JP2003165933A - インクジェット記録用インク、記録ユニット、ブツ発生抑制方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク、記録ユニット、ブツ発生抑制方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置

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JP2003165933A
JP2003165933A JP2001367355A JP2001367355A JP2003165933A JP 2003165933 A JP2003165933 A JP 2003165933A JP 2001367355 A JP2001367355 A JP 2001367355A JP 2001367355 A JP2001367355 A JP 2001367355A JP 2003165933 A JP2003165933 A JP 2003165933A
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head
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mmol
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Koichi Osumi
孝一 大角
Tomonari Watanabe
智成 渡邉
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録において、部材からイン
ク中に溶出したアルミニウムに起因する析出物によって
記録ヘッドのノズル近傍に生じると考えられるブツの発
生抑制方法、インクジェット記録用インク、記録ユニッ
ト、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及
びインクジェット記録装置。 【解決手段】 アルミナ若しくは金属アルミニウムを含
むインク接液部材を備えるインクジェット記録装置に用
いられるインクであって、(a)アルカリ金属の総濃度
が120mmol/kg以上であり、且つ炭酸及び炭酸
イオンの濃度の和が15mmol/kg以下であるか、
(b)アルカリ金属の水酸化物に由来するアルカリ金属
の総濃度が45mmol/kg以上であり、且つ炭酸及
び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下であ
るインクジェット用インク等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルジェット
方式やピエゾ方式等のオンデマンドタイプのインクジェ
ットプリンタに好適に使用できるインクジェット記録用
インク(記録液)、インクジェット記録装置用の記録ユ
ニット、インクジェット記録装置におけるノズル近傍の
析出物の発生を抑制するブツ発生抑制方法、上記インク
を用いたインクジェット記録方法、インクカートリッ
ジ、及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録装置の構
成材料には、堅牢性、耐腐食性等に優れているアルミナ
や、熱伝導性、電気伝導性等に優れている金属アルミニ
ウムが多く使用されている。しかし、これらの材質の部
材がインクと接触するような構成のインクジェット記録
装置においては、吐出の際に、使用するインクによって
は、インク吐出のヨレを生じる場合が観察された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このイ
ンク吐出のヨレについて検討を重ねたところ、アルミナ
は、確かに、堅牢性や耐腐食性等に優れており、腐食等
されることが少ないが、完全であるとは言えない場合が
あり、使用するインクによっては、微量ではあるが、例
えば、アルミナ製の部材からアルミン酸イオンが溶出す
ることがあることがわかった。同様に、金属アルミニウ
ム製の部材を使用している場合においても、インク中に
含まれるアルカリの存在によっては、例えば、アルミニ
ウムイオンやアルミン酸イオンとして溶出することがあ
る。
【0004】そして、インク中のアルミニウムやアルミ
ン酸イオン、若しくはそれら双方の濃度が、ある一定量
を超えた場合、その構成部品としての性能を害するまで
には至らなくても、インクジェット記録装置のノズル近
傍において、インク中の水分や揮発成分の蒸発等が生じ
たときに、インク中のイオンバランスやpH値の変化が
起こり、前記のようにしてインク中に含まれることとな
ったアルミニウム分(以下、単にアルミニウムと表現す
る)に起因する物質がノズル近傍で析出してブツを形成
し、このブツの存在がインク吐出のヨレを誘発する原因
となっていることが分かった。
【0005】又、従来より、インクの保存安定性等の所
望の性能のより一層の向上の為に、インク中にアルカリ
金属を含有させることがあるが、アルカリ金属のインク
中の含有量が一定量を超えた場合に、上記したアルミナ
若しくは金属アルミニウムの当該インクへの溶出が増加
する傾向があることもわかった。
【0006】従って、本発明の目的は、インクジェット
記録において、部材からインク中に溶出したアルミニウ
ムに起因する析出物が生じ、これによって記録ヘッドの
ノズル近傍に生じると考えられるブツの発生を有効に抑
制できるブツ発生抑制方法を提供することにある。又、
本発明の目的は、上記したブツの発生を抑制すること
で、インク吐出のヨレの発生が有効に防止されるインク
ジェット記録用インク、記録ユニット、インクジェット
記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記
録装置を提供することにある。更に、本発明の目的は、
インクジェット記録装置に使用するアルミナ若しくは金
属アルミニウム部材からのアルミニウムの溶出を有効に
抑制できる、インクジェット記録用インク、記録ユニッ
ト、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及
びインクジェット記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明の一実施態様に
かかるインクジェット記録用インクは、アルミナ若しく
は金属アルミニウムを含んでいるインク接液部材を具備
しているインクジェット記録装置に用いられるインクジ
ェット記録用インクであって、(a)アルカリ金属の総
