JP2003160040A - 車輌の制動制御装置 - Google Patents
車輌の制動制御装置Info
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Abstract
後輪制動力配分制御に起因して制動操作フィーリングが
悪化する虞れを低減する。 【解決手段】 車輌の状態に応じて基準値Pmoが演算さ
れ(S20)、マスタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo以
上になると(S30)、前輪の目標制動圧Ptfがマスタ
シリンダ圧力Pmよりも高くなるよう演算されることに
より(S40)、前輪の制動力が付加され前後輪制動力
配分制御に先立って制動力の前後輪配分比が前輪寄りに
制御され(S110、130、140)、これにより従
来に比してマスタシリンダ圧力Pmが高い値にならなけ
れば前後輪制動力配分制御(S50〜80、120〜1
40)による後輪の制動力抑制が開始されず、後輪の制
動力抑制による制動力の不足に起因する制動操作フィー
リングの悪化が防止される。
Description
制動制御装置に係り、更に詳細には前後輪の制動力配分
制御を行う車輌の制動制御装置に係る。
して、例えば本願出願人の出願にかかる特開平10−3
38115号公報に記載されている如く、車輌の制動時
に後輪がロックすることを防止して車輌の走行安定性を
向上させるべく、車輌の運転状態が所定の状態になると
後輪の制動圧を保持又は減圧し或いはパルス増圧して後
輪の制動力の上昇を抑制する前後輪制動力配分制御を行
うよう構成された制動制御装置が従来より知られてい
る。
動力配分制御が行われない場合に比して、後輪が前輪よ
りも先行してロック状態になること及びこれに起因して
車輌の安定性が悪化する虞れを低減することができるの
で、車輌の走行安定性を向上させることができる。
記載されている如き前後輪制動力配分制御を行う制動制
御装置に於いては、前後輪制動力配分制御が実行される
と後輪の制動力の上昇が抑制されるため、運転者が制動
力を高くしようとして制動操作量を増大させても車輌全
体としての制動力が十分に上昇せず、そのため制動操作
フィーリングが悪いという問題がある。
なると後輪の制動力の上昇を抑制する前後輪制動力配分
制御を行うよう構成された従来の制動制御装置に於ける
上述の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要
な課題は、前後輪制動力配分制御が行われる制動操作領
域よりも低い制動操作領域に於いて前輪の制動力を後輪
の制動力よりも相対的に高くすることにより、後輪が前
輪よりも先行してロック状態になること及びこれに起因
して車輌の安定性が悪化することを防止しつつ前後輪制
動力配分制御に起因して制動操作フィーリングが悪化す
る虞れを低減することである。
発明によれば、請求項1の構成、即ちマスタシリンダの
作動液圧を各車輪に対応して設けられた制動力発生装置
のホイールシリンダへ供給することにより制動力を発生
し、車輌の運転状態が所定の状態になると後輪の制動力
の上昇を抑制する前後輪制動力配分制御を行う車輌の制
動制御装置にして、運転者の制動操作量について見て前
記前後輪制動力配分制御が行われる領域以下の領域に於
いて前輪の制動力を運転者の制動操作量に対応する制動
力よりも高くする前輪制動力付加手段を有することを特
徴とする車輌の制動制御装置によって達成される。
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記前輪制動力付加手段は運転者の制動操作量が基準値以
上であるときに前輪の制動力を運転者の制動操作量に対
応する制動力よりも高くするよう構成される(請求項2
の構成)。
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前
記前輪制動力付加手段は前記基準値を車輌の状態に応じ
て変更するよう構成される(請求項3の構成)。
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記前輪制動力付加手段は前輪の制動力を高くする量を車
輌の状態に応じて変更するよう構成される(請求項4の
構成)。
効果的に達成すべく、上記請求項2又は3の構成に於い
て、前記前輪制動力付加手段は運転者の制動操作量が高
くなるにつれて前輪の制動力を高くする量を大きくする
よう構成される(請求項5の構成)。
運転者の制動操作量について見て前後輪制動力配分制御
が行われる領域以下の領域に於いて前輪の制動力が付加
され運転者の制動操作量に対応する制動力よりも高くさ
れ、これにより前後輪制動力配分制御に先立って制動力
の前後輪配分が予め前輪寄りに制御されるので、前輪の
制動力が高くされない場合に比して、運転者の制動操作
量が比較的高い領域に於いても後輪が前輪よりも先行し
てロック状態になること及びこれに起因して車輌の安定
性が悪化する虞れを低減することができ、また前輪の制
動力が高くされない場合に比して、前後輪制動力配分制
御が行われるべき領域を運転者の制動操作量が高い領域
にすることができ、従って前後輪制動力配分制御が行わ
れない制動操作領域を広くし、これにより前後輪制動力
配分制御に起因して制動操作フィーリングが悪化する虞
れを低減することができる。
の制動操作量が基準値以上であるときに前輪の制動力が
運転者の制動操作量に対応する制動力よりも高くされる
ので、運転者の制動操作量が基準値以上である状況に於
いて確実に前輪の制動力を運転者の制動操作量に対応す
る制動力よりも高くすることができると共に、前輪の制
