JP2003161858A - 石英系光導波路素子と光ファイバとの融着接続方法及び装置 - Google Patents

石英系光導波路素子と光ファイバとの融着接続方法及び装置

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JP2003161858A
JP2003161858A JP2001360743A JP2001360743A JP2003161858A JP 2003161858 A JP2003161858 A JP 2003161858A JP 2001360743 A JP2001360743 A JP 2001360743A JP 2001360743 A JP2001360743 A JP 2001360743A JP 2003161858 A JP2003161858 A JP 2003161858A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッドに不純物濃度の高い多成分系ガラス
をもつ石英系光導波路素子と光ファイバとを気泡を発生
させることなく融着接続できる融着接続方法を提供す
る。 【解決手段】 石英系光導波路素子6と光ファイバ9と
を加圧チャンバ4内に設置し、加圧チャンバ4内の気圧
を大気圧よりも高くするように上昇させ、石英系光導波
路素子6と光ファイバ9とを加熱により融着するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス導波路素子
と光ファイバとの融着接続方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、一般的な石英系光導波路素子の
断面構造を示す図である。
【0003】図2に示すように、一般に石英系光導波路
素子6は、石英基板からなる下部クラッド3と、石英系
のガラスにTi、Geなどの不純物を添加して屈折率を高
くしてあるコア1a,1bと、SiO2を主成分とするガ
ラスにB23、P25を添加してなる多成分系ガラスか
らなる上部クラッド2とで構成されている。
【0004】上部クラッド2は、火炎堆積法を用いて成
膜されている。
【0005】火炎堆積法とは、SiCl4、BCl4、PCl
4からなる原料ガスを酸水素炎中で加熱し、加水分解す
ることで生成されるガラス微粒子(SiO2を主成分とし
23、P25を含有する)を石英基板上に堆積し、1
300℃以上の高温において焼結し透明ガラス化する方
法である。
【0006】一般に火炎堆積法で成膜する多成分系ガラ
スは、不純物濃度が高くなると軟化温度が下がり、焼結
温度における粘度が低下する。
【0007】この性質を利用して例えばコア1a,1b
のようにコア間隙が狭い光回路パターンを有する光導波
路素子6を製作するとき、コア間隙を完全に埋め込むた
めに上部クラッド2となる多成分系ガラスの不純物濃度
を高く設定することがある。
【0008】ただし、多成分系ガラスの不純物濃度を高
くしすぎると、石英基板と多成分系ガラスとの熱膨張率
の差から焼結後の石英基板に大きな反りが発生し、基板
の割れ、ガラス膜の剥離等の原因となることがあり、多
成分系ガラスに添加する不純物濃度には上限がある。
【0009】一方、石英系光導波路素子6を光通信シス
テムに利用する場合には光ファイバとの接続が必要とな
る。この接続方法の一つに石英系光導波路素子6と光フ
ァイバとを溶融一体化して永久接続する融着接続法があ
る。融着接続法は、接続部での反射戻り光がほとんど発
生しないことや、温度変化による結合効率の変動がほと
んどないことが特徴であり、高い信頼性が求められる用
途への利用が進められている。
【0010】図3は一般的な石英系光導波路素子6と光
ファイバ9との融着接続方法を示した図である。石英系
光導波路素子6に形成された光回路と、光ファイバ9と
を融着接続する場合、石英系光導波路素子6端面と光フ
ァイバ9とを突き合わせ、その突き合わせ部分11にレ
ーザ光10を照射し、突き合わせ部分11を加熱融解す
ることにより融着接続を行っている。
【0011】この場合、レーザ光10の出力、照射時
