JP2003158371A - 回路基板およびその製造方法 - Google Patents

回路基板およびその製造方法

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JP2003158371A
JP2003158371A JP2001356641A JP2001356641A JP2003158371A JP 2003158371 A JP2003158371 A JP 2003158371A JP 2001356641 A JP2001356641 A JP 2001356641A JP 2001356641 A JP2001356641 A JP 2001356641A JP 2003158371 A JP2003158371 A JP 2003158371A
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hole
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circuit
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Seiichi Nakatani
誠一 中谷
Yoshihisa Yamashita
嘉久 山下
Koichi Hirano
浩一 平野
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のスルーホール接続回路基板において、
回路パターンとなる金属箔上にも必ず銅メッキ層が形成
されており、回路パターンの厚みばらつきも大きく、高
周波回路などに必要な微細な回路パターン持つ回路基板
を提供することが困難であった。 【解決手段】 スルーホール103内の金属導体層10
2の平均厚みが、回路パターン101の平均厚み以下で
ある回路基板とすることで、微細な回路パターンを持つ
スルーホール接続回路基板を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微細な回路パターン
を有する回路基板に関し、特に、回路パターンが高精細
な、高周波回路などに用いられる回路基板、およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、軽量化、高性
能化に伴い、半導体をはじめとする電子部品の高密度
化、高機能化が要求されている。これらの要求に応じ
て、電子部品を実装するための回路基板もまた、小型高
密度化が要求されている。
【0003】回路基板に用いられる絶縁基板として一般
に、ガラス織布にエポキシ樹脂を含浸させたガラス−エ
ポキシ基板が主に利用されている。このガラス−エポキ
シ基板は、ガラス織布に未硬化のエポキシ樹脂を含浸さ
せたものを準備し、熱プレスにより加熱加圧してエポキ
シ樹脂を硬化させることで得ることができる。なお、一
般に、基板に含まれている熱硬化性樹脂を硬化させる前
の状態のものを、プリプレグ、と呼ぶ。このプリプレグ
を加熱加圧することで硬化させ、回路基板に用いられる
絶縁基板とすることができる。
【0004】このような基板を回路基板として用いるた
めに、基板両面に対する回路パターン形成と、形成した
回路パターン間の電気的接続が必要な場合がある。その
場合、銅メッキスルーホール加工と呼ばれる方法が広く
用いられている。この方法では、まず、銅箔を重ねた状
態でガラス−エポキシ基板を硬化させる。その後、ドリ
ル加工によりスルーホールを形成し、電解銅メッキ法を
用いてスルーホール内壁および基板表面の銅箔全面に対
して銅メッキ層を形成させる。このとき、スルーホール
内壁に形成された銅メッキ層は、基板表面の銅箔と電気
的に接続されることになる。その後、化学エッチング法
を用いて、銅箔と銅メッキ層を含む基板表面の銅層に対
して回路パターンを形成し、回路基板が完成する。
【0005】なお、回路基板の多層化を行う場合、一般
に次のような方法がとられる。まず、銅箔が積層された
硬化済みの基板に対して化学エッチング法を用いて回路
パターン形成を行う。次に、基板の両面に、新たなプリ
プレグと銅箔とを熱プレスにより積層する。積層後、ス
ルーホールを形成して銅メッキスルーホール加工を行
い、最後に化学エッチング法を用いて最外層の銅箔に回
路パターンを形成し、多層構造を持つ回路基板が完成す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法を用いた回路基板には、以下のような問題があ
る。従来の銅メッキスルーホール加工法では、プリプレ
グに銅箔を重ねて硬化させた後、さらにその上から銅メ
ッキスルーホール加工を行うため、回路パターンとなる
銅箔上にも必ず銅メッキ層が形成されることになる。こ
のため、回路パターンが形成される銅層には、もともと
の銅箔の厚みに加え、さらに銅メッキ層の厚みが付加さ
れる。一般に、回路パターン用の銅箔として厚さ35μ
mの銅箔が利用されており、銅メッキ層はその接続信頼
性から30μm以上の厚さが必要とされている。よって
回路パターンが形成される銅層の厚みは65μm程度と
なり、化学エッチングの際に、微細な回路パターンを形
成することが困難となる。
【0007】また、回路基板の製造の際には、1m×1
m以上の大きなサイズで、銅メッキスルーホール加工や
化学エッチング加工が行われるため、基板内でメッキ厚
みムラなどが生じやすい。従来から用いられている化学
エッチング法では、加工したい銅層に対してドライフィ
ルムレジストを貼り合わせ、紫外線露光の後、現像、エ
ッチング、およびドライフィルム剥離を行うことで回路
パターンを形成している。このとき、加工すべき銅層に
厚みムラがあると、エッチングの加工スピードに差が生
じ、部分的に過度のエッチング形状となったり、逆に不
足気味のエッチング形状となったりする場合が生じる。
過度のエッチングの場合は、所望の回路パターンの線幅
より細くなり、不足気味のエッチングの場合は太くな
る。よって微細な回路パターンの形成は困難であるし、
このように部分的に線幅に差が生じた回路基板を高周波
回路に用いた場合、信号伝播スピードに誤差が生じた
り、クロストークなどの問題が発生したりする。また、
上記したように回路基板は、大きなサイズで作製し、個
片に分割して利用されるケースが多いため、分割された
回路基板ごとに高周波性能が異なる基板が作製されるこ
とになる。
【0008】本発明は上記したような問題点を解消する
ためになされたもので、微細な回路パターン形成が可能
な回路基板、特に回路パターンが高精細な、高周波回路
などに用いられる回路基板、ならびにその製造方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の回路基板は、熱硬化性樹脂を含み、スルー
