JP2003154747A - インクジェット受像層組成物、インクジェット受像シート、インクジェット受像シートの製造方法、インクジェット受像シート作製装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット受像層組成物、インクジェット受像シート、インクジェット受像シートの製造方法、インクジェット受像シート作製装置及びインクジェット記録方法

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JP2003154747A
JP2003154747A JP2001354418A JP2001354418A JP2003154747A JP 2003154747 A JP2003154747 A JP 2003154747A JP 2001354418 A JP2001354418 A JP 2001354418A JP 2001354418 A JP2001354418 A JP 2001354418A JP 2003154747 A JP2003154747 A JP 2003154747A
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JP
Japan
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inkjet image
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inkjet
image
layer composition
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JP2001354418A
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English (en)
Inventor
Takaaki Kuroki
孝彰 黒木
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 速乾性に優れ、受像層組成物の付量が均一で
あり、臭気が低減されたインクジェット受像層組成物、
吸収性が高く、画像品質の高いインクジェット受像シー
ト、インクジェット受像シートの製造方法、インクジェ
ット受像シート作製装置及び、インクジェット記録方法
を提供する。 【解決手段】 常温で固体であり、熱溶融により粘度が
100mPa・s以下の液状組成物に相変化することを
特徴とするインクジェット受像層組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット受像
層組成物、インクジェット受像シートの製造方法、イン
クジェット受像シート作製装置及びそれを用いた記録方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は非接触記録で
あり、小型記録機器から大型機器まで対応が可能であ
り、またカラー化が容易であることから、パーソナルユ
ースから産業用用途まで幅広く用いられている。
【0003】インクジェット記録は、連続ジェット型と
オンデマンド型に大別され、前者は産業用プリンターに
後者は主にパーソナルからOAユースで用いられてき
た。近年では、オンデマンド型の小液滴化、高速印字性
能が向上しており、オンデマンド型が産業用にも用いら
れてきている。
【0004】記録液としてのインクは溶剤型、水系型が
提案されているが、一部の産業用用途を除くと水系イン
クが広く用いられている。
【0005】このような水系インクを用いたシステム
は、近年の画質向上伴い、フォトグラフ用途、カラープ
ルーフ用途などへの適用が検討されている。またカラー
マッチング等関連技術の精度向上もあり、厳密な色再現
域を要求するプルーフ用途に於いても外校として使用さ
れてきており、益々印刷に近似した高濃度・高彩度の出
力品質が要求されてきている。
【0006】印刷の校正用途としては、レーザ溶融熱転
写方式、レーザ昇華熱転写方式、レーザアブレーション
転写方式、銀塩方式等各種方式が検討商品化されている
が、何れもシステム価格が非常に高価で、市場を席巻す
るまでには至っていない。
【0007】現存の高級システムと現行のインクジェッ
ト製品とを比較すると、印刷用紙を使用出来る。網点出
力ができる。出力速度が速い等の点に差があるのが現状
である。
【0008】しかし一方、インクジェットシステムは装
置が簡便でありシステム価格は大幅に削減でき、またラ
ンニングコストも非常に安価にできる利点が有り、品質
の向上に伴い大きく伸びる可能性を秘めている。
【0009】上記の差を埋めるための検討が各社で行わ
れており、特に印刷用紙に近似したインクジェット用紙
に関しては、各製紙メーカーなどから次々に開発されて
おり、マット紙、コート紙等は印刷本紙に程近い品質が
得られている状況になってきている。
【0010】しかしながら、軽量コートや軽量マット
紙、新聞紙をターゲットとしたインクジェット記録用紙
は提案されていない。このような安価なシステムでこ
そ、軽量コート、軽量マット紙、新聞紙などチラシや雑
誌に使用される印刷用紙への対応が期待される分野であ
るが、インクジェット記録は液体を記録用紙に吐出する
ため、薄紙に出力するとコックリング、溢れ等の問題で
本質的に十分な品質が得られないという課題を持ってい
る。
【0011】また、昨今では、オンデマンド、バリアブ
ル印刷などにインクジェット記録が用いられてきてお
り、様々な媒体にインクジェット記録を行う潜在的ニー
ズが強まっている。
【0012】このような課題に対し有効な技術として、
従来から中間転写媒体を用いる方法が提案されている特
開昭62−92849号、特開平1−226336号に
は、インクを中間転写媒体に付着させ、インクの水分を
加熱により蒸発させ、濃縮した後に中間転写媒体を被記
録媒体に圧接、転写する事により紙への浸透を抑える方
法が開示されている。画像の滲み、紙への裏抜けなどが
改善された。
【0013】しかし、インクを中間転写に吐出してから
被記録媒体に転写するまでの過程でインク滴同士が集合
し球形となるためにドット径が大きくなり解像度が低下
したり、正確な位置に画像が保持されないという問題が
あった。また隣接して異なる色のインクを吐出した場
合、色混じりが発生するだけでなく、先に吐出したイン
クの存在により、次のインクが弾かれスパッタが発生し
画像の鮮明性が低下するという問題があった。
【0014】上記の課題に対して、特開平11−291
478号には、多孔性でインク吸収し、且つ排出可能な
中間転写層を有する中間転写媒体に吐出後、被記録媒体
に転写する方法が開示されている。これによると解像度
低下や色混じり、スパッタなどの改善は可能である。し
かし細孔にインクを保持させるために色材の被転写体へ
の転移が十分に行われず高彩度の画像が得られない。ま
た繰り返し記録に於いては、前の画像のクリーニングが
十分になされずゴーストが発生する等の問題があった。
【0015】またこれらの、水系インクに中間転写媒体
を用いて滲みや裏抜けを改善する方法には、本質的な課
題がある。水系インクの組成の大部分は溶剤と色材であ
り、溶剤を蒸発/濃縮する事で体積収縮がおこり、被転
写体への転写性が劣化してくる。このため転写性の確保
ために十分に滲みや裏抜けを改善できない。
【0016】またこれらの、水系インクに造膜性のエマ
ルジョンを導入する記録方法が特開平7−179024
号、同5−1254号などに開示されている。エマルジ
ョンの添加は、吐出性を損ねない範囲であれば、好まし
い方法である。
【0017】これらによれば上記の体積収縮も抑えられ
転写ドラムからの転移性、転写画像の耐久性などを改善
する効果は確認されるが、実質的な転写性を得るために
は、色材と同量以上の樹脂分を加えることが必要とな
り、水系インクの特徴である吐出安定性、経時での液停
滞性が劣化してしまい、本来の目的を達成できない。
【0018】又一方、インク受容層を直接被記録媒体上
に形成し、インクジェット記録装置で印字する手段も様
々提案されている。
【0019】例えば、特開平8−150707号などに
インクジェット記録により熱/UV照射により固化する
成分を被記録媒体に付与し、固化し次いでインクジェッ
ト記録する方法が開示されている。
【0020】この様な方法によれば、様々な被転写媒体
に安定した品質のインクジェット記録を与える事が可能
に成り好ましい方法であるが、被転写媒体上に受像層を
付与し、揮発分を除去する工程が必要であったり、受像
層を付与後、UV照射により固化する工程が必要等、簡
便な方法とはいえなかった。
【0021】また、特にインクジェットで簡便に受像層
を付与できる方法は、デジタル/オンデマンドで受像層
を付与する事ができ好ましい方法であるが、この様な場
合、インクジェット記録に適する様、受像層組成液を低
粘度化する事が、受像層の安定形成の為に必要である
が、従来技術では、インクジェット出射性の安定化の点
から受像層組成液を低粘度にするため、揮発分を増やす
事になり、液の流動/乾燥負荷の点から受像層を厚く設
ける事が困難となり、得られた受像層のインク受容性が
不十分となり、高品位な記録が出来ないという問題点が
あった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
クジェット受像シート作製時、速乾性に優れ、受像層組
成物の付量分布の偏差が少なく、該受像層形成時の臭気
が低減されたインクジェット受像層組成物、インク吸収
性が高く、且つ、画像品質の高いインクジェット受像シ
ート、インクジェット受像シートの作製方法、インクジ
ェット受像シート作製装置及び、インクジェット記録方
法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成1〜19により達成された。
【0024】1.常温で固体であり、熱溶融により粘度
が100mPa・s以下の液状組成物に相変化すること
を特徴とするインクジェット受像層組成物。
【0025】2.熱溶融前の体積Aと、熱溶融後、次い
で固形化後の体積Bとの差が50体積%以下であること
を特徴とする前記1に記載のインクジェット受像層組成
物。
【0026】3.粒子を含有することを特徴とする前記
1または2に記載のインクジェット受像層組成物。
【0027】4.前記1〜3のいずれか1項に記載のイ
ンクジェット受像層組成物の固形分の付量が5g/m2
〜100g/m2になるように調整しながら被記録媒体
上に付与してインクジェット受像層を形成する工程を有
することを特徴とするインクジェット受像シートの製造
方法。
【0028】5.常温で固体のインクジェット受像層組
成物を融解する工程、該インクジェット受像層組成物を
被記録媒体に付与する工程、該被記録媒体上に付与され
た前記インクジェット受像層組成物を固形化してインク
ジェット受像層を形成させる工程を有することを特徴と
する前記4に記載のインクジェット受像シートの製造方
法。
【0029】6.被記録媒体上にインクジェットヘッド
によりインクジェット受像層組成物を付与することを特
徴とする前記4または5に記載のインクジェット受像シ
ートの製造方法。
【0030】7.前記1〜3のいずれか1項に記載のイ
ンクジェット受像層組成物を融解する工程、中間転写媒
体に該組成物を付与する工程、該中間転写媒体上に付与
された前記組成物を被記録媒体に転写してインクジェッ
ト受像層を形成する工程を有することを特徴とするイン
クジェット受像シートの製造方法。
【0031】8.中間転写媒体表面がエンボス加工され
ていることを特徴とする前記7に記載のインクジェット
受像シートの製造方法。
【0032】9.中間転写媒体上にインクジェットヘッ
ドによりインクジェット受像層組成物を付与することを
特徴とする前記7または8に記載のインクジェット受像
シートの製造方法。
【0033】10.インクジェット受像層組成物の固形
化促進手段が冷却手段であることを特徴とする前記4〜
9のいずれか1項に記載のインクジェット受像シートの
製造方法。
【0034】11.インクジェット受像層の空隙率が2
0%〜80%であることを特徴とする前記4〜10のい
ずれか1項に記載のインクジェット受像シートの製造方
法。
【0035】12.インクジェット受像層の、ブリスト
ー法で規定されるエチレングリコール25%水溶液の接
触時間1秒後の液体転移量が5ml/m2〜200ml
/m2であることを特徴とする前記4〜11のいずれか
1項に記載のインクジェット受像シートの製造方法。
【0036】13.前記4〜12のいずれか1項に記載
