JP2003155537A - 高靱性硬質合金とその製造方法 - Google Patents

高靱性硬質合金とその製造方法

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JP2003155537A
JP2003155537A JP2001351337A JP2001351337A JP2003155537A JP 2003155537 A JP2003155537 A JP 2003155537A JP 2001351337 A JP2001351337 A JP 2001351337A JP 2001351337 A JP2001351337 A JP 2001351337A JP 2003155537 A JP2003155537 A JP 2003155537A
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powder
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JP2001351337A
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Yoshie Tani
佳枝 谷
Koji Nitta
耕司 新田
Keiji Koyama
惠司 小山
Masatoshi Mashima
正利 真嶋
Shinji Inasawa
信二 稲澤
Naoya Omori
直也 大森
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高靱性で硬度や強度にも優れる硬質合金
とその製造方法を提供する。 【解決手段】 WC,TiC,TiNおよびTiCNから選択された
少なくとも1種を含む硬質相と、鉄族金属を含む結合相
とを有する高靭性硬質合金である。この合金組織の断面
にアスペクト比が20超100以下となる形状の結合相組織
を含む。このような結合相組織を得るには、電気めっき
法を用いて製造されるアスペクト比の大きな原料粉末を
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高靱性の硬質合金
とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、硬質相の主成分をWCとし、結
合相をCo、Niなどの鉄族金属とする硬質合金はWC基超硬
合金と呼ばれ、硬質相の主成分をTiC(N)とし、結合相
を鉄族金属とする硬質合金はTiC(N)基サーメットと呼
ばれる。
【0003】これらの硬質合金は一般的に1300℃以上17
00℃以下の温度で1時間ほど真空中で無加圧で保持され
て焼結が行われる。場合によってはその後、焼結温度よ
りも低い温度でHIP(熱間静水圧プレス処理)がなされ
ることもある。そして、このような焼結条件下では液相
が生成し、WC粒は溶解再析出現象により焼結中に粒成長
を起こし、またサーメットにおいては硬質相が固溶体形
成および粒成長しやすいことが知られている。
【0004】これらの方法によって作製された硬質合金
の結合相は、どの切断面でも硬質相の粒界や粒同士の間
隙に存在するだけである。その形状も結合相粒と呼べる
ような明確なものは少なく、存在してもアスペクト比が
3より小さい形状のものである。このような組織となる
理由は、焼結中に結合相が溶解して液相が発生すると、
WC基超硬合金やTiC(N)基サーメットでは硬質相と結合
相間の濡れ性が高いことにより、液相が硬質相粒界や間
隙に流動するためである。
【0005】一方、WC基超硬合金やサーメットは高い硬
度を有する材料を作製するため、微粒原料を使用し、粒
成長抑制のためVC、Cr3C2、NbC、TaC、TiCなどの化合物
を添加し、緻密化できる限界の低温で焼結することで超
微粒の硬質合金を作製する努力がなされてきた。特にWC
基超硬合金ではVCやCr3C2の添加により、平均粒径が約
0.5μmのWC組織を有する硬質合金を作製(特開平1-2159
47号公報、同4-289146号公報、同5-98385号公報参照)
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の組織を
有する硬質合金は靱性が十分とはいえない。また、平均
粒径が約0.5μm以下の細かい粒径を有するWC基超硬合金
やサーメットを工業的に製造することはできていない。
そのため、硬質合金を利用できる分野にも制限があっ
