JP2009083202A - 断熱性紙製容器および断熱性紙製容器に用いる原材料シート - Google Patents

断熱性紙製容器および断熱性紙製容器に用いる原材料シート Download PDF

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聖士 才高
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拓郎 安藤
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Abstract

【課題】紙の坪量を高くすることなく、十分な発泡性が得られ断熱性に優れる紙製容器を提供する。
【解決手段】 断熱性紙製容器に用いる原材料シートにおいて、紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を形成した原材料シートであって、該紙基材がヒドロキシカルボン酸またはその金属塩を0.3g/m以上6.0g/m以下含有する原材料シート。
【選択図】 図1

Description

本発明は、断熱性を必要とする紙製容器及び容器用の原材料シートに関する。
ハンバーガーショップなどのファーストフード店や列車の車内あるいは自動販売機などでコーヒーあるいはスープなどの温飲料が購入者に供される場合、およびカップ入り即席ラーメンなどでは一般的に断熱容器が使用されている。
従来、このような用途に使用される容器としては、発泡ポリスチレン(EPS)製の断熱性を有するものが知られている。これはポリスチレンに発泡剤を加える工程を経た後、この材料をモールド内に注型し、その後、熱と圧力を加えて原料を発泡させ、成型容器を型から取り出すことによって製造される。このようにして得られた断熱性容器は断熱性の点では非常に優れている。しかし、この容器は全体のプラスチックを発泡させていることから嵩があり、ゴミ量が多くなる。そして、使用後にゴミとして焼却処分する際、高熱を発して燃焼するため焼却炉を損傷し易く、石油資源の節約の観点からも見直しが求められている。また、環境ホルモンとしての人体への悪影響も懸念される、さらに、発泡ポリスチレンの外表面は微小な凹凸が多数存在するので、外表面に模様、文字、記号などを印刷しても鮮明に表現されない、紙カップに比べ肉厚強度が弱く即席麺などの比較的大きな容器の場合輸送中に割れたりすることがある、など欠点もあった。
一方、前記の発泡プラスチック製容器の他に、例えば、特許文献1(特開昭57−110439号公報)には、容器胴部材及び底板部材からなる紙製容器において、容器胴部材の外壁面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし、加熱することにより、基材である紙に含まれている水分の蒸気圧を利用してフィルムを凹凸に発泡させる技術が記載されている。このとき、紙の他面には、加熱時に蒸気圧を保持する層として、同様の発泡層となる熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートするか、又は、アルミ箔をコーティグすることが記載されている。この容器は比較的良好な断熱性を有し、安価に、かつ、容易に製造することができるなどの利点を有する。
同じく、紙に含有されている水分の加熱蒸発により発泡させる技術として、特許文献2(特許第3596681号公報)には、胴部材の一方の壁面に、紙の表面側から低融点の熱可塑性樹脂の発泡内層とこれよりも高い融点を有する熱可塑性樹脂の非発泡外層とからなる2層構造断熱膜が被着されており、発泡内層と紙との層間強度、紙の坪量、発泡層および非発泡外層の膜厚を規定した紙製容器が記載されている。特許文献2にはまた、紙の他面に、加熱時に蒸気圧を保持する層として高融点の熱可塑性樹脂をラミネートすることが記載されている。
また、特許文献3には、容器胴部材の開口上縁に上部フランジ部を有する紙製容器が記載されており、フランジ部を断面角形に強制加工することにより、フランジ部が発泡せず、口当たりが良くなることが記載されている。さらに、フランジ部の内側巻き込み端をフランジ部の上部に重合させて二重構造にすることにより、強度が高まることなどが記載されている。
特開昭57−110439号公報 特許第3596681号公報 特開2001−354226号公報
特許文献1あるいは2に記載の容器は、紙を基材とし、ラミネート層(樹脂層)は石油を原料に作られているもののその厚さは断熱性に必要な最小限に抑えられている。そのため、化石燃料の使用が極力削減されており、全体が発泡ポリスチレンからなる容器に比べて環境負荷が小さく、また印刷性にも優れる。
しかし、紙基材中に含まれていた水分を加熱蒸発させ、この蒸発水分により熱可塑性樹脂層を発泡させて断熱性を付与する機構であることから、紙中の水分が少ないと発泡が不十分となり、十分に発泡しないと高い断熱性は得られない。そして、坪量の低い紙は含水量が小さく発泡性に劣るため、紙基材としては高坪量のものを使用しなければならない。
一方、紙製容器は、胴部材と底板部材とからカップの形に成型したり、特に容器胴部材の開口上縁には、飲食する際の口当たりや強度付与のため特許文献3のように上部フランジ部が設けられるが、坪量の高い紙を用いた場合は成型加工し難く、また、全体のコストアップも招く。さらに、容器が軽量であると輸送面やリサイクルの面から有利であり、紙の坪量は低いことが望ましい。
そこで、本発明は、紙の坪量を高くすることなく、十分な発泡性が得られ断熱性に優れる紙製容器を提供することを目的とする。
本発明は、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩を含有した紙基材を用いることにより良好な断熱発泡層を形成した物である。
本願発明の主な構成は次のとおりである。
(1)断熱性紙製容器に用いる原材料シートにおいて、紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を形成した原材料シートであって、該紙基材がヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を0.3g/m以上6.0g/m以下含有することを特徴とする原材料シート。
(2)ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸のいずれから選択された少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする(1)記載の原材料シート。
(3)ヒドロキシカルボン酸の金属塩がナトリウム塩であることを特徴とする(1)記載の原材料シート。
(4)ヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を外添によって紙基材に含有させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の原材料シート。
(5)ヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩、並びに水溶性高分子を外添によって紙基材に含有させることを特徴する(4)記載の原材料シート。
(6)胴部材と底板部材とからなる断熱性紙製容器において、胴部材及び/又は底板部材は紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂製発泡層を備えた紙製材料を用いた断熱性紙製容器であって、前記紙基材がヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を0.3g/m以上6.0g/m以下含有されており、前記熱可塑性樹脂製発泡層が紙基材に含有されている水分を加熱蒸発させて発泡形成された層であることを特徴とする断熱性紙製容器。
