JP2003163009A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JP2003163009A
JP2003163009A JP2001361041A JP2001361041A JP2003163009A JP 2003163009 A JP2003163009 A JP 2003163009A JP 2001361041 A JP2001361041 A JP 2001361041A JP 2001361041 A JP2001361041 A JP 2001361041A JP 2003163009 A JP2003163009 A JP 2003163009A
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JP
Japan
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cathode
catalyst layer
inlet
polymer electrolyte
hydrogen adsorption
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JP2001361041A
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English (en)
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Yasuhiro Kunisa
康弘 国狭
Shinji Terasono
真二 寺園
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】固体高分子型燃料電池システムを高効率で運転
するためにカソードに低加湿の酸化剤ガスを供給するこ
とによりカソード触媒層のガスの流路の入口近傍領域が
乾燥雰囲気となった場合でも、効率よく出力密度が高い
固体高分子型燃料電池の提供。 【解決手段】アノードとカソードとそれらの間に配置さ
れる高分子電解質膜と、カソードの外側に配置されカソ
ードと接する面に入口と出口とを有するガス流路が形成
されたセパレータとを備える固体高分子型燃料電池にお
いて、カソードの触媒層を、ガス流路の入口の近傍領域
の単位面積あたりの最大水素吸着電気量が、ガス流路の
出口の近傍領域の単位面積あたりの最大水素吸着電気量
より多い構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】水素・酸素燃料電池は、反応生成物が原
理的に水のみであり、地球環境への悪影響がほとんどな
い発電システムとして注目されている。特に、固体高分
子型燃料電池は、近年の研究の急速な進展により出力密
度が高くなりつつあり、実用化がおおいに期待されてい
る。現在検討されている固体高分子型燃料電池は、その
作動温度領域が低く排熱を利用しにくいので、水素等の
アノード反応ガス利用率及び空気等のカソード反応ガス
利用率の高い作動条件下において、高い発電効率、高い
出力密度を得ることのできる性能が要求されている。
【0003】固体高分子型燃料電池に使用されるガス拡
散電極は、通常、触媒層とガス拡散層とからなり、触媒
層には触媒とその触媒を被覆するイオン交換樹脂が含ま
れており、触媒層が高分子電解質膜と接合していて膜と
電極とからなる膜電極接合体を形成している。そして、
高分子電解質膜から連続的につながっているイオン交換
樹脂(厳密にいえばイオン交換基の部分)と触媒と反応
ガスが接している三相界面が電極反応の起こる主要部と
なる。したがって、燃料電池を高出力密度化するために
は、上記三相界面の数を増やすことが重要である。特に
四電子反応で反応過電圧が大きいカソードの反応サイト
を増やすことが高出力密度化につながる。
【0004】通常の固体高分子型燃料電池は、例えば図
1に示すようなガス流路2となる溝が両面に形成された
セパレータ1を介して、膜電極接合体が積層されてスタ
ックを構成する。そして、カソードにおいては空気等の
酸化剤ガスがガス流路2の入口21から供給され、ガス
拡散電極の面内を流れてガス流路の出口22から排出さ
れる。なお、図1は、(a)がセパレータをカソード又
はアノードと接する面からみた正面図、(b)は(a)
におけるA−A’の位置で切断したときの断面図であ
