JP2003160825A - 金属間化合物基複合材料及びその製造方法 - Google Patents

金属間化合物基複合材料及びその製造方法

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JP2003160825A
JP2003160825A JP2001358574A JP2001358574A JP2003160825A JP 2003160825 A JP2003160825 A JP 2003160825A JP 2001358574 A JP2001358574 A JP 2001358574A JP 2001358574 A JP2001358574 A JP 2001358574A JP 2003160825 A JP2003160825 A JP 2003160825A
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Masahiro Kida
雅裕 來田
Takahiro Ishikawa
貴浩 石川
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緻密な微構造を有するとともに加工性が良好
な、又は所望とする形状付与がなされている金属間化合
物基複合材料、及び、当該金属間化合物基複合材料の簡
便な製造方法を提供する。 【解決手段】 構成要素として強化材と金属間化合物と
を含むとともに、少なくとも1の被加工部22を備えた
金属間化合物基複合材料5である。強化材と金属粉末と
が混合され、得られた混合粉体2が、上面に開口端を有
する少なくとも1の空間部20が形成されるように容器
1に充填されるとともに、少なくとも1の注湯口10を
有する蓋体11が、充填された混合粉体2の上面であっ
て、注湯口10が開口端に対応する位置関係となるよう
に載置され、次いで、注湯口10を通じて混合粉体2の
間隙にAlが溶融含浸されることにより、金属粉末とA
lとの自己燃焼反応が生起され、Alがアルミナイド金
属間化合物に置換され、かつ、空間部20に被加工部2
2が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、金属間化合物基
複合材料、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 複合材料とは、複数素材を巨視的に混
合した組成集合体であり、各素材の持つ機械特性を相補
的に利用して、単独素材では実現できなかった特性発現
を可能にしたものである。基本的には、材料と材料を組
み合わせる技術手法であり、マトリックスと強化材、使
用目的、又はコスト等により、種々の組み合わせが存在
する。
【0003】 その中でも金属基複合材料、或いは金属
間化合物基複合材料とは、Al、Ti、Ni、Nb等の
金属、若しくはTiAl、Ti3Al、Al3Ti、Ni
Al、Ni3Al、Ni2Al3、Al3Ni、Nb3
l、Nb2Al、Al 3Nb等の金属間化合物をマトリッ
クスとし、セラミックス等の無機材料を強化材として複
合材料化されたものである。従って、金属基複合材料、
或いは金属間化合物基複合材料は、軽量且つ高強度を有
するといった特性を生かし、宇宙・航空分野を始めとし
て多方面での利用が図られている。
【0004】 また、一般的に、金属間化合物基複合材
料は金属基複合材料に比して破壊靭性が低いという欠点
はあるが、反面マトリックスの機械的・物理的特性に起
因して、耐熱特性、耐摩耗特性に優れており、また低熱
膨張、高剛性であるという特徴をも有している。
【0005】 金属間化合物基複合材料の製造方法とし
ては、予め金属間化合物粉末をメカニカルアロイング
(MA)等にて製造し、強化材となる繊維及び/又は粒
子等とともに、高温・高圧条件下においてホットプレス
(HP)若しくは熱間等方圧成形(HIP)する方法が
挙げられる。また、金属基複合材料の製造方法としても
加圧含浸法や溶湯鍛造法等のように高圧を必要とする方
法を挙げることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 金属間化合物基複合
材料を製造する従来の製造方法における問題点として、
緻密な金属間化合物基複合材料の製造を行うためには、
HP及びHIP等の製造方法によって高温・高圧を負荷
し、金属間化合物を焼結することで複合材料の緻密化を
行う必要性がある。このため、前処理工程の必要性があ
るだけでなく、製造装置の性能や規模に制約があり、大
型、或いは複雑形状の複合材料の製造が極めて困難であ
るとともに、最終製品の形状を考慮したニアネットシェ
イプ化を行うことができず、その後の工程において機械
加工処理が必要となるといった問題点をも有している。
【0007】 また、前処理工程として、予めMA等に
よる金属間化合物粉末の合成が必要であり、製造工程の
多段階・煩雑化といった問題点を有している。従って、
上述のように、従来の金属間化合物基複合材料の製造に
おいては多段階に渡る工程が必要であるとともに、高温
・高圧条件下において行う製造方法であるために極めて
高コストな製造方法である。
【0008】 これらの問題を解消すべく、本願出願人
は特願2001−149499明細書において、所定の
強化材に混合した金属粉末とAl溶湯による自己燃焼反
応を生起させる金属間化合物基複合材料の製造方法につ
いて提案した。当該製造方法によれば、図4に示すよう
に、容器1内に充填された強化材と金属粉末からなる混
合粉体2の間隙3にAl4を溶融含浸することにより、
自己燃焼反応をin−situ(その場)で生起させる
ために、低温、かつ、無加圧条件下で金属間化合物基複
合材料5を製造することができる。但し、前記特願20
01−149499明細書に記載の製造方法により得ら
れる金属間化合物基複合材料よりも、更に緻密な微構造
を有する金属間化合物基複合材料、及びその製造方法を
創出することが産業界から要望されていた。
【0009】 また、上記製造方法等により得られる金
属間化合物基複合材料をはじめとする複合材料は一般的
に難加工性材料であり、切削加工等をはじめとする微細
な形状加工が困難である。このため、例えばネジ形状の
加工等を行うことは容易ではなく、チッピング等の問題
が生ずる場合もある。
【0010】 このような加工性を改善するための試み
として特開2001−254133公報においては、加
工が容易なステンレスが予め金属基複合材料中に設けら
れ、当該ステンレスの部分にネジ穴加工を施してなる金
属基複合材料とその製造方法が開示されている。しかし
ながら、前記公報において開示された製造方法によれ
ば、強化材であるセラミックス粒子間隙への溶融Alの
浸透速度が非常に遅いために、複合材料を得るためには
長時間の高温での保持が必要となる。従って、埋設され
た金属材料(ステンレス)と溶融Alとの高温域での接
触時間が長くなるため、金属材料部/複合材料部におい
て、界面反応層の成長に伴う界面強度低下等の問題点が
ある。
【0011】 本発明は、このような従来技術の有する
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、緻密な微構造を有するとともに加工性が良好
な、又は所望とする形状付与がなされている金属間化合
物基複合材料、及び、当該金属間化合物基複合材料の簡
便な製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、構成要素として強化材と金属間化合物とを含むとと
もに、少なくとも1の被加工部を備えた金属間化合物基
複合材料であって、該強化材と金属粉末とが混合され、
得られた混合粉体が、上面に開口端を有する少なくとも
1の空間部が形成されるように容器に充填されるととも
に、少なくとも1の注湯口を有する蓋体が、充填された
該混合粉体の上面であって、該注湯口が前記開口端に対
応する位置関係となるように載置され、次いで、該注湯
口を通じて該混合粉体の間隙にAlが溶融含浸されるこ
とにより、該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応が生起
され、該Alがアルミナイド金属間化合物に置換され、
かつ、該空間部に被加工部が形成されてなることを特徴
とする金属間化合物基複合材料が提供される。
【0013】 本発明においては、胴部に少なくとも1
の穴部を有する管状金属部材が空間部に埋設されるとと
もに、注湯口と穴部を通じてAlが溶融含浸されてなる
ことが好ましい。本発明においては、被加工部を除く部
分に残存するAlとアルミナイド金属間化合物との質量
比が1:19〜3:7であることが好ましい。
【0014】 また、本発明によれば、構成要素として
強化材と金属間化合物とを含むとともに、形状加工が施
された少なくとも1の部分を備えた金属間化合物基複合
材料であって、該強化材と金属粉末とが混合され、得ら
