JP2003163170A - 半導体の製造方法及び半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体の製造方法及び半導体レーザ装置

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JP2003163170A
JP2003163170A JP2002231379A JP2002231379A JP2003163170A JP 2003163170 A JP2003163170 A JP 2003163170A JP 2002231379 A JP2002231379 A JP 2002231379A JP 2002231379 A JP2002231379 A JP 2002231379A JP 2003163170 A JP2003163170 A JP 2003163170A
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gas
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semiconductor
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JP2002231379A
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Ayumi Tsujimura
歩 辻村
Yoshiteru Hasegawa
義晃 長谷川
Akihiko Ishibashi
明彦 石橋
Isao Kidoguchi
勲 木戸口
Yuzaburo Ban
雄三郎 伴
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インジウムと窒素とを含むIII −V族化合物
半導体を用いた短波長半導体レーザ装置において、所定
の動作寿命を達成できるようにする。 【解決手段】 C面を主面に持つサファイアからなる基
板11の上に、GaNからなり、膜厚が3μmの下地層
13を形成した後、基板11の温度を810℃にまで降
温する。その後、キャリアガスを水素ガスから希ガスで
あるアルゴンガスに切り替え、TMGとTMIとをTM
IのTMGに対する気相比が0.9で、V族/III 族供
給モル比が10000として1時間供給することによ
り、下地層13の上面にInGaNからなり、膜厚が1
00nmの半導体層14を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光素子及び電子
素子等に用いられるIII −V族化合物半導体の製造方法
及びその化合物半導体を用いた短波長レーザ光を出力す
る半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクの記録密度の向上、レ
ーザプリンタの解像度の向上、又は光計測機器、医療機
器、ディスプレイ装置及び照明装置等への応用を図るた
め、紫外領域から青色領域までの短波長領域で発光する
半導体発光素子、特に、半導体レーザ装置の研究開発が
盛んに行なわれている。
【0003】このような短波長領域で発光することが可
能な材料には、窒素を含むIII −V族化合物半導体が挙
げられる。例えば、Applied Physics
Letters,第70巻(1997)1417〜14
19頁には、SiがドープされたInGaNからなる多
重量子井戸活性層を有する半導体レーザ装置が波長40
6nm付近において室温連続発振し、その動作寿命は、
温度が20℃で出力が1.5mWのときに27時間であ
ると記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のInGaNからなる化合物半導体を用いた半導体レ
ーザ装置は、1万時間を越える動作寿命を必要とする実
用化レベルには遠く及ばないという問題がある。
【0005】本発明は、前記従来の問題を解決し、イン
ジウムと窒素とを含むIII −V族化合物半導体を用いた
短波長半導体レーザ装置において、所定の動作寿命を達
成できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明は、インジウムと窒素とを含むIII −V族化
合物半導体を製造する際に、有機金属気相成長法を用い
る場合にはキャリアガスに希ガスを用いるか、又は窒素
源に含まれる窒素原子又は窒素分子を励起状態とするこ
ととし、分子線エピタキシー法を用いる場合には、窒素
源に含まれる窒素原子を励起状態とする構成とするもの
である。
【0007】具体的に本発明に係る第1の半導体の製造
方法は、有機金属気相成長法を用いて、反応室に設けら
れたサセプタに保持されている基板の上に化合物半導体
を成長させる半導体の製造方法であって、インジウムを
含むIII 族原料ガスを反応室に供給すると共に、窒素を
含むV族原料ガスを反応室に供給する工程と、反応室に
供給されたIII 族原料ガスとV族原料ガスとを混合し、
混合された原料ガスを基板の上面に搬送する希ガスから
なるキャリアガスを反応室に供給する工程とを備えてい
る。
【0008】第1の半導体の製造方法によると、反応室
に供給されたIII 族原料ガスとV族原料ガスとを混合
し、混合された原料ガスを基板の上面に搬送するキャリ
アガスに希ガスを用いているため、キャリアガスに窒素
ガスを用いる場合に比べて、アンモニア等からなるV族
原料ガスの分解効率が高まることにより、また、希ガス
は窒素ガスよりも熱伝導率が小さいことにより、結晶中
