JP2003157657A - 磁気テープの光学サーボトラック形成・クリーニング装置 - Google Patents

磁気テープの光学サーボトラック形成・クリーニング装置

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JP2003157657A
JP2003157657A JP2002345047A JP2002345047A JP2003157657A JP 2003157657 A JP2003157657 A JP 2003157657A JP 2002345047 A JP2002345047 A JP 2002345047A JP 2002345047 A JP2002345047 A JP 2002345047A JP 2003157657 A JP2003157657 A JP 2003157657A
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magnetic
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Application number
JP2002345047A
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Inventor
Hiroyuki Ota
博之 太田
Haruhiko Fujisawa
治彦 藤沢
Naoki Mukai
直樹 向井
Satoru Fukiage
悟 吹上
Kenji Sano
健治 佐野
Shigeo Fujitani
茂夫 藤谷
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不要な粉体付着によるドロップアウトの発生
等が起きにくい磁気テープを得るのに好適な光学サーボ
トラック形成・クリーニング装置を提供する。 【解決手段】 巻かれた磁気テープを所定の方向に送り
出す送り出し機構部と、送り出された磁気テープのバッ
クコート層の表面にレーザー光を照射して光学サーボ用
の凹部を形成する光学サーボトラック形成部と、この凹
部形成後にバックコート層の表面をクリーニングするク
リーニング部と、このクリーニング後に磁気テープを巻
き取る巻き取り機構部とを有し、前記クリーニング部に
は、バックコート層の表面をクリーニングすべく、起毛
した毛を有する植毛体、織布または不織布をバックコー
ト層の表面に接触させる接触部と、バックコート層の表
面に付着している不要な粉体を拭き取る拭き取り部とを
配置した構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックコート層に
光学サーボトラック用の凹部が設けられる磁気テープの
光学サーボトラック形成・クリーニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】磁気
テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピ
ユータのデータバックアップ用テープなど種々の用途が
ある。このうち例えばデータバックアップ用テープ(バ
ックアップテープ)の分野では、バックアップ対象とな
るハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数十G
B以上の記憶容量のものが商品化されているが、今後も
ハードディスクのさらなる大容量化に対応するため、そ
の高容量化が不可欠となっている。また、アクセス速度
や転送速度を大きくするため、テープの送り速度や、テ
ープとヘッド間の相対速度も高める必要がある。
【0003】バックアップテープ1巻当たりの高容量化
のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテー
プ長さを長くすること、磁性層の厚さを0.3μm以下
と極めて薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長
を短くすることと共に、トラック幅を15μm以下と
狭くして幅方向の記録密度を高くすることが必要であ
る。
【0004】磁性層の厚さを0.3μm以下と極めて薄く
すると、耐久性が劣化するので、非磁性支持体と磁性層
との間に少なくとも一層の下塗層を設けることが好まし
い。また、記録波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッド
とのスペーシングの影響が大きくなるので、磁性層に大
きな突起やへこみがあると、スペーシングロスによる出
力の低下により、エラーレートが高くなる。
【0005】磁性層の厚さを0.3μm以下と極めて薄く
すると共に記録波長を短くすると、磁気記録媒体からの
漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも
高い出力が得られる磁気抵抗効果型素子を使用した再生
ヘッド(以下、MRヘッド)を使用することが好まし
い。
【0006】また、トラック幅(データトラックに記録
された信号のトラック幅)を1.5μm以下と狭くして、
幅方向の記録密度を高くすると、オフトラックによる再
生出力の低下が問題になるので、その対策としてトラッ
クサーボが必要になる。
【0007】このようなトラックサーボ方式の一つに光
学式トラックサーボ方式がある。これは、レーザー光の
照射やスタンパによる押圧等で光学サーボ用の凹部を形
成し、これを光学的に検出してサーボトラッキングを行
うものである。
【0008】さらに、この種の光学式トラックサーボ方
式には、フロプティカルディスク(光学サーボトラック
方式のフロッピー(登録商標)ディスク)の磁性層に光
学サーボ用の凹部を形成したもの(例えば特許文献1参
照)や、磁気テープのバックコート層に光学サーボ用の
凹部を形成したもの(例えば特許文献2、3参照)など
がある。
【0009】
【特許文献1】特開平3−141087号公報
【特許文献2】特開平11−339254号公報
【特許文献3】特開平11−213384号公報
【0010】バックコート層に光学サーボ用の凹部を形
成したものでは、当該バックコート層における凹部と平
坦部との光反射率の違いを検知してトラックサーボを行
なう。すなわち、このような凹部を有するバックコート
層に光を当てると、当該凹部では光が乱反射するために
光検知器に入る反射光強度が弱く、平坦部では光が正反
射するので反射光強度が強くなるが、上記の方式は、こ
のことを利用して、凹部により形成されるサーボトラッ
クをトラッキングするものである。具体的には、バック
コート層のサーボトラッキングに連動して、磁性層の記
録・再生を行う磁気ヘッドが動くことにより、磁気記録
トラックのサーボを行う。
【0011】この方式では、通常のレーザーで光学サー
ボ用の凹部を形成すれば、乱反射により凹部からの光反
射強度を充分小さくできるが、従来公知の磁気テープに
おけるバックコート層では平坦部の光反射強度が小さ
く、かつ平坦部の光反射率の場所による変動が大きかっ
たため、光学サーボのS/Nを充分高く取れないという
問題があった。原因は、従来の磁気テープのバックコー
ト層においては主にテープ走行性のみが重視され、光反
射率に関しては考慮されていなかったためである。
【0012】また、レーザー照射やスタンパ押圧等でバ
ックコート層に凹部を形成すると、当該凹部の周辺部分
(凹端部)に盛り上がりが生じることが避けられないた
め、例えば次のような問題が生じる。すなわち、テープ
全厚を6μm以下とする場合、テープ剛性(テープのヤ
ング率をE、テープの全厚をTとしたときのET3 )が
小さくなるので、テープ走行時の巻取テンションを小さ
くする必要があるが、その場合、磁気テープの特定の位
置が上記のように盛り上がっていると、テープリールを
巻き取った際にトラック形成部が極端に盛り上がり、い
わゆるテープの巻き乱れ現象が起こる。
【0013】加えて、上記のような盛り上がり部がある
と、これらが磁気テープの記録層(磁気記録面)に裏う
つりして、記録層に凹凸が形成され、その結果、再生出
力が低下するといった問題も生じる。なお、光学式サー
ボトラック方式を採用した磁気ディスクでは、磁気テー
プのような巻き取りは行わないので、光学サーボ用の凹
部の周辺部分が盛り上がっていても上記のようなテープ
の巻き乱れ現象や裏うつり現象は生じる余地がない。つ
まり、このような現象は、磁気テープではじめて問題と
なるものである。この問題を解決するためには、盛り上
がり部の高さを平坦部の最大突起高さ(P−O)以下に
することが好ましい。
【0014】さらに、レーザー照射によりバックコート
層に凹部を形成する方法では、バックコート層にレーザ
ー光を照射してそのエネルギーでコーティング面を焼き
飛ばし、凹状のパターンを形成するので、生産性は高い
ものの、パターンの形成時にレーザーにより焼き飛ばさ
れた焼きカス(燃焼カス)が紛体となって凹部およびそ
の周辺に多数付着する。この燃焼カスをそのまま放置し
ておくと、走行系の汚れが起こるばかりでなく、バック
コート層の光学的読み取りS/Nの低下や、燃焼カスの