れた混合粉体が、上面に開口端を有する少なくとも1の
空間部が形成されるように容器に充填されるとともに、
胴部に少なくとも1の穴部を有する管状金属部材が該空
間部に埋設されるとともに、形状加工が施された加工済
み金属部材が、該管状金属部材内に挿設され、少なくと
も1の注湯口を有する蓋体が、充填された該混合粉体の
上面であって、該注湯口が前記開口端のうち、前記加工
済み金属部材と該管状金属部材との間隙に対応する位置
関係となるように載置され、次いで、該注湯口、前記加
工済み金属部材と該管状金属部材との間隙、及び該穴部
を通じて該混合粉体の間隙にAlが溶融含浸されること
により、該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応が生起さ
れ、該Alがアルミナイド金属間化合物に置換され、か
つ、形状加工が施された部分を備えてなることを特徴と
する金属間化合物基複合材料が提供される。
【0015】 本発明においては、形状加工が施された
部分を除く部分に残存するAlとアルミナイド金属間化
合物との質量比が1:19〜3:7であることが好まし
い。
【0016】 本発明においては、加工済み金属部材を
構成する金属がTi、Fe、Ni、Cu、Co、Cr、
Mo、W、及びこれらの合金からなる群より選択される
少なくともいずれか一種であることが好ましい。本発明
においては、管状金属部材を構成する金属がTi、F
e、Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、及びこれらの
合金からなる群より選択される少なくともいずれか一種
であることが好ましい。本発明においては、金属粉末が
Ti、Ni、及びNbからなる群より選択される少なく
とも一種であることが好ましい。
【0017】 本発明においては、強化材が繊維、粒
子、及びウィスカーからなる群より選択される少なくと
もいずれか一種の形状を有する無機材料であることが好
ましく、当該無機材料がAl23、AlN、SiC、及
びSi34からなる群より選択される少なくともいずれ
か一種であることが好ましい。本発明においては、金属
粉末の平均粒径が、該強化材の平均粒径の5〜80%で
あることが好ましい。
【0018】 また、本発明によれば、強化材と金属粉
末とを混合して得られた混合粉体を、上面に開口端を有
する少なくとも1の空間部を形成するように容器に充填
するとともに、少なくとも1の注湯口を有する蓋体を、
充填された該混合粉体の上面であって、該注湯口が前記
開口端に対応する位置関係となるように載置し、次い
で、該注湯口を通じて該混合粉体の間隙にAlを溶融含
浸することにより、該金属粉末と該Alとの自己燃焼反
応を生起させ、該Alをアルミナイド金属間化合物に置
換せしめ、かつ、該空間部を被加工部とする金属間化合
物基複合材料を得ることを特徴とする金属間化合物基複
合材料の製造方法が提供される。
【0019】 本発明においては、胴部に少なくとも1
の穴部を有する管状金属部材を空間部に埋設するととも
に、注湯口と穴部を通じてAlを溶融含浸することが好
ましく、被加工部を除く部分に残存するAlとアルミナ
イド金属間化合物との質量比が1:9〜3:7となるよ
うに、Alと金属粉末との質量比を調整することが好ま
しい。
【0020】 本発明によれば、強化材と金属粉末とを
混合して得られた混合粉体を、上面に開口端を有する少
なくとも1の空間部が形成されるように容器に充填し、
胴部に少なくとも1の穴部を有する管状金属部材を該空
間部に埋設するとともに、形状加工が施された加工済み
金属部材を、該管状金属部材内に挿設し、少なくとも1
の注湯口を有する蓋体を、充填された該混合粉体の上面
であって、該注湯口が前記開口端のうち、前記加工済み
金属部材と該管状金属部材との間隙に対応する位置関係
となるように載置し、次いで、該注湯口、前記加工済み
金属部材と該管状金属部材との間隙、及び該穴部を通じ
て該混合粉体の間隙にAlを溶融含浸することにより、
該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応を生起させ、該A
lをアルミナイド金属間化合物に置換せしめ、形状加工
が施された部分を備えた金属間化合物基複合材料を得る
ことを特徴とする金属間化合物基複合材料の製造方法が
提供される。
【0021】 本発明においては、形状加工が施された
部分を除く部分に残存するAlとアルミナイド金属間化
合物との質量比が1:19〜3:7となるように、Al
と金属粉末との質量比を調整することが好ましい。
【0022】 本発明においては、加工済み金属部材を
構成する金属としてTi、Fe、Ni、Cu、Co、C
r、Mo、W、及びこれらの合金からなる群より選択さ
れる少なくともいずれか一種を用いることが好ましい。
本発明においては、管状金属部材を構成する金属として
Ti、Fe、Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、及び
これらの合金からなる群より選択される少なくともいず
れか一種を用いることが好ましい。本発明においては、
金属粉末を構成する金属としてTi、Ni及びNbから
なる群より選択される少なくともいずれか一種を用いる
ことが好ましい。
【0023】 本発明においては、強化材として繊維、
粒子、及びウィスカーからなる群より選択される少なく
ともいずれか一種の形状を有する無機材料を用いること
が好ましく、当該無機材料としてAl23、AlN、S
iC、及びSi34からなる群より選択される少なくと
もいずれか一種を用いることが好ましい。
【0024】 本発明においては、強化材の平均粒径に
対して5〜80%の平均粒径である金属粉末を用いるこ
とが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当
業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良
等が加えられることが理解されるべきである。
【0026】 本発明の第一の側面は、構成要素として
強化材と金属間化合物とを含むとともに、少なくとも1
の被加工部を備えた金属間化合物基複合材料であり、強
化材と金属粉末とが混合され、得られた混合粉体が、上
面に開口端を有する少なくとも1の空間部が形成される
ように容器に充填されるとともに、少なくとも1の注湯
口を有する蓋体が、充填された混合粉体の上面であっ
て、注湯口が開口端に対応する位置関係となるように載
置され、次いで、注湯口を通じて混合粉体の間隙にAl
が溶融含浸されることにより、金属粉末とAlとの自己
燃焼反応が生起され、Alがアルミナイド金属間化合物
に置換され、かつ、空間部に被加工部が形成されてなる
ことを特徴とするものである。以下、その詳細について
説明する。
【0027】 図1は、本発明の金属間化合物基複合材
料の製造方法の一例を説明する模式図である。図1
(a)においては、適当なサイズ及び形状の容器1内
に、強化材及び金属粉末を混合してなる混合粉体2が、
上面に開口端を有する空間部20が形成されるように充
填されており、注湯口10を有する蓋体11が、注湯口
10が混合粉体2の上面であって、空間部20の開口端
に対応する位置関係となるように載置され、混合粉体2
の間隙、即ち、隣接する混合粉体2どうしにより形成さ
れる間隙に、注湯口10を通じてAlが溶融含浸される
状態が示されている。本発明ではAlが溶融含浸される
ことにより、混合粉体2を構成する金属粉末(図示せ
ず)と溶融状態のAlが接触して自己燃焼反応が生起さ
れ、Alはアルミナイド金属間化合物に置換される。こ
の結果、図1(b)に示すように、空間部20であった
箇所に被加工部22が形成されている、本発明に係る金
属間化合物基複合材料5が得られる。
【0028】 本発明ではAlと各種金属粉末との自己
燃焼反応熱を利用してアルミナイド金属間化合物の生成
が推進されているために、低温条件下において金属間化
合物基複合材料が製造される。更に、従来の製造方法で
ある、HP若しくはHIPのような高圧が必要とされな
いために、無加圧浸透によって金属間化合物基複合材料
が得られる。このことにより、本発明の金属間化合物基
複合材料は製造装置の性能上困難であった比較的大き
な、或いは、複雑な形状にも好適に対応することができ
る。
【0029】 本発明の金属間化合物基複合材料は、微
細な形状加工が容易に実施され得る被加工部22を備え
ている。従って、例えば図1(c)に示すようなネジ形
状等の加工を容易に施すことができ、チッピング等の不
具合が生ずることがない。
【0030】 更に、図1(a)に示すように、本発明
では注湯口10を有する蓋体11が混合粉体2の上面に
載置され、注湯口10を通じてAlが含浸されるため
に、混合粉体2に適度な固定化圧力が付与されており、
所定の形状が維持される。従って、Alが含浸される際
