JP2003160586A - 新規なジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類 - Google Patents

新規なジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類

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JP2003160586A
JP2003160586A JP2001363381A JP2001363381A JP2003160586A JP 2003160586 A JP2003160586 A JP 2003160586A JP 2001363381 A JP2001363381 A JP 2001363381A JP 2001363381 A JP2001363381 A JP 2001363381A JP 2003160586 A JP2003160586 A JP 2003160586A
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まゆみ 西田
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    • C07F5/00Compounds containing elements of Groups 3 or 13 of the Periodic Table
    • C07F5/02Boron compounds
    • C07F5/025Boronic and borinic acid compounds

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なピリジルボラン類及びその製造方法を
提供すること。 【解決手段】 一般式(1): 【化1】 (式中、R1は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ
カルボニルアミノ基を、R2は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基又はフロロアルキル基を表す。但し、R
1及びR2が共に水素原子である場合を除く。)で示され
るジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な化合物であ
る一般式(1):
【0002】
【化3】 (式中、R1は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ
カルボニルアミノ基を、R2は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基又はフロロアルキル基を表す。但し、R
1及びR2が共に水素原子である場合を除く。)で示され
る新規なジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類及びそ
の製造法に関する。
【0003】
【従来の技術】本発明の上記一般式(1)で示されるジ
ヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類は、文献未記載の
新規な化合物である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ピリジン環の炭素原子
に結合するボリル基を有するピリジルボラン類は、例え
ば、ハロゲン原子を有する芳香族化合物とのカップリン
グ反応によって有機EL材料、液晶材料として有用なビ
アリール化合物へ誘導される。当該ピリジルボラン類の
具体例としては、ジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラ
ン、ジヒドロキシ(4−ピリジル)ボラン、ジヒドロキ
シ(2−メトキシ−3−ピリジル)ボラン、ジエチル
(3−ピリジル)ボラン等、数例の報告しかなく、有機
EL、液晶分野において高性能の有機EL材料、液晶材
料の開発のために新たな化合物の提供が望まれている。
本発明は、新規なピリジルボラン類を提供することを課
題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、有機EL材料や
液晶材料の他、医農薬等の中間体等、多様な用途への使
用が期待できる化合物である一般式(1):
【0006】
【化4】 (式中、R1は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ
カルボニルアミノ基を、R2は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基又はフロロアルキル基を表す。但し、R
1及びR2が共に水素原子である場合を除く。)で示され
るジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類[以下、ジヒ
ドロキシ(3−ピリジル)ボラン類(1)という。]を
見出した。ジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類
(1)は、例えば一般式(1)中のR1がハロゲン原子
又はアルコキシカルボニルアミノ基である化合物、即
ち、一般式(4):
【0007】
【化5】 (式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又
はフロロアルキル基を、R3はハロゲン原子又はアルコ
キシカルボニルアミノ基を表す。)で示されるジヒドロ
キシ(2−ハロゲノ−3−ピリジル)ボラン類又はジヒ
