JP2003164492A - 電動車椅子 - Google Patents

電動車椅子

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JP2003164492A
JP2003164492A JP2001367331A JP2001367331A JP2003164492A JP 2003164492 A JP2003164492 A JP 2003164492A JP 2001367331 A JP2001367331 A JP 2001367331A JP 2001367331 A JP2001367331 A JP 2001367331A JP 2003164492 A JP2003164492 A JP 2003164492A
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Isao Kishimoto
功 岸本
Takashi Asawa
貴 浅和
Hisashi Kamiyabu
寿 神藪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 段差を乗り越えた直後に勢いよく走り出すこ
とを防止して、段差乗り越えが容易な電動車椅子を提供
する。 【解決手段】 車体1と、当該車体1に備えられた車輪
4と、操作者が力を加えて車椅子を走行させるための操
作体7と、前記操作体7に加えられた操作力を検知する
操作力検知部と、前記車輪4を回転駆動するモータ31
を含む駆動部と、当該操作力検知部で検知された操作力
に応じて前記モータ31の回転を制御する制御部12
と、前記モータ31の回転を減速して低速・高トルクで
前記車輪4を回転させる減速部Rとを備え、前記駆動部
3の出力回転が前記減速Rによって減速せずに前記車輪
4に伝えられる通常走行状態と前記駆動部3の出力回転
が前記減速部Rを介して減速して前記車輪4に伝えられ
る減速走行状態が選択的に切り換え可能に構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動車椅子に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電動車椅子としては、いわゆる電
動補助型車椅子や自走型電動車椅子がある。前記電動補
助型車椅子は、介護者が車体を押し引きする操作力と、
この操作力に基づいてモータで発生させた補助駆動力と
によって推進するものである。
【0003】ここで、介護者の操作力は、介護者用のハ
ンドルに設けられた操作力検知部によって検知され、介
護者がこのハンドルに加えた操作力が所定の設定値を超
えると、モータにより駆動力が生じる。なお、このよう
な操作力検知部は、車輪に沿って設けられたハンドリム
に内蔵することもでき、このようなハンドリムは搭乗者
によって操作される。
【0004】上記のような電動補助型車椅子では、介護
者がハンドルに付与する操作力若しくは搭乗者自身がハ
ンドリムに付与する操作力が操作力検知部によって検知
され、その検知結果に応じた補助駆動力がモータにより
車輪に提供される。
【0005】したがって、例えば登り坂においては、操
作力に応じた前進方向への補助駆動力がモータにより提
供され、介護者又は搭乗者(以下、両者の総称として
「操作者」という)の負担は軽減される。また、下り坂
においては、操作者が後進方向への操作をすることによ
り、モータに逆方向の補助駆動力を発生させて、車椅子
の加速を防止する。従って、操作者の負担は軽減され
る。
【0006】また、前記自走型電動車椅子は、モータに
よる駆動力を操作者による操作力の補助として用いるの
ではなく、操作者が操作力を加えることなくモータの駆
動力だけで車椅子を自走させるものである。このような
自走型電動車椅子には、搭乗者が車椅子の自走操作を行
えるように操作手段としてジョイスティックなどが車体
に設けられており、ジョイスティックの操作に応じた駆
動力がモータによって発生して車輪に与えられて車椅子
が自走する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような電動車椅
子では、段差を乗り越えるのが難しいという問題があ
る。すなわち、電動補助型車椅子では、段差を乗り越え
るために操作者がハンドルやハンドリムを大きな力で操
作すると、操作力が大きいことに対応してモータによる
補助駆動力も大きくなる。しかし、段差を乗り越えた直
後に必要とされる駆動力が急激に小さくなるため、モー
タの回転速度が急激に上昇することとなり、段差を乗り
越えた直後に車椅子が勢い良く走り出すという問題が発
生する。
【0008】また、自走型電動車椅子でも、段差を乗り
越えることができる程度の駆動力を発生させると、電動
補助型車椅子と同様に、モータの駆動力によって段差を
乗り越えた直後に、モータの回転速度が急激に上昇し
て、車椅子が勢い良く走りだすという問題が発生する。
【0009】このように、電動車椅子では、モータによ
る駆動力があるため、段差を乗り越える際の操作を相当
慎重に行わなければ、段差を乗り越えた直後に勢いよく
走り出すことを防止することができなかった。
【0010】本発明は、かかる問題に鑑みてなされたも
のであって、段差を乗り越えた直後に勢いよく走り出す
ことを防止して、段差乗り越えが容易な電動車椅子を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電動車椅子
は、車体と、当該車体に備えられた車輪と、操作者が力
を加えて車椅子を走行させるための操作体と、前記操作
体に加えられた操作力を検知する操作力検知部と、前記
車輪を回転駆動するモータを含む駆動部と、当該操作力
検知部で検知された操作力に応じて前記モータの回転を
制御する制御部と、前記モータの回転を減速して低速・
高トルクで前記車輪を回転させる減速部と、を備え、前
記駆動部の出力回転が前記減速部によって減速せずに前
記車輪に伝えられる通常走行状態と前記駆動部の出力回