ホールを有する絶縁基板と、上記絶縁基板上に配置され
た少なくとも1層の回路パターンとを含み、前記スルー
ホールの内壁に金属導体層が形成された回路基板であっ
て、上記回路パターンを形成する金属箔の平均厚みが、
上記金属導体層の平均厚み以下であることを特徴とす
る。この回路基板は、回路パターンを形成する金属が、
金属箔と金属導体層との積層体である従来の回路基板と
は異なり、回路パターンの厚みムラなどの問題が少な
く、また回路パターンの線幅を均一化しやすく、小型高
密度な回路や高周波回路などに適した回路基板となる。
【0010】上記の回路基板において、絶縁基板が、ガ
ラス繊維を含むことが好ましい。
【0011】上記いずれかの回路基板において、熱硬化
性樹脂が、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂およびシ
アネート系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含
むことが好ましい。高温においても優れた電気的絶縁性
を保つ回路基板を得ることができる。
【0012】上記いずれかの回路基板において、絶縁基
板が、無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラ
ーの種類を選ぶことで、回路基板に対して付加性能を与
えることが可能であり、その充填量を調整することで、
硬化後の回路基板の熱膨張係数を制御することができ
る。
【0013】上記の回路基板において、無機フィラー
が、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化アルミニウム
および窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1つを含むこ
とが好ましい。
【0014】上記いずれかの回路基板において、回路パ
ターンを形成する金属箔が、銅を含むことが好ましい。
また、上記いずれかの回路基板において、金属導体層
が、銅を含むことが好ましい。銅は、電気導電性に優
れ、化学エッチングなどによる回路パターンの形成が容
易であるからである。
【0015】上記目的を達成するために、本発明におけ
る回路基板の製造方法は、(a)熱硬化性樹脂を含むプ
リプレグに、金属箔と被膜層とを、上記プリプレグと上
記金属箔とが接するように重ね合わせる工程と、(b)
重ね合わせた積層体にスルーホールを形成する工程と、
(c)上記スルーホールの内壁を含む上記積層体の表面
に、金属導体層を形成する工程と、(d)上記被膜層を
上記積層体から分離して、上記金属箔を上記プリプレグ
に残す工程とを少なくとも含むことを特徴としている。
【0016】また、上記目的を達成するために、本発明
における回路基板の製造方法は、(a)熱硬化性樹脂を
含むプリプレグに、金属箔を有する転写キャリアを、上
記プリプレグと上記金属箔とが接するように重ね合わせ
る工程と、(b)重ね合わせた積層体にスルーホールを
形成する工程と、(c)上記スルーホールの内壁を含む
上記積層体の表面に、金属導体層を形成する工程と、
(d)上記転写キャリアを上記積層体から分離して、上
記金属箔を上記プリプレグに転写する工程とを少なくと
も含むことを特徴としている。
【0017】上記した回路基板の製造方法において、金
属導体層の形成を、メッキにより行うことが好ましい。
【0018】上記した回路基板の製造方法の、工程
(a)に用いる金属箔に、予め回路パターンが形成され
ていることが好ましい。また、上記した回路基板の製造
方法の、工程(d)の後に、金属箔に回路パターンを形
成する工程をさらに含めばよい。これらの方法を用いれ
ば、スルーホールの内壁に形成した金属導体層の平均厚
みよりも薄い回路パターンを形成することができ、微細
な、精度良い回路パターンを持つ回路基板を得ることが
できる。
【0019】また、上記した回路基板の製造方法におい
て、回路パターンを形成する工程を、エッチング処理に
よって行うことが好ましい。
【0020】上記した回路基板の製造方法において、工
程(a)と工程(b)との間に、重ね合わせた積層体
を、加熱加圧することにより硬化させる工程をさらに含
めばよい。
【0021】また、上記した回路基板の製造方法におい
て、工程(a)と工程(b)との間に、重ね合わせた積
層体を、熱硬化性樹脂が硬化しない温度で加熱加圧する
ことにより、未硬化のまま接着させる工程をさらに含
み、工程(b)と工程(c)との間に、スルーホールを
形成した上記積層体を、加熱することにより硬化させる
工程をさらに含めばよい。この方法を用いれば、プリプ
レグが未硬化の状態でスルーホールを形成できるので、
スルーホール形成時にドリル加工法を用いた場合に、ド
リルの摩耗などを低減することができ、信頼性の高い回
路基板をより安価に得ることができる。
【0022】上記した回路基板の製造方法において、被
膜層が、金属フィルムおよび有機フィルムから選ばれる
少なくとも一つを含むことが好ましい。また、上記した
回路基板の製造方法において、転写キャリアが、金属フ
ィルムおよび有機フィルムから選ばれる少なくとも一つ
を含むことが好ましい。金属フィルムは寸法安定性に優
れており、高精度な回路パターンを形成、転写すること
ができるからである。また有機フィルムは、硬化後の分
離が容易であり、かつ安価に回路基板を製造することが
できる。
【0023】上記した回路基板の製造方法において、ス
ルーホールの形成を、ドリル加工法によって行うことが
好ましい。高精度なスルーホールを容易に形成すること
ができるからである。
【0024】上記した方法を用いれば、従来技術である
銅メッキスルーホール加工のみで形成した回路基板より
も、高密度かつ微細な回路パターンを持つ回路基板を、
より安価に得ることができる。さらに上記の方法は、既
存のプリント配線基板と同様の設備を用いることができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明における好ましい実施の形
態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】図1は、本発明の回路基板の一例を示す断
面図である。本実施の形態の回路基板104は、絶縁基
板100の両面に回路パターン101が積層された構造
をしている。絶縁基板100にはスルーホール103が
設けられており、スルーホール103の内壁に形成され
た金属導体層102によって、絶縁基板100の両面に
ある回路パターン101間の電気的接続が確保されてい
る。
【0027】また、本実施の形態における回路基板10