ドロキシ(2−アルコキシカルボニルアミノ−3−ピリ
ジル)ボラン類は、有機溶媒中、一般式(2):
【0008】
【化6】 (式中、R2及びR3は上記と同じ。)で示されるピリジ
ン類をリチウムアミドと反応させた後、得られた反応混
合物に一般式(3): B(OR43 (3) (式中、R4はアルキル基を表す。)で示されるトリア
ルコキシボラン類を加えて反応させ、次いで得られた反
応混合物に水を加えて反応させることによって容易に製
造することができる。また、ジヒドロキシ(3−ピリジ
ル)ボラン類(1)において一般式(1)中のR1が水
素原子であり且つR2がハロゲン原子、アルキル基又は
フロロアルキル基である化合物、即ち、一般式(6):
【0009】
【化7】 (式中、R5はハロゲン原子、アルキル基又はフロロア
ルキル基を表す。)で示される化合物は、一般式
(5):
【0010】
【化8】 (式中、Xはハロゲン原子を表し、R5は上記と同
じ。)で示される化合物を、溶媒中、水素化触媒及び塩
基の存在下に水素と反応させて脱ハロゲン化を行うこと
によって容易に製造することができる。本発明は上記知
見に基づいて完成するに至ったものである。
【0011】即ち、本発明は、ジヒドロキシ(3−ピリ
ジル)ボラン類(1)に関する。
【0012】尚、本発明のジヒドロキシ(3−ピリジ
ル)ボラン類(1)は、分子間で容易に脱水縮合反応し
て経時的に一般式(7):
【0013】
【化9】 [式中、Arは、
【0014】
【化10】 (式中、R1及びR2は上記と同じ。)で示される3−ピ
リジル基を表す。]で示されるボロキシン類に転化す
る。本発明のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類
(1)は上記一般式(7)で示されるボロキシン類を包
含する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類
(1)において、上記一般式(1)中のR1で表される
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素
等が挙げられる。アルコキシカルボニルアミノ基として
は、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニル
アミノ基、プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポ
キシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミ
ノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基等の直鎖状又は
分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコ
キシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0016】また、上記一般式(1)中のR2で表され
るハロゲン原子としては上記のR1で表されるハロゲン
原子と同様のものが挙げられ、アルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基及びt−ブチル基等の直鎖状又は分枝鎖状の炭
素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、そしてフロロ
アルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオ
ロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチ
ル基、1,2−ジフルオロメチル基、1,1,2−トリ
フルオロエチル基、1,1,1,2−テトラフルオロエ
チル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロエチル基等のメチ
ル基又はエチル基の水素原子を1個以上フッ素原子に置
換したものが挙げられる。
【0017】本発明のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボ
ラン類(1)は、以下の方法によって製造することがで
きる。
【0018】ジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類
(1)において一般式(1)中のR1がハロゲン原子又
はアルコキシカルボニルアミノ基である化合物、即ち、
一般式(4):
【0019】
【化11】 (式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又
はフロロアルキル基を、R3はハロゲン原子又はアルコ
キシカルボニルアミノ基を表す。)で示されるジヒドロ
キシ(2−ハロゲノ−3−ピリジル)ボラン類又はジヒ
ドロキシ(2−アルコキシカルボニルアミノ−3−ピリ
ジル)ボラン類[以下、それぞれ単にジヒドロキシ(2
−ハロゲノ−3−ピリジル)ボラン類、ジヒドロキシ
(2−アルコキシカルボニルアミノ−3−ピリジル)ボ
ラン類という。]は、有機溶媒中、一般式(2):
【0020】
【化12】 (式中、R2及びR3は上記と同じ。)で示されるピリジ
ン類[以下、ピリジン類(2)という。]を、リチウム
アミドと反応させた後、得られた反応混合物に一般式
(3): B(OR43 (3) (式中、R4はアルキル基を表す。)で示されるトリア
ルコキシボラン類[以下、トリアルコキシボラン類
(3)という。]を加えて反応させ、次いで得られた反
応混合物に水を加えて反応させることによって製造する
ことができる。
【0021】一般式(4)で示されるジヒドロキシ(2