の窒素原子の空孔の生成が抑制される。
【0009】第1の半導体の製造方法において、希ガス
がアルゴンからなることが好ましい。
【0010】本発明に係る第2の半導体の製造方法は、
有機金属気相成長法を用いて基板の上に化合物半導体を
成長させる半導体の製造方法であって、インジウムを含
むIII 族原料ガスを基板の上に供給するIII 族原料ガス
供給工程と、窒素を含むV族原料ガスを基板の上に供給
するV族原料ガス供給工程とを備え、V族原料ガス供給
工程は、V族原料ガスにおける窒素原子又は窒素分子を
励起状態とする励起工程を含む。
【0011】第2の半導体の製造方法によると、窒素を
含むV族原料ガスを反応室に供給する工程において、V
族原料ガスにおける窒素原子又は窒素分子が励起状態に
あるため、基板上に成長する結晶表面に、蒸気圧が高い
窒素原子が取り込まれやすくなる。
【0012】第2の半導体の製造方法において、V族原
料ガスが窒素ガスであることが好ましい。
【0013】本発明に係る第3の半導体の製造方法は、
分子線エピタキシー法を用いて、基板の上に少なくとも
インジウムと窒素とを含む化合物半導体を成長させる半
導体の製造方法であって、インジウム分子線を基板の上
面に照射する第1の分子線照射工程と、窒素を含む分子
線を基板の上面に照射する第2の分子線照射工程とを備
え、第2の分子線照射工程は、窒素を含む分子線の窒素
原子を励起状態とする励起工程を含む。
【0014】第3の半導体の製造方法によると、窒素を
含むV族原料ガスからなる分子線を基板の上面に照射す
る工程において、V族原料ガスにおける窒素原子が励起
状態にあるため、基板上に成長する結晶表面に、蒸気圧
が高い窒素原子が取り込まれやすくなる。
【0015】第2又は第3の半導体の製造方法は、励起
工程において、高周波プラズマ生成法又は電子サイクロ
トロン共鳴プラズマ生成法を用いることが好ましい。
【0016】本発明に係る半導体レーザ装置は、基板上
に形成された第1導電型の第1のクラッド層と、第1の
クラッド層の上に形成された、少なくともインジウム及
び窒素を含む化合物半導体からなる活性層と、活性層の
上に形成された第2導電型の第2のクラッド層とを備
え、活性層の残留キャリア密度は1×1017cm-3より
も小さい。
【0017】本発明の半導体レーザ装置によると、少な
くともインジウム及び窒素を含む化合物半導体からなる
活性層の残留キャリア密度が1×1017cm-3よりも小
さいため、残留キャリアに起因する動作中の劣化が抑制
されるので、容易に破壊されることがなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】本願発明者らは、インジウムと窒
素とを含むIII −V族化合物半導体、例えば、InGa
Nを用いた短波長半導体レーザ装置の動作寿命が短い理
由について種々の検討を重ねた結果、以下のことを見出
した。
【0019】すなわち、InGaNからなる化合物半導
体の結晶成長には、一般に有機金属気相成長法(以下、
MOVPE法と略称する。)や分子線エピタキシー法
(以下、MBE法と略称する。)が用いられており、特
開平6−196757号公報には、MOVPE法におけ
るキャリアガスに窒素ガスを用いて、GaN層の上に結
晶品質の優れたInGaN層を成長させる方法が開示さ
れている。しかしながら、InGaNからなる半導体結
晶は、例えば、Journal of Applied
Physics,第74巻(1993)3911〜3
915頁に記載されているように、不純物がドーピング
されていない場合であっても、n型の導電性を示し、そ
の残留キャリア密度は1×1017cm-3以上に達してい
る。
【0020】これは、InGaNからなる半導体結晶の
成長温度がGaNからなる半導体結晶の成長温度よりも
低いため、多数の窒素空孔が生成され、該空孔がドナー
となってn型の導電性を示すと考えられる。従って、こ
の窒素空孔が格子欠陥となり結晶内を移動して活性層を
破壊するため、InGaNを用いた短波長半導体レーザ
装置の動作寿命が短いと考えられる。
【0021】また、前述のApplied Physi
cs Letters,第70巻(1997)1417
〜1419頁に開示されたInGaNからなる多重量子
井戸活性領域には光量を増大させるためのSiがドープ
されており、窒素空孔等の格子欠陥がさらに移動しやす
くなって多重量子井戸活性領域が破壊されやすいと考え
られる。
【0022】以上のことから、短波長半導体レーザ装置
の活性層にインジウムと窒素とを含むIII −V族化合物
半導体においては、活性層を成長させる際に、該活性層
の残留キャリア密度を1×1017cm-3未満となるよう
に制御することにより窒素空孔を低減させて活性層の破
壊を抑制し、その結果、装置の動作寿命を確保できるよ
うにする。
【0023】(第1の実施形態)本発明の第1の実施形
態について図面を参照しながら説明する。
【0024】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導
体の製造方法を用いて得られたインジウムと窒素とを含
む化合物半導体の断面構成を示している。図1に示すよ
うに、サファイアからなる基板11の上には、例えば、
ノンドープのGaNからなり、該基板11と窒素を含む
半導体結晶との間の格子不整合を緩和させるバッファ層
12と、ノンドープのGaNからなり、高品質なInG
aN層を成長させるための下地層13と、ノンドープの
InGaNからなる半導体層14とが順次形成されてい
る。
【0025】基板11はサファイアに限らず、GaN、