る。図1(a)中、矢印はガスの流れる方向を示してい
る。
【0005】反応効率を重視する場合、膜及び触媒層中
のイオン交換樹脂は導電性を確保するために湿潤してい
ることが好ましいため、反応ガスは加湿して供給される
ことが多い。しかし、燃料電池全体のシステムの効率を
重視する場合、酸化剤ガスは緩やかな加湿条件で加湿さ
れ露点が電池の作動温度より低い低加湿状態で供給され
ることが望ましい。この場合ガス流路の入口近傍領域は
乾燥雰囲気となり、出口近傍領域は触媒層面内で電池反
応により生成される水が累積されて比較的湿潤雰囲気と
なる。そのため、カソード触媒層はガス流路の入口近傍
領域と出口近傍領域とでは反応効率が異なってくる。し
かし従来は、カソード触媒層は構成が面内で均一であ
り、ガス流路の入口近傍領域と出口近傍領域とで異なる
機能を持たせることはできていなかった。
【0006】この対応策として特開平2001−572
18には、ガス拡散層の反応ガス上流部のガス拡散性を
反応ガス下流部よりも低くする(具体的にはガス拡散層
の平均気孔径を小さくする)固体高分子型燃料電池が提
案されている。しかし、この固体高分子型燃料電池で
は、カソードにおけるガス流路の入口近傍領域は、ガス
拡散層の効果により多少湿潤状態にはなるものの本質的
には出口近傍領域よりも乾燥しており、ガス流路の入口
近傍領域において実質的に機能する反応サイト数が少な
く、充分に燃料電池の出力を高めることはできなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、カソー
ドに低加湿の酸化剤ガスが供給されると、ガス流路の入
口近傍領域のカソード触媒層は乾燥状態になり、出口近
傍領域は比較的湿潤雰囲気となる。そのため触媒を被覆
しているイオン交換樹脂の含水率は低くなり樹脂内のプ
ロトンの通路が充分に確保できず実質的に機能する反応
サイトの数が少なくなる。したがって、カソード触媒層
の面内の構成、すなわち触媒層とイオン交換樹脂との面
内での分布が均一であると、ガス流路の入口近傍領域は
出口近傍領域に比べて実質的に機能する反応サイトの数
が大幅に減少する。そのため電極全体としては出力密度
が低くなる。
【0008】そこで本発明は、カソードの面内におい
て、ガス流路の入口近傍領域と出口近傍領域において実
質的に機能する反応サイト数に大幅な違いがなく、面内
においてほぼ均一に反応が起こって電流密度がほぼ均一
なカソード触媒層を備えることにより、出力特性に優れ
る固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アノードと、
カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置
された高分子電解質膜と、前記カソードの前記高分子電
解質膜と接する面の反対側に配置され入口と出口とを有
するガス流路が前記カソードと接する面に形成されたセ
パレータと、を備える固体高分子型燃料電池であって、
前記カソードは、白金又は白金合金を含む触媒とイオン
交換樹脂とを含み前記高分子電解質膜と隣接する触媒層
を有し、前記触媒層において、前記ガス流路の前記入口
の近傍領域のサイクリックボルタンメトリー法により得
られる単位面積あたりの最大水素吸着電気量が、前記出
口の近傍領域の単位面積あたりの最大水素吸着電気量よ
り多いことを特徴とする固体高分子型燃料電池を提供す
る。
【0010】本発明者らは鋭意検討の結果、潜在的に存
在する反応サイト数は、電気化学的測定法であるサイク
リックボルタンメトリー法で測定した最大水素吸着電気
量により定量的に評価できると考えた。そして、従来の
カソード触媒層の構造では低加湿状態の酸化剤ガスが供
給された場合、ガス流路の入口近傍領域ではイオン交換
樹脂が乾燥して樹脂の含水率が低下するために最大水素
吸着電気量が少なくなり、全体として燃料電池の出力密
度が低下すると考えた。
【0011】そこで、カソードの触媒層を、ガス流路の
入口近傍領域における最大水素吸着電気量がガス流路の
出口近傍領域に比べて大きくなるように構成することに
より、ガス流路の入口近傍領域のカソード触媒層の反応
サイトが充分に確保でき、効率的に燃料電池の出力密度
を高められることを見出し、本発明に至った。なお、水
素吸着電気量は触媒層の湿潤状態によって値が異なるの
で、本明細書では最大水素吸着電気量とは、80℃にお
いてカソード触媒層を充分に湿潤させた状態で測定した
