JP2013083015A - 貼付薬用基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 伸長性と発熱性能とを兼ね備えた貼付薬用基材を提供すること。
【解決手段】 本発明の貼付薬用基材は、水分率が20%以上の吸湿性繊維と捲縮が顕在化した潜在捲縮繊維とを含む貼付薬用基材であり、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である。このように、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上という、優れた発熱性能を発揮するとともに、少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下という、優れた伸長性を発揮する。
【選択図】 なし

Description

本発明は薬効成分を含む非含水膏体を塗布して外用貼付薬を構成できる貼付薬用基材に関する。
外用貼付薬の基材が発熱することにより、その薬効成分の効能を高めることが提案されている(特許文献1)。より具体的には、「高吸湿性微粒子が付着されてなる繊維構造体であり、吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以上である医療用加熱貼付布材」が提案されている。しかしながら、外用貼付薬は肘、膝、肩等の関節に貼付するなど、屈曲部に貼付する場合が多々あるが、この加熱貼付布材には伸長性がないため、この加熱貼付布材を用いた外用貼付薬も伸長性がなく、使用時に剥がれ易い、皮膚が突っ張るなど貼付感が悪い、などの問題があった。そのため、加熱貼付布材に伸長性を付与するために、高捲縮繊維を混合するという発想もあるが、高捲縮繊維を混合したとしても、特許文献1においては、基本的に高吸湿性微粒子を付着させるために、バインダーを使用しているため、バインダーによって高吸湿性微粒子のみならず、高捲縮繊維も接着固定され、十分な伸長性を発揮できないものであった。
特開2003−93427号公報
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、伸長性と発熱性能とを兼ね備えた貼付薬用基材を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は「水分率が20%以上の吸湿性繊維と捲縮が顕在化した潜在捲縮繊維とを含む貼付薬用基材であり、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下であることを特徴とする、貼付薬用基材。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、水分率が20%以上の吸湿性繊維を含み、この吸湿性繊維が水分吸収時に発熱し、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上という、優れた発熱性能を発揮する。また、捲縮が顕在化した潜在捲縮繊維(以下、「捲縮顕在化繊維」と表記することがある)を含み、少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下という、小さな力で捲縮顕在化繊維の捲縮を伸ばすことのできる、伸長性に優れるものである。したがって、薬効成分の効能を高めることを期待できるとともに、使用時に剥がれにくく、貼付感の優れる外用貼付薬を形成できる。
本発明の貼付薬用基材は水分を吸収することによって、優れた発熱性能を発揮できるように、水分率が20%以上の吸湿性繊維を含んでいる。基本的に、水分率が高ければ高いほど、水分を吸収しやすく、発熱量も多くなるため、水分率は25%以上であるのが好ましく、30%以上であるのがより好ましい。
この「水分率」は公定水分率を意味し、公定水分率として知られていない場合には、次の式から算出される値をいう。
水分率(%)=[(W−W’)/W’]×100
ここで、Wは温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量(g)、W’は繊維絶乾時の質量(g)をそれぞれ意味する。なお、温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量は、温度20℃、湿度65%RHの環境下に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味し、繊維絶乾時の質量は、105℃に設定した乾燥機中に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味する。