濃度が120mmol/kg以上であり、且つ炭酸の濃
度及び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下
であるか、或いは、(b)アルカリ金属の水酸化物に由
来するアルカリ金属の総濃度が45mmol/kg以上
であり、且つ炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和が1
5mmol/kg以下である、ことを特徴とするもので
ある。
【0008】また本発明の他の実施態様にかかるインク
ジェット記録用インクは、アルミナ若しくは金属アルミ
ニウムを含んでいるインク接液部材を具備しているイン
クジェット記録装置に用いられるインクジェット記録用
インクであって、該インク中の炭酸の濃度及び炭酸イオ
ン濃度の和が15mmol/kg以下であり、且つ該イ
ンクは、炭酸の濃度及び炭酸イオン濃度の和が15mm
ol/kgを越えている場合には水酸化アルミニウムと
して析出するに十分な濃度のアルミン酸イオン及び又は
アルミニウムイオンを溶解可能なものであることを特徴
とするものである。
【0009】また本発明の他の態様にかかるインクジェ
ット記録用インクは、インク中に含まれるアルカリ金属
の総濃度が120mmol/kg以上で、且つ、炭酸の
濃度及び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以
下であることを特徴とし、更に好ましくは、上記インク
中のアンモニア若しくはアンモニウムイオンの合計量が
30mmol/kg以下である。また本発明の更に他の
実施態様にかかるインクジェット記録用インクは、イン
ク中に含まれるアルカリ金属の水酸化物に由来するアル
カリ金属の総濃度が45mmol/kg以上で、且つ、
炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/
kg以下であることを特徴とし、更に好ましくは、上記
インク中のアンモニア若しくはアンモニウムイオンの合
計量が30mmol/kg以下である。また本発明の一
実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクに
エネルギーを与えてインクを飛翔させ、被記録材に記録
を行う方法に上記したようなインクを用いることを特徴
とする。
【0010】又、本発明の別の実施形態は、上記の目的
を達成するための、インクジェット記録装置に使用され
る、記録ユニットにおいて、インクをインク滴として吐
出させるためのヘッドが、アルミナ若しくは金属アルミ
ニウムを構成材料とするヘッドからなり、且つ、該ヘッ
ドから吐出されるインクとして、上記のいずれかのイン
クを組み合わせたことを特徴とする記録ユニット、更
に、かかるユニットを使用するインクカートリッジ、及
びインクジェット記録装置である。
【0011】又、本発明の別の実施形態は、インクジェ
ット記録装置のヘッドのノズル近傍に生じる析出物の発
生を抑制するブツ発生抑制方法において、インクをイン
ク滴として吐出させるためのヘッドに、アルミナ若しく
は金属アルミニウムを構成材料とするヘッドを使用し、
該ヘッドに対するインクとして、上記のいずれかのイン
クを組み合わせて使用することを特徴とするブツ発生抑
制方法である。
【0012】本発明者らは、前記した従来技術の課題を
解決すべく鋭意検討の結果、インク中にアルミニウムイ
オンやアルミン酸イオンが溶出した場合であっても、そ
れらが水酸化アルミニウムとなって析出することを有効
に抑えることができることを見出した。即ち、インクジ
ェット記録に用いるインクとして上記構成を有するイン
クを使用することによって、具体的には、インク中のア
ルカリ金属の総濃度が120mmol/kg以上である
場合に、炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和を15m
mol/kg以下に抑えること、或いは、インク中のア
ルカリ金属の水酸化物に由来するアルカリ金属の総濃度
が45mmol/kg以上である場合に、炭酸の濃度及
び炭酸イオンの濃度の和を15mmol/kg以下に抑
えることによって、インクジェット記録装置の構成材料
として、アルミナ若しくは金属アルミニウムを使用して
いる場合であって、アルカリ金属の添加によってアルミ
ン酸イオンやアルミニウムイオンが高濃度で溶解した場
合においても、先に述べた弊害を有効に抑制できること
を見いだして本発明に至った。
【0013】即ち、上記のような構成のインクをインク
ジェット記録に採用した場合には、堅牢性、耐腐食性等
に優れたアルミナや、熱伝導性、電気伝導性等に優れた
金属アルミニウムを、インクジェット記録用の記録ヘッ
ドの構成材料として自由に使用できるようになる。本発
明者らの検討によれば、かかる効果は、上記した特定の
インクの構成を採用することで、構成材料であるアルミ
ナや金属アルミニウムがインク中に溶出することによっ
て生じるインク中のアルミニウムに起因する物質の析出
が有効に防止されることによって得られることがわかっ
た。更に、本発明者らの検討によれば、インク中のアン
モニア若しくはアンモニウムイオンの合計量を30mm
ol/kg以下とすれば、ノズル付近のアンモニアの蒸
発による急激なpH変化を抑えることができ、これによ
っても、インク吐出のヨレの原因となる、インクジェッ
ト記録装置のノズル近傍で生じる溶出したアルミニウム
に起因する析出物の発生が有効に抑えられることがわか
った。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳細に説明する。 (インク)本発明のインクジェット記録用インクの第一
の形態は、インク中に含まれるアルカリ金属の総濃度が
120mmol/kg以上であって、且つ、炭酸の濃度
及び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下で
あることを特徴とする。又、本発明のインクジェット記
録用インクの第二の形態は、インク中に含まれるアルカ
リ金属の水酸化物に由来するアルカリ金属の総濃度が4
5mmol/kg以上であって、且つ、炭酸の濃度及び
炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下である
ことを特徴とする。本発明のインクジェット用インク
は、上記した要件をそれぞれ満たすものであれば、イン
ク成分等については特に限定されないが、インクジェッ
ト記録用インクとして成り立つものでなければならない
ので、ノズルからの吐出特性や画像形成特性等を有する