のインクジェット受像シートの製造方法を用いて製造さ
れたことを特徴とするインクジェット受像シート。
【0037】14.被記録媒体にインクジェットヘッド
によりインクジェット受像層組成物を付与する手段、該
インクジェット受像層組成物の増粘促進手段を有するイ
ンクジェット受像シート作製装置において、該インクジ
ェット受像層組成物がインクジェットヘッドを出射後、
該被記録媒体へ着弾する前に該増粘促進手段により前記
インクジェット受像層組成物の増粘促進処理を行うこと
を特徴とするインクジェット受像シート作製装置。
【0038】15.インクジェット受像層組成物がイン
クジェットヘッドから出射される際の液滴サイズが1液
滴当たり、200pl以下であることを特徴とする前記
14に記載のインクジェット受像シート作製装置。
【0039】16.dot on dotの複数の液滴
によりインクジェット受像層を形成する手段を有するこ
とを特徴とする前記14または15に記載のインクジェ
ット受像シート作製装置。
【0040】17.被記録媒体にインクジェットヘッド
によりインクジェット受像層組成物を付与する手段、該
インクジェット受像層組成物の増粘促進手段を有するイ
ンクジェット受像シート作製装置において、該インクジ
ェット受像層組成物を1液滴当たり、200pl以下の
液滴サイズでdot on dotで形成する手段を有
し、且つ、前記インクジェット受像層組成物がインクジ
ェットヘッドを出射後、該被記録媒体へ着弾する前に該
増粘促進手段により前記インクジェット受像層組成物の
増粘促進処理を行うことを特徴とするインクジェット受
像シート作製装置。
【0041】18.被記録媒体に着弾される液滴のアス
ペクト比を1〜25に調整する手段を有することを特徴
とする前記14〜17のいずれか1項に記載のインクジ
ェット受像シート作製装置。
【0042】19.前記14〜18のいずれか1項に記
載のインクジェット受像シート作製装置を用いて被記録
媒体上にインクジェット受像層を設けた後、該受像層上
に該インクジェット受像シート作製装置のインクジェッ
トヘッドを用いて有色画像を形成することを特徴とする
インクジェット記録方法。
【0043】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は上記記載の問題点を種々検討した結果、請求項1ま
たは2に記載の構成を有するインクジェット受像層組成
物は、速乾性に優れ、受像層組成物の付量分布の偏差が
少なく、該受像層形成時の臭気が低減されることを見出
し、前記組成物を用いて作製されたインクジェット受像
シートはインク吸収性が高く、且つ、画像品質に優れる
ことを見出した。
【0044】また、従来では、高品位、且つ、安定にフ
ィルム、金属、コート紙のような種々の被記録媒体への
インクジェット受像層の形成は極めて困難であったが、
本発明のインクジェット受像層組成物を用いることによ
り、特に印刷等の校正用途に用いられる、軽量コート、
軽量マット、上質紙、新聞紙等に対しても安定にインク
ジェット受像層を形成することが可能になり、また、画
像品質上も市場ニーズに合致する高品質の画像を提供す
ることができるようになった。
【0045】《インクジェット受像層組成物》本発明に
係るインクジェット受像層組成物について説明する。
【0046】本発明に記載の効果を得る為に、本発明に
係るインクジェット受像層組成物は常温で固体であり、
熱溶融により粘度が100mPa・s以下の液状組成物
に相変化することが必須であるが、好ましくは、50m
Pa・s以下であり、特に好ましくは、20mPa・s
以下である。
【0047】また、インクジェット受像層組成物を用い
て作製したインクジェット受像層にに十分な耐久性を付
与し、且つ、インクジェット記録による形成された画像
の擦り、曲げに対する強い耐久性を付与する観点から、
本発明のインクジェット受像層組成物は、少なくとも1
種の熱溶融性媒体を含有することが好ましい。
【0048】本発明に用いられる熱溶融性媒体として
は、130℃での溶融粘度は20mPa・s以下、特に
1mPa・s〜15mPa・sである化合物が好まし
い。
【0049】また、本発明のインクジェット受像層組成
物を用いて被記録媒体上にインクジェット受像層を形成
する時に、130℃における表面張力は18mN/m〜
28mN/mの範囲が好ましく、更に好ましくは、20
mN/m〜28mN/mの範囲である。
【0050】(インクジェット受像層組成物中の揮発成
分量)また、本発明に係るインクジェット受像層のイン
クジェット記録時のインク吸収性を向上させる為には、
インク受像層の空隙率が大きいことが好ましいが、前記
空隙率をあげるためには、インクジェット受像層組成物
中の揮発成分が少ない事が好ましい。ここで、揮発成分
とは具体的には組成物中の溶剤成分等であり、インクジ
ェット受像層組成物中の揮発成分の量は、調製直後の組
成物の30質量%以下であることが好ましく、更に好ま
しくは、10質量%以下である。
【0051】(インクジェット受像層の体積減少)ま
た、本発明においては、被記録媒体上に液体状/流動性
のインクジェット受像層組成物を後述するインクジェッ
ト受像シートの製造方法に記載するように、被記録媒体
上に付与し、次いで、固形化させる事により、インクジ
ェット受像層を形成する工程において、該インクジェッ
ト受像層組成物中の揮発成分の蒸発等による、インクジ
ェット受像層の体積減少が50体積%以下であることが
好ましく、更に好ましくは、40体積%以下であり、特
に好ましくは、30体積%以下である。
【0052】ここで、インクジェット受像層の体積減少
とは、前記受像層形成の為に使用されたインクジェット
受像層組成物の量と、被記録媒体上に塗設された後のイ
ンクジェット受像層組成物の付量の差を求めることによ
り算出される。
【0053】(インクジェット受像層組成物に用いられ
る化合物)本発明においては、上記の様に、揮発分を減
少させ、体積減少の少ないインクジェット受像層組成物
を用いることにより、オフィスライクな環境下でも、簡
便な装置で、インクジェット受像層を形成する事が可能
となる。
【0054】このような条件を満たす化合物としては、
例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木
ろうに代表される植物系ワックス、その他、155(日
本精蝋製)等のパラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス等の石油系ワックス、ポリワックス500
(東洋ペトロライト製)等のポリエチレンワックス、ス
テアリン酸、ベヘン酸、ユニシド550(東洋ペトロラ
イト製)等の高級飽和あるいは不飽和脂肪酸、ステアロ
ン、ラウロン等のケトン、脂肪酸エステルアミド、長鎖
アルコール、飽和あるいは不飽和脂肪酸アミド、脂肪酸
エステル、グリセライド、ポリオキシエチレンヒマシ
油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はアルキルグリ
セリルエーテル脂肪酸エステル等があげられる。
【0055】例えば、脂肪酸エステルアミドとしてはC
PH−380N、カワスリップSA、脂肪酸アミドとし
ては、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ス
テアリン酸エステルアミド、パルミチン酸アミド、ベヘ
ン酸アミド、ブラシジン酸アミドなど、N−置換脂肪酸
アミドとして、N,N′−2−ヒドロキステアリン酸ア
ミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,
N′−キシレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸
モノメチロールアミド、N−オレイルステアリン酸アミ
ド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイル
パルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、
N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジ
オレイルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルイ
ソフタル酸アミド、2−ステアラミドエチルステアレー
トなどが選ばれる。
【0056】脂肪酸エステルとしては一価または多価ア
ルコール脂肪酸エステルが望ましく、例えば、ソルビタ
ンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソ
ルビタンモノベヘネート、ポリエチレングリコールモノ
ステアレート、ポリエチレングリコールジステアレー
ト、プロピレングリコールモノステアレート、エチレン
グリコールジステアレート等が選ばれる。
【0057】具体的には、レオドールSP−S10、レ
オドールSP−S30、レオドールSSA10、エマゾ
ールP−10、エマゾールS−10、エマゾールS−2
0、エマゾールB、レオドールスーパSP−S10、エ
マノーン3199、エマノーン3299、エキセパール
PE−MS(花王)等が使用できる。
【0058】更に、最も好ましいのは、グリセリンの脂
肪酸エステルである。例えば、ステアリン酸モノグリセ
ライド、パルミチンモノグリセライド、オレイン酸モノ
グリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどが選ば
れる。
【0059】具体的には、レオドールMS−50、レオ
ドールMS−60、レオドールMS−165、レオドー
ルMO−60、エキセパールG−MB(花王)、脱臭精
製カルナバワックスNo.1、精製キャンデリラワック
スNo.1(野田ワックス)、シンクロワックス ER
L−C、シンクロワックスHR−C(クロダ)、KF2
(川研ファインケミカルズ)が使用できる。
【0060】また、特殊エステル系ワックスとして、エ
キセパールDS−C2(花王)、カワスリップ−L、カ
ワスリップ−R(川研ファインケミカルズ)等も選ばれ
る。セロチン酸ミリシル、セロチン酸セリル、モンタン
酸セリル、パルミチン酸ミリシル、ステアリン酸ミリシ
ル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル等の高級
脂肪酸の高級アルコールエステル類等も選ばれる。
【0061】長鎖アルコールとしては、UNILIN3
50、UNILIN425、UNILIN550、UN
ILIN700、またこれらをエトキシ化して得られた
ユニトックス420、ユニトックス450、ユニトック
ス480、ユニトックス520、ユニトックス550、
ユニトックス720、ユニトックス750(東洋ペトロ
ライト製)等が使用できる。
【0062】更に、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、ペトロラタムを原料とする酸化反応
により製造されたアルコールリッチなアルコール型ワッ
クスとして、OX1949、OXO20T、NPS92
10、NPS9125、NPS9035(日本精蝋製)
等が望ましい。また、KOW、VLTN−4、VLTN
−55、VLTN−6(川研ファインケミカルズ製)等
も挙げられる。特に望ましいのは、UNILIN42
5、UNILIN550、OX1949である。
【0063】本発明に用いられる熱溶融性媒体は、上記
記載の中から選ばれる少なくとも1種または2種以上を
混合して用いる事が出来る。これらは何れも被記録媒体
への濡れ性が良好で幅広い被転写媒体への密着性に優れ
ている。
【0064】本発明において、熱溶融性媒体としては、
下記のような樹脂を含有させることもできる。このよう
な樹脂を添加した複合媒体成分も、やはり、130℃で
の溶融粘度は20mPa・s以下、好ましくは1mPa
・s〜15mPa・sであることが好ましい。熱溶融性
媒体として含有させることのできる樹脂は、上記常温固
体ワックス及び有機物質よりも相対的に分子量が大き
く、常温固体ワックス、又は、有機物質の少なくとも一
方と相溶するものであれば、特に限定されない。
【0065】上記樹脂としては、好ましくはポリエチレ
ン樹脂;ビニル系樹脂、好ましくはエチレン−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、酢
酸ビニル樹脂又はエチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂;アクリル系樹脂、好ましくはメタクリル酸エステル
樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、エチレン−エチル
アクリレート共重合樹脂又はエチレン−メタクリル酸共
重合樹脂;フェノール樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリア
ミド樹脂;ポリエステル樹脂;ケトン樹脂;アルキド樹
脂;ロジン系樹脂;水素添加ロジン樹脂;石油樹脂;水
素添加石油樹脂;マレイン酸樹脂;ブチラール樹脂;テ
ルペン樹脂;水素添加テルペン樹脂;クマロン−インデ
ン樹脂;脂環族飽和炭化水素樹脂等を挙げることができ
る。
【0066】本発明において、溶融粘度が低く、定着性
の良い画像が得られるインクジェット受像層組成物中の
熱溶融性媒体成分である樹脂としては、特定の高分子、
すなわち、超分岐ポリマーまたはデンドリマー構造を有
するポリマー等の樹状構造を有する樹脂を使用すること
が好ましい。また、超分岐ポリマーまたはデンドリマー
構造を有するポリマー等の樹状構造を有する樹脂(以
下、「樹状樹脂」という。)を使用することが好まし
い。
【0067】本発明に用いられる樹状樹脂としては、デ
ンドリマー構造を有するポリマーおよび超分岐ポリマー
があげられる。デンドリマー構造を有するポリマーは、
高分子鎖が樹状に分岐したものであって、中心から外側
に鎖が分岐して伸び進んでいる構造のポリマーを意味
し、超分岐ポリマーは、中心から外側に分岐が伸び進む
というような規則性は持たないが、高分子鎖が樹状に不
規則に分岐しているポリマーを意味する。これら樹状樹
脂は、直鎖状の樹脂と異なり、溶融状態で分子間での絡
み合いを持たないために、分子量が大きくなっても低粘
度であるという特性を有している。
【0068】樹状樹脂としては、室温で固体であって、
数平均分子量が1000から100000の範囲のもの
が望ましく、特に2000〜50000の範囲のものが
好ましく使用される。室温で固体でない場合は、形成さ
れる画像の維持性が悪くなる。また、分子量が上記の範
囲より低い場合には定着画像がもろくなり、また、分子
量が上記の範囲より高い場合には、製造が困難になり、
製造コスト等の点で実用的ではなくなる。
【0069】デンドリマー構造を有するポリマーの例と
しては、アミドアミン系デンドリマー(米国特許第4,
507,466号、同第4,558,120号、同第
4,568,737号、同第4,587,329号、同
第4,631,337号、同第4,694,064
号)、フェニルエーテル系デンドリマー(米国特許第
5,041,516号、Journal of Ame
rican ChemicalSociety 112
巻(1990年、7638〜7647頁))等があげら
れる。アミドアミン系デンドリマーについては、末端ア
ミノ基とカルボン酸メチルエステル基を持つデンドリマ
ーが、Aldrich社より「StarburstTM
(AMAM)」として市販されている。また、そのアミ
ドアミン系デンドリマーの末端アミノ基を、種々のアク
リル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体と反応させ、対
応する末端をもったアミドアミン系デンドリマーを合成
して、それらを使用することもできる。利用できるアク
リル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体としては、アク
リル酸メチル、エチル、n−ブチル、tert−ブチ
ル、シクロヘキシル、パルミチル、ステアリル等のアル
キルエステル類、アクリル酸アミド、イソプロピルアミ
ド等のアルキルアミド類が挙げられる。
【0070】また、フェニルエーテル系デンドリマーに
ついては、例えば、上記Journal of Ame
rican Chemical Societyには種
々のものが記載され、例えば、3,5−ジヒドロキシベ
ンジルアルコールを用い、3,5−ジフェノキシベンジ
ルブロミドと反応させて第2世代のベンジルアルコール
を合成し、そのOH基をCBr4およびトリフェニルホ
スフィンを用いてBrに変換した後、同様に3,5−ジ
ヒドロキシベンジルアルコールと反応させて次世代のベ
ンジルアルコールを合成し、以下、上記反応を繰り返し
て所望のデンドリマーを合成することが記載されてい
る。フェニルエーテル系デンドリマーについても、末端
ベンジルエーテル結合の代わりに、末端を種々の化学構
造をもつもので置換することができる。例えば、上記J
ournal of American Chemic
al Societyに記載のデンドリマーの合成に際
して、上記ベンジルブロミドの代わりに種々のアルキル
ハライドを用いれば、相当するアルキル基を有する末端
構造のフェニルエーテル系デンドリマーが得られる。そ
の他ポリアミン系デンドリマー(Macromolec
ular Syntheses.77、21(199
4))およびその末端基を変性した誘導体を使用するこ
とができる。
【0071】超分岐ポリマーとしては、例えば、超分岐
ポリエチレングリコール等が使用できる。超分岐ポリマ
ーは、1分子内に分岐部分に相当する2つ以上の一種の
反応点とつなぎ部分に相当する別種のただ1つの反応点
とを持ち合わせたモノマーを用い、標的ポリマーを1段
階で合成することにより得られるものである(Macr
omolecules、29巻(1996)、3831
〜3838頁)。例えば、超分岐ポリマー用モノマーの
一例として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体があ
げられる。超分岐ポリマーの製造例をあげると、1−ブ
ロモ−8−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3,6
−ジオキソオクタンと3,5−ジヒドロキシ安息香酸メ
チルとから得られた3,5−ビス((8′−(t−ブチ
ルジフェニルシロキシ)−3′,6′−ジオキソオクチ
ル)オキソ)安息香酸メチルの加水分解物である3,5
−ビス((8′−ヒドロキシ−3′,6′−ジオキソオ
クチル)オキソ)安息香酸メチルをジブチル錫ジアセテ
ートと窒素雰囲気下で加熱して、超分岐ポリマーである
ポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]
を合成することができる。3,5−ジヒドロキシ安息香
酸を用いた場合、超分岐ポリマー末端基は水酸基となる
ため、この水酸基に対して、適当なアルキルハライドを
用いることにより、種々の末端基を有する超分岐ポリマ
ーを合成することができる。
【0072】一般に、デンドリマー構造を有するポリマ
ーまたは超分岐ポリマー等の樹状樹脂は、主鎖の化学構
造とその末端基の化学構造によりその性状が支配される
が、特に末端基の化学構造の相違によりその性状が大き
く異なるものとなる。特に末端にアルキル基を有するも
のは、樹状樹脂自身のもつ高分子鎖の絡み合いがないこ
とに加え、溶融時に分子間相互作用が比較的小さいため
溶融粘度が非常に低くなるという特徴を有し、一方、高
分子であるために或る程度の可とう性を有しているとい
う特徴を持ち合わせている。したがって、本発明におい
て、樹状樹脂は、末端基が炭素数1〜30のアルキル基
を有するものが好ましい。
【0073】本発明において、上記の樹状樹脂は1種の
みを単独で用いてもよいし、他の種類の樹状樹脂と併用
してもよい。また、上記樹状樹脂はワックス類と併用し
てもよい。しかしながら、ワックス類と共に用いなくて
も、樹状樹脂だけを色剤と共に用いて熱溶融インクジェ
ットインク組成物として機能させることができる。
【0074】本発明において、上記の樹状樹脂をワック
ス類と共に用いる場合には、インクジェット受像層組成
物の5質量%〜70質量%の範囲で使用するのが好まし
い。本発明に係る粒子について説明する。
【0075】本発明のインクジェット受像層組成物は粒
子を含有することが好ましい。ここで、粒子としては、
具体的には、シリカ(コロイダルシリカ、湿式法非晶質
シリカ、気相法非晶質シリカ)、溶融非晶質シリカ、ア
ルミナ或いはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダ
ルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水
和物、擬ベーマイト)、珪酸アルミニウム、珪酸カルシ
ウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸
カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホ
ワイト、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、リトポン、ゼオライト、モンモリロナイト、
加水ハロイサイト、シリコーン粒子、ガラスビーズ、中
空ガラスビーズ等の無機粒子、スチレン系架橋粒子、ア
クリル系架橋粒子、スチレン−アクリル系架橋粒子、ウ
レタン系架橋粒子、ポリエステル系架橋粒子、フッ素系
粒子、アルギン酸系架橋粒子、アクリル酸系架橋粒子等
の有機粒子を挙げられる。
【0076】本発明に係るインクジェット受像層組成物
中の粒子の添加量は80質量%以下が好ましく、特に好
ましくは5質量%〜75質量%の範囲である。
【0077】本発明に係るインクジェット受像層組成物
中には、上記記載の熱溶融性媒体、粒子以外に、必要に
応じ各種の染料保持剤(イオン性化合物、イオン性樹
脂)、表面処理剤、界面活性剤、光重合性化合物、光重
合開始剤、色材、粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止
剤、架橋促進剤、紫外吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散
剤、顔料、染料などを含有できる。
【0078】本発明のインクジェット受像層組成物の構
成成分である、上記の熱溶融性媒体、粒子等や必要に応
じて用いられる、その他の成分の混合、分散にはビーズ
ミル、ホモジナイザが最適であるが周知の各種の粉砕又
は分散装置が特に制限無く使用できる。これらには、高
速回転ミル、ローラーミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹
拌ミル、ジェットミル等の区分があり、例えば、ハイス
ピードデイスパーサ、インペラデイスパーザ、ゲートミ
キサ、ビーズミル、サンドミル、パールミル、コブラミ
ル、ピンミル、モリネックスミル、撹拌ミル、ユニバー
サルミル、センチュリーミル、プレッシャミル、アジテ
ータミル、2本ロールエクストルーダ、2本ロールミ
ル、3本ロールミル、ニッチェミル、ニーダ、ミキサ、
コロイドミル、ストーンミル、ケーデイミル、遊星ミ
ル、ボールミル、パドルミキサ、アトライター、フロー
ジェットミキサ、スラッシャーミル、ペグミル、マイク
ロフルダイザ、クレアミックス、ライノミル、ピン付き
ビーズミル、横型ビーズミル等がある。
【0079】本発明においては上記のうち、特に高速回
転のビーズミルの使用が望ましい。回転数は特に重要な
因子であり、同様の方法でも回転数が低いと粉砕効率が
劣るため製造に長時間を要する。回転数としては、2,
000rpm以上が適当である。特に好ましくは、2,
000〜4,000rpmの範囲である。2,000r
pm未満では粉砕分散が不十分で、製造に過大な時間を
要し、4,000rpmを超えると高温で高速回転を保
持するために装置上過大な設備を要し実際的ではない。
【0080】ビースの材質は特に制限はないが、ジルコ
ン、ジルコニア、スチール等が使用される。ビース径は
過大では破砕効率は高いが粒径が十分微細化できず、過
小では混練に長時間を要するため、適当な範囲が選択さ
れる。0.5〜5mmφが適当で、特に好ましくは0.
5mmφ〜2mmφである。特にフタロシアニン顔料に
おいては、混練中に熱、機械的衝撃、特定の有機物との
相互作用により結晶転位を生じ、色調、分散性等が大き
く変化する。これによって十分な耐光性および耐水性が
得られない場合がある。本発明のインクの製造において
は、この条件も考慮して最適化することが必要である。
【0081】混練時間は、装置により各種設定される。
混練には、周知の成分を一括して溶融混練する方法、着
色剤をあらかじめ高濃度に混合してマスタバッチとし希
釈する方法、成分を順次追加混合する方法、液体中で分
散し固相中に導入するフラッシュ方法等、塗料、イン
キ、樹脂着色等に使用される各種の方法が使用できる。