動力の付加が必要ではない状況に於いて前輪の制動力が
不必要に運転者の制動操作量に対応する制動力よりも高
くされることを確実に防止することができる。
は車輌の状態に応じて変更されるので、運転者の制動操
作量が増大する際に於ける前輪の制動力の付加の開始を
車輌の状態に応じて的確に制御することができる。
制動力を高くする量が車輌の状態に応じて変更されるの
で、前輪の制動力の付加量を車輌の状態に応じて的確に
制御することができ、これにより車輌の状態に応じた適
正な付加量にて前輪の制動力を高くすることができる。
の制動操作量が高くなるにつれて前輪の制動力を高くす
る量が大きくされるので、例えば前輪の制動力の付加量
が一定である場合に比して前輪の制動力の付加が開始さ
れる際の制動力の急変を確実に防止することができ、ま
た運転者の制動操作量が高くなるにつれて、即ち後輪が
前輪よりも先行してロック状態になる虞れが高くなるに
つれて制動力の前後配分を漸次前輪寄りに制御すること
ができる。
い態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、前輪制
動力付加手段は前後輪制動力配分制御が行われる領域よ
りも運転者の制動操作量が小さい領域及び前後輪制動力
配分制御が行われる領域に於いて前輪の制動力を運転者
の制動操作量に対応する制動力よりも高くするよう構成
される(好ましい態様1)。
ば、上記請求項3の構成に於いて、基準値は車速が高い
ほど小さくなるよう車速に応じて可変設定されるよう構
成される(好ましい態様2)。
ば、上記請求項3の構成に於いて、基準値は車輌の減速
度が低いほど大きくなるよう車輌の減速度に応じて可変
設定されるよう構成される(好ましい態様3)。
ば、上記請求項4の構成に於いて、前輪の制動力を高く
する量は車速が高いほど大きくなるよう車速に応じて可
変設定されるよう構成される(好ましい態様4)。
ば、上記請求項4の構成に於いて、前輪の制動力を高く
する量は車輌の減速度が低いほど小さくなるよう車輌の
減速度に応じて可変設定されるよう構成される(好まし
い態様5)。
ば、上記請求項1乃至5の構成に於いて、前後輪制動力
配分制御が行われているときには後輪の制動力の上昇抑
制量に応じて前輪の制動力が増加されるよう構成される
(好ましい態様6)。
明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明す
る。
圧回路及び電子制御装置を示す概略構成図、図2は図1
に示された前輪用の連通制御弁を示す解図的断面図であ
る。尚図1に於いては、電磁的に駆動される各弁のソレ
ノイドの図示は省略されている。
しており、制動装置10は運転者によるブレーキペダル
12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送す
るマスタシリンダ14を有している。マスタシリンダ1
4はその両側の圧縮コイルばねにより所定の位置に付勢
されたフリーピストン16により画成された第一のマス
タシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bと
を有している。
のブレーキ油圧制御導管18Fの一端が接続され、ブレ
ーキ油圧制御導管18Fの他端には左前輪用のブレーキ
油圧制御導管20FL及び右前輪用のブレーキ油圧制御導
管20FRの一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導
管18Fの途中には前輪用の連通制御弁22Fが設けら
れており、連通制御弁22Fは図示の実施形態に於いて
は常開型のリニアソレノイド弁である。連通制御弁22
Fの両側のブレーキ油圧制御導管18Fには第一のマス
タシリンダ室14Aよりブレーキ油圧制御導管20FL又
はブレーキ油圧制御導管20FRへ向かうオイルの流れの
みを許す逆止バイパス導管24Fが接続されている。
制御弁22Fは内部に弁室70を郭定するハウジング7
2を有し、弁室70には弁要素74が往復動可能に配置
されている。弁室70にはブレーキ油圧制御導管18F
のマスタシリンダ14の側の部分18FAが内部通路7
6を介して常時連通接続され、またブレーキ油圧制御導
管18Fのマスタシリンダ14とは反対側の部分18F
Bが内部通路78及びポート80を介して連通接続され
ている。
イド82が配設されており、弁要素74は圧縮コイルば
ね84により図2に示された開弁位置へ付勢されてい
る。弁要素74はソレノイド82に駆動電圧が印加され
ると、圧縮コイルばね84のばね力に抗してポート80
に対し付勢され、これによりポート80を閉ざすことに
よって閉弁する。
況に於いて、ブレーキ油圧制御導管18Fのマスタシリ
ンダ14とは反対側の部分18FB内の圧力による力と
圧縮コイルばね84のばね力との合計がソレノイド82
による電磁力よりも高くなると、弁要素74はポート8
0より離れて該ポートを開き、部分18FB内のオイル
が内部通路78、ポート80、弁室70、内部通路76
を経てブレーキ油圧制御導管18Fの部分18FAへ流
れる。そしてこのオイルの流動により部分18FB内の
オイルの圧力が低下すると、その圧力による力と圧縮コ
イルばね84のばね力との合計がソレノイド82による
電磁力よりも低くなり、弁要素74はポート80を再度
閉ざす。
ド82に対する印加電圧に応じてブレーキ油圧制御導管
18Fの部分18FB内の圧力を制御するので、ソレノ
イド82に対する駆動電圧を制御することによって連通
制御弁22Fにより部分18FB内の圧力(本明細書に
於いては「上流圧」という)を所望の圧力に制御するこ