磁性層への付着によるドロップアウトの発生の原因にな
る。また、バックコート層表面の平坦部の光反射率が小
さくなり、磁気テープ長手方向の反射率の変動が大きく
なる。これも光学的読み取りS/Nの低下の原因にな
る。このため、燃焼カスの除去は必須である。
【0015】レーザー照射により光学サーボ用の凹部を
形成した際に生じる燃焼カスを除去する方法としては、
光学サーボ用の凹部を形成したフロプティカルディスク
の燃焼カスの除去に固体CO2 を使用する方法が知られ
ている(例えば特許文献4参照)。ディスク形状である
フロプティカルディスクでは、クリーニングを行う面積
が限定され、多数回ディスクを高速回転させることによ
り、クリーニングに必要な固体CO2 を簡単に吹き付け
ることが可能である。
【0016】
【特許文献4】米国特許第5419733号明細書
【0017】しかしながら、これを磁気テープのクリー
ニング手段としてそのまま用いた場合、長尺物である磁
気テープでは、クリーニングを行う対象の延面積は莫大
となり、なおかつ多数回固体CO2 を吹き付けるにはデ
ィスク状のものに比べCO2使用量が大量になるなど、
効率面で問題がある。また、レーザー照射によりサーボ
パターンを生成する際に発生する燃焼カスが、磁気テー
プを再び巻くことで磁気テープに付着転移し、ドライブ
ガイドローラーや磁気ヘッドに燃焼カスが付着するとい
うフロプティカルディスクにはない問題点もある。
【0018】一方、テープ状の磁気テープ表面のクリー
ニング方法としては、テープ状のティッシュクリーニン
グテープを磁気テープ表裏面に接触させることによりク
リーニングするものがあるが、平坦部のクリーニング効
果は不十分で、レーザーにより凹状に生成されたサーボ
ドットの内部をクリーニングする効果も小さい。また、
上記のクリーニング処理にブレード処理を組み合わせる
方法も考えられるが、バックコート層は磁性層に比べて
強度が低いために強いブレード処理をするとバックコー
ト層が傷つき、逆にブレード処理を弱くすると燃焼カス
除去効果が無くなるので、条件設定が非常に難しく、大
量生産は困難である。さらに、凹状に生成されたサーボ
ドットの内部をクリーニングする効果はほとんど無い。
【0019】本発明は、上述した問題点を解消するため
になされたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、比較的簡
単な装置で、光学サーボ用にレーザー照射によって形成
された凹部の内部および周辺に付着した燃焼カスを効率
よく除去する方法について検討した。その結果、磁気テ
ープを長手方向に走行させながら、起毛した毛を有する
植毛体、織布(好ましくはベルベット)または不織布を
接触させる工程を含む方法により、磁気テープを一度走
行させるだけで、燃焼カスの除去に絶大な効果を発揮す
ることが明らかになった。すなわち、本発明装置は、磁
気テープを高速(例えば約10m/秒)で走行させて、
そのバックコート層表面に起毛した毛を有する植毛体、
織布(好ましくはベルベット)または不織布を接触させ
る工程を含む方法で当該バックコート層表面をクリーニ
ングすることにより、バックコート層表面に存在する光
学サーボ用の凹部の内部および周辺に付着した燃焼カス
(粉体等)を効率よく除去できるようにしたものであ
る。
【0021】具体的には、図1に例示するように、巻か
れた磁気テープ1を所定の方向に送り出す送り出し機構
部11と、送り出された磁気テープ1のバックコート層
の表面にレーザー光を照射して光学サーボ用の凹部を形
成する光学サーボトラック形成部12と、この凹部形成
後にバックコート層の表面をクリーニングするクリーニ
ング部13と、このクリーニング後に磁気テープ1を巻
き取る巻き取り機構部14とを有し、前記クリーニング
部13に、バックコート層の表面をクリーニングすべ
く、起毛した毛を有する植毛体、織布または不織布をバ
ックコート層の表面に接触させる接触部15bと、例え
ばティッシュによりバックコート層の表面に付着してい
る不要な粉体を拭き取る拭き取り部17とを配置したも
のである。この装置は、磁気テープのバックコート層に
対する光学サーボ用の凹部の形成作業と、燃焼カスのク
リーニング作業とを1本のラインで行えるので、生産性
が高い。この場合において、光学サーボトラック形成部
と、クリーニング部における接触部と拭き取り部の各部
別に張力制御手段を備えて、これらの張力制御手段によ
り各部別に磁気テープの張力を制御するようにすれば、
生産性を向上させることができる。
【0022】効率よくサーボパターンを生成するには、
長さ数千メートル以上に巻かれた磁気テープを走行させ
ながら、レーザー照射によりバックコート層の表面に光
学サーボ用の凹部を形成した後、クリーニング処理およ
び表面に対する拭き取り処理を行い、その後に再び整然
と巻き取りうるような装置が望ましいが、このような観
点からも、本発明に係る光学サーボトラック形成・クリ
ーニング装置は有効である。ただし、このような装置に
おいては、光学サーボトラック形成部12、クリーニン
グ部13における接触部15bおよび拭き取り部17の
それぞれにおいて張力ロスが存在し、テープに対する最
適な張力(例えば、70g〜200g)を超えることが
ある。そのため、各部別に磁気テープの張力を制御する
張力制御手段を備えるのが好ましい。具体的には、後述
する実施例において説明するように、第1〜第3吸引ロ
ール22〜24により張力を絶縁し、各部に備えた張力
検出器27・28の値を、各吸引ロール22〜24を回
転させるサーボモータにフィードバックして制御するこ
とで、磁気テープ1に対する最適な張力を保ちながら走
行させるようにした装置が有効である。
【0023】図2に、レーザー照射により形成される光
学サーボ用の凹部の配列パターン(サーボパターン)の
一例を示す。図示したものは、テープ幅が12.64mm
(1/2インチ)である磁気テープ1におけるサーボパ
ターン5の一例であるが、この例では、そのテープ幅方
向に、それぞれテープ長手方向に延びる4列のバンド5
aが形成されている。1本のバンド5aの幅は約0.4mm
である。各バンド5aは、微視的には光学サーボ用の凹
部がテープ長手方向に並んだ状態のものを一列とし、こ
の凹部の列がテープ幅方向に間隔を開けて複数並んだ構
成とされている。レーザー照射により発生した粉体は、
サーボパターンの凹部の内面に最も多く付着している。
本発明装置によりバックコート層表面の凹部およびその
周辺に存在する燃焼カスを効率良く除去できるのは、起
毛した毛が凹部に進入し、かつ適正な長さと剛性を持つ
ので、この凹部に進入した毛によって燃焼カスが凹部か
ら効率的に掻き出されるからであると考えられる。
【0024】上記の起毛した毛の単繊維径は、0.5μm
〜10μmが好ましく、1μm〜8μmがより好まし
く、2μm〜6μmがさらに好ましい。この範囲の単繊
維が好ましいのは、0.5μm未満の単繊維径では毛の剛
性(腰の強さ)が小さいので燃焼カスの掻き出し効果が
小さく、10μmを超えると毛が凹部に進入しにくくな
るためである。
【0025】単繊維の毛足の長さは、0.5mm〜5mmが好
ましく、1mm〜4mmがより好ましく、1mm〜3mmがさら
に好ましい。この範囲が好ましいのは、0.5mm未満で
は、毛が凹部に進入しにくく、5mmを超えると毛の剛性
(腰の強さ)が小さくなり燃焼カスの掻き出し効果が小
さくなるためである。また、剛性を保ちながら掻きだし
効果を得る手段として太い単繊維先端部を分割する方法
も有効である。
【0026】起毛した毛は、綿、麻のような天然繊維、
レーヨン、ポリエステルのような合成繊維の少なくとも
一種が使用される。繊維は単独、混紡のいずれでもよ
い。また、繊維は単繊維でもよいし2本以上撚り合わせ
たものでもよい。
【0027】これらの起毛した毛の材料としては、綿は
適度な剛性(腰の強さ)および太さを有するので、少な
くとも綿を含むことが好ましい。例えば、綿30%〜7
0%レーヨン70%〜30%の混紡タイプのものが使用
できる。
【0028】起毛した毛を有する植毛体、織布または不
織布は、図3に示すように回転ドラム31に起毛クロス
32を巻き付けて数千メートルの長尺磁気テープ1巻毎
に取り替える方式でもよいし、起毛クロスを連続的に供
給する方式でもよいが、前者の方式によれば装置が簡便
になる。そこで、以下では、前者の方式を例にとって説
明する。
【0029】図3に示すように、高速(例えば10m/
秒)で走行する磁気テープ1のバックコート層2の表面
に一定の接触角度90°〜140°で起毛ドラム(図3
に示したように回転ドラム31の外周に起毛クロス32
を巻き付けたもの)30を接触させるとともに、磁気テ
ープ1の走行方向と対向する方向に一定の速さ[ 30〜
50rps(1800〜3000rpm) ]で起毛ドラ
ム30を回転させ、入側テンションを50〜100g、
出側テンションを170〜260gにすることで、テー
プテンションを1.7〜2.5Nに調整すれば、燃焼カスの
除去効果が高くなるので好ましい。
【0030】接触角度90°〜140°が好ましいの
は、90°未満では磁気テープ送り速度を小さくするこ
とが必要になって燃焼カス除去に時間が掛かり、処理時
