JP2003166049A - 蒸着用ルツボ - Google Patents

蒸着用ルツボ

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JP2003166049A
JP2003166049A JP2001362679A JP2001362679A JP2003166049A JP 2003166049 A JP2003166049 A JP 2003166049A JP 2001362679 A JP2001362679 A JP 2001362679A JP 2001362679 A JP2001362679 A JP 2001362679A JP 2003166049 A JP2003166049 A JP 2003166049A
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Kenji Sakaguchi
坂口  健二
Yoshihiro Koshido
義弘 越戸
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱放射による伝熱量を低減して十分な断熱性
を得ることが可能であると共に、構成部材の破損を招く
危険性が低くて済む極めて簡素な構成とされて製造コス
トの大幅な低減を実現することができる蒸着用ルツボを
提供する。 【解決手段】 本発明に係る蒸着用ルツボ1は、蒸着材
料2を収納するハースライナ3と該ハースライナ3を保
持する冷却ハース4とを備えたものであって、前記ハー
スライナ3がその側面及び底面の外側に設けられた断熱
空間7,8を介して前記冷却ハース4内に保持される構
成であり、かつ、前記ハースライナ3は互いに切り離さ
れた複数の収納容器5,6からなる多重構造を有し、こ
れら収納容器5,6の相互間にも断熱空間9,10が設
けられていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蒸着用ルツボに係
り、特には、そのハースライナの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、PVD装置などによる真空蒸
着では、蒸着用ルツボを使用することが行われる。そし
て、一般に、電子ビームの照射によって加熱溶解される
蒸着材料を収納する蒸着用ルツボを設計するに際して
は、投入されるエネルギーを蒸着材料の溶解に有効利用
する必要があるため、冷却ハースのハース壁を通して冷
却媒体により奪われる熱量を少なくすることが重要とさ
れている。
【0003】特開平1−198466号公報には、図6
で示すような構成とされた蒸着用ルツボ21、つまり、
蒸着材料22を収納するハースライナ23と、このハー
スライナ23を保持する冷却ハース24とを備えてなる
蒸着用ルツボ21が開示されている。そして、この蒸着
用ルツボ21にあっては、低熱伝導物質からなるハース
ライナ23の内面が蒸着材料22よりも高融点の金属板
25で内張りされている。
【0004】蒸着用ルツボ21では、低熱伝導物質から
なるハースライナ23が冷却ハース24内の冷却水26
によって奪われる熱量を抑制するので、蒸着材料22に
投入された電子ビームのエネルギーを蒸着材料22の溶
解に有効利用することが可能となる。しかしながら、そ
の構成部材であるハースライナ23と、冷却ハース24
と、ハースライナ23に内張りされた金属板25との熱
膨張率が互いに異なるため、蒸着材料22の温度上昇に
伴って冷却ハース24によるハースライナ23の拘束、
あるいは、ハースライナ23による金属板25の拘束が
発生しやすくなり、構成部材の破損を招く危険性が高い
という問題があった。
【0005】また、特開平1−275750号公報に
は、別の構成とされた蒸着用ルツボ31が開示されてい
る。すなわち、この蒸着用ルツボ31は、図7で示すよ
うに、蒸着材料32を収納したハースライナ33がスペ
ーサ34を介して冷却ハース35で保持された構成を有
しており、ハースライナ33と冷却ハース35との間に
は、ハースライナ33から冷却ハース35ヘの熱伝導を
遮断する断熱空間36が設けられている。
【0006】このような構成とされた蒸着用ルツボ31
であれば、ハースライナ33の膨張が断熱空間36で吸
収されるので、冷却ハース35によってハースライナ3
3が拘束されて破損することは起こらない。ところが、
断熱空間36を介したうえでハースライナ33から冷却
ハース35へと熱が放射されてしまうことを回避でき
ず、この熱放射による伝熱量が極めて大きくなることか
ら、十分な断熱性を得ることができないという不都合が
生じる。