4において、回路パターン101の平均厚みが、金属導
体層102の平均厚み以下であり、金属導体層102
が、回路パターン101上に重なって形成されていない
ことが特徴となっている。
【0028】絶縁基板100は、回路基板の電気的絶縁
性を保てるものであればよく、例えば、熱硬化性樹脂を
含むプリプレグを加熱、硬化させることで得ることがで
きる。
【0029】絶縁基板100は、ガラス繊維を含むこと
が好ましい。ガラス繊維との複合体とすることで、絶縁
基板の強度が向上し、回路基板の寸法安定性、強度など
を確保することができる。また、ガラス繊維を用いるこ
とで、安価に回路基板を提供することができる。ガラス
繊維としては、例えば、ガラス織布あるいはガラス不織
布などを用いることができる。
【0030】絶縁基板100に用いられる熱硬化性樹脂
として、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂お
よびシアネート系樹脂などを用いることができる。これ
らの樹脂は、回路基板が高温にさらされても電気絶縁性
に優れている。特に、エポキシ系樹脂は、半導体封止材
やプリント基板材に用いられるように、電気特性ばかり
でなく、耐薬品性、機械的性能に優れており好ましい。
また、これらは単体で用いても、複数の種類の樹脂を混
合して用いても構わない。また、必要により、それぞれ
違った種類の樹脂を含む複数の層を積層して用いても構
わない。
【0031】また、絶縁基板100は、無機フィラーを
含んでいることが好ましい。無機フィラーを添加するこ
とによって、回路基板に種々の性能を与えることが可能
となる。また、その充填量を調整することで、回路基板
の熱膨張係数を制御することなどができる。
【0032】無機フィラーとしては、例えば、アルミ
ナ、シリカ、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ホウ
素、およびそれらの混合物などを用いることができる。
例えば、アルミナ、窒化アルミニウムなどを用いた場合
は、熱伝導性に優れた回路基板を得ることができる。マ
グネシアなどを用いた場合には、熱伝導性が良好かつ大
きな熱膨張係数を持った回路基板を得ることができる。
シリカ、特に非晶質シリカなどを用いた場合には、熱膨
張係数および誘電率が小さく、重量が軽い、高周波回路
に好適な回路基板を得ることができる。
【0033】無機フィラーの添加量は、プリプレグ全体
の70〜95重量%程度が好ましい。良好な熱伝導性が
要求される熱伝導回路基板においては、プリプレグ全体
の90重量%以上の高い割合での無機フィラー添加が好
ましい。高周波回路用回路基板であれば、シリカフィラ
ーなどを上記の量添加したものが有効である。
【0034】また、無機フィラーの平均粒径が、1〜5
0μm程度のものが好ましい。この範囲より平均粒径の
小さい無機フィラーの場合、添加した樹脂の粘度が上昇
し、工程中においてガラス織布などに含浸させることが
難しくなる。また、50μmを超える平均粒径の無機フ
ィラーの場合、樹脂中で無機フィラーが沈降しやすく、
均質なプリプレグの作成が難しくなるなどの問題があ
る。
【0035】高周波回路に用いられるものであれば、誘
電率が低いほどよく、無機フィラーが中空であっても構
わない。空気の誘電率が1に近いからである。
【0036】回路基板の硬化後の熱膨張係数は、回路パ
ターンに利用される金属箔の熱膨張係数に近似させるこ
とが好ましい。これは、両者の熱膨張係数の差が大きい
場合、温度変化により回路パターンにクラックが生じ、
断線の原因となる可能性があるためである。
【0037】また、ガラス繊維と熱硬化性樹脂とを含む
回路基板では、回路基板の厚み方向と平面方向との熱膨
張係数が異なる場合が多い。これは、平面方向の熱膨張
係数が、熱膨張係数の相対的に小さいガラス繊維により
支配されるからである。一般的なガラス−エポキシ基板
において、平面方向の熱膨張係数が20ppm/℃程度
に対して、厚み方向では100〜150ppm/℃程度
になるものもある。この、方向による熱膨張係数の差
が、回路基板の厚み方向に設けられたスルーホール内壁
にある金属導体層の断線の原因となりうる。これに対し
て、種々の熱膨張係数を有する無機フィラーを添加する
ことで、基板材料の熱膨張係数そのものを調整したり、
厚み方向の熱膨張係数を平面方向の熱膨張係数に合わせ
たりすることができる。
【0038】回路パターン101、および金属導体層1
02としては銅を含むことが好ましい。銅は、電気導電
性に優れ、化学エッチングなどによる回路パターンの形
成が容易であるからである。
【0039】また、本実施の形態における回路基板10
4において、回路パターン101が、転写法により形成
されることが好ましい。転写法を用いれば、あらかじめ
一定厚みの回路パターンを形成しておくことができ、回
路パターンの検査が回路基板製造前に行えるので、回路
基板の品質歩留まりを向上させることができる。さら
に、一定の厚みの回路パターンを用いて転写を行うこと
で、回路パターンを回路基板に均一に埋没させた構造を
実現できる。結果、表面に凹凸がない回路基板を得るこ
とができるため、均一で精度良いソルダーレジストの形
成が可能となり、部品実装のためのハンダ印刷も精度良
く実現することができる。
【0040】続いて、本実施の形態における回路基板の
製造方法例について説明する。
【0041】図2(a)〜(f)は、本発明における回
路基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【0042】まず、図2(a)に示すように、回路パタ
ーン201を表面に持つ転写キャリア200を準備す
る。
【0043】転写キャリア200としては、金属フィル
ム、例えば、銅箔を用いることができる。銅箔を用いた
場合には、まず、この銅箔上に金属クロムなどを含む剥
離層を形成し、さらに電解銅メッキなどの手法を用いて
剥離層上に銅金属層を形成する。その後、転写キャリア
200上に設けた銅金属層を、化学エッチングなどの手
法を用いて処理することで、銅金属層を回路パターン2
01に加工すればよい。この際、化学エッチングを行っ
た場合でも、金属クロムを含む剥離層によって、それ以
上のエッチングが防止されるため、転写キャリア200
上に、一定した厚みの回路パターン201を形成するこ
とができる。また、金属クロムを含む剥離層によって、
転写キャリア200と回路パターン201とを容易に分
離することができる。
【0044】また、転写キャリア200として、有機フ
ィルムを利用することもできる。有機フィルムとして
は、プリプレグに含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度に耐