とができる。
れた逆止バイパス導管24Fは連通制御弁22Fに内蔵
されており、内部通路86と、該内部通路の途中に設け
られ弁室70より部分18FBへ向かうオイルの流れの
みを許す逆止弁88とよりなっている。
び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20FRの他端にはそ
れぞれ左前輪及び右前輪の制動力を発生する図1には示
されていない制動力発生装置のホイールシリンダ26FL
及び26FRが接続されており、左前輪用のブレーキ油圧
制御導管20FL及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管2
0FRの途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁28FL及び
28FRが設けられている。電磁開閉弁28FL及び28FR
の両側のブレーキ油圧制御導管20FL及び20FRにはそ
れぞれホイールシリンダ26FL及び26FRよりブレーキ
油圧制御導管18Fへ向かうオイルの流れのみを許す逆
止バイパス導管30FL及び30FRが接続されている。
FLとの間のブレーキ油圧制御導管20FLにはオイル排出
導管32FLの一端が接続され、電磁開閉弁28FRとホイ
ールシリンダ26FRとの間のブレーキ油圧制御導管20
FRにはオイル排出導管32FRの一端が接続されている。
オイル排出導管32FL及び32FRの途中にはそれぞれ常
閉型の電磁開閉弁34FL及び34FRが設けられており、
オイル排出導管32FL及び32FRの他端は接続導管36
Fにより前輪用のバッファリザーバ38Fに接続されて
いる。
FL及び28FRはそれぞれホイールシリンダ26FL及び2
6FR内の圧力を増圧又は保持するための増圧弁であり、
電磁開閉弁34FL及び34FRはそれぞれホイールシリン
ダ26FL及び26FR内の圧力を減圧するための減圧弁で
あり、従って電磁開閉弁28FL及び34FLは互いに共働
して左前輪のホイールシリンダ26FL内の圧力を増減し
保持するための増減圧弁を郭定しており、電磁開閉弁2
8FR及び34FRは互いに共働して右前輪のホイールシリ
ンダ26FR内の圧力を増減し保持するための増減圧弁を
郭定している。
ンプ42Fの吸入側に接続されており、接続導管40F
の途中には接続導管36Fよりポンプ42Fへ向かうオ
イルの流れのみを許す二つの逆止弁44F及び46Fが
設けられている。ポンプ42Fの吐出側は途中にダンパ
48Fを有する接続導管50Fによりブレーキ油圧制御
導管18Fに接続されている。ポンプ42Fとダンパ4
8Fとの間の接続導管50Fにはポンプ42Fよりダン
パ48Fへ向かうオイルの流れのみを許す逆止弁52F
が設けられている。
導管40Fには接続導管54Fの一端が接続されてお
り、接続導管54Fの他端は第一のマスタシリンダ室1
4Aと制御弁22Fとの間のブレーキ油圧制御導管18
Fに接続されている。接続導管54Fの途中には常閉型
の電磁開閉弁60Fが設けられている。この電磁開閉弁
60Fはマスタシリンダ14と制御弁22Fとの間のブ
レーキ油圧制御導管18Fとポンプ42Fの吸入側との
連通を制御する吸入制御弁として機能する。
は後輪用のブレーキ油圧制御導管18Rの一端が接続さ
れ、ブレーキ油圧制御導管18Rの他端には左後輪用の
ブレーキ油圧制御導管20RL及び右後輪用のブレーキ油
圧制御導管20RRの一端が接続されている。ブレーキ油
圧制御導管18Rの途中には常開型のリニアソレノイド
弁である後輪用の連通制御弁22Rが設けられている。
2Fについて図2に示された構造と同一の構造を有して
おり、従って図には示されていないソレノイドに対する
駆動電圧を制御することにより、連通制御弁22Rより
下流側のブレーキ油圧制御導管18R内の圧力(上流
圧)を所望の圧力に制御することができる。更に連通制
御弁22Rの両側のブレーキ油圧制御導管18Rには第
二のマスタシリンダ室14Bよりブレーキ油圧制御導管
20RL又はブレーキ油圧制御導管20RRへ向かうオイル
の流れのみを許す逆止バイパス導管24Rが接続されて
いる。
び右後輪用のブレーキ油圧制御導管20RRの他端にはそ
れぞれ左後輪及び右後輪の制動力を発生する図1には示
されていない制動力発生装置のホイールシリンダ26RL
及び26RRが接続されており、左後輪用のブレーキ油圧
制御導管20RL及び右後輪用のブレーキ油圧制御導管2
0RRの途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁28RL及び
28RRが設けられている。電磁開閉弁28RL及び28RR
の両側のブレーキ油圧制御導管20RL及び20RRにはそ
れぞれホイールシリンダ26RL及び26RRよりブレーキ
油圧制御導管18Rへ向かうオイルの流れのみを許す逆
止バイパス導管30RL及び30RRが接続されている。
RLとの間のブレーキ油圧制御導管20RLにはオイル排出
導管32RLの一端が接続され、電磁開閉弁28RRとホイ
ールシリンダ26RRとの間のブレーキ油圧制御導管20
RRにはオイル排出導管32RRの一端が接続されている。
オイル排出導管32RL及び32RRの途中にはそれぞれ常
閉型の電磁開閉弁34RL及び34RRが設けられており、
オイル排出導管32RL及び32RRの他端は接続導管36
Rにより後輪用のバッファリザーバ38Rに接続されて
いる。
び28RRはそれぞれホイールシリンダ26RL及び26RR
内の圧力を増圧又は保持するための増圧弁であり、電磁
開閉弁34RL及び34RRはそれぞれホイールシリンダ2