・発泡性良好で十分な発泡層の厚さが得られ、断熱性に優れた紙製容器が提供できる。
・低坪量の紙を使用しても、発泡に必要な水分を確保できるので高坪量の紙を使用した場合と同等の断熱効果を付与することができる。これにより、容器の縁部の折り曲げ加工性を確保できるともに、省資源化およびコストダウンが可能である。
・発泡ポリスチレンを使用しない紙を主成分とする容器であり、環境に配慮した容器、人体への影響が少ない容器であって、紙系のゴミとして処理することができる。
以下、本発明の断熱性紙製容器について図面に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明による断熱性紙製容器の一例の断面図である。本発明の紙製容器1は、基本的に胴部材2と底板部材3とから構成されている。
図2は、図1においてYで示された胴部の部分拡大断面斜視図である。本例では、胴部材の外壁面側(容器外側)に、紙基材4の表面に熱可塑性樹脂製発泡層すなわち発泡した熱可塑性樹脂層5(以下、発泡熱可塑性樹脂層5という)が存在しており、発泡熱可塑性樹脂層5は、発泡セル6が並んだ構造となっている。胴部の内壁面側(容器内側)には、発泡熱可塑性樹脂層5の熱可塑性樹脂よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層7(以下、非発泡熱可塑性樹脂層7という)が存在している。この非発泡熱可塑性樹脂層7は、後述するように、容器製造における加熱処理の際に発泡せず、紙基材からの蒸発水分の逃散を防止して発泡熱可塑性樹脂層5を確実かつ十分に発泡させるものである。
[紙基材]
(紙)
本発明で使用される紙とは、植物繊維または植物繊維とその他の繊維とを絡み合わせ膠着させて製造したものをいい、製紙分野で公知の方法により製造される。植物繊維としては針葉樹または広葉樹などの木材繊維、ミツマタ、コウゾなどの靭皮繊維、バガス、ケナフ、麻などの非木材繊維、木綿繊維、古紙等が挙げられこれらに限定されるものではないが、地球環境問題を背景とした廃棄物処理や環境負荷の観点から、植物繊維100%の組成からなる紙が好ましい。
木材繊維のパルプとして、具体的には、針葉樹、広葉樹などを用いた化学パルプ;針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)等、機械パルプ;グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等、脱墨パルプ(DIP)等が挙げられ、これらを単独または任意の割合で混合して使用される。なお、脱墨パルプは再生パルプとも呼ばれる。本発明では、中でも、針葉樹の晒クラフトパルプ(以下NBKPという)または広葉樹の晒クラフトパルプ(以下LBKPという)は、含水率及び汎用性の面から好適である。
紙の製造方法としては、一般的に、上記のパルプ、水、及び必要に応じて填料やその他薬品等を添加して調成した紙料を抄紙機のワイヤー上に噴射し、ワイヤーパートで脱水、プレスパートで搾水、ドライヤーパートで乾燥した後、また必要に応じて紙に強度や耐水性を付与するサイズプレスや、紙の表面の凹凸を整えるカレンダー処理を施して抄紙し、仕上がった紙を巻取り所定の巻取寸法に仕上げて完成される。また、紙に紙力や耐水性を付与するため、PVA、澱粉、表面サイズ剤等の薬品を単独で、または適宜2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明における紙の製造はこれに制限されるものではない。
(ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩)
本発明の紙基材は、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩を0.3g/m以上6.0g/m以下含有するのが必須である。前記の化合物の含有量が0.2g/m以下であると発泡性が劣るため、必要な断熱性が得られない。また、前記の化合物の含有量が多いと発泡性に優れ、発泡厚さは大きくなるが、6.0g/mを超える量を含有させるとヒドロキシカルボン酸またはその金属塩の融点が室温以上の場合、結晶が紙表面に大量に付着するため、原紙とラミネート層の接着性が低下し、発泡時に原紙とラミネート層の界面が剥離し易くなり、ブリスター状の過大な発泡が発生するため、印刷面の外観が著しく悪化し、商品価値を失う。一方、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩の融点が室温以下の場合でも、発泡性が高すぎるために一部で過大な発泡が発生し、不均一な発泡が発生し易い。
前記の化合物を紙中に含有することにより発泡性が向上する理由としては、(1)それらのヒドロキシカルボン酸またはその金属塩が空気中の水分を吸収し、原紙の平衡水分が高くなる、(2)ヒドロキシカルボン酸の場合は、加熱により木材繊維から水分を放出させ易くするため、の相乗効果と考えられる。
ヒドロキシカルボン酸とは、OH基を有する有機酸であり、具体的には、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸等が挙げられ、その中のいずれまたはそれらの金属塩を使用しても発泡性が向上する。特に乳酸、りんご酸、またはそれらの金属塩を使用した場合、それらの物質の吸湿性が高いために発泡性向上効果が大きく好ましい。また、食品容器に使用するために、毒性および臭気のないヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸の金属塩としてはナトリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩等が好ましい。
本発明において、上記化合物の添加方法は内添、外添のいずれも可能である。しかし、内添の場合、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩は木材繊維に吸着され難く歩留まりが高くないために効率が良くない。また、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩は抄紙系内の填料(炭酸カルシウム)と反応するとスケールの原因となる可能性がある。これらの問題のため外添する方法が好ましい。
上記化合物を外添により、紙基材中に含有させるためには、カレンダーサイジングや、2ロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、スプレーコーター等の塗工機等を使用する。上記化合物を含有量が紙基材の面積当たりで固形分で0.3g/m以上6.0g/m以下、好ましくは2.0g/m以上5.0g/m以下となるように外添する。原紙の表面の凹凸を整えるカレンダーを施して抄紙し、仕上がった紙を巻取り所定の巻取寸法に仕上げて完成される。なお、本発明における紙の製造はこれに制限されるものではない。
(坪量)
本発明では、紙中の加熱蒸発水分を利用して熱可塑性樹脂層が発泡する機構であることから、紙の坪量が重要であり、坪量は含有される水分の量に影響する。坪量が低すぎる場合は、発泡に必要な水分が少ないためか十分に発泡せず、また、容器を手で把持したときに熱さを感じやすい。坪量が高すぎる場合は、水分量が多くなって必要以上に発泡し過発泡や発泡セルの破裂などを招いたり、胴部材として所望の剛度を超えて不経済であり、また、容器の成型加工性が低下して上部フランジ部の形成も困難になる。