SiC、Si、スピネル、ZnO又はGaAs等であっ
てもよい。また、基板の導電型は、n導電型、p導電型
又は絶縁性であってもよい。基板11の面方位は、低指
数面に限らず、一定方向へ傾斜させた基板であってもよ
く、例えば、基板にSiCを用いる場合には、4H−S
iCの(0001)面から晶帯軸が[11−20]方向
へ2度傾斜した基板を用いてもよい。
【0026】バッファ層12は、GaNに限らず、Al
N、AlGaN又はSiC等であってもよい。バッファ
層12の膜厚は基板11と半導体層14との材料の組合
せにもよるが、2nm〜500nm程度である。また、
基板11にGaNを用いることによって下地層13と格
子定数が一致する場合には、バッファ層12を設けなく
てもよい。
【0027】下地層13は、高品質な半導体層14を成
長させるために設けられており、GaNを用いるのは、
窒素を含むIII −V族化合物半導体のうちで最も容易に
高品質な結晶が得られるためである。下地層13の膜厚
は1μm程度以上であればよく、好ましくは3μm程度
である。このときの下地層13の結晶品質は、電気的に
は高抵抗で、キャリア密度は測定不能である。また、室
温におけるフォトルミネッセンス(以下、PLと略称す
る。)スペクトルは362nm付近のバンド端発光が支
配的である。2結晶X線ロッキングカーブの半値幅は約
250arcsである。
【0028】InGaNからなる半導体層14の膜厚は
100nmであって、Inの混晶比は任意に選ぶことが
できる。Inの混晶比が大きくなるほど残留キャリア密
度が大きくなり、明らかなn型導電性を示すようにな
り、これに伴って、室温におけるPLスペクトルはバン
ド端発光が長波長側にシフトすると共に発光強度が弱く
なり、2結晶X線ロッキングカーブの半値幅は広くな
る。
【0029】このようなInGaNからなる半導体結晶
の製造方法には、主に、MOVPE法、MBE法又はハ
イドライドVPE法等の気相成長法が用いられる。 M
OVPE法を用いると、成長速度が速く且つ高品質な結
晶を得ることができ、MBE法を用いると、成長中の結
晶表面を原子層レベルで観察及び制御を行なうことがで
きる。
【0030】ここで、III 族原料ガスのうちで、例え
ば、ガリウム元素を含み、分解されることによりガリウ
ム原子を供給する原料をガリウム源と呼び、また、V族
原料ガスのうちで、例えば、窒素元素を含み、分解され
ることにより窒素原子を供給する原料を窒素源と呼ぶこ
とにする。
【0031】MOVPE法においては、ガリウム源とし
て、トリメチルガリウム(以下、TMGと略称する。)
又はトリエチルガリウム(以下、TEGと略称する。)
からなるトリアルキル金属化合物を用い、アルミニウム
源として、トリメチルアルミニウム(以下、TMAと略
称する。)又はトリエチルアルミニウム(以下、TEA
と略称する。)からなるトリアルキル金属化合物を用
い、インジウム源として、トリメチルインジウム(以
下、TMIと略称する。)又はトリエチルインジウム
(以下、TEIと略称する。)からなるトリアルキル金
属化合物を用いる。
【0032】また、窒素源として、アンモニア(NH
3 )、ヒドラジン(N24)等のガスを用い、n型不純
物イオンとなるシリコン源にシラン(SiH4 )等を用
い、p型不純物イオンとなるマグネシウム源にビスシク
ロペンタジエニルマグネシウム(以下、Cp2 Mgと略
称する。)等のガスを用いる。
【0033】一方、MBE法においては、III 族源とし
てのガリウム源、アルミニウム源及びインジウム源に金
属Ga、Al、Inを用い、不純物源に金属Si及び金
属Mgを用い、V族源としての窒素源に、窒素ガス又は
アンモニアガス等を高周波プラズマ法又は電子サイクロ
トロン共鳴(以下、ECRと略称する。)プラズマ法に
よりプラズマ状態に励起して用いる。
【0034】以下、前記のように構成され、MOVPE
法を用いた化合物半導体の製造方法を説明する。
【0035】まず、C面を主面とするサファイアからな
る基板11を洗浄した後、反応室内のサセプタ上に基板
11を保持し、反応室内を排気して、70Torrの水
素雰囲気中において温度が1080℃で15分間の加熱
を行なって基板11の表面のクリーニングを行なう。
【0036】次に、基板11の温度を500℃にまで下
げ、キャリアガスに水素ガス、III族原料ガスにTM
G、V族原料ガスにアンモニアを用い、V族/III 族供
給モル比を5000として反応室に供給することによ
り、基板11の主面上に、GaNからなり、膜厚が40
nmのバッファ層12を成長させる。
【0037】続いて、基板11の温度を1000℃にま
で昇温した後、V族/III 族供給モル比を2000とし
てさらに段階的に昇温し、最終的に温度を1060℃に
まで昇温して1.25時間成長させることにより、バッ
ファ層12の上面にGaNからなり、膜厚が3μmの下
地層13を形成する。
【0038】次に、TMGの供給を止め、基板11の温
度を810℃にまで降温する。その後、キャリアガスを
水素ガスから希ガスであるアルゴン(Ar)ガスに切り
替え、TMGとTMIとをTMIのTMGに対する気相
比が0.9で、V族/III 族供給モル比が10000と
して1時間供給することにより、下地層13の上面にI
nGaNからなり、膜厚が100nmの半導体層14を
成長させる。
【0039】ここでは、TMGとTMIとのバブリング
ガスをも含めてアルゴンガスとしたが、バブリングガス
はすべてのガス流量に対して微量であるので水素ガスの
ままでも構わない。
【0040】なお、本願においては、有機金属原料が収