転が前記減速部を介して減速して前記車輪に伝えられる
減速走行状態とが選択的に切り換え可能に構成されてい
る。
【0012】平坦な道や坂道を走行する際には、回転制
御された駆動部の出力回転が減速せずに前記車輪に伝え
られる通常走行状態としておき、操作者がハンドルやハ
ンドリムなどの操作体を操作すると、操作者が操作体に
与えた操作力に応じた補助駆動力がモータによって発生
し、操作者の負担が少ない状態で走行をすることができ
る。そして、段差を乗り越える際には、駆動部の出力回
転が減速部を介して減速して前記車輪に伝えられる減速
走行状態としておくと、車椅子の走行は、減速部によっ
て低速・高トルク化する。車椅子の走行状態が高トルク
化しているので、段差を乗り越えるための大きな力が得
られ車椅子は容易に段差を乗り越えることができ、しか
も大きな力を発生させても車椅子は低速化しているの
で、段差を乗り越えた直後に車椅子が勢いよく走りだす
ことを防止でき、操作者による段差乗り越えの際の操作
が容易となる。
【0013】また、本発明に係る電動車椅子は、車体
と、当該車体に備えられた車輪と、当該車輪を回転駆動
するモータを含む駆動部と、車椅子を自走させるための
操作を行う自走操作部と、当該自走操作部の操作に応じ
て前記モータの回転制御を行う制御部と、前記モータの
回転を減速して低速・高トルクで前記車輪を回転させる
減速部と、を備え、前記駆動部の出力回転が前記駆動部
によって減速せずに前記車輪に伝えられる通常走行状態
と前記駆動部の出力回転が前記減速部を介して減速して
前記車輪に伝えられる減速走行状態とが選択的に切り換
え可能に構成されているものとすることができる。
【0014】この場合も、平坦な道や坂道を走行する際
には、回転制御された駆動部の出力回転が減速せずに前
記車輪に伝えられる通常走行状態としておくと、自走操
作部の操作に応じた駆動力が駆動部によって発生し、通
常の走行を行うことができる。そして、段差を乗り越え
る際には、駆動部の出力回転が減速部を介して減速して
前記車輪に伝えられる減速走行状態としておくと、車椅
子の走行は、減速部によって低速・高トルク化する。車
椅子の走行状態が高トルク化しているので、段差を乗り
越えるための大きな力が得られ車椅子は容易に段差を乗
り越えることができ、しかも大きな力を発生させても車
椅子は低速化しているので、段差を乗り越えた直後に車
椅子が勢いよく走りだすことを防止でき、段差乗り越え
の際の自走操作部の操作が容易となる。
【0015】また、本発明では、前記通常走行状態と前
記減速走行状態の切り換えを手動で行うための手動切換
部を備えているのが好ましい。この場合、通常走行状態
と減速走行状態の切り換えを簡単な構成で実現できる。
【0016】あるいは、前記通常走行状態と前記減速走
行状態の切り換えを行うための切換駆動力を発生する切
換装置と、当該切換装置を操作するための切換スイッチ
とを備えているものとすることができる。走行状態切り
換えのための切換装置と切換スイッチとを備えることで
手動切換部に比べて容易に切換を行うことができる。
【0017】また、本発明では、前記制御部は、前記減
速走行状態においては、前記車輪が前進方向に一定の駆
動力で回転するように前記モータを駆動制御することが
できる。この場合、減速走行状態とすれば、車椅子への
操作に関係なく、車椅子が低速・高トルクの状態で前進
走行するため、操作が不要で段差乗り越えが容易とな
る。しかも、電動車椅子が前記操作体を有する場合に、
当該操作体が介護者の操作力を前記車体に加えるための
操作ハンドルとして構成されていれば、操作ハンドルに
加えた操作力にかかわらず、車輪が前進方向に一定の駆
動力で回転するので、介護者は、段差乗り越えをよりス
ムーズにするために操作ハンドルを後方に引いて前輪上
げを促すなどの動作が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施
形態に係る電動車椅子として電動補助型車椅子を示して
いる。この電動車椅子の車体1は、複数のパイプ部材か
らなるフレーム2と、モータ等を内蔵した左右一対の駆
動部3のユニットとを備えている。駆動部3のユニット
は、モータの他、減速機構も備えており、モータの回転
は減速機構を介して駆動部出力軸32から出力される。
なお、駆動部3は、駆動部出力軸32をモータによって
直接回転させるダイレクトドライブ方式であってもよ
い。
【0019】駆動輪となる一対の車輪4(図1では輪郭
のみを略記)は、各駆動部3に取り付けられている。車
輪4は、駆動部3の駆動部出力軸32に取り付けられる
ハブ41と、タイヤ42が取り付けられるリム43と、
ハブ41とリム43との間に延設されたスポーク又はア
ーム44とを備えて構成されており、介護者の人力とモ
ータの補助駆動力とによって回転する。
【0020】なお、車体1の前部には、一対のキャスタ
5が前輪として取り付けられて、左右のフレーム2の上
部には、アームレスト6が取り付けられている。左右の
フレーム2間には、座シートS1及び背シートS2(図
2参照)が張設されている。背シートS2の背面側に
は、バッテリポケットP1及び制御部ポケットP2が設
けられている。
【0021】車体1の後方最上部には、介護者が力を加
えて車椅子を走行させるための操作体として操作ハンド
ル7が設けられ、その下部にブレーキレバー8が取り付
けられている。操作ハンドル7は内部に操作力検知部と
しての例えばポテンショメータを有しており、電動車椅
子を押し引き操作する介護者の操作力を検知することが
できる。なお、操作力検知部としてはポテンショメータ
に代えて、ストレインゲージを含むブリッジ回路を用い
ても良い。また、介護者なしでも電動補助ができるタイ
プの電動車椅子では、車輪4に設けられたハンドリム
(図示省略)に操作力検知部が設けられ、この操作力検
知部により、搭乗者がハンドリムに与える操作力が検知
される。
【0022】なお、上記ブレーキレバー8は、他のブレ
ーキレバー9とワイヤ10を介して連係しており、どち