本発明では、坪量が100g/m以上400g/m以下が好適であり、好ましくは200g/m以上、さらに好ましくは250g/m以上、よりさらに好ましくは270g/m以上320g/m以下である。坪量が320g/m以下であると容器の縁部の折り曲げ加工性を確保できるともに、省資源化及びコストダウンが可能である。紙中の含水率としては、5〜15重量%が好ましく、6〜10重量%であるとさらに好ましい。水分量は、20〜32g/m程度が適当である。
(ろ水度)
パルプのろ水度に関わらず発泡性を向上させることが可能である。但し、ろ水度が低いパルプの場合、抄紙時に脱水性が悪化する、密度が高くなって嵩が出ない、不透明度が低下する、繊維の損傷が激しく紙の強度が著しく低下するなどの弊害もあり、容器として必要な厚さや剛度が得られ難いため、ろ水度の下限はJIS−P−8121に基づくカナダ標準ろ水度(以下、CSFと略することがある)で150ml以上であることが好ましい。
(密度)
紙の密度は所望に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、密度が低い方が、蒸発水分が通り易く発泡性が良好になると考えられ好ましい。但し、低過ぎると容器に必要な紙力が得られず、また、後述する熱可塑性樹脂層のラミネート適性に劣り、高過ぎると容器として必要な厚さが得られないため、0.6g/cm以上0.9g/cm以下が好適である。
(填料、その他薬品等)
本発明で用いられる紙は、填料は無配合でも配合してもよく、発泡性へ影響するため無配合が望ましいが、不透明度を高める観点からは配合してもよい。填料を配合する場合、種類は製紙分野で一般に使用されている填料が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、クレー、焼成カオリン、デラミネーテッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、あるいは尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料、を単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また、酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
また、各種の内添サイズ剤を配合してもよく、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。さらに、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が内添されてもよい。
その他、製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変性物等の各種化合物を使用できる。
さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
(抄紙)
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網式抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公用の抄紙機で抄紙することができる。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。また、平滑性を付与し印刷適性を向上させる目的などから、カレンダー処理を行ってもよい。カレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、本発明では水分の蒸発し易さの点から紙が嵩高である方がより望ましく、その場合には、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧またはバイパスが好ましい。また、通常のカレンダーよりもソフトカレンダーが好ましい。
(表面処理剤の塗工)
本発明で用いられる紙は、全く塗工処理をしていないか、あるいは顔料を含まない表面処理剤を塗工してもよい。また、表面強度やサイズ性の向上の目的で、水溶性高分子を主成分とする表面処理剤を塗工してもよい。
水溶性高分子としては、澱粉、酸化澱粉、加工澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の表面処理剤として通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、表面処理剤の中には、水溶性高分子の他に耐水化、表面強度向上を目的とした紙力増強剤やサイズ性付与を目的とした外添サイズ剤を添加することができる。
ヒドロキシカルボン酸あるいはその金属塩を紙基材に外添する場合は、これらの水溶性高分子と混合して用いることができる。
表面処理剤の塗布方法としては、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター等の塗工機によって塗布することができるが、ゲートロールコーターのような被膜転写方式の塗工機を使用する方が表面処理剤が紙表面に留まり、密度の増加が少なくなるので好ましい。また、本発明においては、前記のカレンダー処理時に表面処理剤や外添サイズ剤等を塗工してもよい。表面処理剤を塗布した後、通常のカレンダー処理を行っても良い。塗工機による表面処理剤の塗布は、表面強度の向上や紙粉の発生の防止効果が高い。
さらに、通常、製紙の乾燥工程では抄紙機の幅方向中央になるほど乾き難く、均一な水分プロファイルが得られ難いところ、塗工機によって水分を幅方向で揃えることができ、水分プロファイルが均一になることにより、加熱蒸発にムラがなく均質な発泡熱可塑性樹脂層を得ることができる。なお、表面処理剤を含まない水のみを塗工してもよいが、ポリビニルアルコール、澱粉等は適度な粘度を持つため水に比べて広がりやすく、水分均一化の効果が大きくなるため好ましい。
これらポリビニルアルコール、澱粉等の表面処理剤または水に、ヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を添加してサイズプレスを行ってもよい。ポリビニルアルコール、澱粉等の表面処理剤にヒドロキシカルボン酸またはその金属塩を添加することにより、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩の融点が室温以上の場合、乾燥後に結晶が紙表面に浮き出ることを抑制する効果を持ち、ラミネート加工時のロール汚れ、及び原紙とラミネート層の接着性低下を防止することが可能である。
表面処理剤の塗布量としては、片面当たり0.0〜3g/mが好ましい。表面処理剤の塗布量が多すぎるとヒドロキシカルボン酸を表面処理剤が包み込んでしまい、効果を阻害するため好ましくない。
[発泡熱可塑性樹脂層]
本発明の紙製容器の胴部材原材料シートは、上記の紙基材上に、紙に含有されている水分の加熱蒸発により発泡する熱可塑性樹脂層を積層して作製される。