【0007】この点について具体的な説明をする。ま
ず、向かい合う面同士の間に物質が介在する場合の熱伝
導による伝熱量と、向かい合う面同士の間に物質が介在
しない場合の熱放射による伝熱量とは、それぞれ以下に
示す式1及び式2によって求められる。
【式1】熱伝導による伝熱量 q=λ・(θ1−θ2)/L
【式2】熱放射による伝熱量 q=ε・C・m・(θ1−θ2) 但し、q:伝熱量、λ:面間に介在する物質の熱伝導
率、θ1,θ2:面の温度、L:面間距離、ε:放射
率、C:ステファン・ボルツマン定数、m:形態係数で
ある。なお、ここでの形態係数mは、ハースライナ33
と冷却ハース35の形状により“1”として扱うことが
できる。
【0008】そして、式1と式2とを比較した場合、式
1から求められる熱伝導の伝熱量は両面間の温度差に比
例するのに対し、式2から求められる熱放射の伝熱量は
両面間の温度を4乗した値に影響されるため、高温側の
面温度が高温になるほど伝熱量は飛躍的に増大する。す
なわち、チタン(Ti)などの高融点金属を溶解する場
合におけるハースライナ33の外表面温度は高温とな
り、熱放射による伝熱量が飛躍的に増大するため、十分
な断熱性を得ることは困難となってしまう。
【0009】また、リフトオフ工法で実施する蒸着に際
しては、(1)レジスト硬化を防止するために蒸着源か
らレジストへの熱放射をできるだけ小さくすることと、
(2)ウエハの全面にわたって蒸着粒子を基板垂直に近
い角度で入射させることとが重要となる。そして、これ
らの(1),(2)を実現するにあたっては、ウエハと
蒸着源との離間距離(TS距離)をできるだけ長くする
ことが効果的である。しかしながら、成膜レートはTS
距離の2乗に反比例するため、蒸着源の温度をより高温
に保持する必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実開平6−
46293号公報には、上記した問題点を解消し得ると
される蒸着用ルツボ、つまり、図8で示すような構成の
蒸着用ルツボ41が開示されている。すなわち、この蒸
着用ルツボ41は、蒸着材料42を収納したハースライ
ナ43と、このハースライナ43を保持する冷却ハース
44との間に、収納用のハースライナ43に比して低熱
伝導物質である断熱用のハースライナ45を介在させて
おり、かつ、ハースライナ43,45同士間及びハース
ライナ45と冷却ハース44との間に緩衝材46,47
を設けたものである。
【0011】この蒸着用ルツボ41においては、緩衝材
46,47を設けているため、これら緩衝材46,47
の作用によってハースライナ43から冷却ハース44へ
の放熱量が低減する。また、その構成部材であるハース
ライナ43,45と、冷却ハース44との熱膨張率が相
互に異なっている場合でも、これらの熱膨張が緩衝材4
6,47によって吸収される結果、構成部材の破損を招
く危険性が低くて済むという利点も確保される。
【0012】しかしながら、このような構成とされた蒸
着用ルツボ41では、ハースライナ43,45同士間と
ハースライナ45及び冷却ハース44間とのそれぞれに
緩衝材46,47を設けておく必要があるため、その構
成が複雑となってしまう。また、複雑な構成であるがゆ
えに製造方法も複雑となることが避けられず、その結果
として製造コストが非常に高くなるという不都合が生じ
る。
【0013】本発明は上記した不都合に鑑みて創案され
たものであり、熱放射による伝熱量を低減して十分な断
熱性を得ることが可能であると共に、構成部材の破損を
招く危険性が低くて済む極めて簡素な構成とされて製造
コストの大幅な低減を実現することができる蒸着用ルツ
ボの提供を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る蒸
着用ルツボは、蒸着材料を収納するハースライナと該ハ
ースライナを保持する冷却ハースとを備えてなるもので
あって、前記ハースライナがその側面及び底面の外側に
設けられた断熱空間を介して前記冷却ハース内に保持さ
れる構成であり、かつ、前記ハースライナは互いに切り
離された複数の収納容器からなる多重構造を有し、これ
ら収納容器の相互間にも断熱空間が設けられていること
を特徴とする。
【0015】請求項2の発明に係る蒸着用ルツボは請求
項1に記載したものであり、前記ハースライナは、内外
一対の収納容器からなる二重構造を有していることを特
徴とする。
【0016】請求項3の発明に係る蒸着用ルツボは請求
項1または請求項2に記載したものであり、蒸着材料は
Tiなどの高融点金属であることを特徴とする。
【0017】請求項4の発明に係る蒸着用ルツボは請求