らか一方からのブレーキ操作により、機械的に車輪4を
制動することができる。
【0023】図2において、上記バッテリポケットP1
及び制御部ポケットP2には、それぞれバッテリ11及
び制御部12が収納されている。バッテリ11と制御部
12とは、ケーブルC1により互いに接続されている。
また、制御部12と、左右の駆動部3及び左右の操作部
7とは、それぞれ、ケーブルC2,C3及びケーブルC
4,C5によって接続されている。
【0024】図3は、車輪4のハブ41の拡大断面図で
あり、ハブ41の内部には遊星歯車機構からなる減速部
Rが設けられている。減速部となる遊星歯車機構Rは、
駆動部出力軸32に取り付けられて当該出力軸32と一
体的に回転する太陽歯車R1と、太陽歯車R1と同軸状
に配置された内歯歯車R2と、太陽歯車R1と内歯歯車
R2との間で回転可能な環状の保持器R3によって支持
された遊星歯車R4とを有している。
【0025】前記保持器R3は、前記ハブ41に取り付
けられており、保持器R3の回転と同速の回転速度でハ
ブ41(車輪4)が回転する。なお、駆動部出力軸32
はハブ41に対してベアリングB1を介して相対回転自
在に支持されている。遊星歯車機構Rの内歯歯車R2
は、駆動部出力軸32に対してベアリングB2を介して
相対回転自在であるとともに軸方向にスライド自在に設
けられている。この内歯歯車R2は、駆動部3のハウジ
ング3aに一体的に設けられた固定体3bによって回転
不能とされる固定位置(図3の位置)と、太陽歯車R1
と一体的に回転する回転位置(図3の位置から左に移動
した位置)とに軸方向スライド移動自在とされている。
なお、以下では、固定位置を「減速走行位置」ともい
い、回転位置を「通常走行位置」ともいう。
【0026】内歯歯車R2は、固定位置にあるときに
は、固定体3bとの当接によって回転不能とされてい
る。例えば、内歯歯車R2と固定体3bの両接触面同士
を摩擦面としておき、摩擦抵抗によって内歯歯車R2の
回転を阻止することができる。あるいは、内歯歯車R2
と固定体3bの両接触面にそれぞれ噛合部を形成してお
き、内歯歯車R2が固定体3bに当接したときの噛合部
同士の噛み合わせにより内側歯車R2の回転を阻止する
こともできる。
【0027】内歯歯車R2は、回転位置にあるときに
は、太陽歯車R1との当接によって太陽歯車R1と一体
的に回転可能とされている。太陽歯車R1と内歯歯車R
2とを一体回転させるには、固定位置と同様に、太陽歯
車R1と内歯歯車R2の両接触面同士を摩擦面とする
か、あるいは両接触面にそれぞれ噛合部を形成すればよ
い。
【0028】内歯歯車R2が前記固定位置にある場合、
駆動部出力軸32の回転によって太陽歯車R1が回転す
ると、内歯歯車R2が固定されていることから、遊星歯
車R4の保持器R3は減速して回転する。したがって、
駆動部3の出力回転が減速して低速・高トルク化された
回転がハブ41に伝達され、車輪4は低速・高トルクで
回転し、車椅子は減速走行状態で走行する。
【0029】また、内歯歯車R2が前記回転位置にある
場合、駆動部出力軸32の回転によって太陽歯車R1が
回転すると、内歯歯車R2も太陽歯車R1と一体的に同
じ回転速度で回転することから、遊星歯車R4は自転せ
ず、保持器R3は太陽歯車R1と同じ回転速度で回転す
る。したがって、駆動部3の出力回転は減速されずにハ
ブ31に伝達され車輪4が回転し、車椅子は通常走行状
態で走行する。
【0030】以上のように、内歯歯車R2は通常走行状
態と減速走行状態を切り換えるためのクラッチとして機
能し、この内歯歯車R2のスライドは、車体フレーム2
に設けられた手動切換部18によって行われる。手動切
換部18は、レバー体として構成されており、レバー体
18のグリップ部18aを手で揺動操作することによ
り、内歯歯車R2の外周の周方向に形成された係合溝1
9と係合するレバー体18の先端18aが、内歯歯車R
2を軸方向にスライドさせる。
【0031】内歯歯車R2を、図3の固定位置から回転
位置に移動させて、車椅子を通常走行状態にするには、
介護者又は搭乗者がレバー体18のグリップ部18aを
図において右側に倒せばよく、この結果、レバー体18
の先端18bは図において左側に移動し、内歯歯車R2
が太陽歯車R1に当接して回転位置(通常走行位置)と
なる。なお、内歯歯車R2を、回転位置から固定位置
(減速走行位置)にして車椅子を減速走行状態にするに
は、レバー体18のグリップ部18aを左側に戻せばよ
い。
【0032】上記の電動車椅子で段差を乗り越える際に
は、レバー体18を操作して、通常走行状態から減速走
行状態に切り換える。すると、駆動部3によって発生す
る補助駆動力は低速・高トルクで車輪4に伝達され、段
差の乗り越えが容易となる。しかも、電動車椅子が段差
を乗り越える際に、前輪キャスタ5が段差に突き当たっ
てそのままの状態で前進することを阻害されたときに電
動車椅子に作用する反力が車体フレーム2に伝わり、キ
ャスタ5を持ち上げるように作用する。この反力は補助
駆動力が高トルク化していることから大きくなり、この
結果、キャスタ5を持ち上げる力が大きくなる。したが
って、段差の乗り越えが非常に容易となる。また、低速
であるので、段差を乗り越えた直後に車椅子が飛び出す
こともない。なお、段差を完全に乗り越えたら、レバー
体18を操作して、通常走行状態に戻せばよい。
【0033】図4は、制御部12を中心とした電動車椅
子の制御系のブロック図である。車体1の右側に設けら
れているものには符号にRを付けて表記し、車体の左側
に設けられているものには符号にLを付けて表記してい
る。駆動部3R及び3L内のモータはそれぞれ、31R
及び31L(31で総称する。)とする。また、操作ハ
ンドル7R及び7L内の操作力検知部は、それぞれ71
R及び71Lとする。図4において、制御部12のケー
スの表面には、スイッチ13及び表示灯14が設けられ
ている(図2も参照)。なお、図4におけるケーブルC
1〜C5はそれぞれ図2において示したものに相当す
る。