間が短い場合には磁気テープの記録・再生を繰り返すと
燃焼カスが凹部から脱落して磁性層やバックコート層平
坦部等に再付着するためにエラーレートの上昇やサーボ
信号のS/N低下の原因になりやすいからであり、また
140°を超えると装置の部品配置が窮屈になりやすい
ためである。通常、90°〜120°がより好ましい。
【0031】起毛ドラムの回転速度は、188.4〜31
4ラジアン/秒(1800〜3000rpm)が好まし
い。回転速度が188.4ラジアン/秒(1800rp
m)未満では、磁気テープ送り速度を小さくすることが
必要になって燃焼カス除去に時間がかかり、回転速度が
314ラジアン/秒(3000rpm)を超えると、モ
ータが高価になるからである。また、2個以上の起毛ド
ラムを配置する方法もあるが、装置が大きくなる。
【0032】以下に、各構成要素毎の好ましい形態を述
べる。 〈非磁性支持体〉非磁性支持体の厚さは、7.0μm以下
が好ましく、2.0〜7.0μmがより好ましい。この範囲
の厚さの非磁性支持体がより好ましいのは、2μm未満
では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7.0
μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当り
の記憶容量が小さくなるためである。
【0033】非磁性支持体の長手方向のヤング率は、非
磁性支持体の厚さによって異なるが、通常5.07GPa
(500kg/mm2 )以上のものが使用される。また、非
磁性支持体の厚さが、5.0μm以下の場合は、10.13
GPa(1000kg/mm2 )以上のヤング率のものが好
ましく使用される。前記範囲のヤング率の非磁性支持体
が用いられるのは、5.07GPa(500kg/mm2 )未
満では、磁気テープの強度が弱くなったり、磁気テープ
の走行が不安定になるためである。
【0034】非磁性支持体の長手方向のヤング率をM
D、幅方向のヤング率をTDとした時の比(MD/T
D)は、1.0〜1.8が好ましく、1.1〜1.7がより好ま
しい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチが良くな
るためである。このような非磁性支持体には、ポリエチ
レンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレー
トフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイ
ミドフィルム等がある。
【0035】〈下塗層〉非磁性支持体と磁性層との間に
下塗層を設けてもよい。下塗層の厚さは、0.3〜3.0μ
mが好ましく、0.3〜2.5μmがより好ましく、0.3〜
2.0μmがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、
0.3μm未満では磁気テープの耐久性が悪くなる場合が
あり、3.0μmを越えると磁気テープの耐久性向上効果
が飽和するばかりでなくテープ全厚が厚くなって、1巻
当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるた
めである。
【0036】下塗層には、導電性改良の目的でカーボン
ブラック(以下、CBともいう)、塗料粘度やテープ剛
性の制御を目的に非磁性粒子を添加することができる。
下塗層に使用する非磁性粒子としては、酸化チタン、酸
化鉄、アルミナ等があるが、酸化鉄単独または酸化鉄と
アルミナの混合系が好ましく使用される。下塗層に、下
塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、粒径10〜1
00nmのカーボンブラックを15〜35重量%、長軸
長0.05〜0.20μm、短軸長5〜200nmの非磁性
の酸化鉄を35〜83重量%、必要に応じて粒径10〜
100nmのアルミナを0〜20重量%含有させると、
ウエットオンウエットで、その上に形成した磁性層の表
面粗さが小さくなるので好ましい。なお、非磁性酸化鉄
としては針状の他、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を
使用してもよい。粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使
用する場合には粒径5〜200nmの酸化鉄が好まし
い。なお、表面の平滑性を損なわない範囲で100nm
以上の大粒径CBを添加することを排除するものではな
い。その場合のCB量は、小粒径CBと大粒径CBの和
を上記範囲内にすることが好ましい。
【0037】下塗層に添加するカーボンブラック(C
B)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラッ
ク、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒径が5
nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜1
00nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、
カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、
粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、10
0nm以上では平滑性が悪くなるためである。CB添加
量は、CBの粒子径によって異なるが、15〜35重量
%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未
満では導電性向上効果が乏しく、35重量%を越えると
効果が飽和するためである。粒径15nm〜80nmの
CBを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒
径20nm〜50nmのCBを20〜30重量%用いる
のがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブ
ラックを添加することにより電気抵抗が低減され、かつ
走行むらが小さくなる。
【0038】下塗層に添加する非磁性の酸化鉄として
は、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長
(粒径)5〜200nmのものが好ましく、粒状または
無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒
径5〜150nmがより好ましく、粒径5〜100nm
がさらに好ましい。なお、針状のものが磁性層の配向が
よくなるのでより好ましい。添加量は、35〜83重量
%が好ましく、40〜80重量%がより好ましい。この
範囲の粒径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒
径5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越え
ると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためであ
る。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満
では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると
かえって塗膜強度が低下するためである。
【0039】下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加
してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好
ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜10
0nmがさらに好ましい。この範囲の粒径が好ましいの
は、粒径10nm未満では均一分散が難しく、100n
mを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するた
めである。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%で
あるが、2〜10重量%がより好ましい。
【0040】〈潤滑剤〉下塗層と磁性層からなる塗布層
に、役割の異なる潤滑剤を使用することができる。下塗
層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を
含有させ、かつ0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステ
ルを含有させると、磁気テープと走行系のガイド等との
摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂
肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係