ことは、勿論、必要である。本発明のインクジェット用
インクを形成する場合には、かかる観点から、色材、媒
体(溶媒)、添加剤等を適宜に選択して使用すればよ
い。
【0015】(インク中のアルカリ金属)上記した第一
の形態におけるインク中に含まれるアルカリ金属とは、
具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジ
ウム、及びセシウムを指す。フランシウムも、アルカリ
金属であるが、放射性元素であり、天然には殆ど存在し
ないので、その使用は実際には困難である。インク中に
アルカリ金属が含まれることとなる理由としては、pH
調整剤としての添加、色材等のカウンターイオンとして
の添加、及び他のインク成分に含まれている不純物等が
考えられるが、本発明におけるインク中に含まれるアル
カリ金属とは、これらの全ての形態での含有を含む。本
発明のインクジェット記録用インクの第一の形態は、イ
ンク中における上記したようなアルカリ金属の合計量が
120mmol/kg以上である場合において、炭酸の
濃度及び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以
下に制限されていることを特徴とするが、炭酸の濃度及
び炭酸イオンの濃度については後述する。尚、インク中
におけるトータルのアルカリ金属量は、ICP(プラズ
マ発光分析)によって簡単にその定量ができる。
【0016】(アルカリ金属の水酸化物)本発明のイン
クジェット記録用インクの第二の形態は、アルカリ金属
の水酸化物に由来するアルカリ金属の総濃度が45mm
ol/kg以上である場合において、炭酸の濃度及び炭
酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下に制限さ
れていることを特徴とするが、アルカリ金属の水酸化物
とは、上記したアルカリ金属の水酸化物であり、具体的
には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等々が挙げられる。
【0017】(インク中の炭酸及び炭酸イオン)本発明
のインクジェット記録用インクでは、インク中の炭酸及
び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下であ
ることを特徴とする。ここで、炭酸とは、化学式H2
3で表される化合物であり、炭酸イオンとは、化学式
HCO3 +及びCO3 2+で表される化合物である。本発明
においては、これらの化合物が塩の形でインク中に含有
されている場合も含まれる。炭酸及び炭酸イオンの濃度
の和とは、これらの合計量のことを指す。
【0018】(インク中のアンモニア若しくはアンモニ
ウムイオン)上記した本発明のインクジェット記録用イ
ンクの第一及び第二の形態のいずれのインクにおいて
も、更に、インク中におけるアンモニア若しくはアンモ
ニウムイオンの合計量が30mmol/kg以下に制限
されたものであることが好ましい。アンモニアとは、化
学式NH3で表される化合物であり、アンモニウムイオ
ンとは、化学式NH4 +で表される化合物である。又、こ
れらの化合物が塩の形で含有されている場合も含まれ
る。アンモニア若しくはアンモニウムイオンの合計量と
は、これらの合計量のことを指す。
【0019】先に述べたように、本発明のインクジェッ
ト記録用インクは、上記の構成要件を満足するものであ
れば、インク成分等については特に限定されないが、以
下にインクを形成するために一般的に用いられる色材及
び溶剤、必要に応じて使用される添加剤について説明す
る。 (色材)色材としては、染料及び顔料問わず用いること
ができる。染料の具体例について、インクの色調別に例
示する。勿論、本発明において使用できる染料は、以下
に挙げる染料に限られるわけではない。
【0020】(イエロー用の色材)イエロー用の染料と
しては、例えば、 C.I.ダイレクトイエロー:8、11、12、27、
28、33、39、44、50、58、85、86、8
7、88、89、98、100、110; C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、
23、25、29、36、38、40、42、44、7
6、98、99; C.I.リアクティブイエロー:2、3、17、25、
37、42; C.I.フードイエロー:3等が挙げられる。
【0021】(レッド用の色材)レッド用の染料として
は、例えば、 C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、11、20、
23、24、31、39、46、62、75、79、8
0、83、89、95、197、201、218、22
0、224、225、226、227、228、22
9、230; C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、1
8、26、27、32、35、42、51、52、8
0、83、87、89、92、106、114、11
5、133、134、145、158、198、24
9、265、289; C.I.リアクティブレッド:7、12、13、15、
17、20、23、24、31、42、45、46、5
9; C.I.フードレッド:87、92、94; C.I.ダイレクトバイオレット:107等が挙げられ
る。
【0022】(ブルー用の色材)ブルー用の染料として
は、例えば、 C.I.ダイレクトブルー:1、15、22、25、4
1、76、77、80、86、90、98、106、1
08、120、158、163、168、199、22
6; C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、2
3、25、29、40、43、59、62、74、7
8、80、90、100、102、104、117、1
27、138、158、161; C.I.リアクティブブルー:4、5、7、13、1
4、15、18、19、21、26、27、29、3
2、38、40、44、100等が挙げられる。
【0023】(ブラック用の色材)ブラック用の染料と
しては、例えば、 C.I.ダイレクトブラック:17、19、22、3
1、32、51、62、71、74、112、113、
154、168、195; C.I.アシッドブラック:2、48、51、52、1
10、115、156; C.I.フードブラック1、2等が挙げられる。
【0024】又、顔料についても特に限定はなく、分散
剤を用いて溶媒中に安定に分散させる通常の顔料のほ
か、分散剤を特に使用しなくても溶媒中に分散可能とな