【0082】高品質の熱溶融インクジェットインク組成
物の調製には多くの重要な因子のバランスを必要とす
る。本発明のインクは、ホットメルト型インクジェット
プリンタに適用するために、周知の幾つかの要件を満足
する。すなわち、このインクは室温で十分な硬度と安定
性があり、印刷前の保管および印刷後の画質に信頼性が
ある。記録媒体に付着後は十分な透明性と彩度を有し、
かつ均一な薄膜を形成して良好な画質の印刷物を与え
る。これらの要件は複雑で、本発明のインクについて必
ずしも明瞭に数値化できるわけではないが、例えば、融
点が相対的に低いホットメルトインクは典型的に滲みや
すく、オフセットが発生しやすい。40℃保管状態でも
印刷物を重ねておいた状態で、オフセットが発生しない
ことが必要である。
【0083】印刷物の折り曲げ特性としてはトランスペ
アレンシーフィルムを用いたマンドレル試験において5
mmφ以下特に3mmφ以下の試験に合格することが望
ましい。印刷時のインクを溶融する温度としては、装置
を簡便で低価格にするために、100℃〜150℃の範
囲が最適である。噴射時の溶融粘度は5mPa・s〜3
0mPa・s、表面張力は20mN/m〜26mN/m
が望ましい。溶融状態から固体に転移する際の体積変化
は10%以下が望ましい。
【0084】《インクジェット受像シートの製造方法》
本発明のインクジェット受像シートの製造方法について
説明する。
【0085】本発明のインクジェット受像シートは上記
記載の本発明のインクジェット受像層組成物を用いて製
造される。
【0086】ここで、上記記載のように本発明のインク
ジェット受像層組成物は、請求項1または2に記載のよ
うな特性を有し、インクジェット受像層の形成にはイン
クジェット受像層組成物を上記のように作製した上で、
加熱溶融し、従来公知の方法で被記録媒体上に設ける事
が出来る。具体的には、ブレードコーター、ロールコー
ター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコー
ター等による塗工方式、ホットメルトによる押出しラミ
ネーション方式、転写箔による溶融転写方式等、溶融イ
ンクジェット方式が適用できるが、中でも好ましくい
は、転写箔による溶融転写方式、溶融インクジェット方
式であり、特に好ましくは溶融インクジェット方式であ
る。この様に行う事により、オンデマンドに必要な分だ
け受像層を形成する事が可能となりこのましい。又、媒
体との兼ね合いで使用する受像層組成物を切り替えた
り、インクジェット受像層の付量を変えたり等の処理を
行う事も可能である。
【0087】本発明のインクジェット受像シートの製造
方法においては、被記録媒体へ上へのインクジェット受
像層組成物の付与に当たり、インクジェットヘッドを使
用することが好ましいが、その場合、インクジェット受
像層組成物の液粘度が50mPa・s以下でることが好
ましく、更に好ましくは、20mPa・s以下であり、
特に好ましくは、1mPa・s〜15mPa・sに調整
することである。
【0088】本発明のインクジェット受像シートの製造
方法においては、常温で固体のインクジェット受像層組
成物を熱溶融などの相変化により粘度低下させて、被記
録媒体に供給後、前記インクジェット受像層組成物を固
形化させる態様が好ましいが、この態様によれば、実質
的に溶剤等の揮発成分の不使用が可能であり、上記の好
ましい態様である被記録媒体上でのインクジェット受像
層の体積減少を30体積%以下にする事が可能になる。
【0089】また、本発明のインクジェット受像シート
の製造方法においては、常温で固体のインクジェット受
像層組成物を熱溶融などの相変化により粘度低下させ、
中間転写媒体上に記録し、次いで、該中間転写媒体上に
形成されたインクジェット受像層組成物を被記録媒体上
に再転写後、固形化する態様が好ましい。
【0090】この態様でも、実質的に溶剤等の揮発成分
の不使用を可能になるのは上述の通りであると共に、各
種の被記録媒体上に直接付与する態様ではないので、イ
ンクジェット受像層の品質安定性が計れるばかりか、中
間転写媒体表面形状の加工に基づくインクジェット受像
層の構造をも制御する事が可能になる。
【0091】具体的には、中間転写媒体表面をエンボス
化、凹凸化等面積加工、厚み加工を行う事により、被転
写媒体に再転写する受像層の構造をより空隙を大きくな
るように設計できる。
【0092】また、被記録媒体上へのインクジェット受
像層の塗設をインクジェットヘッド(インクジェットノ
ズルともいう)で行ない、更に、固形化の手段として冷
却手段を用いることにより、インクジェット受像シート
の構造を制御する事が可能となる。
【0093】(被記録媒体上へのインクジェット受像層
組成物の付量)上記のようにして製造される、本発明の
インクジェット受像シートの被記録媒体上へのインクジ
ェット受像層組成物の付量は、1g/m2〜100g/
2が好ましく、更に好ましくは5g/m2〜25g/m
2である。
【0094】(インクジェット受像層の空隙率)本発明
に係るインクジェット受像層の空隙率は、20%〜80
%であることがが好ましく、特に好ましくは30%〜7
0%である。
【0095】ここで空隙率は、ボロシメータ9510
(島津製作所製制)を用い、水源圧入法により測定し
た。測定条件としては、水銀の接触角を130度、42
00気圧まで加圧し、500μm〜3nmまでの細孔を
測定し、空隙率を算出した。
【0096】(ブリストー法で規定される液体転移量)
また、ブリストー法で規定されるエチレングリコール2
5%水溶液の接触時間1秒後の液体転移量が5ml/m
2〜200ml/m2である事が好ましく、特に好ましく
は10ml/m2〜150ml/m2であり、この様にな
るように、受像層の構造を制御し、作製することが好ま
しい。
【0097】ブリストー法から算出される液体転移量
は、インクジェット受像層のインク吸収性を示すパラメ
ータであるが、本発明においては、上記のエチレングリ
コール以外にも広範な水系溶剤について吸収性が高いこ
とが好ましい。
【0098】尚、ブリストー法による液体吸収性試験
(詳細はJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.51参
照)とは、ヘッドボックスに15μlのエチレングリコ
ール25%水溶液を添加して求めた接触時間1秒での転
移量を指しており、ブリストー試験装置としては熊谷理
機工業(株)製液体動的吸収試験機が使用される。
【0099】(インクジェット受像層の構造と空隙率)
本発明において、dot on dotの複数の液滴に
よりインクジェット受像層を形成するとは、本発明のイ
ンクジェット受像層組成物をインクジェットヘッドによ
り、被記録媒体上に複数の液滴として打ち出し、複数の
ドット(dotともいう)を重ね合わせて、インクジェ
ット受像層を形成することである。
【0100】ここで、図1により、dot on do
tでインクジェット受像層組成物を打ち出し、形成され
たインクジェット受像層を有するインクジェット受像シ
ートを説明し、次いで、図2に示すような、インクジェ
ット受像層表面の拡大図により、dot on dot
で層形成されたインクジェット受像層のドット構成と空
隙率の関係を説明する。
【0101】図1(a)、(b)は、各々、インクジェ
ット受像層を有するインクジェット受像シートの一例を
示す概略断面図である。ここで、これらの断面は、透過
型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察したものを概略断
面図として示す。
【0102】図1(a)、(b)の各々においては、イ
ンクジェットヘッド(図示していない)から液滴状のイ
ンクジェット受像層組成物が被記録媒体1上に複数のd
ot2として打ち出され、インクジェット受像層3が形
成されている。
【0103】図1(a)では、打ち出し時のdot形状
がアスペクト比の大きな楕円状の液滴が用いられている
一例を示し、また、図1(b)では、図1(a)のdo
tと比べてアスペクト比の比較的に小さなdot形状の
液滴が用いられている一例を示している。
【0104】また、図1(a)においては、インクジェ
ット受像層3を形成するドットの重なりは最密充填構造
(ドット間の隙間が最も少ない状態)で積層された構造
の一例であるが、それと比較して、図1(b)では、例
えば、1段目のドット1とそれに隣接するドット2を考
えたとき、2段目のドットは、ドット1、ドット2が打
ち込まれた個所と同一の個所に打ち込まれている為、図
1(a)のような最密充填構造にはならず、隙間の多い
積層構造が形成され、更にインク吸収性の高いインクジ
ェット受像層を形成できる。
【0105】このように図1(b)のようにインクジェ
ット受像層を形成すると、縦方向の吸収孔に繋がった横
方向の孔を作製できる為、好ましい態様である。
【0106】図2(a)、(b)、(c)は、各々イン
クジェットヘッド(図示していない)からインクジェッ
ト受像層組成物を被記録媒体1上に打ち出して形成され
たインクジェット受像層3の表面を部分拡大した模式図
である。
【0107】図2(a)、(b)、(c)は、各々イン
クジェット受像層3の表面上に1辺70μmの正四角形
の領域に着目し、前記領域に打ち込まれた4つのdot
2の粒径と空隙との関係を示している。
【0108】図2(a)のように、38.5μmの液滴
を用いてdot on dot形成するとインクジェッ
ト受像層3の空隙率を比較的に小さく調整でき、また、
図2(c)のように、31.5μmの液滴を用いてdo
t on dot形成すれば、空隙率を大きく調整でき
ることが判る。
【0109】また、図2(b)では、図2(a)と図2
(c)の中間の空隙率になることがわかる。
【0110】図1及び図2から、dot on dot
で形成されるインクジェット受像層は、厚み方向に吸収
孔を有するので、従来公知のインクジェット受像層と比
較して、インクの吸収性が顕著に優れており、且つ、ド
ットの広がりが少ないことから超高画質印字に極めて適
した態様であることが判る。
【0111】本発明においては、インクジェットノズル
から被記録媒体1上へのインクジェット受像層組成物液
滴の着弾時、前記被記録媒体1上でのインクジェット受
像層組成物のアスペクト比は、1〜25となるように調
整し、着弾させる事が好ましく、より好ましくは1〜1
5に調整することである。即ちドット径に対して、ドッ
ト厚みがある方が形状としては好ましい。
【0112】《本発明のインクジェット受像シート作製
装置》本発明のインクジェット受像シート作製装置につ
いて説明する。
【0113】ここで、本発明のインクジェット受像シー
ト作製装置の例を図3により説明する。
【0114】図3(a)、(b)、(c)は、各々イン
クジェットを用いてインクジェット受像層を形成する、
本発明のインクジェット受像シート作製装置の一例を示
す概略断面図である。
【0115】図3(a)においては、被記録媒体1は、
搬送ベルト11により矢印の方向に搬送され、インクジ
ェットヘッド10から液滴として打ち出されたインクジ
ェット受像層組成物(図示していない)は被記録媒体1
上に着弾した後、冷却ファン4aにより送り出された冷
風により増粘促進処理が施され、複数のdot(図示し
ていない)の重ね合わせ構造を有するインクジェット受
像層(図示していない)が形成される。
【0116】図3(b)においては、インクジェットヘ
ッド10から内部に加熱ヒータ6を有する中間転写ドラ
ム5上に、インクジェット受像層組成物9aがdot
ondotで吐出される。dot on dotで形成
されたインクジェット受像層組成物9aは、ニップロー
ラ7により膜厚調整され、被記録媒体1上に塗設され、
インクジェット受像層9bが形成される。
【0117】また、図3(b)の中間転写ドラム5の表
面をエンボス化、凹凸を設ける等の表面粗さを付与する
等の加工を施すことにより、インクジェット受像層9b
の表面形状を粗面化し、空隙率を更に向上させることが
出来る。
【0118】図3(c)においては、被記録媒体1は、
搬送ベルト11により矢印の方向に搬送され、インクジ
ェットヘッド10から液滴として打ち出されるところま
では、図3(a)と同様であるが、図3(c)では、イ
ンクジェット受像層組成物(図示していない)は被記録
媒体1に着弾する前に冷却ファン4aにより送り出され
た冷風により増粘促進処理が施され、更にdot形成に
適切な粘度に調整された液滴として被記録媒体1上に着
弾し、複数のdot(図示していない)の重ね合わせ構
造を有するインクジェット受像層(図示していない)が
