JP2003155078A - 保温性容器 - Google Patents

保温性容器

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JP2003155078A
JP2003155078A JP2001353897A JP2001353897A JP2003155078A JP 2003155078 A JP2003155078 A JP 2003155078A JP 2001353897 A JP2001353897 A JP 2001353897A JP 2001353897 A JP2001353897 A JP 2001353897A JP 2003155078 A JP2003155078 A JP 2003155078A
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low
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Akiko Mitsushiba
晶子 三柴
Rie Tejima
理恵 手島
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保温性と断熱性が必要とされる紙製容器に関
し、内部に発泡体粒子により微小な独立気泡が多く存在
する低密度紙を用いる場合、発泡性粒子の脱落がなく、
安全で、印刷性や見栄え等の商品性を損なうことなく、
複雑な製造工程を経ずに製造可能であり、廃棄する際の
易廃棄性と環境負荷の少ない保温性容器を提供する。 【解決手段】 紙製カップの胴部外側面に外装紙が巻き
付けられている紙製カップ容器において、該外装紙が、
パルプ繊維に発泡性粒子を混抄、発泡させて得た低密度
シートであって、紙製カップ胴部側面と接する面に発泡
性粒子脱落防止層が設けられている保温性容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インスタントラー
メン等の即席麺類、またはお茶、コーヒー、スープ、み
そ汁等のように主に熱湯を注ぐことのより飲食できる食
品の容器、さらにはファーストフード、持ち帰り弁当、
中華饅頭など、保温性と断熱性が必要とされる容器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、食品容器等の保温断熱性を要する
容器として、断熱性、保温性に優れ、成形、加工性も良
く、さらに安価な発泡ポリスチレン製容器が多用されて
いる。しかし、近年、省資源化、環境保護、環境問題へ
の関心が高まると共に、使用後廃棄する際に焼却処理が
容易であり、埋め立て処理においても、土壌中の微生物
により生分解される紙を主体とする保温性容器への要望
が高まっている。
【0003】紙基材を主体とするこの種の容器として
は、紙基材上にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネ
ートしたものが使用されている。しかし、単なるラミネ
ート紙は断熱性が殆どないため、熱い食品等の内容物を
入れた容器を持つと、手に熱が伝わるため持ちにくい。
また、保温性が劣るため、内容物の温度が急激に低下す
る。あるいは熱による基材軟化のため、容器強度が低下
するなどという問題があった。
【0004】これらを改善する手段として、カップ本体
と外壁の間に断熱空気層を設ける方法が提案されてい
る。例えば、内容物の温度が直接指に伝わらないように
すると共に、容器の強度を向上させるため、容器の胴部
の外面に多数のリブを付設する方法が特開昭51−25
76号公報に提案されている。しかしこの方法では、リ
ブの凸部の温度は低く保たれるため、容器を持つ手に熱
が伝わりにくいが、リブ部が冷却フィンのような機能を
果たすために保温性が劣る。またリブ部の段差により、
見栄えと印刷性が劣るという問題があった。
【0005】また実開平6−39717号公報には、紙
カップ外周に同一深度の点状のエンボス模様を施した断
熱性紙カップが提案されている。しかし、表面に点状の
エンボス模様を施した断熱性紙カップは、見栄えと印刷
性に劣るという問題があった。
【0006】そこで、リブおよびエンボス処理した紙を
カップ外周に貼付しさらに最外周に外層紙を貼り付ける