6RL及び26RR内の圧力を減圧するための減圧弁であ
り、従って電磁開閉弁28RL及び34RLは互いに共働し
て左後輪のホイールシリンダ26RL内の圧力を増減し保
持するための増減圧弁を郭定しており、電磁開閉弁28
RR及び34RRは互いに共働して右後輪のホイールシリン
ダ26RR内の圧力を増減し保持するための増減圧弁を郭
定している。
ンプ42Rの吸入側に接続されており、接続導管40R
の途中には接続導管36Rよりポンプ42Rへ向かうオ
イルの流れのみを許す二つの逆止弁44R及び46Rが
設けられている。ポンプ42Rの吐出側は途中にダンパ
48Rを有する接続導管50Rによりブレーキ油圧制御
導管18Rに接続されている。ポンプ42Rとダンパ4
8Rとの間の接続導管50Rにはポンプ42Rよりダン
パ48Rへ向かうオイルの流れのみを許す逆止弁52R
が設けられている。尚ポンプ42F及び42Rは図1に
は示されていない共通の電動機により駆動される。
導管40Rには接続導管54Rの一端が接続されてお
り、接続導管54Rの他端は第二のマスタシリンダ室1
4Bと制御弁22Rとの間のブレーキ油圧制御導管18
Rに接続されている。接続導管54Rの途中には常閉型
の電磁開閉弁60Rが設けられている。この電磁開閉弁
60Rもマスタシリンダ14と制御弁22Rとの間のブ
レーキ油圧制御導管18Rとポンプ42Rの吸入側との
連通を制御する吸入制御弁として機能する。
各開閉弁は対応するソレノイドに駆動電流が通電されて
いないときには図1に示された非制御位置に設定され、
これによりホイールシリンダ26FL及び26FRには第一
のマスタシリンダ室14A内の圧力が供給され、ホイー
ルシリンダ26RL及び26RRには第二のマスタシリンダ
室14B内の圧力が供給される。従って通常時には各車
輪のホイールシリンダ内の圧力、即ち制動力はブレーキ
ペダル12の踏力に応じて増減される。
弁位置に切り換えられ、開閉弁60F、60Rが開弁さ
れ、各車輪の開閉弁が図1に示された位置にある状態に
てポンプ42F、42Rが駆動されると、マスタシリン
ダ14内のオイルがポンプによって汲み上げられ、ホイ
ールシリンダ26FL、26FRにはポンプ42Fによりポ
ンプアップされた圧力が供給され、ホイールシリンダ2
6RL、26RRにはポンプ42Rによりポンプアップされ
た圧力が供給されるようになるので、各車輪の制動圧は
ブレーキペダル12の踏力に関係なく連通制御弁22
F、22R及び各車輪の開閉弁(増減圧弁)の開閉によ
り増減される。
開閉弁28FL〜28RR及び開閉弁34FL〜34RRが図1
に示された非制御位置にあるときには増圧され(増圧モ
ード)、開閉弁28FL〜28RRが閉弁位置に切り換えら
れ且つ開閉弁34FL〜34RRが図1に示された非制御位
置にあるときには保持され(保持モード)、開閉弁28
FL〜28RR及び開閉弁34FL〜34RRが開弁位置に切り
換えられると減圧される(減圧モード)。
FL〜28RR、開閉弁34FL〜34RR、開閉弁60F及び
60Rは、後に説明する如く電子制御装置90により制
御される。電子制御装置90はマイクロコンピュータ9
2と駆動回路94とよりなっており、マイクロコンピュ
ータ92は当技術分野に於いて周知の一般的な構成のも
のであってよい。
96よりマスタシリンダ圧力Pmを示す信号、車速セン
サ98より車速Vを示す信号、前後加速度センサ100
より車輌の前後加速度Gx、横加速度センサ102より
車輌の横加速度Gyを示す信号が入力されるようになっ
ている。またマイクロコンピュータ92は後述の制動制
御フローを記憶しており、制動制御フローに従って各車
輪の制動圧Pi(i=fl、fr、rl、rr)を制御する。
よる制動操作量が小さく制動力の前後配分制御が不要で
あるときには、連通制御弁22F等は図示の標準位置に
維持されポンプ42F及び42Rは駆動されず、これに
より各車輪の制動圧、即ちホイールシリンダ26FL〜2
6RR内の圧力はマスタシリンダ圧力Pmにより制御され
る。
く制動力の前後配分制御により後輪の制動力の上昇を抑
制する必要があるときには、左右後輪の開閉弁28RL及
び28RRが閉弁されることにより左右後輪の制動圧が一
定の値に保持され、これと同時に連通制御弁22Fが閉
弁され、吸入制御弁60Fが開弁され、ポンプ42Fが
駆動され、連通制御弁22Fが制御されることにより左
右前輪の制動圧が増加され、これにより後輪の制動圧が
一定の値に保持されることによる制動力の不足分が前輪
の制動力の増大により補足される。
前後配分制御が実行される制動操作領域よりも低い制動
操作領域に於いて連通制御弁22Fが閉弁され、吸入制
御弁60Fが開弁され、ポンプ42Fが駆動され、連通
制御弁22Fが制御されることにより、後に詳細に説明
する如く左右前輪の制動圧がマスタシリンダ圧力Pmよ
りも高い値に増圧され、これにより制動力の前後配分制
御の実行に先立って制動力の前後輪配分が予め前輪寄り
に制御される。
8FL〜28RR及び開閉弁34FL〜34RRは例えば各車輪
の制動力を個別に制御することにより車輌の挙動を安定
化させる場合に制御される。特にこの場合左右の車輪の
高い方の目標制動圧が目標上流圧Ptf、Ptrに設定さ
れ、左右の車輪の目標制動圧Ptiが高い方の車輪の制動
圧Piは連通制御弁22F又は22Rにより上流圧が目
標上流圧Ptf又はPtrに制御されることによって制御さ
れ、左右反対側の車輪の制動圧は対応する増圧弁及び減
圧弁により対応する目標制動圧に制御される。
して図示の第一の実施形態に於ける制動制御ルーチンに
ついて説明する。尚図3に示されたフローチャートによ
る制御は図には示されていないイグニッションスイッチ