場合の水素吸着電気量のことをいう。具体的にはセル温
度と同じ温度の露点のガスを供給した場合に測定される
水素吸着電気量であり、具体的測定方法は後述する。
【0012】本発明の固体高分子型燃料電池は、カソー
ド触媒層の面内分布において、ガス流路の入口近傍領域
における最大水素吸着電気量が出口近傍領域よりも大き
く入口近傍領域に潜在的に存在する反応サイト数の絶対
量が多くなっていると考えられる。したがって、ガス流
路の入口近傍領域が乾燥状態となり触媒を被覆するイオ
ン交換樹脂が乾燥しても、ある程度の実質的に機能する
反応サイト数を確保できる。
【0013】一方、ガス流路の出口近傍領域では電池反
応により生成した生成水の累積分があって比較的湿潤雰
囲気となっているため、イオン交換樹脂が含水状態にな
り、入口近傍領域ほど潜在的な反応サイト数を存在させ
ていなくても発電中に実質的に機能する充分な反応サイ
ト数を確保できる。その結果、効率的にカソード触媒層
の面内の電流密度分布を均一化でき、燃料電池の出力密
度を高められる。
【0014】本発明におけるカソードの触媒層の最大水
素吸着電気量は、以下の方法で測定した値である。すな
わち、アノード、カソード及び高分子電解質膜からなる
膜電極接合体に対し、セル温度(膜電極接合体の温度)
と同じ温度の露点を有する加湿ガスをカソード、アノー
ドそれぞれに供給した状態でサイクリックボルタンメト
リー法により測定して得た値である。セル温度と同じ温
度の露点を有するガスを供給することにより触媒層中の
樹脂は充分に湿潤されるため、セル温度において機能し
うる反応サイトをすべて測定できる。
【0015】具体的な測定法を例を挙げて説明する。電
極面積が25mの膜電極接合体に対し、セル温度80
℃において、アノードに80℃の露点を有する加湿水素
を27mL/分で供給して参照極とし、カソードには8
0℃の露点を有する加湿窒素を2L/分で供給し、ポテ
ンシオスタット及びファンクションジェネレータを接続
して0V〜1.15Vの範囲で10mV/秒の電位掃引
速度でボルタモグラムを書く。このとき掃引は数回行
い、定常状態になったボルタモグラムを記録して、その
水素の還元に伴う水素吸着電気量を水素吸着ピークの面
積(時間と電流値の積の積算値)から算出する。このよ
うにして測定したボルタモグラムの一例を図3に示す。
【0016】水素吸着ピークは次のようにして求める。
クーロン量は電流と時間の積で求められるが、図3の横
軸は電位の掃引速度がわかっているため時間に換算で
き、縦軸の電流量の絶対値との積により決定される。例
えば水素吸着ピークを三角形に近似して計算すると底辺
から0.12V/(0.01V/秒)=12秒、高さは
絶対値が0.15Aであるから、水素吸着電気量は12
×0.15/2=0.9Cとなり、単位面積あたりの数
値に換算すると0.9/25=0.036C/cm
なる。実際には面積は厳密に積分値から算出して水素吸
着電気量を求めると、これが最大水素吸着電気量とな
る。なお、ここで測定される水素吸着電気量とは白金上
に吸着する水素の量であるから、イオン交換樹脂中を通
って白金上まで到達したプロトンの量と相関関係があ
り、反応サイトを意味していることになる。
【0017】本発明ではカソード触媒層が面内で最大水
素吸着電気量の異なるいくつかの領域にわかれているの
で、各領域の最大水素吸着電気量を測定する必要があ
る。しかし1枚の膜電極接合体の部分ごとに最大水素吸
着電気量を測定することは困難であるため、膜電極接合
体を切断して最大水素吸着電気量の同じ領域ごとに複数
のサンプルを作製する(1つのサンプル内ではカソード
触媒層の面内で最大水素吸着電気量がほぼ均一になって
いるようにする)か、又は別途それぞれの領域と同じ最
大水素吸着電気量となるように同じ構成の膜電極接合体
をそれぞれ作製してもよい。
【0018】具体的に本明細書においてカソード触媒層
のガス流路の入口近傍領域の最大水素吸着電気量とは、
カソードが例えば図1のようなセパレータと接している
場合は、セパレータのガス流路の入口を含む上部と接す
るカソード触媒層の部分について測定される最大水素吸
着電気量である。同様にガス流路の出口近傍領域の最大
水素吸着電気量とは、セパレータのガス流路の出口を含
む下部と接するカソード触媒層の部分について測定され
る最大水素吸着電気量である。
【0019】カソードの触媒層の最大水素吸着電気量を
決定する要因は種々あるが、例えば電極に含まれる白金
