JP2003159964A - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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JP2003159964A
JP2003159964A JP2001357745A JP2001357745A JP2003159964A JP 2003159964 A JP2003159964 A JP 2003159964A JP 2001357745 A JP2001357745 A JP 2001357745A JP 2001357745 A JP2001357745 A JP 2001357745A JP 2003159964 A JP2003159964 A JP 2003159964A
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slip
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amount
turning
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JP2001357745A
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Toshiaki Tsuyama
俊明 津山
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Mazda Motor Corp
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋回制御時及びスリップ制御時にそれぞれエ
ンジンの点火時期の遅角量及びブレーキ力の制御により
旋回状態やスリップ状態を調整し、特に、点火時期の遅
角の制限を、旋回制御時とスリップ制御時とに応じて適
切に行う。 【解決手段】 DSC・TCS制御ユニット21とエン
ジン制御ユニット22とにより旋回制御手段及びスリッ
プ制御手段を構成するとともに、点火時期のリタード量
ガード値を設定しないリニア制御モードとリタード量ガ
ード値を設定するリタードガードモードとを選択可能な
制御モード切換手段223を備えている。この切換手段
223は、低吸気流量側の領域でリニア制御モード、高
低吸気流量側の領域でリタードガードモードとする。そ
して、これらの領域の境界となる充填効率の基準値が、
旋回制御時にはスリップ制御時と比べて低くされてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの制御装
置に関し、より詳しくは、旋回制御時とスリップ制御時
とにおける点火時期遅角量の調整に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平11−165567
号公報に示されるように、車両の旋回時において旋回状
態が目標旋回状態からある程度以上ずれる等の旋回制御
条件が成立したときに、旋回状態を目標旋回状態にする
ように各車輪のブレーキ力の制御及びエンジントルクの
抑制制御を行う旋回制御手段(姿勢制御装置)を備える
とともに、低μ路での加速時等において駆動輪がある程
度以上スリップする等のスリップ制御条件が成立したと
きに、上記駆動輪のスリップ量を目標スリップ量とする
ようにエンジントルクの抑制制御及びブレーキ力の制御
を行うスリップ制御手段(トラクション制御装置)を備
えた車両の制御装置は知られている。
【0003】このような制御装置において、旋回制御時
やスリップ制御時にエンジントルクを抑制する制御とし
ては、一部の気筒に対して燃料供給を停止する制御、点
火時期をリタード(遅角)する制御等が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにこの種の
制御装置においては旋回制御時やスリップ制御時にエン
ジントルクを抑制するために点火時期のリタードが行わ
れているが、一般に知られているように点火時期のリタ
ードに伴って排気温度が上昇するため、特に吸気流量が
多い高回転高負荷時等に点火時期を大きくリタードさせ
ると、過度に排気温度が上昇して、排気通路中に設けら
れている触媒等に熱的な悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】このため、運転状態に応じて点火時期のリ
タードを制限することは従来から考えられており、例え
ば特開平6−81669号公報に示されるように、点火
時期のリタードによりスリップ制御(トラクション制
御)を行うものにおいて、エンジン回転数が所定回転数
以上のときは点火時期のリタードを禁止するようにした
もの等が知られている。
【0006】ところで、上記旋回制御とスリップ制御と
について着目すると、旋回制御ではエンジントルクより
も各車輪のブレーキ力の方が旋回状態の調整に主として
作用するのに対し、スリップ制御ではブレーキ力よりも
エンジントルク抑制の方が駆動輪のスリップ低減に主と
して作用するが、点火時期のリタード量の制限にあた
り、従来ではこのような旋回制御とスリップ制御との作
用の違いを充分に配慮したものがなく、改善の余地があ
った。
【0007】本発明はこのような事情に鑑み、旋回制御
時及びスリップ制御時にそれぞれエンジンの点火時期の
遅角量及びブレーキ力の制御により旋回状態やスリップ
状態を調整し、特に、点火時期の遅角の制限を、旋回制
御時とスリップ制御時とに応じ、それぞれにおける点火
時期遅角制御の重要度にも対応するように適切に行うこ
とができる車両の制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る車両の制御装置は、車両の旋回状態
を検出する旋回状態検出手段と、駆動輪のスリップ量を
検出する駆動輪スリップ量検出手段と、所定の旋回制御
条件が成立したときに上記旋回状態を目標旋回状態とす
るようにエンジンの点火時期の遅角量及びブレーキ力を
制御する旋回制御手段と、所定のスリップ制御条件が成
立したときに上記駆動輪のスリップ量を目標スリップ量