方法が実開平6−65279号公報に提案されている。
しかし、このような方法では、容器を構成する部品点数
が増え、首記の省資源の目的を達成できない。
【0007】上記述べたような、リブ法、エンボス法、
エンボス+外装紙法等における問題点である、保温性の
悪さ、見栄えや印刷適性の悪さ、部品点数増等を解決す
る手段として、例えば、特開平4−201840号公報
では胴部上方周壁に段差を設け、外側からカップ胴部に
板紙を巻き付けて空隙を形成した紙容器が提案されてい
る。また実開平4−45212号公報では、カップ本体
の底部に内向きカールさせた外周紙を用い断熱空気層を
設ける方法が提案されている。さらに特開平7−223
683号公報にはカップ本体の胴部外壁面状の円周上に
帯状突起を設け外壁面との間に断熱空気層を設ける方法
が提案されている。
【0008】しかしながら、上述の空気断熱層を設ける
方法は、いずれも空隙を多くして空気断熱層を設けてい
るため、カップを掴んだときに、これらの空隙が潰れ、
断熱効果が弱くなる問題があった。
【0009】そこで、つぶれを抑止するために紙の剛性
を高めれば紙はたわみにくくなるが、紙の剛性を高める
には紙の坪量を上げる方策がある。しかしこの方策では
省資源の目的を達成できないばかりでなく、シートを内
側の紙カップに巻き付ける際に紙が厚すぎて成形しにく
く紙折れを発生して見栄えが悪くなるなどの問題があっ
た。
【0010】紙の重量を上げず剛性を発揮する手段とし
ては、古紙の配合量を減らすか、もしくは配合せず、強
度の高いUKPなどのパルプを使用することが挙げられ
る。しかし、紙強度を上げると、シートを内側の紙カッ
プに巻き付ける際、紙が硬すぎて成形しにくく、紙折れ
を発生して容器強度の低下、見栄えが悪くなるなどの問
題が発生する。
【0011】一方、本研究者らは、保温性、断熱性に優
れた素材として、パルプ繊維層に発泡性粒子を含有した
低密度紙に着目し、実開平5−94171号公報には、
低密度紙を紙カップに用いた方法、また実開平5−82
814号公報には、より断熱性・保温性を向上させた、
外装紙として低密度紙を使用する方法を開示してきた。
また実開平6−12325公報には、表面の印刷性を向
上させるため、外装となる低密度紙に印刷層を設ける方
法についても開示した。このように、パルプ繊維層に発
泡性粒子を含有した低密度紙を外装に使用した容器は、
保温性・断熱性に優れているものの、低密度を発現する
ために配合している発泡性粒子が、印刷、およびカップ
加工工程で脱落するという問題が発生している。
【0012】
【発明が解決しようとする手段】本発明は、保温性と断
熱性が必要とされる紙製容器に関し、内部に発泡体粒子
により微小な独立気泡が多く存在する低密度紙を用いる
場合、発泡性粒子の脱落がなく、安全で、印刷性や見栄
え等の商品性を損なうことなく、複雑な製造工程を経ず
に製造可能であり、廃棄する際の易廃棄性と環境負荷の
少ない保温性容器を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下の手段をとる。即ち、本発明の第1
は、紙製カップの胴部外側面に外装紙が巻き付けられて
いる紙製カップ容器において、該外装紙が、パルプ繊維
に発泡性粒子を混抄、発泡させて得た低密度シートであ
って、紙製カップ胴部側面と接する面に発泡性粒子脱落
防止層が設けられている保温性容器である。
【0014】本発明の第2は、発泡性粒子脱落防止層が
高分子樹脂層である、本発明の第1に記載の保温性容器
である。
【0015】本発明の第3は、高分子樹脂層が熱可塑性
樹脂ラミネート層である、本発明の第2に記載の保温性
容器である。
【0016】本発明の第4は、高分子樹脂層が高分子樹
脂塗工層である、本発明の第2に記載の保温性容器であ
る。
【0017】本発明の第5は、発泡性粒子脱落防止層が
パルプ繊維層からなる本発明の第1に記載の保温性容器
である。
【0018】本発明の第6は、低密度シートの厚みが5
00〜1000μmである、本発明の第1〜5に記載の
保温性容器である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、紙製カップの胴部外側
側面に、外装紙を貼付けや巻き付け等して胴部を2重構
造にした容器において、該外装紙として、パルプ繊維に
