、この面で弾性光学素子
を保持すればよい。このようにすれば、弾性光学素子は
ベース光学素子の面に薄く設置するだけで済むので、紙
面方向への変形が少なくなる。よって、弾性光学素子全
体(ただし、密着させる面を除く)を囲う必要はなく、
保持部材14aのように簡単な構成の保持部材を用いる
ことができる。当然、弾性光学素子全体(ただし、密着
させる面を除く)を金属枠で保持することもできる。こ
の場合、弾性光学素子をプリズムに密着させるために圧
力を加えても、弾性光学素子を密着する方向に変形する
だけである。したがって、プリズムと弾性光学素子とを
強い力で密着させることができ、確実に密着させること
が可能になる。
【0029】また、弾性光学素子の各面のうち、プリズ
ムと密着する面をゆるい凸面にすることが望ましい。
【0030】これにより、弾性光学素子とプリズムとを
密着させる時、凸面の頂点部分、すなわち弾性光学素子
の中央部がプリズムに最初に接する。そして平面状に変
形しながら中央部から周辺部に向かって密着されてい
く。したがって、密着した面に気泡が残るのを防止し得
るので好ましい。
【0031】また、弾性光学素子は、シリコンゴム、フ
ッ素ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムなどにて形成す
ることが望ましい。
【0032】また、本発明の別の複合光学素子は、これ
を透過する光の拡散度を変化させるものである。このよ
うな作用を有する複合光学素子を顕微鏡照明光学系に使
用した例を図2に示す。
【0033】図2において3は光源、4はコレクターレ
ンズ、6は視野絞り、7は反射鏡、8は照明レンズ、9
は明るさ絞り、10はコンデンサーレンズ、11は物体
面であり、光学系の基本構成は図9の従来例と同じであ
る。
【0034】また図2において15が複合光学素子で、
平行平面形状の弾性光学素子16と、微少な凹凸を有す
る面(以下、拡散面とする)17aを有する平行平面板
17と、平行平面形状の弾性光学素子16を光軸方向に
移動させる移動機構18とで構成されている。平行平面
板16は、微少な凹凸を有する面が弾性光学素子16側
に向かって配置されている。なお、微少な凹凸を有する
面と反対側の面は、滑らかな平面である。また、平行平
面板16はガラスやプラスチックというような光学材料
からなる。
【0035】この図2の照明光学系において、光源3よ
り射出した照明光はコレクターレンズ4を通った後、複
合光学素子15、視野絞り6を通り、反射鏡7にて反射
される。そして、反射された照明光は照明レンズ8、明
るさ絞り9を通り、コンデンサーレンズ10を通って物
体面に到達する。
【0036】ここで図2(A)は、弾性光学素子16と
平行平面板17が分離している状態を示している。この
状態にある時は、光源3から射出した照明光は弾性光学
素子16を通った後、平行平面板の拡散面17aで拡散
される。そのため、照明光は広い範囲から様々な角度で
複合光学素子16を射出し、物体面の広い範囲に到達す
ることになる。この結果、物体面に到達した照明光は物
体面を均一に照明する。このように、図2(A)の状態
では、複合光学素子15は拡散作用を持つ光学素子とな
る。
【0037】一方、図2(A)の状態から、移動機構1
8により、複合光学素子15の弾性光学素子16を平行
平面板17の方向へ移動させ、弾性光学素子16と平行
平面板17とを圧着させると図2(B)の状態となる。
この図2(B)の状態では、弾性光学素子16と平行平
面板17の拡散面17aとが密着されることになる。そ
のため、拡散面17aの微少な凹凸が実質的になくな
る。当然、平行平面板の拡散面17aで光の拡散は生じ
ない。したがって、照明光は図2(A)に比べて範囲と
角度が制限されて複合光学素子15を射出し、物体面の
狭い範囲に到達することになる。この結果、物体面に到
達した照明光は物体面を明るく照明する。
【0038】また、図2(B)の状態にて、弾性光学素
子16と平行平面板17との密着の度合いを変化させる
ことにより、密着させた面を拡散作用の異なる拡散面と
して利用することも可能である。これにより、拡散の程
度の異なった照明光で、物体を照明することが可能とな
る。
【0039】
【発明の実施の形態】次に本発明の複合光学素子の実施
の形態を示す。
【0040】本発明の第1の実施の形態は図3に示す通