納されている容器に供給して該有機金属原料を気化させ
るキャリアガスをバブリングガスと呼ぶことにする。
【0041】キャリアガスは、水又は酸素等の不純物の
濃度が極力低いことが望ましく、本実施形態で使用する
アルゴンガスはゲッター方式の精製装置を用いて高純度
化されている。半導体層14中のInの混晶比は任意に
選んでも構わないが、Inの混晶比を0.4程度以下と
すると結晶品質に優れたInGaN結晶を得ることがで
きる。
【0042】このようにして成長した半導体層14の結
晶品質を評価すると、残留キャリア密度が7×1015
-3となり、抵抗率が90Ωcmとなる。室温における
PLスペクトルは426nm付近のバンド端発光が支配
的であり、深い準位からの発光強度はバンド端発光強度
の5%程度である。半導体層14に対応する2結晶X線
ロッキングカーブの半値幅は約350arcsである。
また、光学顕微鏡で観察した表面モフォロジー(表面形
態)は鏡面であり、Inのドロップレットの形成は認め
られない。
【0043】比較のために、基板11の上に下地層13
までは前述と全く同一の条件で各半導体層を成長させた
後、半導体層14の成長工程において、キャリアガスに
窒素ガスを流しながら前述の各原料ガスを供給すると、
1.5時間で膜厚が100nmの半導体層が得られる。
このInGaNからなる半導体結晶の評価結果は、残留
キャリア密度が3×1017cm-3であり、明らかなn型
伝導性を示している。
【0044】このように、キャリアガスにアルゴンガス
を用いた場合に、InGaN結晶の残留キャリア密度が
低下する理由は今のところ明らかではないが、以下のよ
うに熱力学的な要因と反応速度論的な要因とが組み合わ
さって生じると考えられる。すなわち、InGaN結晶
層は、その成長温度がGaN結晶よりも低いため、窒素
源にアンモニアを用いた場合にアンモニアの分解効率が
下がるので、従来は窒素空孔が生成されやすいと考えら
れていたのに対し、アンモニアが分解して最終的に生成
される水素ガス及び窒素ガスのいずれのガスをもキャリ
アガスに用いなかったことにより、アンモニアの分解効
率が高くなって窒素空孔の生成が抑制されると考えられ
る。
【0045】また、キャリアガスにアルゴンガスを用い
ると、InGaN結晶層の形成と同時に発生する水素の
反応室内の分圧が下がることにより、InGaN結晶層
の分解が抑制され、これにより、窒素ガスをキャリアガ
スに用いた場合よりも結晶の成長速度が大きくなると考
えられる。
【0046】さらに、ガスの種類に依存する反応速度の
パラメータとしてガスの熱伝導率が挙げられる。アルゴ
ンガスと窒素ガスとを比較すると、境界層の厚さは密度
及び粘性係数の値からほぼ同等と考えられるが、アルゴ
ンガスの熱伝導率は窒素ガスの熱伝導率よりも小さいた
め、窒素空孔の生成が抑制されると共にInGaN結晶
層の成長速度が増大すると考えられる。
【0047】以上のことから、InGaN結晶層の品質
が向上し、窒素空孔に起因するn型の残留キャリア密度
が1×1017cm-3以下にまで低減すると考えられる。
【0048】なお、本実施形態においては、キャリアガ
スにアルゴンガスを用いたが、これに限らず、ヘリウム
(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、クリプトン(K
r)ガス又はキセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いて
も、InGaN結晶層の残留キャリア密度を下げる効果
がある。
【0049】また、インジウムと窒素とを含むIII −V
族化合物半導体としてInGaNを用いたが、これに限
らず、InN,InAlGaN,InGaNAs,BI
nN又はInGaNP等の、結晶中に、III 族であるI
n,Al,Ga又はBと、V族であるP又はAsとを任
意の割合で含む窒化物単結晶であってもよい。
【0050】また、本実施形態においては、70Tor
rの減圧下でMOVPE法を用いる結晶成長を説明した
が、常圧下において結晶成長を行なう場合にも同様の効
果を得ることができる。
【0051】以上説明したように、本実施形態による
と、製造工程のキャリアガスに希ガスを用いることによ
り、インジウムと窒素とを含むIII −V族半導体結晶の
残留キャリア密度を低減させることができる。従って、
このIII −V族半導体結晶を用いて構成される発光ダイ
オード、半導体レーザ、フォトダイオード、その他のオ
プトエレクトロニクス素子又は電子素子は、残留キャリ
アに起因する動作中の劣化が抑制されるため、動作寿命
を確保できるので、高い信頼性を得ることができる。
【0052】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施形態について説明する。
【0053】ここでは、第1の実施形態と異なる他のM
OVPE法を用いた、インジウムと窒素とを含むIII −
V族化合物半導体の製造方法を説明する。
【0054】まず、C面を主面とするサファイアからな
る基板11を洗浄した後、反応室内のサセプタ上に基板
11を保持し、反応室内を排気して、70Torrの水
素雰囲気中において温度が1080℃で15分間の加熱
を行なって基板11の表面のクリーニングを行なう。
【0055】次に、基板11の温度を500℃にまで下
げ、キャリアガスに水素ガス、III族原料ガスにTM
G、V族原料ガスにアンモニアを用い、V族/III 族供
給モル比を5000として供給することにより、基板1
1の主面上に、GaNからなり、膜厚が40nmのバッ
ファ層12を成長させる。