るように顔料粒子の表面が改質された、自己分散型の顔
料等も含まれる。上記に挙げた染料或いは顔料等の色材
の、インク中における含有量についても特に限定されな
い。
【0025】(媒体)次に、本発明に係るインクの形成
に用いることのできる媒体について説明する。本発明に
係るインクは、通常、水性媒体に、上記に挙げたような
色材が溶解或いは分散されて形成される。水性媒体とし
ては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶媒との混合
溶媒が挙げられるが、本発明においては、特に、水と水
溶性有機溶媒との混合溶媒を使用することが好ましい。
水溶性有機溶媒としては、インクの乾燥防止効果を有す
るものが特に好ましい。
【0026】水溶性有機溶媒としては、例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
ル等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコー
ル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子
を含むポリオール類;ポリエチレングリコールモノメチ
ルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテ
ート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又
はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又
はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチ
ル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ア
ルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピ
ロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン等が挙げられる。
【0027】上記に挙げたような水溶性有機溶媒は、単
独でも或いは混合物としても使用することができる。水
としては、脱イオン水を用いることが望ましい。又、本
発明に係るインク中に含有される水溶性有機溶媒の量は
特に限定されないが、インク全質量に対して、3〜50
質量%の範囲とすることが好適である。又、インク中の
水の量は、インク全質量に対して50〜95質量%の範
囲とすることが好適である。
【0028】(添加剤)その他、必要に応じて所望の物
性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、
防腐剤、防黴剤、pH調整剤、酸化防止剤等の添加剤を
添加することができる。
【0029】(インクジェット記録装置用記録ユニッ
ト)又、本発明の記録ユニットは、インクジェット記録
装置に使用されるものであって、インクをインク滴とし
て吐出させるためのヘッドが、アルミナ若しくは金属ア
ルミニウムを構成材料とするヘッドからなり、且つ、該
ヘッドから吐出されるインクとして、上記で説明した本
発明に係るインクを組み合わせて使用するものであるこ
とを特徴とする。具体的には、インクジェット記録装置
に使用される記録ユニットのインクを吐出させるための
ヘッドが、アルミナ若しくは金属アルミニウムを構成材
料とするものである場合において、これに組み合わせて
使用されるインクとして、インク中に含まれるアルカリ
金属の総濃度が120mmol/kg以上であって、且
つ、炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和が15mmo
l/kg以下であるインクジェット記録用インク、或い
は、インク中に含まれるアルカリ金属の水酸化物に由来
するアルカリ金属の総濃度が45mmol/kg以上で
あって、且つ、炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和が
15mmol/kg以下であるインクジェット記録用イ
ンク、より好ましくは、更に、上記した各インク中にお
けるアンモニア若しくはアンモニウムイオンの合計量
が、30mmol/kg以下に制限されたインクジェッ
ト記録用インクを用いることを特徴とする。
【0030】記録ユニットを上記したように構成するこ
とで、その構成材料に、堅牢性、耐腐食性等に優れたア
ルミナや、熱伝導性、電気伝導性等に優れた金属アルミ
ニウムを自由に使用することができるようになり、この
結果、高性能なヘッドを有し、しかも、ヘッドのノズル
近傍へのアルミニウムの析出によるブツ発生が有効に抑
制された、インク吐出のヨレのない記録ユニットとする
ことができる。又、上記の構成は、当然に、インク収容
部からインクが吐出するまでの間のインク流路のよう
な、直接インクが接する構成部材が、アルミナ若しくは
金属アルミニウムを材料として構成されているような記
録ユニットである場合に特に効果があるが、アルミナ若
しくは金属アルミニウムを材料とする部材が、直接イン
クが接する構成部材でなくても、直接インクが接する他
部材を介して、アルミナ若しくはアルミニウムがインク
中に溶出する可能性がある記録ユニットにおいても、効
果がみられる。
【0031】(インクジェット記録におけるノズル近傍
のブツ発生抑制方法)本発明における、ブツ発生抑制方
法とは、インクジェット記録装置の記録ヘッドを構成し
ているアルミナ若しくは金属アルミニウムのインク中へ
の溶解に起因する、記録ヘッドのノズル近傍でのブツの
発生を抑えることを達成する方法であって、インクジェ
ット記録において、インク吐出のヨレの発生を有効に防
止することができるという効果がもたらされるものであ
る。
【0032】本発明のブツ発生抑制方法は、インクジェ
ット記録装置のヘッドのノズル近傍に生じる析出物の発
生を抑制する方法であって、インクを吐出させるための
ヘッドに、アルミナ若しくは金属アルミニウムを構成材
料とするヘッドを使用する場合に、該ヘッドに対して、
先に説明した本発明にかかるインクを組み合わせて使用
することを特徴とする。具体的には、インクを吐出させ
るためのヘッドが、アルミナ若しくは金属アルミニウム
を構成材料とするものである場合において、これに組み
合せて使用するインクとして、インク中に含まれるアル
カリ金属の総濃度が120mmol/kg以上であっ
て、且つ、炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和が15