りで、本発明の複合光学素子を光路分割機構として用い
た例である。図3(A)は三角ガラスプリズム21と弾
性光学素子23が分離した状態、図3(B)は三角ガラ
スプリズム21と弾性光学素子23が密着した状態を示
している。
【0041】この図に示すように、本実施の形態の複合
光学素子20は、三角ガラスプリズム21と、弾性光学
部材24と、移動機構100からなる。弾性光学部材2
4は、三角ガラスプリズム22と弾性光学素子23で構
成されており、三角ガラスプリズム22の面22aに弾
性光学素子23が接合されている。移動機構100は、
弾性光学素子24を保持する金属枠101と、金属枠1
01を移動させるガイド機構25と、ガイド機構に取り
付けられたレバー26とよりなる。
【0042】弾性光学部材24では、三角ガラスプリズ
ム22の面のうち、面22aにコーティングが施されて
いる。本実施の形態では、このコーティングの透過率特
性は透過率と反射率の比が50:50である。なお、こ
の比率は目的に応じて変えればよい。
【0043】そして、図3(A)のように、弾性光学部
材24と三角ガラスプリズム21とが離れている時は、
光路Aより三角ガラスプリズム21に入射した光は、三
角ガラスプリズム21の面21a(弾性光学素子23に
向き合っている面)にて全反射する。よって、入射した
光の100%が光路Aと直交する光路Bに反射される。
【0044】一方、レバー26を操作して弾性光学部材
24を光路A−Cに沿って移動させると、図3(B)の
ように弾性光学素子23と三角ガラスプリズム21とが
密着した状態になる。この状態では、三角ガラスプリズ
ム21の面21aで光線は全反射しなくなるので、5
0:50の比で光路Bと光路Cとに分割される。
【0045】この第1の実施の形態の構成では、三角ガ
ラスプリズム21の面21aでの全反射を、弾性光学素
子23と三角ガラスプリズム21とを分離することで発
生させ、弾性光学素子23と三角ガラスプリズム21と
を分離させることで消滅させている。この際、三角ガラ
スプリズム21の面21aで全反射を発生させるには、
図3(A)に示すように、弾性光学部材24と三角ガラ
スプリズム21とを僅かに分離すればよい。すなわち、
弾性光学素子24の移動量は僅かで済むことになる。し
たがって、本実施の形態の構成では、従来に比べてコン
パクトな構成で光路分割が行なえる。よって、例えば、
倒立顕微鏡の撮像用光路と目視観察用光路とを切り替え
るために用いると効果的である。
【0046】本発明の第2の実施の形態は図4に示す通
りの構成で、顕微鏡の鏡筒部の光路切り替え機構として
用いたものである。図4(A)は三角プリズム27と弾
性光学素子28が分離した状態、図4(B)は三角プリ
ズム27と弾性光学素子28が密着した状態を示してい
る。
【0047】図示するように、本実施の形態の複合光学
素子20は、三角プリズム27と、弾性光学素子28
と、移動機構30からなる。移動機構30は、弾性光学
素子28を保持する金属枠29と、金属枠29を移動さ
せるガイド機構102と、ガイド機構102に取り付け
られたレバー31からなる。複合光学素子20は結像レ
ンズILの後ろ(光が射出する側)に配置される。そし
て、三角プリズム27の後ろ(光が射出する側)に、金
属枠29にて固定された弾性光学素子28が配置されて
いる。図4(C)は光路Bの方向から見た時の弾性光学
素子28と金属枠29の様子である。図4(A)、
(B)では弾性光学素子28の側面が示されているが、
実際は図4(C)に示すように、弾性光学素子28の側
面も金属枠29で囲まれている。これにより、弾性光学
素子28の変形する面は、三角プリズム27と密着する
面のみとなる。したがって、弾性光学素子28と三角プ
リズム27の密着がより確実におこなえる。
【0048】また、弾性光学素子28の金属枠29に設
けられたレバー31を操作すると、ガイド機構102に
より金属枠29が移動する。これにより、弾性光学素子
28を図の矢印方向への移動を可能にしている。
【0049】そして図4(A)に示すように三角プリズ
ム27と弾性光学素子28とが離れた状態にある時は、
光路Aからの光は三角プリズム27の面27aおよび2
7bにて全反射され光路Bに向かう。一方、図4(B)
に示すように三角プリズム27と弾性光学素子28とを
密着させた状態にある時は、光路Aからの光は面27a