形成される。
【0119】実施例において後述するが、図3(a)に
比べて、図3(c)の装置を用いると、インクジェット
ヘッド10から吐出されたインクジェット受像層組成物
の液滴の平均アスペクト比を1〜25程度に調整できる
ので、より空隙率の高いインクジェット受像層を形成す
ることができる。
【0120】本発明のインクジェット受像シート作製装
置は、インクジェット受像層を付与する手段、インクジ
ェット受像層組成物を増粘する手段とを有しており、搬
送経路はどのように設計しても構わないが、好ましくは
受像付与後増粘完了まで同一面上での搬送経路とする事
が好ましく、特に好ましくは、増粘完了まで受像面上に
した平面搬送経路とする事である。
【0121】本発明のインクジェット受像シート作製装
置は、インクジェットによりインクジェット受像層組成
物を被記録媒体上に付与する手段、インクジェット受像
層組成物を増粘促進手段とを有しており、インクジェッ
ト受像層組成物がヘッド出射後、被記録媒体着弾前に増
粘処理される事を特徴としている。
【0122】インクジェット受像層組成物の増粘促進手
段としては、組成液との関係で増粘可能な組合せであれ
ば何れも、好適に使用できる。具体的には、風力、冷却
等である。この様な手段により、ヘッド出射時の粘度か
ら、着弾時には100mPa・s(cps)以上になっ
ている事が好ましく、より好ましくは200mPa・s
以上である。また、効率よく増粘される為に、液滴の量
としては、1液滴当たり、200pl以下が好ましく、
更に好ましくは、100pl以下であり、より好ましく
は、50pl以下であり、特に好ましくは、10pl以
下である。この様な小液滴の利用は後述の構造制御の観
点からも好ましい態様である。
【0123】上記の様な、増粘促進手段を有する装置を
用いる事により、理想的には被転写媒体に液滴が着弾す
るときに液滴形状が保持され、受像層の空隙が増大す
る。またインクジェット受像層を構成するドットが完全
に重なるベタ状にならないようにドットを間引いて形成
する手段によってもインクジェット受像層の空隙率を調
整することが可能である。
【0124】更に、インクジェット受像層作製時のイン
クジェット受像層組成物のドットの着弾時の広がりは出
射ドット速度にも関連しており、必要に応じ速度を調整
することによっても、空隙率を調整できる。
【0125】また、本発明のインクジェット受像シート
作製装置は、インクジェット記録方式により被記録媒体
上にインクジェット受像層組成物を付与する手段、イン
クジェット受像層組成物の増粘を促進させる手段とを有
しており、インクジェット受像層組成物が1液滴当た
り、200pl以下の液滴サイズで、dot on d
otで打ち出されることにより、空隙率が高く、結果と
してインク吸収性の高いインクジェット受像層を形成す
ることができる。
【0126】《インクジェット記録方法》本発明のイン
クジェット記録方法を図4を用いて説明する。
【0127】図4において、インクジェットヘッド10
から内部に加熱ヒータ6を有する中間転写ドラム5上
に、インクジェット受像層組成物9aがdot on
dotで吐出される。dot on dotで形成され
たインクジェット受像層組成物9aは、ニップローラ7
により膜厚調整され、被記録媒体1上に塗設され、イン
クジェット受像層9bが形成される。
【0128】次いで、インクジェット受像層9b上にイ
ンクジェットヘッド10aからインクジェット用インク
が吐出され、インクジェット受像層9bに浸透または付
着し、インクジェット画像形成が行われる。
【0129】ここで、インクジェットヘッド10と10
aは、各々、異なるインクジェットヘッドどを用いても
良く、また、インクジェットヘッド10aと10bは同
一のヘッドを用いても良い。
【0130】《インク》本発明に用いられるインクにつ
いて説明する。
【0131】画像形成に用いるインクとしては、水系イ
ンク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク
組成物等を用いることができるが、水系インク組成物
(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含
有する水系インクジェット記録液等)を特に好ましく用
いることができる。
【0132】着色剤としては、本発明においては、画像
保存性の観点から顔料を用いることが好ましい。顔料イ
ンク中の顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有
機顔料および、カーボンブラック等を好ましく用いるこ
とができる。
【0133】不溶性顔料としては、特に限定するもので
はないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェ
ニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アン
トラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソ
インドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、
チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニ
ン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0134】好ましく用いることのできる具体的顔料と
しては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッ
ド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッ
ド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメン
トレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピ
グメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、
C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレ
ッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、
C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメン
トレッド122、C.I.ピグメントレッド123、
C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメント
レッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.
I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッ
ド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.
ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0135】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.
I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエ
ロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.
ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー
15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグ
メントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー9
4、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられ
る。
【0136】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグ
メントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー1
5:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグ
メントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が
挙げられる。
【0137】これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤
を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例
えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステ
ル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、
ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシア
ルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステ
ル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、
スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル
酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導
体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル
酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロッ
ク共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげ
ることができる。
【0138】顔料の分散方法としては、その方法に特に
制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アト
ライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキ
サ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミ
ル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用
いることができる。
【0139】本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去す
る目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを
使用することも好ましい方法である。
【0140】顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク
中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮し
て選択するが、加えて本発明のインクジェット顔料画像
の形成方法では、光沢向上、質感向上の観点からも粒径
を選択するのが好ましい。本発明において、光沢向上、
質感向上する理由は定かでは無いが、画像において顔料
は熱可塑性微粒子が溶融した皮膜中に分散された状態に
あることと関連していると推測している。高速処理を目
的とすると、短時間で熱可塑性微粒子を溶融皮膜化し、
更に顔料を充分に皮膜中に分散しなければならない。こ
のとき顔料の表面積は大きく影響し、それゆえ平均粒径
に最適領域が存在すると推測している。
【0141】顔料インクとして好ましい形態である水系
インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ま
しい。
【0142】(水溶性有機溶媒)水溶性有機溶媒として
は、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシ
ャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シク
ロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコ
ール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘ
キサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコ
ールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレング
リコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール
モノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、
N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレン
ジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレ
ントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素
環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
リドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、ス
ルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ス
ルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニト
リル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶
媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、
多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用するこ
とが特に好ましい。
【0143】水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併
用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量とし
ては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜
35質量%である。
【0144】インク組成物は、吐出安定性、プリントヘ
ッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保
存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微
粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮
膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加する
こともできる。
【0145】(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂粒子)本発
明では、インクに分散粒子を用いることが好ましく、そ
の場合、特に分散粒子を熱可塑性樹脂でコーティング、
または熱可塑性樹脂粒子を添加して使用することが好ま
しい。
【0146】特に、熱可塑性微粒子を添加することは、
本発明の効果を得るうえで好ましい。熱可塑性微粒子に
ついては、上記の記録媒体表層に添加することのできる
熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利
用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起
こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子
の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より
好ましくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2
倍の範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加す
る熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、
軟化するものが好ましい。
【0147】上記の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂粒
子に用いられる樹脂としては、例えば、ポリカーボネー
ト、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリスチレ
ン−アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル共重合
体、ポリビニルアルコール、ポリメタアクリル酸、ポリ
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ
エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリエーテル、シリコン、ポリブタジエン、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、ABSゴム、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、シリコン−ア
クリル共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等が挙げられ
る。
【0148】また、これらの高分子化合物を互いに共重
合体させたランダム共重合体、ブロック共重合体、グラ
フト共重合体なども挙げられる。
【0149】中でも、好ましくは、ビニル基を有するモ
ノマーが重合されたスチレン−アクリル樹脂が挙げられ
る。このスチレン−アクリル樹脂に用いられる好ましい
モノマーを挙げれば、スチレンとアクリレート類(アク
リル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアク
リレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート)、アクリロニトリルがあげられ、こ
れらのモノマーを主成分にした熱可塑性樹脂が好まし
い。この熱可塑性樹脂には、スチレン−アクリルの他
に、酢酸ビニルを共重合させて、酢酸ビニルの一部、ま
たは全部をビニルアルコールに導いた熱可塑性樹脂、重
合後ウレタン変性、シリコン変性、ポリビニルアルコー
ル変性などの変性処理したものも、好ましく用いられ
る。
【0150】また、本発明に用いられるインク(インク
組成物ともいう)は、その飛翔時の粘度として40mP
a・s以下が好ましく、30mPa・s以下であること
がより好ましい。インク組成物は、その飛翔時の表面張
力として20mN/m以上が好ましく、30mN/m〜
45mN/mであることが、より好ましい。
【0151】インク中の顔料固形分濃度は、0.1質量
%〜10質量%の範囲で選択でき、写真画像等を得る場
合には、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡
インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、
シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に
好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色イ
ンクを用いることも、色再現性上好ましい。
【0152】《被記録媒体》本発明に係る被記録媒体に
ついて説明する。
【0153】本発明のインクジェット受像層組成物、イ
ンクジェット受像シートの製法、インクジェット受像シ
ート作製装置を用いる事により、従来公知の水系染料イ
ンク、水系顔料インク、有機溶剤系染料インク、溶剤系
顔料インクを用いたインクジェット記録が従来不可能と
いわれていた、ブリストー法での1秒後のインク吸収量
5ml/m2以下の被記録媒体にも、高画質の印字記録
をすることが可能になった。
【0154】ブリストー法での1秒後のインク吸収量が
5ml/m2以下の記録媒体としては、具体的には、従
来公知のAL、Cu、SUS金属板、金属箔等の金属
類、PET、PES、PE、PP、PS、TAC、ポリ
カーボネートなどのフィルム基材/カード類、ウレタ
ン、SBS、SIS、SEBS等のゴム基材類、アート
紙、コート紙、マッとコート紙、軽量コート紙、微塗工
紙、新聞原紙等の印刷用紙、及びこれらの基材を組み合
わせた複合基材類が挙げられる。
【0155】これらの中で、印刷用紙、フィルム、金属
箔、又はこれらの組み合わせ基材に適用してもよい。ま
た、本発明では、既に多色印刷済みの印刷用紙に、バリ
アブルデータを印刷する様に使用させる事も好ましく、
そのような印刷済みの印刷用紙にも好適に使用される。
【0156】また、本発明においては下記のような従来
公知の非吸水性支持体も被記録媒体として使用すること
が出来る。
【0157】本発明に用いられる非吸水性支持体として
は、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両
面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げ
られる。プラスチック樹脂フィルム支持体としては、例
えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィル
ム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテー
トフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積
層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラス
チック樹脂フィルムは、透明または半透明なものも使用
できる。
【0158】本発明においては、プリント時のコックリ
ング(しわ)が発生しない非吸水性支持体が好ましく、
特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で
被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポ
リオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
【0159】以下、本発明で特に好ましい支持体である
紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体につい
て説明する。
【0160】本発明の支持体に用いられる紙は、木材パ
ルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポ
リプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエ
ステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプと
してはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LD
P、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いること
ができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBS
P、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜7
0%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パ
ルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用い
られ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプ
も有用である。
【0161】紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキル
ケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タル