に、容器1内において生ずる混合粉体2の移動が抑制さ
れる。このため、混合粉体2の間隙の細部にまでAlが
含浸され易く、本発明の金属間化合物基複合材料は開気
孔率が低減さており、緻密であるという特性を有してい
る。なお、本発明においては、注湯口の形状に関しては
特に限定されることはなく、円形、楕円形、多角形、又
は不定形等をはじめとするいずれの形状であってもよ
い。
【0031】 また、本発明においては、胴部に少なく
とも1の穴部を有する管状金属部材が空間部に埋設され
るとともに、注湯口と穴部を通じてAlが溶融含浸され
てなることが好ましい。図2は、本発明の金属間化合物
基複合材料の製造方法の別の例を説明する模式図であ
り、図1(a)において示した空間部20に、その胴部
に穴部25を有する管状金属部材26が埋設されるとと
もに、注湯口10と穴部25を通じてAlが溶融含浸さ
れる状態が示されている(図2(a))。即ち、管状金
属部材26の内側には溶融含浸されたAl4が充填さ
れ、被加工部22が形成される(図2(b))。従っ
て、形成された被加工部について例えば図2(c)に示
すようなネジ形状等の加工を容易に施すことができ、チ
ッピング等の不具合が生ずることがない。
【0032】 本発明においては、被加工部を除く部分
に残存するAlとアルミナイド金属間化合物との質量比
が1:19〜3:7であることが好ましく、2:18〜
2:8であることが更に好ましい。即ち、形成されるマ
トリックス中にAlを残存させることにより、金属間化
合物基複合材料に優れた破壊靭性が付与されるととも
に、Alの浸透パスが混合粉体の間隙において形成され
るためにAlの浸透性が良好となる。なお、残存するA
lとアルミナイド金属間化合物の質量比が、3:7より
もAlが多くなると、得られる金属間化合物基複合材料
の破壊靭性値は高くなる反面、ヤング率が低下して高剛
性材料としての魅力が低下し、またAlの融点域におい
て強度低下等の現象が起こり易くなるために好ましくな
い。更に、よりAlの比率を高めた場合においては、含
浸駆動力となるTi量の低下によって浸透性の低下が生
ずるため好ましくない。一方、残存するAlとアルミナ
イド金属間化合物との質量比が、1:19よりもAlが
少ないと、Alの浸透性向上という効果が発揮され難く
なるために好ましくない。
【0033】 次に、本発明の第二の側面について説明
する。本発明の第二の側面は、構成要素として強化材と
金属間化合物とを含むとともに、形状加工が施された少
なくとも1の部分を備えた金属間化合物基複合材料であ
り、強化材と金属粉末とが混合され、得られた混合粉体
が、上面に開口端を有する少なくとも1の空間部が形成
されるように容器に充填され、胴部に少なくとも1の穴
部を有する管状金属部材が空間部に埋設されるととも
に、形状加工が施された加工済み金属部材が、管状金属
部材内に挿設され、少なくとも1の注湯口を有する蓋体
が、充填された混合粉体の上面であって、注湯口が開口
端のうち、加工済み金属部材と管状金属部材との間隙に
対応する位置関係となるように載置され、次いで、注湯
口、加工済み金属部材と管状金属部材との間隙、及び穴
部を通じて混合粉体の間隙にAlが溶融含浸されること
により、金属粉末とAlとの自己燃焼反応が生起され、
Alがアルミナイド金属間化合物に置換され、かつ、形
状加工が施された部分を備えてなることを特徴とするも
のである。以下、その詳細について説明する。
【0034】 図3は、本発明の金属間化合物基複合材
料の製造方法の一例を説明する模式図である。図3
(a)においては、適当なサイズ及び形状の容器1内
に、強化材及び金属粉末を混合してなる混合粉体2が、
上面に開口端を有する空間部が形成されるように充填さ
れているとともに、その胴部に穴部25を有する管状金
属部材26が空間部に埋設され、形状加工が施された加
工済み金属部材30が、管状金属部材26内に挿設さ
れ、注湯口10を有する蓋体11が、充填された混合粉
体2の上面であって、注湯口10が空間部の開口端のう
ち、加工済み金属部材30と管状金属部材26との間隙
に対応する位置関係となるように載置され、混合粉体2
の間隙、即ち、隣接する混合粉体2どうしにより形成さ
れる間隙に、注湯口10、加工済み金属部材30と管状
金属部材26との間隙31、及び穴部25を通じてAl
が溶融含浸される状態が示されている。本発明ではAl
が溶融含浸されることにより、混合粉体2を構成する金
属粉末(図示せず)と溶融状態のAlが接触して自己燃
焼反応が生起され、Alはアルミナイド金属間化合物に
置換される。この結果、図3(b)に示すように、既に
所望とする形状加工が施されてなる本発明に係る金属間
化合物基複合材料5が得られる。
【0035】 本発明ではAlと各種金属粉末との自己
燃焼反応熱を利用してアルミナイド金属間化合物の生成
が推進されているために、低温条件下において金属間化
合物基複合材料が製造される。更に、従来の製造方法で
ある、HP若しくはHIPのような高圧が必要とされな
いために、無加圧浸透によって金属間化合物基複合材料
が得られる。このことにより、本発明の金属間化合物基
複合材料は製造装置の性能上困難であった比較的大き
な、或いは、複雑な形状にも好適に対応することができ
る。また、図3(b)において示すように、既に所望と
する形状加工が施されているために、金属間化合物基複
合材料の加工が困難であるといった問題は解消されてい
る。
【0036】 更に、図3(a)に示すように、注湯口
10を有する蓋体11が混合粉体2の上面に載置され、
注湯口10を通じてAlが含浸されるために、混合粉体
2に適度な固定化圧力が付与されており、所定の形状が
維持される。従って、Alが含浸される際に、容器1内
において生ずる混合粉体2の移動が抑制される。このた
め、混合粉体2の間隙の細部にまでAlが含浸され易
く、本発明の金属間化合物基複合材料は開気孔率が低減
さており、緻密であるという特性を有している。
【0037】 本発明においては、形状加工が施された
部分を除く部分に残存するAlとアルミナイド金属間化
合物との質量比が1:19〜3:7であることが好まし
く、2:18〜2:8であることが更に好ましい。即
ち、形成されるマトリックス中にAlを残存させること
により、金属間化合物基複合材料に優れた破壊靭性が付
与されるとともに、Alの浸透パスが混合粉体の間隙に
おいて形成されるためにAlの浸透性が良好となる。な
お、残存するAlとアルミナイド金属間化合物の質量比
が、3:7よりもAlが多くなると、得られる金属間化
合物基複合材料の破壊靭性値は高くなる反面、ヤング率
が低下して高剛性材料としての魅力が低下し、またAl
の融点域において強度低下等の現象が起こり易くなるた
めに好ましくない。更に、よりAlの比率を高めた場合
においては、含浸駆動力となるTi量の低下によって浸
透性の低下が生ずるため好ましくない。一方、残存する
Alとアルミナイド金属間化合物との質量比が、1:1
9よりもAlが少ないと、Alの浸透性向上という効果
が発揮され難くなるために好ましくない。
【0038】 本発明ではAlが溶融含浸されるため、
加工済み金属部材及び/又は管状金属部材を構成する金
属として、Alと脆性的な金属間化合物を形成し易い金
属を使用すると、加工不具合や変形等が発生する恐れが
ある。このため、本発明においては、加工済み金属部材
を構成する金属がTi、Fe、Ni、Cu、Co、C
r、Mo、W、及びこれらの合金からなる群より選択さ
れる少なくともいずれか一種であることが好ましく、ま
た、管状金属部材を構成する金属がTi、Fe、Ni、
Cu、Co、Cr、Mo、W、及びこれらの合金からな
る群より選択される少なくともいずれか一種であること
が好ましい。これらの金属のうち、特にCu及びFe系
の金属は、金属間化合物の形成速度が速い点から界面反
応層の成長速度に留意することが必要である。また、混
合粉体が構成される金属粉末と同種の金属が用られるこ
とも、界面反応層が複合材合成後のマトリックスを構成
する金属間化合物と同種となるために好ましい。具体的
にはTi粉末が用いられる場合には、加工済み金属部材
及び/又は管状金属部材としてTi系合金が好適に用い
られる。しかしながら、本発明においてはTi、Ni、
Nb粉末を用いることから、これらの粉末の構成元素の
中で別の金属間化合物を形成し易い金属を加工済み金属
部材及び/又は管状金属部材として用いることは、両者
ともに発熱反応を介して金属間化合物を合成し易い点か
ら避けることが好ましい。具体的には、Ti粉末が用い
られる場合に、加工済み金属部材及び/又は管状金属部
材としてNi系の金属が用いられる場合等である。
【0039】 また、本発明では自己燃焼反応により発
生する反応熱が利用されることによりAlが含浸される
ため、特開2001−254133公報に記載の複合材
料の製造方法に比して、反応時間が極めて短時間で充分
であるという利点がある。従って、加工済み金属部材及
