JP2003155609A - 溺死防止用緊急人体加温衣料 - Google Patents

溺死防止用緊急人体加温衣料

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JP2003155609A
JP2003155609A JP2001355110A JP2001355110A JP2003155609A JP 2003155609 A JP2003155609 A JP 2003155609A JP 2001355110 A JP2001355110 A JP 2001355110A JP 2001355110 A JP2001355110 A JP 2001355110A JP 2003155609 A JP2003155609 A JP 2003155609A
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JP
Japan
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human body
water
fine particles
drowning
garment
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Application number
JP2001355110A
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English (en)
Inventor
Seiichi Ochi
清一 越智
Akihisa Nakagawa
明久 中川
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】海難事故の際水中への転落によって奪われる体
温低下の防止手段として、吸湿もしくは吸水時の発熱速
度、発熱温度、発熱保持性に優れる溺死防止用緊急人体
加温布帛および衣料の提供する。 【解決手段】 高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体
であり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以
上であることを特徴とする溺死防止用緊急人体加温衣料
であり、好ましくは吸湿時の発熱が30分以上、及び/
又は吸水時の発熱が1分以上保持されることを特徴とす
る前記の溺死防止用緊急人体加温衣料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、釣り、ボート等の
マリンスポーツにおいて、水難事故に遭遇した際に特に
すぐれた効果を発揮する溺死防止用緊急人体加温布帛お
よび衣料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】寒冷地もしくは寒冷期においてのボー
ト、釣りなどのマリンスポーツで生じる海難事故は、溺
死防止の装備としてライフジャケットなどの救命具を用
いている。しかし、このような救命具は水没を防止出来
ても極低水温下での体温低下を防ぐことは出来ない。体
温低下が運動能力を著しく下げ、その結果溺死に至るケ
ースが考えられる。保温性に着目した一般衣料、防寒衣
料、スポーツ衣料や低温倉庫用ユニホームなどが種々実
用化されている。従来の保温性改善手段としては、熱伝
導度の小さい空気層を増やすための中空断面繊維や極細
繊維を活用する方法、体熱を反射するアルミ蒸着、コー
ティングもしくは金属スパッタリングの活用する方法、
金属酸化物やセラミックス練り込みによる遠赤外線効果
を期待する方法(特開昭63−105107号、特開平
7−331584号など)、吸湿発熱性繊維を紡績、混
繊等により布帛、中綿に混用する方法(特開平6−29
4006号、特開平8−197661号ほか)やアクリ
ル酸、メタクリル酸などのビニル系モノマーのグラフト
重合法でカルボン酸末端を繊維表面もしくは内部に導入
し、ナトリウム塩化など金属塩化することで吸湿発熱性
を付与する方法などが種々提案されている。しかしなが
らこれらの方法はいずれも、発熱加温性(発熱速度、発
熱温度、発熱保持時間)が不十分であり、緊急時に人体
体温低下を迅速に防止すべき各種救命装備品や、低温環
境下で高度の保温性が要求されるスポーツ衣料資材や、
蓄熱保温性もしくは結露防止性が要求される生活資材製
品、寝装インテリア資材、急速な加温発汗性を要求され
る美容、スポーツ減量衣料もしくは急速な加温治療が要
求される医用資材、もしくは蓄熱保温性、結露防止性が
要求される産業資材としての発熱加温性もしくは結露防
止性に欠けるものである。特に、吸湿だけでなく吸水発
熱性を兼備させた発熱加温性(発熱速度、発熱温度、発
熱保持時間)の構造体は提案されていない。加えて、か