【0056】続いて、基板11の温度を1000℃にま
で昇温した後、V族/III 族供給モル比を2000とし
てさらに段階的に昇温し、最終的に温度を1060℃に
まで昇温して1.25時間成長させることにより、バッ
ファ層12の上面にGaNからなり、膜厚が3μmの下
地層13を形成する。
【0057】次に、原料ガスの供給を止めて基板11の
温度を850℃にまで降温させた後、反応室内の圧力
を、例えば、1Torrにまで減圧すると共に、窒素源
となる原料ガスをアンモニア(NH3 )ガスから窒素
(N2 )ガスに切り替え、該窒素ガスを周波数が2.4
5GHzで出力が500WのECRプラズマ放電管内を
流通させることにより、原料の窒素ガスを構成する窒素
分子をプラズマ励起状態とする。これにより、窒素ガス
は窒素分子ラジカル又は窒素原子ラジカルを含む活性窒
素ガスとして、反応室内のサセプタに保持されている基
板11の上面に供給される。また、TMGとTMIとを
TMIのTMGに対する気相比を0.9で、V族/III
族供給モル比を10000となるように設定すると共
に、キャリアガスに窒素ガスを用いて40分間供給する
ことにより、下地層13の上面にInGaNからなり、
膜厚が100nmの半導体層14を成長させる。
【0058】ここで、プラズマ分光を用いてプラズマの
状態をモニターしながら、ECRプラズマ放電管の出
力、原料ガスとしての窒素ガスの流量又は反応室内の圧
力等を制御することにより、活性窒素ガス中の窒素分子
ラジカルと窒素原子ラジカルとの生成状態を制御するこ
とができ、窒素原子ラジカルの密度を相対的に大きくす
ると半導体層14の成長速度が大きくなる。
【0059】なお、プラズマ放電には高周波(RF)プ
ラズマを用いてもよい。
【0060】窒素源に窒素ガスを用いると共に、該窒素
ガスをプラズマ励起状態として用いるため、通常のMO
VPE法に比べて窒素源である原料ガスが、よりクラッ
キングされ活性化されるので、通常よりも低い温度で高
品質な結晶を成長させることができる。
【0061】また、原料ガスに水素を含まないようにす
ることができるため、半導体層14はより高い成長温度
でも分解されにくくなるので、成長可能領域を高温領域
側へも広げることができる。
【0062】前記のようにして得られたInGaN結晶
の品質を評価すると、室温におけるPLスペクトルは4
35nm付近のバンド端発光が支配的であり、深い準位
からの発光強度はバンド端発光強度の5%程度である。
InGaN結晶に対応する2結晶X線ロッキングカーブ
の半値幅は約420arcsである。また、光学顕微鏡
で観察した表面モフォロジーは鏡面であり、Inのドロ
ップレットの形成は認められない。
【0063】このように、窒素源として、窒素分子ラジ
カル又は窒素原子ラジカルを含む活性窒素ガスを用いる
と、結晶の表面における窒素原子の取り込みが促進さ
れ、窒素空孔の密度を低減させることができる。
【0064】なお、本実施形態においては、窒素源とな
る原料ガスに窒素ガスを用いたが、これに限らず、アン
モニア、ヒドラジン、N3 を持つ化合物であるアジド等
のガスを用いてもよい。
【0065】また、窒素源である窒素ガスをすべてプラ
ズマ状態として供給したが、窒素源をプラズマ状態で供
給する一方、キャリアガスや他の原料ガスと同様に通常
のガス流として供給してもよく、また、プラズマ化する
窒素源と通常のガス流とする窒素源とに互いに異なる窒
素源を用いてもよい。
【0066】以上のように本実施形態によると、インジ
ウムと窒素とを含む高品質なIII −V族半導体結晶を得
ることができる。
【0067】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施形態について説明する。
【0068】ここでは、第2の実施形態のMOVPE法
と異なるMBE法を用いた、インジウムと窒素とを含む
III −V族化合物半導体の製造方法を説明する。
【0069】まず、図1に示すように、第2の実施形態
と同様にMOVPE法を用いて、基板11の上に順次、
バッファ層12、下地層13を成長させる。
【0070】その後、基板11を水素雰囲気中で室温に
まで冷却した後、上面に下地層13が形成された基板1
1を反応室から取り出してMBE成長室に設けられた基
板ホルダーに基板11を保持し、MBE成長室内を高真
空に減圧する。
【0071】次に、周波数が13.56MHzで出力が
600Wの高周波プラズマ放電管が設けられた窒素ラジ
カルセルに生成された窒素原子ラジカルを含む窒素ガス
を基板11の下地層13の上面に照射しながら基板11
を740℃にまで昇温すると共に、K(クヌーセン)セ
ルに生成されたGa分子線を基板11の下地層13の上
面に5分間照射することにより、GaNからなる下地層
13をさらに50nmの膜厚に成長させる。
【0072】続いて、基板11の下地層13の上面にI
n分子線をフラックス比が0.35となるように10分
間照射することにより、基板11の下地層13の上にI
nGaNからなり、膜厚が100nmの半導体層14を
成長させる。窒素源となる原料ガスに、アンモニア等を
用いると結晶中に水素原子が多量に取り込まれるため、
水素原子を含まない窒素ガスが好ましい。
【0073】ここで、プラズマ分光を用いてプラズマの
状態をモニターしながら、高周波プラズマ放電管の出
力、窒素ガスの流量又は成長室内の圧力等を制御するこ
とにより、活性窒素ガス中の窒素原子ラジカルと窒素分
子ラジカルの生成状態を制御でき、窒素原子ラジカルの
密度を相対的に大きくすると、GaN結晶層及びInG