とするようにエンジンの点火時期の遅角量及びブレーキ
力を制御するスリップ制御手段と、エンジンの吸気流量
に関連する量を検出する検出手段と、上記旋回制御及び
スリップ制御による点火時期遅角量の最大限度値が比較
的大きい値に設定されている第1制御モードと上記点火
時期遅角量の最大限度値が比較的小さい値に設定されて
いる第2制御モードとを上記吸気流量に関連する量に応
じて選択する制御モード切換手段とを備え、この制御モ
ード切換手段は、吸気流量に関連する量について旋回制
御実行中には旋回制御時用の基準値を定め、またスリッ
プ制御実行中にはスリップ制御時用の基準値を定めて、
それぞれ基準値より低吸気流量側で第1制御モード、基
準値より高吸気流量側で第2制御モードとするようにな
っており、上記旋回制御時用の基準値はスリップ制御時
用の基準値より低く設定されているものである。
【0009】この構成によると、旋回制御時には旋回状
態が目標旋回状態となるように、またスリップ制御時に
は駆動輪のスリップ量が目標スリップ量となるように、
それぞれ、点火時期遅角量等の制御によってエンジント
ルクが制御されるとともに、ブレーキ力が制御される。
そして、このような旋回制御時またはスリップ制御時に
おける点火時期遅角量の制御として、低吸気量側では点
火時期遅角量の最大限度値が比較的大きい第1制御モー
ドとされることにより、点火時期遅角量の制御範囲が広
げられてエンジントルクの制御性が高められ、一方、高
吸気流量側では点火時期遅角量の最大限度値が比較的小
さい第2制御モードとされることにより、過度に排気温
度が上昇することが避けられて、排気通路に設けられて
いる触媒等の信頼性が確保される。
【0010】特に、第1制御モードとされる領域と第2
制御モードとされる領域との境界である上記基準値が旋
回制御時とスリップ制御時とで異なっていて、旋回制御
時の方がスリップ制御時よりも基準値が低く設定されて
いることにより、エンジントルクよりも各車輪のブレー
キ力の方が主として作用する旋回制御時には、点火時期
の遅角の制限を強化する(遅角量の最大限度値を比較的
小さくする)領域が広げられて、排気温度上昇抑制のた
めの余裕が大きくされる。一方、車輪のブレーキ力より
もエンジントルク抑制の方が主として作用するスリップ
制御時には、点火時期の遅角の制限を緩和する(遅角量
の最大限度値を比較的大きくする)領域が広げられて、
エンジントルクの抑制によるスリップ低減が効果的に行
われる。
【0011】この発明の制御装置において、車両のブレ
ーキ系統の故障を検出する故障検出手段を備えるととも
に、ブレーキ系統の故障時には、上記旋回制御時用の基
準値を、スリップ制御時用の基準値との偏差が小さくな
るように増大補正する補正手段を備えていること(請求
項2)が好ましい。
【0012】このようにすると、ブレーキ系統の故障時
には、ブレーキ力の制御に対して点火時期遅角制御の作
用が高められる。
【0013】また、請求項3に係る車両の制御装置は、
車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、駆動輪
のスリップ量を検出する駆動輪スリップ量検出手段と、
所定の旋回制御条件が成立したときに上記旋回状態を目
標旋回状態とするようにエンジンの点火時期の遅角量及
びブレーキ力を制御する旋回制御手段と、所定のスリッ
プ制御条件が成立したときに上記駆動輪のスリップ量を
目標スリップ量とするようにエンジンの点火時期の遅角
量及びブレーキ力を制御するスリップ制御手段と、上記
旋回制御時及びスリップ制御時に点火時期遅角量の最大
限度値を設定する点火時期遅角量制限手段とを備え、こ
の点火時期遅角量制限手段は、上記点火時期遅角量の最
大限度値を旋回制御時にはスリップ制御時と比べて小さ
い値に設定しているものである。
【0014】この構成によっても、旋回制御時には旋回
状態が目標旋回状態となるように、またスリップ制御時
には駆動輪のスリップ量が目標スリップ量となるよう
に、それぞれ、点火時期遅角量の制御によるエンジント
ルクの制御及びブレーキ力の制御が行われる。そして、
点火時期遅角量の制御においては排気温度の過度上昇を
避けるために点火時期遅角量の最大限度値が定められる
が、エンジントルクよりも各車輪のブレーキ力の方が主
として作用する旋回制御時には、点火時期遅角量の最大
限度値が比較的小さくされて、点火時期遅角の制限が強
化され、一方、車輪のブレーキ力よりもエンジントルク
抑制の方が主として作用するスリップ制御時には、点火
時期遅角量の最大限度値が比較的大きくされて、点火時
期遅角の制限が緩和される。
【0015】この発明の制御装置において、車両のブレ
ーキ系統の故障を検出する故障検出手段を備えるととも
に、ブレーキ系統の故障時には、上記旋回制御時におけ
る点火時期遅角量の最大限度値を、上記スリップ制御時
における点火時期遅角量の最大限度値との偏差が小さく
なるように増大補正する補正手段を備えていること(請
求項4)が好ましい。
【0016】このようにすると、ブレーキ系統の故障時
には、ブレーキ力の制御に対して点火時期遅角制御の作
用が高められる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。
【0018】図1は、本発明の一実施形態に係る制御装
置を備えた車両全体の概略を示している。この図におい
て、1は車両2のエンジンルームに搭載されたエンジン
であって、複数の気筒3を備え、各気筒3に対してそれ
ぞれ点火プラグ4および燃料噴射弁5が設けられてい
る。各点火プラグ4は点火回路6に接続され、各気筒3
毎に所定のタイミングで点火プラグ4に通電されるよう
になっている。また、上記燃料噴射弁5には図外の燃料
タンクから燃料ポンプ等を介して燃料が供給されるよう
になっている。
【0019】エンジン1の出力軸には変速機7が接続さ
れ、エンジン1の出力が変速機7で変速された上で図外
のドライブシャフト等を介して車両2の駆動輪に伝達さ
れるようになっており、例えば前輪駆動の場合は左右前
輪8a,8bに駆動力が伝達されるようになっている。
【0020】また、ブレーキ系統として、車両2の左右