び/又は管状金属部材として、Alと金属間化合物を形
成し易い金属が用いられてもよく、材料選択の幅が広い
ものとなる。
【0040】 図1(b)に示す金属間化合物基複合材
料5は、空間部の位置にAlが残存した構造であるため
に、被加工部22の加工性は複合材料部8の加工性に比
してして大きく改善されている。更に、被加工部の強度
を保持させるためには、Alよりも強度が高い金属から
なる管状金属部材が用いられ、図2、3における金属間
化合物基複合材料5に示す構成であることが好ましい。
なお、形状加工に関しては、管状金属部材と充填された
Alとの界面よりも管状金属部材側において形状加工さ
れることにより、形状加工部の強度がより向上されたも
のとなる。また、管状金属部材を用いた場合において
も、その内部にはAlが充填されている点から、中実状
の金属部材を埋設する場合に比して形状加工は施し易
い。
【0041】 なお、本願出願人は、本願と同日付で出
願した特願2001−358459明細書において金属
間化合物基複合材料とその製造方法を提案しており、注
湯口部を有する蓋体を用いたAlの溶融含浸によってA
lの浸透性を改善し、複合材料の緻密化をなし得ること
が可能であることを提案した。即ち、本発明によれば複
合材料の緻密化がなされ、同時に、一般的に難加工性材
料である複合材料に対して良好な加工性が付与される。
【0042】 本発明において管状金属部材が用られた
場合、得られる金属間化合物基複合材料の管状金属部材
と複合材料部との界面において、形状加工時に発生する
応力に耐え得るだけの界面強度が要求される。当該界面
強度の向上を図るための方法としては、管状金属部材と
溶融含浸されるAlとが脆性的な金属間化合物を形成し
ないこと、及び界面反応層の成長を抑制することが効果
的である。特に、本発明ではAlの含浸速度が非常に速
く、溶融Alは混合粉体中に吸引される態様で高速含浸
されることから、前記界面反応層の成長が最低限に抑制
される。その他、界面強度の向上を図るための方法とし
ては、管状金属部材が複合材料部と当接する表面を異形
状にしたり、荒らすこと等が効果的となる(アンカー効
果の付与)。具体的には、管状金属部材の表面に凹凸や
突起を設けることで、加工時の応力によって当該管状金
属部材が抜け難くなるような構造とすることが効果的で
ある。
【0043】 本発明において用いられる金属粉末は、
溶融状態のAl(Al溶湯)と接触させることにより自
己燃焼反応が生起され、アルミナイド金属間化合物が形
成されるものであればよい。具体的にはTi、Ni、及
びNbからなる群より選択される少なくとも一種が用い
られ、これらの金属粉末は反応性が良好であるととも
に、アルミナイド金属間化合物が形成され易いために好
ましい。これら金属粉末が用いられた場合の反応の代表
例を下記式(1)〜(3)に示す。下記式(1)〜
(3)において示す通り、これらの反応は発熱反応(自
己燃焼反応)であり、この反応熱が利用されることによ
り、本発明の金属間化合物基複合材料が得られる。
【0044】
【数1】 3Al+Ti→Al3Ti : ΔH298=−146kJ/mol …(1) ΔH:生成反応熱(Δ<0にて発熱反応)
【0045】
【数2】 3Al+Ni→Al3Ni : ΔH298=−150kJ/mol …(2) ΔH:生成反応熱(Δ<0にて発熱反応)
【0046】
【数3】 3Al+Nb→Al3Nb : ΔH298=−160kJ/mol …(3) ΔH:生成反応熱(Δ<0にて発熱反応)
【0047】 本発明においては、金属間化合物基複合
材料5のうち、複合材料部8に占める該強化材の体積分
率が10〜70vol%であることが好ましく、30〜
60vol%であることが更に好ましい(図1)。強化
材の体積分率が10vol%に満たない場合には、複合
材料として充分な強度を発揮し得ず、また、70vol
%を超える場合には、Al溶湯の浸透に不具合が生ずる
ことが想定され、アルミナイド金属間化合物の生成が困
難となり、不均質な組織が形成されるために好ましくな
い。なお、本発明において溶融含浸されるAlは純Al
に限らず、各種Al合金を利用してもこれまで述べてき
た効果が発揮されることはいうまでもない。
【0048】 本発明においては、強化材が繊維、粒
子、及びウィスカーからなる群より選択される少なくと
もいずれか一種の形状を有する無機材料であることが好
ましく、このような形状の無機材料が用いられているた
め、本発明の金属間化合物基複合材料は最終製品として
の使用用途に沿った物理的特徴等を有するものである。
【0049】 また、本発明においては、前述の無機材
料がAl23、AlN、SiC、及びSi34からなる
群より選択される少なくともいずれか一種であることが
好ましい。金属間化合物基複合材料は、これを構成する
金属間化合物と強化材との組み合わせにより種々の特性
を示すものであり、用途に応じた特性を示す金属間化合
物基複合材料となる組み合わせが適宜選択される。表1
に、各種の無機材料からなる強化材の種類と、金属間化
合物と組み合わせた場合における金属間化合物基複合材
料の特徴の一例を示す。
【0050】
【表1】
【0051】 本発明においては、金属粉末の平均粒径
が強化材の平均粒径の5〜80%であることが好まし
く、10〜60%であることが更に好ましい。金属粉末
の平均粒径が強化材の平均粒径の5%未満である場合に
は、金属粉末自体の入手が困難及び粉塵爆発の危険性が
伴なってくる点から取り扱いが不便となり、80%超で
ある場合には自己燃焼反応の活性度が充分に高められ
ず、得られる金属間化合物基複合材料が緻密化され難く
なるために好ましくない。具体的には、強化材の平均粒
径が50μmである場合には金属粉末の平均粒径は2〜
40μmであることが好ましく、5〜30μmであるこ
とが更に好ましい。
【0052】 次に、本発明の第三の側面について説明
する。本発明の第三の側面は金属間化合物基複合材料の
製造方法であり、強化材と金属粉末とを混合して得られ
た混合粉体を、上面に開口端を有する少なくとも1の空
間部を形成するように容器に充填するとともに、少なく
とも1の注湯口を有する蓋体を、充填された該混合粉体
の上面であって、注湯口が開口端に対応する位置関係と
なるように載置し、次いで、注湯口を通じて混合粉体の
間隙にAlを溶融含浸することにより、金属粉末と該A
lとの自己燃焼反応を生起させ、Alをアルミナイド金
属間化合物に置換せしめ、かつ、空間部を被加工部とす
る金属間化合物基複合材料を得ることを特徴とするもの
である。以下、その詳細について説明する。
【0053】 本発明の金属間化合物基複合材料の製造
方法では、図1(a)に示すように、適当なサイズ及び
形状の容器1内に、強化材及び金属粉末を混合して得た
混合粉体2を充填し、注湯口10を有する蓋体11を、
注湯口10が混合粉体2の上面であって、空間部20の
開口端に対応する位置関係となるように載置し、混合粉
体2の間隙、即ち、隣接する混合粉体2どうしにより形
成される間隙に、注湯口10を通じてAlを溶融含浸す
る。本発明ではAlを溶融含浸することにより、混合粉
体2を構成する金属粉末(図示せず)と溶融状態のAl
を接触させて自己燃焼反応を生起させ、Alをアルミナ
イド金属間化合物に置換せしめる。この結果、図1
(b)に示すように、空間部20であった箇所に被加工
部22を有する金属間化合物基複合材料5を製造するこ
とができる。
【0054】 また、本発明ではAlと各種金属粉末と
の自己燃焼反応熱を利用してアルミナイド金属間化合物
の生成が推進するために、低温条件下において金属間化
合物基複合材料が製造することができる。更に、従来の
製造方法である、HP若しくはHIPのような高圧を必
要としないために、無加圧浸透によって金属間化合物基
複合材料を製造することができる。このことにより、製
造装置の性能上困難であった比較的大きな、或いは、複
雑な形状を有する金属間化合物基複合材料の製造が可能
となる。
【0055】 更に、得られた金属間化合物基複合材料
には、微細な形状加工を容易に実施することが可能な被
加工部22を設けることができる。従って、例えば図1
(c)に示すようなネジ形状等の加工を容易に施すこと
ができ、チッピング等の不具合が生ずることがない金属
間化合物基複合材料を提供することができる。
【0056】 更に、図1(a)に示すように、本発明
では注湯口10を有する蓋体11を混合粉体2の上面に
載置し、注湯口10を通じてAlを含浸する。即ち、混
合粉体2に適度な固定化圧力を付与しているために所定
の形状を維持することができる。従って、Alを含浸す
る際に、容器1内において生ずる混合粉体2の移動を抑
制することができる。このため、混合粉体2の間隙の細
部にまでAlを含浸することができ、開気孔率が低減さ
れ、より緻密な金属間化合物基複合材料を製造すること
ができる。
【0057】 また、本発明においては、胴部に少なく