かる吸湿/吸水発熱性を切り口とした効果的な蓄熱保温
性、結露防止性を発現するフィルム及び樹脂成形品も提
案されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、海難事故の
際水中への転落によって奪われる体温低下の防止手段と
して、吸湿もしくは吸水時の発熱速度、発熱温度、発熱
保持性に優れる溺死防止用緊急人体加温布帛および衣料
の提供を目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するための技術構成は次のとおりである。すなわち、 1.高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体であり、吸
湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以上であるこ
とを特徴とする溺死防止用緊急人体加温衣料。
【0005】2.吸湿時の発熱が30分以上、及び/又
は吸水時の発熱が1分以上保持されることを特徴とする
第1に記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
【0006】3.吸水時の最大温度上昇が8℃以上であ
ることを特徴とする第1又は2に記載の溺死防止用緊急
人体加温衣料。
【0007】4.高吸湿性微粒子が有機微粒子であるこ
とを特徴とする第1〜3のいずれかに記載の溺死防止用
緊急人体加温衣料。
【0008】5.高吸湿性有機微粒子がポリスチレン
系、ポリアクリロニトリル系、ポリアクリル酸エステル
系、ポリメタクリル酸エステル系のいずれかのビニル系
重合体で、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基ある
いは、それらの金属塩の少なくとも1種の親水基を有
し、かつジビニルベンゼン、トリアリルイソシアネート
またはヒドラジンのいずれかで架橋された架橋重合体で
ある第4に記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
【0009】6.高吸湿性微粒子の平均粒子径が2μm
未満であることを特徴とする第1〜5のいずれかに記載
の溺死防止用緊急人体加温衣料。
【0010】7.高吸湿性微粒子が親水性樹脂を介して
構造体に固定化されていることを特徴とする第1〜6の
いずれかに記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
【0011】8.高吸湿性微粒子と親水性樹脂の質量比
が1/1〜19/1であることを特徴とする第1〜7の
いずれかに記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
【0012】9.構造体が天然繊維、化合繊もしくはこ
れらの混用繊維で構成される編物、織物、不織布、フリ
ース、紐状体またはフィルムまたは樹脂成形体であるこ
とを特徴とする第1〜8のいずれかに記載の溺死防止用
緊急人体加温衣料。
【0013】10.防水性布帛、防水性フィルムまたは
これら複合材から構成される防水構造体に被われてお
り、且つ、防水構造体の一部が吸湿/吸水の為に破壊可
能な構造を有する第1〜9のいずれかに記載の溺死防止
用緊急人体加温衣料。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する.本発明に用いる構造体とは、ポリエ
ステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポ
リエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブチレンテレフ
タレート系、ポリテトラメチレンテレフタレート系、ポ
リウレタン系、ポリフェニレンサルファイド系等の合成
繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、木綿、麻、
シルク、ウール、羽毛などの天然繊維もしくはこれらの
混用素材からなる編物、織物、不織布、フリース、紐状
体またはフィルムまたは樹脂成形体などで構成される構
造体である。
【0015】本発明の高吸湿/吸水発熱性微粒子とは、
吸湿又は吸水時に発熱性を示す微粒子であれば、特に化
学構造的に限定されるものではない。例えば、吸湿性シ
リカなどの無機系、もしくは吸湿性ポリウレタン系、ポ
リアミド系、ポリエステル系およびポリアクリレート系
などの種々の有機系微粒子の適用が可能であるが、特
に、高吸湿/吸水発熱性有機微粒子が好ましく、例え
ば、ポリスチレン系、ポリアクリロニトリル系、ポリア
クリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系のい