発泡性粒子を混抄、発泡させて得た低密度シートを用い
た場合、容器加工工程において、発泡性粒子が紙層から
脱落させないため、前記低密度シートの、少なくとも紙
カップに接する面に、発泡粒子脱落防止層を設けるもの
である。
【0020】本発明で使用される低密度シートについ
て、以下に説明する。低密度シートの原料として用いる
パルプ繊維としては、通常の木材パルプであるNBK
P、LBKP、NBSP、LBSP、また、その他の木
材パルプや、リンターパルプ、麻パルプ、ケナフパルプ
のような非木材パルプ等を適宜組み合わせて使用するこ
とができる。また、木材パルプを使用する場合には、3
00〜600mlcsf程度に叩解したものを使用する
ことが好ましいが特に限定されるものではない。また非
木材パルプを使用する場合、叩解の程度について、原料
の組み合わせにより適宜調整する。
【0021】低密度シートの原料として用いる発泡性粒
子としては、熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。熱
膨張性マイクロカプセルは、ポリマー殻で液状ガスを内
包した構造を有する粒子である。ポリマー殻は、ポリ塩
化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂等で形成される。昨今
の情勢により、焼却処理等をしてもダイオキシンの発生
の可能性のないアクリル系樹脂で形成されたタイプのも
のを使用するのがより好ましい。熱膨張性マイクロカプ
セルの粒子径は、未膨張の状態で平均粒径10〜17μ
m前後であり、膨張後は平均40μm程度である。熱膨
張性マイクロカプセルの発泡温度としては、80〜20
0℃程度まで幅広い製品が存在するが、パルプと混抄し
て低密度シートを製造する場合においては、抄紙機ドラ
イヤーの温度条件で発泡させることができるように、1
00〜120℃前後のものを選定するのが好ましい。
【0022】低密度シートにおける発泡性粒子の添加量
は、全パルプ繊維重量に対し1〜30重量%以下が好ま
しく、1〜20重量%がより好ましい。1重量%未満の
場合には、発泡性粒子による低密度化の効果が不十分で
あり、また30重量%を超えると、コストアップの原因
となる上、シート巾方向の厚さ制御が難しく、発泡性粒
子が脱落しやすくなる恐れがある。また、低密度シート
中においては、できるだけ均一に発泡性粒子をパルプ繊
維中に分散させる必要がある。発泡性粒子の存在が均一
に分散していない場合、凝集している部分は大きく膨ら
み、発泡性粒子が少ない部分では膨らみが小さく、得ら
れる低密度シート表面に多くの凹凸が発生し、表面が粗
面化する。
【0023】発泡性粒子を含有する層の低密度シートの
密度は、発泡性粒子の配合量を適宜調整することによっ
て選択できる。本発明で使用する低密度シートの密度は
0.05〜0.4g/cmの範囲がより好ましい。
0.05g/cm未満を発現するためには、多量の発
泡性粒子を配合する必要があり、コストアップになると
共に、操業性が不安定となり、厚さの均一なシートを得
ることが難しい。また0.4g/cmを超えた場合
は、断熱性、保温性確保のため、低密度シートの坪量を
増やす必要があり、それによってシートの剛度も高くな
るため、紙製カップへの巻き付け時に、折れ皺等が入っ
てしまい、美粧性および容器強度を損なう恐れがある。
また、低密度シートの厚さは適宜選択可能であるが、断
熱性、保温性の観点から500〜1000μmの範囲が
以上が好ましい。
【0024】パルプ繊維に発泡性粒子を混抄、発泡させ
て得た低密度シートは、最初にドライヤー加熱面に接触
した面(以下オモテ面とする)が平滑性が高く、そうで
ない面(以下ウラ面とする)は平滑性が劣る。本発明の
外装紙として使用する場合は、前記平滑性の高い面が外
側になるように設計し、印刷を施すことが美粧性の点か
ら望ましい。また、このような低密度シートは、オモテ
面よりウラ面から発泡性粒子がより脱落しやすい傾向が
ある。そのため、少なくともウラ面には発泡性粒子脱落
防止層を設ける必要がある。
【0025】発泡性粒子脱落防止層として、低密度シー
トの表面に高分子樹脂層を設ける方法が好ましい。高分
子樹脂層を設ける方法としては、ポリエチレンやポリプ
ロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を