間、照射間隔等の条件のほかに融着の対象となる石英系
光導波路素子6の上部クラッド2の不純物濃度条件は予
め決められている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、石英系光導
波路素子6の上部クラッド2となる多成分系ガラスは一
般に不純物濃度が高くなると軟化温度が下がると共に、
膜中に溶解するO2、He等のガス成分が増加するため、
レーザ照射によって石英系光導波路素子6端面と光ファ
イバ9との突き合わせ部分11を溶解したときに石英系
光導波路素子6のクラッド2に溶解しきれなくなったガ
ス成分が気泡となって発生し易くなる。
【0013】気泡が発生すると、融着部に気泡が残留
し、融着部の接続強度が低下し、さらに接続損失が増加
してしまう問題があった。
【0014】このため、不純物濃度を高くして軟化温度
を下げた多成分系ガラスに対しては融着接続を適用でき
ないという課題があった。
【0015】そこで、本発明の目的は上記課題を解決
し、クラッドに不純物濃度の高い多成分系ガラスをもつ
石英系光導波路素子と光ファイバとを気泡を発生させる
ことなく融着接続できる融着接続方法とその装置を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、石英系光導波路素子と光ファイバとを加圧
チャンバ内に設置し、該加圧チャンバ内の気圧を大気圧
よりも高くするように上昇させ、上記石英系光導波路素
子と上記光ファイバとを加熱により融着するものであ
る。
【0017】また、上記石英系光導波路素子の上部クラ
ッドを、SiO2にB23、P25を添加してなる多成分
系ガラスで形成し、かつ、上記B23、P25の成分比
をそれぞれ多成分系ガラス全体に対して8%〜10%と
するとよい。
【0018】融着接続装置は、石英系光導波路素子と光
ファイバとを気密に収容する加圧チャンバと、該加圧チ
ャンバ内の気圧を少なくとも大気圧よりも高い気圧に上
昇させるための加圧手段と、上記加圧チャンバに設けら
れ上記石英系光導波路素子と光ファイバとを融着接続す
るためのレーザ光を上記加圧チャンバ外から導入するた
めの窓とを備えて構成した。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の好適実施の形態を添付図
面に基づいて詳述する。
【0020】図1は、融着接続装置12の側断面図を示
すものである。
【0021】図1に示すように、融着接続装置12は、
石英系光導波路素子6と光ファイバ9とを気密に収容す
る加圧チャンバ4と、加圧チャンバ4内の気圧を少なく
とも大気圧よりも高い気圧に上昇させるための加圧手段
13とからなる。
【0022】加圧チャンバ4は、円筒の両端を気密に塞
いだ形状に形成されており、加圧チャンバ4の周面には
Zn-Seで形成された窓5が設けられている。
【0023】窓5は、石英系光導波路素子6と光ファイ
バ9とを融着接続するためのレーザ光10を加圧チャン
バ4外から導入するためのものであり、具体的には加圧
チャンバ4の上端に気密に設けられている。
【0024】レーザ光10は、加圧チャンバ4外の図示
しない光源から照射されるようになっており、具体的に
はCO2レーザからなる。
【0025】また、加圧チャンバ4内には、石英系光導
波路素子6と光ファイバ9とを突き合わせた状態で留め
るための固定治具8が着脱自在に設けられている。
【0026】固定治具8は、レーザ光10の照射に支障
がないように窓5に臨む位置、すなわち、窓5に直径線
上で向かい合う位置(直下位置)に装着されるようにな
っており、石英系光導波路素子6に加熱するための予備
加熱用のヒータ7を有する。
【0027】ヒータ7は、具体的にはセラミックスヒー
タ7からなり、光導波路素子6の裏側に密着するように
なっている。そして、石英系光導波路素子6及び光ファ
イバ9の溶融温度が高くなる高圧下において、レーザ光
10だけでは不足する熱量を補うようになっている。
【0028】加圧手段13は、圧縮機15からなる。圧
縮機15は、エア配管16を介して加圧チャンバ4に接
続されており、加圧チャンバ4内に圧気を送り込めるよ
うになっている。