【0034】上記制御部12内には、制御回路121、
電源回路122、駆動回路123R及び123Lが設け
られており、相互に接続されている。電源回路122に
は、バッテリ11から直流電圧が供給される。電源回路
122は、供給された直流電圧に基づいて、制御回路1
21並びに駆動回路123R及び123Lに所定の電源
電圧を供給する。制御回路121は、スイッチ13及び
表示灯14と接続されており、スイッチ13のオン操作
によって作動し、表示灯14を点灯させる。なお、制御
部ポケットP2(図2)の上部には透明な柔らかいカバ
ーが設けられており、このカバー越しにスイッチ13の
操作や、表示灯14の点灯確認が可能である。
【0035】駆動回路123R及び123Lは、例えば
半導体スイッチング素子のブリッジ回路を含んでおり、
電源回路122から供給された直流電圧を、制御回路1
21から供給されたPWM信号に基づいてスイッチング
し、モータ31R及び31Lを駆動する。また、電気制
動時における駆動回路123R及び123Lはモータ3
1R及び31Lが回転している状態で電圧の供給を停止
するとともに、例えばPWM信号のHレベルの期間に各
巻線端子を短絡し、Lレベルの期間に開放する。これに
より、モータ31R及び31Lは、PWM信号のデュー
ティ比に応じた発電制動を行う状態となる。
【0036】制御回路121は、CPU、メモリ、A/
Dコンバータ等を含むものであり、操作力検知部71R
及び71Lから入力される操作力に相当する操作力信号
をディジタル値に変換した後、所定の処理を施す。操作
力検知部71R及び71Lは、介護者が操作ハンドル7
R及び7Lに付与した押し引きの操作力をそれぞれ独立
に検知して、操作力信号を発生させる。操作力検知部7
1R及び71Lはそれぞれ、操作ハンドル7R及び7L
が操作されていない中立位置を基点としてそこから前方
又は後方に操作ハンドル7R及び7Lが操作されたと
き、その操作力に従って出力値を変化させる。例えば、
操作力が付与されていない状態の中立位置では、操作力
信号は所定の値(通常、0でない値)である。前進方向
への操作力が操作ハンドル7R及び7Lに付与されたと
きは、その操作力に応じて操作力信号の電圧値が上記所
定の値から増加する。後退方向への操作力が操作ハンド
ル7R及び7Lに付与されたときは、その操作力に応じ
て操作力信号の電圧値は上記所定の値から減少する。
【0037】制御回路121は、上記のように変化する
操作力信号から上記所定の値を減算して得られる操作力
検知信号に基づいて、モータ31R及び31Lの駆動又
は制動を行う。なお、操作ハンドル7R及び7Lに付与
された操作力は、モータ31R及び31Lの発生する駆
動力とは別に、それ自体が、それぞれ車体1を介して左
右の車輪4(図1,図2)に伝達され、人力による駆動
力となる。
【0038】上記モータ31R及び31Lの各々は、3
相ブラシレスモータであり、ステータ側に3個のホール
素子Hが内蔵されている(図4)。ホール素子Hは、ロ
ータの回転に応じてパルスを出力する。このパルスは、
対応する駆動回路123R及び123Lを介して、制御
回路121に送られる。制御回路121は単位時間あた
りのパルス数をカウントすることにより、モータ31R
及び31Lの回転速度、すなわち、電動車椅子の速度を
検知する。また、制御回路121は、3個のホール素子
Hと共に回転方向検出手段を構成しており、ホール素子
Hから出力されるパルスの位相に基づいて、モータ31
R及び31Lの回転方向、すなわち、対応する左右の車
輪4の回転方向を検知する。
【0039】なお、ホール素子Hの出力によらず、モー
タ31R,31L又は車輪4に付帯してタコジェネレー
タ等の速度センサを設けてもよい。この場合は、タコジ
ェネレータの出力電圧により速度が、出力電圧の極性に
より回転方向が、それぞれ検出される。
【0040】次に、制御回路121の動作について詳細
に説明する。図5は、制御回路121のCPU(以下、
単にCPUという。)によって実行されるモータ駆動又
は制動のためのルーチンを示すフローチャートである。
このルーチンは図示しないメインルーチンから高速に繰
り返し実行される。
【0041】まず、ステップS1において、CPUは、
付与された操作力に対応して操作力検知部71R及び7
1Lより出力される操作力信号の値から、操作力が付与
されていないときの操作力信号の値を減算する処理(入
力値変換)を行う。これにより、操作力検知部71Rに
対する操作力に対応する操作力検知信号FinRと、操
作力検知手段71Lに対する操作力に対応する操作力検
知信号FinLとが得られる。図6は、このときの「操
作力」対「操作力検知信号」の関係を示すグラフであ
る。操作力が付与されていないとき操作力検知信号は0
であり、前進方向(押し方向)の操作力が付与されたと
きは一定勾配で増加する正の値となり、後退方向(引き
方向)の操作力が付与されたときは、上記一定勾配で負
の方向に増加する値となる。従って、前進又は後退の識
別は操作力検知信号の正負をもって、また、操作力の大
きさは操作力検知信号の絶対値によって検知することが
できる。尚、図6において、操作力の「+Fs」及び
「−Fs」は、所定の設定値である。
【0042】次に、CPUは、ステップS2において、
操作力変動量を算出する。操作力変動量を算出するに
は、まず、ステップの実行回数をtとして、ステップS
1で得られる操作力検知信号の現在値FinR(t)と
前回値FinR(t−1)との差dFinR(t)、及
び、現在値FinL(t)と前回値FinL(t−1)
との差dFinL(t)求める。すなわち、 dFin
R(t)=FinR(t)−FinR(t−1)
...(1) dFinL(t)=FinL(t)−Fin
L(t−1) ...(2)とする。これを基に、操作力変
動量dFinRT及びdFinLTを以下の演算により
求める。 dFinRT={dFinR(t)+dFi
nRT(t−1)}/2 ...(3) dFinLT={d
FinL(t)+dFinLT(t−1)}/2 ...