とも1の穴部を有する管状金属部材を空間部に埋設する
とともに、注湯口と穴部を通じてAlを溶融含浸するこ
とが好ましい。図2は、本発明の金属間化合物基複合材
料の製造方法の別の例を説明する模式図であり、図1
(a)において示した空間部20に、その胴部に穴部2
5を有する管状金属部材26を埋設するとともに、注湯
口10と穴部25を通じてAlを溶融含浸する状態が示
されている(図2(a))。即ち、管状金属部材26の
内側には溶融含浸されたAl4が充填されることとな
り、被加工部22が形成される(図2(b))。従っ
て、形成された被加工部について、例えば図2(c)に
示すようなネジ形状等の加工を容易に施すことができ、
チッピング等の不具合が生ずることのない金属間化合物
基複合材料を製造することができる。
【0058】 本発明においては、被加工部を除く部分
に残存するAlとアルミナイド金属間化合物との質量比
が1:19〜3:7となるように、Alと金属粉末との
質量比を調整することが好ましく、2:18〜2:8と
なるように、Alと金属粉末との質量比を調整すること
が更に好ましい。即ち、形成されるマトリックス中にA
lを残存させることにより、金属間化合物基複合材料に
優れた破壊靭性を付与することができるとともに、Al
の浸透パスが混合粉体の間隙において形成されるために
Alの浸透性が良好となる。なお、残存するAlとアル
ミナイド金属間化合物の質量比が、3:7よりもAlが
多くなると、得られる金属間化合物基複合材料の破壊靭
性値は高くなる反面、ヤング率が低下して高剛性材料と
しての魅力が低下し、またAlの融点域において強度低
下等の現象が起こり易くなるために好ましくない。更
に、よりAlの比率を高めた場合においては、含浸駆動
力となるTi量の低下によって浸透性の低下が生ずるた
め好ましくない。一方、残存するAlとアルミナイド金
属間化合物との質量比が、1:19よりもAlが少ない
と、Alの浸透性向上という効果が発揮され難くなるた
めに好ましくない。
【0059】 次に、本発明の第四の側面について説明
する。本発明の第四の側面は金属間化合物基複合材料の
製造方法であり、強化材と金属粉末とを混合して得られ
た混合粉体を、上面に開口端を有する少なくとも1の空
間部が形成されるように容器に充填し、胴部に少なくと
も1の穴部を有する管状金属部材を空間部に埋設すると
ともに、形状加工が施された加工済み金属部材を、管状
金属部材内に挿設し、少なくとも1の注湯口を有する蓋
体を、充填された混合粉体の上面であって、注湯口が開
口端のうち、加工済み金属部材と管状金属部材との間隙
に対応する位置関係となるように載置し、次いで、注湯
口、加工済み金属部材と管状金属部材との間隙、及び穴
部を通じて混合粉体の間隙にAlを溶融含浸することに
より、金属粉末とAlとの自己燃焼反応を生起させ、A
lをアルミナイド金属間化合物に置換せしめ、形状加工
が施された部分を備えた金属間化合物基複合材料を得る
ことを特徴とするものである。以下、その詳細について
説明する。
【0060】 図3は、本発明の金属間化合物基複合材
料の製造方法の一例を説明する模式図である。図3
(a)に示すように、適当なサイズ及び形状の容器1内
に、強化材及び金属粉末を混合して得た混合粉体2を、
上面に開口端を有する空間部を形成するように充填する
とともに、その胴部に穴部25を有する管状金属部材2
6を空間部に埋設し、形状加工を施した加工済み金属部
材30を、管状金属部材26内に挿設し、注湯口10を
有する蓋体11を、充填した混合粉体2の上面であっ
て、注湯口10が空間部の開口端のうち、加工済み金属
部材30と管状金属部材26との間隙に対応する位置関
係となるように載置し、混合粉体2の間隙、即ち、隣接
する混合粉体2どうしにより形成される間隙に、注湯口
10、加工済み金属部材30と管状金属部材26との間
隙31、及び穴部25を通じてAlを溶融含浸する。本
発明ではAlを溶融含浸することにより、混合粉体2を
構成する金属粉末(図示せず)と溶融状態のAlを接触
させて自己燃焼反応を生起させ、Alをアルミナイド金
属間化合物に置換せしめる。この結果、図3(b)に示
すように、既に所望とする形状加工が施されてなる金属
間化合物基複合材料5を製造することができる。
【0061】 本発明ではAlと各種金属粉末との自己
燃焼反応熱を利用してアルミナイド金属間化合物の生成
を推進しているために、低温条件下において金属間化合
物基複合材料を製造することができる。更に、従来の製
造方法である、HP若しくはHIPのような高圧を必要
としないために、無加圧浸透によって金属間化合物基複
合材料を製造することができる。このことにより、製造
装置の性能上困難であった比較的大きな、或いは、複雑
な形状を有する金属間化合物基複合材料の製造が可能と
なる。また、図3(b)において示すように、既に所望
とする形状加工が施された金属間化合物基複合材料を製
造することができるために、加工が困難であるといった
問題は解消されている。
【0062】 更に、図3(a)に示すように、注湯口
10を有する蓋体11を混合粉体2の上面に載置し、注
湯口10を通じてAlを含浸する。即ち、混合粉体2に
適度な固定化圧力を付与しているために所定の形状を維
持することができる。従って、Alを含浸する際に、容
器1内において生ずる混合粉体2の移動を抑制すること
ができる。このため、混合粉体2の間隙の細部にまでA
lを含浸することができ、より緻密な金属間化合物基複
合材料とすることができる。
【0063】 本発明においては、形状加工が施された
部分を除く部分に残存するAlとアルミナイド金属間化
合物との質量比が1:19〜3:7となるように、Al
と金属粉末との質量比を調整することが好ましく、2:
18〜2:8となるように、Alと金属粉末との質量比
を調整することが更に好ましい。即ち、形成されるマト
リックス中にAlを残存させることにより、金属間化合
物基複合材料に優れた破壊靭性を付与することができる
とともに、Alの浸透パスが混合粉体の間隙において形
成されるためにAlの浸透性が良好となる。なお、残存
するAlとアルミナイド金属間化合物の質量比が、3:
7よりもAlが多くなると、得られる金属間化合物基複
合材料の破壊靭性値は高くなる反面、ヤング率が低下し
て高剛性材料としての魅力が低下し、またAlの融点域
において強度低下等の現象が起こり易くなるために好ま
しくない。更に、よりAlの比率を高めた場合において
は、含浸駆動力となるTi量の低下によって浸透性の低
下が生ずるため好ましくない。一方、残存するAlとア
ルミナイド金属間化合物との質量比が、1:19よりも
Alが少ないと、Alの浸透性向上という効果が発揮さ
れ難くなるために好ましくない。
【0064】 本発明ではAlを溶融含浸するため、加
工済み金属部材及び/又は管状金属部材を構成する金属
として、Alと脆性的な金属間化合物を形成し易い金属
を使用すると、加工不具合や変形等が発生する恐れがあ
る。このため、本発明においては、加工済み金属部材を
構成する金属としてTi、Fe、Ni、Cu、Co、C
r、Mo、W、及びこれらの合金からなる群より選択さ
れる少なくともいずれか一種を用いることが好ましく、
また、管状金属部材を構成する金属としてTi、Fe、
Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、及びこれらの合金
からなる群より選択される少なくともいずれか一種を用
いることが好ましい。これらの金属のうち、特にCu及
びFe系の金属は、金属間化合物の形成速度が速い点か
ら界面反応層の成長速度に留意することが必要である。
また、混合粉体を構成する金属粉末と同種の金属を用い
ることも、界面反応層の成長速度を抑制するためには効
果的である。具体的にはTi粉末を用いる場合には、加
工済み金属部材及び/又は管状金属部材としてTi系合
金を用いることが好ましい。しかしながら、本発明にお
いてはTi、Ni、Nb粉末を用いることから、これら
の粉末の構成元素の中で別の金属間化合物を形成し易い
金属を加工済み金属部材及び/又は管状金属部材として
用いることは、両者ともに発熱反応を介して金属間化合
物を合成し易い点から避けることが好ましい。具体的に
は、Ti粉末を用いる場合に、加工済み金属部材及び/
又は管状金属部材としてNi系の金属を用いる場合等で
ある。
【0065】 また、本発明では自己燃焼反応により発
生する反応熱を利用することによりAlを含浸するた
め、特開2001−254133公報に記載の複合材料
の製造方法に比して、反応時間が極めて短時間で充分で
あるという利点がある。従って、加工済み金属部材及び
/又は管状金属部材として、Alと金属間化合物を形成
し易い金属を用いることができるために、本発明の金属
間化合物基複合材料の製造方法は、材料選択の幅が広い
といった利点がある。
【0066】 図1(b)に示す金属間化合物基複合材