にて全反射せずに透過し、弾性光学素子28を通って光
路Cの方向に進む。したがって、光路Bを目視観察光
路、光路Cを撮像用光路とすれば、2つの光路を切り替
えることができる。本実施の形態も第1の実施の形態と
同じように、弾性光学素子28の移動量は僅かで済むこ
とになる。したがって、本実施の形態の構成でも、従来
に比べてコンパクトな構成で光路切り替えが行える。
【0050】本発明の第3の実施の形態を図5に示す。
この第3の実施の形態は、本発明の複合光学素子を光の
拡散特性を変化させる機構として用いたものである。図
5(A)は拡散板32と弾性光学素子33が分離した状
態、図4(B)は拡散板32と弾性光学素子33が密着
した状態を示している。
【0051】図5において、32は拡散板、39は弾性
光学部材、35は拡散板32を保持する金属枠、36は
弾性光学部材39を保持する金属枠、37は金属枠3
5、36の間に配置されたバネである。また38は保持
枠36に設けられた圧電素子である。
【0052】弾性光学部材39は平行平面ガラス34と
弾性光学素子33で構成され、平行平面ガラス34に弾
性光学素子33が接合されている。拡散板32は一方の
面が微少な凹凸を有する拡散面32aで、他方が非常に
滑らかな面である。両方の面とも巨視的には平面となっ
ている。そして、弾性光学部材39と拡散板32は、弾
性光学素子33と拡散面32aが向き合うように配置さ
れている。
【0053】図5に示す構成の複合光学素子は、図5
(A)の状態では光を拡散する素子として機能する。す
なわち、弾性光学部材39と拡散板32の間が離れてい
るので、弾性光学部材39を通過した光は拡散面32a
で散乱される。したがって、拡散板32からは様々な角
度の光が射出する。また、入射時の光束範囲D1よりも
広い範囲D2から光が射出する。この状態から圧電素子
38へ電圧を印加すると、圧電素子38が矢印の方向へ
伸びる。これにより、金属枠36に保持されている弾性
光学素子33は平行平面ガラス34と共に移動し図5
(B)に示す状態になる。この状態では、弾性光学素子
33と拡散面32aとが密着されるので、全体として透
明な光学素子となる。そのため、拡散面32aで光の拡
散は発生せず、拡散板32からは入射時と同じ角度の光
が射出する。また、入射時の光束範囲D1と同じ範囲か
ら光が射出する。なお、圧電素子38への印加電圧を変
えることにより、弾性光学部材39と拡散板32の密着
度を変化させることができる。よって、使用目的に応じ
て適切な光の拡散度を得ることができる。
【0054】この第3の実施の形態の複合光学素子は、
例えば顕微鏡の照明光学系に用いると、十分な光量の明
るい照明と拡散光を用いての均一な照明との切り替えを
簡単に行なうことができる。また、光の拡散状態を変化
させ得るので、上記2つの照明の中間的な照明も行え
る。
【0055】図6は、本発明の第4の実施の形態を示す
もので、顕微鏡における視野内に表示を行なうために本
発明の複合光学素子を用いた例である。ここで、図6
(A)はプリズム44と弾性光学素子47が分離した状
態、図6(B)はプリズム44と弾性光学素子47が密
着した状態を示している。
【0056】図6において、40は顕微鏡対物レンズの
像側に配置された結像レンズ、41、42、43、44
はいずれもプリズムである。そして、結像レンズ40を
透過した光は、プリズム41、42により分割され、一
方はプリズム43を他方はプリズム44を通って接眼レ
ンズ(図示せず)に向けられる。
【0057】また、図6において、45はLCD等の表
示素子、46は結像レンズで、これらにより表示用光学
系を形成している。そして、表示用光学系の光軸を延長
した延長線が、プリズム44内を通過するように配置さ
れている。また、この延長線はプリズム44内を通過す
る対物レンズの光軸と所定の間隔を保って平行になって
いる。
【0058】また、結像レンズ46とプリズム44の間
に、複合光学素子103が配置されている。ここで、4
7は弾性光学素子、48は弾性光学素子47を保持する
金属枠、49は移動機構である。本実施例では、図1に
示した複合光学素子が用いられている。すなわち、弾性
光学素子47自体が三角プリズムの形状をしている。な
お、弾性光学素子47の代わりに、図3の弾性光学部材
24を用いても構わない。移動機構49はレバー50と