aN結晶層の成長速度が大きくなる。例えば、成長速度
を1μm/h程度にすることができ、特に、InGaN
結晶層の成長速度をMOVPE法を用いる場合に比べて
大きくすることができる。
【0074】前記のようにして得られたInGaN結晶
の品質を評価すると、残留キャリア密度が3×1016
-3であり、抵抗率が25Ωcmである。室温における
PLスペクトルは409nm付近のバンド端発光が支配
的であり、深い準位からの発光強度はバンド端発光強度
の1%程度である。InGaN結晶に対応する2結晶X
線ロッキングカーブの半値幅は約380arcsであ
る。また、光学顕微鏡で観察した表面モフォロジーは鏡
面であり、Inのドロップレットの形成は認められな
い。
【0075】このように、MBE法を用いても、窒素源
として、窒素原子ラジカルを含む活性窒素ガスを用いる
と、結晶の表面における窒素原子の取り込みが促進され
る一方、結晶の表面における水素原子の取り込みが抑制
されるため、窒素空孔の密度を低減させることができ
る。
【0076】なお、本実施形態において、高周波プラズ
マ放電管を備えた窒素ラジカルセルを用いたが、これに
限らず、ECRプラズマ放電管を備えた窒素ラジカルセ
ルを用いてもよい。
【0077】以上のように、本実施形態によると、イン
ジウムと窒素とを含む高品質なIII−V族半導体結晶を
得ることができる。
【0078】(第4の実施形態)以下、本発明の第4の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0079】図2は本発明の第4の実施形態に係る、イ
ンジウムと窒素とを含むIII −V族化合物半導体を活性
層に用いた半導体レーザ装置の断面構成を示している。
図2に示すように、n型の6H−SiCからなる基板2
1の上には、基板21と該基板21の上に成長するIII
−V族化合物半導体からなる各結晶層との格子不整合を
緩和させるAlNからなる第1のバッファ層22と、A
lGaInNからなり、各結晶層間に生ずる歪みに起因
したクラックの発生を抑制する第2のバッファ層23
と、n型AlGaNからなり、活性層にポテンシャル障
壁を形成しn型キャリアを閉じ込める第1のクラッド層
24と、GaNからなり、生成された発光光を閉じ込め
る第1の光ガイド層25と、InGaNからなり、n型
キャリアとp型キャリアとを再結合させてレーザ光を生
成する量子井戸活性層26と、GaNからなり、生成さ
れた発光光を閉じ込める第2の光ガイド層27と、p型
AlGaNからなり、活性層にポテンシャル障壁を形成
しp型キャリアを閉じ込める第2のクラッド層28と、
n型GaNからなり、活性層に効率良く電流を注入する
ための電流ブロック層29と、p型GaNからなり、電
極との間のオーミック接触を図るコンタクト層30とが
順次形成されている。コンタクト層30の上面にはPd
/Auからなるp側電極31が形成され、基板21にお
ける結晶成長層側と反対側の面には、Ni/Auからな
るn側電極32が形成されている。
【0080】以下、前記のように構成された半導体レー
ザ装置の製造方法を説明する。ここでは、MOVPE法
を用いて、主面に(0001)カーボン面を有する基板
21に各半導体層を形成する。ここで、晶帯軸[11−
20]に対して数度傾けた主面を用いてもよい。ちなみ
に、SiC結晶とGaN結晶との格子不整合率は約3%
であり、SiCとAlNとの格子不整合率は約1%であ
る。
【0081】まず、基板21の主面を洗浄した後、反応
室内のサセプタ上に基板21を保持し、反応室内を排気
して、70Torrの水素雰囲気中において温度が10
80℃で15分間の加熱を行なって基板21の表面のク
リーニングを行なう。
【0082】次に、基板21の温度を1000℃にまで
降温した後、III 族原料ガスであるTMA、V族原料ガ
スであるアンモニア及びキャリアガスである水素ガスを
反応室にそれぞれ供給することにより、基板21の主面
上に、AlNからなり、膜厚が10nmの第1のバッフ
ァ層22を成長させる。続いて、基板21の温度を91
0℃にまで降温した後、III 族原料ガスであるTMG及
びTMIをTMAと同時に供給して、第1のバッファ層
22の上面にAlGaInNからなり、膜厚が20nm
の第2のバッファ層23を成長させる。
【0083】次に、TMIの供給を止め、シランを供給
しながら基板21の温度を1030℃にまで昇温するこ
とにより、n型AlGaNからなり、Alの混晶比が例
えば0.1で膜厚が1μmのクラッド層24を成長させ
る。続いて、TMA及びシランの供給を止めて、TMG
及びアンモニアの供給を続けることにより、GaNから
なり、膜厚が90nmの第1の光ガイド層25を成長さ
せる。
【0084】次に、TMGの供給を止め、基板21の温
度を810℃にまで降温した後、キャリアガスを水素ガ
スからアルゴンガスに切り替えると共に、TMGとTM
Iとを反応室に供給することにより、InGaNからな
る量子井戸活性層26を形成する。ここで、TMGとT
MIとのバブリングガスも含めてアルゴンガスとした
が、バブリングガスは全ガス流量に対して微量であるの
で水素ガスのままでもよい。
【0085】量子井戸活性層26は、膜厚が2.5nm
でInの混晶比が0.2の井戸層が3層と、膜厚が5n
mでInの混晶比が0.05の障壁層が2層とが交互に
積層されてなり、最上層の井戸層の上には、さらに膜厚
が50nmでAlの混晶比が0.15のAlGaN層を
成長させる。このAlGaN層は量子井戸を形成するI
nGaN結晶の分解を防ぐと共に、レーザ動作中の無効
電流となる電子のp型層側へのオーバーフローを抑制し