えられるものであればよく、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリフェニレンサルファイドなどのフィル
ムを用いることができる。転写キャリア200として有
機フィルムを用いた場合、転写キャリア200上に接着
剤を塗布し、その上に銅箔などの銅金属層をラミネート
する。その後、銅金属層だけを化学エッチング法などの
手法を用いて回路パターン201に加工すればよい。
【0045】なお、図2では転写キャリアとして有機フ
ィルムを用いた例が示されているが、有機フィルムに限
定されるものではない。以下、図3、図4も同様であ
る。
【0046】転写キャリアの平均厚みとしては、20μ
m〜90μm程度が好ましい。薄すぎる場合、厚すぎる
場合のいずれの場合も、後の工程において、積層体から
の分離が難しくなる。
【0047】化学エッチング法を用いた回路パターン2
01の形成方法として、例えば、「エッチングレジスト
の形成」、「エッチング」、「レジストの剥離」、を一
連の工程とする一般的な既存技術を用いることができ
る。この方法の具体的な例を以下に挙げる。
【0048】最初に、ロールラミネート装置を用いて、
銅金属層を有する転写キャリアの両面にレジスト膜の形
成を行う。レジスト膜として、プリント基板のパターニ
ングなどに使用される一般的なドライフィルムレジスト
を用いることができる。次に、両面にレジスト膜が形成
された転写キャリアに対し、紫外線露光装置を用いて、
回路パターンを描画したフィルムマスクを介して密着両
面露光を行う。この際、転写キャリアが金属フィルムで
あり、転写キャリア上に銅金属層が形成されていない面
がある場合には、その面に対して全面に紫外線露光を行
い、転写キャリア自身がエッチング除去されないように
レジスト膜を残しておく。続いて、レジスト膜を現像液
中で処理する。レジスト膜のうち紫外線が露光された部
分は、紫外線により硬化されているため銅金属層上に残
るが、フィルムマスクにより紫外線が露光されなかった
部分のレジスト膜は除去され、銅金属層が露出した状態
となる。この基板を塩化鉄溶液中に投入して、エッチン
グ処理を行う。銅金属層が露出している部分はエッチン
グ除去され、所定の回路パターンが転写キャリア上に残
ることになる。最後に、水酸化ナトリウム溶液を用いて
残っているレジスト膜を剥離し、所定の回路パターンを
表面に持つ転写キャリアを得ることができる。
【0049】回路パターン201の平均厚みは、3〜3
5μm程度が好ましい。薄すぎる場合、導体配線抵抗が
高くなり、大きな電流を流すことが難しく、また、回路
ロスも大きくなる。
【0050】図2(a)において、回路パターン201
を表面に持つ転写キャリア200を準備した後、未硬化
状態のプリプレグ202の両面に、図2(a)に示す構
造を持つ転写キャリア200aおよび200bを積層さ
せる(図2(b))。転写キャリア200aおよび20
0b上には、それぞれ回路パターン201aおよび20
1bが形成されており、このとき、プリプレグ202
と、回路パターン201aおよび201bとが接するよ
うに積層させる。未硬化状態のプリプレグ202は、未
硬化の熱硬化性樹脂を含んでおり、樹脂のみで形成され
たものであっても、ガラス布、あるいはガラス不織布と
の複合体であっても、また、それぞれに無機フィラーが
添加されているものであっても構わない。
【0051】続けて、回路パターン201aおよび20
1bを表面に持つ、転写キャリア200aおよび200
bを積層したプリプレグ202を、熱プレスなどを用い
て加熱加圧して熱硬化性樹脂を硬化させる(図2
(c))。このときプリプレグ202は、熱硬化性樹脂
が硬化することで絶縁基板205となる。
【0052】次に、図2(c)で得られた硬化後の積層
体の厚み方向にスルーホール203を形成する(図2
(d))。スルーホール203の形成は、ドリル加工法
により行うことが好ましい。この方法によれば、高精度
なスルーホールを、回路基板上の任意の位置に容易に形
成することができる。ドリル加工法としては、例えば、
精密NC機械を用いることができる。また、スルーホー
ルを形成するドリルとして、表面にダイヤモンドをプラ
ズマ処理などでコーティングしたものを用いることで、
無機フィラーを添加したプリプレグを用いた場合でも、
ドリルの摩耗を低減することができる。
【0053】また、スルーホール203の形成後に、ス
ルーホール203に対して過マンガン酸処理を行うこと
が好ましい。過マンガン酸処理を行うことで、スルーホ
ールの内壁に付着したスミアなどが除去され、後の工程
で行われる金属導体層の形成が容易になり、製造した回
路基板の信頼性を向上させることができる。金属導体層
の形成はメッキにより行うことが好ましい。
【0054】スルーホール203を形成した後、電解銅
メッキ法などを用いて、スルーホール203の内壁を含
む表面に銅メッキ層204を形成する(図2(e))。
図2(e)に示すように、転写キャリア200aおよび
200bの表面、ならびにスルーホール203の内壁に
対して、銅メッキ層204が形成されることになる。こ
の際のメッキ処理は、回路基板に一般的に用いられるメ
ッキ処理と同様に、無電解メッキ後に電解メッキを施す
ことが好ましい。また、銅メッキ層204の平均厚み
は、回路基板の電気的接続の信頼性を考慮すると20〜
30μmが望ましい。
【0055】続けてその後、回路パターン201aおよ
び201bを、絶縁基板205に残したまま、転写キャ
リア200aおよび200bを分離する(図2
(f))。このとき銅メッキ層204のうち、転写キャ
リア200aおよび200b上に形成された部分が、転
写キャリアと一緒に取り除かれる。銅メッキ層204の
うち、スルーホール203の内壁に形成された部分は取
り除かれることなく金属導体層206としてそのままス
ルーホール203内に残存する。また、回路パターン2
01aおよび201bは、回路基板表面に、表面が平坦
になるように埋没している状態となる。金属導体層20
6は、回路パターン201aおよび201bと電気的に
接続されており、絶縁基板両面の回路パターン同士が互
いにスルーホール接続されている回路基板207を得る
ことができる。この回路基板207において、回路パタ
ーン201aおよび201bの平均厚みは、金属導体層
206の平均厚み以下となっている。
【0056】図2に示した製造方法の例において、プリ
プレグ202の硬化後に、スルーホール203を形成
し、その後、銅メッキ層204を形成したが、プリプレ
グ202を硬化させずにスルーホール203を形成した
後に、プリプレグ202を硬化させ、その後、銅メッキ