の閉成により開始され、所定の時間毎に繰り返し実行さ
れる。
6により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号
等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては車速
V、車輌の減速度Gxb(=−Gx)、車輌の横加速度Gy
を変数とする関数Fp(V,Gxb,Gy)により下記の式
1に従って基準値Pmoが演算される。尚この場合、基準
値Pmoは後述の後輪の制動力の抑制による前後輪制動力
配分制御が行われる領域のマスタシリンダ圧力Pmより
も小さい正の値であり、車速Vが高いほど小さく、車輌
の減速度Gxbが小さいほど大きく、車輌の横加速度Gy
の大きさが大きいほど小さくなるよう演算される。 Pmo=Fp(V,Gxb,Gy) ……(1)
力Pmが基準値Pmo以上であるか否かの判別、即ち前輪
の制動力を付加して制動力の前後輪配分比を予め前輪寄
りに制御するが必要があるか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはそのまま図3に示されたルーチ
ンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときに
はステップ40へ進む。
力Pm、車速V、車輌の減速度Gxb、車輌の横加速度Gy
を変数とする関数Ff(Pm,V,Gxb,Gy)により下
記の式2に従って前輪の目標制動圧Ptfが演算されると
共に、マスタシリンダ圧力Pmを変数とする関数Fr(P
m)により下記の式3に従って後輪の目標制動圧Ptrが
演算される。 Ptf=Ff(Pm,V,Gxb,Gy) ……(2) Ptr=Fr(Pm) ……(3)
標制動圧Ptfはマスタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo未
満の範囲に於いてはマスタシリンダ圧力Pmと同一の値
に演算され、マスタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo以上
の範囲に於いてはマスタシリンダ圧力Pmに対し1より
も大きい係数Kが乗算された値に演算される。また後輪
の目標制動圧Ptrはマスタシリンダ圧力Pmの値に拘わ
らずマスタシリンダ圧力Pmと同一の値に演算される。
またこの場合、係数Kは車速Vが高いほど小さく、車輌
の減速度Gxbが小さいほど大きく、車輌の横加速度Gy
の大きさが大きいほど大きくなるよう、車速V、車輌の
減速度Gxb、車輌の横加速度Gyに応じて可変設定され
る。
制することによる前後輪の制動力配分制御中であるか否
かの判別、即ち後述のステップ60又は70に於いて肯
定判別が行われた後であってステップ90に於いて肯定
判別が行われていない状況であるか否かの判別が行わ
れ、肯定判別が行われたときにはステップ90へ進み、
否定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
力Pmが後輪の保持圧力Pc(Pmoよりも大きい正の定
数)を越えているか否かの判別、即ち後輪の制動圧を保
持すると共に前輪の制動圧を補填増加する必要があるか
否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステ
ップ110へ進み、否定判別が行われたときにはステッ
プ70へ進む。
て公知の任意の要領にて前後輪の制動力配分制御の他の
開始条件が成立したか否かの判別が行われ、否定判別が
行われたときにはステップ100へ進み、肯定判別が行
われたときにはステップ80に於いて後輪の保持圧力P
cがその時のマスタシリンダ圧力Pmに設定され、しかる
後ステップ110へ進む。
が成立したか否かの判別は、例えば(A)左右前輪の車
輪速度の平均値Vwfに対する左右後輪の車輪速度の平均
値Vwrの偏差ΔVwが制御開始基準値Vws(正の定数)
以上になったか否かの判別、又は(B)車輌の減速度G
xbが制御開始基準値Gxs(正の定数)以上になったか否
かの判別により行われてよく、また上記(A)及び
(B)の組合せにより行われてもよい。
ンダ圧力Pmが制御終了の基準値Pme(Pmoよりも大き
くPcよりも小さい正の定数)以下になったか否かの判
別により、前後輪の制動力配分制御の終了条件が成立し
たか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには
ステップ100に於いて前輪の制動圧の増加圧力ΔPf
が0に設定されると共に、後輪の目標制動圧Ptrがマス
タシリンダ圧力Pmに設定された後ステップ130へ進
み、否定判別が行われたときにはステップ110へ進
む。
立したか否かの判別も当技術分野に於いて公知の任意の
要領にて行われてよく、例えば制御開始条件の成立判定
が車輪速度の偏差ΔVwに基づいて行われた場合には、
車輪速度の偏差ΔVwが制御終了基準値Vwe(Vwsより
も小さい正の定数)以下になったか否かの判別により行
われてよく、また制御開始条件の成立判定が車輌の減速
度Gxbに基づいて行われた場合には車輌の減速度Gxbが
制御終了基準値Gxe(Gxsよりも小さい正の定数)以下
になったか否かの判別により行われてよい。
圧Ptrと保持圧力Pcとの偏差Ptr−Pc及び車速Vを変
数とする関数Ffa(Ptr−Pc,V)により下記の式4
に従って前輪の制動圧の増加圧力ΔPfが演算され、ス
テップ120に於いては後輪の目標制動圧Ptrがその保
持圧力Pcに設定される。 ΔPf=Ffa(Ptr−Pc,V) ……(4)
面積をそれぞれSf、Sr(正の定数)とし、前輪及び後