ている。このようにして得られた量子井戸活性層26
は、残留キャリア密度が1×1017cm-3未満と小さく
抵抗率も大きいため、高品質な結晶となる。
【0086】次に、基板21の温度を1030℃にまで
昇温した後、キャリアガスをアルゴンガスから再び水素
ガスに切り替えて、TMG及びアンモニアを供給するこ
とにより、量子井戸活性層26の上面に、GaNからな
り、膜厚が90nmの第2の光ガイド層27を成長させ
る。続いて、TMAとCp2 Mgとを原料に加えること
により、p型AlGaNからなり、膜厚が600nmの
第2のクラッド層28を成長させた後、各原料ガスの供
給を止め基板21を室温まで冷却する。
【0087】次に、以上のように基板21上にエピタキ
シャル成長した半導体層に対して所定の加工を施して単
一モードレーザ素子を形成する。すなわち、フォトリソ
グラフィ工程、ドライエッチング工程、埋め込み再成長
工程及び電極蒸着工程等を行なう。
【0088】まず、基板21の上における第2のクラッ
ド層28の上面に全面にわたってシリコン酸化膜を堆積
した後、幅が2μmの帯状領域をマスクして、該シリコ
ン酸化膜に対して第2のクラッド層28の上面が露出す
るまでエッチングを行なってシリコン酸化膜からなるマ
スクパターンを形成する。
【0089】次に、このマスクパターンを用いて、第2
のクラッド層28に対して深さが400nmとなるよう
にエッチングを行なって、第2のクラッド層28の中央
部に帯状の凸部を形成する。
【0090】次に、MOVPE法を用いて、第2のクラ
ッド層28におけるエッチング領域が充填されるように
n型GaNからなる電流ブロック層29を選択的に成長
させた後、マスクパターンを除去する。
【0091】次に、再度、MOVPE法を用いて、基板
21の上における第2のクラッド層28及び電流ブロッ
ク層29の上面に、p型GaNからなり、膜厚が1μm
のコンタクト層30を成長させる。
【0092】Mgからなるアクセプタを活性化するため
の熱処理は、反応室内で行なってもよく、反応室からい
ったん基板21を取り出して熱処理炉で行なってもく、
又は、電極蒸着のシンタリングと同時に行なってもよ
い。熱処理条件は、例えば、窒素雰囲気中で温度が60
0℃で、時間が20分である。
【0093】次に、電極の蒸着とシンタリングとを行な
う。p側には、例えば、基板21の上におけるコンタク
ト層30の上面に、膜厚が10nmのPd膜と膜厚が3
00nmのAu膜とを順次蒸着して積層されたPd/A
uからなるp側電極31を形成する。また、n側には、
基板21の裏面を研磨した後、Ni膜とAu膜とを順次
蒸着して積層されたNi/Auからなるn型電極32を
形成する。
【0094】次に、このように加工された基板21を、
例えば長さが700nmの共振器となるように劈開し、
両端面とも適当なコーティングを施した後、レーザチッ
プに分離して、ヒートシンクにジャンクションダウンで
実装する。
【0095】この半導体レーザ素子の室温における動作
特性を評価したところ、発振波長が415nm、しきい
値電流が45mA及び外部微分量子効率が70%であ
り、レーザ発振開始時の印加電圧は5.3Vであった。
【0096】なお、基板21の上に形成するエピタキシ
ャル層をMBE法を用いておこなってもよい。また、M
OVPE法とMBE法を組み合わせて、基板側のn型層
をMOVPE法で成長し、活性層及びp型層をMBE法
で成長してもよい。MBE法の利点は、水素パッシベー
ションが起こらないため、熱処理せずにp型伝導が得ら
れることと、高品質なInGaN結晶が得られることと
である。
【0097】
【発明の効果】本発明に係る第1の半導体の製造方法に
よると、キャリアガスに希ガスを用いているため、キャ
リアガスに窒素ガスを用いる場合に比べて、アンモニア
等からなるV族原料ガスの分解効率が高くなることによ
り、また、希ガスは窒素ガスよりも熱伝導率が小さいこ
とにより、結晶中の窒素空孔の生成が抑制される。その
結果、窒素空孔に起因するn型の残留キャリア密度が低
減するため、高抵抗となり、例えば、キャリア密度が低
減したインジウムと窒素とを含むIII −V族化合物半導
体を用いて発光素子等の活性層を形成しても該活性層が
容易に破壊されることがなくなるので、所定の動作寿命
を確保できる。
【0098】第1の半導体の製造方法において、希ガス
がアルゴンからなると、比較的入手が容易であるので、
インジウムと窒素とを含むIII −V族化合物半導体の残
留キャリア密度を確実に低減することができる。
【0099】本発明に係る第2又は第3の半導体の製造
方法によると、V族原料ガスにおける窒素原子又は窒素
分子が励起状態にあるため、基板上に成長する結晶表面
に、蒸気圧が高い窒素原子が取り込まれやすくなるの
で、結晶中の窒素空孔の生成が抑制される。その結果、
窒素空孔に起因するn型の残留キャリア密度が低減する
ため、例えば、キャリア密度が低減したインジウムと窒
素とを含むIII −V族化合物半導体を用いて発光素子等
の活性層を形成すると、残留キャリアに起因する動作中
の劣化が抑制されるので、該活性層が容易に破壊される
ことがなくなり、その結果、所定の動作寿命を確保でき
るようになる。
【0100】第2の半導体の製造方法において、V族原
料ガスが窒素ガスであると、結晶中に水素が取り込まれ
ないため、結晶の品質をさらに向上させることができ
る。
【0101】第2又は第3の半導体の製造方法は、励起
工程において、高周波プラズマ生成法又は電子サイクロ
トロン共鳴プラズマ生成法を用いると、窒素原子又は窒
素分子がプラズマ化されるため、確実に活性窒素を生成