層204を形成しても構わない。この製造方法例につい
て図3を用いて説明する。図3に示す例において、転写
キャリア、プリプレグなどの各材料には、図2で示した
例と同様なものを用いることができる。
【0057】まず、図2の場合と同様に、未硬化状態の
プリプレグ302の両面に、表面に回路パターン301
aおよび301bを持つ転写キャリア300aおよび3
00bを、プリプレグ302と、回路パターン301a
および301bとが接するようにして積層させる(図3
(a))。
【0058】次に、プリプレグ302に含まれる熱硬化
性樹脂が硬化しない温度で加熱加圧することにより、プ
リプレグ302が未硬化のまま、プリプレグ302と、
回路パターン301aおよび301bとを接着させる
(図3(b))。
【0059】続けて、図3(b)で得られた積層体の厚
み方向にスルーホール303を形成する(図3
(c))。スルーホール303の形成は、図2の例と同
様、ドリル加工法により行うことが好ましい。また、金
型によるパンチング加工などにより行うこともできる。
このとき、プリプレグ302は未硬化の状態にあるの
で、スルーホール形成時にドリル摩耗などを低減するこ
とができ、信頼性の高い回路基板をより安価に得ること
ができることになる。
【0060】スルーホール303形成後、全体をもう一
度加熱し、プリプレグ302を硬化させて絶縁基板30
5とする(図3(d))。
【0061】その後は、図2に示した例と同様に、スル
ーホール303の内壁を含む表面に銅メッキ層304を
形成した後に(図3(e))、回路パターン301aお
よび301bを絶縁基板305に残したまま転写キャリ
ア300aおよび300bを分離し、本実施の形態の回
路基板307を得ることができる。この回路基板307
において、回路パターン301aおよび301bの平均
厚みは、スルーホール303内に形成された金属導体層
306の平均厚み以下となっている。
【0062】続いて、本実施の形態における回路基板の
別の製造方法例について図4を用いて説明する。
【0063】図4(a)〜(g)は、本発明における回
路基板の別の製造方法例を示す工程図である。図4に示
す例において、転写キャリア、プリプレグなどの各材料
には、図2で示した例と同様なものを用いることができ
る。
【0064】まず、図4(a)に示すように、回路パタ
ーンを形成するための金属箔401を表面に持つ転写キ
ャリア400を準備する。
【0065】金属箔401としては、銅を含むことが好
ましい。また、転写キャリア400として、金属フィル
ム、例えば、銅箔を用いた場合には、まず、この銅箔上
に金属クロムなどを含む剥離層を形成し、さらに電解メ
ッキなどの手法を用いて剥離層上にさらに金属箔401
を形成する方法を用いれば、図4(a)に示す転写キャ
リア400を準備することができる。
【0066】また、転写キャリア400として有機フィ
ルムを用いた場合、転写キャリア400上に接着剤を塗
布し、その上に金属箔をラミネートすればよい。
【0067】次に、未硬化状態のプリプレグ402の両
面に、図4(a)に示す構造を持つ転写キャリア400
aおよび400bを積層させる(図4(b))。転写キ
ャリア400aおよび400b上には、それぞれ回路パ
ターンを形成するための金属箔401aおよび401b
が形成されており、このとき、プリプレグ402と、金
属箔401aおよび401bとが接するように積層させ
る。
【0068】続けて、金属箔401aおよび401bを
表面に持つ転写キャリア400aおよび400bを積層
したプリプレグ402を、熱プレスなどを用いて加熱加
圧して熱硬化性樹脂を硬化させる(図4(c))。この
ときプリプレグ402は、熱硬化性樹脂が硬化すること
で絶縁基板405となる。
【0069】次に、図4(c)で得られた硬化後の積層
体の厚み方向にスルーホール403を形成する(図4
(d))。スルーホール403の形成は、図2の例と同
様、ドリル加工法により行うことが好ましい。また、ス
ルーホール403の形成後に、スルーホール403に対
して過マンガン酸処理を行うことが好ましい。
【0070】スルーホール403を形成した後、電解銅
メッキ法などを用いて、スルーホール403の内壁を含
む表面に銅メッキ層404を形成する(図4(e))。
図4(e)に示すように、転写キャリア400aおよび
400bの表面、ならびにスルーホール403の内壁に
対して、銅メッキ層404が形成されることになる。銅
メッキ層404の平均厚みは、回路基板の電気的接続の
信頼性を考慮すると20〜30μmが望ましい。
【0071】続けてその後、金属箔401aおよび40
1bを絶縁基板405に残したまま、転写キャリア40
0aおよび400bを分離する(図4(f))。このと
き銅メッキ層404のうち、転写キャリア400aおよ
び400b上に形成された部分が、転写キャリアと一緒
に取り除かれる。銅メッキ層404のうち、スルーホー
ル403の内壁に形成された部分は取り除かれることな
く金属導体層406としてそのままスルーホール403
内に残存する。また、金属箔401aおよび401b
は、表面に凹凸が発生することなく回路基板に積層して
いる状態となる。金属導体層406は、金属箔401a
および401bと電気的に接続されており、絶縁基板両
面の金属箔同士が互いにスルーホール接続されているこ
とになる。
【0072】最後に、金属箔401aおよび401b
に、化学エッチング法などのエッチングを行い、所定の
回路パターン407aおよび407bを形成すること
で、本実施の形態の回路基板408を得ることができ
る。この回路基板408において、回路パターン407
aおよび407bの平均厚みは、金属導体層406の平
均厚み以下となっている。
【0073】また、図4に示した製造方法の例におい
て、プリプレグ402の硬化後に、スルーホール403
を形成し、その後、銅メッキ層404を形成したが、図
3に示した例と同様に、プリプレグ402を硬化させず
にスルーホール403を形成した後にプリプレグ402
を硬化させ、その後、銅メッキ層404を形成しても構
わない。
【0074】なお、上記したそれぞれの製造方法の例に
おいて、回路基板を多層化する場合は、まず、プリプレ
グと、回路パターンまたは金属箔を表面に持つ転写キャ
リアとの積層体を一層硬化させ、転写キャリアを分離し
た後に、さらにプリプレグと、回路パターンまたは金属
箔を表面に持つ転写キャリアとを重ねて硬化させ、複数
層の絶縁層を持つ積層体を形成した後に、所定の位置に
スルーホールを形成すればよい。その後、上記したそれ
ぞれの製造方法の例における、スルーホール形成後の工
程を行えば、回路基板を多層化することができる。
【0075】また、上記したそれぞれの製造方法の例に