(4)
【0043】次に、CPUはステップS3において、モ
ータ31への要求動作(以下mstという。)を設定す
る。具体的には、CPUは、操作力検知信号FinR及
びFinLに基づいて操作力方向の判断を行い、ホール
素子Hの出力に基づいて車輪4の回転方向の判断を行
う。その後、CPUは、前述の判断結果に基づき操作力
方向と車輪4の回転方向とが同じであるか否かの判断を
行う。この判断結果がイエスである場合、CPUはms
tを「アシスト」に設定し、ノーの場合にはmstを
「ブレーキ」に設定する。このステップS3でのmst
の設定処理は、操作力検知部71R,71L及びこれに
対応する車輪4R,4Lに関して左右それぞれに実行さ
れて、左右両輪に関して、それぞれmstが設定され
る。
【0044】次に、ステップS4においてCPUは、操
作力検知信号FinR又はFinLの各絶対値が、前述
の所定値Fsより大きいか否かを判断する。この判断結
果がイエスすなわち所定値を超える操作力が付与されて
いる場合、CPUはステップS6の駆動モードにジャン
プする。一方、ノーの場合、CPUはステップS5にお
いて、操作力変動量dFinRT又はdFinLTの各
絶対値が所定値Fsd(<<Fs)より大きいか否かを
判断する。当該ステップS5は、操作者(介護者)が手
を離したかどうかについて判断するために設けられてい
る。この判断結果がイエスの場合、操作者による駆動操
作が継続して行われていると判断し、CPUはステップ
S6において駆動モードを実行して、上記操作者に対す
るアシストを引き続き行う。また、ノーの場合は、操作
者が手を離したと判断して、CPUは制動モード(ステ
ップS10)を実行する。制動モードの実行により、発
電制動力brkは最大値に設定される。従って、操作者
が操作ハンドル7R及び7Lから手を離すと、電動車椅
子は最大の発電制動力を発生して、停止する。
【0045】続いて、CPUは、左右の車輪4R及び4
Lに関してステップS6の駆動モードを実行して、当該
制御回路121から左右の駆動回路123R及び123
Lにそれぞれ供給される駆動力指令信号FoutR及び
FoutL(モータ31R及び31Lがそれぞれ発生す
る駆動力に相当)を算出する。 詳細にいえば、この駆
動モードでは、CPUは、まず前回出力した駆動力指令
信号FoutRまたはFoutLが0であるかどうかに
ついて判別する。前回出力した駆動力指令信号Fout
R及びFoutLのいずれかが0であれば、CPUは0
である方の上記操作力検知信号FinR及びFinLの
符号(正負)を参照して、その対応するモータ31R又
は31Lを正転させるのか、逆転させるのかを決定す
る。尚、駆動モードに入った初期の時点では、双方のモ
ータ31R及び31Lについて、正転・逆転の決定が行
われる。
【0046】また、前回出力した駆動力指令信号Fou
tRまたはFoutLの値が0でなければ、CPUは、
左右の車輪4R及び4Lに関して駆動力変化量dFaの
算出を行う。駆動力変化量dFaとは、モータ31が発
生する駆動力の基になる駆動力信号Faの変化量であ
る。駆動力信号Faは、図5のフローチャートの実行回
数をtとして、 Fa(t)=Fa(t−1)+dFa
...(5)と表される。すなわち、駆動力信号Faは、
駆動力変化量dFaの累積値として表される。従って、
駆動力信号Faは駆動力変化量dFaが正のとき増加
し、負のとき減少する。また、モータ31の駆動方向
は、駆動力信号Faが正のとき正転方向であり、負のと
き逆転方向である。上記駆動力変化量dFaは、例え
ば、駆動力変化量の比例成分dFapに所定の係数Kを
乗じて求められる。すなわち、 dFa=k・dFap
...(6)である。駆動力変化量の比例成分dFap
は、例えば図7に示す関数に従って算出される。この関
数は、以下のように表される。 Fin>Fsのとき、
dFap=KDFAP_H・(Fin−Fs)
...(7) Fs−Fh≦Fin≦Fsのとき、 dFa
p=0 ...(8) Fin<Fs−Fhのとき、 dF
ap=KDFAP_L・(Fin−(Fs−Fh))
...(9) 但し、Fs及びFhは所定の設定値、KDF
AP_H及びKDFAP_Lは所定の定数である。
【0047】続いて、CPUは、図5のフローチャート
の実行回数を考慮した前記の駆動力信号Fa(t)に対
して、直進性を高めるための既知の補整方法である左右
協調補整を施して、駆動力信号Fa_r(t)及びFa
_l(t)を算出する。そして、CPUは、算出した駆
動力信号Fa_r(t)及びFa_l(t)をPWM信
号に変換し、駆動力指令信号FoutR及びFoutL
として算出する。
【0048】ステップS7においてCPUは、左右のモ
ータ31R及び31Lによる発電制動力brkR及びb
rkLについて、brkR>0、又は、brkL>0で
あるか否かを判断する。判断結果がイエスすなわち既に
発電制動力brkが発生している場合、CPUはステッ
プS9に進み、判断結果がノーの場合はステップS8に
進む。尚、初めは発電制動力brkが発生していないの
で、CPUはステップS8に進む。ステップS8におい
てCPUは、左右のmstが共に「ブレーキ」となって
いるか否かを判断し、判断結果がイエスであればステッ
プS9を実行する。一方、判断結果がノーとなるのは、
左右のmstが共に「アシスト」の場合、及び、左右の
mstのうち一方が「アシスト」であり、他方が「ブレ
ーキ」である場合である。前者の場合は当然に、ステッ
プS9の坂道ブレーキモードを実行する必要はなく、C
PUはステップS11を実行する。また、後者の場合
は、電動車椅子がその場で旋回されようとしている。こ
のような場合に「ブレーキ」側で発電制動力brkを発
生させると、急な旋回を促すことになり却って危険であ
る。そこで、このような場合には、ステップS9の坂道
ブレーキモードを実行せず、CPUはステップS11を
実行する。
【0049】上記ステップS9における坂道ブレーキモ
ードは、電動車椅子が操作者によって下り坂を前進させ
られながら降りる場合や上り坂を後退させられながら降
りる場合に左右の車輪4R及び4Lに関して実行される
モードである。この坂道ブレーキモードを実行すること