ガイド機構104から構成されている。
【0059】この実施の形態は、プリズム44の一つの
全反射面44a中の周辺部から表示用光学系からの光が
入射、あるいは遮断されるようにしたものである。具体
的には、この全反射面44aの近傍に複合光学素子10
3を配置し、光学弾性素子47を移動機構49により移
動させるようにしてある。
【0060】そして、図6(A)のように、弾性光学素
子47がプリズム44の全反射面44aから分離してい
る状態にすると、表示用光学系よりの光は弾性光学素子
47の面47aで全反射される。したがって、表示用光
学系からの光はプリズム44内には入射しない。そのた
め、観察視野内には物体の像のみが見える。次に、弾性
光学素子47の移動により、この弾性光学素子47がプ
リズム44の全反射面44aに密着した状態になったと
する。つまり図6(B)に示す状態においては、表示用
光学系よりの光は弾性光学素子47の面47aで全反射
しなくなる。よって、プリズム44の全反射面44aよ
り入射し、対物レンズからの光と一緒になって接眼レン
ズに到達する。よって、観察視野内には物体の像と表示
光学系に表示された情報(文字や画像)を同時に観察す
ることができる。なお、このとき、表示用光学系の光軸
と対物レンズの光軸は一致しておらず、離れている。そ
のため、表示光学系に表示された情報は、観察視野内の
周辺部に見えることになる。
【0061】このように、本発明の複合光学素子は、顕
微鏡による観察において、視野内表示を行ない、またこ
れを消すための手段として用いることができる。
【0062】図7は本発明の第5の実施の形態を示すも
のである。この実施の形態は、本発明の複合光学素子を
光のオン、オフと光量の制御とに利用したものである。
【0063】図において、51は光源、52はコリメー
ターレンズ、53はプリズム、54は他のプリズム、5
5はプリズム54の斜面54aに接合された弾性光学素
子で、この弾性光学素子55は、接合面と反対側の面5
5aがゆるい曲面になっている。また56はプリズム5
3を保持する保持部材57に設けられ、このプリズム5
3を光軸に沿った方向に移動させる移動機構である。
【0064】この図7に示す第5の実施の形態におい
て、図7の(A)に示すように、プリズム53が弾性光
学素子55と離れた位置にある時は、光源51よりのコ
リメータレンズ52を通った光はプリズム53の斜面
(全反射面)53aにて反射されるため遮断される。
【0065】一方、図7(B)に示すように、移動機構
56を働かせてプリズム53を弾性光学素子55に圧着
させ弾性光学素子55の曲面の中心(凸面の頂点)付近
の一部の面がプリズム53の全反射面と密着することに
より、光源51よりの光のうちの光軸周辺の一部の光が
透過して例えば照明光として利用される。
【0066】更に図7(C)に示すように、移動機構5
6によるプリズム53の移動を更に行なうことにより、
弾性光学素子55とプリズム53の密着度は強くなり、
これにより弾性光学素子55の曲面(凸面)55aの周
辺部までプリズム53の全反射面53aと密着し、密着
部分の面積は増大し透過する光の量が増大して光量は大
になる。
【0067】このように、この第5の実施の形態によれ
ば、光のオン、オフつまり光の透過、遮断の切り替えを
行なうことが可能であり、また本発明の複合光学素子を
透過する光の量を変化、制御することが可能である。
【0068】本発明は、以上詳細に説明した通りのもの
で、特許請求の範囲に記載する複合素子のほかに次の各
項に記載する構成の複合光学素子や光学装置も発明の目
的を達成し得る。
【0069】(1) 特許請求の範囲の請求項3に記載
する光学素子で、前記弾性光学素子がゴムで構成されて
いることを特徴とする複合光学素子。
【0070】(2) 特許請求の範囲の請求項1、2ま
たは3に記載する複合光学素子を光路分割または光路結
合のために用いた光学装置。
【0071】(3) 特許請求の範囲の請求項1、2ま
たは3あるいは前記の(1)の項に記載する光学装置
で、前記弾性光学素子が他のプリズムまたは金属枠に固
定されていることを特徴とする複合光学素子。
【0072】(4) 弾性光学素子とプリズムとを備
え、弾性光学素子とプリズムを密着または分離すること
により弾性光学素子またはプリズムに入射する光線を透
過または全反射させることを特徴とする複合光学素子。