ずれかのビニル系重合体で、スルホン酸基、カルボン酸
基、リン酸基あるいは、それらの金属塩の少なくとも1
種の親水基を有し、かつジビニルベンゼン、トリアリル
イソシアネートまたはヒドラジンのいずれかで架橋され
た架橋重合体微粒子である。
【0016】高吸湿性微粒子の粒度は、吸湿/吸水発熱
速度/発熱効率、均一付着性、風合い及び耐磨耗性の点
から細かいほど望ましく、平均粒子径2μm未満がより
好ましい。
【0017】本発明の高吸湿/吸水発熱性微粒子の付与
方法は、繊維、フィルムもしくは樹脂層に直接練り込む
方法や編物、織物、不織布、フリース、紐状物、フィル
ム及び樹脂成形品などの表層にバインダー樹脂を介して
付着させる方法が挙げられるが、吸湿/吸水発熱速度/
発熱効率の点から後者のバインダー樹脂を介する付着方
法が好ましい。
【0018】バインダー樹脂としては、通常の含浸法、
パディング法、コーティング法、スプレー法に適用でき
るシリコン系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル
系、ポリアミド系、ポリエチレンオキサイド系などの樹
脂が挙げられ、特に限定されないが、親水性、すなわ
ち、吸湿性、吸水性、透湿性に優れ、高吸湿/吸水発熱
性微粒子の優れた吸湿性、吸水性を阻害せず、しかも高
吸湿/吸水発熱性微粒子と構造体を効果的に接着固定化
できるバインダー機能に優れるタイプが望ましい。特に
好ましい親水性樹脂バインダーとしては、親水性セグメ
ントとして、ポリアルキレンオキサイド付加型、スルホ
ン酸塩、カルボン酸塩等の極性親水基型、アミド変成型
などを導入した親水性シリコーン系樹脂、親水性ウレタ
ン系樹脂、親水性ポリアミド系樹脂、親水性ポリエチレ
ンオキサイド系樹脂で、樹脂自身の吸湿性、透湿性が高
く、吸水性を阻害しないものがあげられる。ここで言う
樹脂の透湿性とは無孔膜状態での透湿性を意味する。微
多孔膜で発現する透湿性が高い樹脂でも、樹脂自身の吸
湿性、吸水性が低いバインダー樹脂では、高吸湿/吸水
発熱性微粒子の優れた吸湿発熱もしくは吸水発熱性をマ
スキングし、低下させる。また、これら高吸湿/吸水発
熱性微粒子と親水性樹脂バインダーの系に耐久性向上の
ために、イソシアネート系、メチロール系、エチレンイ
ミン系、多官能アジリジニル系、金属塩系など各種架橋
剤を、併用微粒子本来の吸湿/吸水性を低下させない範
囲で併用しても良い。
【0019】本発明における高吸湿/吸水発熱性微粒子
と親水性樹脂の配合比及びこれらの付着量は、吸湿/吸
水発熱性に大きく影響する。親水性樹脂の親水レベルに
より高吸湿/吸水発熱性微粒子と親水性樹脂の配合比は
多少異なるが、通常1/1〜19/1の配合使用が望ま
しく、好ましくは、10/1〜19/1の配合比が、さ
らに好ましくは、15/1〜19/1の配合比などの、
特に親水性樹脂の配合比率の小さいものほど、優れた吸
湿/吸水発熱性を発現させることができる。但し、親水
性樹脂が極端に少ない場合、もしくは併用しない場合は
構造物表面に付着した高吸湿/吸水発熱性微粒子の磨耗
耐久性が低下し、脱落し易くなる。逆に、親水性樹脂の
配合比が多い場合は、親水性樹脂といえども、高吸湿/
吸水発熱性微粒子本来の保有する吸湿/吸水性を阻害す
るケースが多いため、マスキング効果により吸湿/吸水
発熱速度及び発熱量が極端に低下する。もちろん、親水
性樹脂の吸湿/吸水性が高吸湿/吸水発熱性微粒子と同
等以上の場合は、親水性樹脂の配合比を増加することが
できる。
【0020】本発明の溺死防止用緊急人体加温衣料と
は、衣料用布帛および衣料の発熱性は、物質の吸湿もし
くは吸水時に産出する吸着反応熱に基づくもので、構造
体に含まれる高吸湿/吸水性微粒子及び併用親水性樹脂
バインダーの吸湿性能力及び又は吸水性能力及び付着量
に依存する。すなわち、高吸湿/吸水性微粒子で、しか
も細かいほど、吸湿もしくは吸水レベルの高い親水性樹
脂バインダーほど、吸着水分による産熱は大きく、発熱
速度も早く、発熱保持時間も長くなる。もちろん、かか
る吸湿/吸水性は構造体基材単独でも保有するため、よ
り効果的な吸湿/吸水発熱性を実現させるためには適用
吸湿/吸水発熱性微粒子の吸湿率(20℃、65%R
H)は25%以上が望ましく、さらに好ましくは40%
以上である。また、併用親水性樹脂はかかる吸湿/吸水
発熱性微粒子の吸湿性/吸水性をできるだけ阻害しない
少なくとも吸湿率(20℃、65%RH)3〜50%の
ものが好ましい。すなわち、効果的な吸湿/吸水発熱性
を得るためには、本発明の高度な吸湿/吸水発熱性を保
有する構造体を出来るだけ低吸湿率、更に好ましくは完
全乾燥(絶乾)状態に近い状態で保管することが肝要で
ある。逆に、飽和吸湿率以上に水分を吸着し、発熱が完
了した構造体は、放熱冷却され当初の温度まで低下する