数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可
塑化してしまい強靭性が失われるからである。また、こ
の範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.
5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重
量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、磁気
テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用がある
からである。なお、脂肪酸としては、例えばラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘ
ン酸、オレイン酸、リノール酸などの高級脂肪酸が使用
される。脂肪酸エステルとしては、例えばステアリン酸
ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、
ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ス
テアリン酸ブトキシエチル、モノーステアリン酸無水ソ
ルビタン、ジーステアリン酸無水ソルビタン、トリース
テアリン酸無水ソルビタンなどが使用される。
【0041】磁性層において強磁性粉末(例えば強磁性
金属粉末)に対して0.2〜3.0重量%の脂肪酸アミドを
含有させ、かつ0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステ
ルを含有させると、磁気テープと走行系のガイドやMR
ヘッドのスライダ等との摩擦係数が小さくなるので好ま
しい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.2重
量%未満ではヘッドスライダ/磁性層の摩擦係数(動摩
擦係数)が大きくなりやすく、3.0重量%を越えるとブ
リードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発
生するからである。脂肪酸アミドとしては、例えばパル
ミチン酸、ステアリン酸等、上記の高級脂肪酸のアミド
が使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエス
テル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数
低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁気テープと
走行系のガイド等が貼り付く等の副作用があるためであ
る。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動
を排除するものではない。MRヘッドのスライダとの摩
擦係数(μmsl )は0.30以下が好ましく、0.25以下
がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.30を越
えると、スライダ汚れによるスペーシングロスが起こり
やすいためである。なお、0.10未満は実現が困難であ
る。SUSとの摩擦係数(μmsus)は0.10〜0.25が
好ましく、0.12〜0.20がより好ましい。この範囲が
好ましいのは、0.10未満になるとガイド部分で滑りや
すく走行が不安定になり、0.25を越えるとガイドが汚
れやすくなるためである。また、[(μmsl )/(μ
msus)]は0.7〜1.3が好ましく、0.8〜1.2がより好
ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの蛇行に
よるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるた
めである。
【0042】〈磁性層〉磁性層の厚さは上述のように、
通常0.3μm以下で、0.01〜0.3μmが好ましく、0.
01〜0.25μmがより好ましく、0.01〜0.10μm
がさらに好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.0
1μm未満では均一な磁性層が得にくく、0.3μmを越
えると厚さ損失により、再生出力が小さくなったり、残
留磁束密度と厚さの積が大きくなり過ぎて、MRヘッド
の飽和による再生出力の歪が起こりやすくなるためであ
る。また、磁性層の保磁力は、120〜320kA/m
が好ましく、140〜320kA/mがより好ましい。
この範囲が好ましいのは、120kA/m未満では記録
波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、32
0kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難にな
るためである。磁性層のテープ長手方向における残留磁
束密度(Br)と磁性層厚さ(δ)との積(Brδ)は
0.0018μTm〜0.06μTmが好ましく、0.003
6〜0.050μTmがより好ましい。この範囲が好まし
いのは、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる
再生出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッド
による再生出力が歪みやすいからである。磁性層の平均
面粗さRaが3.2nm以下1.0nm以上で、該磁性層の
凹凸の中心値をP0 、該磁性層の最大の凸量をP1 とし
た時の(P1 −P0 )が30nm以下10nm以上で、
第20番目の凸量をP20とした時の(P1 −P20)を5
nm以下にすれば、MRヘッドとのコンタクトがよくな
り、MRヘッドを使用した時の再生出力が高くなるので
好ましい。
【0043】磁性層に添加する磁性粉には、強磁性鉄系
金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末を使用するこ
とができる。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェ
ライト粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ま
しく、飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120
〜200A・m2 /kg(120〜200emu/g)が
好ましく、130〜180A・m2 /kg(130〜18
0emu/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェラ
イト粉末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70e
mu/g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性
と、強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束
計で外部磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値
をいうものである。
【0044】強磁性鉄系金属粉末の平均長軸長として
は、0.03〜0.2μmが好ましく、0.03〜0.18μm
がより好ましく、0.03〜0.10μmがさらに好まし
い。この範囲が好ましいのは、平均長軸長が0.03μm
未満となると、磁性粉の凝集力が増大するため塗料中へ
の分散が困難になり、0.2μmより大きいと、保磁力が
低下し、また粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きく
なる。また、六方晶バリウムフェライト粉末では、同様
な理由により、板径5〜200nmが好ましく、10〜
100nmがより好ましく、10〜50nmがさらに好
ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径は、走査型電子
顕微鏡(SEM)にて撮影した写真から粒子サイズを実
測し、100個の平均値により求めたものである。ま
た、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面積は、35
2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ま
しく、50m2 /g以上が最も好ましい。六方晶バリウ
ムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜100m2
/gが好ましく用いられる。
【0045】下塗層、磁性層に用いられる結合剤として
は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル
−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセ
ルロースなどの中から選ばれる少なくとも1種とポリウ