−ハロゲノ−3−ピリジル)ボラン類又はジヒドロキシ
(2−アルコキシカルボニルアミノ−3−ピリジル)ボ
ラン類の製造法は、詳しくは次の通りのものである。即
ち、有機溶媒中、ピリジン類(2)を、リチウムアミド
と反応させることにより一般式(8):
【0022】
【化13】 (式中、R2及びR3は上記と同じ。)で示される3−ピ
リジルリチウム類[以下、3−ピリジルリチウム類
(8)という。]を製造し、次いで得られる3−ピリジ
ルリチウム類(8)を、トリアルコキシボラン類(3)
と反応させて一般式(9):
【0023】
【化14】 (式中、R2、R3及びR4は上記と同じ。)で示される
ジアルコキシ(3−ピリジル)ボラン類[以下、アルコ
キシ(3−ピリジル)ボラン類(9)という。]を製造
し、さらに得られるジアルコキシ(3−ピリジル)ボラ
ン類(9)を加水分解してジヒドロキシ(2−ハロゲノ
−3−ピリジル)ボラン類又はジヒドロキシ(2−アル
コキシカルボニルアミノ−3−ピリジル)ボラン類を製
造する方法である。
【0024】3−ピリジルリチウム類(8)の製造に用
いられるピリジン類(2)において、一般式(2)中の
3で表されるハロゲン原子及びアルコキシカルボニル
アミノ基は、上記R1で表されるそれらと同じである。
ピリジン類(2)の具体例としては、2−クロロピリジ
ン、2−ブロモピリジン、2,5−ジクロロピリジン、
2−クロロ−6−メチルピリジン、2−クロロ−5−ト
リフロロメチルピリジン、2−t−ブトキシカルボニル
アミノピリジン等を挙げることができるがこれらに限定
されない。
【0025】3−ピリジルリチウム類(8)の製造にお
いては、反応の前に第2級アミンとアルキルリチウムと
からリチウムアミドを調製するのが好ましい。リチウム
アミドの調製は、例えば、有機溶媒中、第2級アミンと
アルキルリチウムの等モルを攪拌下に混合して反応させ
るだけで容易に実施でき、この反応によりほぼ定量的に
リチウムアミドが生成する。そして得られたリチウムア
ミドを含む反応混合物に、ピリジン類(2)を加えて攪
拌下に混合し、ピリジン類(2)をリチウムアミドと反
応させることによって3−ピリジルリチウム類(8)を
製造することができる。尚、この方法においては、アル
キルリチウム、リチウムアミド及び3−ピリジルリチウ
ム類(8)が水と容易に反応して分解することから、反
応系を無水の状態に保つのが好ましい。リチウムアミド
の調製に用いられる第2級アミンとしては、例えば、ジ
エチルアミン、ジイソプロピルアミン等のジアルキルア
ミン、ピロリジン、ピペリジン、2,2’,6,6’−
テトラメチルピペリジン等のポリメチレンイミン等が挙
げられる。またアルキルリチウムとしては、例えば、メ
チルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ナ
フチルリチウム等が挙げられる。これら第2級アミン及
びアルキルリチウムとの具体例からは、リチウムアミド
としてリチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピ
ルアミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、
リチウム2,2’,6,6’−テトラメチルピペリジド
等が調製され、本発明においてはジアルキルアミンとア
ルキルリチウムから調製されるリチウムジアルキルアミ
ドが好適に用いられる。こうして得られるリチウムアミ
ドを含有する混合物にピリジン類(2)を加えて反応さ
せると3−ピリジルリチウム類(8)を製造できる。
【0026】有機溶媒としては、反応に不活性なもので
あれば特に限定されず、例えば、ジメトキシエタン、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素等が
挙げられ、反応にはこれらの1種以上を使用することが
できる。
【0027】ピリジン類(2)、リチウムアミド及び有
機溶媒の使割合は、通常、ピリジン類(2)1モルに対
してリチウムアミドが1.0〜3.5モル及び有機溶媒
が1〜100重量部である。
【0028】3−ピリジルリチウム類(8)の製造にお
いて、予めリチウムアミドを調製する場合の第2級アミ
ンとアルキルリチウムの反応の反応温度は好ましくは−
80〜0℃であり、またピリジン類(2)とリチウムア
ミドの反応の反応温度は、好ましくは−80〜−20℃
である。
【0029】そして上記のようにして得られる3−ピリ
ジルリチウム類(8)を含む反応混合物をそのまま用い
てジアルコキシ(3−ピリジル)ボラン類(9)の製造
を行うことができる。
【0030】ジアルコキシ(3−ピリジル)ボラン類
(9)の製造は、上記のようにして得られる3−ピリジ
ルリチウム類(8)を含む反応混合物に、トリアルコキ
シボラン類(3)を加えて、攪拌下に混合して3−ピリ
ジルリチウム類(8)をトリアルコキシボラン類(3)
と反応させればよい。
【0031】トリアルコキシボラン類(3)における上
記一般式(3)中のR3で表されるアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖状又は分
枝鎖状の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。トリ
アルコキシボラン類(3)の具体例としては、トリメト
キシボラン、トリエトキシボラン、トリプロポキシボラ
ン等が挙げられるがこれらに限定されない。トリアルコ
キシボラン類(3)の使用量は、3−ピリジルリチウム
類(8)の製造に用いたピリジン類(2)1モルに対し
て通常1.0〜3.5モルである。
【0032】3−ピリジルリチウム類(8)とトリアル