mmol/kg以下であるインクジェット記録用イン
ク、或いは、インク中に含まれるアルカリ金属の水酸化
物に由来するアルカリ金属の総濃度が45mmol/k
g以上であって、且つ、炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃
度の和が15mmol/kg以下であるインクジェット
記録用インク、より好ましくは、更に、インク中におけ
るアンモニア若しくはアンモニウムイオンの合計量が3
0mmol/kg以下に制限されたインクジェット記録
用インクを用いることを特徴とする。
【0033】(メカニズム)詳細は不明であるが、以下
のメカニズムでアルミナ部材やアルミニウム部材からア
ルミニウムがインク中に溶出し、これら溶解したアルミ
ニウムに起因する物質が、下記のようにしてノズル近傍
等に析出されると考えられる。先ず、アルミナや金属ア
ルミニウムは、主に、下記反応式1及び反応式2に示し
た化学反応によって、アルミン酸イオンAlO2 -として
溶解する。尚、これらの反応式中のMは、アルカリ金属
を表す。
【0034】<反応式1> Al23+2MOH→2AlO2 -+2M++H2O <反応式2> 2Al+2MOH+2H2O→2AlO2 -+2M++3H2
【0035】このため、強塩基を成分として含むインク
が、インクジェット記録装置の構成材料として使用され
ているアルミナや金属アルミニウムと直接、若しくは他
の部材を介して接触すると、上記に挙げた反応式1及び
反応式2の如き化学反応によって、インク中にアルミン
酸イオンAlO2 -が溶出してくる。そして、インクジェ
ット記録装置のノズル近傍において、インク中の水分や
揮発成分の蒸発等の要因で、インク中のイオンバランス
やpH値の変化が起こる結果、上記のインク中に溶出し
たアルミン酸イオンAlO2 -が、水に殆ど溶解しない水
酸化アルミニウムAl(OH)3としてノズル近傍に析出し
てブツとなり、これがインク吐出のヨレを誘発するもの
と考えられる。
【0036】このアルミン酸イオンAlO2 -から水酸化
アルミニウムAl(OH)3が生成する化学反応の一例は、
下記の反応式3で表される。 <反応式3> AlO2 -+H++H2O→Al(OH)3
【0037】本発明者らの検討によれば、上記反応式3
に示したアルミン酸イオンAlO2 -から、水酸化アルミ
ニウムAl(OH)3が生成する化学反応は、弱酸である炭
酸及び炭酸イオンの存在によって、特に顕著に促進され
ることがわかった。上記反応式3から、酸の存在下にお
いて、アルミン酸イオンAlO2 -から水酸化アルミニウ
ムAl(OH)3が生成する化学反応が促進されることは容
易に考えられる。しかし、上記反応式3からは、炭酸及
び炭酸イオンの存在が、水酸化アルミニウムAl(OH)3
の析出を顕著に促進させる理由は定かではない。
【0038】ここで、強酸の存在下では、下記反応式4
に表されるように、水に殆ど溶解しない水酸化アルミニ
ウムAl(OH)3は、水に可溶な水和アルミニウムイオン
[Al(H2O)6]3 +となる。この化学反応4が関与する結
果、強酸存在下よりも、弱酸である炭酸及び炭酸イオン
の存在量が多くなることによって、Al(OH)3の析出が
顕著に促進されるものと考えられる。 <反応式4> Al(OH)3+H++H2O→[Al(H2O)6]3 +
【0039】本発明者らは、上記した知見に基づき、イ
ンク中における炭酸及び炭酸イオン量を減らすことで、
インク中に溶出したアルミン酸イオンAlO2 -が、水酸
化アルミニウムAl(OH)3として析出してくることを有
効に抑制できると考え、インク中における炭酸及び炭酸
イオンの含有量について種々検討を行った。その結果、
インク中における炭酸及び炭酸イオン量を15mmol
/kg以下に制限することで、記録ヘッドのノズル近傍
において、インク中の水分や揮発成分の蒸発等の要因で
インク中のイオンバランスやpH値の変化が起こったと
しても、インク中に溶出したアルミン酸イオンAlO2 -
が、水酸化アルミニウムAl(OH)3として析出すること
が有効に抑制できることを見いだした。この結果、記録
ヘッドのノズル近傍において生じる物の発生が抑制さ
れ、これに起因して生じていたと考えられるインク吐出
のヨレの程度が有効に緩和される。
【0040】(インクジェット記録装置等)次に、前記
した本発明の記録ユニットを適用した本発明のインクジ
ェット記録装置の一例を以下に説明する。先ず、熱エネ
ルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であ
るヘッド構成の一例を、図1及び図2に示す。図1は、
インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2
は、図1のA−B線での切断面図である。
【0041】ヘッド13は、インクを通す流路(ノズ
ル)14を有するガラス、セラミック、アルミナ、シリ
コン又はプラスチック板等と、発熱素子基板15とを接
着して得られる。発熱素子基板15は、酸化シリコン、
窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層1
6、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成
される電極17−1及び17−2、HfB2、TaN、
TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層1
8、熱酸化シリコン、アルミナ(酸化アルミニウム)等
で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒
化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板
20よりなっている。本発明では、例えば、上記インク
を通す流路(ノズル)14や蓄熱層19が、堅牢性及び
耐腐食性に優れるアルミナ(酸化アルミニウム)からな
る場合や、電極17や基板20が、熱伝導性及び電気伝
導性に優れるアルミニウムからなる場合に、特に顕著な
効果が得られる。
【0042】上記ヘッド13の電極17−1及び17−
2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板
15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接
しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニス
カス23が突出し、インク21がヘッドのノズル14を
通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24
となり、被記録材25に向かって飛翔する。図3には、
図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の
外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26
を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じよ
うな発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0043】図4に、このヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワ
イピング部材としてのブレードであり、その一端はブレ
ード保持部材によって保持固定されており、カンチレバ
ーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による
記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、
記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持され
る。
【0044】62は、記録ヘッド65の突出口面のキャ
ップであり、ブレード61に隣接するホームポジション
に配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に
移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行
う構成を備える。更に、63は、ブレード61に隣接し
て設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同
様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持
される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸
収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード
61及びインク吸収体63によって、吐出口面の水分や
塵埃等の除去が行われる。
【0045】65は、吐出エネルギー発生手段を有し、
吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを
吐出して記録を行う記録ヘッド、66は、記録ヘッド6
5を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリ
ッジである。キャリッジ66は、ガイド軸67と摺動可
能に係合し、キャリッジ66の一部は、モーター68に
よって駆動されるベルト69と接続(不図示)してい
る。これによりキャリッジ66は、ガイド軸67に沿っ
た移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及
びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0046】51は、被記録材を挿入するための紙給
部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りロ
ーラーである。これらの構成により、記録ヘッド65の
吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が
進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排
紙される。以上の構成において、記録ヘッド65が記録
終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。そ
の結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
【0047】尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出
面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は
記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記
録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移
動する場合、キャップ62及びブレード61は、上記し
たワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結
果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワ
イピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジション
への移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記
録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の
間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、
この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0048】図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例
えば、チューブを介して供給されるインクを収容したイ
ンクカートリッジの一例を示す図である。ここで40
は、供給用インクを収納したインク収容部、例えば、イ
ンク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられ
ている。この栓42に針(不図示)を挿入することによ
り、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にす
る。44は、廃インクを受容するインク吸収体である。
インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィ
ン、特にポリエチレンで形成されているものが好まし
い。
【0049】本発明のインクジェット記録装置は、上述