ク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリル
アミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増
白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加するこ
とができる。
【0162】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSF
の規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後
の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッ
シュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ま
しい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが
好ましい。
【0163】紙の坪量は50〜250gが好ましく、特
に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜21
0μmが好ましい。
【0164】紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー
処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.
7〜1.2g/m2(JIS P 8118)が一般的
である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定さ
れる条件で20〜200gが好ましい。
【0165】紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良
く、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと
同様のサイズ剤を使用できる。
【0166】紙のpHは、JIS P 8113で規定
された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9で
あることが好ましい。
【0167】次に、この紙の両面を被覆するポリオレフ
ィン樹脂について説明する。この目的で用いられるポリ
オレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、
プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類
が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0168】以下、特に好ましいポリエチレンについて
説明する。紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、
主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/また
は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のL
LDPEやポリプロピレン等も一部使用することができ
る。
【0169】特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ル
チルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加
し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸
化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20
%、好ましくは2〜15%である。
【0170】ポリオレフィン層中には白地の調整を行う
ための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加するこ
とができる。
【0171】着色顔料としては、例えば、群青、紺青、
コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブル
ー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブル
ー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。
【0172】蛍光増白剤としては、例えば、ジアルキル
アミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビス
メチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナ
フタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベン
ズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベン等が挙
げられる。
【0173】紙の表裏のポリエチレンの使用量は、イン
クジェット受像層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及
び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、
一般にはポリエチレン層の厚さはインクジェット受像層
側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範
囲である。表裏のポリエチレンの比率はインク受容層の
種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整
する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリ
エチレンの比率は、厚みで概ね3/1〜1/3である。
【0174】更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体
は、以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ま
しい。
【0175】(1)引っ張り強さは、JIS P 81
13で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、
横方向が9.8〜196Nであることが好ましい。
【0176】(2)引き裂き強度は、JIS P 81
16で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94
N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい。
【0177】(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2
が好ましい。 (4)不透明度は、JIS P 8138に規定された
方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が
好ましい。
【0178】(5)白さは、JIS Z 8727で規
定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−
3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい。
【0179】(6)クラーク剛直度は、記録用紙の搬送
方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100で
ある支持体が好ましい。
【0180】(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜
10%が好ましい。 (8)インク受容層を設ける光沢度(75度鏡面光沢
度)は10〜90%が好ましい。
【0181】本発明に係るインクジェット記録用紙のイ
ンクジェット受像層は単一の層構成を有するインクジェ
ット受像層であっても多層構成からなるインクジェット
受像層であっても良いが、環境湿度が変化した際の色変
化がより少ない多層構成のインクジェット受像層がより
好ましく、請求項4に係る発明では、インクジェット受
像層が少なくとも2層からなり、非吸水性支持体から最
も離れたインクジェット受像層が、前記一般式(1)で
表される繰り返し単位を有するカチオン性ポリマーを少
なくとも1種含有することが特徴である。
【0182】本発明に係るインクジェット記録用紙のイ
ンクジェット受像層は硬膜剤を含有しても良い。
【0183】硬膜剤としては、前述のホウ酸も硬膜作用
を有するがこれ以外に、エポキシ系硬膜剤(例えば、ジ
グリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジル
エーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,
N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソ
ルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリ
グリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(例え
ば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロ
ゲン系硬膜剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系
化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘ
キサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメ
チルエーテル等)、アルミ明礬、イソシアネート化合物
等が挙げられる。
【0184】硬膜剤の使用量は、ポリビニルアルコール
の種類及び量、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類等によ
り変化するが、通常ポリビニルアルコール1g当たり5
〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0185】本発明に係るインクジェット記録用紙のイ
ンクジェット受像層及び必要に応じて設けられるその他
の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加すること
ができる。
【0186】上記の添加剤としては、例えば、ポリスチ
レン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エ
ステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ま
たはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂
等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの
各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−
87988号及び同62−261476号に記載の紫外
線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−879
89号、同60−72785号、同61−146591
号、特開平1−95091号及び同3−13376号等
に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993
号、同59−52689号、同62−280069号、
同61−242871号及び特開平4−219266号
等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン
酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム
等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止
剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることも
できる。
【0187】本発明に係るインクジェット記録用紙にお