の量、イオン交換樹脂の量、触媒層の構造などが挙げら
れる。触媒が白金がカーボンに担持されてなる担持触媒
である場合、担持触媒と触媒を被覆するイオン交換樹脂
との含有割合が固定されていれば、それらを併せた絶対
量が多いほど最大水素吸着電気量は大きくなる。また、
担持触媒とイオン交換樹脂との含有割合によっても最大
水素吸着電気量は変わる。担持触媒とイオン交換樹脂と
いう2つの成分の量を調節することで面内で最大水素吸
着電気量に分布をつけることもできる。
【0020】本発明では、カソードの触媒層のガス流路
の出口近傍領域の単位面積あたりの最大水素吸着電気量
を、入口近傍領域の単位面積あたりの最大水素吸着電気
量に対して85%以下とし、かつガスの入口近傍領域の
単位面積あたりの最大素吸着電気量を0.01〜0.1
C/cmとすることが好ましい。単位面積あたりの最
大水素吸着電気量が0.01〜0.1C/cmであれ
ば、カソード触媒層のガス流路の入口近傍領域は乾燥し
ていても実質的に機能する反応サイトを充分に確保で
き、優れた燃料電池の初期特性及び耐久性が得られる。
より耐久性等を高めるには、0.016C/cm以上
とすることが好ましい。
【0021】一方、入口近傍領域の最大水素吸着電気量
が大きくするには触媒の白金等が多く必要であり、カソ
ード触媒層が厚くなってガス拡散性が低下しセル電圧が
低下するので好ましくない。そのため0.1C/cm
以下が好ましく、さらには0.08C/cm以下が好
ましい。そして反応生成水等によりガスが加湿されてい
るガス流路の出口近傍領域では入口近傍領域より最大水
素吸着電気量が少なくても充分に反応サイトが確保でき
るので、ガス流路の出口近傍領域の単位面積あたりの最
大水素吸着電気量が入口近傍領域の最大水素吸着電気量
に対して85%以下、特に75%以下であることが好ま
しい。一方、ガス流路の出口近傍領域の反応サイトが入
口近傍領域に比べて極端に少なくなって出力密度が低く
ならないように、上記割合は30%以上であることが好
ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の固体高分子型燃料電池の
カソード触媒層において、最大水素吸着電気量を高くし
たガス流路の入口近傍領域(以下、高クーロン量領域と
いう)の面積及び最大水素吸着電気量を低くした出口近
傍領域(以下、低クーロン量領域という)の面積は、何
れもカソード触媒層の全面積に対して5%以上であるこ
とが好ましく、10%以上であることがより好ましく、
20%以上であることがさらに好ましい。高クーロン量
領域の面積の割合がカソード触媒層の全面積に対して5
%未満であると、乾燥雰囲気の入口近傍領域の触媒層内
に充分な反応サイトを確保できず高い電池出力を得られ
ないおそれがある。また低クーロン量領域の面積の割合
がカソード触媒層の全面積に対して5%未満であると、
触媒層面内を効率的に分離することができず効率的に高
出力密度を得られないおそれがある。
【0023】また、カソードの触媒層を高クーロン領域
と低クーロン領域の2つの領域にわけるだけでなく、3
つ以上の領域にわけて、ガスの流路の入口側から出口側
に向かって徐々に最大水素吸着電気量が低い領域となっ
ていくようにしてもよい。
【0024】本発明の構成は、特にカソードに低加湿の
ガスを供給した場合に有効な構成である。すなわち、カ
ソード側のガスの流路に燃料電池の作動温度よりも10
℃以上低い温度の露点を有するガス、さらには燃料電池
の作動温度よりも15℃以上低い温度の露点を有するガ
スが流れている場合に優れた効果を示す。なお、ここで
いう低加湿のガスには無加湿(乾燥状態)のガスも含
む。
【0025】本発明において、カソード触媒層には白金
又は白金合金を含む触媒が含まれるが、白金又は白金合
金の量は電池出力とコストの観点から0.3〜1.0m
g/cmとすることが好ましい。ここで白金又は白金
合金は、カーボンに担持されてなる担持触媒として触媒
層中に含有されることが好ましい。
【0026】またカソード触媒層に含有されるイオン交
換樹脂の含有量については、カソード触媒層内のプロト
ン導電性を充分に確保する観点と触媒層内に充分な反応
サイトを確保する観点から、触媒とイオン交換樹脂との
比率(質量比)の範囲が、触媒の質量:イオン交換樹脂
の質量=4.0:6.0〜9.5:0.5であることが
好ましく、触媒の質量:イオン交換樹脂の質量=6.