この吸湿性繊維としては、例えば、ポリアクリル酸塩架橋体を含む繊維を挙げることができる。より具体的には、エクス(登録商標、公定水分率:20%)、ディスメル(登録商標、公定水分率:20%)、モイスケア(登録商標、公定水分率:35%)、ベルオアシス(登録商標、公定水分率:35%)、サンバーナ(登録商標、公定水分率:35%)、ドライベクター(登録商標、公定水分率:35%)、ブレスサーモ(登録商標、公定水分率:35%)などを使用することができる。なお、吸湿性繊維は1種類であっても、2種類以上が混在していても良い。
この吸湿性繊維の繊度は特に限定するものではないが、表面積が広い方がより速く吸湿しやすく、発熱性能に優れているため、繊度は6.6dtex以下であるのが好ましく、3.3dtex以下であるのがより好ましい。一方、繊度の下限は特に限定するものではないが、吸湿性繊維は一般的に強度が低下しやすいため、0.5dtex以上であるのが好ましく、0.8dtex以上であるのがより好ましい。
なお、繊度の異なる吸湿性繊維を2種類含んでいる場合、次の式により算出される平均繊度が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。また、繊度の異なる吸湿性繊維を3種類以上含んでいる場合も、同様にして算出した値が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。
Fav=1/{(Pa/100)/Fa+(Pb/100)/Fb}
ここで、Favは平均繊度(単位:dtex)、Paは貼付薬用基材に占める一方の吸湿性繊維Aの質量割合(単位:mass%)、Faは吸湿性繊維Aの繊度(単位:dtex)、Pbは貼付薬用基材に占める他方の吸湿性繊維Bの質量割合(単位:mass%)、Fbは吸湿性繊維Bの繊度(単位:dtex)をそれぞれ意味する。
また、吸湿性繊維の繊維長は特に限定するものではないが、例えば、貼付薬用基材が乾式不織布からなる場合には、地合いの均一性に優れるように、繊維長は70mm以下であるのが好ましく、55mm以下であるのがより好ましい。一方で、貼付薬用基材として十分な強度を保てるように、25mm以上であるのが好ましく、30mm以上であるのがより好ましい。
このような吸湿性繊維の量は、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上となる量である限り、特に限定するものではないが、貼付薬用基材全体の15mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上を占めているのがより好ましい。一方で、貼付薬用基材が伸長性に優れるように、捲縮顕在化繊維を含んでいるため、捲縮顕在化繊維との兼ね合いから、貼付薬用基材全体の35mass%以下であるのが好ましく、30mass%以下であるのがより好ましい。
本発明の貼付薬用基材は伸長性を有し、屈曲部の動き及び/又は皮膚の凹凸に対応でき、皮膚から剥離しにくいように、また、貼付感に優れるように、捲縮顕在化繊維を含んでいる。
この捲縮顕在化繊維の捲縮発現前の潜在捲縮繊維としては、例えば、熱収縮率の異なる複数の樹脂が複合された複合繊維、繊維の一部に特定の熱履歴を施した繊維を挙げることができる。前者の複合繊維として、断面形状が偏心型芯鞘構造のもの、又はサイドバイサイド型構造のものを好適に用いることができ、後者の熱履歴を施した潜在捲縮繊維として、例えば、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂からなる繊維の一側面を熱刃などにあてながら通過させたものを使用できる。これらの中でも、熱収縮率の異なる複数の樹脂を複合した、サイドバイサイド又は偏芯型芯鞘構造の断面形状を有する複合繊維であると、熱処理を行うことで捲縮を発現し、スパイラル状の捲縮を有する捲縮顕在化繊維となり、伸長性に優れているため好適である。
好適である複合繊維の熱収縮率の異なる樹脂の組み合わせとしては、例えば、ポリエステル−低融点ポリエステル、ポリアミド−低融点ポリアミド、ポリエステル−ポリアミド、ポリエステル−ポリプロピレン、ポリプロピレン−低融点ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンなど種々の合成樹脂を組み合わせたものが使用できる。特に、ポリエステル−低融点ポリエステル若しくはポリプロピレン−低融点ポリプロピレンの組み合わせからなる潜在捲縮繊維は、化学的な耐性と伸度特性の点で優れているため好ましい。
この潜在捲縮繊維の繊度は特に限定するものではないが、曲げ剛性が小さく、使用時の貼付感や風合いに優れるように、繊度は3.3dtex以下であるのが好ましく、2.2dtex以下であるのがより好ましい。繊度の下限は特に限定するものではないが、貼付薬用基材が乾式不織布からなる場合、地合いが優れているように、また、伸長性に優れているように、0.5dtex以上であるのが好ましく、0.8dtex以上であるのがより好ましい。なお、繊度の異なる2種類以上の潜在捲縮繊維を使用しても良い。2種類以上の潜在捲縮繊維を含んでいる場合には、前述の吸湿性繊維と同様にして算出される平均繊度が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。