コキシボラン類(3)の反応における反応温度は、ピリ
ジン類(2)とリチウムアミドとの反応温度と同様であ
る。
【0033】このようにしてジアルコキシ(3−ピリジ
ル)ボラン類(9)を含む反応混合物が得られる。そし
て引き続き、得られた反応混合物をそのまま用い、当該
反応混合物に含まれるジアルコキシ(3−ピリジル)ボ
ラン類(9)を加水分解すれば一般式(4)で示される
ジヒドロキシ(2−ハロゲノ−3−ピリジル)ボラン類
又はジヒドロキシ(2−アルコキシカルボニルアミノ−
3−ピリジル)ボラン類を製造することができる。
【0034】加水分解は、上記で得られるジアルコキシ
(3−ピリジル)ボラン類(9)を含む反応混合物に水
を添加して攪拌するだけでよい。水の使用量は、反応混
合物に含まれるジアルコキシ(3−ピリジル)ボラン類
(9)1重量部に対して通常1〜10重量部である。
【0035】加水分解の反応温度は、通常−80〜50
℃、好ましくは−30〜30℃である。
【0036】またジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン
類(1)において一般式(1)中のR1が水素原子であ
る化合物、即ち、一般式(6):
【0037】
【化15】 (式中、R5はハロゲン原子、アルキル基又はフロロア
ルキル基を表す。)で示される化合物は、一般式
(5):
【0038】
【化16】 (式中、Xはハロゲン原子を表し、R5は上記と同
じ。)で示される化合物を、溶媒中、水素化触媒及び塩
基の存在下に水素と反応させて脱ハロゲン化を行うこと
により製造できる。
【0039】水素化触媒としては、一般に公知のものを
広く適用することができ、好ましくはパラジウム触媒、
白金触媒等の貴金属触媒を用いる。特に好ましい水素化
触媒は、シリカゲル、アルミナ、活性炭、珪藻土、炭酸
カルシウム等の担体にパラジウム、白金等の貴金属が担
持された担持触媒である。担持触媒における貴金属の担
持量は担体に対して金属が通常0.1〜50重量%、好
ましくは1〜10%である。また、水素化触媒の使用量
は、一般式(5)で示される化合物に対して通常0.1
〜100重量%、好ましくは0.1〜20重量%である
【0040】塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カ
ルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の無機塩
基、アンモニア、トリエチルアミン等の有機塩基のいず
れも使用できる。塩基の使用量は、一般式(5)で示さ
れる化合物1モルに対して通常1〜20モル、好ましく
は1〜5モルである。
【0041】溶媒としては、水及びアルコールが好まし
く、アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、sec
−ブチルアルコール、n−ブタノール等の炭素数1〜4
のアルコールが好ましい。使用量としては一般式(5)
で示される化合物1重量部に対して通常1〜100重量
部、好ましくは1〜10重量部である。
【0042】反応における水素の圧力は、通常大気圧〜
10MPa、好ましくは大気圧〜1.0MPaである。
また反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは20
〜60℃である。
【0043】上記のようにしてジヒドロキシ(3−ピリ
ジル)ボラン類(1)を製造することができる。本発明
のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類(1)は、上
記製造法における原料化合物の入手が容易なことから、
好ましくは一般式(1)中のR1がハロゲン原子である
化合物、一般式(1)中のR1がアルコキシカルボニル
アミノ基であり且つR2が水素原子である化合物、並び
に上記一般式(1)中のR1が水素原子であり且つR2
ハロゲン原子、アルキル基又はフロロアルキル基である
化合物である。
【0044】本発明のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボ
ラン類(1)の具体例としては、例えば、ジヒドロキシ
(2−クロロ−3−ピリジル)ボラン、ジヒドロキシ
(2−ブロモ−3−ピリジル)ボラン、ジヒドロキシ
(2,5−ジクロロ−3−ピリジル)ボラン、ジヒドロ
キシ(2−クロロ−6−メチル−3−ピリジル)ボラ
ン、ジヒドロキシ(2−t−ブトキシカルボニルアミノ
−3−ピリジル)ボラン、ジヒドロキシ(2−クロロ−
5−トリフロロメチル−3−ピリジル)ボラン等を挙げ
ることができ、これらは上述した通りの脱水縮合物をそ
れぞれ包含する。本発明のジヒドロキシ(3−ピリジ
ル)ボラン類(1)はこれらの具体例に限定されるもの
ではない。
【0045】上記のようにして得られるジヒドロキシ
(3−ピリジル)ボラン類(1)を含む反応混合物から
は、濾過、中和、抽出、濃縮、蒸留、再結晶及び/又は
カラムクロマトグラム等の単位操作を組み合わせてジヒ
ドロキシ(3−ピリジル)ボラン類(1)を単離するこ
とができる。
【0046】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0047】実施例1 ジイソプロピルアミン2.11ml(15ミリモル)及
び無水テトラヒドロフラン15mlからなる溶液を0℃
に冷却し、1.53モル/リットルのn−ブチルリチウ
ム/ヘキサン溶液9.8ml(n−ブチルリチウム15
ミリモル)を10分かけて滴下して混合し、リチウムジ
イソプロピルアミドを含む混合物を得た。得られた混合
物を−78℃に冷却し、ここに2−クロロピリジン0.