発泡熱可塑性樹脂層となる熱可塑性樹脂としては、押出しラミネートが可能でかつ発泡可能であれば特に制限されず、結晶性樹脂、非結晶性樹脂のどちらの熱可塑性樹脂も使用することができる。結晶性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、PPS樹脂等を挙げることができる。非結晶性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂、変性PPE、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の融点としては、80〜120℃程度が好ましい。また、これらの熱可塑性樹脂は単一の樹脂を単層で使用しても、複数の樹脂を複層で使用しても良いが、発泡性の点から単層であることが好ましい。
さらに、本発明では、ラミネート適性、発泡性に優れることからポリエチレンが好ましい。ポリエチレンは、大まかには直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンに区分される。密度としては、直鎖状低密度ポリエチレンは888〜910kg/m、低密度ポリエチレンは910〜925kg/m、中密度ポリエチレンは925〜940kg/m、さらに高密度ポリエチレンは940〜970kg/m程度である。融点としては、直鎖状低密度ポリエチレンは55℃〜120℃、低密度ポリエチレンは105〜120℃、中密度ポリエチレンは120〜125℃、さらに高密度ポリエチレンは125〜135℃程度である。
[非発泡熱可塑性樹脂層]
本発明では、発泡効率を高めるために、胴部材の発泡熱可塑性樹脂層を有する壁面の反対壁面側を、発泡熱可塑性樹脂層よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなるとともに加熱処理した際に発泡しない熱可塑性樹脂層(非発泡熱可塑性樹脂層)、あるいはアルミ箔等で被覆することが好ましい。紙基材の片面が地のままだと、加熱処理の際にこの未被覆面から紙中の水分が大気中に蒸散してしまい、十分確実に発泡させることが難しくなる。従って、このような被覆層を設けることにより、紙中の水分を効率良く発泡に寄与させることができる。なお、これらの非発泡熱可塑性樹脂層やアルミ箔などは、胴部材の内壁面側に存在すると、充填液体等が紙中へ浸透することを防止でき好ましい。
同様に、発泡効率を高める目的で、発泡熱可塑性樹脂層の上に、非発泡熱可塑性樹脂層を設けることもできる。発泡熱可塑性樹脂層が胴部材の外壁面側に存在するときは、その表面は凹凸があり平滑ではないため、非発泡熱可塑性樹脂層の存在により、滑らかな手触りと光沢のある外観を得ることができ、容器の防水性もより向上する。
これらの非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂は、発泡熱可塑性樹脂層と同一であっても異なっていてもよい。同一の場合は、密度に差を持たせることにより融点に差を生じさせることができる。例えば、両者の熱可塑性樹脂としてポリエチレンを選択する場合、発泡熱可塑性樹脂層は低密度ポリエチレンとし、非発泡熱可塑性樹脂層は中密度または高密度ポリエチレンとする。発泡熱可塑性樹脂層と非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂における融点の差は5℃以上あることが好ましく、非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂の融点としては、加熱の際に融解せず蒸発水分の拡散を防止できればよく特に制限されないが、125℃以上が好ましい。
[熱可塑性樹脂層の積層方法]
発泡熱可塑性樹脂層および非発泡熱可塑性樹脂層の形成方法は特に制限されず、紙基材上に、押出しラミネート法の他、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の予めフィルム状にしたものと貼合する方法を適宜使用して積層すればよいが、紙基材との密着性、発泡性等の点から、押出しラミネート法が好ましい。押出しラミネートは、例えば、巻取から繰り出された紙基材の一表面に、Tダイから熱可塑性樹脂層を溶融樹脂膜の状態で押出し、クーリングロールとこれに対向するニップロールとの間で冷却しつつ圧着する方法である。押出しラミネートにおいて、樹脂の溶融温度、積層速度などの操業条件は、用いる樹脂の種類や装置によって適宜設定すればよく特に制限されないが、一般に、例えば溶融温度は200〜350℃程度、積層速度は50〜200m/分程度である。また、ニップロールとしては硬度70度以上(JIS K−6253)のものを用い、線圧は15kgf/cm以上で押圧・圧着を行うことが好ましい。
また、発泡熱可塑性樹脂層上に非発泡熱可塑性樹脂層を設ける場合や、発泡熱可塑性樹脂層を複数の熱可塑性樹脂層で形成する場合など、2以上の熱可塑性樹脂層を積層するときは、熱可塑性樹脂層間の密着性や生産効率の点から、複数台の押出機を用いて各熱可塑性樹脂を溶融状態でそれぞれのTダイに導き、各Tダイから同時に押出して積層接着する方法が適している。このような多層の熱可塑性樹脂層を同時に形成可能な方法は、押出しラミネート法の中で特に共押出しラミネート法と呼ばれる。さらに、熱可塑性樹脂層同士の間に接着性樹脂層を挟んで、樹脂層間の接着性を高めてもよい。なお、いずれの場合でも、必要に応じて紙基材や熱可塑性樹脂の接着性を向上させるために、コロナ処理、オゾン処理等を行ってもよい。
また、発泡熱可塑性樹脂層および非発泡熱可塑性樹脂層の各熱可塑性樹脂層の厚さについて、発泡熱可塑性樹脂層は、発泡させたときに所望の断熱性を付与するのに十分な厚さであればよく特に限定されないが、発泡前の厚さとして40〜80μm程度、発泡後は例えば70μm厚の発泡前の熱可塑性樹脂層の場合に、1200μm〜2000μm程度である。本発明では、70μm厚の発泡前の熱可塑性樹脂層を、1200〜1600μm厚の発泡層を形成することを実現した。従来技術では20μmの層厚等の薄い層を10倍程度に発泡させた例は開示されているが、その程度では断熱性が十分でないが、熱可塑性樹脂層が厚くなると発泡コントロールも困難となるので、従来の公知例では1000μmの発泡層も実現されてはいない。
また、非発泡熱可塑性樹脂層も、蒸発水分の飛散を防止するのに十分な厚さであって、胴部材の内壁面側に存在する場合は耐液体浸透性を確保できる厚さであれば特に限定されず、20〜50μm程度である。
また、容器の胴部材や底部材の外壁面側および内壁面側は、同じ積層構成であってもよいし異なっていてもよい。使用される樹脂の種類やその他の素材も、同一であってもよいし異なっていてもよい。
また、発泡熱可塑性樹脂層および非発泡熱可塑性樹脂層の各熱可塑性樹脂層には、所望の効果を阻害しない範囲で一般的に使用される種々の添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、例えば、帯電防止剤、白色顔料(酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等の無機顔料等)、耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ等)、紫外線吸収剤などがある。
[紙製容器の成型]
本発明では、上記の胴部材原材料シートと底板部材原料シートとを常用のカップ製造装置やカップ成型機により成型する。まず、巻き取りロールから胴部材原材料シートを繰り出し、所定箇所に必要な印刷を施す。この段階でバーコードなどを印刷することもできる。印刷部分の位置決めなどは常用の手段または手順により行うことができる。