輪の制動有効半径をそれぞれRf、Rr(正の定数)と
し、前輪及び後輪のブレーキ効き係数をそれぞれBEF
f、BEFr(正の定数)とし、標準のブレーキ効き係数
をBEFoとして、車速Vに基づき図5に示されたグラ
フに対応するマップより現在の車速に対応するブレーキ
効き係数BEFvが演算され、下記の式5に従って前輪
の制動圧の増加圧力ΔPfが演算される。尚ホイールシ
リンダ断面積Sf、Sr及び制動有効半径Rf、Rrは制動
力発生装置の仕様により定まる値であり、ブレーキ効き
係数BEFf、BEFrは例えば実験的に予め求められ
る。 ΔPf=(Ptr−Pc){(1+(BEFo−BEFv)/BEFo)} ×{(Sr×Rr×BEFr)/(Sf×Rf×BEFf)} ……(5)
量ΔPtf(前輪の最終目標制動圧Pttf(=Ptf+ΔP
f)とマスタシリンダ圧Pmとの偏差)が下記の式6に従
って演算され、また後輪の目標増圧量ΔPtr(後輪の最
終目標制動圧Pttr(=Ptr)とマスタシリンダ圧力Pm
との偏差)が下記の式7に従って演算される。 ΔPtf=Ptf−Pm+ΔPf ……(6) ΔPtr=Ptr−Pm ……(7)
量ΔPtfに対応する連通制御弁22Fの目標電流が演算
され、連通制御弁22Fが対応する目標電流にて制御さ
れ、これにより左右前輪の制動圧が最終目標制動圧Ptt
fになるよう制動装置10の前輪系統が制御される。ま
た後輪の目標増圧量ΔPtrが負の値であるときには、左
右後輪の開閉弁28RL及び28RRが閉弁されることによ
り左右後輪の制動圧が保持圧力Pcに保持され、後輪の
目標増圧量ΔPtrが0であるときには、左右後輪の開閉
弁28RL及び28RRが開弁され、これにより左右後輪の
制動圧が最終目標制動圧Pttr(=Ptr)になるよう制
動装置10の後輪系統が制御される。
ップ30に於いて否定判別が行われた場合には、連通制
御弁22F等が図1に示された標準位置に設定され、こ
れにより各車輪のホイールシリンダ26FR〜26RRには
マスタシリンダ14の圧力Pmが直接供給され、これに
より各車輪の制動圧が運転者の制動操作量に応じて増減
される。
運転者により制動操作量が増大され、マスタシリンダ圧
力Pmが基準値Pmo以上になると、ステップ30に於い
て肯定判別が行われ、ステップ40に於いて前輪の目標
制動圧Ptfがマスタシリンダ圧力Pmよりも高い値に演
算されると共に、後輪の目標制動圧Ptrが演算され、こ
れにより前後輪の制動力配分制御の開始に先立って前輪
の制動力が付加されることにより制動力の前後輪配分比
が予め前輪寄りに制御され、前輪に先行して後輪がロッ
クする虞れが低減される。
制動力配分制御の開始に先立って前輪の制動力が付加さ
れない従来の制動制御装置の場合に比して、後輪の保持
圧力を高くすることができ、前後輪の制動力配分制御が
行われない制動操作範囲を広くすることができるので、
後輪の制動力を有効に利用して車輌を制動することがで
きると共に、前後輪の制動力配分制御が実行され後輪の
制動力が抑制されることに起因して運転者の制動操作量
に対し車輌の制動力が不足する状況になる虞れ及びこれ
に起因して運転者が違和感を感じる虞れを低減すること
ができる。
者による制動操作量が更に増大され、マスタシリンダ圧
力Pmが後輪の保持圧力Pcよりも高くなると、ステップ
60に於いて肯定判別が行われ、また前後輪の制動力配
分制御の他の開始条件が成立すると、ステップ70に於
いて肯定判別が行われ、ステップ110に於いて前後輪
の制動力配分制御により後輪の制動圧が保持圧力Pcに
保持されることによる制動力の不足分を補填するための
前輪の制動圧の増加圧力ΔPfが演算され、ステップ1
20〜140に於いて左右前輪の制動圧が最終目標制動
圧Pttf(=Ptf+ΔPf)になるよう制御されると共
に、左右後輪の制動圧が保持圧力Pcに保持され、これ
により前後輪の制動力配分制御が実行される。
いて後輪の制動圧を保持圧力Pcに保持することによ
り、前輪に先行して後輪がロックすることを効果的に防
止することができると共に、後輪の制動圧が保持圧力P
cに保持されることによる制動力の不足分が前輪の制動
圧の増加によって補填されるので、前後輪の制動力配分
制御が行われる比較的高い制動操作範囲に於いて後輪の
制動圧が保持圧力Pcに保持されることに起因して運転
者の制動操作量に対し車輌の制動力が不足すること及び
これに起因して運転者が違和感を感じることを効果的に
防止することができる。
タシリンダ圧力Pmが基準値Pmo以上になると前輪の制
動力が付加されることにより、マスタシリンダ圧力Pm
が従来の後輪保持圧力よりも高い圧力Pcにならなけれ
ば前後輪の制動力配分制御が開始されないので、図7に
示されている如く、前後輪の制動力の関係が破線にて示
された従来の場合に比して理想前後配分線に近くなり、
これにより従来の場合に比して制動力の前後配分比を適
正に制御することができる。
の制動圧の増加量ΔPfは単純に後輪の制動圧の抑制量
ΔPr(=Ptr−Pttr)に設定される訳ではなく、後輪
の制動圧の抑制による後輪の制動力の不足分に対応する
制動力を前輪の制動力に加算するための値として演算さ
れるので、前輪の制動圧がマスタシリンダ圧力Pma+後
輪の制動圧の抑制量ΔPrに設定される場合に比して、
後輪の制動圧の抑制に起因して車輌全体の制動力が運転
者の制動操作量に対し不足する虞れを確実に低減するこ
とができる。
ップ110に於いて車速Vが高いほどブレーキ効き係数
BEFが低下することを考慮して前輪の制動圧の増加圧
力ΔPfが演算されるので、ブレーキ効き係数BEFの