【0073】(5) 弾性光学素子と表面に微細な凹凸
を有する光学素子とを備え、弾性光学素子と微細な凹凸
を有する光学素子の密着または分離により光線の散乱を
制御する複合光学素子。
【0074】(6) 特許請求の範囲の請求項1、2ま
たは3に記載する光学系で、弾性光学素子またはプリズ
ムの接着面が凸面であることを特徴とする複合光学素
子。
【0075】
【発明の効果】本発明の複合光学素子は、簡単な構成で
光学機器における光路分割や光の拡散度の制御が可能で
あり、またその制御が特別のスペースを設けることなし
に行ない得るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光路分割手段として用いた本発明の複合光学
素子の構成を示す図であって、(A)光線が90度偏向
される構成、(B)光線が直進する構成である。
【図2】 拡散特性を制御することができる本発明の複
合光学素子の構成を示す図であって、(A)光線が拡散
される構成、(B)光線が直進する構成である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態を示す図であっ
て、(A)光線が1つの方向に進む構成、(B)光線が
2つの方向に進む構成である。
【図4】 本発明の第2の実施の形態を示す図であっ
て、(A)光線が偏向される構成、(B)光線が直進す
る構成、(C)光路Bから見た時の構成である。
【図5】 本発明の第3の実施の形態を示す図であっ
て、(A)光線が拡散される構成、(B)光線が直進す
る構成である。
【図6】 本発明の第4の実施の形態を示す図であっ
て、(A)光線が90度偏向される構成、(B)光線が
直進する構成である。
【図7】 本発明の第5の実施の形態を示す図であっ
て、(A)光が完全に遮光状態になった時(オフ)の構
成、(B)遮光状態と透過状態の中間の時の構成、
(C)光が完全に透過状態になった時(オン)の構成で
ある。
【図8】 プリズムを用いた従来の光路切り替え手段を
示す図であって、(A)光線が直進する構成、(B)光
線が90度偏向される構成である。
【図9】 光拡散板を備えた従来の顕微鏡照明光学系の
構成を示す図。
【符号の説明】
1 透過プリズム 2、12 全反射プリズム 3、51 光源 4 コレクターレンズ 5 光拡散板 6 視野絞り 7 反射鏡 8 照明レンズ 9 明るさ絞り 10 コンデンサーレンズ 11 物体面 12a 密着面 13、16、23、28、33、47、55 弾性
光学素子 13a、13b、13c 弾性
光学素子の面 14、18、30、49、56、100 移動
機構 14a、57 保持部材 15、20、103 複合
光学素子 17 拡散面を有する平行平面板(光拡散
板) 17a、32a 拡散面 21、22 三角ガラスプリズム 21a、22a 三角ガラスプリズムの面 24、39 弾性光学部材 25、102、104 ガイ
ド機構 26、31、50 レバ
ー 29、35、36、48、101 金属
枠 27 三角プリズム 27a、27b 三角プリズムの面 32 拡散板(光拡散板) 34 平行平面ガラス 37 バネ 38 圧電素子 40、46、IL 結像
レンズ 41、42、43、44、53、54 プリ
ズム 44a 全反射面 45 表示素子(LCD) 52 コリメータレンズ 53a、54a プリズムの斜面 55a 弾性光学素子の面 A、B、C 光路 D1 入射時の光束範囲 D2 射出時の光束範囲
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H041 AA13 AB26 AB38 AB40 AC01 AZ02 AZ03 AZ08 2H042 CA01 CA06 CA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性光学素子とプリズムとよりなり、
    前記弾性光学素子とプリズムとを密着または分離させる
    ための移動機構を備えた複合光学素子。
  2. 【請求項2】 前記弾性光学素子のd線に対する屈折
    率ndが下記条件(1)の範囲内である請求項1または
    2の複合光学素子。 (1) 1.35<nd<1.80
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