することができる。
【0102】本発明に係る半導体レーザ装置によると、
少なくともインジウム及び窒素を含む化合物半導体から
なる活性層の残留キャリア密度が1×1017cm-3より
も小さいため、残留キャリアに起因する動作中の劣化が
抑制されるので、容易に破壊されることがなくなる。こ
れにより、所定の動作寿命を確保できるので、装置の高
信頼性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体の製造方
法を用いて得られたインジウムと窒素とを含む化合物半
導体を示す構成断面図
【図2】本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ装
置を示す構成断面図
【符号の説明】
11 基板 12 バッファ層 13 下地層 14 半導体層 21 基板 22 第1のバッファ層 23 第2のバッファ層 24 第1のクラッド層 25 第1の光ガイド層 26 量子井戸活性層 27 第2の光ガイド層 28 第2のクラッド層 29 電流ブロック層 30 コンタクト層 31 p側電極 32 n側電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 明彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 木戸口 勲 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 伴 雄三郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BE11 BE15 DA05 DA09 EA02 EF02 EJ09 SC02 4K030 AA11 AA18 BA38 BB12 CA05 DA03 FA10 FA14 LA14 5F045 AA04 AA05 AA10 AB17 AC07 AC16 AC17 AD12 AF04 BB16 CA12 5F073 AA13 AA74 CA07 CB04 DA05 EA28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属気相成長法を用いて、反応室に
    設けられたサセプタに保持されている基板の上に化合物
    半導体を成長させる半導体の製造方法であって、 インジウムを含むIII 族原料ガスを前記反応室に供給す
    ると共に、窒素を含むV族原料ガスを前記反応室に供給
    する工程と、 前記反応室に供給された前記III 族原料ガスと前記V族
    原料ガスとを混合し、混合された原料ガスを前記基板の
    上面に搬送する希ガスからなるキャリアガスを前記反応
    室に供給する工程とを備えていることを特徴とする半導
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記希ガスはアルゴンからなることを特
    徴とする請求項2に記載の半導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機金属気相成長法を用いて基板の上に
    化合物半導体を成長させる半導体の製造方法であって、 インジウムを含むIII 族原料ガスを前記基板の上に供給
    するIII 族原料ガス供給工程と、 窒素を含むV族原料ガスを前記基板の上に供給するV族
    原料ガス供給工程とを備え、 前記V族原料ガス供給工程は、前記V族原料ガスにおけ
    る窒素原子又は窒素分子を励起状態とする励起工程を含
    むことを特徴とする半導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記V族原料ガスは窒素ガスであること
    を特徴とする請求項3に記載の半導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 分子線エピタキシー法を用いて、基板の
    上に少なくともインジウムと窒素とを含む化合物半導体
    を成長させる半導体の製造方法であって、 インジウム分子線を前記基板の上面に照射する第1の分
    子線照射工程と、 窒素を含む分子線を前記基板の上面に照射する第2の分
    子線照射工程とを備え、 前記第2の分子線照射工程は、前記窒素を含む分子線の
    窒素原子を励起状態とする励起工程を含むことを特徴と
    する半導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記励起工程において、高周波プラズマ
    生成法又は電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成法を用
    いることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記
    載の半導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 基板上に形成された第1導電型の第1の
    クラッド層と、 前記第1のクラッド層の上に形成された、少なくともイ
    ンジウム及び窒素を含む化合物半導体からなる活性層
    と、 前記活性層の上に形成された第2導電型の第2のクラッ
    ド層とを備え、 前記活性層の残留キャリア密度は1×1017cm-3より
    も小さいことを特徴とする半導体レーザ装置。
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