おいて、転写キャリアに対し、金属箔または回路パター
ンをプリプレグに転写させる役割と、金属箔または回路
パターン上に銅メッキ層の形成を防ぐ役割を同時に担わ
せているが、これを別々の手段を用いて行うこともでき
る。例えば、まず、プリプレグに金属箔または回路パタ
ーンを積層させ、その後、金属箔または回路パターン上
に銅メッキの形成を防ぐための被膜層を新たに積層させ
る方法を用いても、本発明の回路基板を上記の例と全く
同様に得ることができる。
【0076】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。
【0077】まず、本実施例に用いられるプリプレグお
よび転写形成材(金属箔または回路パターンを表面に持
つ転写キャリア)の準備について説明する。
【0078】本実施例に用いられるプリプレグAおよび
プリプレグB、ならびに転写形成材Aおよび転写形成材
Bを以下のようにして準備した。
【0079】<プリプレグA>プリプレグAとして、無
機フィラーおよび熱硬化性樹脂を含むものを準備した。
無機フィラーとしてシリカフィラー(関東化学社製 平
均粒径10μm)を、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂
(日本ペルノックス(株)社製 WE−2025、酸無
水系硬化剤を含む)を用いた。
【0080】まず、エポキシ樹脂14重量%とシリカフ
ィラー86重量%との混合物を準備する。この混合物
に、溶剤であるメチルエチルケトン(関東化学(株)社
製)を、混合物の重量に対して10重量%加え、全体を
攪拌混合機(井上製作所製 プラネタリーミキサー)に
より混合した。使用した攪拌混合機は、所定の容量の容
器にシリカフィラーと液状のエポキシ樹脂、および溶剤
を投入し、容器自身を自転させながら公転させるもの
で、比較的粘度が高い場合でも充分なフィラーの分散状
態が得られるものである。本実施例において、総量1k
gの上記組成の混合物に対して、約200rpmの回転
速度で、およそ30分の攪拌を行った。
【0081】十分な攪拌の後、ペースト状になった混合
物の所定量を取り、離型フィルム上に成膜させた。離型
フィルムとして、表面にシリコンによる離型処理が施さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レアルフ
ァート社製 厚さ75μm)を用いた。成膜にはドクタ
ーブレード法を用い、約150μmの厚さの成膜を行っ
た。
【0082】次に、離型フィルムごと膜を加熱し、膜表
面の粘着性が無くなるような条件(120℃、15分)
で乾燥熱処理を行い、平均厚み500μmの、表面に粘
着性のないプリプレグAを得た。用いたエポキシ樹脂の
硬化開始温度は130℃であり、このような乾燥熱処理
条件では、エポキシ樹脂がゲル状のB状態(B−Sta
ge)にあるため、プリプレグAは未硬化状態のままで
あり、以降の工程で加熱により再度溶融、あるいは硬化
させることができる。
【0083】<プリプレグB>プリプレグBとして、市
販のエポキシ樹脂−ガラス布複合体プリプレグ(松下電
工製 R−5715 厚さ100μm)を準備した。
【0084】<転写形成材A>転写キャリアとして銅箔
(厚さ70μm)を準備し、その上に電解メッキ法によ
って金属クロム剥離層(厚さ0.1μm)を形成した。
さらにその上に電解銅メッキ法を用いて、回路パターン
形成用の銅金属箔(厚さ9μm)を形成した。
【0085】<転写形成材B>転写形成材A表面の回路
パターン形成用の銅金属箔を、塩化第2銅を用いた化学
エッチングによって処理することで、回路パターンを表
面に持つ転写形成材Bを準備した。この際、金属クロム
剥離層により転写キャリアである銅箔のエッチングは防
止されるため、転写キャリア上に平均厚み9μmの回路
パターンを形成することができた。
【0086】(実施例1)表面に回路パターンを持つ転
写形成材Bと、プリプレグBとの組み合わせで実施例1
を行った。
【0087】プリプレグBの両面に、転写形成材Bを、
回路パターンがプリプレグと接するように積層し、熱プ
レスによりこの積層体全体を加熱加圧した。熱プレス
は、真空下において、170℃、4MPaで1時間行っ
た。加熱加圧することにより、プリプレグ中のエポキシ
樹脂が硬化し絶縁基板となり、回路パターンが絶縁基板
に埋没して、積層体全体が一体化された。
【0088】次に、積層体の厚み方向に、ドリル加工を
用いてスルーホールを形成した。ドリル加工は、プリン
ト配線板のスルーホール形成に用いられるNC機械にて
行った。
【0089】その後、無電解および電解銅メッキを用い
て、スルーホール内壁を含む表面に銅メッキ処理を施
し、銅メッキ層を形成した。銅メッキ層の平均厚みは3
0μmであった。
【0090】最後に、回路パターンを絶縁基板に残した
まま転写キャリアを剥離した。このとき、転写キャリア
上に形成された銅メッキ層は、転写キャリアとともに剥
離され、結果、スルーホール内壁の銅メッキ層が積層体
に残された。スルーホール内壁に形成された銅メッキ層
は、厚さ30μmの金属導体層となり、両面の回路パタ
ーン間の電気的接続が良好なスルーホール回路基板を得
ることができた。
【0091】この回路基板の、回路パターンの平均厚み
は、9μmと一定厚みであり、高精度な配線パターンと
することができた。また、両面の回路パターンは、回路
基板表面に埋没しており、表面に凹凸のない回路基板と
することができた。このため、後に行われるスクリーン
印刷にて、任意の場所にソルダーレジストを印刷するこ
とができ、さらにその後、表面温度150℃、20分に
てソルダーレジストを乾燥、硬化させた際にも均一で精
度よい印刷膜を形成することが可能であった。
【0092】(実施例2)表面に回路パターンを持つ転
写形成材Bと、プリプレグAとの組み合わせで実施例2
を行った。
【0093】プリプレグAの両面に、転写形成材Bを、
回路パターンがプリプレグと接するように積層し、熱プ
レスによりプリプレグAに含まれるエポキシ樹脂が硬化
しない条件下で、加熱加圧を行い、プリプレグAと転写
形成材Bとを接着させた。加熱加圧の条件は、温度11
0℃、圧力2MPaで10分間である。プリプレグAに
含まれるエポキシ樹脂は、約130℃で硬化を開始する
ため、この加熱加圧条件では硬化することなく、B状態
のまま転写形成材に接着しているが、熱を加えること
で、溶融し、配線パターンの間に流れ込んだ状態となっ
た。
【0094】次に、この積層体の厚み方向に、実施例1
と同じドリル加工を用いてスルーホールを形成した。こ
のとき、プリプレグAに含まれるエポキシ樹脂がB状態
であるため、プリプレグAに含まれる無機フィラーの存