料5は、空間部の位置にAlが残存した構造であるため
に、被加工部22の加工性は複合材料部8の加工性に比
して大きく改善されている。更に、被加工部の強度を保
持させるためには、Alよりも強度が高い金属からなる
管状金属部材を用ればよく、図2、3における金属間化
合物基複合材料5に示す構成とすることが好ましい。な
お、形状加工に関しては、管状金属部材と充填したAl
との界面よりも管状金属部材側において形状加工するこ
とにより、形状加工部の強度をより向上させることがで
きる。また、管状金属部材を用いた場合においても、そ
の内部にはAlが充填されるため、中実状の金属部材を
埋設する場合に比して形状加工は施し易い。このため、
注湯口部を有する蓋体を用いてAlを溶融含浸すること
により複合材料を緻密化することができ、同時に、一般
的に難加工性材料である複合材料に対して、良好な加工
性を有する複合材料を製造することができる。
【0067】 本発明において管状金属部材を用いた場
合、得られる金属間化合物基複合材料の管状金属部材と
複合材料部との界面においては、形状加工時に発生する
応力に耐え得るだけの界面強度が要求される。当該界面
強度の向上を図るための方法としては、管状金属部材と
溶融含浸するAlとが脆性的な金属間化合物を形成しな
いこと、及び界面反応層の成長を抑制することが効果的
である。特に、本発明ではAlの含浸速度が非常に速
く、溶融Alは混合粉体中に吸引される態様で高速含浸
されることから、前記界面反応層の成長を最低限に抑制
することができる。その他、界面強度の向上を図るため
の方法としては、管状金属部材が複合材料部と当接する
表面を異形状にしたり、荒らすこと等が効果的となる
(アンカー効果の付与)。具体的には、管状金属部材表
面の表面に凹凸や突起を設けることで、加工時の応力に
よって当該管状金属部材が抜け難くなるような構造とす
ることが効果的である。
【0068】 本発明において用いる金属粉末は、溶融
状態のAl(Al溶湯)と接触することにより自己燃焼
反応を生起し、アルミナイド金属間化合物を形成するも
のであればよい。具体的にはTi、Ni、及びNbから
なる群より選択される少なくとも一種を用いることがで
きる。これらの金属粉末は反応性が良好であるととも
に、アルミナイド金属間化合物を形成し易いために好ま
しい。これら金属粉末を用いた場合の反応の代表例を下
記式(4)〜(6)に示す。下記式(4)〜(6)にお
いて示す通り、これらの反応は発熱反応(自己燃焼反
応)であり、本発明においてはこの反応熱を利用する。
【0069】
【数4】 3Al+Ti→Al3Ti : ΔH298=−146kJ/mol …(4) ΔH:生成反応熱(Δ<0にて発熱反応)
【0070】
【数5】 3Al+Ni→Al3Ni : ΔH298=−150kJ/mol …(5) ΔH:生成反応熱(Δ<0にて発熱反応)
【0071】
【数6】 3Al+Nb→Al3Nb : ΔH298=−160kJ/mol …(6) ΔH:生成反応熱(Δ<0にて発熱反応)
【0072】 また、特許第2609376号公報、及
び、特開平9−227969号公報に示される、他のi
n−situ複合材料の製造方法においては、強化材と
マトリックスとをin−situ合成するのに対して、
本発明ではin−situで合成するのはマトリックス
のみである。従って、強化材の種類については自由に選
択可能であり、所望の物理的特性を有する金属間化合物
基複合材料を製造することができる。更に、強化材の種
類、及び体積率を任意に選択・設定することにより、反
応熱を制御することも可能となる。
【0073】 次に、製造方法の一例を挙げて本発明の
詳細を説明する。強化材として所定の平均粒径を有する
Al23、AlN、SiC、Si34粒子(粉砕粒)、
金属粉末として所定の平均粒径を有するTi、Ni、N
b、更に、強化材間隙に含浸する金属としてAlを用い
る。このとき、強化材の平均粒径に対して5〜80%の
平均粒径である金属粉末を用いることが好ましく、10
〜60%の平均粒径である金属粉末を用いることが更に
好ましい。金属粉末の平均粒径が強化材の平均粒径の5
%に未満である場合には、金属粉末自体の入手が困難及
び粉塵爆発の危険性が伴なってくる点から取り扱いが不
便となり、80%超である場合には、自己燃焼反応の活
性度が充分に高められず、金属間化合物基複合材料の緻
密化をなし得ることができないためである。具体的に
は、平均粒径50μmの強化材に対しては平均粒径2〜
40μmの金属粉末を用いることが好ましく、5〜30
μmの金属粉末を用いることが更に好ましい。
【0074】 本発明においては、強化材として繊維、
粒子、及びウィスカーからなる群より選択される少なく
ともいずれか一種の形状を有する無機材料を用いること
が好ましい。これらの形状を有する無機材料を用いるこ
とにより、最終製品としての使用用途に沿った強度や特
徴を有する金属間化合物基複合材料を製造することがで
きる。
【0075】 なお、本発明において「平均粒径10〜
150μmの強化材」というときは、強化材が粒子状の
場合にあっては、「平均粒径10〜150μmの粒子」
のことをいい、また強化材が粒子状ではなく、繊維、ウ
ィスカー等の場合にあっては、「長さ/径、の比が15
0未満の場合で、径が0.1〜30μmの繊維、ウィス
カー等」、若しくは「長さ/径、の比が150以上の場
合で、径が0.5〜500μmの繊維及びウィスカー
等」のことをいう。
【0076】 また、本発明においては、前述の無機材
料としてAl23、AlN、SiC、及びSi34から
なる群より選択される少なくともいずれか一種を用いる
ことが好ましい。金属間化合物基複合材料は、これを構
成する金属間化合物と強化材との組み合わせにより種々
の特性を示すものであり、用途に応じた特性を示す金属
間化合物基複合材料となる組み合わせを適宜選択すれば
よい。
【0077】 なお、得られる金属間化合物基複合材料
のマトリックス中に占める残存Alとアルミナイド金属
間化合物との質量比を調整するには、容器中に充填する
混合粉体の金属粉末/強化材の比(質量比)を変化さ
せ、更に固定化後の混合粉体の厚みを測定することによ
って混合粉体中の空隙率を測定し、その空隙中に含浸し
てきたAlが完全に充填されたものとして算出すればよ
い。これにより、金属粉末/強化材の質量比、及び混合
粉体中の空隙率によってマトリックスの質量比が算出さ
れ、必然的に強化材の体積率を決定することができる。
また、合成後のマトリックスを構成する金属:金属間化
合物の質量比の検証に関しては、前記特願2001−1
49499明細書において記載された手法である、XR
D分析にて予め所定の質量比に調整した金属及び金属間
化合物の混合粉体を用いて検量線を作成しておき、これ
を元にしてマトリックス組成を変化させた試料をXRD
分析することにより得られた測定結果のX線強度より算
出することが可能である。但し、含浸前の目標組成と比
較して、合成後のマトリックスを構成する金属:金属間
化合物の組成は、完全には対応せず、若干変動する場合
もある。
【0078】 図1に示すように、強化材と金属粉末を
混合して得た混合粉体2を適当な形状を有する容器1に
充填し、所定の圧力にて圧粉を行う。なお、予め適当な
圧力を付与することにより混合粉体2の圧粉を行ってお
き、これを容器1に充填してもよい。また、空隙率に関
しては、圧粉化する圧力を変化させることで任意に制御
することができる。なお、空間部20を形成するために
は、例えば適当な形状を有する部材を混合粉体2内に埋
設しておき、成形後、この部材を除去すればよい。この
混合粉体2の上面に、少なくとも1の注湯口10を有す
る蓋体11を、注湯口10が混合粉体2の上面であっ
て、空間部20の開口端に対応する位置関係となるよう
に載置するとともに、この蓋体11の上にAl(市販の
純Al)を配置する。
【0079】 なお、既述の如く、図1(a)において
示した空間部20に、図2に示すような、その胴部に穴
部25を有する管状金属部材26を埋設してもよい。又
は、図3に示すように、形状加工を施した加工済み金属
部材30を管状金属部材26内に挿設する。なお、蓋体
11の上面に配置するAlは純Alに限らず、約90%
以上の純度であれば差し支えなく使用することができ、
また、各種Al合金を使用してもよい。続いて適度な減
圧条件、例えば真空条件下で、Alが溶解する温度(約
660℃)より数十℃高い温度、具体的には約700℃
まで加熱し、図1においては、注湯口10を通じて、図
2においては更に穴部25を通じて、また図3において
は注湯口10、加工済み金属部材30と管状金属部材2
6との間隙31、及び穴部25を通じて、混合粉体2の
間隙に溶融状態のAlを含浸する。金属粉末と接触した
Alは自己燃焼反応を生起するとともに毛細管浸透が誘
起され、目的とする複合材料のマトリックスが瞬時に合
成される。