レタン樹脂との組み合わせがある。中でも、塩化ビニル
−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレ
タン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂に
は、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレ
タン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカ
ーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネー
トポリウレタンなどがある。
【0046】官能基としてCOOH,SO3 M、OSO
2 M,P=O(OM)3 、O−P=O(OM)2 [式
中、Mは水素原子、アルカリ金属イオン又はアミン塩を
表す。]、OH、NR' R'' 、N+R''' R''''
R''''' [式中、R' 、R''、R''' 、R''''、
R''''' は、それぞれ独立に水素または炭化水素基を表
す]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂
等の結合剤が使用される。このような結合剤を使用する
のは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためで
ある。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極
性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基同士
の組み合わせが好ましい。
【0047】これらの結合剤は、強磁性粉末100重量
部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重
量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビ
ニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜2
0重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0048】これらの結合剤とともに、結合剤中に含ま
れる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤
を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソ
シアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を
複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート
類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ま
しい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対し
て、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好
ましくは10〜35重量部である。なお、磁性層に使用
する架橋剤の量を下塗層に使用する量の1/2程度(3
0%〜60%)にすれば、MRヘッドのスライダに対す
る摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲が好ま
しいのは、30%未満では、磁性層の塗膜強度が弱くな
りやすく、60%を越えるとスライダに対する摩擦係数
を小さくするために、ティッシュによる拭き取り処理条
件(LRT処理条件)を強くする必要があり、コストア
ップにつながるためである。
【0049】導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来
公知のCBを添加する。これらのCBとしては、アセチ
レンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック
等を使用できる。粒子径が5nm〜200nmのものが
使用されるが、粒径10nm〜100nmのものが好ま
しい。この範囲が好ましいのは、粒径が5nm以下にな
るとCBの分散が難しく、200nm以上では多量のC
Bを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗
くなり、出力低下の原因になるためである。添加量は強
磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4
重量%がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2
重量%未満では効果が小さく、5重量%を越えるCBを
添加すると、磁性層表面が粗くなりやすいからである。
【0050】〈バックコート層〉バックコート層の厚さ
は、0.25〜0.8μmが好ましく、0.4〜0.8μmがよ
り好ましく、0.4〜0.6μmがさらに好ましい。この範
囲が良いのは、0.25μm未満では、光学サーボ用の凹
部の形成のための条件(レーザーパワー等)の制御が難
しく、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻
当たりの記憶容量が小さくなるためである。
【0051】バックコート層とSUSとの摩擦係数(μ
Bsus)は0.10〜0.30が好ましく、0.10〜0.25が
より好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満に
なるとガイド部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.
30を越えるとガイドが汚れやすくなるためである。ま
た、[(μmSL )/(μBsus)]は0.8〜1.5が好まし
く、0.9〜1.4がより好ましい。この範囲が好ましいの
は、磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフト
ラック)が小さくなるためである。
【0052】バックコート層の平坦部の光反射率の平均
値は8.5%以上が好ましく、9.0%以上がより好まし
く、10%以上がさらに好ましい。光反射率の平均値が
8.5%以上が好ましいのは、8.5%未満ではサーボ信号
(S)が小さくなりトラッキング不良の原因になるため
である。通常の実用的なバックコート層の光反射率の平
均値の上限値は15%である。バックコート層の光反射
率の平均値が15%を越えると、均一なバックコート層
では一般に耐久性が劣化する可能性がある。このため、
光反射率の平均値が15%を越えるバックコート層を使
用する場合には、光学サーボ用の凹部が形成されている
部分以外の平坦部の光反射率の平均値を15%以下にす
ることで耐久性が劣化しないようにする必要がある。
【0053】光反射率の平均値を8.5%以上にすると共
に、平坦部の光反射率の場所(磁気テープ位置)による
変動率[(光反射率の平均値からの光反射率変動の絶対
値の最大値)÷(光反射率の平均値)×100]を10
%以下にすることが好ましく、5%以下がより好まし
く、3%以下がさらに好ましく、最も好ましいのは0%
である。この範囲が好ましいのは、10%を越えるとサ
ーボ信号のS/Nが小さくなりトラッキングエラーの原
因になるためである。なお、光反射率の場所による変動
率を評価するに当たっては長さ40mm当りの光反射率変
動を調べれば足りる。これは、長さ40mm当りの光反射
率変動が、磁気テープ全長当りの光反射率変動とほぼ等
しいからである。
【0054】平坦部の光反射率の平均値を8.5%以上に
すると共に、平坦部の光反射率の場所による変動率を1
0%以下にするための好ましい方法には、バックコート
層の非磁性粉末の含有率[(非磁性粉末重量)÷(非磁
性粉末重量+結着剤重量)×100]を50重量%以上
とし、かつAFM法で測定したバックコート層の平坦部
の表面粗さRaを30nm以下、当該表面粗さRaの磁
気テープ位置による変動の半値幅を5nm以下に制御す
る方法がある。また、平坦部の表面粗さRaは通常10
nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。平
坦部の表面粗さRaを10nm以上とするのが好ましい
理由は、Raが10nm未満になると耐久性が劣化しや
すいためである。平坦部の表面粗さRaが10nm未満
のバックコート層を使用する場合には、光学サーボ用の
凹部が形成されている部分以外の平坦部の表面粗さRa
を10nm以上にする必要がある。なお、40μm×4
0μm当りの表面粗さRaを100個所AFMで測定す
れば、磁気テープ全長当りのRaおよびRa変動を測定
したのとほぼ同等の結果が得られるので、評価は前者の
測定値により行うことができる。このようにバックコー
ト層平坦部の光反射率は、非磁性粉末の含有率を50重
量%以上として、かつ表面を平滑にすれば高くなるが、
バックコート層の非磁性粉末の含有率を60重量%以上