在にかかわらず、容易にスルーホールを形成することが
できた。
【0095】続いて、乾燥機中において積層体を加圧せ
ずに熱処理(170℃、60分)し、プリプレグの硬化
を行った。加圧することなく熱処理を行ったため、スル
ーホールが溶融した樹脂に塞がれることなく、加工した
スルーホールの穴形状を維持したまま硬化させることが
できた。
【0096】硬化後、実施例1と同様に、銅メッキ処理
による銅メッキ層の形成、転写キャリアの剥離を行っ
た。結果、スルーホール内壁に形成された銅メッキ層
は、厚さ30μmの金属導体層となり、両面の回路パタ
ーン間の電気的接続が良好なスルーホール回路基板を得
ることができた。
【0097】実施例1と同様に、この回路基板の、回路
パターンの平均厚みは、9μmと一定厚みであり、高精
度な配線パターンとすることができた。また、両面の回
路パターンは、回路基板表面に埋没しており、表面に凹
凸のない回路基板とすることができた。この回路基板
は、実施例1のものと同様に、後に行われるスクリーン
印刷にて、任意の場所にソルダーレジストを印刷するこ
とができ、さらにその後、表面温度150℃、20分に
てソルダーレジストを乾燥、硬化させた際にも均一で精
度よい印刷膜を形成することが可能であった。
【0098】従来、本実施例で用いたような、無機フィ
ラーを含むプリプレグを用いた場合、無機フィラーの影
響によりドリル加工時にドリル磨耗が発生し、コスト
上、あるいは品質上の問題があったが、本実施例ではプ
リプレグに含まれる熱硬化樹脂が未硬化状態のままスル
ーホールを形成できるので、極めて安価で高品質のスル
ーホール加工が実現できることになる。
【0099】(実施例3)表面に厚さ9μmの銅金属層
を持つ転写形成材Aと、プリプレグBとの組み合わせで
実施例3を行った。
【0100】プリプレグBの両面に、転写形成材Aを、
銅金属層がプリプレグと接するように積層し、熱プレス
によりこの積層体全体を加熱加圧した。熱プレスは、真
空下において、170℃、4MPaで60分間行った。
加熱加圧することにより、プリプレグ中のエポキシ樹脂
が硬化し絶縁基板となり、積層体全体が一体化された。
【0101】次に、積層体の厚み方向に、実施例1で用
いたドリル加工によりスルーホールを形成した。その
後、無電解および電解銅メッキを用いて、スルーホール
内壁を含む表面に銅メッキ処理を施し、銅メッキ層を形
成した。銅メッキ層の平均厚みは30μmであった。
【0102】続いて、銅金属層を絶縁基板に残したまま
転写キャリアを剥離した。これにより、銅金属層が両表
面に残り、スルーホール内壁に銅メッキ層が形成された
積層体を得ることができた。その後、この積層体の両表
面の銅金属層を化学エッチング法にて加工し、所定の回
路パターンを形成し、両面の回路パターン間の電気的接
続が良好なスルーホール回路基板を得ることができた。
完成した回路基板の回路パターンの平均厚みは9μm、
スルーホール内壁の金属導体層は30μmの平均厚みと
なり、高精度な回路パターン形成が可能な、信頼性の高
いスルーホール接続を持つ回路基板を得ることができ
た。
【0103】(実施例4)表面に厚さ9μmの銅金属層
を持つ転写形成材Aと、プリプレグAとの組み合わせで
実施例4を行った。
【0104】プリプレグAの両面に、転写形成材Aを、
銅金属層がプリプレグと接するように積層し、実施例2
と同様に、熱プレスによりプリプレグAに含まれるエポ
キシ樹脂が硬化しない条件下で、加熱加圧を行い、プリ
プレグAと転写形成材Aとを接着させた。加熱加圧の条
件は、温度110℃、圧力2MPaで10分間である。
プリプレグAに含まれるエポキシ樹脂は、約130℃で
硬化を開始するため、この加熱加圧条件では硬化するこ
となく、B状態のまま転写形成材に接着していた。
【0105】次に、この積層体の厚み方向に、実施例1
と同じドリル加工を用いてスルーホールを形成した。こ
のとき、プリプレグAに含まれるエポキシ樹脂がB状態
であるため、プリプレグAに含まれる無機フィラーの存
在にかかわらず、容易にスルーホールを形成することが
できた。
【0106】続いて、乾燥機中において、ステンレス板
を積層体に重ねて圧力0.1MPaで熱処理し、プリプ
レグの硬化を行った。熱処理の条件は、170℃で60
分であった。低い圧力で熱処理を行ったため、スルーホ
ールが溶融した樹脂に塞がれることなく、加工したスル
ーホールの穴形状は維持されており、また、銅金属層と
プリプレグが接着した状態で硬化させることができた。
【0107】次に、無電解および電解銅メッキを用い
て、スルーホール内壁を含む表面に銅メッキ処理を施
し、銅メッキ層を形成した。銅メッキ層の平均厚みは3
0μmであった。
【0108】続いて、銅金属層を硬化後の積層体に残し
たまま転写キャリアを剥離した。これにより、銅金属層
が積層体の表面に残り、スルーホール内壁に銅メッキ層
が形成された積層体を得ることができた。その後、この
積層体の表面の銅金属層を化学エッチング法にて加工
し、所定の回路パターンを形成し、両面の回路パターン
間の電気的接続が良好なスルーホール回路基板を得るこ
とができた。完成した回路基板の回路パターンの平均厚
みは9μm、スルーホール内壁の金属導体層の平均厚み
は30μmとなり、高精度な回路パターン形成が可能
な、信頼性の高いスルーホール接続を持つ回路基板を得
ることができた。
【0109】また、実施例2と同様に、本実施例ではプ
リプレグに含まれる熱硬化樹脂が未硬化状態のままスル
ーホールを形成できるので、極めて安価で高品質のスル
ーホール加工が実現できることになる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
均一な配線パターンが精度よく形成できる高周波回路な
どに好適な回路基板を提供することができる。また、本
発明によれば、無機フィラーを含む回路基板の場合にお
いても、熱硬化性樹脂が未硬化の状態でスルーホールの
加工を行うことができるため、従来のガラスエポキシ基
板と同等の安価な回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における回路基板の一例を示す断面図
【図2】 本発明における回路基板の製造方法の一例を
示す工程別の断面図
【図3】 本発明における回路基板の製造方法の一例を
示す工程別の断面図
【図4】 本発明における回路基板の製造方法の一例を
示す工程別の断面図
【符号の説明】
100、205、305、405 絶縁基板 101、201、201a、201b、301、301
a、301b、407a、407b 回路パターン 102、206、306、406 金属導体層 103、203、303、403 スルーホール 104、207、307、408 回路基板 200、200a、200b、300、300a、30