た。
【0007】従って、本発明の主目的は、より高靱性で
硬度や強度にも優れる硬質合金とその製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、アスペクト比
の大きい結合相を硬質合金中に含ませることで上記の目
的を達成する。
【0009】すなわち、本発明硬質合金は、WC,TiC,T
iNおよびTiCNから選択された少なくとも1種を含む硬質
相と、鉄族金属を含む結合相とを有する高靭性硬質合金
であって、この合金組織の断面にアスペクト比が20超10
0以下となる形状の結合相組織を含むことを特徴とす
る。
【0010】従来、このような不均一な結合相組織を有
する硬質合金は、液相焼結材料としては好ましくないと
考えられた。しかし、後に実施例で示すように、本発明
硬質合金の破壊勒性は従来の合金のそれよりも高い値を
示す。これは、亀裂進展の際に亀裂がこの扁平な結合相
を必ず横切ることになるため、この際の結合相の塑性変
形に亀裂進展エネルギーが費やされるからと推測してい
る。
【0011】また、本発明硬質合金の製造方法は、WC,
TiC,TiNおよびTiCNから選択された少なくとも1種を含
む硬質相粉末と薄膜形成方法で製作された鉄族金属を含
む結合相粉末とからなる原料粉末を混合する工程と、こ
の混合粉末を圧縮成型する工程と、この圧縮体を1300℃
〜1700℃で焼結する工程とを具えることを特徴とする。
【0012】本発明は、アスペクト比の大きい結合相を
出発原料としており、この製造方法として薄膜形成方法
がある。薄膜形成方法には、めっき、CVDおよびPVDのい
ずれかが挙げられる。めっきには、電気めっき、化学め
っき、溶融めっきがある。中でも電気めっき法が好まし
い。薄膜形成方法により、アスペクト比の大きな結合相
粉末を容易に得ることができ、この結合相粉末を用いる
ことで、アスペクト比が20超100以下となる形状の結合
相組織を含む焼結体を得ることができる。但し、本発明
合金に用いる結合相粉末は薄膜形成方法以外の方法で作
られたアスペクト比の大きい結合相を用いても有効であ
る。
【0013】以下、本発明の構成を詳しく説明する。 (結合相) <合金における結合相組織の形状>本発明合金は、合金
組織の断面にアスペクト比が20超100以下となる形状の
結合相組織を含む。ここで、合金組織内の結合相のアス
ペクト比とは、合金組織の断面観察を行った際、合金組
織中に存在する帯状の結合相組織の、長辺と短辺の比
(長辺長さ÷短辺長さ)のことを指す。この帯状結合相
組織は直線でもよいし、曲線でもよいし、それらが組み
合わさったものでもよい。長辺は、この帯状結合相の中
心線長さを指し、短辺は帯状結合相組織の平均厚みを指
す。例えは幅0.5〜1μmで平均幅が0.75μm、長さが75μ
mの帯状結合相組織のアスペクト比は100となる。このア
スペクト比を算定するには、当該合金組織をラッピング
し、金属顕微鏡や電子顕微鏡で単位面積、例えば0.5mm
×0.5mmの合金組織を観察、写真撮影する方法がある。
これ以外の方法での算出も可能であるし、単位面積の設
定も任意でよい。
【0014】さらに、合金組織の断面にアスペクト比が
1〜10となる形状の結合相組織を含んでも良い。その場
合、結合相組織において(1)アスペクト比が1〜10とな
る形状の結合相組織の面積分率をA、(2)アスペクト比
が20超100以下となる形状の結合相組織の面積分率をBと
したとき、A/B<0.8であることが好適である。この面
積分率比を満たすことで、靭性の向上が顕著に見られ
る。
【0015】<結合相の材質>結合相の材質は鉄族金属
とする。具体的には、Co、Ni、Fe等が挙げられる。
【0016】<結合相の含有量>合金中に含まれる結合
相量は、超硬合金の場合は2〜25質量%、サーメットの
場合は5〜25質量%とする。これは一般的に工業的に製
造されている範囲を示している。規定した下限を下回る
と、焼結性が著しく低下し合金巣が発生しやすくなり、
上限を超えると硬度低下が著しくなる。
【0017】(硬質相) <硬質相の材質>硬質相は、硬質合金を超硬合金とする
かサーメットとするかにより公知の適宜な材料を選択す
る。超硬合金の場合、硬質相はWCが一般的であり、さら
にB-1型結晶構造を有する周期律表IVa、Va、VIa族遷移
金属と炭素、窒素、酸素あるいは硼素からなる固溶体相
を含んでも良い。サーメットの場合、硬質相はTiC、Ti