次に、それぞれの原材料シートから胴部材用ブランクと底板部材用ブランクを打ち抜き、常用のカップ成型機で容器の形に組み立てる。ここで、発泡熱可塑性樹脂層は、胴部材の外壁面側および内壁面側のどちらか片方あるいは両方に存在すればよく、断熱性、手触り、外観審美性など所望に応じて適宜決定すればよいが、容器内部を発泡面とした場合、飲食の際に発泡樹脂が箸やフォーク等により傷付いて口の中に入り込むおそれがあるため、外壁面側になるように存在することが望ましい。そこで、例えば、胴部材原材料シートの熱可塑性樹脂層が容器外側に向くように、また、底板部材は熱可塑性樹脂層面が容器内側に向くようにして、組み立てる。なお、底板部材原材料シートは、紙基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂層やアルミ泊等を設けたものが好ましく使用される。これは紙中への液体等の浸透防止のためである。底板部材に用いられる熱可塑性樹脂は、胴部材と同じであっても異なっていてもよく、積層方法も押出しラミネート法の他、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の予めフィルム状にしたものと貼合する方法が適宜使用できる。
カップ麺など湯を注入後しばらく放置するものは、容器底面からの放熱を防止する上で底部材にも発泡層を設けることが有効である。特に、屋外での用途や冬場や寒冷地では好ましい。また、蓋材も同様に発泡層を有するものを使用してもよい。
[加熱処理による発泡]
成型後の紙製容器は、発泡させるために加熱処理を行う。本発明では、加熱処理により、胴部材の紙基材中に含まれる水分が蒸発して、熱可塑性樹脂層が発泡し発泡熱可塑性樹脂層となる。
加熱温度および熱時間は使用する紙基材および熱可塑性樹脂の種類に応じて変化し、使用する熱可塑性樹脂に対する最適な加熱温度と加熱時間の組み合わせは適宜決定することができるが、加熱温度は発泡する熱可塑性樹脂の融点よりもやや高い温度(融点+5〜10℃の範囲)が適し、一般的に、加熱温度約110℃〜約200℃程度、加熱時間約1分間〜約6分間程度である。加熱手段は特に限定されず、熱風、電熱、電子線など任意の手段を使用できる。コンベヤによる搬送手段を備えたトンネル内で、熱風または電熱などによって加熱すれば、安価に大量生産することができる。
[その他]
本発明では、所望の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、紙製容器の分野で公知の技術を適用することができる。例えば、外壁面となる胴部材の一部に合成樹脂成分を5重量%〜40重量%含有する塗料を塗布し、部分的に発泡を抑制する技術(特許第3014629号公報)、外壁面となる胴部材の表面に発泡と同調して滑らかな印刷面を形成する同調インキを塗布する技術(特許第3408156号公報)、容器胴部材の開口上縁にフランジ部を設ける技術であって、断面角型に強制加工し内側巻き込み端をフランジ部の上部に重合させて二重構造にする技術(特開2001−354226号公報)等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、印刷適性を高めるために、胴部材の外壁面となる最表層に、顔料とバインダーを主成分とするインキ受理層を設けてもよい。
以下、実施例により本発明の効果を詳細に説明する。なお、特に断らない限り、部および%は重量部および重量%を示す。実施例及び比較例を表1〜表4に分けて示す。
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;カナダ標準濾水度(CSF)600ml)10部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP;CSF400ml)90部を混合し、混合後の濾水度がCSF420mlのパルプ原料に、内添薬品として固形分で対パルプ絶乾重量当り、硫酸バンド1.25%、ロジンサイズ剤0.5%、紙力剤としてポリアクリルアミド0.2%を添加し、pHが4.5である原料を、長網抄紙機にて抄速40m/分で単層抄きし、坪量300g/m、紙厚は341μmの紙匹を作製した。
次いで、得られた紙匹をカレンダーサイジング(線圧30kgf/cm)にて、ポリビニルアルコール(固形分濃度2%)と乳酸(固形分濃度5%)を3.2g/m(絶乾塗工量)となるように塗工し(ポリビニルアルコールの絶乾塗工量0.9g/m、乳酸の絶乾塗工量2.3g/m)、赤外線ドライヤーにて乾燥後、線圧30kgf/cmでカレンダー処理を行い、水分8.0%の原紙Aを得た。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例2]
乳酸の濃度を0.6%とし、乳酸の絶乾塗工量が0.3g/m2、トータルの絶乾塗工量が1.2g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.3%であった。
[実施例3]
乳酸の濃度を10%とし、乳酸の絶乾塗工量が4.5g/m、トータルの絶乾塗工量が5.4g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.8%であった。
[実施例4]
乳酸の濃度を12%とし、乳酸の絶乾塗工量が5.4g/m、トータルの絶乾塗工量が6.3g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.9%であった。
[実施例5]
濃度5.0%の乳酸を濃度5.0%のりんご酸とし、りんご酸の絶乾塗工量が2.3g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例6]
濃度5.0%の乳酸を濃度1.0%のりんご酸とし、トータル絶乾塗工量が1.4g/m、りんご酸の絶乾塗工量が0.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.4%であった。
[実施例7]
濃度5.0%の乳酸を濃度10%のりんご酸とし、トータル絶乾塗工量が5.4g/m、りんご酸の絶乾塗工量が4.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.9%であった。
[実施例8]
濃度5.0%の乳酸を濃度5.0%のクエン酸とし、トータル絶乾塗工量が3.2g/m、クエン酸の絶乾塗工量が2.3g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.5%であった。
[実施例9]
濃度5.0%の乳酸を濃度5.0%の酒石酸とし、トータル絶乾塗工量が3.2g/m、酒石酸の絶乾塗工量が2.3g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.4%であった。
[実施例10]
濃度5.0%の乳酸を濃度5.0%の乳酸ナトリウムとし、トータル絶乾塗工量が3.2g/m、乳酸ナトリウムの絶乾塗工量が2.3g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例11]
濃度5.0%の乳酸を濃度5.0%のりんご酸ナトリウムとし、トータル絶乾塗工量が3.2g/m、りんご酸ナトリウムの絶乾塗工量が2.3g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.5%であった。
[実施例12]
ポリビニルアルコールの濃度を1%とし、1.2g/m(絶乾塗工量)塗工し(ポリビニルアルコールの絶乾塗工量が0.2g/m、乳酸の絶乾塗工量が1.0g/m)とした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.5%であった。
[実施例13]