0b、400、400a、400b 転写キャリア 202、302、402 プリプレグ 204、304、404 銅メッキ層 401、401a、401b 金属箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 浩一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E317 AA24 BB02 BB12 CC33 CD25 CD27 CD32 GG11 GG20 5E343 AA07 AA15 AA16 AA17 BB24 DD43 DD53 DD56 DD76 ER52 GG08 GG13 GG20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂を含み、スルーホールを有
    する絶縁基板と、前記絶縁基板上に配置された少なくと
    も1層の回路パターンとを含み、前記スルーホールの内
    壁に金属導体層が形成された回路基板であって、 前記回路パターンを形成する金属箔の平均厚みが、前記
    金属導体層の平均厚み以下であることを特徴とする回路
    基板。
  2. 【請求項2】 絶縁基板が、ガラス繊維を含むことを特
    徴とする請求項1に記載の回路基板。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂が、エポキシ系樹脂、フェ
    ノール系樹脂およびシアネート系樹脂から選ばれる少な
    くとも1つの樹脂を含むことを特徴とする請求項1また
    は2に記載の回路基板。
  4. 【請求項4】 絶縁基板が、無機フィラーを含むことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路基
    板。
  5. 【請求項5】 無機フィラーが、アルミナ、シリカ、マ
    グネシア、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素から選ば
    れる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に
    記載の回路基板。
  6. 【請求項6】 回路パターンを形成する金属箔が、銅を
    含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記
    載の回路基板。
  7. 【請求項7】 金属導体層が、銅を含むことを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路基板。
  8. 【請求項8】 (a)熱硬化性樹脂を含むプリプレグ
    に、金属箔と被膜層とを、前記プリプレグと前記金属箔
    とが接するように重ね合わせる工程と、 (b)重ね合わせた積層体にスルーホールを形成する工
    程と、 (c)前記スルーホールの内壁を含む前記積層体の表面
    に、金属導体層を形成する工程と、 (d)前記被膜層を前記積層体から分離して、前記金属
    箔を前記プリプレグに残す工程とを少なくとも含むこと
    を特徴とする回路基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 (a)熱硬化性樹脂を含むプリプレグ
    に、金属箔を有する転写キャリアを、前記プリプレグと
    前記金属箔とが接するように重ね合わせる工程と、 (b)重ね合わせた積層体にスルーホールを形成する工
    程と、 (c)前記スルーホールの内壁を含む前記積層体の表面
    に、金属導体層を形成する工程と、 (d)前記転写キャリアを前記積層体から分離して、前
    記金属箔を前記プリプレグに転写する工程とを少なくと
    も含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属導体層の形成を、メッキにより行
    うことを特徴とする請求項8または9に記載の回路基板
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 工程(a)に用いる金属箔に、予め回
    路パターンが形成されていることを特徴とする請求項8
    〜10のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 工程(d)の後に、金属箔に回路パタ
    ーンを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求
    項8〜10のいずれか一項に記載の回路基板の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 回路パターンを形成する工程を、エッ
    チング処理によって行うことを特徴とする請求項12に
    記載の回路基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 工程(a)と工程(b)との間に、重
    ね合わせた積層体を、加熱加圧することにより硬化させ
    る工程をさらに含むことを特徴とする請求項8〜13の
    いずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
  15. 【請求項15】 工程(a)と工程(b)との間に、重
    ね合わせた積層体を、熱硬化性樹脂が硬化しない温度で
    加熱加圧することにより、未硬化のまま接着させる工程
    をさらに含み、 工程(b)と工程(c)との間に、スルーホールを形成
    した前記積層体を、加熱することにより硬化させる工程
    をさらに含むことを特徴とする請求項8〜13のいずれ
    か一項に記載の回路基板の製造方法。
  16. 【請求項16】 被膜層が、金属フィルムおよび有機フ
    ィルムから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴と
    する請求項8に記載の回路基板の製造方法。
  17. 【請求項17】 転写キャリアが、金属フィルムおよび
    有機フィルムから選ばれる少なくとも一つを含むことを
    特徴とする請求項9に記載の回路基板の製造方法。
  18. 【請求項18】 スルーホールの形成を、ドリル加工法
    によって行うことを特徴とする請求項8〜17のいずれ
    か一項に記載の回路基板の製造方法。
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