前輪8a,8b及び左右後輪8c,8dに対してそれぞ
れ油圧式のブレーキ10が設けられるとともに、ブレー
キペダル11の操作に応じた油圧を発生するマスターシ
リンダ12と、各ブレーキ10に作動油を供給するため
の加圧ユニット13と、この加圧ユニット13から各ブ
レーキ10への作動油の供給をコントロールするブレー
キアクチュエータ14とが設けられている。上記加圧ユ
ニット13は、油圧ポンプ(図示せず)を備え、マスタ
ーシリンダ12からの油圧と油圧ポンプにより与えられ
る油圧とを選択的に供給できるようになっている。ま
た、ブレーキアクチュエータ14は、各ブレーキ10に
供給する作動油の油圧を調節することでブレーキ力を調
節することができるようになっている。
【0021】後述の各種制御に必要な検出手段として
は、各車輪8a〜8dの回転速度を検出する車輪速セン
サ15a〜15d、車両に作用しているヨーレートを検
出するヨーレートセンサ16、車両に作用している横加
速度を検出する横加速度センサ17、ステアリングの操
舵角を検出する舵角センサ18、加圧ユニット13内に
設けられたブレーキ圧センサ19、ブレーキペダル11
に対して設けられたブレーキスイッチ20(又はブレー
キ操作量センサ)等が設けられている。
【0022】制御系統としては、旋回制御(DSC)と
スリップ制御(トラクション制御:TCS)とのために
ブレーキの制御等を行うDSC・TCS制御ユニット2
1が設けられるとともに、エンジンの制御を行うエンジ
ン制御ユニット22が設けられている。
【0023】図2は制御系統をブロック図で示してお
り、この図に示すように上記DSC・TCS制御ユニッ
ト21には車輪速センサ15a〜15d、ヨーレートセ
ンサ16、横加速度センサ17、舵角センサ18、ブレ
ーキ圧センサ19及びブレーキスイッチ20(又はブレ
ーキ操作量センサ)からの信号が入力されている。そし
て、旋回制御中であることを示すためのDSC作動中ラ
ンプ23、スリップ制御中であることを示すTCS作動
中ランプ24、及びブレーキアクチュエータ14に対
し、DSC・TCS制御ユニット21から制御信号が出
力されるようになっている。
【0024】一方、エンジン制御ユニット22にはエン
ジン回転数を検出する回転数センサ25及びエンジンの
吸気流量を検出するエアフローセンサ(吸気流量検出手
段)26からの信号が入力され、エンジン制御ユニット
22から燃料噴射弁5及び点火回路6に対して制御信号
が出力されるようになっている。
【0025】上記DSC・TCS制御ユニット21とエ
ンジン制御ユニット22とは互いに交信可能となってお
り、DSC・TCS制御ユニット21から要求トルクを
示すデータがエンジン制御ユニット22に送られる一
方、エンジン制御ユニット22から現在の出力トルクを
示すデータがDSC・TCS制御ユニット21に送られ
るようになっている。
【0026】DSC・TCS制御ユニット21は、旋回
状態検出手段211、駆動輪スリップ量検出手段21
2、ブレーキ力制御手段213、目標駆動力演算手段2
14及び故障検出手段215を含んでいる。
【0027】上記旋回状態検出手段211は、ヨーレー
トセンサ16からの信号等に基づいて車両の旋回状態を
検出するようになっている。また、駆動輪スリップ量検
出手段212は、車輪速センサ15a〜15dからの信
号等に基づいて駆動輪のスリップ量を検出するようにな
っている。
【0028】ブレーキ力制御手段213は、所定の旋回
制御条件の成立時に、旋回状態を調整すべく、目標ヨー
レートと実際のヨーレートとの偏差等に応じ、内輪又は
外輪に対して適当なブレーキ力を付与すべくブレーキア
クチュエータを制御する。一方、所定のスリップ制御条
件の成立時に、スリップ量が大きくてエンジントルクの
制御だけではスリップ抑制作用が不充分な場合に、駆動
輪に対して適当なブレーキ力を付与すべくブレーキアク
チュエータを制御するようになっている。
【0029】目標駆動力演算手段214は、所定の旋回
制御条件の成立時に、上記ブレーキ力の制御に加えてエ
ンジンの駆動力の抑制が要求される場合に、目標ヨーレ
ートと実際のヨーレートとの偏差及び現在の出力トルク
に応じ、適度にエンジントルクを引下げるようにエンジ
ンの要求トルク(目標駆動力)を演算する。一方、所定
の旋回制御条件の成立時に、エンジンの駆動力を適度に
抑えることでスリップを抑制すべく、目標スリップ量と
実際のスリップ量との偏差等に応じてエンジンの要求ト
ルクを演算するようになっている。
【0030】故障検出手段215は、ブレーキ圧センサ
19及びブレーキスイッチ20からの信号に基づいて車
両のブレーキ系統の故障を検出し、つまりブレーキスイ
ッチ20がオンとなるブレーキ作動中にブレーキ圧セン
サ19で検出されるブレーキ圧が上昇しないときに故障
と判定するようになっている。なお、この故障検出結果
を示すデータもエンジン制御ユニット22に送られる。
【0031】一方、エンジン制御ユニット22は、燃料
噴射弁5からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段2
21と、点火回路6を介してコントロールされる各気筒
の点火時期を制御する点火時期制御手段222と、制御
モード切換手段223と、車両のブレーキ系統の故障時
に働く補正手段224とを有している。
【0032】そして、通常運転時には、各気筒に対して
燃料噴射弁5から燃料が噴射され、その噴射量が運転状
態及び吸入空気量等に応じて制御されるとともに、点火
時期が運転状態に応じて制御される。また、旋回制御時
及びスリップ制御時には、上記DSC・TCS制御ユニ
ット21から送信される要求トルクとエンジンの運転状
態に応じて求められる出力トルクとの偏差から要求トル
クダウン率が求められて、その要求トルクダウン率に応
じ、少なくとも点火時期の遅角制御が行われる。当実施
形態では、上記要求ダウン率が大きい場合に、点火時期
の遅角制御に加え、一部気筒に対する燃料供給をカット
して当該気筒を休止させる制御を行うようになってい
る。
【0033】こうして当実施形態では、上記DSC・T
CS制御ユニット21のブレーキ力制御手段213及び