【0080】 マトリックスの合成自体は非常に短時間
で完了するため、加熱に要する時間は数分程度で充分で
ある。更に、自己燃焼反応が終了した後に、得られた複
合材料のマトリックスの均質化及び安定化を図るため
に、適宜等温保持や加熱保持を行ってもよい。このとき
の保持温度は、材料系によって若干左右されるが、自己
燃焼反応が生じた温度と同一な温度から約400〜50
0℃程度高い温度で実施することが好ましく、また保持
時間は約1時間から必要に応じて数時間実施すればよ
い。その後徐冷し、容器から取り外すことにより、本発
明の金属間化合物基複合材料を製造することができる。
【0081】 上述してきた、本発明の金属間化合物基
複合材料の製造方法によれば、その特徴を生かして大
型、或いは複雑形状であるとともに、緻密な微構造を有
する金属間化合物基複合材料を極めて簡便に製造するこ
とができる。また、最終製品の形状を考慮したニアネッ
トシェイプ化を行うことができ、機械加工に際してもチ
ッピング等の不具合が発生することがない。更に、前処
理工程であるアルミナイド金属間化合物の調製も不必要
となるために、製造コストの削減を容易に達成すること
ができる。
【0082】
【実施例】 以下、本発明の具体的な実施結果を説明す
る。 (実施例1)平均粒径が約47μmであるAl23
子、平均粒径が約10μmであるTi粉末及び溶融含浸
するAl(市販の純Al(A1050、純度>99.5
%))を用意した。次に、マトリックスがAl2Ti組
成及び粒子体積率が約30vol%となるように、予め
Ti/Al23の質量比が0.6となるように調整した
混合粉体を所定の容器に充填し、治具を挿入して所定形
状の空間部20を形成するように、容器1の形状に沿う
形で約1MPaにて空隙率約49%の圧粉体とした。次
に、注湯口10を有する蓋体11を、注湯口10が空間
部20の開口端に対応する位置関係となるように混合粉
体2の上面に載置し、更にこの注湯口10に溶融したA
lが流れ込むようにAl合金を配置した。0.0013
3Paの真空雰囲気下にて700℃まで加熱して溶融し
たAlを無加圧含浸させ、約1時間保持後に徐冷して金
属間化合物基複合材料5を製造した(実施例1)。
【0083】 得られた金属間化合物基複合材料から所
定形状の試料を切り出し、光学顕微鏡及びSEM観察を
行い、混合粉体においてAlの浸透が一律に進行してい
るか否かを確認した。その結果、本発明の金属間化合物
基複合材料は複合材料部と被加工部であるAlが組み合
わされた構造であることを確認することができた。な
お、図5に、実施例1の金属間化合物基複合材料におけ
る、複合材料部と被加工部(Al)との界面の電子顕微
鏡写真を示す。更に、被加工部について切削によるネジ
加工を施したところチッピング等の不具合が発生するこ
とはなく、良好な状態で加工することができた。
【0084】(実施例2)図2に示すように、空間部
に、その胴部に穴部25を有するMoからなる管状金属
部材26を埋設すること以外は実施例1と同様の操作に
より、金属間化合物基複合材料5を製造した(実施例
2)。実施例1の場合と同様に光学顕微鏡及びSEM観
察を行ったところ、複合材料部と被加工部であるMoが
組み合わされた構造であることを確認することができ
た。なお、図6に、実施例2の金属間化合物基複合材料
における、複合材料部と被加工部(Mo)との界面の電
子顕微鏡写真を示す。
【0085】 この結果、複合材料部と被加工部(M
o)との界面において過剰な反応生成層が形成されるこ
となく、金属間化合物基複合材料を製造することが可能
であることが判明した。更に、被加工部について切削に
よるネジ加工を施したところチッピング等の不具合が発
生することはなく、良好な状態で加工することができ
た。
【0086】(実施例3)図3に示すように、形状加工
(ネジ加工)を施した加工済み金属部材30を管状金属
部材26内に挿設すること以外は実施例2と同様の操作
により、金属間化合物基複合材料5を製造した(実施例
3)。実施例1の場合と同様に光学顕微鏡及びSEM観
察を行ったところ、複合材料部と加工済み金属部材であ
るAlが組み合わされた構造であることを確認すること
ができた。
【0087】(実施例4〜7)平均粒径が約47μmで
あるAl23粒子、平均粒径が約10μmであるTi粉
末及び溶融含浸するAl(市販の純Al(A1050、
純度>99.5%))を用意した。次に、図2及び表2
に示すように、マトリックスを構成する金属:金属間化
合物比(質量比)を0.5:9.5〜3:7の範囲で変
化させるため、予めTi/Al23の質量比を調整した
混合粉体2を、所定の容器1に充填し、空間部に管状金
属部材26を埋設して所定の空隙率を有する圧粉体とし
た。次に、注湯口10を有する蓋体11を、注湯口10
が空間部の開口端に対応する位置関係となるように混合
粉体2の上面に載置し、更にこの注湯口10に溶融した
Alが流れ込むようにAl合金を配置した。0.001
33Paの真空雰囲気下にて700℃まで加熱して溶融
したAlを無加圧含浸させ、約1時間保持後に徐冷して
金属間化合物基複合材料5を製造した(実施例4〜
7)。その結果、被加工部又は加工済み金属部材と、複
合材料部が組み合わされた本発明の金属間化合物基複合
材料は、複合材料部の破壊靭性値の改善効果と加工性改
善効果とが相乗効果的に発現することが判明した。
【0088】
【表2】
【0089】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の金属間
化合物基複合材料は、柱状金属部材及び蓋体が所定の態
様で使用され、蓋体の注湯口を通じて混合粉体の間隙に
Alが溶融含浸されているため、緻密な微構造を有する
とともに加工性が良好であるという特徴を有している。
また、本発明の金属間化合物基複合材料の製造方法によ
れば、柱状金属部材及び蓋体を所定の態様で使用し、蓋
体の注湯口を通じて混合粉体の間隙にAlを溶融含浸す
るため、緻密な微構造を有するとともに加工性が良好で
あり、チッピング等の不具合を生じさせることなく微細
な形状加工を施すことが可能な金属間化合物基複合材料
を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属間化合物基複合材料の製造方法
の一例を説明する模式図である。
【図2】 本発明の金属間化合物基複合材料の製造方法
の別の例を説明する模式図である。
【図3】 本発明の金属間化合物基複合材料の製造方法
の更に別の例を説明する模式図である。
【図4】 従来の金属間化合物基複合材料の製造方法の
一例を説明する模式図である。
【図5】 実施例1の金属間化合物基複合材料の金属間
化合物基複合材料における、複合材料部と被加工部(A
l)との界面の電子顕微鏡写真である。
【図6】 実施例2の金属間化合物基複合材料の金属間
化合物基複合材料における、複合材料部と被加工部(M
o)との界面の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…容器、2…混合粉体、3…間隙、4…Al、5…金
属間化合物基複合材料、6…アルミナイド金属間化合
物、7…強化材、8…複合材料部、10…注湯口、11
…蓋体、20…空間部、22…被加工部、23…加工
部、25…穴部、26…管状金属部材、30…加工済み
金属部材、31…間隙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 101:04 C22C 101:04 101:14 101:14 101:16 101:16 101:18 101:18

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成要素として強化材と金属間化合物と
    を含むとともに、少なくとも1の被加工部を備えた金属
    間化合物基複合材料であって、 該強化材と金属粉末とが混合され、得られた混合粉体
    が、上面に開口端を有する少なくとも1の空間部が形成
    されるように容器に充填されるとともに、 少なくとも1の注湯口を有する蓋体が、充填された該混
    合粉体の上面であって、該注湯口が前記開口端に対応す
    る位置関係となるように載置され、次いで、該注湯口を
    通じて該混合粉体の間隙にAlが溶融含浸されることに
    より、 該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応が生起され、該A
    lがアルミナイド金属間化合物に置換され、かつ、該空
    間部に被加工部が形成されてなることを特徴とする金属
    間化合物基複合材料。
  2. 【請求項2】 胴部に少なくとも1の穴部を有する管状
    金属部材が該空間部に埋設されるとともに、 該注湯口と該穴部を通じて該Alが溶融含浸されてなる
    請求項1に記載の金属間化合物基複合材料。