により、前記のような坂道を走行するときに、モータ3
1に発電制動力を発生して必要以上に大きな操作力を加
えることなく電動車椅子の速度を抑制することができ、
電動車椅子の挙動を安定させて、操作性を向上すること
ができる。 具体的には、CPUは、上記mstと操作
力検知信号FinR及びFinLとに基づいて、車輪4
の回転方向と操作力に対応する回転方向とが互いに一致
するかどうかについて判断して、それらの回転方向が一
致していないと判断した場合に発電制動力brkR及び
brkLを発生するためのブレーキ力信号(PWM信
号)を算出する。
【0050】続いて、ステップS11において、CPU
は、左右の車輪4R及び4L毎に、発電制動力brkが
0であるかどうかに基づき、モータ動作信号の決定を行
う。詳細には、発電制動力brkが0であれば、CPU
はモータ動作信号を「アシスト」に設定する。また、発
電制動力brkが0でなければ、CPUはモータ動作信
号を「ブレーキ」に設定する。
【0051】次に、CPUは、ステップS12におい
て、上記のモータ動作信号に応じて、PWM信号を駆動
回路123R及び123Lに出力する。モータ動作信号
が「アシスト」であれば、前記のステップS6の駆動モ
ードにおいて算出された駆動力指令信号FoutR及び
FoutL(PWM信号)が出力される。これにより、
駆動回路123R及び123LはPWM信号に応じてモ
ータ31R及び31Lを駆動する。また、モータ動作信
号が「ブレーキ」であれば、前記のステップS9の坂道
ブレーキモードにおいて算出されたブレーキ力信号のP
WM信号が出力される。これにより、駆動回路123R
及び123LはPWM信号に応じてモータ31R及び3
1Lを制動する。
【0052】図8は、本発明の第2実施形態を示してい
る。第2実施形態では、減速部Rは駆動部3側に設けら
れている。この減速部Rは、駆動部3のハウジング3a
に取り付けられた減速部ハウジングR10内に備えられ
ている。減速部ハウジングR10の内部には、駆動部出
力軸32が位置している。この駆動部出力軸32と同軸
状配置で減速部出力軸R11がハウジングR10外に延
出している。
【0053】駆動部出力軸32には、スプライン溝32
aが形成されており、このスプライン溝32に嵌合する
スプライン穴が形成された原動側クラッチ体R12が駆
動部出力軸32に取り付けられている。この原動側クラ
ッチ体R12は、駆動部出力軸32とスプライン結合さ
れていることにより、駆動部出力軸32と一体的に回転
可能であって軸方向にスライド自在とされている。ま
た、減速部出力軸R11には原動側クラッチ体R12と
対向状に従動側クラッチ体R13が設けられている。従
動側クラッチ体R13は、減速部出力軸R11に対して
固定的に取り付けられており、従動側クラッチ体R13
と減速部出力軸R11とは一体的に回転する。
【0054】原動側クラッチ体R12と従動側クラッチ
体R13とは、噛み合いクラッチとして構成されてい
る。すなわち、両クラッチ体R12,R13は、それぞ
れ対向部側に互いに噛み合うための噛合部R12a,R
13aが形成されており、両噛合部R12a,R13a
の噛み合いにより原動側クラッチ体R12から従動側ク
ラッチ体R13に回転が伝達される。なお、原動側クラ
ッチ体R12と従動側クラッチ体R13とを摩擦クラッ
チとして構成してもよい。
【0055】原動側クラッチ体R12の背部側には第1
小歯車R14が設けられており、この第1小歯車R14
も原動側クラッチ体R12と同様に、駆動部出力軸32
に対して一体的に回転可能であって軸方向にスライド自
在とされている。第1小歯車R14は、図4の位置にお
いて、駆動部出力軸32と平行配置された中間軸R15
に設けられた第1大歯車R16と噛み合っている。ま
た、中間軸R15には、第2小歯車R17が設けられて
おり、この第2小歯車R17は減速部出力軸R11に設
けられた第2大歯車R18と噛み合っている。したがっ
て、駆動部出力軸32の回転は、第1小歯車R14、第
1大歯車R16、第2小歯車R17、そして第2大歯車
R18へ伝達されると減速して、低速・高トルクで減速
部出力軸R11を回転させる。
【0056】この減速部出力軸R11には、車輪4のハ
ブ41が取り付けられており、原動側クラッチ体R12
が図4の位置にあるときには、低速・高トルクの減速走
行状態で車輪4が回転する。すなわち、このとき原動側
クラッチ体R12は減速走行位置にあるといえる。一
方、原動側クラッチ体R12が図において左側にスライ
ド移動して従動側クラッチ体R13と噛み合うととも
に、第1小歯車R14と第1大歯車R16との噛み合い
が外れると、駆動部の出力回転は、駆動部出力軸32か
らクラッチ体R12,R13を介して減速されずに減速
部出力軸R11に伝達され、車輪4は通常走行状態で回
転する。すなわち、このとき原動側クラッチ体R12は
通常走行位置にあるといえる。
【0057】原動側クラッチ体R12をスライド移動さ
せるために、減速部ハウジングR10には手動切換部1
8としてレバー体が設けられており、このレバー体18
を揺動操作することで、原動側クラッチ体R12が軸方
向にスライドする。例えば、図4の状態からレバー体1
8のグリップ部18aを右側に揺動させれば、原動側ク
ラッチ体R12が従動側クラッチ体R13と噛み合い減
速走行状態から通常走行状態となる。また、通常走行状
態から減速走行状態にするには、グリップ部18aを左
に揺動させればよい。
【0058】図9及び図10は、本発明の第3実施形態
を示している。第1及び第2実施形態では、手動切換部
18によって通常走行状態と減速走行状態を手動で選択
的に切り換えているのに対し、本第3実施形態では、切
換スイッチ20によって切換装置21を操作して通常走
行状態と減速走行状態とを選択的に切り換えている。切
換スイッチ20は、操作ハンドル(操作体)7近傍に設
けられており(図示省略)、介護者がクラッチ操作をす
るのが容易となっている。切換スイッチ20は制御部2
0と接続されており、制御部20では、図9のフローチ
ャートに示すように、切換スイッチ20がONになると
(ステップS20)、切換装置21R及び21Lに対し