目標駆動力演算手段214と上記要求トルクダウン率に
応じてエンジントルクの制御を行う燃料噴射制御手段2
21及び点火時期制御手段222により、所定の旋回条
件の成立時に旋回状態を目標旋回状態とするように点火
時期のリタード量(遅角量)等の制御によるエンジント
ルクの制御及びブレーキ力の制御を行う旋回制御手段
と、所定のスリップ制御条件の成立時にスリップ量を目
標スリップ量とするように点火時期のリタード量等の制
御によるエンジントルクの制御及びブレーキ力の制御を
行うスリップ制御手段とが構成されている。
【0034】上記制御モード切換手段223は、点火時
期リタード量のガード値(最大限度値)が比較的大きい
値に設定されている第1制御モードと上記ガード値が比
較的小さい値に設定されている第2制御モードとを選択
可能とし、旋回制御時及びスリップ制御時に、吸気流量
に関連する量についての基準値を定めてこれより高吸気
流量側では第1制御モード、低吸気流量側では第2制御
モードを選択するようにし、かつ、上記基準値を旋回制
御時とスリップ制御時とで異ならせ、旋回制御時の方が
小さい値としている。
【0035】このような制御モードの切換えは、例えば
図3に示すようなマップに基づいて行われる。すなわ
ち、図3(a)は旋回制御時のモード切換のためのマッ
プAを示し、同(b)はスリップ制御時のモード切換の
ためのマップBを示しており、これらのマップでは、吸
気流量に関連する量としての充填効率ceを縦軸、エン
ジン回転数neを横軸にとっており、マップ中のライン
はモード切換のための充填効率の基準値をエンジン回転
数に応じて定めた基準ラインであり、この基準ラインよ
り低充填効率側(低吸気流量側)は上記第1制御モー
ド、高充填効率側(高吸気流量側)は上記第2制御モー
ドとされる。特に当実施形態では、第1制御モードは点
火時期リタード量のガード値を設定しない(つまりガー
ド値を無限に大きくする)こととしており、以下の実施
形態の説明ではこのモードをリニア制御モードと呼ぶ。
一方、第2制御モードは点火時期リタード量のガード値
を設定するので、以下の実施形態の説明ではリタードガ
ードモードと呼ぶ。
【0036】上記基準ラインは次のように設定されてい
る。すなわち、エンジン回転数が低ければ比較的高充填
効率側まで点火時期リタードを規制しなくても排気温度
が過度に高くなることはないが、エンジン回転数が高く
なると点火時期リタードによる排気温度上昇が問題とな
り易いので、上記基準ラインはエンジン低回転域で比較
的高く、エンジン回転数が高くなるにつれて低くなって
いる。また、旋回制御時用のマップAとスリップ制御時
用のマップBとでは、マップBの方が基準ラインが全体
的に高くなっている。
【0037】また、上記補正手段224は、ブレーキ系
の故障が検出されたときに、上記旋回制御時用の基準値
を、スリップ制御時用の基準値との偏差が小さくなるよ
うに(スリップ制御時用の基準値と一致してもよい)、
増大補正する。
【0038】なお、上記制御モード切換手段223に替
え、又はこれに加え、点火時期遅角量の最大限度値(ガ
ード値)を旋回制御時にはスリップ制御時よりも小さい
値に設定するようにした点火時期遅角量制限手段(図示
せず)を設けてもよい。この場合、上記補正手段224
は、ブレーキ系の故障が検出されたときに、上記旋回制
御時における点火時期遅角量の最大限度値を、スリップ
制御時における点火時期遅角量の最大限度値との偏差が
小さくなるように(スリップ制御時における点火時期遅
角量の最大限度値と一致してもよい)、増大補正する。
【0039】次に、上記DSC・TCS制御ユニット2
1及びエンジン制御ユニット22による制御の具体例
を、図4〜図9のフローチャートに従って説明する。
【0040】図4及び図5はDSC・TCS制御ユニッ
ト21による旋回制御時の制御を示し、このルーチンが
スタートすると、先ずステップS1で各車輪速センサ1
5a〜15dの検出値、ヨーレートセンサ16の検出値
ωr、横加速度センサ17の検出値、舵角センサ18の
検出値θ及びエンジン制御ユニット22から送られるエ
ンジン出力トルクの値を入力する。次いでステップS2
で車体速度Vを演算する。この場合、例えば、4つの車
輪のうちの1つがスピンしている可能性があるので、各
車輪速のうちの最大値を除く3つの車輪速の平均値を車
体速度Vとする。
【0041】続いてステップS3で、舵角センサ18の
検出値である舵角θと上記車体速度Vとから、第1目標
ヨーレートω1を次の演算式によって演算する。
【0042】 ω1=V×θ×{(1−k×V×V)×L} なお、kは車体特有の定数、Lはホイールベースであ
る。
【0043】さらにステップS4で、横加速度と車体速
度Vとから、第2目標ヨーレートω2を(ω2=横加速
度/車体速度)と演算する。
【0044】ステップS5では、上記第1目標ヨーレー
トω1と第2目標ヨーレートω2とのうちで大きい方を
目標ヨーレートωtと設定する。そして、ステップS6
で、上記目標ヨーレートωtとヨーレートセンサ16の
検出値である実ヨーレートωrとの偏差Δωを演算す
る。
【0045】次に、ステップS7〜S26で、左旋回中
または右旋回中にある程度以上のオーバーステアもしく
はアンダーステアとなることを旋回制御条件とし、この
ような旋回制御条件の成立時に旋回制御を行う。なお、
ステップS7〜S26においてヨーレートに関し正負を
いうときは、左回りを正とする。
【0046】旋回制御条件の判定とそれに応じた処理を
具体的に説明すると、先ずステップS7で左周りのヨー
レートが所定値以上の左旋回中か否かを判定し、その判
定がYESのときは、ステップS8で、上記偏差Δωが
正の所定値Thos1より大か否かを判定する。
【0047】ステップS8での判定がYESのときはオ
ーバーステア状態にあることを意味する。この場合はス
テップS9でTCS作動禁止フラグFDを1とするとと
もに、ステップS10でブレーキ圧センサ19及びブレ
ーキスイッチ20からの信号に基づいてブレーキ系失陥
(故障)の発生の有無を調べ、ブレーキ系失陥がない場
合には、ステップS11で、上記偏差Δωが大きいほど