押出しラミネート等することによって熱可塑性樹脂層を
設けることができる。熱可塑性樹脂樹脂層は、発泡性粒
子の脱落が防止可能な程度の均一なフィルム層を形成し
ていれば良い。また、樹脂層の厚さは10〜30μm程
度が好ましい。10μm未満の場合は、均一な膜形成が
困難である。また30μmを超えた場合は、発泡性粒子
脱落防止目的としては過剰であって、カップ容器全体と
しての合成樹脂部分が多くなり、省資源は環境的観点か
ら好ましくない。
【0026】また、高分子樹脂層を形成するための熱可
塑性樹脂のラミネート以外の方法として、高分子樹脂溶
液の塗工による方法がある。この場合に使用される高分
子樹脂としては、酸化デンプン、カチオン化デンプン、
コーンスターチ等の各種デンプンが挙げられる。また、
PVA、SBR、NBR、アクリル酸エステル、ポリア
クリルアミド等、その他アクリル系樹脂、またポリオレ
フィン系樹脂等、水溶液、もしくはエマルジョンである
高分子樹脂溶液として塗工可能なものが使用できる。特
に、本発明の容器を食品用に使用する場合には、安全性
から各種デンプンやPVAが好適に使用される。高分子
樹脂溶液の塗工方法としては、通常用いられる方法を任
意に選択することができる。オンマシンもしくはオフマ
シンにおける塗工もしくは含浸でも良いし、またはより
簡便に実施できるスプレー塗工でも良い。スプレー塗工
の場合、塗工場所は、抄紙工程上、ウエットシートの紙
層が形成された後でスプレー可能な場所であればどこで
も良く、湿紙段階で実施しても良い。また2ケ所以上で
実施することもできる。また、スプレー処理は低密度紙
のウラ面にのみ施しても良い。抄紙工程での湿紙へのス
プレー処理や含浸処理は、発泡性粒子のシート表裏面か
らの脱落を防止するだけでなく、シートの厚み方向に高
分子樹脂が浸透するため、シート断面からの脱落も防止
できる。また、スプレーする高分子樹脂溶液の濃度は、
均一に拡散するためには低濃度が好ましく、乾燥負荷等
を考慮すると、高濃度でウェットスプレー量を少なくす
ることが好ましいため、状況に応じて適切な濃度範囲を
選択しスプレー処理するものとする。
【0027】高分子樹脂溶液の塗布量は、絶乾シート坪
量に対して1〜30重量%の範囲である。1重量%未満
では、塗布量が不十分で発泡粒子の脱落が防止効果が得
られない恐れがある。また30重量%を超えた場合は、
コストアップの原因となる上、シート密度が高くなるた
め断熱性が低下する恐れがある。
【0028】また、発泡性粒子脱落防止層として、低密
度シートの最外層の紙層として発泡性粒子を含まないパ
ルプ繊維層を設けても良い。発泡性脱落防止層としての
パルプ繊維層の坪量としては、30g/m以下である
ことが好ましい。30g/mを超えた場合、抄き合わ
せた後のシート全体の密度が高くなるため、低密度シー
トの断熱性やクッション性が十分に得られない恐れがあ
る。また、坪量の下限としては、発泡性粒子の脱落防止
効果が得られる程度に、均一であって穴のない紙層が得
られれば良く、使用する原料や抄紙するマシンによって
異なる。また、低密度シート全体の密度を高くしないた
めにも、発泡性粒子脱落防止層であるパルプ繊維層の密
度も、できるだけ低密度であることが好ましい。なお、
前記発泡性粒子を配合しないパルプ繊維層は、少なくと
も低密度シートのウラ面に設けるものとするが、ウラ面
とオモテ面の両面に設けることも可能である。発泡性粒
子を配合しないパルプ繊維をオモテ面にも設ける場合に
は、特に坪量は少なめにする方が好ましい。特に30g
/mを超える場合、乾燥時に、発泡性粒子を配合して
ある中間層への熱の伝わりが悪くなるため、発泡が起こ
りにくくなる恐れがある。
【0029】低密度シートを抄紙する際に用いる製紙用
薬品としては、サイズ剤、サイズ定着剤、紙力剤、各種
顔料、填料、染料、歩留向上剤等、通常の抄紙で用いら
れるものを任意に配合することができる。サイズ剤とし
てはアルキルケテンダイマー、スチレンアクリル樹脂、
ロジン等の内添サイズ剤が挙げられる。紙力剤としては
ポリアクリルアミド系の紙力剤が挙げられる。湿潤紙力
剤には、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂等が挙げ
られる。