94ml(10ミリモル)及び無水テトラヒドロフラン
10mlからなる溶液を20分かけて滴下し、同温で2
時間攪拌して反応させた。さらに同温でトリメトキシボ
ラン1.14ml(10ミリモル)及び無水テトラヒド
ロフラン10mlからなる溶液を20分かけて滴下し、
同温で2時間攪拌して反応させた。得られた反応混合物
に含水テトラヒドロフラン(含水率:約16重量%)
2.4mlを−78℃にて滴下した後、−10℃まで昇
温し、さらに水20mlを添加した。得られた反応混合
物を室温にし、酢酸エチル20mlを加えて混合した
後、有機層と水層に分液した。得られた水層を10重量
%塩酸でpH約4.0に調整し、酢酸エチル30mlに
よる抽出を2回行った。抽出液の有機層を飽和食塩水2
0mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下
で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー[酢酸エチル:酢酸=100:0.1]にて
精製し、赤橙色固体1.04gを得た。得られた固体は
ジヒドロキシ(2−クロロ−3−ピリジル)ボラン及び
その脱水縮合物である上記一般式(4)で示されるボロ
キシン構造を有する化合物の混合物であり、その1H−
NMRは下記の通りである。収率は、ジヒドロキシ(2
−クロロ−3−ピリジル)ボランに換算して66%であ
る。
【0048】1H−NMR(D2O、NaOD、MeO
D;ppm)σ:8.09〜8.15(m,1H)、
8.06、8.04、7.98(前記3つのピークはそ
れぞれ、dd,J=7.3Hz,J=ca.2.0Hz
であり、これらの合計の相対プロトン数は1H)、7.
28(ddd,J=6.8Hz,J=4.8Hz,J=
1.6Hz,1H)
【0049】実施例2 実施例1において2−クロロピリジンに代えて2−ブロ
モピリジン1.58g(10ミリモル)を用いた以外は
実施例1と同様に行って褐色固体1.55gを得た。得
られた固体はジヒドロキシ(2−ブロモ−3−ピリジ
ル)ボラン及びその脱水縮合物である上記一般式(4)
で示されるボロキシン構造を有する化合物の混合物であ
り、その1H−NMRは次の通りである。収率は、ジヒ
ドロキシ(2−ブロモ−3−ピリジル)ボランに換算し
て77%であった。
【0050】1H−NMR(D2O,NaOD,MeO
D;ppm)σ:7.97−8.13(m,2H)、
7.28−7.37(m,1H)
【0051】実施例3 実施例1において2−クロロピリジンに代えて2−クロ
ロ−6−メチルピリジン1.28g(10ミリモル)を
用いた以外は実施例1と同様に行って黄色固体185m
gを得た。得られた固体はジヒドロキシ(2−クロロ−
6−メチル−3−ピリジル)ボラン及びその脱水縮合物
である上記一般式(4)で示されるボロキシン構造を有
する化合物の混合物であり、その1H−NMRは次の通
りである。収率は、ジヒドロキシ(2−クロロ−6−メ
チル−3−ピリジル)ボランに換算して11%である。
【0052】1H−NMR(D2O,NaOD,MeO
D;ppm)σ:7.84−7.98(m,1H)、
7.13(dd,J=7.3Hz,J=1.8Hz,1
H)、2.40(s,3H)
【0053】実施例4 実施例1において2−クロロピリジンに代えて2−クロ
ロ−5−トリフルオロメチルピリジン1.82g(10
ミリモル)を用いた以外は実施例1と同様に行って茶褐
色固体572mgを得た。得られた固体はジヒドロキシ
(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジ
ル)ボラン及びその脱水縮合物である上記一般式(4)
で示されるボロキシン構造を有する化合物の混合物であ
り、その1H−NMRは次の通りである。収率は、ジヒ
ドロキシ(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−3−
ピリジル)ボランに換算して25%であった。
【0054】1H−NMR(D2O,NaOD,MeO
D;ppm)σ:8.45−8.51(m,1H)、
8.39、8.36、8.29(これら3つのピークは
それぞれ、d,J=2.5Hzであり、これらの合計の
相対プロトン数は1H)
【0055】実施例5 実施例1において2−クロロピリジンに代えて2,5−
ジクロロピリジン1.48g(10ミリモル)を用いた
以外は実施例1と同様に行って淡黄色固体770mgを
得た。得られた固体はジヒドロキシ(2,5−ジクロロ
−3−ピリジル)ボラン及びその脱水縮合物である上記
一般式(4)で示されるボロキシン構造を有する化合物