にすると、平坦部の表面粗さRaを30nm以下にしに
くいばかりでなく、カレンダ条件等を強くして平坦部の
粗さRaを30nm以下にすると、バックコート層の耐
久性が悪くなりやすい。このような理由から、バックコ
ート層の非磁性粉末の含有率は実用上50〜60重量%
の範囲が好ましく、50〜58重量%がより好ましく、
50〜56重量%がさらに好ましく、53〜56重量%
がいっそう好ましい。
【0055】また、非磁性粉末の中に占めるカーボンブ
ラックの割合を80重量%以上にすると、レーザー光に
よって光学サーボ用の凹部を形成しやすくなるので好ま
しく、85重量%以上がより好ましい。さらに、カーボ
ンブラックと共に、合わせて20重量%以下の酸化鉄
(例えばベンガラ)等を添加すると、バックコート層の
強度が高くなるので好ましい。
【0056】バックコート層のカーボンブラック(C
B)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラッ
ク、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カ
ーボンと大粒径カーボンを使用する。小粒径カーボンに
は、粒子径が5nm〜200nmのものが使用される
が、粒径10nm〜100nmのものがより好ましい。
この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm以下にな
るとCBの分散が難しく、粒径が100nm以上では多
量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表
面粗さRaが30nm以上になり、平坦部の光反射率が
小さくなるためである。大粒径カーボンとして、全カー
ボン(小粒径カーボンと大粒径カーボンの合計)の5〜
15重量%、粒径200〜400nmの大粒径カーボン
を使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大
きくなる。この範囲の量が好ましいのは、5重量%未満
では耐久性向上効果が小さく、15重量%を越えると平
坦部の光反射率の変動が大きくなるためである。小粒径
カーボンと大粒径カーボン合計の添加量は非磁性粉末重
量を基準にして80〜100重量%が好ましく、85〜
100重量%がより好ましい。AFMで測定した表面粗
さRaは上述のように30nm以下が好ましく、通常1
0nm以上である。
【0057】バックコート層には、強度向上を目的に、
無機粉体重量を基準にして合わせて20重量%以下の酸
化鉄など(例えば、酸化鉄、アルミナのような通常バッ
クコート層に添加されている添加剤)を添加する。添加
量は2〜20重量%がより好ましく、5〜15重量%が
さらに好ましい。この範囲がより好ましいのは、2重量
%未満では強度向上効果が小さく、20重量%を越える
とレーザーによる光学サーボ用の凹部の形成が難しくな
るためである。なお、酸化鉄を主成分とした酸化物が好
ましく使用されるが、酸化鉄、アルミナを同時添加する
場合のアルミナ添加量は、酸化鉄の20重量%以下とす
るのがよい。20重量%が好ましい理由は、アルミナ添
加量が酸化鉄の20重量%を超えると燃焼カスの除去の
ためのクリーニング条件を強くする必要があるためであ
る。酸化鉄(粒状)などの粒子径は0.05μm〜0.4μ
mが好ましく、0.07μm〜0.35μmがより好まし
い。この範囲が好ましいのは、0.05μm未満では強度
向上効果が小さく、0.4μmを超えると平坦部の反射率
の変動が大きくなるためである。
【0058】バックコート層には結合剤として、前述し
た磁性層や下塗層に用いるのと同じ樹脂を用いることが
できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向
上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂を
複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は通
常、カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量
100重量部に対して40〜150重量部で、50〜1
20重量部が好ましく、50〜110重量部がより好ま
しく、50〜100重量部がさらに好ましい。この範囲
が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層
の強度が不十分になりやすく、120重量部を越えると
摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹
脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜5
0重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤
を硬化させるために、ポリイソシアネート化合物などの
架橋剤を用いることが好ましい。
【0059】バックコート層には架橋剤として、前述し
た磁性層や下塗層に用いる架橋剤を使用する。架橋剤の
量は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重
量部の割合で用いられる。好ましくは10〜35重量
部、より好ましくは10〜30重量部である。この範囲
が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層
の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとS
USに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0060】〈LRT処理(ラッピング/ロータリー/
ティッシュ処理)〉磁性層については、以下に述べるよ
うなLRT処理を施すことにより表面の平滑性、MRヘ
ッドのスライダ材料やシリンダ材料との摩擦係数や表面
粗さ、表面形状を最適化することができ、磁気テープの
走行性、スペーシングロスの低減、MR再生出力の向上
ができる。
【0061】(1)ラッピング処理:研磨テープ(ラッ
ピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(標
準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標準:1
4.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロックで押
さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。こ
の時の磁気テープ巻き出しテンションおよびラッピング
テープのテンションを一定(標準:各100g、250
g)として研磨処理を行。この工程で使用する研磨テー
プ(ラッピングテープ)3は、例えば、M20000
番、WA10000番あるいはK10000番のような
研磨砥粒の細かい研磨テープ(ラッピングテープ)であ
る。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨
テープ(ラッピングテープ)の代りにまたは併用して使
用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要
する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)のみを使
用する。
【0062】(2)ロータリー処理:空気抜き用溝付ホ
イール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mm、
空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株式会
社製]と磁性層とを一定の接触角度(標準:90度)で
テープと反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3
000rpm、標準:1100rpm)で接触させて処
理を行う。
【0063】(3)ティッシュ処理:ティッシュ[例え
ば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バッ
クコート層及び磁気層面をテープ送りと反対方向に一定
の速度(標準:14.0mm/分)で送り、クリーニング処
理を行う。
【0064】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施
例、比較例の部は重量部を示す。