N、TiCNが一般的であり、さらにB-1型結晶構造を有する
周期律表IVa、Va、VIa族遷移金属と炭素、窒素、酸素あ
るいは硼素からなる固溶体相を含んでも良い。
【0018】<硬質相の含有量>合金中に含まれる硬質
相量は、超硬合金の場合は75〜98質量%、サーメットの
場合は75〜95質量%とする。この下限を下回ると、十分
な硬度が得られず、上限を超えると焼結性が著しく劣化
する。超硬合金で硬質相にB-1型結晶構造を有する周期
律表IVa、Va、VIa族遷移金属と炭素、窒素、酸素あるい
は硼素からなる固溶体相を含む場合、WC:25〜97.9質量
%、前記固溶体相:0.1〜50質量%とすることが好適で
ある。
【0019】<硬質相の平均粒径>硬質相の平均粒径は
0.01〜5μmが好ましい。0.01μmよりも小さい原料を使
用することは工業的に高コストであり、5μmより大きい
粒度を有する合金では靭性の向上効果が小さい。特に好
ましい硬質相の平均粒径は0.1〜3μmである。
【0020】(粒成長抑制材)さらに、硬質合金中には
粒成長抑制材を添加しても良い。粒成長抑制材には、周
期律表IVa、Va、VIa族の金属元素よりなる群から選択さ
れる1種以上の元素と、炭素および窒素よりなる群から
選択される1種以上の元素とからなる化合物などの高融
点化合物が好ましい。具体例としては、(Ta,Nb)C、V
C、Cr2C2、NbCなどが挙げられる。このような粒成長抑
制材の添加により、焼結中における硬質相の結晶粒成長
を抑制する働きがある。粒成長抑制材は無添加が最も好
ましい。添加する場合には、極力少なくする。特に、C
r、V、Crの炭化物、Vの炭化物の合計含有量は、結合相
量に対して1質量%以下とすることが望ましい。これら
のより好ましい含有量は0.3質量%以下である。
【0021】(不純物)言うまでもないが、本発明合金
中には不可避的不純物を含んでいてもよい。不可避的不
純物には、例えばAl,Ba,Ca,Cu,Fe,Mg,Mn,Ni,S
i,Sr,S,O,N,Mo,Sn,Cr等が挙げられる。
【0022】(硬質合金の製造方法) <原料となる結合相粉末の製造方法>アスペクト比が20
超100以下となる形状の結合相組織は、薄膜形成方法に
よって製作された結合相粉末を用いることで得られる。
薄膜形成方法の一つである電気めっき法を用いる場合、
結合相の原料粉末を得るには、結合相の形状に対応する
電極領域と、その周辺を囲む絶縁領域とを有するパター
ンがめっき形成されためっき金型を使用する。電極領域
を陰極として電気めっきを行い、電極領域に選択的に、
その形状に対応した平面形状を有する結合相材料の薄膜
を析出させる。その後、この薄膜をめっき金型から剥離
することで、各粉末間で平面形状が揃い、かつ各粉末間
および同一粉末内で厚みがほぼ揃った結合層粉末を得る
ことができる。
【0023】この方法で結合相粉末を製作すると、結合
相の形状はどのような形の物でも製作することができ
る。例えば、針状の物からコイン状、星型でも製作が可
能である。同様に、他のめっき方法、CVDあるいはPVDに
よってもマスクパターンを用いるなどして結合相の薄膜
を形成し、任意の形状の結合相粉末を作製すれば良い。
【0024】<結合相粉末のアスペクト比>薄膜形成方
法で作られた結合相粉末のアスペクト比は、3超200以下
であることが望ましい。このようなアスペクト比の結合
相粉末を用いることで、焼結体とした場合にアスペクト
比が20超100以下となる形状の結合相組織が得られる。
ここで結合相粉末のアスペクト比とは、1粒の結合相粉
末を、その重心を通る平面で切断した場合に形成される
切断平面において、切断平面の最大長さと最小長さの比
が最大となる平面で切断した場合の、最大長さと最小長
さの比と定義する。例えば円盤形状の結合相を製作した
場合、円盤形状の結合相の直径が50μmで厚みが0.5μm
の場合、アスペクト比が最大となる結合相切断面は、円
盤形状の重心及び上面円の中央及び下面円の中央の3点
を含む平面で切断した場合である。この場合は長辺が50
μm、短辺が0.5μmとなるため、アスペクト比は100とな
る。
【0025】<アスペクト比の小さい結合相粉末の使用
>本発明硬質合金を製造するにおいて、薄膜形成方法で
製造された結合相のみを用いてもいいし、従来法で製造
された結合相粒子も混合して使用してもよい。
【0026】薄膜形成方法で製造された結合相のみを用
いる場合、アスペクト比の異なる2種類以上の結合相粉
末を用いてもよい。