旋回外輪(右輪)のブレーキ力を大きくするようにブレ
ーキアクチュエータ14を制御し、それからリターンす
る。なお、ステップS10でブレーキ系失陥があること
を判定した場合はそのままリターンする。
【0048】ステップS8での判定がNOのときは、さ
らにステップS12で上記偏差Δωが負の所定値Thus1
より小(絶対値では大)か否かを判定する。
【0049】ステップS12での判定がYESのときは
アンダーステア状態にあることを意味する。この場合は
ステップS13でTCS作動禁止フラグFDを「1」と
するとともに、ステップS14でブレーキ系失陥の発生
の有無を調べ、ブレーキ系失陥がない場合には、ステッ
プS15で、上記偏差Δωが大きいほど旋回内輪(左
輪)のブレーキ力を大きくするようにブレーキアクチュ
エータ14を制御し、さらにステップS15で、上記偏
差Δωが大きいほどトルクダウン量を大きくすべく、現
在のエンジン出力トルクに基づいて要求トルクを計算
し、エンジン制御ユニット(ECU)22へ出力し、そ
れからリターンする。なお、ステップS10でブレーキ
系失陥があることを判定した場合は、ステップS16の
処理のみを行ってから、リターンする。
【0050】ステップS7での左旋回中か否かの判定が
NOのときは、さらにステップS17で右周りのヨーレ
ートが所定値以上の右旋回中か否かを判定し、その判定
がYESのときは、ステップS18で、上記偏差Δωが
負の所定値Thus2より小(絶対値が大)のオーバーステ
ア状態か否かを判定する。このステップS18の判定が
YESのときは、ステップS19〜S21で、左輪が旋
回外輪となる点を除けば上記のステップS9〜S11と
同様の処理を行う。
【0051】ステップS18の判定がNOのときは、さ
らにステップS22で、上記偏差Δωが正の所定値Tho
s2より大のアンダーステア状態か否かを判定する。この
ステップS22の判定がYESのときは、ステップS2
3〜S26で、右輪が旋回内輪となる点を除けば上記の
ステップS13〜S16と同様の処理を行う。
【0052】なお、非旋回時(ステップS7,ステップ
S17がともにNOのとき)や、オーバーステア、アン
ダーステアのいずれでもない場合(ステップS8,ステ
ップS12がともにNOまたはステップS18,ステッ
プS22がともにNOの場合)は、TCS作動禁止フラ
グFDを「0」としてから、リターンする。
【0053】図6はDSC・TCS制御ユニット21に
よるスリップ制御時の制御を示し、このルーチンがスタ
ートすると、先ずステップS31で各車輪速センサ15
a〜15dの検出値、ヨーレートセンサ16の検出値ω
r、横加速度センサ17の検出値、舵角センサ18の検
出値θ及びエンジン出力トルクの値を入力し、次いでス
テップS32で車体速度Vを演算する。これらステップ
S31,S32の処理は前記のステップS1,S2と同
様である。
【0054】続いてステップS33,S34で右側駆動
輪スリップ量Sr及び左側駆動輪スリップ量Slを演算
する。この場合、右側駆動輪及び左側駆動輪についてそ
れぞれ、車輪速から車体速度を減算した値をスリップ量
Sr,Slとする。
【0055】次にステップS35で、右側駆動輪スリッ
プ量Sr又は左側駆動輪スリップ量Slが所定のスリッ
プ制御開始閾値S0より大きいか否かを判定し、その判
定がYESであれば、ステップS36でTCS作動禁止
フラグFDが「1」か否かを調べる。
【0056】ステップS36の判定がNOであれば、ス
テップS37で、(Sr−S0)と(Sl−S0)との
うちで大きいほうをスリップ量偏差値ΔSとし、このス
リップ量偏差値ΔSが大きいほど、トルクダウン量を大
きくすべく、現在の出力トルクに基づいて要求トルクを
計算し、エンジン制御ユニット22へ出力する。
【0057】さらにステップS38で、右側駆動輪スリ
ップ量Sr又は左側駆動輪スリップ量Slが所定のブレ
ーキ制御開始閾値SBより大きいか否かを判定し、その
判定がYESときは、ステップS39でブレーキ系失陥
が発生したか否かを調べて、ブレーキ系失陥が発生して
いなければ、ステップS40で、上記スリップ量偏差値
ΔSが大きいほど駆動輪に大きなブレーキ力を掛けるべ
く、ブレーキアクチュエータ14を制御し、それからリ
ターンする。
【0058】なお、駆動輪スリップ量Sr,Slがとも
にスリップ制御開始閾値S0以下(ステップS35の判
定がNO)の場合や、TCS作動禁止フラグFDが
「1」(ステップS36の判定がYES)の場合は、ス
テップS37以下のスリップ制御を行わずにリターンす
る。また、ステップS35の判定がYES、ステップS
36の判定がNOであって、駆動輪スリップ量Sr,S
lがともにブレーキ制御開始閾値SB以下(ステップS
38の判定がNO)の場合や、ブレーキ系失陥発生(ス
テップS39の判定がYES)の場合は、ステップS3
7での要求トルクの算出、出力は行うが、ステップS4
0でのブレーキの制御は行わずにリターンする。
【0059】図7及び図8はエンジン制御ユニット21
によるエンジントルクの制御を示し、このルーチンがス
タートすると、先ずステップS41でエンジン回転数及
び吸入空気量の各検出値を入力し、次にステップS42
で、DSC・TCS制御ユニット21からの要求トルク
を受信したか否かを調べる。要求トルクを受信していな
い場合は、ステップS43でエンジン回転数および吸入
空気量に応じた通常のエンジン制御を実行する。
【0060】要求トルクを受信した場合は、ステップS
44でエンジンの運転状態に基づいてエンジンの出力ト
ルク(ベーストルク)を演算するとともに、ステップS
45でDSC・TCS制御ユニット21からの要求トル
クに基づき外部負荷を考慮してDSC・TCS要求のエ
ンジン出力トルク(最終的な要求トルク)を演算する。
そして、ステップS46で、上記ベーストルクと最終的
な要求トルクとの差をベーストルクで除した値を求め
て、これを要求トルクダウン率とする。
【0061】さらにステップS47で、要求トルクダウ
ン率がエンストガード値より小さいか否かを調べる。こ
こで、エンストガード値は、それ以上にトルクダウン率
が大きくなるとエンストを招くような値であって、エン