また、潜在捲縮繊維の繊維長は特に限定するものではないが、貼付薬用基材が乾式不織布からなる場合には、地合いの均一性に優れるように、繊維長は70mm以下であるのが好ましく、55mm以下であるのがより好ましい。一方で、貼付薬用基材として十分な強度を保てるように、25mm以上であるのが好ましく、30mm以上であるのがより好ましい。
本発明の捲縮顕在化繊維は、上述のような潜在捲縮繊維の捲縮が発現したものであるが、捲縮の発現は加熱処理により実施できる。なお、加熱処理は、例えば、熱風ドライヤー、赤外線ランプ、加熱ロールなどを用いて実施できるが、十分に捲縮を発現できるように、熱風ドライヤー、赤外線ランプなどの固体による強力な圧力がかからない条件下で実施するのが好ましい。そのため、熱風ドライヤー又は赤外線ランプで加熱処理するのが好ましい。また、加熱温度は実験により50%伸長時応力を確認し、適宜設定することができる。
本発明の貼付薬用基材は上述のような捲縮顕在化繊維を含むが、その量は、貼付薬用基材の少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である限り、特に限定するものではないが、伸長性に優れるように、貼付薬用基材全体の65mass%以上を占めているのが好ましく、70mass%以上を占めているのがより好ましい。一方で、前述の吸湿性繊維との兼ね合いから、85mass%以下であるのが好ましく、80mass%以下であるのがより好ましい。
本発明の貼付薬用基材は基本的に吸湿性繊維と捲縮顕在化繊維とからなるが、後述の発熱性能と伸長性能を満たす限り、これら繊維以外の繊維を含んでいることができる。例えば、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリアミド系繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維など)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維等の合成繊維、又はコットンやレーヨン等のセルロース系繊維を含んでいることができる。
本発明の貼付薬用基材は後述の発熱性能と伸長性能を満たす限り、その形態は特に限定するものではない。例えば、不織布形態、織物形態、編物形態、或いはこれらの複合形態であることができる。これらの中でも伸長性の点で優れる不織布形態であるのが好ましい。
本発明の貼付薬用基材は、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下という、発熱性能及び伸長性に優れている。つまり、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上と、温度上昇速度が速いため、速やかに非含水膏体を温め、薬効成分の効能を高めることが期待できる。また、少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下と小さな力で伸長できるため、身体の動きに追従して使用時に剥がれにくく、また、皮膚が突っ張ることのない、貼付感に優れるものである。
この吸湿開始から10分後における温度上昇が高ければ高いほど、前記効果を期待できるため、温度上昇は2.1℃以上であるのが好ましく、2.3℃以上であるのがより好ましく、2.4℃以上であるのが更に好ましい。なお、温度上昇は高い方が前記効果を期待できるため、その上限は特に規定するものではないが、現実的には15℃程度である。なお、「吸湿開始から10分後における温度上昇」は、次の[試験片の調整]−[保温容器の調整]−[温度測定]の手順により測定した値である。
[試験片の調整]
(1)貼付薬用基材を9cm×15cmの長方形に切断して、試験片を1枚採取する。
(2)試験片の9cm長の辺を軸として筒状に巻いた後、その筒状態を輪ゴムで緩く固定する。
(3)筒状態の試験片を、温度105℃に設定した乾燥機を利用して2時間加熱し、絶乾状態とする。
(4)絶乾状態の試験片を乾燥機から取り出し、試験片を温度20℃、湿度45%RHに調整した恒温恒湿チャンバーに2時間以上放置し、一定の質量とする。
[保温容器の調整]
(i)保温容器として、発泡スチロール(外寸:長さ120mm、幅100mm、深さ70mm、内寸:長さ95mm、幅75mm、深さ45mm)を用意する。
(ii)保温容器の底に親水性不織布(水滴を垂らした時、5秒以内に染み込む程度の親水性を有する親水性不織布)を敷き詰め、30gの精製水を前記親水性不織布に浸み込ませ、容器の蓋をした後、室温下、2時間以上放置する。