【0030】上記材料からなるスラリーを常法により抄
紙して本発明の外装紙として用いる低密度シートを得
る。発泡性粒子脱落防止層として、発泡性粒子を含まな
いパルプ繊維層を設ける場合には、抄き合わせ抄紙が可
能な抄紙機であれば、形式は問わず使用可能である。ま
た、発泡粒子脱落防止層として高分子樹脂層を設ける場
合には、抄き合わせ抄紙可能マシンを使用する必要はな
く、単層抄紙マシンで良い。また、オンマシンで高分子
樹脂溶液を塗工して発泡粒子脱落防止層を設ける場合に
は、スプレー装置やサイズプレス機や塗工機が必要とな
る。低密度シートの発泡および乾燥は、通常の多筒ドラ
イヤー、ヤンキードライヤー、スルードライヤー等の何
れの形式でも行うことができる。但し、選定した発泡性
粒子の発泡最適温度に合わせ、ドライヤー表面の温度、
熱風温度を調整することが好ましい。通常の場合、12
0℃程度にすることが好ましい。また、ヤンキードライ
ヤーのように、加熱面にシートを押し付けるタイプの乾
燥装置の方が、熱の伝わりが良好で発泡しやすいだけで
なく、特にオモテ面の表面平滑性が高くなるため、より
好ましい。
【0031】このようにして得た低密度シートの厚さ
は、500〜1000μmの範囲が好ましい。500μ
m未満の場合、断熱性が不十分となる恐れがある。ま
た、1000μmを超えた場合、低密度シートが硬くな
り、カップ胴部巻き付け時に、皺や折れ線が入りやす
く、美粧性や容器強度上好ましくない。
【0032】本発明で用いられる紙製カップは、上質紙
等からなる基材紙の少なくとも片面にポリエチレン樹脂
等の熱可塑性樹脂をラミネートした積層紙を用いて成形
され、筒状の胴部と底部から構成され、胴部側壁が底面
に対して垂直、もしくは上部開口部が広がるようにテー
パーを設けられた形状の、従来の一般的に使用される紙
カップと同様のものである。本発明で用いられる紙カッ
プ本体に用いる基材紙は、坪量150〜350g/m
の範囲が好ましく、200〜300g/mが特に好ま
しい。また、基材紙にラミネートされる熱可塑性樹脂層
の厚さは、20〜50μmの範囲が好ましく、25〜3
0μmが特に好ましい。
【0033】本発明の保温性容器は、上記紙カップの胴
部外側面に低密度シートを巻き付けるものである。加工
工程としては、必要な場合は予めオモテ面に印刷を施し
た低密度シートを、胴部外側面の形状に対応した所定の
形状に打ち抜き、紙カップ胴部外側面に巻き付ける。こ
のように、低密度シートは紙カップに巻き付けられるま
でに、印刷、打ち抜き、巻き付けの複数の工程を経るた
め、発泡性粒子の脱落が問題となるので、本発明におい
ては、少なくとも脱落がより発生しやすいウラ面に前述
の方法で発泡性粒子脱落防止層を設けたものを使用する
ものである。
【0034】本体である紙カップ胴部外側面に巻き付け
た低密度シートを固定するために、低密度シートと、紙
カップ胴部外側面全体を貼着してもよく、また、巻き付
けた低密度シートの両端部同士のみを貼着してもよい。
巻き付けられた低密度シートの位置を固定するため、紙
カップ本体と、低密度シートの少なくとも一部を貼着す
るか、あるいは、低密度シートを紙カップ胴部外側面周
囲に緩みなく密着するように巻き付けても良い。また、
巻き付けられた低密度シートは、本体紙製カップに対し
て、筒形状の断熱性サックを形成するが、前記断熱性サ
ックは、必ずしも紙カップの外側面全体を覆う必要はな
く、少なくとも手で持つ部分に存在すればその部分で断
熱作用を発揮するので、本体カップ胴部外側面の上部も
しくは下部、あるいはその両方が、断熱性サックより露
出した形態でも良い。
【0035】
【実施例】以下に実施例により本説明をより具体的に説
明する。なお、特に断りのない限り、濃度や配合量、塗
布量などを示す数値は、固形分または有効成分の質量基
準の数値である。
【0036】<実施例1>市販のLBKP80%、NB
KP20%を混合、カナダ標準濾水度450mlcsf
にまで叩解したパルプスラリーを調成した。前記パルプ
スラリーに、以下の製紙用薬品を薬品絶乾質量%で添加
した。紙力剤としてポリアクリスアミド(ポリストロン
194−7:荒川化学工業製)0.3%、サイズ剤とし
てアルキルケテンダイマー(サイズパインK287:荒
川化学工業製)0.2%、湿潤紙力剤としてポリアミド
エピクロルヒドリン樹脂(アラフィックス255:荒川