【0029】次に作用を述べる。
【0030】不純物濃度の高い多成分系ガラスを用いて
形成された石英系光導波路素子6の端面と光ファイバ9
とを突き合わせ、固定治具8に設置する。固定治具8
は、石英系光導波路素子6の端面と光ファイバ9とを互
いに突き合わせた状態で留める。
【0031】この後、固定治具8を加圧チャンバ4内の
所定の位置に装着し、加圧チャンバ4を気密に閉じる。
【0032】圧縮機15を作動させ、加圧チャンバ4内
の気圧が大気圧よりも高い所定の気圧になったら、セラ
ミックスヒータ7に通電して石英系光導波路素子6に熱
を加えつつ、石英系光導波路素子6と光ファイバ9との
突き合わせ部分11にレーザ光10を照射する。レーザ
光10の照射は、加圧チャンバ4の外から窓5を通じて
行う。
【0033】このとき、加圧チャンバ4内の気圧は高い
ため、石英系光導波路素子6と光ファイバ9は大気圧下
での溶融温度より高い温度でなければ溶融しないように
なっているが、セラミックスヒータ7からも加熱されて
いるため容易に溶融される。
【0034】また、気圧が高い環境下では多成分系ガラ
スに溶解しているO2、He等のガス成分もほとんど気化
せず、融着接続される突き合わせ部分11に気泡が発生
することもない。
【0035】石英系光導波路素子6と光ファイバ9とが
融着されたら、レーザ光10の照射を止めると共に、セ
ラミックスヒータ7への通電を止める。
【0036】加圧チャンバ4内の内圧を高圧に維持した
まま石英系光導波路素子6と光ファイバ9とを自然に冷
ますことで、石英系光導波路素子6と光ファイバ9とは
気泡のない状態で融着接続される。
【0037】このように、石英系光導波路素子6と光フ
ァイバ9とを加圧チャンバ4内に設置し、加圧チャンバ
4内の気圧を大気圧よりも高くするように上昇させ、石
英系光導波路素子6と光ファイバ9とを加熱により融着
するようにしたため、不純物濃度の高い多成分系ガラス
を用いて形成された石英系光導波路素子6と光ファイバ
9とを気泡を発生させることなく良好に融着接続するこ
とができる。
【0038】また、融着接続装置12を、石英系光導波
路素子6と光ファイバ9とを気密に収容する加圧チャン
バ4と、加圧チャンバ4内の気圧を少なくとも大気圧よ
りも高い気圧に上昇させるための加圧手段13と、加圧
チャンバ4に設けられ石英系光導波路素子6と光ファイ
バ4とを融着接続するためのレーザ光10を加圧チャン
バ4外から導入するための窓5とを備えて構成したた
め、不純物濃度の高い多成分系ガラスを用いて形成され
た石英系光導波路素子6と光ファイバ9とを容易に融着
接続することができる。
【0039】本発明の効果を検証すべく実験を行ったの
で、実験結果について述べる。
【0040】実験に用いる石英系光導波路素子6は、図
2に示すように、石英基板からなる下部クラッド3上に
導波路コア1a,1bとなるガラス膜をEB蒸着法を用
いて厚さ8μmに成膜し、この下部クラッド3上にフォ
トリソグラフィ技術を用いて光回路パターンを形成し、
この光回路パターンの上に火炎堆積法を用いて上部クラ
ッド2となる多成分系ガラスを成膜することで形成し
た。
【0041】このとき成膜した多成分系ガラスは、Si
2を主成分とするB23、P25を添加したもので、
それぞれの成分比は多成分系ガラス全体に対し8%、8
%とした。
【0042】多成分系ガラスの不純物濃度は石英基板と
多成分系ガラスの熱膨張率差による反り発生の問題のた
めに上限があり、上限は一般にSiO2を主成分とするB
23、P25を添加した多成分系ガラスの場合、多成分
系ガラス全体に対しB23、P25をそれぞれ10%づ
つ程度である。
【0043】実験は図1に示す融着接続装置12を用い
て行った。
【0044】まず、前記の方法により製作した石英系光
導波路素子6の端面と光ファイバ9とを突き合わせ、両
者を固定した後、加圧チャンバ4内に設置した。
【0045】加圧チャンバ4内の圧力を12000hP
a(大気圧の約12倍)とした後、セラミックスヒータ
7を約500℃に通電加熱し、レーザ光(CO2レー
ザ)10を出力8Wで光導波路素子6と光ファイバ9と
の突き合わせ部11に照射した。