が、再度、乾燥して吸着水を取り除けば、元来の優れた
吸湿/吸水発熱性が再発現する。
【0021】気相状態の吸湿発熱性が適度な速度で発熱
し、比較的長く発熱性を維持するのに対して、液相の吸
水発熱性は急速な発熱性が得られる反面、付着水の量が
多すぎると顕著な発熱効果が得られない場合もあるの
で、付着水量の管理が質要となる。特に、緊急時など急
速に加温したい場合は、本発明の吸水発熱機能が有効で
あり、発熱保持時間の長い吸湿発熱機能と組合せれば、
更に高度の溺死防止用緊急人体加温布帛および衣料の商
品設計が可能となる。
【0022】本発明によれば、高吸湿/吸水発熱性微粒
子の種類及び付着量を最適化し、適正な親水性樹脂バイ
ンダーを介して付着させた構造体は、吸湿及び又は吸水
時の最大温度上昇が3℃以上、好ましくは4℃以上、よ
り好ましくは5℃以上であり、さらに吸水時の最大温度
上昇が8℃以上であり、しかも吸湿時の発熱保持時間が
30分以上、吸水時の発熱保持時間が30秒以上、より
好ましくは1分以上保持される等、吸湿/吸水発熱速
度、発熱量、発熱保持時間の総合発熱性能面で、従来に
ない優れた吸湿/吸水発熱性が得られる。
【0023】本発明の構造体は、これらの優れた高吸湿
/吸水発熱性に加えて、抗菌防臭性、制菌性、消臭性、
ノネナール消臭性、pH緩衝性、制電性、SR防汚性、
耐酸性雨性の多機能性を発現させることもできる。
【0024】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は、何らこれらに限定するものではない。以
下で、単に部、%と記載したものは、質量基準を意味す
る。また、本実施例における構造体の測定、評価は次の
方法で行った。
【0025】<絶乾質量>サンプルを110℃×6時間
乾燥後、シリカゲル入りデシケータに入れ、20℃、6
5%RH環境下で調温後、質量測定を行った。 <吸湿性>20℃、65%RH環境下で24時間調温調
湿後の質量測定を行い、下記式から算出した。 吸湿率(%)={(吸湿質量−絶乾質量)/絶乾質量}
×100
【0026】<吸湿発熱性>110℃×6時間乾燥後、
シリカゲル入りデシケータに入れ、絶乾状態とした測定
サンプルに温度センサー(例えば安立計器(株)製;5
40K MD−5型)を装着後、20℃、95%RH環
境下(例えば硫酸カリウム飽和水溶液入りデシケータ)
での吸湿発熱性を温度記録計(例えば安立計器(株)
製;DATACOLLECTOR AM−7052型)
で計測した。
【0027】<吸水発熱性>前記絶乾状態の測定サンプ
ルに温度センサーを装着後、20℃、65%RH環境下
で、サンプル質量の50%相当量のイオン交換水を均一
に噴霧後、吸水発熱性を温度記録計にて計測した。最大
吸水発熱温度及び吸水前サンプル温度以上の吸水発熱保
持時間(分)で評価した。
【0028】<着用性>試作した構造体を試作服の内側
に取り付け被験者が着用後水温10℃の水槽内に入り1
0分後被験者が構造体を破壊し、5分後の背中、胸の温
感を主観で判定した。主観判定はアンケート方式で、か
なり温かい(+2点)、やや温かい(+1点)、どちら
でもない(0点)、やや冷たい(−1点)、かなり冷た
い(−2点)である。
【0029】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
系ポリエステル長繊維加工糸(165dtex/48
f)からなるダブルニット(目付=200g/m2)を
通常リラックス精練、分散染色、乾燥後、本発明の溺死
防止用緊急人体加温布帛の基布として用いた。
【0030】次に高吸湿/吸水発熱性有機微粒子の製造
を次の方法で行った。メタクリル酸/p−スチレンスル
ホン酸ソーダ=70/30の水溶性重合体350部及び
硫酸ナトリウム35部を6500部の水に溶解し、櫂型
攪拌機付きの重合槽に仕込んだ。次に、アクリル酸メチ
ル2750部及びジビニルベンゼン330部に2,2'
−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)15
部を溶解して重合槽に仕込み、400rpmの攪拌下、
60℃で2時間重合し、重合率88%の共重合体を得
た。該重合体100部を水900部中に分散し、これに
110部の苛性ソーダを添加し、90℃、2.5時間反
応を行い、アクリル酸メチルのメチルエステル部を加水
分解することによりカルボキシル基4.6ミリ当量/g
を有した架橋重合体を得た。得られた重合体を水中に分
散し、洗浄、脱水後、粉砕、分級もしくはろ過し、高吸
湿/吸水発熱性微粒子を得た。得られた高吸湿/吸水発
熱性有機微粒子の20℃、65%RH下での吸湿率は5
0%、平均粒子径は0.8μmであった。
【0031】かかる高吸湿/吸水発熱性微粒子20%を
含む水分散体95部に親水性樹脂バインダーとして、T