【0027】また、従来法により製造される結合相粒
子、例えばコバルトの場合、酸化物や硫化物からの精錬
法や、シュウ酸塩の熱分解法などで得られるコバルト粒
子のアスペクト比は3以下となるのが一般的である。つ
まり、電気めっき法で製作されたアスペクト比が3超200
以下の結合相粉末と、薄膜形成方法以外で製造されたア
スペクト比が3以下の結合相粉末の双方を混合して用い
ることが好ましい。この場合、焼結温度を適切に選べ
ば、得られた硬質合金の合金組織における結合相組織の
アスペクト比の存在確率のピークは複数出現する。
【0028】<原料粉末の混合・成型>以上のようにし
て得られた結合相粉末は硬質相粉末と共にボールミルな
どを用いて十分に混合する。続いて、混合粉末は所定の
形状に圧縮成型する。混合粉末の成型法としては、一般
的なプレス法、射出成型法などのいかなる方法を用いて
も良い。
【0029】<焼結法>焼結工程としては、(1)一般的
な真空焼結炉を用いて、1300℃〜1700℃の温度にて真空
雰囲気、或いは水素ガス、窒素ガス、COガスを始めとす
る各種雰囲気下で焼結してもよいし、(2)静水圧下での
加圧焼結をしてもよいし、(3)特開平12-169929号公報に
示されているような通電加圧焼結してもよい。焼結温度
を1300℃未満とした場合、液相が十分に出ないため、緻
密な組織が得られにくく、1700℃超とした場合は、硬質
相粒子が粗大化し、硬度が低下するため望ましくない。
焼結温度の好ましい保持時間は、10分〜300分程度であ
る。
【0030】通電加圧焼結を行った場合、加圧軸方向
に、若干の結合相組織の配向が認められる。このため、
得られた硬質材料の耐亀裂進展性に異方性が現れるた
め、その使用用途によっては望ましくない場合もある。
従って、通電加圧焼結以外の方法で焼結を行い、アスペ
クト比が20超100以下となる形状の結合相組織の配列が
方向性を有さないことが好ましい。同様に結合相組織の
配向が認められる焼結方法として放電プラズマ焼結法
(SPS:Spark Plasma Sintering)がある。
【0031】焼結後の焼結体にHIP処理、研磨、各種コ
ーティングを施しても、本発明の効果は有効である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 (実施例1)まず電気めっき法でアスペクト比の異なるC
o粉末A、B及びNi粉末を準備した。Co粉末の製作方法は
下記のように実施した。50mm×50mmのステンレス(SUS3
04)板に、液状フォトレジストをスピンコーターで1μm
厚さ塗布した。つづいて、直径40μmの穴の並んだフォ
トマスクを使用し、紫外線の平行光線によりこれを感光
した後、現像することで、直径40μmの穴の並んだパタ
ーンを作製した。これをめっきの金型とし、下記に示す
成分のめっき液にてエアバブリング中、濃度40℃の条件
でめっきを行った。対極としてはコバルト板を使用し
た。今回、めっき液組成として硫酸コバルト7水和物:2
00g/L、塩化コバルト6水和物:50g/L、ほう酸:40g/L、
pH=3.5を建浴し使用した。
【0033】通電は金型を陰極にして10A/dm2で40秒間
行った。通電後、フォトレジストを溶解除去すること
で、ステンレスの上に直径40μm、厚さ1μmのめっき薄
膜を得ることができる。こうして得られためっき薄膜
を、ゴム製のヘラを金型に押し付け、こすりつけること
で剥離を行った。その結果、めっき薄膜をステンレスか
ら100%剥離した。得られた粉末を走査型電子顕微鏡に
て1000倍で観察した結果、欠陥のない直径40μm、厚み1
μmの円盤状Co粉末A(アスペクト比40)を得ることがで
きた。同様の手法で直径80μm、厚さ0.8μmの円盤状Co
粉末B(アスペクト比80)を製造した。
【0034】さらに、一般的に用いられているコバルト
のシュウ酸塩(CoC2O4・2H2O)の熱分解法で製造した粒
径1μmでアスペクト比が1〜3のCo粉末Cも準備した。こ
れと平均粒径1μmのWC粉末と、平均粒径1.4μmのNbC粉
末、平均粒径1.4μmのVC粉末、平均粒径1.8μmのTiC粉
末、平均粒径1.4μmのTiCN粉末、平均粒径1μmのTaC粉
末、平均粒径1μmのNi粉末、平均粒径5.0μmのCr3C2
末、平均粒径2.0μmのMo2C粉末を準備し、表1に記載し
た組成に配合し、ボールミルで20時間混合粉砕して本発
明用原料粉末(No.1-1〜1-9)及び比較用原料粉末(No.