項1〜請求項3のいずれかに記載したものであり、リフ
トオフ工法による蒸着時に使用されることを特徴とす
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る蒸着用
ルツボの全体構成を示す側断面図、図2はハースライナ
を構成して外側に配置される収納容器の構成を示す側断
面図であり、図3はハースライナを構成して内側に配置
される収納容器の構成を示す側断面図である。また、図
4は収納容器の温度と放出熱量との関係を示す線図であ
り、図5は外側に配置される収納容器の変形例構成を示
す側断面図である。なお、図1中の符号1は、蒸着用ル
ツボを示している。
【0019】本実施の形態に係る蒸着用ルツボ1は、高
融点金属であるチタン(Ti)などの蒸着材料2を収納
するハースライナ3と、このハースライナ3を収納して
保持する水冷式の冷却ハース4とを備えている。そし
て、ここでのハースライナ3は互いに切り離された内外
一対の収納容器5,6からなる二重構造を有しており、
外側に配置される収納容器5は、その側面及び底面の外
側に設けられた真空層である断熱空間7,8を介して冷
却ハース4内に保持される構成となっている。
【0020】また、ハースライナ3の内側に配置される
収納容器6は、実際に蒸着材料2を収納するものであ
り、収納容器5よりも一回りほど小さな外形状を有して
いる。そして、この収納容器6は、側面及び底面の外側
に設けられた真空層である断熱空間9,10を介したう
え、外側に配置された収納容器5内に収納されている。
なお、冷却ハース4は銅(Cu)を用いて作製されたも
のであり、図1中の符号11は冷却ハース4に供給され
る冷却水を示している。
【0021】さらに、これら収納容器5,6の各々はカ
ーボン(黒鉛)を用いたうえでの有底筒形状、いわゆる
桶形状として作製されたものであり、ハースライナ3の
外側に配置される収納容器5の内外面に対してはその全
面にわたる金属コーティングが施されている。一方、ハ
ースライナ3の内側に配置される収納容器6の外面に対
しても、金属コーティングが施されている。なお、図1
〜図3中の符号12は収納容器5に施された金属コーテ
ィング層、また、符号13は収納容器6に施された金属
コーティング層を示しており、これらの金属コーティン
グ層12,13は、蒸着やスパッタリング、CVDやメ
ッキなどの方法で形成される。
【0022】ところで、コーティング金属としては基本
的に蒸着材料(Ti)よりも高融点の金属を用いる必要
があり、具体的には、チタン(Ti),クロム(C
r),タンタル(Ta),タングステン(W),モリブ
デン(Mo),ジルコニア(Zr)などが用いられる。
なお、ハースライナ3の内側に配置されて蒸着材料2を
収納する収納容器6の内面については、蒸着材料2との
反応が生じることを防止する必要があるため、金属コー
ティング層が形成されていない。
【0023】すなわち、これら収納容器5,6のそれぞ
れに対して金属コーティングを施している目的は、熱輻
射率を低減して反射率を大きくすることにあり、カーボ
ン自体の熱輻射率が0.75以上であるのに対し、上記
した金属それぞれの熱輻射率は0.2以下となってい
る。なお、カーボンの反射率が約0%であるのに対し、
上記した金属の反射率は少なくとも10〜90%程度と
なる。
【0024】つぎに、本実施の形態に係る構成とされた
蒸着用ルツボ1であれば、熱放射による伝熱量が低下す
る原理を説明する。まず、ハースライナ3を構成してい
る内側の収納容器6から外側の収納容器5へと向かって
放出される熱量をQ1、外側の収納容器5から冷却ハー
ス4ヘ放出される熱量をQ2とし、内側に配置された収
納容器6の温度をT1、冷却ハース4の温度をT2(T
1>>T2)とする。
【0025】この時、外側に配置された収納容器5の温
度Tをパラメータとし、Q1とQ2を上記の式2に基づ
いて計算すると、図4で示すような関係が得られる。な
お、この図4における横軸は収納容器5の温度T
(℃)、縦軸はその放出熱量(任意単位)であり、図4
中のQ1,Q2は収納容器5が存在しない単一構造のハ
ースライナ3、つまり、内側の収納容器6のみが存在し
ているとした場合の収納容器6から冷却ハース4へと放
出される熱量で予め規格化されている。
【0026】そして、図4で明らかとなる関係によれ
ば、TがT2に近い低温の時にはQ1>Q2であるた
め、外側に配置された収納容器5の温度Tは上昇する。
一方、実際には起こり得ないが、TがT1に近い高温に
なった場合を仮定すると、Q1<Q2となるため、収納
容器5の温度Tは低下することになる。従って、ハース
ライナ3の外側に配置された収納容器5の温度はQ1=