0:4.0〜8.0:2.0であることがより好まし
い。なおここでいう触媒の質量とは、触媒担持カーボン
などの担体に担持された担持触媒の場合にはその担体の
質量も含むものとする。
【0027】上記イオン交換樹脂としては、湿潤状態下
で良好なイオン導電性を示すイオン交換樹脂であれば特
に限定されないが、耐久性及び出力特性の観点からスル
ホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(エーテ
ル結合性の酸素原子等を含んでもよい)が好ましい。ま
た、高温耐性に優れるホスホン酸基を有するパーフルオ
ロカーボン重合体等も使用できる。
【0028】本発明におけるアノード触媒層は特に限定
されないが、カソードと同様に触媒とイオン交換樹脂を
含むものである。アノード触媒層はカソード触媒層と同
様に触媒層面内で最大水素吸着電気量の分布が異なって
いてもよいが、面内の組成は均一であってもよい。
【0029】また、本発明における固体高分子電解質膜
となるイオン交換膜は特に限定されないが、具体的には
例えば、旭硝子社製のフレミオン、旭化成社製のアシプ
レックス、デュポン社製のナフィオン、ジャパンゴアテ
ックス社製のゴアセレクト等が使用できる。これらの膜
は、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体
からなる膜であるが、これら以外に、ホスホン酸基又は
フェノール系水酸基等を有するパーフルオロカーボン重
合体からなる膜も使用できる。また、スルホン酸基やホ
スホン酸基等を有する炭化水素系樹脂又は部分フッ素化
された炭化水素系樹脂からなる膜も使用できる。膜の製
造方法は特に限定されず、押出し成形膜でもよいし、イ
オン交換樹脂を溶媒に溶解又は分散させた液から、キャ
スト法にて得られる膜でもよい。また、イオン交換樹脂
からなる膜を補強材と複合化した補強膜も固体高分子電
解質膜として使用できる。
【0030】イオン交換膜上での触媒層の形成は、触媒
層を基材シート上に形成したものを膜にホットプレス転
写してもよいし、膜状に直接塗工してもよいし、触媒層
をガス拡散層上に形成したものを膜にホットプレス接合
してもよく特には限定されない。
【0031】
【実施例】以下に、本発明を実施例(例1)及び比較例
(例2、3)により具体的に説明するが、本発明はこれ
らに限定されない。
【0032】〔例1〕カソード触媒層に含有させるイオ
ン交換樹脂として、スルホン酸基を有するパーフルオロ
カーボン重合体であるCF=CF/CF=CF−
OCFCF(CF)−OCFCFSOH共重
合体(イオン交換容量Aは1.1ミリ当量/g乾燥樹
脂(以下meq./gとする))を用いた。次に、触媒
としてカーボン(商品名:ケッチェンブラックEC、ラ
イオン社製)に白金が触媒全質量の54%担持された担
持触媒を用い、該触媒と上記共重合体とを質量比で6.
85:3.15となるように、エタノール/水の混合溶
媒(質量比で1/1)中で混合撹拌し、得られる液の固
形分(触媒と樹脂の合量)濃度が10質量%となるよう
に調製した。これを触媒層形成用塗工液1とする。
【0033】次に、上記担持触媒と上記共重合体とを質
量比で6.44:3.56となるように、エタノール/
水の混合溶媒(質量比で1/1)中で混合撹拌し、得ら
れる液の固形分(触媒と樹脂の合量)濃度が10質量%
となるように調製した。これを触媒層形成用塗工液2と
する。
【0034】次に、図2を参照しながら、触媒層の形成
方法と、膜・電極接合体の作製について説明する。ま
ず、触媒層形成用塗工液1を厚さ50μmのテトラフル
オロエチレン/エチレン共重合体からなる基材シート
(商品名:アフロンCOP、旭硝子社製)の片面に、白
金付着量が0.3mg/cmとなるようにバーコータ
で塗布し、乾燥させこれをアノード触媒層33とした。
このアノード触媒層が形成された基材シートを、有効電
極面積が25cmとなるように切り出した。
【0035】次にカソード触媒層の形成は以下のように
行った。カソード触媒層を均等に上下2つの領域に分け
る、すなわちカソードのセパレータを図1におけるB−
B’の位置で2つに分けた場合にB−B’の位置よりも
上部と接するカソード触媒層、すなわちガスの流路の入
口近傍領域となる部分を高クーロン量領域Pとなるよう
にし、B−B’の位置よりも下部と接するカソード触媒
層、すなわちガスの流路の出口近傍領域となる部分を低
クーロン量領域Qとなるように以下の手順で形成した。
なお、全カソード触媒層面積(領域Pの面積と領域Qの
面積との和)に対する高クーロン量領域Pの面積及び低
クーロン量領域Qの面積の割合(%)はそれぞれ50%
とした。
【0036】触媒層形成用塗工液2をアノード触媒層3
3を形成した基材シートと同じ材質で別途用意した基材