ポリビニルアルコールの濃度を3%とし、4.0g/m2(絶乾塗工量)塗工し(ポリビニルアルコールの絶乾塗工量1.5g/m、乳酸の絶乾塗工量2.5g/m)とした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例14]
ポリビニルアルコールの濃度を5%とし、5.6g/m2(絶乾塗工量)塗工し(ポリビニルアルコールの絶乾塗工量2.8g/m、乳酸の絶乾塗工量2.8g/m)とした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例15]
2%のポリビニルアルコールを濃度3%の酸化澱粉とし、澱粉の絶乾塗工量が1.0g/m、乳酸の絶乾塗工量が1.7g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例16]
濃度5.0%の乳酸を、濃度5.0%のりんご酸とし、りんご酸の絶乾塗工量が1.7g/mとした以外は、実施例15と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.7%であった。
[実施例17]
カレンダーサイジング液のポリビニルアルコール添加量を0とし、乳酸の濃度を7%とし、絶乾塗工量が2.2g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例18]
乳酸の濃度を1%とし、絶乾塗工量が0.4g/mとした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.2%であった。
[実施例19]
乳酸の濃度を18%とし、絶乾塗工量が5.4g/mとした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.9%であった。
[実施例20]
濃度7%の乳酸を濃度7%のりんご酸とした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.7%であった。
[実施例21]
濃度7%の乳酸を濃度7%のクエン酸とした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.4%であった。
[実施例22]
濃度7%の乳酸を濃度7%の酒石酸とした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.3%であった。
[実施例23]
濃度7%の乳酸を濃度7%の乳酸ナトリウムとした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.6%であった。
[実施例24]
濃度7%の乳酸を濃度7%のりんご酸ナトリウムとした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.7%であった。
[実施例25]
2ロールサイズプレスにて、ポリビニルアルコール(固形分濃度2%)と乳酸(固形分濃度3%)を4.5g/m(絶乾塗工量)塗工し(ポリビニルアルコールの絶乾塗工量1.8g/m、乳酸の絶乾塗工量2.7g/m)とした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.8%であった。
[実施例26]
ゲートロールコーターにて、ポリビニルアルコール(固形分濃度2%)と乳酸(固形分濃度5%)を3.5g/m(絶乾塗工量)塗工し(ポリビニルアルコールの絶乾塗工量1.0g/m、乳酸の絶乾塗工量2.5g/m)とした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.4%であった。
[実施例27]
内添薬品として固形分で対パルプ絶乾重量当り、アルキルケテンダイマー0.5%、紙力剤としてポリアクリルアミド0.2%を添加し、pHを6.5とした紙料を、長網抄紙機にて抄速40m/分で単層抄きし、坪量300g/m、紙厚は332μmの紙匹を作製した以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.5%であった。
[実施例28]
紙匹の坪量を280g/mにした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.5%であった。
[比較例1]
カレンダーサイジング液の乳酸添加量を0とし、絶乾塗工量が0.9g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.0%であった。
[比較例2]
乳酸の濃度を0.5%とし、トータルの絶乾塗工量が1.1g/m、乳酸の絶乾塗工量が0.2g/m、とした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.1%であった。
[比較例3]
乳酸の濃度を15%とし、トータルの絶乾塗工量が7.7g/m、乳酸の絶乾塗工量が6.8g/mとした以外は、実施例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.8%であった。
[比較例4]
乳酸の濃度を0.5%とし、絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.1%であった。
[比較例5]
乳酸の濃度を20%とし、絶乾塗工量が6.5g/mとした以外は、実施例17と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は7.3%であった。
[比較例6]
りんご酸の濃度を0.5%とし、トータルの絶乾塗工量が1.1g/m、りんご酸の絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例5と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.2%であった。
[比較例7]
りんご酸の濃度を15%とし、トータル絶乾塗工量が7.7g/m、りんご酸の絶乾塗工量が6.8g/mとした以外は、実施例5と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は7.2%であった。
[比較例8]
りんご酸の濃度を0.5%とし、絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例20と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.2%であった。
[比較例9]
りんご酸の濃度を20%とし、絶乾塗工量が6.7g/mとした以外は、実施例20と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は7.4%であった。
[比較例10]
クエン酸の濃度を0.5%とし、トータル絶乾塗工量が1.1g/m、クエン酸の絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例8と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.1%であった。
[比較例11]
クエン酸の濃度を15%とし、トータル絶乾塗工量が7.7g/m、クエン酸の絶乾塗工量が7.7g/mとした以外は、実施例8と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.9%であった。
[比較例12]