の混合物であり、その1H−NMRは次の通りである。
収率は、ジヒドロキシ(2,5−ジクロロ−3−ピリジ
ル)ボランに換算して40%であった。
【0056】1H−NMR(D2O,NaOD,MeO
D;ppm)σ:8.15(s,1H)、7.65、
7.62、7.57(これら3つのピークはそれぞれ、
sであり、これらの合計の相対プロトン数は1H)
【0057】実施例6 実施例1において2−クロロピリジンに代えて2−ブト
キシカルボニルアミノピリジン1.94g(10ミリモ
ル)を用いた以外は実施例1と同様に行って白色固体4
7mgを得た。得られた固体は(2−ブトキシカルボニ
ルアミノ−3−ピリジル)ボラン及びその脱水縮合物で
ある上記一般式(4)で示されるボロキシン構造を有す
る化合物の混合物であり、その1H−NMRは次の通り
である。収率は、ジヒドロキシ(2−ブトキシカルボニ
ルアミノ−3−ピリジル)ボランに換算して2.0%で
あった。
【0058】1H−NMR(D2O,NaOD,MeO
D;ppm)σ:8.24(m,1H)、7.81
(m,1H)、7.67(d,J=8.4Hz,1
H)、7.11(ddd,J=6.5,J=5.3,J
=0.8 Hz,1H)、1.55(s、1H)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H048 AA01 AA02 AB84 BB11 BB15 BB25 BE20 BE60 BE90 VA20 VA32 VA75

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、R1は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ
    カルボニルアミノ基を、R2は水素原子、ハロゲン原
    子、アルキル基又はフロロアルキル基を表す。但し、R
    1及びR2が共に水素原子である場合を除く。)で示され
    るジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類。
  2. 【請求項2】 一般式(1)中のR1がハロゲン原子又
    はアルコキシカルボニルアミノ基であり、且つR2が水
    素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はフロロアルキル
    基である請求項1に記載のジヒドロキシ(3−ピリジ
    ル)ボラン類。
  3. 【請求項3】 一般式(1)中のR1が水素原子であ
    り、且つR2がハロゲン原子、アルキル基又はフロロア
    ルキル基である請求項1に記載のジヒドロキシ(3−ピ
    リジル)ボラン類。
  4. 【請求項4】 一般式(1)中のR1がハロゲン原子で
    あり、且つR2が水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
    又はフロロアルキル基である請求項1に記載のジヒドロ
    キシ(3−ピリジル)ボラン類。
  5. 【請求項5】 一般式(1)中のR1がアルコキシカル
    ボニルアミノ基であり、且つR2が水素原子である請求
    項1に記載のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類。
  6. 【請求項6】 有機溶媒中、一般式(2): 【化2】 (式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又
    はフロロアルキル基を、R3はハロゲン原子又はアルコ
    キシカルボニルアミノ基を表す。)で示されるピリジン
    類をリチウムアミドと反応させた後、得られた反応混合
    物に一般式(3): B(OR43 (3) (式中、R4はアルキル基を表す。)で示されるトリア
    ルコキシボラン類を加えて反応させ、次いで得られた反
    応混合物に水を加えて反応させることを特徴とする請求
    項2に記載のジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類の
    製造法。
  7. 【請求項7】 一般式(1)中のR1がハロゲン原子で
    あり且つR2がハロゲン原子、アルキル基又はフロロア
    ルキル基であるジヒドロキシ(3−ピリジル)ボラン類
    を、溶媒中、水素化触媒及び塩基の存在下に水素と反応
    させることを特徴とする請求項3に記載のジヒドロキシ
    (3−ピリジル)ボラン類の製造法。
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