ジン回転数が小さいほど小さい値となるように設定され
ている。そして、要求トルクダウン率がエンストガード
値以上(ステップS47の判定がNO)の場合はそのま
まリターンする。あるいは、要求トルクダウン率をエン
ストガード値に設定して、ステップS47以降の処理に
移るようにしてもよい。
【0062】要求トルクダウン率がエンストガード値よ
り小(ステップS47の判定がYES)の場合は、ステ
ップS48で、要求ダウン率に応じて燃料カットを行う
気筒を決定する。この場合、要求トルクダウン率が大き
いほど気筒カット数を多くし、例えば、4気筒エンジン
の場合に、要求トルクダウン率が0から25%までの場
合に燃料カット気筒数を0、要求トルクダウン率が25
%ら50%までの場合に燃料カット気筒数を1、要求ト
ルクダウン率が50%ら75%までの場合に燃料カット
気筒数を2、要求トルクダウン率が75%ら100%ま
での場合に燃料カット気筒数を3、要求トルクダウン率
が100%の場合に燃料カット気筒数を4とする。
【0063】続いてステップS49で、DSC・TCS
要求のトルクと燃料カット気筒数とに基づき、マップか
ら点火時期のリタード量(遅角量)を決定する。つま
り、一部気筒に対する燃料カットによる大まかなトルク
ダウンとともに、点火時期のリタードによってトルクダ
ウンの微調整を行うことにより、要求に合致したトルク
が得られるようにする。
【0064】次に、ステップS50で、後述の図9に示
す制御モード設定用ルーチンで設定された点火時期の制
御モードがリニア制御モード(図3参照)か否かを判定
する。
【0065】リニア制御モードであるときは、ステップ
S51に移行して、ステップS49で設定されたリター
ド量を実行すべく、点火時期を制御する。
【0066】リニア制御モードでないとき、つまりリタ
ードガードモードであるときは、ステップS53でブレ
ーキ失陥時か否かを判定し、ブレーキ失陥時でなけれ
ば、ステップS53で、TCS作動禁止フラグFDが
「1」か否かを調べることにより、旋回制御中であるか
スリップ制御中であるかを判定する。
【0067】そして、スリップ制御中(TCS作動禁止
フラグFDが「0」)である場合はリタード量ガード値
Lとして第1設定値L1を採用し、旋回制御中(TCS
作動禁止フラグFDが「1」)である場合はリタード量
ガード値Lとして第2設定値2を採用する。上記第1設
定値L1と第2設定値L2とは異なる値であって、スリ
ップ制御時のリタード量ガード値である第1設定値L1
の方が旋回制御時のリタード量ガード値である第2設定
値L2よりも大きい値となっている。なお、ステップS
52でブレーキ系失陥時であることを判定したときは、
ステップS54に移ることにより、リタード量ガード値
Lとして第1設定値L1を採用する。
【0068】ステップS54またはステップS55でリ
タード量ガード値Lを設定した後は、ステップS56
で、ステップS49において決定されたリタード量が上
記ガード値Lより大きいか否かを判定する。そして、ス
テップS49の判定がNOであればステップS51に移
るが、ステップS49の判定がYESであれば、ステッ
プS57でリタード量をガード値Lに修正してから、ス
テップS51に移って点火時期の制御を行う。ステップ
S51の処理を行った後はリターンする。
【0069】図9はエンジン制御ユニット21による制
御モード設定の処理を示し、このルーチンがスタートす
ると、先ずステップS61でDSC・TCS制御ユニッ
ト21から要求トルクを受信するまで待ち、要求トルク
を受信したときに、ステップS62でブレーキ失陥時か
否かを判定し、その判定がNOであれば、ステップS6
3で、TCS作動禁止フラグFDが「1」か否かを調べ
ることにより、旋回制御中であるかスリップ制御中であ
るかを判定する。
【0070】そして、旋回制御中(TCS作動禁止フラ
グFDが「1」)である場合は、ステップS64で、制
御モード決定のための領域設定としてマップA(図3
(a)参照)を選択し、またスリップ制御中(TCS作
動禁止フラグFDが「0」)である場合は、ステップS
65で、制御モード決定のための領域設定としてマップ
B(図3(b)参照)を選択する。なお、ステップS6
2でブレーキ系失陥時であることを判定したときは、ス
テップS65に移ることにより、上記マップBを選択す
る。
【0071】ステップS64又はステップS65による
マップの選択の次には、ステップS66,S67で、選
択したマップとエンジン回転数、充填効率及び燃料カッ
ト気筒数に基づき、エンジンの運転状態がマップA又は
マップBにおける基準ラインより下側か上側かのいずれ
の領域にあるかを調べ、リニア制御領域か否かを判定す
る。そして、リニア制御領域にあればステップS68で
制御モードをリニア制御モードとし、リニア制御領域に
なければステップS69で制御モードをリタードガード
モードとする。
【0072】このようにエンジンの運転状態に応じてモ
ードを設定してから、リターンする。
【0073】以上のような当実施形態の装置によると、
旋回中でヨーレートの絶対値が大きいといった所定の旋
回制御条件が成立した時には、オーバーステアあるいは
アンダーステアを是正して目標とする旋回状態が得られ
るように車輪のブレーキ力が調整されるとともに、とく
にアンダーステア状態のときはブレーキ力の制御に加え
て補助的にエンジンのトルクダウンを行わせるべく要求
トルクが求められ、それに基づいて要求トルクダウン率
が求められ、それに応じて点火時期のリタード及び必要
な場合の一部気筒に対する燃料カットが行われる。
【0074】一方、旋回制御中以外であってスリップ量
Sr又はSlがスリップ制御開始閾値S0より大きいと
いった所定のスリップ制御条件が成立したときは、スリ
ップ量が目標スリップ量(スリップ制御開始閾値S0)
となるようにエンジンのトルクダウンを行わせるべく要
求トルクが求められ、それに基づいて要求トルクダウン
率が求められ、それに応じて点火時期のリタード及び必
要な場合の一部気筒に対する燃料カットが行われる。さ
らに、スリップ量Sr又はSlがブレーキ制御開始閾値
SBより大きくなったときは、トルクダウンのための点