酒石酸の濃度を0.5%とし、トータル絶乾塗工量が1.1g/m、酒石酸の絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例9と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は5.9%であった。
[比較例13]
酒石酸の濃度を15%とし、トータル絶乾塗工量が7.7g/m、酒石酸の絶乾塗工量が7.7g/mとした以外は、実施例9と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.8%であった。
[比較例14]
乳酸ナトリウムの濃度を0.5%とし、トータル絶乾塗工量が1.1g/m、乳酸ナトリウムの絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例10と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.1%であった。
[比較例15]
乳酸ナトリウムの濃度を15%とし、トータル絶乾塗工量が7.7g/m、乳酸ナトリウムの絶乾塗工量が7.7g/mとした以外は、実施例10と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は7.1%であった。
[比較例16]
りんご酸ナトリウムの濃度を0.5%とし、トータル絶乾塗工量が1.1g/m、りんご酸ナトリウムの絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例11と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.0%であった。
[比較例17]
りんご酸ナトリウムの濃度を15%とし、トータル絶乾塗工量が7.7g/m、りんご酸ナトリウムの絶乾塗工量が7.7g/mとした以外は、実施例11と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は7.2%であった。
[比較例18]
乳酸の濃度を0.5%とし、乳酸の絶乾塗工量が0.2g/mとした以外は、実施例27と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は5.9%であった。
[比較例19]
乳酸の濃度を15%とし、乳酸の絶乾塗工量が7.7g/mとした以外は、実施例27と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.7%であった。
[比較例20]
紙匹の坪量を280g/mにした以外は、比較例1と同様にして成紙した。23℃、50%(相対湿度)で調湿後の水分は6.0%であった。
実施例1〜28、比較例1〜20で得られた原紙の片面に、紙製容器としたとき胴部材の外壁面となる発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃の低密度ポリエチレン(LDPE)を厚さ70μmとなるように340℃の溶融温度で押出し、この溶融樹脂と原紙とをクーリングロールと硬度70度のニップロールを用いて、線圧15kgf/cmで押圧・圧着した。また、原紙の反対面には、胴部材の内壁面となる非発泡熱可塑性樹脂層として、融点128℃の中密度ポリエチレン(中密度PE)を厚さ40μmとなるように、320℃の溶融温度で押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
また、この胴部材原材料シートを、底板部材原材料シート(坪量220g/mの原紙に中密度ポリエチレンを厚さ40μmとなるように押出しラミネートしたもの)と組み合わせて、直径95mm、高さ115mmの容器を成型し、115℃の乾燥機で4分間加熱し発泡させ、断熱性を有する紙製容器を得た。
<発泡性(発泡樹脂層厚さ)>
発泡後の紙製容器の胴部材の一部を切り出し、発泡した熱可塑性樹脂層の厚さを測定した。なお、発泡樹脂層厚さが1300μm以上であれば、断熱性は十分である。なお、表3、4中で測定不能としたものは、原紙と発泡熱可塑性樹脂層の接着性が不良で、原紙と発泡熱可塑性樹脂層の間で部分的に浮きを生じ、この部分が発泡処理後発泡層が収縮してしまうので、熱可塑性樹脂層の厚さが不均一となり、厚さの測定が不可能となる。
<断熱性>
胴部材原材料シートを、底板部材原材料シート(坪量220g/mの原紙に中密度ポリエチレンを厚さ40μmとなるように押出しラミネートしたもの)と組み合わせて、直径95mm、高さ115mmの容器を成型し、115℃の乾燥機で4分間加熱し、発泡させた。その後、発泡した容器に90℃のお湯を入れ、3分後、容器外壁面を手で触り次の基準で評価した。
◎…あまり熱くなく、手で容器を十分に保持することができ、断熱性に優れる。
〇…やや熱いが、手で容器を保持し続けることができ、断熱性良好。
△…熱く、手で容器を十分には保持することが難しく、断熱性やや良。
×…かなり熱く、手で容器を保持することが難しく、断熱性悪い。
<ラミネート層との接着性>
基紙とラミネート層(厚さ70μm、融点108℃の低密度ポリエチレン)との剥離強度を以下の方法にて測定を行った。
(1)上記ラミネートシートを、MD方向に20cm以上(長さ)、CD方向に15mm(幅)の長方形となるようにカットし、MD方向の端部の一部を、基紙とラミネート層の界面で剥離させる。
(2)基紙から剥離されたラミネート層をテープで補強し、MD方向の端部から更に2cm程度剥離させ、テープで補強されたラミネート層および基紙のMD方向の端部を引張強度測定機(テンシロンメーター)に固定し、100mm/分の速度で剥離させた。
(3)以下の基準で評価した。
× 基紙とラミネート層の界面で剥離
(基紙とラミネート層の接着強度>基紙の層内剥離強度)
△ 一部基紙の内部が剥離(破壊)、残りは基紙とラミネート層の界面で剥離
○ 全て基紙の内部が剥離(破壊)
(基紙とラミネート層の接着強度>基紙の層内剥離強度)
<発泡の状態>
発泡の状態が不良であると、小さな泡が連なって大きな泡となり、大きな泡と小さな泡が混在し、外観が明らかに凸凹で不均一となるので容易に判断できる。
◎ 均一性のある発泡層
○ 若干凹凸がある発泡層(問題ないレベル)
× 凹凸のある発泡層
各実施例、比較例の試験結果から次のことがいえる。
(1)実施例1、5、8、9、10、11及び比較例1とから、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、乳酸ナトリウム、りんご酸ナトリウムを塗工したものは、これらを用いない比較例1よりも、原紙の平衡水分が0.4〜0.6%高くなり、発泡層厚は、1300μm以上が実現でき、比較例1よりも14〜19%厚くできる。
この結果、同じ紙基材を用いて十分な発泡層を形成するために必要な含水量を確保するには、大きな紙の厚さ用いる必要があるが、この実施例では、比較例1の6%含水量の紙の場合に0.4〜0.6%分の含水量に相当する6〜10%薄くすることが可能となる。即ち、低坪量の紙基材を用いて十分な断熱用発泡層を成形することができる。
(2) 実施例1、2、3、4と比較例1、2、3に着目すると、乳酸及びポリビニルアルコールを用いた場合、乳酸の絶乾塗工量が多いほど、原紙の平衡水分が高くなり、発泡厚さが厚くなるが、比較例3では、乳酸の絶乾塗工量が6.8g/mであって、ラミネート層との接着性が劣り、発泡が不均一となったり、過発泡となって、安定した発泡層が得られない。他方、乳酸を用いない比較例1では平衡水分が6.0%に留まり、十分な発泡厚が得られず、乳酸の絶乾塗工量が0.2g/mである比較例2では、水分量が6.1%であって発泡層厚1250μmと不足する。適切な発泡量、発泡状体を得るには0.3〜6.0g/m絶乾塗工量が好ましい。