のように記録ヘッドとインクカートリッジとが別体とな
ったものに限らず、図6に示すような、それらが一体に
なったものも好ましい形態である。図6において、70
は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したイ
ンク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、
かかるインク吸収体中のインクが、複数オリフィスを有
するヘッド部71からインク滴として吐出される構成に
なっている。インク吸収体の材料としては、ポリウレタ
ンやポリオレフィン繊維等を用いることが好ましい。
又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ
等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72
は、カートリッジ内部を大気に連通させるための大気連
通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘ
ッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ
66に対して着脱自在になっている。
【0050】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により
限定されるものではない。尚、以下の記載で、「部」及
び「%」とあるものは特に断りのない限り質量基準であ
る。
【0051】(実施例1) ・グリセリン 10部 ・ジエチレングリコール 16部 ・4N−水酸化リチウム 0.5部 ・C.I.フードブラック2 4.5部 ・アセチレノールEH(非イオン性界面活性剤)1部 ・水 68部
【0052】(実施例2) ・グリセリン 10部 ・ジエチレングリコール 16部 ・4N−水酸化リチウム 1.2部 ・染料(I) 0.5部 ・C.I.アシッドレッド289 2.5部 ・アセチレノールEH(非イオン性界面活性剤)1部 ・水 68.8部
【0053】本実施例で使用した染料(I)とは、下記
の構造をもつ染料である。
【0054】(比較例1)実施例1のインクに、市販の
炭酸アンモニウム(NH4HCO3・NH4CO2NH2
20mmol/kgを添加し、その分、水の添加量を減
らして合計100部となるようにして調製したインク
を、比較例1のインクとした。
【0055】(比較例2)実施例2のインクに、市販の
炭酸アンモニウム(NH4HCO3・NH4CO2NH2
10mmol/kgを添加し、その分、水の添加量を減
らして合計100部となるようにして調製したインク
を、比較例2のインクとした。
【0056】下記表1に、実施例1、2、比較例1、2
で使用したインク中の、「アルカリ金属の総濃度」(ア
ルカリ金属量と表示)、「アルカリ金属の水酸化物に由
来するアルカリ金属の総濃度」(水酸化アルカリ金属量
と表示)、「炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の和」
(炭酸量と表示)及び「アンモニア若しくはアンモニウ
ムイオンの合計量」(アンモニア量と表示)を示した。
尚、単位は、全てmmol/kgである。
【0057】
【0058】(評価方法)キヤノン製インクジェットプ
リンタBJS600の改造機に、実施例1、2、比較例
1、2の各インクを充填し、30℃/10RH%の環境
下で1ヶ月放置させた後、上記インクを吐出させ、ヨレ
の評価を行った。評価に使用したプリンタのインクを吐
出させるヘッド部の構成部材には、アルミナで作られた
構成部材が使用されている。評価パターンは、専用のコ
ート紙(商品名HR−101、キヤノン製)に、同ピッ
チで細線が引かれたパターンを印字し、目視にて評価し
た。液滴(インク滴)の着弾点が正規の位置であれば、
人間の目には非常に均一なハーフトーンのパターンとし
て認識される。もし、着弾点が正規の位置からずれる
と、ムラやスジといった形が見えてくる。
【0059】(評価結果)実施例1及び実施例2のイン
クを使用して印字した評価パターンには、ムラやスジが
見られず、インク吐出のヨレは生じないことが確認でき
た。これに対して、比較例1及び比較例2のインクを使
用して印字した評価パターンには、ムラやスジが存在
し、インク吐出のヨレが生じていた。
【0060】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、イン
クジェット記録において、部材からインク中に溶出した
アルミニウムに起因する析出物が生じ、これによって記
録ヘッドのノズル近傍に生じると考えられるブツの発生
を有効に抑制できるブツ発生抑制方法が提供される。
又、本発明によれば、上記したブツの発生を抑制するこ
とで、インク吐出のヨレの発生が有効に防止されるイン
クジェット記録用インク、記録ユニット、インクジェッ
ト記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット
記録装置が提供される。更に、本発明によれば、性能に
優れるアルミナ若しくは金属アルミニウム部材を適宜に
使用でき、しかもこれらの部材からのアルミニウムの溶
出が低減され、優れた画像が提供されるインクジェット
記録方法、インクジェット記録装置、記録ユニット、イ
ンクカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの一実施態様
を示す縦断面図である。
【図2】図1のA−B線断面図である。
【図3】マルチヘッドの概略説明図である。
【図4】インクジェット記録装置の一実施態様を示す概
略斜視図である。
【図5】インクカートリッジの一実施態様を示す縦断面
図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:ノズル 15:発熱素子基板 16:保護層 17−1、17−2:電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 26:マルチノズル 27:ガラス板 28:発熱ヘッド 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA21 FA03 FC02 2C057 AF70 AG46 AQ06 BA13 2H086 BA59 BA60 4J039 GA24

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ若しくは金属アルミニウムを含
    んでいるインク接液部材を具備しているインクジェット