変動が考慮されない場合に比して前輪の制動圧の増加圧
力ΔPfを後輪の制動力の不足分に正確に対応する値に
演算することができ、これにより前輪の制動圧を過不足
なく適正に制御することができる。
ける制動制御ルーチンを示すフローチャートである。尚
図8に於いて、図3に示されたステップに対応するステ
ップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のス
テップ番号が付されている。
10〜90及びステップ120、140は上述の第一の
実施形態の場合と同様に実行され、上述の第一の実施形
態に於けるステップ110に対応するステップは実行さ
れない。またステップ70に於いて否定判別が行われた
とき及びステップ90に於いて肯定判別が行われたとき
にはステップ100へ進み、ステップ100に於いては
後輪の目標制動圧Ptrがマスタシリンダ圧Pmに設定さ
れ、ステップ130に於いては前輪の目標増圧量ΔPtf
(前輪の最終目標制動圧Pttf(=Ptf)とマスタシリ
ンダ圧Pmとの偏差)が下記の式8に従って演算され
る。 ΔPtf=Ptf−Pm ……(8)
上述の第一の実施形態の場合と同様、運転者によって制
動操作量が増大されることによりマスタシリンダ圧力P
mが基準値Pmo以上になると、図9に示されている如
く、前輪の目標制動圧Ptfがマスタシリンダ圧力Pmよ
りも高い値に演算され、前後輪の制動力配分制御の開始
に先立って前輪の制動力が付加され制動力の前後輪配分
比が予め前輪寄りに制御される。
い制動操作範囲を広くし後輪の制動力を有効に利用して
車輌を制動することができると共に、前後輪の制動力配
分制御が実行され後輪の制動力が抑制されることに起因
して運転者の制動操作量に対し車輌の制動力が不足する
状況になる虞れ及びこれに起因して運転者が違和感を感
じる虞れを低減することができる。
輪の制動力配分制御の実行中にも前輪の制動力の補填増
加は行われないが、上述の第一の実施形態の場合と同
様、前後輪の制動力の関係は図7に於いて実線にて示さ
れた関係になり、従来の場合に比して理想前後配分線に
近くなるので、従来の場合に比して制動力の前後配分比
を適正に制御することができる。
輪に比して前輪のブレーキの効きが低下し、結果的に制
動力の前後配分が後輪寄りになるので、車速Vが高いほ
ど前輪の制動力の付加が早く開始され、車速Vが高いほ
ど前輪の制動力の付加量が大きいことが好ましい。また
一般に、車輌の積載荷重が高いほど制動力の理想前後配
分線は後輪寄りになり、車輌の積載荷重が高いほど車輌
の減速度が低くなると共に車輌の制動に関する前輪の負
担が増大するので、車輌の減速度が低いほど前輪の制動
力の付加が遅く開始され、車輌の減速度が低いほど前輪
の制動力の付加量が小さいことが好ましい。更に車輌の
横加速度の大きさが大きいほど車輌が不安定になり易い
ので、車輌の横加速度の大きさが大きいほど前輪の制動
力の付加が早く開始され、車輌の横加速度の大きさが大
きいほど前輪の制動力の付加量が大きいことが好まし
い。
前輪の制動力の付加を開始すべきか否かの判定の基準値
Pmoはステップ20に於いて車速V、車輌の減速度Gx
b、車輌の横加速度Gyを変数とする関数Fp(V,Gx
b,Gy)により、車速Vが高く車輌の横加速度Gyの大
きさが大きいほど小さく、車輌の減速度Gxbが小さいほ
ど大きく演算されるので、車速Vが高く車輌の横加速度
Gyの大きさが大きいほど前輪の制動力の付加を早く開
始して車輌が不安定になることを早期に防止し、車輌の
積載荷重が高い状況に於いて前輪の負担が過剰に増大す
ることを確実に防止することができる。
前輪の目標制動圧Ptfはステップ40に於いてマスタシ
リンダ圧力Pm、車速V、車輌の減速度Gxb、車輌の横
加速度Gyを変数とする関数Ff(Pm,V,Gxb,Gy)
により演算され、前輪の制動力の付加量を決定する係数
Kは車速Vが高いほど小さく、車輌の減速度Gxbが小さ
いほど大きく、車輌の横加速度Gyの大きさが大きいほ
ど大きくなるよう可変設定されるので、車速Vが高く車
輌の横加速度Gyの大きさが大きいほど前輪の制動力の
付加量を大きくして車輌が不安定になることを効果的に
防止し、車輌の積載荷重が高い状況に於いて前輪の負担
が過剰に大きくなることを確実に防止することができ
る。
ば、マスタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo以上になる
と、マスタシリンダ圧力Pmの上昇につれて前輪の目標
制動圧Ptfが漸次増大されることにより、運転者の制動
操作量の増大につれて前輪の制動力の付加量が漸次増大
されるので、例えば前輪の制動力の付加量が一定である
場合に比して前輪の制動力の付加が開始される際の制動
力の急変を確実に防止することができると共に、また運
転者の制動操作量が高くなり後輪が前輪よりも先行して
ロック状態になる虞れが高くなるにつれて制動力の前後
配分を漸次前輪寄りに制御することができる。
ついて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の
実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであ
ろう。
の制動力の付加を開始すべきか否かの判定の基準値Pmo
は車速Vが高く車輌の横加速度Gyの大きさが大きいほ
ど小さく、車輌の減速度Gxbが小さいほど大きく演算さ
れるようになっているが、車速V、車輌の横加速度G
y、車輌の減速度Gxbの何れかが省略されてもよく、ま
た基準値Pmoが一定の値に設定されるよう修正されても
よい。
制動力の付加量を決定する係数Kは車速Vが高いほど小