1−比1〜1−比6)を作製した。
【0035】
【表1】
【0036】次に、これらの粉末を25×8×5mmの形状の
形状にプレスし、1400℃にて60分間保持することで焼結
を行い、本発明焼結体(試料No.1〜9)および比較用焼
結体(試料No.10〜14)を得た。
【0037】これらの焼結体を切断して断面を平面研削
し、鏡面研磨後、光学顕微鏡により任意の3視野の組織
写真撮影を1500倍にて行い、この写真を用いて、結合相
金属のアスペクト比を算出した。この際、本発明合金N
o.7において、組織中に存在する結合相のアスペクト比
の存在確率は、大別して2種類のピークが存在した。こ
れは出発原料として、アスペクト比の異なる2種類の結
合相を用いたためと推測される。
【0038】また、本発明合金No.8において、(1)ア
スペクト比が1〜10となる形状の面積分率をA、(2)ア
スペクト比が20超100以下となる形状の面積分率をBとし
た場合、A/B=0.51となった。また、比較用合金No.11に
おいて、(1)アスペクト比が1〜10となる形状の面積分
率をA、(2)アスペクト比が20〜100となる形状の面積
分率をBとした場合、A/B=0.93となった。この面積分率
は前記の組織写真から画像処理装置を用いて測定した。
また、組織写真で結合相の配向を確認したところ、本発
明合金におけるアスペクト比の大きな結合相の配列はラ
ンダムで配向は認められなかった。
【0039】さらに、ダイヤモンド製ヴィッカース圧子
を用いて、50kgの荷重でインデンテーション法により、
硬度と破壊勒性を測定した。さらに3点曲げ試験によ
り、曲げ強度も測定した。これらの測定結果を表2に示
す。
【0040】
【表2】
【0041】表2より、本発明硬質合金の破壊靭性およ
び曲げ強度は、比較品よりも大幅に優れることが確認で
きた。
【0042】(実施例2)実施例1と同じ方法で、直径40
μm、厚み1μmの欠陥のない円盤状Ni粉末D(アスペクト
比40)、直径80μm、厚み1μmの欠陥のない円盤状Ni粉
末E(アスペクト比80)を製造した。一般的に用いられ
ているニッケルテトラカーボニルの熱分解法により製造
した粒径1μmでアスペクト比が1〜3のNi粉末Fも準備し
た。
【0043】これと実施例1で用いた欠陥のない直径40
μm、厚み1μmの円盤状Co粉末A(アスペクト比40)およ
び一般的に用いられているコバルトのシュウ酸塩(CoC2
O4・2H2O)の熱分解法で製造した粒径1μmでアスペクト
比が1〜3のCo粉末Cも準備した。これらと平均粒径1.2μ
mのWC粉末と、平均粒径1.4μmのNbC粉末、平均粒径1.2
μmのTiCN粉末、平均粒径1.4μmのTiC粉末、平均粒径1.
3μmのTaC粉末、平均粒径1.3μmのVC粉末、平均粒径1μ
mのMo2C粉末、平均粒径2.0μmのZrN粉末、平均粒径8.0
μmのCr粉末を準備し、表3に記載した組成に配合し、ボ
ールミルで11時間混合粉砕して本発明原料粉末(No.2−
1〜2−11)及び比較用原料粉末(No.2−比1〜2−比7)
を作製した。
【0044】
【表3】
【0045】次にこれらの粉末を25×8×5mmの形状にプ
レスし、1450℃にて60分間保持することで焼結を行い、
本発明焼結体(試料No.101〜111)及び比較用焼結体
(試料No.112〜117)を得た。
【0046】これらの焼結体を切断して断面を平面研削
し、鏡面研磨後、光学顕微鏡により任意の3視野の組織
写真撮影を1500倍にて行い、この写真を用いて、結合相
金属のアスペクト比を算出した。この際、本発明合金N
o.105、106、107、110において、組織中に存在する結合
相のアスペクト比の存在確率は、大別して2種類のピー
クが存在した。これは出発原料として、アスペクト比の
異なる2種類の結合相を用いたためと推測される。
【0047】また、本発明合金106において、(1)アス
ペクト比が1〜10となる形状の面積分率をA、(2)アス
ペクト比が20〜100となる形状の面積分率をBとした場
合、A/B=0.37となった。また、比較用合金No.115にお
いて、(1)アスペクト比が1〜10となる形状の面積分率
をA、(2)アスペクト比が20〜100となる形状の面積分
率をBとした場合、A/B=0.97となった。また、組織写真
で結合相の配向を確認したところ、本発明合金における
アスペクト比の大きな結合相の配列はランダムで配向は
認められなかった。
【0048】さらに、ダイヤモンド製ヴィッカース圧子
を用いて、50kgの荷重でインデンテーション法により、
硬度と破壊勒性を測定した。さらに3点曲げ試験によ
り、曲げ強度も測定した。これらの測定結果を表4に示
す。
【0049】
【表4】
【0050】表4より、本発明硬質合金の破壊靭性およ
び曲げ強度は、比較品よりも大幅に優れることが確認で
きた。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明硬質合金に
よれば、アスペクト比が20超100以下となる形状の結合