切換信号を出力する(ステップS21)。
【0059】切換装置21R及び21Lは、クラッチ、
すなわち第1実施形態の減速部Rであれば内歯歯車R
2、第2実施形態の減速部Rであれば原動側クラッチ体
R12、を通常走行位置と減速走行位置との間で切り換
えるための切換駆動力を発生させるものであり、例え
ば、減速部Rに電磁石を備えて電磁石の励磁によってク
ラッチである内歯歯車R2又は原動側クラッチ体R12
を移動させるものとして構成できる。
【0060】切換装置21R及び21Lは、切換信号を
受けると、クラッチを通常走行位置から減速走行位置に
切り換える。また、切換スイッチ20がOFFになる
と、切換装置21R及び21Lはクラッチを通常走行位
置に戻す。上記切換スイッチ20の機能は手動切換部1
8と同じであるが、切換スイッチ20は手動切換部18
に比べて、車体の任意の位置に設けるのが容易であるた
め、操作者が操作しやすいところに設けることができ、
操作性が向上する。
【0061】図11は、本発明の第4実施形態を示して
いる。この第4実施形態では、第3実施形態と同様に、
切換スイッチ20及び切換装置21を有し、さらに、切
換スイッチ20がONになると(ステップS22)、ク
ラッチが減速走行位置に切り換えられる(ステップS2
3)とともに、車輪前進方向に一定の駆動力が発生する
ようにモータ31が制御される低速・高トルクモードに
なる(ステップS24)。これに対し、クラッチ切換ス
イッチ20がOFFのときは、第1実施形態において図
5のフローチャートで示したような通常走行状態(通常
補助走行モード)になる(ステップS25)。すなわ
ち、通常補助走行モードでは、操作ハンドル7への操作
力が操作力検知部71R及び71Lによって検知され、
当該操作力に応じてモータ31の回転が制御される。
【0062】これに対し、第4実施形態の減速走行状態
では、単に減速されるだけではなく、上記の低速・高ト
ルクモードとなり、操作ハンドル7を操作しても、モー
タの回転方向や速度は変化せず、操作力に関係なく車輪
前進方向に一定の駆動力で車椅子が走行する。したがっ
て、段差を乗り越えようとする際に、介護者が操作ハン
ドル7を後方に引いてキャスタ5上げを促す操作をして
も、車輪後進方向への駆動力は発生しないので、円滑に
段差を乗り越えることができる。なお、第2〜第3実施
形態において説明を省略した点は、第1実施形態と同様
である。
【0063】図12〜図15は、本発明の第5実施形態
を示している。第5実施形態に係る電動車椅子はいわゆ
る自走型電動車椅子であるが、第1又は第2実施形態の
電動車椅子と同様に減速部Rを備えている。この自走型
電動車椅子の車体1の一側方前部には、搭乗者用の操作
ボックス17が設けられており、この操作ボックス17
は図示しないケーブルによって制御部12と接続されて
いる。操作ボックス17には、図14に示すように搭乗
者が自走操作を行うための自走操作部としてのジョイス
ティック17aと、制御部12をオン状態またはオフ状
態とする主電源スイッチ17bとが設けられている。
【0064】ジョイスティック17aは、搭乗者の指示
方向を制御部12に指示するためのものであり、搭乗者
の操作に応じて、駆動部3の各モータの駆動力を制御す
るための制御信号を制御部12に出力する。詳細にいえ
ば、図15に示すように、ジョイスティック17aに
は、上記搭乗者の操作に応じた自走操作信号を検知する
自走操作信号検知部171X及び171Yが含まれてお
り、当該ジョイスティック17aが操作されていない状
態(例えば図12に示す操作ボックス17の上面に対し
て垂直である状態)から倒されることにより、搭乗者の
指示方向が指示される。ジョイスティック17aは、前
記の自走操作信号検知部171X及び171Yにより、
上記の指示方向のX及びY方向の成分(ベクトルの大き
さ)と、倒された時の倒れ角度で指定されるX及びY方
向での目標速度とをそれぞれX及びY方向の自走操作信
号として検知して、制御信号に含めて制御部12に出力
する。したがって、ジョイスティック17aからの制御
信号に基づきモータの駆動力を制御して、搭乗者の操作
に応じた走行を行うことができる。
【0065】また、操作ボックス17には、第3実施形
態と同様の切換スイッチ20が設けられており、この切
換スイッチ20によって切換装置21を操作して通常走
行状態(通常自走モード)と減速走行状態(低速・高ト
ルクモード)とに選択的に切り換えることができる。切
換スイッチ20は自走操作部であるジョイスティック1
7aの近傍に配置されているので、操作が容易である。
なお、第5実施形態においても、第1及び第2実施形態
のような手動切換部18を設けて手動で切り換えてもよ
い。
【0066】本実施形態において、通常走行状態とは、
自走操作部(ジョイスティック)17aの操作に応じて
駆動部3の出力回転が制御されているとともに、駆動部
3の出力回転が減速部Rを介さずに車輪4に伝達されて
いる状態をいう。一方、減速走行状態とは、駆動部3の
出力回転が減速部Rを介して減速されて車輪4に伝達さ
れている状態をいう。減速走行状態では、駆動部3はジ
ョイスティック17aの操作に応じて回転制御されてい
てもよいし、ジョイスティック17aの操作にかかわら
ず車輪前進方向に一定の駆動力が発生する低速・高トル
クモード(第4実施形態参照)としてもよい。減速走行
状態とすることで、他の実施形態と同様に段差の乗り越
えを容易に行うことができる。
【0067】なお、操作ボックス17には、通常走行状
態時に高速走行又は低速走行のいずれかの速度を選択す
るための速度切換スイッチ17cと、前記の高速走行時
及び低速走行時にそれぞれ点灯して表示するための設定
速度表示部としてのLED17d及び17eと、バッテ
リ11の残量を段階的に表示するバッテリ残量表示部1
7fとを備えている。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、車椅子の走行状態を通
常走行状態から低速・高トルク化した減速走行状態に切
り換えることができるので、段差を乗り越える際には、
大きなトルクで容易に乗り越えられるとともに、低速化