(3)また、実施例5、6、7と比較例6、7、実施例8と比較例10、11、実施例9と比較例12、13、実施例10と比較例14、15、実施例11と比較例16、17をそれぞれ比較すると、りんご酸、クエン酸、酒石酸、乳酸ナトリウムあるいはりんご酸ナトリウムを用いた場合にも、添加量の不足と過剰が同様に言える。
(4)実施例1、12、13、14に着目すると、バインダーとしてポリビニルアルコールを添加した場合、ポリビニルアルコールの濃度が高い方が、粘度が高くなるために塗工量を多くすることができ、それに伴いヒドロキシカルボン酸またはその金属塩の塗工量を多くすることができ、原紙の平衡水分が高く、発泡層が厚くなった。しかし、ポリビニルアルコールの濃度が高すぎると、ポリビニルアルコールがヒドロキシカルボン酸またはその金属塩を包み込むために効果を阻害し、発泡厚さが頭打ちとなることが別途確認された。結果として、ポリビニルアルコールは、0.0〜3.0g/mが適切である。
(5)実施例15、16に着目すると、バインダーとしてポリビニルアルコールの代わりに濃度3%の酸化澱粉を用いても、良好な発泡層が得られることがわかる。
(6)また、実施例17、18、19、比較例4、5に着目すると、バインダーを使用せず、すなわち、乳酸を単独で含有させた場合にも、水分量は、ポリビニルアルコール、酸化澱粉等のバインダーを混合した場合と同様の傾向があり、乳酸の絶乾塗工量が多いほど、原紙の平衡水分が高くなり、発泡厚さが厚くなる。比較例4のように乳酸の絶乾塗工量0.2g/mでは少なすぎて、平衡水分が高くならず、十分な効果が得られず、6.5g/mの比較例5では水分量が7.3%であって、平衡水分が高くなりすぎて、ラミネート層との接着性が劣り、発泡が不均一となったり、過発泡となって、安定した発泡層が得られない。
(7)更に、実施例20、21、22、23、24によるとりんご酸、クエン酸。酒石酸、乳酸ナトリウム、りんご酸ナトリウムを単独で用いても、良好な発泡層が得られることがわかる。
(8)実施例25、26に着目すると、塗工方式は、カレンダーサイジングに限定されるものではなく、2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター等の塗工機を用いても良好な発泡層が得られることがわかる。
(9)中性原紙を用いた実施例27は酸性原紙を用いた実施例1と同様に十分良好な発泡層を形成し、断熱性に優れていることが確認できた。
(10)乳酸及びポリビニルアルコールを使用し、坪量を280g/mにした紙基材を用いた実施例28は、十分良好な発泡層を形成し、断熱性に優れていることが確認できた。これに対し、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、乳酸ナトリウム、りんご酸ナトリウムを含まず、バインダーとしてポリビニルアルコールを使用した比較例20は、十分な発泡層が得られず、断熱性も十分ではない。比較例20は比較例1との対比しても発泡層が薄く、紙基材の少ない坪量がそのまま発泡に影響し、水分の減少に現れている様子が窺える。
(11)総合して見ると、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、乳酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム等のヒドロキシカルボン酸を0.3〜5.4g/mにおいて、6.2〜6.9%と十分な紙中水分量が得られ、良好な発泡層を設けることができるが、0.2g/m未満では十分な厚さの発泡層が得られず、6.5g/m以上では発泡層の形成自体が困難となっている。したがって、ヒドロキシカルボン酸の有効量は0.3〜6.0g/mと考えられる。そして、ヒドロキシカルボン酸を塗工によって外添する際にポリビニルアルコールや酸化澱粉等のバインダーを併用すると、粘度が高くなって、外添量をおおくすることができる。
塗工液の粘度が高くなることにより塗工量が多くなるので、塗工液中のヒドロキシカルボン酸またはその金属塩の濃度が低くても塗工液の塗工量を多くすることができる。また、ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩の塗工量が多くても、結晶が紙表面に浮きでにくいため、ラミネート接着性が悪化しない。適正な絶乾塗工量は、0.0〜3.0g/mが適切である
本発明による紙製容器の一例の断面図である。 図1においてYで示された胴部の部分拡大断面図である。
符号の説明
1 紙製容器
2 胴部材
3 底板部材
4 紙基材
5 発泡熱可塑性樹脂層
6 発泡セル
7 非発泡熱可塑性樹脂層

Claims (6)

  1. 断熱性紙製容器に用いる原材料シートにおいて、紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を形成した原材料シートであって、該紙基材がヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を0.3g/m以上6.0g/m以下含有することを特徴とする原材料シート。
  2. ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸のいずれから選択された少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1記載の原材料シート。
  3. ヒドロキシカルボン酸の金属塩がナトリウム塩であることを特徴とする請求項1記載の原材料シート。
  4. ヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を外添によって紙基材に含有させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の原材料シート。
  5. ヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩、並びに水溶性高分子を外添によって紙基材に含有させることを特徴する請求項4記載の原材料シート。
  6. 胴部材と底板部材とからなる断熱性紙製容器において、胴部材及び/又は底板部材は紙基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂製発泡層を備えた紙製材料を用いた断熱性紙製容器であって、前記紙基材がヒドロキシカルボン酸及び/またはその金属塩を0.3g/m以上6.0g/m以下含有されており、前記熱可塑性樹脂製発泡層が紙基材に含有されている水分を加熱蒸発させて発泡形成された層であることを特徴とする断熱性紙製容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016078350A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 東ソー株式会社 発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体
JP2018039539A (ja) * 2016-09-08 2018-03-15 株式会社日本デキシー 発泡性紙製品に用いる原材料シート、発泡性紙製容器、及び発泡性紙製品に用いる原材料シートの製造方法

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