Q2となる温度T0で安定する。なお、実際に計算を行
ってみたところ、T0は(T1−T2)の約85%であ
った。
【0027】さらに、この時、内側に配置された収納容
器6から外側に配置された収納容器5へと放出される熱
量は、外側の収納容器5が存在しないとした場合の1/
2になる。そして、外側に配置された収納容器5につい
ては、内側の収納容器6から流入する熱量と冷却ハース
4に放出される熱量とが互いに等しくなるため、その熱
量収支は零となる。そこで、内側の収納容器6から外部
の冷却ハース4へと流出する熱エネルギーは、ハースラ
イナ3が単一構造である場合、つまり、収納容器5が存
在しない場合の1/2であるといえる。
【0028】ここで、仮に、ハースライナ3が三つの収
納容器を組み合わせた三重構造である場合には、最も内
側に配置された収納容器から冷却ハース4へと放出され
る熱量が当初の1/3となり、熱閉じ込め効率がさらに
よくなると考えられる。しかし、三重以上の多重構造を
採用した場合には、蒸着材料2を直接的に収納する収納
容器の容積が小さくなり、多量の蒸着材料2を収納しが
たくなるという弊害が生じる。但し、蒸着量が少なくて
よい場合は、さらに小さい同形状の収納容器を作製すれ
ばよいだけであり、その対応自体は非常に簡単となる。
【0029】本実施の形態に係る蒸着用ルツボ1は、ハ
ースライナ3が内外一対の収納容器5,6からなる二重
構造を有し、かつ、これらの収納容器5,6が一体構造
ではなくて互いに切り離された構造とされている。そこ
で、蒸着材料2を収納してハースライナ3の内側に配置
された収納容器6から冷却ハース4へと熱放射される伝
熱量が、外側に配置された収納容器5が存在しない場合
の1/2にまで低減する。その結果、比較的低い電子ビ
ームパワーであっても高融点金属の蒸着が可能となり、
同時に、熱膨張率の差に起因した構成部材の破損を防止
することも可能となる。
【0030】すなわち、本実施の形態に係る構成の蒸着
用ルツボ1を使用し、本発明の発明者らが高融点金属で
あるTi(融点:1675℃)の蒸着実験を行ったとこ
ろ、蒸着装置における電子ビームパワーの上限値(25
0mA×3kV=7.5W)の約80%の出力であって
も1nm/secの成膜レートが得られた。そして、ハ
ースライナ3を構成する収納容器5,6が互いに切り離
されており、これら両者の温度差に起因して発生する膨
張率の差による応力が蓄積されないため、破損の恐れも
ないことが確認されている。
【0031】なお、例え、破損することがあったとして
も内側の収納容器6だけであり、蒸着材料2と直接には
接触していない外側の収納容器5が破損することはあり
得ない。従って、本実施の形態に係る構成とされた蒸着
用ルツボ1であれば、破損した収納容器6だけを交換す
ればよいことになり、収納容器5については半永久的に
使用可能となる結果、非常に経済的であるという利点が
確保される。また、万が一、収納容器5,6を交換する
必要が生じたとしても、これらはカーボン製であり、か
つ、簡単な形状を有するに過ぎないため、安価な費用で
作製できることは明らかである。
【0032】これに対し、蒸着用ルツボ1の備えている
ハースライナ3が単層構造である場合、つまり、蒸着材
料2を収納する内側の収納容器6のみからなるハースラ
イナ3である場合には、電子ビームパワーを上限値に設
定しても、蒸着源温度が十分高くはならず、蒸着するこ
とが不可能であった。また、電源を交換して強制的に電
子ビームパワーを引き上げた場合には、蒸着開始可能と
なる以前の時点で単層構造のハースライナ3が破損する
ことも確認されている。
【0033】さらに、リフトオフ工法で実施される蒸着
では、(1)蒸着源からレジストへの熱放射をできるだ
け小さくし、かつ、(2)ウエハの全面にわたって蒸着
粒子を基板垂直に近い角度で入射させることが重要とな
る。そして、これらの(1),(2)を実現するにはウ
エハと蒸着源との離間距離(TS距離)をできるだけ長
くすることが効果的であり、そのためには蒸着源の温度
をより高温に保持する必要がある。このような必要性に
対し、本実施の形態に係る構成の蒸着用ルツボ1であれ
ば、上記したように、ハースライナ3の内側に配置され
た収納容器6から冷却ハース4へと熱放射される伝熱量
が1/2程度にまで少なくなるので、蒸着源の温度をよ
り高温に保持し得ることも明らかである。
【0034】ところで、本実施の形態においては、蒸着
用ルツボ1の備えるハースライナ3が内外一対の収納容
器5,6からなる二重構造であるとしているが、このよ
うな構成に限定されず、例えば、側面及び底面それぞれ
の外側に設けられた断熱空間7,8を介して冷却ハース