シートの半分に白金付着量が0.4mg/cmとなる
ように塗布して乾燥させ、これを高クーロン量領域Pと
した。次に触媒層形成用塗工液1を上記基材シートの残
りの半分白金付着量が0.3mg/cmとなるように
塗布して乾燥させ、これを低クーロン量領域Qとした。
そして、高クーロン量領域Pと低クーロン量領域Qとか
らなるカソード触媒層32が形成された基材シートを領
域Pと領域Qの面積が等しくなるようにして有効電極面
積が25cmとなるように切り出した。
【0037】アノード触媒層33が形成された基材シー
トとカソード触媒層32が形成された基材シートとを、
それぞれ触媒層が形成された面を内側に向けて対向さ
せ、間に高分子電解質膜31としてスルホン酸基を有す
るパーフルオロカーボン重合体からなりフィブリル状の
フルオロカーボン重合体で補強されたイオン交換膜(商
品名:フレミオンHEf2、旭硝子社製、A=1.1
meq./g、乾燥膜厚30μm)を挟んで、160℃
でホットプレスした。ホットプレスによりカソード触媒
層32及びアノード触媒層33は高分子電解質膜31に
転写されたので、両面の基材シートを剥離することによ
り膜・触媒層接合体を得た。
【0038】次に、この接合体の両面にガス拡散層とし
て表面がカーボンと撥水剤で目詰めされたカーボンクロ
ス(商品名:カーベルCL、ジャパンゴアテックス社
製)をガス拡散層34、35として配置し、膜・電極接
合体を得た。この膜・電極接合体を、表面にガスの流路
となる溝が形成されたセパレータ36、37の2枚で挟
み、図2における左側にガスの入口がくるようにし、右
側に反応ガスの出口がくるようにした。
【0039】次に、得られた膜・電極接合体のカソード
触媒層のP、Qそれぞれの領域における最大水素吸着電
気量を測定するため、全面がPの領域と同じ組成のカソ
ード触媒層と全面がQの領域と同じ組成のカソード触媒
層をそれぞれ作製し、それぞれについて上記と同様にア
ノード、高分子電解質膜、ガス拡散層等を用いてそれぞ
れ膜・電極接合体を作製した。
【0040】領域Pに対応する膜・電極接合体及び領域
Qに対応する膜・電極接合体それぞれについて、セル温
度80℃にて露点80℃の加湿水素ガスを27mL/分
でアノード側に供給し、カソード側には露点80℃加湿
空気を2L/分で供給し、30分間ガスを流してカソー
ド系内の空気を窒素で充分に置換した後、ポテンシオス
タット及びファンクションジェネレータを用いてサイク
リックボルタンメトリー法にてサイクリックボルタモグ
ラムを作成した。電位掃引速度は10mV/秒、電位の
掃引範囲は0V〜1.15Vとした。
【0041】ガスの流路の入口近傍領域にあたる高クー
ロン量領域Pの単位面積あたりの最大水素吸着電気量は
0.024C/cmであり、ガスの流路の出口近傍領
域にあたる低クーロン量領域Qの単位面積あたりの最大
水素吸着電気量は0.014C/cmであり、領域Q
の単位面積あたりの最大水素吸着電気量は領域Pのそれ
に対して約58%であった。
【0042】〔例2〕例1のカソード触媒層形成におい
て、高クーロン量領域Pの白金付着量が0.35mg/
cmとなるように触媒層形成用塗工液2を塗布し、及
び低クーロン量領域Qの白金付着量が0.35mg/c
となるように触媒層形成用塗工液1を塗布した以外
は例1と同様に電極・膜接合体を形成した。また例1と
同様に領域P、Qそれぞれに対応する膜・電極接合体も
作製した。入口近傍領域にあたる高クーロン量領域Pの
単位面積あたりの最大水素吸着電気量は0.021C/
cmであり、出口近傍領域にあたる低クーロン量領域
Qの単位面積あたりの最大水素吸着電気量は0.017
C/cmであった。領域Qの単位面積あたりの最大水
素吸着電気量は領域Pのそれに対して約81%であっ
た。
【0043】〔例3〕カソード用の触媒層形成用塗工液
3を以下のように調製した。触媒にはカーボン(商品
名:ケッチェンブラックEC、ライオン社製)に白金が
触媒全質量の54%担持されたものを用い、該触媒と上
記スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体とを質量比
で6.64:3.36となるように、エタノール/水の
混合溶媒(質量比で1/1)中で混合撹袢した。このと
き塗工液の固形分(触媒と樹脂の合量)濃度は10質量
%となるように調製した。この触媒層形成用塗工液3を
基材シート上に、全域に均一に白金付着量が0.35m
g/cmとなるように塗布して乾燥させた。この基材
シートを有効電極面積が25cmとなるように切り出
した。
【0044】カソードを形成するのにこの基材シートを
用いた以外は例1と同様にして膜・電極接合体を得た。
この膜・電極接合体はカソード触媒層が均一な組成から
なるため、最大水素吸着電気量はこの膜・電極接合体を
用いて測定した。カソード触媒層の単位面積あたりの最