火時期リタード等の制御に加えて補助的に駆動輪のブレ
ーキ力の制御が行われる。
【0075】上記のような旋回制御やスリップ制御にお
いて、要求トルクダウン率に応じた点火時期リタードの
制御が行われる場合に、充填効率及びエンジン回転数に
応じて図3に示すマップAまたはマップBに基づき制御
モードが選択される。すなわち、排気温度が比較的低い
低吸気流量側の運転領域では、リニア制御モードとされ
ることにより、点火時期のリタードが制限されることな
く、要求トルクダウン率に応じて設定されたリタード量
となるように点火時期が制御されるが、高吸気流量側の
運転領域では、リタードガードモードとされることによ
り、点火時期のリタード量がガード値L以上に大きくな
らないように制限され、これにより排気温度が過度に上
昇することが避けられて、排気通路に設けられている触
媒等の信頼性が確保される。
【0076】とくに、図3のマップA,B中のリニア制
御モード領域とリタードガードモード領域との境界であ
る基準ライン、及びリタードガードモードにおいて設定
されるリタードガード値が旋回制御時とスリップ制御時
とで前述のように変えられることにより、旋回制御時と
スリップ制御時とに応じて点火時期リタード量の規制が
適切に行われる。
【0077】すなわち、旋回制御時には、スリップ制御
時と比べ、上記基準ラインが低くてリニア制御モード領
域が狭く、リタードガードモード領域が広くなっている
ことにより、点火時期リタードの制限が強化され、さら
に、上記リタードガード値が小さくて、これによっても
点火時期リタードの制限が強化される。このため、排気
温度が過度に上昇することを確実に防止するように充分
な余裕をもって点火時期が制御される。しかも、旋回制
御はブレーキ力の制御が主であって、点火時期のリター
ド等によるエンジントルクの制御は補助的なものである
ため、このように点火時期の制限が強化されても、制御
性が悪化することは殆どない。
【0078】一方、スリップ制御時には、旋回制御時と
比べ、上記基準ラインが高くてリニア制御モード領域が
広く、リタードガードモード領域が狭くなっていること
により、点火時期リタードの制限が緩和され、さらに、
上記リタードガード値が大きくて、これによっても点火
時期リタードの制限が緩和される。このため、排気温度
の過度上昇を招かない範囲でできる限り点火時期リター
ドによるエンジントルクの制御性が高められる。そし
て、スリップ制御時には点火時期リタード等によるエン
ジントルクの制御が主であるため、点火時期リタードに
よるエンジントルクの制御性が高められることにより、
スリップ制御が良好に行われることとなる。
【0079】また、車両のブレーキ系統の故障が生じた
場合には、旋回制御時であっても、スリップ制御時と同
様に、リニア制御モード領域が広くされるとともに、リ
タードガードモードにおいて設定されるリタードガード
値が大きい値とされることにより、エンジントルク制御
の作用が高められ、ブレーキ系統の故障による制御性の
悪化が補われる。
【0080】なお、本発明の装置の具体的構造は上記実
施形態に限定されず、種々変更可能であり、その数例を
以下に説明する。
【0081】上記実施形態では、点火時期についての
制御モード切換えのための基準値を旋回制御時とスリッ
プ制御時とで異ならせる機能と、点火時期リタード量の
ガード値を旋回制御時とスリップ制御時とで異ならせる
機能との両方を備えているが、いずれか一方の機能だけ
でも、排気温度上昇の抑制及びスリップ制御の制御性の
向上を図る上で従来より改善される。
【0082】点火時期についての第1の制御モード
(リニア制御モード)では、リタード量ガード値を設定
していないが、第2の制御モードと比べて大きい値のリ
タード量ガード値を設定してもよい。
【0083】ブレーキ系の故障時の制御として、上記
実施形態では点火時期についての制御モード切換えのた
めの基準値及びリタード量ガード値をスリップ制御時と
同じにしているが、通常の旋回制御時と比べて上記基準
値が高く、またリタード量ガード値が大きければ、スリ
ップ制御値とは異なっていてもよい。
【0084】図1,図2に示す例ではDSC・TCS
制御ユニット21とエンジン制御ユニット22とを別個
に構成して、両ユニット21,22を交信可能としてい
るが、1つの制御ユニットでこれらの機能を果たすよう
にしてもよい。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明は、旋回制御手段及びスリップ制御手段を備えるとと
もに、点火時期遅角量の最大限度値が比較的大きい値に
設定されている第1制御モードと点火時期遅角量の最大
限度値が比較的小さい値に設定されている第2制御モー
ドとを吸気流量に関連する量に応じて選択する制御モー
ド切換手段を備え、基準値より低吸気流量側で第1制御
モード、基準値より高吸気流量側で第2制御モードと
し、その基準値を上記旋回制御時はスリップ制御時より
低くしているため、点火時期遅角量の制御よりもブレー
キ力の制御が主となる旋回制御時には点火時期の遅角の
制限が強められる領域が広くされ、ブレーキ力よりも点
火時期遅角量の制御が主となるスリップ制御時には点火
時期の遅角の制限が緩和される領域が広くされる。従っ
て、排気温度上昇の抑制を図りつつ、スリップ制御の制
御性を向上することができる。
【0086】また、請求項3に係る発明は、旋回制御手
段及びスリップ制御手段を備えるとともに、旋回制御時
及びスリップ制御時に点火時期遅角量の最大限度値を設
定し、その点火時期遅角量の最大限度値を上記旋回制御
時にはスリップ制御時よりも小さい値にしているため、
旋回制御時には点火時期の遅角の制限が強められ、スリ
ップ制御時には点火時期の遅角の制限が緩和される。従
って、この発明によっても、排気温度上昇の抑制を図り
つつ、スリップ制御の制御性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御装置を適用した車両の一例を示す
概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による制御装置の構成を示