  3. 【請求項3】 前記被加工部を除く部分に残存する該A
    lと該アルミナイド金属間化合物との質量比が1:19
    〜3:7である請求項1又は2に記載の金属間化合物基
    複合材料。
  4. 【請求項4】 構成要素として強化材と金属間化合物と
    を含むとともに、形状加工が施された少なくとも1の部
    分を備えた金属間化合物基複合材料であって、 該強化材と金属粉末とが混合され、得られた混合粉体
    が、上面に開口端を有する少なくとも1の空間部が形成
    されるように容器に充填され、胴部に少なくとも1の穴
    部を有する管状金属部材が該空間部に埋設されるととも
    に、 形状加工が施された加工済み金属部材が、該管状金属部
    材内に挿設され、 少なくとも1の注湯口を有する蓋体が、充填された該混
    合粉体の上面であって、該注湯口が前記開口端のうち、
    前記加工済み金属部材と該管状金属部材との間隙に対応
    する位置関係となるように載置され、 次いで、該注湯口、前記加工済み金属部材と該管状金属
    部材との間隙、及び該穴部を通じて該混合粉体の間隙に
    Alが溶融含浸されることにより、 該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応が生起され、該A
    lがアルミナイド金属間化合物に置換され、かつ、形状
    加工が施された部分を備えてなることを特徴とする金属
    間化合物基複合材料。
  5. 【請求項5】 前記形状加工が施された部分を除く部分
    に残存する該Alと該アルミナイド金属間化合物との質
    量比が1:19〜3:7である請求項4に記載の金属間
    化合物基複合材料。
  6. 【請求項6】 該加工済み金属部材を構成する金属がT
    i、Fe、Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、及びこ
    れらの合金からなる群より選択される少なくともいずれ
    か一種である請求項4又は5に記載の金属間化合物基複
    合材料。
  7. 【請求項7】 該管状金属部材を構成する金属がTi、
    Fe、Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、及びこれら
    の合金からなる群より選択される少なくともいずれか一
    種である請求項2〜6のいずれか一項に記載の金属間化
    合物基複合材料。
  8. 【請求項8】 該金属粉末がTi、Ni、及びNbから
    なる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜
    7のいずれか一項に記載の金属間化合物基複合材料。
  9. 【請求項9】 該強化材が繊維、粒子、及びウィスカー
    からなる群より選択される少なくともいずれか一種の形
    状を有する無機材料である請求項1〜8のいずれか一項
    に記載の金属間化合物基複合材料。
  10. 【請求項10】 該無機材料がAl23、AlN、Si
    C、及びSi34からなる群より選択される少なくとも
    いずれか一種である請求項9に記載の金属間化合物基複
    合材料。
  11. 【請求項11】 該金属粉末の平均粒径が、該強化材の
    平均粒径の5〜80%である請求項1〜10のいずれか
    一項に記載の金属間化合物基複合材料。
  12. 【請求項12】 強化材と金属粉末とを混合して得られ
    た混合粉体を、上面に開口端を有する少なくとも1の空
    間部を形成するように容器に充填するとともに、 少なくとも1の注湯口を有する蓋体を、充填された該混
    合粉体の上面であって、該注湯口が前記開口端に対応す
    る位置関係となるように載置し、次いで、該注湯口を通
    じて該混合粉体の間隙にAlを溶融含浸することによ
    り、 該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応を生起させ、該A
    lをアルミナイド金属間化合物に置換せしめ、かつ、該
    空間部を被加工部とする金属間化合物基複合材料を得る
    ことを特徴とする金属間化合物基複合材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 胴部に少なくとも1の穴部を有する管
    状金属部材を埋設するとともに、 該注湯口と該穴部を通じて該Alを溶融含浸する請求項
    12に記載の金属間化合物基複合材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記被加工部を除く部分に残存する該
    Alと該アルミナイド金属間化合物との質量比が1:1
    9〜3:7となるように、 該Alと該金属粉末との質量比を調整する請求項12又
    は13に記載の金属間化合物基複合材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 強化材と金属粉末とを混合して得られ
    た混合粉体を、上面に開口端を有する少なくとも1の空
    間部が形成されるように容器に充填し、胴部に少なくと
    も1の穴部を有する管状金属部材を該空間部に埋設する
    とともに、 形状加工が施された加工済み金属部材を、該管状金属部
    材内に挿設し、 少なくとも1の注湯口を有する蓋体を、充填された該混
    合粉体の上面であって、該注湯口が前記開口端のうち、
    前記加工済み金属部材と該管状金属部材との間隙に対応
    する位置関係となるように載置し、 次いで、該注湯口、前記加工済み金属部材と該管状金属
    部材との間隙、及び該穴部を通じて該混合粉体の間隙に
    Alを溶融含浸することにより、 該金属粉末と該Alとの自己燃焼反応を生起させ、該A
    lをアルミナイド金属間化合物に置換せしめ、形状加工
    が施された部分を備えた金属間化合物基複合材料を得る
    ことを特徴とする金属間化合物基複合材料の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記形状加工が施された部分を除く部
    分に残存する該Alと該アルミナイド金属間化合物との
    質量比が1:19〜3:7となるように、 該Alと該金属粉末との質量比を調整する請求項15に
    記載の金属間化合物基複合材料の製造方法。
  17. 【請求項17】 該加工済み金属部材を構成する金属と
    してTi、Fe、Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、
    及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも
    いずれか一種を用いる請求項15又は16に記載の金属
    間化合物基複合材料の製造方法。
  18. 【請求項18】 該管状金属部材を構成する金属として
    Ti、Fe、Ni、Cu、Co、Cr、Mo、W、及び
    これらの合金からなる群より選択される少なくともいず
    れか一種を用いる請求項13〜17のいずれか一項に記
    載の金属間化合物基複合材料の製造方法。
  19. 【請求項19】 該金属粉末を構成する金属としてT
    i、Ni及びNbからなる群より選択される少なくとも
    いずれか一種を用いる請求項12〜18のいずれか一項
    に記載の金属間化合物基複合材料の製造方法。
  20. 【請求項20】 該強化材として繊維、粒子、及びウィ
    スカーからなる群より選択される少なくともいずれか一
    種の形状を有する無機材料を用いる請求項12〜19の
    いずれか一項に記載の金属間化合物基複合材料の製造方
    法。
  21. 【請求項21】 該無機材料としてAl23、AlN、
    SiC、及びSi34からなる群より選択される少なく
    ともいずれか一種を用いる請求項20に記載の金属間化
    合物基複合材料の製造方法。
  22. 【請求項22】 該強化材の平均粒径に対して5〜80
    %の平均粒径である該金属粉末を用いる請求項12〜2
    1のいずれか一項に記載の金属間化合物基複合材料の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017500443A (ja) * 2013-12-06 2017-01-05 スネクマ 粉末の選択的溶融により部品を生産するための方法
CN115301951A (zh) * 2022-08-10 2022-11-08 中国航发北京航空材料研究院 一种金属间化合物结构件的成形方法

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