[温度測定]
(イ)恒温恒湿チャンバーから筒状態の試験片を取り出し、試験片の中空部に温度計[(株)安藤計器製工所製、精密水銀棒状温度計(1−59−3、HG301−50)]を挿入する。
(ロ)温度計を挿入したままの筒状態の試験片を、速やかに保温容器に入れ、蓋を閉め、温度(T)を測定する。
(ハ)10分経過した後、速やかに温度(T10)を測定する。
(ニ)これら測定結果から、温度上昇(=T10−T)を算出する。
一方、少なくとも一方向における50%伸長時応力が小さければ小さいほど、前述の効果に優れているため、4.8N/50mm幅以下であるのが好ましく、4.6N/50mm幅以下であるのがより好ましい。一方で、いずれの方向における50%伸長時応力も小さ過ぎると、取り扱い性が悪いため、いずれか一方向における50%伸長時応力は3N/50mm幅以上であるのが好ましい。
なお、この50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である方向は、どの方向であっても良いが、一般的に貼付薬用基材は長尺状であるため、貼付薬用基材の長さ方向又は幅方向であると、個々の外用貼付薬の大きさに対応して切断し、貼付薬用基材を採取しても、貼付薬用基材のロスが少ない。また、長尺状の貼付薬用基材を製造する際に、貼付薬用基材の長さ方向においてはテンションが掛かり、50%伸長時応力が高くなる傾向があるため、貼付薬用基材の幅方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下となる傾向がある。しかしながら、繊維配向やテンション等をコントロールすることにより、長さ方向における50%伸長時応力を5N/50mm幅以下とすることもできる。
また、「50%伸長時応力」は次のようにして得られる値をいう。
(1)貼付薬用基材から、150mm×50mmの長方形の試験片を3枚採取する。例えば、幅方向の50%伸長時応力の場合には、幅方向150mm、長さ方向50mmの長方形の試験片を3枚採取する。
(2)試験片を引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(距離:100mm)に固定し、引張り速度200mm/min.で引っ張り、チャック間距離が150mmとなった時の応力を測定する。
(3)上記(1)〜(2)の操作を繰り返し、3枚の試験片について前記応力を測定し、その算術平均値を50%伸長時応力とする。
本発明の貼付薬用基材の目付は、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である限り、特に限定するものではないが、貼付薬用基材の地合いが優れているように、50g/m以上であるのが好ましく、60g/m以上であるのがより好ましい。他方で、目付が高すぎると、50%伸長時応力が高くなりやすく、また、使用時の貼付感が悪くなりやすいため、150g/m以下であるのが好ましく、120g/m以下であるのがより好ましい。なお、目付は1mあたりの質量である。
また、貼付薬用基材の厚さは、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である限り、特に限定するものではないが、厚いと使用時の貼付感が悪くなる傾向があるため、1.5mm以下であるのが好ましく、1.2mm以下であるのがより好ましい。他方で、厚さが薄すぎると、非含水膏体の逆しみが起こりやすいため、0.4mm以上であるのが好ましい。なお、この「厚さ」は圧縮弾性試験機を用い、接触面積5cm、荷重0.98N{100gf}の条件で測定した値である。
更に、貼付薬用基材の引張り強さは、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である限り、特に限定するものではないが、使用後に外用貼付薬を剥がす時に、貼付薬用基材が破断しないように、最も引張り強さが低い方向における引張り強さは20N/50mm幅以上であるのが好ましく、25N/50mm幅以上であるのがより好ましい。
更に、貼付薬用基材の伸び率は、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である限り、特に限定するものではないが、50%伸長時応力が5N/50mm幅以下となりやすいように、50%伸長時応力が5N/50mm幅以下である方向における伸び率が80%以上であるが好ましく、100%以上であるのがより好ましい。
なお、本発明における貼付薬用基材の「引張強さ」及び「伸び率」は、JIS L 1913:2010 6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法) 6.3.1(標準時)に則り、次の条件で測定した値である。
試験片の幅:50mm
チャック間距離:100mm
引張り速度:200mm/min.