F−3500(花王社製親水性シリコン系バインダー;
固形分40%)4部およびアクアプレンWS105(明
成化学工業社製親水性ウレタン系バインダー;固形分4
0%)1部を加えた加工パディング液に基布を浸漬し、
マングルにて加工液ウエットピックアップ率100%に
なるよう絞った後、120℃で乾燥後、180℃で1分
間乾熱セットして構造体を得た。得られた構造体の吸湿
/吸水発熱性の特性を表1に示す。未加工品に比べ発熱
速度、発熱温度、発熱保持時間の優れた吸湿発熱性/吸
水発熱性が得られた。
【0032】得られた構造体をウエットスーツに構成し
た。ウエットスーツはナイロン/ポリウレタン製ダブル
ニット。ウエットスーツ内側には110℃で6時間乾燥
した30cm×30cmの構造体をPETフィルムでパ
ッキングしたものを飽和水蒸気を封入したポリエチレン
フィルム製袋に入れ密封し、ウエットスーツと同じ素材
を用いた袋に入れて胸と背中に取り付けた。PETフィ
ルムに開口を生じさせるための部位を設け、外層側に導
入された紐を引っ張るとフィルムが破壊され開口し、構
造体が吸湿/吸水されるようにした。開口部はポリエチ
レンフィルム製袋の一部と連結しており、紐はポリエチ
レンフィルムに接続してある。水温10℃の水槽内で着
用試験を行った結果、未加工に比べ温度が上昇し、アン
ケートでは温かさが体感出来るものであった。
【0033】[実施例2]実施例2で用いる基布は、前
記実施例1と同じものを用いた。
【0034】実施例2で用いる高吸湿/吸水発熱性有機
微粒子の製造を次の方法で行った。アクリロニトリル4
50部、アクリル酸メチル40部、p−スチレンスルホ
ン酸ソーダ16部及び水1180部をオートクレーブに
仕込み、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオ
キサイドを単量体全体に対して0.5%添加した後、密
閉し、次いで攪拌下において150℃で20分間重合反
応後、攪拌しながら約90℃まで冷却し、平均粒子径
1.4μm(光散乱光度計測定)の原料微粒子の水分散
体を得た。この水分散体に浴中濃度が35%になるよう
ヒドラジンを加え、102℃で2時間架橋処理を行い、
続いて浴中濃度が10%になるよう苛性ソーダを加え
て、102℃で5時間加水分解処理を行った後、pH調
整、分級もしくはろ過後、高吸湿/吸水発熱性有機微粒
子分散体を得た。得られた高吸湿/吸水発熱性有機微粒
子の20℃、65%RH下での吸湿性は51%、平均粒
子径は0.5μmであった。
【0035】かかる高吸湿/吸水発熱性微粒子20%を
含む水分散体95部に親水性樹脂バインダーとして、T
F−3500(花王社製アルキレングリコール変成親水
性シリコン系バインダー;固形分40%)5部を加えた
加工パディング液に基布を浸漬し、マングルにて加工液
ウエットピックアップ率120%になるよう絞った後、
120℃で乾燥後、170℃で1分間乾熱セットして構
造体を得た。得られた構造体の吸湿/吸水発熱性の特性
を表1に示す。未加工品に比べ発熱速度、発熱温度/発
熱保持時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られ
た。
【0036】得られた構造体を実施例1と同様にウェッ
トスーツに構成し、水温10℃の水槽で着用性を試験し
たところ、未加工に比べ、温度上昇が大きく、アンケー
トでは温かさが体感出来るものであった。
【0037】[実施例3]2.8デシテックス、繊維長
38mmカットの中空ポリエステル短繊維(機械捲縮
糸)を開繊、カード後、通常のニードルパンチ不織布
(目付け=100g/m2)を得た。
【0038】次いで、実施例1で得られた高吸湿/吸水
発熱性有機微粒子20%を含む水分散体95部に、親水
性バインダーとして、TF−3500(花王社製アルキ
レングリコール変成親水性シリコン系バインダー;固形
分40%)5部を加えた加工パッディング液に基布を浸
漬し、マングルにて加工液ウエットピックアップ率10
0%になるよう絞った後、120℃で乾燥後、170℃
で1分間乾熱セットして構造体を得た。得られた構造体
の吸湿/吸水発熱性の特性を表1に示す。未加工品に比
べ発熱速度、発熱温度/時間の優れた吸湿発熱性/吸水
発熱性が得られた。
【0039】得られた構造体を実施例1と同様にウェッ
トスーツに構成し、水温10℃の水槽で着用性を試験し
たところ、未加工に比べ、温度上昇が大きく、アンケー
トでは温かさが体感出来るものであった。
【0040】[比較例1]実施例1に記載のポリエステ
ル長繊維加工糸使いダブルニット単独での結果を表1に
示す。実施例1、2に比べ吸湿/吸水発熱効果は見られ
なかった。
【0041】[比較例2]実施例3に記載の中空ポリエ
ステル短繊維製ニードルパンチ不織布単独での結果を表