【0065】 〔実施例1〕 《下塗層用塗料成分》 (1) 酸化鉄粉末(粒径:0.11×0.02μm) 68部 α−アルミナ(粒径:0.07μm) 8部 カーボンブラック(粒径:25nm、吸油量:55g/cc) 24部 ステアリン酸 2.0部 塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部 (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g) シクロヘキサノン 25部 メチルエチルケトン 40部 トルエン 10部 (2) ステアリン酸ブチル 1部 シクロヘキサノン 70部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 20部 (3) ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製コロネートL) 4.4部 シクロヘキサノン 10部 メチルエチルケトン 15部 トルエン 10部
【0066】 《磁性層用塗料成分》 (A) 強磁性鉄系金属粉 100部 (Co/Fe:30at%、Y/(Fe+Co):3at%、Al/(Fe+ Co):5wt%、Ca/Fe:0、σs:155A・m2 /kg、Hc:188. 2kA/m、pH:9.4、長軸長:0.10μm) 塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 12.3部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ポリエステルポリウレタン樹脂 5.5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g) α−アルミナ(平均粒径:0.12μm) 8部 α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 2部 カーボンブラック 1.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g) メチルアシッドホスフェート 2部 パルミチン酸アミド 1.5部 ステアリン酸n−ブチル 1.0部 テトラヒドロフラン 65部 メチルエチルケトン 245部 トルエン 85部 (B) ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製コロネートL) 2.0部 シクロヘキサノン 167部
【0067】上記の下塗層用塗料成分において(1)の
成分をニーダで混練したのち、(2)の成分を加えて攪
拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を
行い、これに(3)の成分を加え攪拌・濾過した後、下
塗層用塗料とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料
成分(A)をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留
時間を45分として分散し、これに磁性層用塗料成分
(B)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。上記の下
塗層用塗料を、ポリエチレンナフタレートフイルム(厚
さ6.2μm、MD=6.08Pa、MD/TD=1.1、帝
人社製)からなる非磁性支持体上に、乾燥、カレンダ後
の厚さが1.8μmとなるように塗布し、この下塗層上
に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレ
ンダー処理後の磁性層の厚さが0.15μmとなるように
ウエットオンウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドラ
イヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配
向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設
置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cm
からN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置
して行った。塗布速度は100m/ 分とした。
【0068】 《バックコート層用塗料成分》 カーボンブラック(粒径:25nm) 78部(41.5重量%) カーボンブラック(粒径:350nm) 10部( 5.3重量%) [カーボンブラック計 88部(46.8重量部)] ベンガラA(粒状:0.1μm) 10部( 5.3重量%) ベンガラB(粒径:0.27μm) 2部( 1.1重量%) [非磁性粉末計 100部(53.2重量部)] ニトロセルロース(NC) 44部(23.4重量%) ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 31部(16.4重量%) シクロヘキサノン 260部 トルエン 260部 メチルエチルケトン 525部
【0069】上記バックコート層用塗料成分をサンドミ
ルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネ
ート13部(6.9重量%)を加えてバックコート層用塗
料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層
の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.5μmとなる
ように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気
シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度10
0℃、線圧147kN/m(150kgf/cm)の条件で
鏡面化処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で70℃
で72時間エージングしたのち、1/2幅に裁断し、下
記の条件でLRT処理を行った後、図1に示す光学サー
ボトラック形成・クリーニング装置を用いて、バックコ
ート層に光学サーボ用の凹部を形成し、その後に後述す
る植毛体等を使用した接触処理とクリーニング処理を行
った。このようにして得られた磁気テープを、カートリ
ッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。な
お、光学サーボトラック形成・クリーニング装置および
この装置を用いた処理については後述する。
【0070】〈LRT(ラッピング/ロータリー/ティ
ッシュ)処理〉 (1)ラッピング処理:研磨テープ(ラッピングテー
プ)を、回転ロールによってテープ送り(400m/
分)と反対方向に14.4cm/分の速さで移動させ、上部
からガイドブロック4によって押さえることによってテ
ープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き
出しテンションを100g及びラッピングテープのテン
ションを250gとして研磨処理を行った。 (2)ロータリーアルミホイール処理:幅1インチ(2
5.4mm)、直径60mmで2mm幅の空気抜き用溝付きのホ
イール(溝の角度45度、協和精工株式会社製)と磁性
層とを接触角度90度でテープと反対方向に回転速度1
100rpmで接触させて処理を行った。 (3)ティッシュ処理:東レ株式会社製の織布トレシー
を回転棒で各々バック層及び磁気層面をテープ送りと反
対方向に14.0mm/分の速度で送り、クリーニング処理
を行った。
【0071】ここで、先に述べた図1に示す光学サーボ
トラック形成・クリーニング装置およびこの装置を用い
た処理について説明する。
【0072】この実施例で使用した光学サーボトラック
形成・クリーニング装置は、図1に示すように、巻かれ
た磁気テープ1を所定の方向に送り出す送り出し機構部
11と、送り出された磁気テープ1のバックコート層の
表面にレーザー光を照射して光学サーボ用の凹部を形成
する光学サーボトラック形成部12と、この凹部形成後
にバックコート層の表面をクリーニングするクリーニン
グ部13と、このクリーニング後に磁気テープ1を巻き
取る巻き取り機構部14とを有する。
【0073】クリーニング部13には、バックコート層
の表面をクリーニングすべく、起毛した毛を有する植毛
体、織布または不織布などの起毛クロスをバックコート
層の表面に接触させる接触部15bと、その後にバック
コート層と磁性層の表面をティッシュクリーナーで拭き
取る拭き取り部17とが配置されている。
【0074】接触部15bには、図3に示したような起
毛ドラム30が設けられている。この起毛ドラム30
は、磁気テープ1の走行方向と対向する方向に回転する
回転ドラム(この実施例では直径100mmのドラム)3
1の周面に起毛クロス32を巻き付けたものである。起
毛ドラム30の前後には、磁気テープ1のバックコート
層表面に所定の状態で起毛ドラム30を接触させるため
の一対のガイドローラ41・41が設けられている。
【0075】一方、拭き取り部17は、磁気テープ1の
磁性層とバックコート層2の各表面にそれぞれ接触する
ように配置されたティッシュクリーナー18・19と、
このティッシュクリーナー18・19を所定の速さで巻
き取り可能に保持する各一対のローラ20・21とを有
する。そして、各ティッシュクリーナー18・19を磁
気テープ1の磁性層とバックコート層2の各表面に押し