さく、車輌の減速度Gxbが小さいほど大きく、車輌の横
加速度Gyの大きさが大きいほど大きくなるよう可変設
定されるようになっているが、この場合にも車速V、車
輌の横加速度Gy、車輌の減速度Gxbの何れかが省略さ
れてもよく、また係数Kが一定の値に設定されるよう修
正されてもよい。
シリンダ圧力Pmが基準値Pmo以上になると、前輪の目
標制動圧Ptfがマスタシリンダ圧力Pmに対しK倍に増
圧されることにより、マスタシリンダ圧力Pmの上昇に
伴って前輪の制動力が線形的に増大するようになってい
るが、例えばマスタシリンダ圧力Pmが高くなるほど前
輪の制動力の付加量が増大するよう、マスタシリンダ圧
力Pmの上昇に伴って前輪の制動力が非線形的に増大す
るよう修正されてもよく、マスタシリンダ圧力Pmが後
輪の保持圧力Pc以上の範囲に於いてはマスタシリンダ
圧力Pmが上昇しても前輪の制動力が増大しないよう修
正されてもよい。
シリンダ圧力Pmが基準値Pmo以上の領域に於いては、
マスタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo未満の領域に比し
てマスタシリンダ圧力Pm、即ち運転者の制動操作量に
対する車輌全体の制動力の比が高くなるので、例えばマ
スタシリンダ圧力Pmが基準値Pmo以上の領域に於いて
ペダルストロークに対するマスタシリンダ圧力Pmの上
昇の比が小さくなるペダル比可変のブレーキペダルが採
用され、これにより運転者の制動操作量に拘わらずペダ
ルストロークに対する車輌全体の制動力の比を一定にし
て制動時のフィーリングが更に一層向上するよう構成さ
れてもよい。
目標制動圧Ptrはマスタシリンダ圧力Pmのみに基づい
て演算されるようになっているが、例えば車輌の横加速
度Gyの大きさが大きいほど、即ち車輌が不安定になり
易いほど小さくなるよう、マスタシリンダ圧力Pm及び
車輌の横加速度Gyに基づいて演算されるよう修正され
てもよい。
保持圧力Pcは予め設定された定数であるが、例えば車
速Vが高いほど大きくなり、車輌の減速度Gxbが小さい
ほど大きくなるよう、車速V若しくは車輌の減速度Gxb
に応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
の前後輪配分制御中には後輪の制動圧がその保持圧力P
cの一定の値に保持されるようになっているが、例えば
前後輪のスリップ状態に応じて後輪の保持圧力Pcが漸
減又は漸増されることにより後輪の制動圧が漸減又はパ
ルス増圧により漸増されてもよい。
動力の付加中及び制動力の前後輪配分制御中には左右前
輪及び左右後輪はそれぞれ互いに同一の圧力に制御され
るようになっているが、例えば車輌の旋回状況や車輌の
挙動に応じて左右前輪の制動圧若しくは左右後輪の制動
圧が相互に異なる値に制御されるよう修正されてもよ
い。
輪及び左右後輪がそれぞれ1系統をなし各系統の制動圧
が主として連通制御弁22F、22Rにより制御される
制動装置であるが、本発明の制動制御装置が適用される
制動装置は前輪の制動圧をマスタシリンダ圧力よりも高
い値に制御することができ、後輪の制動圧をマスタシリ
ンダ圧力よりも低い値に制御することができるものであ
る限り、当技術分野に於いて公知の任意の構成のもので
あってよい。
油圧回路及び電子制御装置を示す概略構成図である。
的断面図である。
御ルーチンを示すフローチャートである。
mと前輪の目標制動圧Ptf及び後輪の目標制動圧Ptrと
の間の関係を示すグラフである。
を示すグラフである。
mと前輪の最終目標制動圧Pttf及び後輪の最終目標制動
圧Pttrとの間の関係を示すグラフである。
輪の制動圧Pfと後輪の制動圧Prとの関係(実線)を従
来技術の場合(破線)と対比して示すグラフである。
御ルーチンを示すフローチャートである。
mと前輪の最終目標制動圧Pttf及び後輪の最終目標制動
圧Pttrとの間の関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】マスタシリンダの作動液圧を各車輪に対応
して設けられた制動力発生装置のホイールシリンダへ供
給することにより制動力を発生し、車輌の運転状態が所
定の状態になると後輪の制動力の上昇を抑制する前後輪
制動力配分制御を行う車輌の制動制御装置にして、運転
者の制動操作量について見て前記前後輪制動力配分制御
が行われる領域以下の領域に於いて前輪の制動力を運転
者の制動操作量に対応する制動力よりも高くする前輪制
動力付加手段を有することを特徴とする車輌の制動制御
装置。 - 【請求項2】前記前輪制動力付加手段は運転者の制動操
作量が基準値以上であるときに前輪の制動力を運転者の
制動操作量に対応する制動力よりも高くすることを特徴
とする請求項1に記載の車輌の制動制御装置。 - 【請求項3】前記前輪制動力付加手段は前記基準値を車
輌の状態に応じて変更することを特徴とする請求項2に
記載の車輌の制動制御装置。 - 【請求項4】前記前輪制動力付加手段は前輪の制動力を
高くする量を車輌の状態に応じて変更することを特徴と
する請求項1に記載の車輌の制動制御装置。 - 【請求項5】前記前輪制動力付加手段は運転者の制動操
作量が高くなるにつれて前輪の制動力を高くする量を大
きくすることを特徴とする請求項2又は3に記載の車輌
の制動制御装置。
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Publication Number | Publication Date |
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