大水素吸着電気量は0.019C/cmであった。
【0045】[電池特性試験]上記の例1〜3の各単位
セル(膜・電極接合体)の両外側に図1に示すようなセ
パレータを配置して測定セルとし、電子負荷装置FK4
00L(高砂製作所社製)と直流電源装置EX750L
(高砂製作所社製)を用いて電流電圧特性の測定試験を
行った。測定条件は、水素出口圧力;0.15MPa、
空気出口圧力;0.15MPa、測定セルの作動温度;
75℃とし、カソードに供給する空気の露点は45℃、
アノードに供給する水素の露点は70℃とし、出力電流
密度を0A/cm(OCV)、0.2A/cm
1.0A/cmと変化させた場合における測定セルの
セル電圧(端子間電圧)を測定した。これらの各測定セ
ルの試験結果を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明の固体高分子型燃料電池は、低加
湿の酸化剤ガスをカソードに供給することにより入口近
傍領域が乾燥状態になっても、入口近傍領域に潜在的に
存在する反応サイトの絶対量が多いために発電中におい
て充分に有効反応サイトを確保できる。一方、ガス流路
の出口近傍領域は入口近傍領域から累積された電池反応
生成水により湿潤状態となるため、触媒を被覆するイオ
ン交換樹脂は含水状態となり、入口近傍領域ほど潜在的
に存在する反応サイトが多くない本発明の構成でも有効
反応サイトは充分に存在する。したがって、本発明によ
れば経済的で効率よい高性能の固体高分子型燃料電池を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セパレータの構造の一例を示す図。(a)正面
図。(b)図1(a)におけるA−A’で切断したとき
の断面図。
【図2】本発明の固体高分子型燃料電池の実施形態を示
す図。
【図3】カソード触媒層についてサイクリックボルタン
メトリー法により測定したボルタモグラムの一例を示す
図。
【符号の説明】
2:セパレータ 21:ガスの流路の入口 22:ガスの流路の出口 31:高分子電解質膜 32:カソード触媒層 33:アノード触媒層 34、35:ガス拡散層 36、37:セパレータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノードと、カソードと、前記アノードと
    前記カソードとの間に配置された高分子電解質膜と、前
    記カソードの前記高分子電解質膜と接する面の反対側に
    配置され入口と出口とを有するガス流路が前記カソード
    と接する面に形成されたセパレータと、を備える固体高
    分子型燃料電池であって、 前記カソードは、白金又は白金合金を含む触媒とイオン
    交換樹脂とを含み前記高分子電解質膜と隣接する触媒層
    を有し、 前記触媒層において、前記ガス流路の前記入口の近傍領
    域のサイクリックボルタンメトリー法により得られる単
    位面積あたりの最大水素吸着電気量が、前記出口の近傍
    領域の単位面積あたりの最大水素吸着電気量より多いこ
    とを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 【請求項2】前記出口の近傍領域の単位面積あたりの最
    大水素吸着電気量が、前記入口の近傍領域の単位面積あ
    たりの最大水素吸着電気量に対して85%以下であり、
    かつ前記入口の近傍領域の単位面積あたりの最大水素吸
    着電気量が0.01〜0.1C/cmである請求項1
    に記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 【請求項3】前記ガスの流路には、燃料電池の作動温度
    よりも10℃以上低い温度の露点を有するガスが流れる
    請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 【請求項4】前記イオン交換樹脂は、スルホン酸基を有
    するパーフルオロカーボン重合体からなる請求項1〜3
    のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004207231A (ja) * 2002-12-11 2004-07-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池用電解質膜―電極接合体およびこれを用いた燃料電池の運転方法
JP2009140656A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Panasonic Corp 直接酸化型燃料電池
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