本発明の貼付薬用基材は薬効成分を含む膏体が塗布されて外用貼付薬となる。本発明においては、吸湿性繊維が吸湿した時点で発熱するが、膏体が水を含んでいると、膏体を塗布した時に吸水して飽和状態となってしまい、使用時に、十分に発熱することが困難になるため、膏体として、非含水膏体を塗布するのが好ましい。つまり、プラスター用の膏体、又は非含水膏体を塗布し、プラスター剤型外用貼付薬、又はパップ剤型外用貼付薬とするのが好ましい。
なお、本発明の貼付薬用基材は大気中の水分を吸湿性繊維が吸湿して発熱するため、外用貼付薬を使用する直前まで大気中の水分と接触することがないように、外用貼付薬は防湿性を有するシートを用いて個別包装し、密封するのが好ましい。また、個別包装としない場合には、外用貼付薬が大気中の水分を吸湿して発熱しないように、必要分の外用貼付薬を取り出した後、速やかに密封できるように、チャックのような密封手段を備えた防湿包装材で包装するのが好ましい。更に、貼付薬用基材の発熱性に優れるように、非含水膏体を塗布する前に、貼付薬用基材を十分に乾燥した後、速やかに非含水膏体を塗布し、密封するのが好ましい。しかしながら、貼付薬用基材の製造工程中に吸湿性繊維の吸湿が進まないように、製造工程中の湿度を管理するだけでも、十分な発熱性を発揮できる。
本発明の貼付薬用基材は、例えば、前述のような吸湿性繊維と潜在捲縮繊維を用意し、場合によりその他の繊維も用意し、常法により製造することができる。例えば、好適である不織布形態の貼付薬用基材は次のようにして製造することができる。
用意した吸湿性繊維、潜在捲縮繊維、場合によりその他の繊維を用いて、少なくとも吸湿性繊維と潜在捲縮繊維とを含む繊維ウエブを、カード法、エアレイ法などの乾式法、湿式法により形成し、繊維同士を結合した後、潜在捲縮繊維の捲縮を発現させるか、同様に形成した繊維ウエブを構成する潜在捲縮繊維の捲縮を発現させた後に、繊維同士を結合して、不織布形態の貼付薬用基材を製造できる。
なお、繊維ウエブとしては、単層の繊維ウエブであっても良いし、2層以上の繊維ウエブであっても良い。2層以上の繊維ウエブの場合、繊維配合は同じである必要はない。例えば、表面層の繊維ウエブを構成する繊維として吸湿性繊維量を多くすると、その表面層における発熱量を多くすることができる。このように、吸湿性繊維量に偏りがあるなど、表裏の表面層によって発熱量に偏りがある場合には、少なくとも一方の表面層の、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であれば良い。
また、繊維同士の結合方法としては、少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下となる限り、特に限定するものではないが、捲縮顕在化繊維の捲縮伸長性を損なわない、ニードルパンチ、水流絡合などの絡合方法であるのが好ましい。特に、水流絡合によると、貼付薬用基材の強度を高めやすいため好適である。水流絡合条件は、少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下となる限り、特に限定するものではないが、水圧が高すぎると、50%伸長時応力が高くなり、伸長性が悪くなる傾向があるため、水圧は高くても8MPaとするのが好ましい。なお、吸湿性繊維の発熱性を損なわないように、水流で絡合した場合には、十分に乾燥するのが好ましい。
更に、潜在捲縮繊維の捲縮を発現させるための加熱処理は、例えば、熱風ドライヤー、赤外線ランプ、加熱ロールなどを用いて実施できるが、繊維同士が結合してしまい、貼付感が悪くならないように、熱風ドライヤー、赤外線ランプなどの固体による強力な圧力がかからない条件下で実施するのが好ましい。特に、潜在捲縮繊維が十分に捲縮を発現し、伸長性に優れるように、捲縮の発現による繊維ウエブの収縮分を見込んでオーバーフィードしながら加熱し、捲縮を発現させるのが好ましい。
以下に、本発明の実施例について特定条件を挙げて説明するが、これら条件は説明の理解を容易とするための例示に過ぎず、本発明は、これら特定条件にのみ限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で設計変更及び変形を行い得る。
(実施例1)
ポリエステル/低融点ポリエステルの組み合わせでサイドバイサイド型に構成された潜在捲縮繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)を70mass%と、アクリレート系吸湿性繊維(エクス(登録商標)、公定水分率:20%、繊度2.2dtex、繊維長47mm)30mass%とを混綿し、カード機にかけて一方向性繊維ウエブを2枚作製した。
次いで、作製した一方向性繊維ウエブ同士を積層してクロスレイウエブとした後、95メッシュのポリエステル製綾織ネットを用いて、5m/min.で搬送しながら水流(水圧:4MPa)により絡合させた。その後、クロスレイウエブを反転させた後、再度、反対面に対して水流(水圧:4MPa)を作用させて絡合し、絡合ウエブを形成した。