当てることにより、そこに付着している不要な粉体を拭
き取るようになっている。
【0076】加えて、本発明でいう張力制御手段を構成
するものとして、図1に示した装置には、以下のような
手段が備えられている。すなわち、光学サーボトラック
形成部12と接触部15bとの間には第1吸引ロール2
2が、接触部15bと拭き取り部17との間には第2吸
引ロール23が、拭き取り部17と巻き取り機構部14
との間には第3吸引ロール24がそれぞれ配置されてい
る。また、送り出し機構部11と光学サーボトラック形
成部12との間、および第3吸引ロール24と巻き取り
機構部14との間には、磁気テープ1の張力を調節する
張力アーム25・26がそれぞれ備えられ、さらに第2
吸引ロール23と接触部15bおよび拭き取り部17と
の各間には、磁気テープ1の張力を検出するとともに張
力の調節が可能な張力検出器27・28が設けられてい
る。そして、各吸引ロール22〜24によって磁気テー
プ1の張力を絶縁するとともに、前記張力検出器27・
28の値を、各吸引ロール22〜24を回転させるサー
ボモータにフィードバックすることで、光学サーボトラ
ック形成部12、クリーニング部13における接触部1
5bおよび拭き取り部17の各部別に、磁気テープ1に
対する最適な張力が得られるように構成されている。
【0077】本発明の実施例では、このような装置を用
いて、磁気テープの張力を一定に保ちながら、10m/
秒の速度で磁気テープを走行させ、以下に述べるような
光学サーボ用の凹部パターンの形成、起毛ドラム30に
よる接触処理、およびティッシュクリーナー18・19
による拭き取り処理を行った。
【0078】〈光学サーボ用凹部パターンの形成〉図1
に示した光学サーボトラック形成・クリーニング装置の
光学サーボトラック形成部12において磁気テープ1の
バックコート層2の表面にレーザー光を照射し、所定の
サーボパターンとなるように光学サーボ用の凹部を形成
した。このとき、光学サーボ用の凹部パターンとして、
図2に示したように、12.64mmのテープ幅方向に4バ
ンドが並ぶように形成し、1バンドの幅が約0.4mmとな
るように光学サーボ用の凹部群を形成した。
【0079】〈起毛ドラムによる接触処理〉つぎに、接
触部15bにおいて図3に示すように起毛ドラム30を
磁気テープ走行方向と対向する方向に314ラジアン/
秒(3000rpm)で回転させて、2.0Nのテンショ
ンをかけながら磁気テープ1のバックコート層2の表面
に、起毛ドラム30の外周に装着されている起毛クロス
32を接触させることにより、サーボパターン形成時に
レーザー焼成により生成されたバックコート層の凹部の
内部やその周辺から燃焼カスを大略除去した。起毛ドラ
ム30における起毛クロス32には、単繊維径が4μm
の綿4本を撚り合わせた長さ2.5mmの繊維を植毛したベ
ルベットを使用した。なお、このときの入側テンション
は86g、出側テンションは208g、起毛ドラム30
と磁気テープ1との接触角度は120°であった。
【0080】〈クリーニング処理〉最後に、拭き取り部
17に備えたティッシュクリーナー18・19を用い
て、残存している燃焼カスを完全に除去して、Brδが
0.045μTm、保磁力Hcが192kA/mである上
述の磁気テープを作製した。
【0081】〔実施例2〕磁気テープ1と起毛ドラム3
0との接触角度を90°にしたことを除き、実施例1と
同様にして磁気テープの作製および処理を行った。
【0082】〔実施例3〕起毛ドラム30の回転速度を
188.4ラジアン/秒(1800rpm)にしたことを
除き、実施例1と同様にして磁気テープに対する処理を
行った。なお、接触処理(接触部での処理)時の入側テ
ンションは95g、出側テンションは188gであっ
た。
【0083】〔実施例4〕起毛ドラムにより接触処理を
行う際のテープテンションを1.8Nとしたことを除き、
実施例1と同様にして磁気テープの作製および処理を行
った。なお、接触処理時の入側テンションは80g、出
側テンションは188gであった。
【0084】〔実施例5〕4.0μmの非磁性支持体を使
用し、下塗層の厚さを1.0μm、磁性層の厚さを0.1μ
m、バックコート層の厚さを0.5μmから0.6μmに変
更したことを除き、実施例1と同様にして全厚が5.7μ
m、Brδが0.030μTm、保磁力Hcが192kA
/mである磁気テープの作製および処理を行った。
【0085】〔実施例6〜実施例9〕表1に示した、起
毛した毛を有する植毛体、織布または不織布を起毛クロ
スとして用いたこと、起毛ドラムの数を後述の表3に示
した数としたことを除き、実施例1と同様にして磁気テ
ープの作製および処理を行った。
【0086】〔比較例1〕起毛ドラム30による接触処
理をしなかったことを除き、実施例1と同様にして磁気
テープの作製および処理を行った。
【0087】
【表1】
【0088】〈エラーレートの測定〉エラーレート(E
RT)の測定は、薄手テープも測定できるように改善し
たLTOドライブを用いて記録(記録波長0.37μm)
・再生することによって行った。ERTはテストモード
での値である。
【0089】実施例1〜9および比較例1の磁気テープ
のエラーレートを測定した結果を表2および表3に示
す。
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】表2および表3に示した実施例1〜9およ
び比較例1の結果から明らかなように、本発明装置によ
れば、バックコート層に光学サーボ用の凹部を設けた磁
気テープのバックコート層表面をクリーニングするに当
たり、前記凹部を有するバックコート層の表面に、起毛
した毛を有する植毛体、織布または不織布を接触させ、
前記凹部およびその周辺に付着した燃焼カスを除去する
ことができるので、エラーレートが低い磁気テープが得
られる。
【0093】
【発明の効果】以上のように、起毛体の接触によるクリ
ーニング処理を施すことによって、エラーレート、サー
ボ信号のS/Nが高くなることから、本発明の光学サー
ボトラック形成・クリーニング装置は、バックコート層
に設けられた凹部中の燃焼カスを除去する有効な手段で
あることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例で使用した光学サーボトラック形
成・クリーニング装置の全体構成図である。
【図2】磁気テープのバックコート層表面に形成される
サーボパターンの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明実施例で使用した光学サーボトラック形
成・クリーニング装置における接触部周辺(起毛ドラム
周辺)を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 磁気テープ 2 バックコート層 5 サーボパターン 11 送り出し機構部 12 光学サーボトラック形成部 13 クリーニング部 14 巻き取り機構部 15b 接触部 17 拭き取り部 18・19 ティッシュクリーナー 20・21 ローラ 22・23・24 吸引ロール 25・26 張力アーム 27・28 張力検出器 30 起毛ドラム 31 回転ドラム 32 起毛クロス(起毛した毛を有する植毛体、織布ま
たは不織布) 41 ガイドローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 直樹 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 吹上 悟 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 佐野 健治 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 藤谷 茂夫 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻かれた磁気テープを所定の方向に送り
    出す送り出し機構部と、送り出された磁気テープのバッ
    クコート層の表面にレーザー光を照射して光学サーボ用
    の凹部を形成する光学サーボトラック形成部と、この凹
    部形成後にバックコート層の表面をクリーニングするク
    リーニング部と、このクリーニング後に磁気テープを巻
    き取る巻き取り機構部とを有し、前記クリーニング部に
    は、バックコート層の表面をクリーニングすべく、起毛
    した毛を有する植毛体、織布または不織布をバックコー
    ト層の表面に接触させる接触部と、バックコート層の表
    面に付着している不要な粉体を拭き取る拭き取り部とが
    配置されていることを特徴する磁気テープの光学サーボ
    トラック形成・クリーニング装置。
  2. 【請求項2】 光学サーボトラック形成部と、クリーニ
    ング部における接触部と拭き取り部の各部別に磁気テー
    プの張力を制御する張力制御手段が備えられている請求
    項1記載の磁気テープの光学サーボトラック形成・クリ
    ーニング装置。
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