4内に保持されるハースライナ3が、互いに切り離され
た複数の収納容器からなる多重構造を有しており、か
つ、これら収納容器の相互間にも断熱空間が設けられた
構成であってもよい。また、蒸着材料2がTiに限られ
ることはなく、Ti以外の高融点金属であってもよいこ
とは勿論である。
【0035】さらに、本実施の形態では、カーボンから
なる収納容器5の全面にわたって金属コーティングを施
すとしているが、図5で示すように、ハースライナ3の
外側に配置される収納容器5自体をTiやCrなどのよ
うな高融点の金属によって直接的に作製してもよい。こ
のようにすれば、カーボン製の収納容器5に対する金属
コーティングが不要となる。なお、ハースライナ3の内
側に配置されて蒸着材料を収納する収納容器6について
は、蒸着材料との反応を防止する必要があるので、この
収納容器6をコーティング金属と同等の金属で直接的に
作製すべきでないことは当然である。
【0036】
【発明の効果】請求項1または請求項2の発明に係る蒸
着用ルツボは、ハースライナがその側面及び底面の外側
に設けられた断熱空間を介して冷却ハース内に保持され
る構成であり、かつ、このハースライナが互いに切り離
された複数の収納容器からなる多重構造、または、内外
一対の収納容器からなる二重構造を有し、これら収納容
器の相互間にも断熱空間を設けたものとなっている。そ
のため、熱放射による伝熱量を低減することが可能とな
り、十分な断熱性を得ることができる。また、伝熱量が
低減する結果、極めて簡素な構成であるにも拘わらず、
構成部材の破損を招く危険性が低くて済むことになり、
製造コストの大幅な低減を実現することができるという
効果が得られる。
【0037】請求項3の発明に係る蒸着用ルツボであれ
ば、Tiなどの高融点金属である蒸着材料を極めて効率
的に蒸着することが可能になる。さらに、請求項4の発
明に係る蒸着用ルツボによれば、リフトオフ工法による
蒸着時の蒸着源を十分な高温に保持することが容易にな
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る蒸着用ルツボの全体構成を
示す側断面図である。
【図2】本実施の形態に係るハースライナを構成して内
側に配置される収納容器の構成を示す側断面図である。
【図3】本実施の形態に係るハースライナを構成して外
側に配置される収納容器の構成を示す側断面図である。
【図4】本実施の形態に係るハースライナを構成して外
側に配置される収納容器の温度と放出熱量との関係を示
す線図である。
【図5】本実施の形態に係るハースライナを構成して外
側に配置される収納容器の変形例構成を示す側断面図で
ある。
【図6】従来の形態に係る第1の蒸着用ルツボの全体構
成を示す側断面図である。
【図7】従来の形態に係る第2の蒸着用ルツボの全体構
成を示す側断面図である。
【図8】従来の形態に係る第3の蒸着用ルツボの全体構
成を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 蒸着用ルツボ 2 蒸着材料 3 ハースライナ 4 冷却ハース 5 収納容器 6 収納容器 7 断熱空間 8 断熱空間 9 断熱空間 10 断熱空間 11 冷却水 12 金属コーティング層 13 金属コーティング層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着材料を収納するハースライナと該ハ
    ースライナを保持する冷却ハースとを備えてなる蒸着用
    ルツボであって、 前記ハースライナがその側面及び底面の外側に設けられ
    た断熱空間を介して前記冷却ハース内に保持される構成
    であり、かつ、前記ハースライナは互いに切り離された
    複数の収納容器からなる多重構造を有し、これら収納容
    器の相互間にも断熱空間が設けられていることを特徴と
    する蒸着用ルツボ。
  2. 【請求項2】 前記ハースライナは、内外一対の収納容
    器からなる二重構造を有していることを特徴とする請求
    項1に記載の蒸着用ルツボ。
  3. 【請求項3】 蒸着材料は、高融点金属であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸着用ルツ
    ボ。
  4. 【請求項4】 リフトオフ工法による蒸着時に使用され
    ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記
    載の蒸着用ルツボ。
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