次いで、絡合ウエブを温度105℃に設定した熱風ドライヤーで十分に乾燥した後、テンションなど掛けず、自由に捲縮を発現できる状態で、熱風ドライヤーによる温度165℃での熱処理を約60秒間加えることによって、潜在捲縮繊維の捲縮を発現させ、スパイラル状の捲縮を有する捲縮顕在化繊維を含む、不織布形態からなる貼付薬用基材(目付:100g/m、厚さ:1mm)を製造した。
(実施例2)
潜在捲縮繊維を80mass%と吸湿性繊維20mass%とを混綿したこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態からなる貼付薬用基材(目付:100g/m、厚さ:1mm)を製造した。
(比較例1)
潜在捲縮繊維を60mass%と吸湿性繊維40mass%とを混綿したこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態からなる貼付薬用基材(目付:100g/m、厚さ:1mm)を製造した。
(比較例2)
潜在捲縮繊維を90mass%と吸湿性繊維10mass%とを混綿したこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態からなる貼付薬用基材(目付:100g/m、厚さ:1mm)を製造した。
(物性評価)
前述の手順に従って、貼付薬用基材の長さ方向及び幅方向における、50%伸長時応力、吸湿開始から10分後における温度上昇、引張強さ、及び伸び率を測定した。
また、次の[試験片の調整]−[保温容器の調整]−[温度測定]の手順により、貼付薬用基材を絶乾させた後の、吸湿開始から10分後における温度上昇を測定した。
[試験片の調整]
(1)貼付薬用基材を9cm×15cmの長方形に切断して、試験片を1枚採取した。
(2)試験片の9cm長の辺を軸として筒状に巻いた後、その筒状態を輪ゴムで緩く固定した。
(3)筒状態の試験片を、温度105℃に設定した乾燥機を利用して2時間加熱し、絶乾状態とした。
(4)絶乾状態の試験片を乾燥機から取り出し、試験片をチャック付きポリエチレン製袋(たて18cm、よこ26cm)に入れ、袋の口をチャックした後、デシケータ中に放置して1時間、放冷した。
[保温容器の調整]
(i)保温容器として、発泡スチロール(外寸:長さ120mm、幅100mm、深さ70mm、内寸:長さ95mm、幅75mm、深さ45mm)を用意した。
(ii)保温容器の底に、レーヨン不織布(目付:140g/m)を3枚重ねて敷き詰め、30gの精製水を前記親水性不織布に染み込ませ、容器の蓋をした後、室温下、2時間以上放置した。
[温度測定]
(イ)デシケータから袋を取り出し、更に袋から筒状態の試験片を取り出し、試験片の中空部に温度計[(株)安藤計器製工所製、精密水銀棒状温度計(1−59−3、HG301−50)]を挿入した。
(ロ)温度計を挿入したままの筒状態の試験片を、速やかに保温容器に入れ、蓋を閉め、温度(T)を測定した。
(ハ)10分経過した後、速やかに温度(T)を測定した。
(ニ)これら測定結果から、温度上昇(=T−T)を算出した。
これらの結果は表1に示す通りであった。
Figure 2013083015
#:最も引張り強さが低い方向
表1の結果から、本発明の貼付薬用基材である実施例1、2は、温度20℃、湿度45%RHで調湿させた後における、吸湿開始から10分後の温度上昇が2.3℃以上という、優れた発熱性能を発揮するものであったため、薬効成分の効能を高めることを期待できるものであった。また、製造工程中の湿度を45%RH以下に管理すれば、十分な発熱効果を期待でき、過度な低湿度での管理は必要ないこともわかった。
また、本発明の貼付薬用基材である実施例1、2は、幅方向における50%伸長時応力が4.7N/50mm幅以下という、小さい力で伸ばすことのできる、伸長性に優れるものであったため、使用時に剥がれにくく、貼付感の優れるものであった。
更に、本発明の貼付薬用基材である実施例1、2は、絶乾後における、吸湿開始から10分後の温度上昇が5.5℃以上という、更に優れた発熱性能を発揮するものであったため、薬効成分の効能を更に高めることを期待できるものであった。そのため、貼付薬用基材に非含水膏体を塗布する前に、貼付薬用基材を十分に乾燥するのが好ましいことがわかった。
本発明の貼付薬用基材は発熱性能及び伸長性に優れているため、薬効成分を含む非含水膏体を塗布して外用貼付薬を構成するための貼付薬用基材として、好適に使用できる。

Claims (1)

  1. 水分率が20%以上の吸湿性繊維と捲縮が顕在化した潜在捲縮繊維とを含む貼付薬用基材であり、吸湿開始から10分後における温度上昇が2℃以上であり、しかも少なくとも一方向における50%伸長時応力が5N/50mm幅以下であることを特徴とする、貼付薬用基材。
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