【0046】このようにして融着接続が完了した後、加
圧チャンバ4内圧力を保持したまま、予備加熱用のセラ
ミックスヒータ7を切り、1時間の冷却を行った。
【0047】この結果、融着接続部分に気泡は残らず、
接続損失は0.3dB、平均引張強度は1000gであ
り、良好に融着接続されていることが確認できた。
【0048】そして、上部クラッド2を、SiO2にB2
3、P25を添加してなる多成分系ガラスで形成し、
かつ、上記B23、P25の成分比をそれぞれ多成分系
ガラス全体に対して8%〜10%とした石英系光導波路
素子6に対しては、光ファイバ9を極めて有効に融着接
続できることが認められた。
【0049】一方、加圧チャンバ4内の圧力を大気圧
(1013hPa)とした以外は同様の方法、同様の条
件で融着接続を行ってみた。
【0050】その結果、融着接続部分に気泡が発生し、
接続損失は0.5dBから1.0dBで大きくばらつ
き、平均引張強度は400gであった。
【0051】これにより、石英系光導波路素子6と光フ
ァイバ9との融着接続は少なくとも大気圧よりも高い圧
力中で行うことが必要であることが確認された。
【0052】なお、窓5はZn-Seで形成するものとし
たがこれに限るものではない、加圧チャンバ内の高圧に
耐え、レーザ光10を良好に透過するものであれば他の
材質であってもよい。
【0053】また、加圧手段13は、圧縮機15に限る
ものではない。加圧チャンバ4内を所定の圧力に高めら
れるものであれば、ガスボンベ等他のものであってもよ
い。
【0054】この場合、ガスは特に低い発火点で燃焼す
るなど融着を妨げるものでなければ窒素、空気、二酸化
炭素、酸素等どのようなものであってもよい。
【0055】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を奏する。 (1)クラッドに不純物濃度の高い多成分系ガラスをも
つ石英系光導波路素子と光ファイバとを気泡を発生させ
ることなく融着接続できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す加圧チャンバの
側断面図である。
【図2】一般的な石英系光導波路素子の断面構造を示す
概略説明図である。
【図3】一般的な融着接続方法を示す概略説明図であ
る。
【符号の説明】
2 上部クラッド 4 加圧チャンバ 5 窓 6 石英系光導波路素子 9 光ファイバ 10 レーザ光 12 融着接続装置 13 加圧手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英系光導波路素子と光ファイバとを加
    圧チャンバ内に設置し、該加圧チャンバ内の気圧を大気
    圧よりも高くするように上昇させ、上記石英系光導波路
    素子と上記光ファイバとを加熱により融着することを特
    徴とする石英系光導波路素子と光ファイバとの融着接続
    方法。
  2. 【請求項2】 上記石英系光導波路素子の上部クラッド
    を、SiO2にB23、P25を添加してなる多成分系ガ
    ラスで形成し、かつ、上記B23、P25の成分比をそ
    れぞれ多成分系ガラス全体に対して8%〜10%とした
    請求項1に記載の石英系光導波路素子と光ファイバとの
    融着接続方法。
  3. 【請求項3】 石英系光導波路素子と光ファイバとを気
    密に収容する加圧チャンバと、該加圧チャンバ内の気圧
    を少なくとも大気圧よりも高い気圧に上昇させるための
    加圧手段と、上記加圧チャンバに設けられ上記石英系光
    導波路素子と光ファイバとを融着接続するためのレーザ
    光を上記加圧チャンバ外から導入するための窓とを備え
    たことを特徴とする融着接続装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007004506A1 (ja) * 2005-06-30 2007-01-11 Topcon Corporation 光部品およびその製造方法

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