すブロック図である。
【図3】点火時期についての第1,第2制御モードの領
域を設定するマップを示すものであって、(a)は旋回
制御時用のマップ、(b)はスリップ制御時用のマップ
である。
【図4】DSC・TCS制御ユニットによる旋回制御の
手順を示すフローチャートの一部である。
【図5】DSC・TCS制御ユニットによる旋回制御の
手順を示すフローチャートの残りの部分である。
【図6】DSC・TCS制御ユニットによるスリップ制
御の手順を示すフローチャートである。
【図7】エンジン制御ユニットによるエンジントルクの
制御の手順を示すフローチャートの一部である。
【図8】エンジン制御ユニットによるエンジントルクの
制御の手順を示すフローチャートの残りの部分である。
【図9】エンジン制御ユニットによる制御モード設定の
処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 車両 4 点火プラグ 6 点火回路 10 ブレーキ 14 ブレーキアクチュエータ 15a〜15d 車輪速センサ 16 ヨーレートセンサ 21 DSC・TCS制御ユニット 211 旋回状態検出手段 212 駆動輪スリップ検出手段 22 エンジン制御ユニット 222 点火時期制御手段 223 制御モード切換手段 224 補正手段 26 エアフローセンサ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 29/02 311 F02D 29/02 311A 3G301 311G 41/18 41/18 Z 45/00 312 45/00 312M F02P 5/15 F02P 5/15 B Fターム(参考) 3D041 AA19 AA40 AA47 AB01 AC01 AC26 AC30 AD02 AD05 AD23 AD41 AD44 AD50 AD51 AE03 AE41 AF01 3D046 BB01 BB21 BB29 CC02 EE01 GG02 HH02 HH08 HH16 HH17 HH21 HH23 HH25 HH36 JJ02 JJ06 MM03 MM13 MM34 3G022 CA05 DA02 EA04 FA09 GA05 GA06 GA19 GA20 3G084 BA17 DA17 FA04 FA05 FA06 FA07 3G093 AA01 BA01 BA17 CB09 DA01 DA09 DB02 DB05 DB17 EA12 EC01 FB02 3G301 HA01 JA33 KB06 LA00 PA01Z PF01Z PF05Z PF15Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の旋回状態を検出する旋回状態検出
    手段と、 駆動輪のスリップ量を検出する駆動輪スリップ量検出手
    段と、 所定の旋回制御条件が成立したときに上記旋回状態を目
    標旋回状態とするようにエンジンの点火時期の遅角量及
    びブレーキ力を制御する旋回制御手段と、 所定のスリップ制御条件が成立したときに上記駆動輪の
    スリップ量を目標スリップ量とするようにエンジンの点
    火時期の遅角量及びブレーキ力を制御するスリップ制御
    手段と、 エンジンの吸気流量に関連する量を検出する検出手段
    と、 上記旋回制御及びスリップ制御による点火時期遅角量の
    最大限度値が比較的大きい値に設定されている第1制御
    モードと上記点火時期遅角量の最大限度値が比較的小さ
    い値に設定されている第2制御モードとを上記吸気流量
    に関連する量に応じて選択する制御モード切換手段とを
    備え、 この制御モード切換手段は、吸気流量に関連する量につ
    いて旋回制御実行中には旋回制御時用の基準値を定め、
    またスリップ制御実行中にはスリップ制御時用の基準値
    を定めて、それぞれ基準値より低吸気流量側で第1制御
    モード、基準値より高吸気流量側で第2制御モードとす
    るようになっており、上記旋回制御時用の基準値はスリ
    ップ制御時用の基準値より低く設定されていることを特
    徴とする車両の制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の制御装置におい
    て、車両のブレーキ系統の故障を検出する故障検出手段
    を備えるとともに、ブレーキ系統の故障時には、上記旋
    回制御時用の基準値を、スリップ制御時用の基準値との
    偏差が小さくなるように増大補正する補正手段を備えて
    いる車両の制御装置。
  3. 【請求項3】 車両の旋回状態を検出する旋回状態検出
    手段と、 駆動輪のスリップ量を検出する駆動輪スリップ量検出手
    段と、 所定の旋回制御条件が成立したときに上記旋回状態を目
    標旋回状態とするようにエンジンの点火時期の遅角量及
    びブレーキ力を制御する旋回制御手段と、 所定のスリップ制御条件が成立したときに上記駆動輪の
    スリップ量を目標スリップ量とするようにエンジンの点
    火時期の遅角量及びブレーキ力を制御するスリップ制御
    手段と、 上記旋回制御時及びスリップ制御時に点火時期遅角量の
    最大限度値を設定する点火時期遅角量制限手段とを備
    え、 この点火時期遅角量制限手段は、上記点火時期遅角量の
    最大限度値を旋回制御時にはスリップ制御時と比べて小
    さい値に設定していることを特徴とする車両の制御装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の車両の制御装置におい
    て、車両のブレーキ系統の故障を検出する故障検出手段
    を備えるとともに、ブレーキ系統の故障時には、上記旋
    回制御時における点火時期遅角量の最大限度値を、上記
    スリップ制御時における点火時期遅角量の最大限度値と
    の偏差が小さくなるように増大補正する補正手段を備え
    ている車両の制御装置。
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