    記録装置に用いられるインクジェット記録用インクであ
    って、(a)アルカリ金属の総濃度が120mmol/
    kg以上であり、且つ炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度
    の和が15mmol/kg以下であるか、或いは、
    (b)アルカリ金属の水酸化物に由来するアルカリ金属
    の総濃度が45mmol/kg以上であり、且つ炭酸の
    濃度及び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以
    下である、ことを特徴とするインクジェット記録用イン
    ク。
  2. 【請求項2】 アルミナ若しくは金属アルミニウムを含
    んでいるインク接液部材を具備しているインクジェット
    記録装置に用いられるインクジェット記録用インクであ
    って、該インク中の炭酸の濃度及び炭酸イオン濃度の和
    が15mmol/kg以下であり、且つ該インクは、炭
    酸の濃度及び炭酸イオン濃度の和が15mmol/kg
    を越えている場合には水酸化アルミニウムとして析出す
    るに十分な濃度のアルミン酸イオン及び/又はアルミニ
    ウムイオンを溶解可能なものであることを特徴とするイ
    ンクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 インク中に含まれるアルカリ金属の総濃
    度が120mmol/kg以上で、且つ、炭酸の濃度及
    び炭酸イオンの濃度の和が15mmol/kg以下であ
    ることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  4. 【請求項4】 更に、前記インク中のアンモニア若しく
    はアンモニウムイオンの合計量が30mmol/kg以
    下である請求項3に記載のインクジェット記録用イン
    ク。
  5. 【請求項5】 インクジェット記録装置に使用される、
    インクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を有
    する記録ユニットにおいて、上記ヘッドが、アルミナ若
    しくは金属アルミニウムを構成材料とするヘッドからな
    り、且つ、該ヘッドから吐出されるインクとして、請求
    項3又は4に記載のインクを組み合わせたことを特徴と
    する記録ユニット。
  6. 【請求項6】 インクジェット記録装置のヘッドのノズ
    ル近傍に生じる析出物の発生を抑制するブツ発生抑制方
    法において、インクを吐出させるためのヘッドに、アル
    ミナ若しくは金属アルミニウムを構成材料とするヘッド
    を使用し、該ヘッドに対して、請求項3又は4のインク
    を組み合わせて使用することを特徴とするブツ発生抑制
    方法。
  7. 【請求項7】 インク中に含まれるアルカリ金属の水酸
    化物に由来するアルカリ金属の総濃度が45mmol/
    kg以上で、且つ、炭酸の濃度及び炭酸イオンの濃度の
    和が15mmol/kg以下であることを特徴とするイ
    ンクジェット記録用インク。
  8. 【請求項8】 更に、前記インク中のアンモニア若しく
    はアンモニウムイオンの合計量が30mmol/kg以
    下である請求項7に記載のインクジェット記録用イン
    ク。
  9. 【請求項9】 インクジェット記録装置に使用される、
    インクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を有
    する記録ユニットにおいて、上記ヘッドが、アルミナ若
    しくは金属アルミニウムを構成材料とするヘッドからな
    り、且つ、該ヘッドから吐出されるインクとして、請求
    項7又は8に記載のインクを組み合わせたことを特徴と
    する記録ユニット。
  10. 【請求項10】 インクジェット記録装置のヘッドのノ
    ズル近傍に生じる析出物の発生を抑制するブツ発生抑制
    方法において、インクを吐出させるためのヘッドに、ア
    ルミナ若しくは金属アルミニウムを構成材料とするヘッ
    ドを使用し、該ヘッドに対して、請求項7又は8のイン
    クを組み合わせて使用することを特徴とするブツ発生抑
    制方法。
  11. 【請求項11】 インクにエネルギーを与えてインクを
    飛翔させ、被記録材に記録を行うインクジェット記録方
    法において、上記インクが請求項3又は7に記載のイン
    クであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 エネルギーが、熱エネルギーである請
    求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 インクを収容したインク収容部と、イ
    ンクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を有す
    る記録ユニットを備えたインクカートリッジにおいて、
    上記記録ユニットが請求項5又は9に記載の記録ユニッ
    トであることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. 【請求項14】 インクを収容したインク収容部と、該
    インクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を有
    する記録ユニットとを備えたインクジェット記録装置に
    おいて、上記記録ユニットが請求項5又は9に記載の記
    録ユニットであることを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  15. 【請求項15】 インクを収容したインク収容部と、イ
    ンクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を備え
    たインクカートリッジを備えたインクジェット記録装置
    において、上記インクカートリッジが請求項13に記載
    のインクカートリッジであることを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
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