1に示す。実施例3に比べ吸湿/吸水発熱効果は見られ
なかった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、高吸湿発熱性微粒子の
効果により、着用感を阻害することなく、マリンスポー
ツ時の入水事故の際、体温低下が防止することが可能な
溺死防止用緊急人体加温布帛および衣料を得ることが出
来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B011 AB12 AB15 AC01 4L031 AA01 AA11 AB31 AB36 BA33 CA08 DA12 DA13 DA14 DA19 4L033 AA01 AA04 AB04 AC15 CA18 CA48 CA69

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体
    であり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以
    上であることを特徴とする溺死防止用緊急人体加温衣
    料。
  2. 【請求項2】 吸湿時の発熱が30分以上、及び/又は
    吸水時の発熱が1分以上保持されることを特徴とする請
    求項1に記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
  3. 【請求項3】 吸水時の最大温度上昇が8℃以上である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の溺死防止用緊
    急人体加温衣料。
  4. 【請求項4】 高吸湿性微粒子が有機微粒子であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溺死防止
    用緊急人体加温衣料。
  5. 【請求項5】 高吸湿性有機微粒子がポリスチレン系、
    ポリアクリロニトリル系、ポリアクリル酸エステル系、
    ポリメタクリル酸エステル系のいずれかのビニル系重合
    体で、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基あるい
    は、それら金属塩の少なくとも1種の親水基を有し、か
    つジビニルベンゼン、トリアリルイソシアネートまたは
    ヒドラジンのいずれかで架橋された架橋重合体である請
    求項4に記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
  6. 【請求項6】 高吸湿性微粒子の平均粒子径が2μm未
    満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
  7. 【請求項7】 高吸湿性微粒子が親水性樹脂を介して構
    造体に固定化されていることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
  8. 【請求項8】 高吸湿性微粒子と親水性樹脂の質量比が
    1/1〜19/1であることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかに記載の溺死防止用緊急人体加温衣料。
  9. 【請求項9】 構造体が天然繊維、化合繊もしくはこれ
    らの混用繊維で構成される編物、織物、不織布、フリー
    ス、紐状体またはフィルムまたは樹脂成形体であること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の溺死防止
    用緊急人体加温衣料。
  10. 【請求項10】高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体
    が、乾燥状態にて防水性布帛、防水性フィルムまたはこ
    れら複合材から構成される防水構造体に密封されてお
    り、且つ、防水構造体の一部が吸湿/吸水の為に破壊可
    能な構造を有する請求項9に記載の溺死防止用緊急人体
    加温衣料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008535722A (ja) * 2005-04-11 2008-09-04 サン キム,ジュング 救命胴衣用海上位置追跡による緊急救助システム
JP2013083015A (ja) * 2011-10-10 2013-05-09 Japan Vilene Co Ltd 貼付薬用基材
WO2017219333A1 (zh) * 2016-06-23 2017-12-28 彭鹏 可穿戴设备

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