化学工業製)0.3%、定着剤として両性デンプン(エ
ースディーンCP20:大和化学工業製)0.8%であ
る。さらに、前記パルプスラリーに熱膨張性マイクロカ
プセル(EXPANCEL007:日本フィライト製)
を全パルプ繊維に対し10%添加し、これを紙料Aとし
た。上記調成した紙料Aを用いて、実験用手抄きマシン
により手抄きし、回転式ドライヤーを用い、片方の表面
がドライヤーロールに接触させて乾燥と同時にマイクロ
カプセルを発泡させ、100g/m、0.15g/c
の低密度シートを得た。このとき、ドライヤーロー
ルに接触した面をオモテ面、その反対面をウラ面とす
る。また、ドライヤー温度は120℃とした。この低密
度シートのウラ面に、低密度ポリエチレンを20μm厚
にラミネートして、発泡性粒子脱落防止層を設けたもの
を実施例1とした。なお、ラミネート後の低密度シート
は、ラミネート時のロール圧により密度が0.2g/c
となった。
【0037】<実施例2>実施例1と同様にして得られ
た低密度シートのウラ面に、低密度ポリエチレンのラミ
ネートの代わりに、デンプン水溶液(エースA:王子コ
ーンスターチ製)を塗工、固形分5g/mである塗工
層を設けて発泡性粒子脱落防止層としたものを実施例2
とした。
【0038】<実施例3>実施例1と同様にして得られ
た低密度シートに、デンプン水溶液(エースA:王子コ
ーンスターチ製)を含浸させ、含浸された量が25g/
となるようにして、両面に発泡性粒子脱落防止層を
設けたものを実施例3とした。
【0039】<実施例4>熱膨張性マイクロカプセルを
配合しない以外は、実施例1で得た紙料Aと同一の構成
の紙料Bを調成した。実験用手抄きマシンにより、紙料
Aと、紙料Bを抄き合わせ、紙料Aからなる紙層100
g/mと、紙料Bからなる30g/mの2層構成の
シートを得た。さらに回転式ドライヤーにて、発泡性粒
子を含む側の紙層表面がオモテ面となるように、ドライ
ヤーロールに接触させ、乾燥、および発泡させた。この
とき発泡性粒子を含まない側の紙層表面がウラ面とな
り、発泡粒子脱落防止層となった。
【0040】<実施例5>熱膨張性マイクロカプセルの
配合量が2.5%であることを除けば、実施例1で得た
紙料Aと同一構成の紙料Cを調成した。実験用手抄きマ
シンにより、紙料Cと、紙料Bを抄き合わせ、紙料Cか
らなる紙層150g/mと、紙料Bからなる30g/
の2層構成のシートを得た。さらに回転式ドライヤ
ーにて、発泡性粒子を含む側の紙層表面がオモテ面とな
るようにドライヤーロールに接触させ、乾燥、および発
泡させた。このとき発泡性粒子を含まない側の紙層表面
がウラ面となり、発泡粒子脱落防止層となった。
【0041】<比較例1>実施例1で得られた低密度シ
ートに、ラミネート等の発泡粒子脱落防止層を設けなか
ったものを比較例1とした。
【0042】<比較例2>熱膨張性マイクロカプセルの
配合量を7.5%であることを除けば、実施例1で得た
紙料Aと同一構成の紙料Dを調整し、実施例1と同様の
方法で抄紙、乾燥し、100g/mの低密度シートを
得て比較例2とした。
【0043】<比較例3>熱膨張性マイクロカプセルの
配合量を12.5%であることを除けば、実施例1で得
た紙料Aと同一構成の紙料Eを調整し、実施例1と同様
の方法で抄紙、乾燥し、150g/mの低密度シート
を得て比較例3とした。
【0044】実施例、比較例により得た各シートを以下
の方法で評価し、表1に示す。 [密度]JIS P 8118に準ずる。 [発泡性粒子脱落量評価]2cm巾×15cm長さの微
粘着テープ(Scotch brand Tape #331T:住友
3M製)を、低密度シートのウラ層の異なる8ケ所と密
着させ、テープに付着した発泡性粒子の量を目視および
顕微鏡観察し、発泡性粒子脱落量の多少を判断した。 ○:テープの粘着面に発泡性粒子が殆ど付着しない。 ×:テープの粘着面の全面に発泡性粒子が付着する。 [断熱性触感評価]実施例、比較例で得たシートを、略
扇形に打ち抜いた後、内容量400ccの市販の紙カッ
プ(210g/m上質紙の片面に40μm厚ポリエチ
レン樹脂が積層された基材紙を使用、カップ内面がラミ
ネート層となるように構成されたもの)の側壁外側に巻
き付けて貼着し、保温性容器を作成した。前記保温性容
器に、95℃、350gの熱水を入れ、3分後に容器を