しているので段差を乗り越えた直後に電動車椅子が勢い
良く走り出すことを防止できる。また、前記通常走行状
態と前記減速走行状態の切り換えを手動で行うための手
動切換部を備えていれば、通常走行状態と減速走行状態
の切り換えを簡単な構成で実現できる。また、前記通常
走行状態と前記減速走行状態の切り換えを行うための切
換駆動力を発生する切換装置と、当該切換装置を操作す
るための切換スイッチとを備えていれば、手動切換部に
比べて容易に切換を行うことができる。
【0069】また、前記制御部が、減速走行状態におい
ては、前記車輪が前進方向に一定の駆動力で回転するよ
うに前記モータを駆動制御すれば、減速走行状態におい
ては車椅子への操作に関係なく、車椅子が低速・高トル
クの状態で前進走行するため、操作が不要で段差乗り越
えが容易となる。しかも、電動車椅子が前記操作体を有
する場合に、当該操作体が介護者の操作力を前記車体に
加えるための操作ハンドルとして構成されていれば、操
作ハンドルに加えた操作力にかかわらず、車輪が前進方
向に一定の駆動力で回転するので、介護者は、段差乗り
越えをよりスムーズにするために操作ハンドルを後方に
引いて前輪上げを促すなどの動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の電動車椅子の側面図である。
【図2】第1実施形態の電動車椅子の背面図である。
【図3】第1実施形態の減速部の拡大断面図である。
【図4】第1実施形態の電動車椅子の制御系のブロック
図である。
【図5】第1実施形態の制御回路の動作を示すフローチ
ャートである。
【図6】操作力と操作力検知信号の関係を示すグラフで
ある。
【図7】操作力検知信号Finと駆動力変化量dFap
との関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態の減速部の拡大断面図である。
【図9】第3実施形態の電動車椅子の制御系のブロック
図である。
【図10】第3実施形態において切換スイッチ操作時の
動作内容を示すフローチャートである。
【図11】第4実施形態において切換スイッチ操作時の
動作内容を示すフローチャートである。
【図12】第5実施形態の電動車椅子の側面図である。
【図13】第5実施形態の電動車椅子の背面図である。
【図14】第5実施形態の操作ボックスの平面図であ
る。
【図15】第5実施形態の制御系のブロック図である。
【符号の説明】
1 車体 4 車輪 7 操作ハンドル(操作体) 12 制御部 17a ジョイスティック(自走操作部) 18 手動切換部 20 切換スイッチ 21 切換装置 31 モータ R 減速部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神藪 寿 兵庫県神戸市西区高塚台7丁目3番3号 株式会社ナブコ総合技術センター内 Fターム(参考) 5H115 PA01 PA08 PC06 PG06 PI16 PU01 QE02 QE10 QE15 QE17 QI03 QI07 QI12 QN11 RB22 SE03 SE08 TO23 UI19 UI24 UI40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体と、 当該車体に備えられた車輪と、 操作者が力を加えて車椅子を走行させるための操作体
    と、 前記操作体に加えられた操作力を検知する操作力検知部
    と、 前記車輪を回転駆動するモータを含む駆動部と、 当該操作力検知部で検知された操作力に応じて前記モー
    タの回転を制御する制御部と、 前記駆動部の出力回転を減速して低速・高トルクで前記
    車輪を回転させる減速部と、を備え、 前記駆動部の出力回転が前記減速部によって減速せずに
    前記車輪に伝えられる通常走行状態と、前記駆動部の出
    力回転が前記減速部を介して減速して前記車輪に伝えら
    れる減速走行状態とが選択的に切り換え可能に構成され
    ていることを特徴とする電動車椅子。
  2. 【請求項2】車体と、 当該車体に備えられた車輪と、 当該車輪を回転駆動するモータを含む駆動部と、 車椅子を自走させるための操作を行う自走操作部と、 当該自走操作部の操作に応じて前記モータの回転制御を
    行う制御部と、 前記駆動部の出力回転を減速して低速・高トルクで前記
    車輪を回転させる減速部と、を備え、 前記駆動部の出力回転が前記減速部によって減速せずに
    前記車輪に伝えられる通常走行状態と、前記駆動部の出
    力回転が前記減速部を介して減速して前記車輪に伝えら
    れる減速走行状態とが選択的に切り換え可能に構成され
    ていることを特徴とする電動車椅子。
  3. 【請求項3】前記通常走行状態と前記減速走行状態の切
    り換えを手動で行うための手動切換部を備えていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の電動車椅子。
  4. 【請求項4】前記通常走行状態と前記減速走行状態の切
    り換えを行うための切換駆動力を発生する切換装置と、
    当該切換装置を操作するための切換スイッチとを備えて
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車椅
    子。
  5. 【請求項5】前記制御部は、前記減速走行状態において
    は、前記車輪が前進方向に一定の駆動力で回転するよう
    に前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の電動車椅子。
  6. 【請求項6】前記操作体が介護者の操作力を前記車体に
    加えるための操作ハンドルとして構成され前記制御部
    は、前記減速走行状態においては、前記操作ハンドルに
    加えられた操作力にかかわらず、前記車輪が前進方向に
    一定の駆動力で回転するように前記モータを駆動制御す
    ることを特徴とする請求項1記載の電動車椅子。
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