相組織を含ませることで、従来に比べて破壊靭性や曲げ
強度に優れた合金を得ることができる。従って、本発明
硬質合金は高靭性が要求される切削工具や耐摩耗部材、
耐衝撃用工具などに利用することができる。
【0052】また、本発明硬質合金の製造方法は、薄膜
形成方法を用いることで、任意のアスペクト比の結合相
粉末を得ることができ、本発明硬質合金を容易かつ低コ
ストにて実現することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 29/04 C22C 29/04 B 29/10 29/10 29/16 29/16 H J N (72)発明者 小山 惠司 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 真嶋 正利 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 稲澤 信二 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 大森 直也 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 4K018 AD02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 WC,TiC,TiNおよびTiCNから選択された
    少なくとも1種を含む硬質相と、鉄族金属を含む結合相
    とを有する高靭性硬質合金であって、 この合金組織の断面にアスペクト比が20超100以下とな
    る形状の結合相組織を含むことを特徴とする高靱性硬質
    合金。
  2. 【請求項2】 さらに、合金組織の断面にアスペクト比
    が1〜10となる形状の結合相組織を含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の高靱性硬質合金。
  3. 【請求項3】 結合相組織において(1)アスペクト比
    が1〜10となる形状の結合相組織の面積分率をA、(2)
    アスペクト比が20超100以下となる形状の結合相組織の
    面積分率をBとしたとき、A/B<0.8であることを特徴と
    する請求項2に記載の高靱性硬質合金。
  4. 【請求項4】 アスペクト比が20超100以下となる形状
    の結合相組織の配列が方向性を有さないことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の高靱性硬質合金。
  5. 【請求項5】 硬質相がWCおよびB-1型結晶構造を有す
    る周期律表IVa、Va、VIa族遷移金属と炭素、窒素、酸素
    または硼素とからなる固溶体相:75〜98質量%であり、
    結合相がCoおよびNiの少なくとも一方を2〜25質量%で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高
    靱性硬質合金。
  6. 【請求項6】 硬質相がB−1型結晶構造を有する周期律
    表IVa、Va、VIa族遷移金属と炭素、窒素、酸素または硼
    素とからなる固溶体相:75〜95質量%であり、結合相が
    CoおよびNiの少なくとも一方を5〜25質量%であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高靱性硬質
    合金。
  7. 【請求項7】 WC,TiC,TiNおよびTiCNから選択された
    少なくとも1種を含む硬質相粉末と薄膜形成方法で製作
    された鉄族金属を含む結合相粉末とからなる原料粉末を
    混合する工程と、 この混合粉末を圧縮成型する工程と、 この圧縮体を1300℃〜1700℃で焼結する工程とを具える
    ことを特徴とする高靱性硬質合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 薄膜形成方法がめっき、CVDおよびPVDの
    いずれかであることを特徴とする請求項7に記載の高靭
    性硬質合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 さらに原料粉末には、薄膜形成方法以外
    で製造された結合相粉末を含むことを特徴とする請求項
    7に記載の高靱性硬質合金の製造方法。
  10. 【請求項10】 薄膜形成方法で製作された鉄族金属を
    含む結合相粉末のアスペクト比が3超200以下であること
    を特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の高靱性硬質
    合金の製造方法。
  11. 【請求項11】 原料粉末には、アスペクト比の異なる
    複数の結合相粉末が混合されていることを特徴とする請
    求項7〜10のいずれかに記載の高靱性硬質合金の製造方
    法。
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