手で保持し、このときの保持可能時間を、以下の4段階
で評価した。なお、参考例として、外装紙を巻き付け
ず、紙カップ単体でも評価を行った。 ◎:90秒以上 ○:60秒以上90秒未満 △:30秒以上60秒未満 ×:30秒未満 [巻き付け適性評価]実施例、比較例で得たシートを略
扇形に打ち抜いた後、紙カップ側壁外側に巻き付ける
際、その巻き付け適性を評価した。 ○:紙カップの胴部曲面に追従して、隙間なくきれいに
巻き付けられる。 ×:巻き付けの際に折れ皺が入ってしまう。
【0045】
【表1】
【0046】表1から明らかなように、ウラ面に発泡性
粒子脱落層を設けた低密度シートは、粒子の脱落がな
く、製品加工工程での操業性向上が期待できると共に断
熱性も良好であった。また、ウラ面に発泡性粒子脱落防
止層を設けない低密度シートは、製品加工工程で発泡性
粒子が脱落して、操業性が悪化する(比較例1〜3)。
なお、低密度シートの厚さが500μm未満の場合断熱
性が劣り(比較例2)、1000μmを超えると巻き付
け時に皺が入りやすく、巻き付け適性が劣る(比較例
3)。
【0047】
【発明の効果】本発明によって、保温性と断熱性が必要
とされる紙製容器に関し、内部に発泡体粒子により微小
な独立気泡が多く存在する低密度紙を用いる場合、発泡
性粒子の脱落がなく、安全で、印刷性や見栄え等の商品
性を損なうことなく、複雑な製造工程を経ずに製造可能
であり、廃棄する際の易廃棄性と環境負荷の少ない保温
性容器を提供することが可能となった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B65D 65/46 B65D 65/46 Fターム(参考) 3E067 AB01 AB26 AC01 BA01A BA07A BB01A BB14A BB15A BB16A BB25A BB26A BC03A CA18 EE02 FA01 FC01 GA11 GD05 3E086 AA22 AD06 BA04 BA14 BA15 BA16 BA24 BA35 BB37 BB85 BB90 4F100 AK01C AK06C BA03 BA07 BA10A BA10C BA13 CC00C DA01 DG02B DG10A DG10B DJ05B DJ05H EH23C GB16 GB23 JA15B JB16C JJ02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙製カップの胴部外側面に外装紙が巻き付
    けられている紙製カップ容器において、該外装紙が、パ
    ルプ繊維に発泡性粒子を混抄、発泡させて得た低密度シ
    ートであって、紙製カップ胴部側面と接する面に発泡性
    粒子脱落防止層が設けられていることを特徴とする保温
    性容器。
  2. 【請求項2】発泡性粒子脱落防止層が、高分子樹脂層で
    あることを特徴とする請求項1記載の保温性容器。
  3. 【請求項3】高分子樹脂層が、熱可塑性樹脂ラミネート
    層であることを特徴とする請求項2記載の保温性容器。
  4. 【請求項4】高分子樹脂層が、高分子樹脂塗工層である
    ことを特徴とする請求項2記載の保温性容器。
  5. 【請求項5】発泡性粒子脱落防止層が、パルプ繊維層か
    らなることを特徴とする請求項1記載の保温性容器。
  6. 【請求項6】低密度シートの厚みが、500〜1000
    μmであることを特徴とする請求項1〜5記載の保温性
    容器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189343A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Dainippon Printing Co Ltd 紙カップ及びその製造方法
JP2016132231A (ja) * 2015-01-22 2016-07-25 大王製紙株式会社 断熱容器用シート及び断熱容器
WO2024048789A1 (ja) * 2022-09-01 2024-03-07 株式会社Ky7 外装材、容器、及び容器と外装材の組み合わせ

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