いて、多孔質層及び下引き層など必要に応じて適宜設け
られる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は、公
知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい
方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾
燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布する
こともでき、特に、全ての親水性バインダー層を1回の
塗布で形成する多層同時塗布方法が好ましい。
【0188】塗布方式としては、例えば、ロールコーテ
ィング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコー
ティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方
法あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッ
パーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく
用いられる。
【0189】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらに限定されない。
【0190】実施例1 《受像層組成物の調製》 (受像層組成物aの調製) ウレタンラテックス[パデラコールIJ−70:大日本
インキ社製]100質量% 組成物は、常温での粘度0.7Pa・s、固形分15%
であった。乾燥による体積変動は、ウエット膜厚に対し
85体積%であった。
【0191】 (受像層組成物1の調製) N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド 20質量% ポリエチレングリコールジアクリレート 0.5質量% 光重合開始剤:ベンジルジメチルケタール 1質量% 活性剤:アセチノール 0.05質量% 溶剤:イソプロピルアルコール 20質量% 塗布液は、常温での粘度0.008Pa・s、固形分5
1.9%であった。固化による体積変動はウエット膜厚
に対し、58体積%であった。
【0192】 (受像層組成物2の調製) ステアリルステアリン酸アミド 40質量% デヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% アビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% フタル酸ジエステル化合物1 15質量% フタル酸ジエステル化合物2 5質量% テトラドアミン化合物(水素化したオレイン酸2量体とエチレンジアミン、及 びステアリン酸を1:2:2で反応した生成物) 10質量% 組成物は、常温では固体であり、140℃での溶融粘度
は0.01Pa・s(10cps)、固形分100%で
あった。
【0193】
【化1】
【0194】《インクジェット受像シートの作製》 (インクジェット受像シート1の作製):比較例 常温で被記録媒体(ボイドPETフィルムQE02(東
レ社製):比重:0.7)上にインクジェット受像層組
成物aをワイヤーバーで直接塗工し、恒温槽[ハイフレ
ックスFX−4200:ダバイエスペック社製]で乾燥
温度を90℃に設定して乾燥を行い、インクジェット受
像シート1を作製した。
【0195】また、上記のインクジェット受像層組成物
aをインクジェットヘッドを用いて前記の被記録媒体1
上に出射を試みたが、高粘度の為、出射が出来なかっ
た。
【0196】(インクジェット受像シート2の作製):
比較例 インクジェット受像シート1の作製において、インクジ
ェット受像層組成物aの代わりにインクジェット受像層
組成物1を用いた以外は同様にして、インクジェット受
像シート2を作製した。
【0197】(インクジェット受像シート3の作製):
比較例 インクジェット受像シート2の作製において、インクジ
ェット受像層組成物1の塗設後、紫外線照射を施した以
外は同様にして、インクジェット受像シート3を作製し
た。紫外線照射の条件は50mJ/cm2、10秒間の
照射を行った。
【0198】(インクジェット受像シート4の作製):
比較例 インクジェット受像シート2の作製において、インクジ
ェット受像層組成物1の塗設にインクジェットヘッドを
用い、塗設後、紫外線照射を行った以外は同様にしてイ
ンクジェット受像シート4を作製した。
【0199】ここで、インクジェットヘッドからの吐出
条件は、周波数4kHz、吐出量80ng/液滴で行
い、塗設後の紫外線照射の照射条件は、50mJ/cm
2、10秒照射に設定した。
【0200】(インクジェット受像シート5の作製):
本発明 インクジェット受像層組成物2を140℃に加熱溶解
し、溶解液を被記録媒体1上にホットメルトダイコータ
ーとして、貼付剤製造装置(幸袋工作所(製))を用い
て直接塗工、次いで、冷蔵庫中に投入して冷却後、常温
下にて乾燥させ、インクジェット受像シート5を作製し
た。
【0201】(インクジェット受像シート6の作製):
本発明 図3(a)に示すようなインクジェット受像シート作製
装置を用い、インクジェット受像層組成物2を140℃
に加熱溶解して得られた溶解液をインクジェットヘッド
(コニカラージフォーマットインクジェットプリンタイ
グアス1044SD用のインクジェットヘッド(カラー
ピエゾインクジェット方式)を改造して、ヘッド内のイ
ンクを加熱する機能を付与した)を用いて被記録媒体1
に出射/塗工し、インクジェット受像シート6を作製し
た。
【0202】ここで、インクジェットヘッドは、周波数
4kHz、吐出量80ng/液滴になるように調整し
た。
【0203】《インクジェット受像シート作製時の評
価》上記のインクジェット受像シート1〜6の評価にお
いて、速乾性、付量分布、臭気については、各々、イン
クジェット受像シート1〜6の作製時に下記のように行
った。
【0204】(インクジェット受像シート作製時の速乾
性評価)インクジェット受像シート1〜6の作製時、各
々、付量が10g/m2、20g/m2、30g/m2
40g/m2となるように受像層組成物を各々、被記録
媒体1上に付与した以外は全く同様に、速乾性評価用の
試料を4種類ずつ作製し、各々、乾燥時間を測定し、表
1に示す。
【0205】(インクジェット受像シート作製時の付量
分布の評価)インクジェット受像シート1〜6の作製
時、各々付量20g/m2の受像層を作製し、A4サイ
ズのサンプルの短辺−長辺各5点の格子で規定される付
量分布を測定した。
【0206】(インクジェット受像シート作製時の臭気
評価)インクジェット受像シート1〜6の作製時、イン
クジェット受像層の固化時の臭気を官能評価し、下記の
ようにランク評価した。
【0207】 ○:臭気が全く感じられない ×:芳香臭等を強く感じる 《溢れの評価(印字性能評価)》インクジェット受像シ
ート1〜6の作製時に付量を20g/m2に作製した各
々の試料について、各々のインクジェット受像層に、イ
ンクジェットプリンタMC2000(セイコーエプソン
(株)製)を用いて、下記の画像出力条件にてC(シア
ン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒色)の
各々、単色でパッチへの出力を行い、1次色モードでの
溢れ(パッチの滲み)を目視で観察し、下記のようにラ
ンク評価した。
【0208】 ○:100%の出力(ベタ)でパッチエッジでの滲みが
全くない ×:100%の出力(ベタ)でパッチエッジに滲みが見
られる 《画像出力条件》画像用のアプリケーションであるイラ
ストレータ(アドビ社(製))を用いて1cm角のパッ
チに100%(ベタ:最大画像濃度を与えるインク量を
撃ち込んだ場合を100%という)までプリンタから出
力させた。ここで、インクジェットプリンタMC200
0の印字条件は以下のように設定した。半光沢紙を使用
し、スーパーファインモード:補正なしで目標濃度にな
るようにCMSを適用した。
【0209】ここで、上記のCMSとは、測色として、
下記に示すグレタグマクベス社製の測色機を使用し、タ
ーゲットプロファイルとして、ISO12642で規定
される標準印刷物を使用した。また、プリンタプロファ
イルは、MC2000(エプソン(株)製)を用いた上
記記載の印字条件で、補正なしでISO12642チャ
ートを出力した物を使用した。
【0210】CMM(カラー管理モジュール)として
は、アドビ社のフォトショップ及びアップル社のカラー
シンクを用い、マッチング方法は知覚的を選択してCM
Sを行った。
【0211】(目標濃度)本発明の画像出力は各色の目
標濃度を以下にし、以下の主たる評価は目標濃度での評
価を行なった。
【0212】 Y;1.04 M;1.53 C;1.48 K;1.83 (測色条件)測色は、測色機[グレタグマクベス社製;
spectrolino,keywizard]を用
い、以下の条件で行なった。
【0213】 光源 ;D50、 視野 ;2°視野 濃度 ;ANSI T 白色基準 ;abs フィルター;No−filter 得られた結果を表1に示す。
【0214】
【表1】
【0215】表1から、比較と比べて本発明の試料は作
製時の速乾性に優れ、付量分布の偏差が低減し、臭気も
なく、且つ、溢れがないことから、画像形成時の印字特
性も良好であることが明らかである。
【0216】実施例2 《インクジェット受像シート7の作製》実施例1のイン
クジェット受像シート6の作製において、溶解液の付量
を20g/m2に固定し、溶解液をインクジェットヘッ
ドから、下記に記載の中間転写ドラム1に出射/塗工
後、被記録媒体に再転写した以外は同様にして、インク
ジェット受像シート7を作製した。
【0217】ここで、インクジェットヘッドは、周波数
4kHz、吐出量80ng/液滴になるように調整し、
且つ、中間転写ドラムからの再転写については、50
℃、4.9N/cmになるように調整した。
【0218】(中間転写ドラム1の作製)シリコーンゴ
ム[硬度70、肉厚5mm、Ra:0.02μm]を中
間転写ドラム1としてそのまま用いた。
【0219】上記のRaは、JIS B 0601で規
定される表面粗さを表す。 《インクジェット受像シート8の作製》インクジェット
受像シート7の作製において、中間転写ドラム1の代わ
りに下記に記載の中間転写ドラム2を用いた以外は同様
にして、インクジェット受像シート8を作製した。
【0220】(中間転写ドラム2の作製)ハロゲンラン
プ、電熱線などの熱源を内部に有し、伝熱性の高いアル
マイト製の円筒状鋳物表面にシリコーンゴム[硬度7
0、肉厚5mm、Ra:1.2μm]を付与して、中間
転写ドラム2を作製した。
【0221】上記のRaは、JIS B 0601で規
定される表面粗さを表す。得られたインクジェット受像
シート7、8の速乾性、付量分布、臭気については実施
例1に記載と同様に評価した。
【0222】溢れ特性についても、印字条件をY、M、
C、K(以上、1次色)、R、G、B(以上、2次
色)、3C(Y、M、Cの混合:3次色)、4C(Y、
M、C、Kの混合:4次色)のフルモードでの画像出力
を行ない、評価を下記のような4段階に設定した以外
は、実施例1に記載と同様に評価した。
【0223】 ◎:4次色の画像出力でも全く滲みが発生しない ○:2〜4次色の画像出力で僅かに滲み(実質的に全く
問題なし) △:1〜2次色の画像出力で僅かに滲みが見られる(実
用可) ×:1次色の画像出力で明らかな滲み発生(実用不可) 得られた結果を表2に示す。
【0224】
【表2】
【0225】表2から、インクジェット受像層の形成に
中間転写ドラムを用いた方法でも、作製時の速乾性に優
れ、付量分布の偏差が低減し、臭気もなく、且つ、溢れ
が低減する等の特性が更に向上していることが判る。
【0226】また、中間転写媒体として表面粗さが大き
い中間転写ドラム2を用いたインクジェット受像シート
8のほうが、得られる受像体表面形状がより粗くなり、
空隙率が高まり、溢れ特性が更に向上していることが判
る。
【0227】実施例3 《インクジェット受像シート9の作製》実施例1のイン
クジェット受像シート6の作製において、図3(a)に
示すようなインクジェット受像シート作製装置を用い
て、インクジェット受像層組成物の溶解液をインクジェ
ットヘッドにより下記の条件にて被記録媒体上に出射/
塗工する以外は、同様にしてインクジェット受像シート
9を作製した。
【0228】(インクジェットヘッド出射条件)720
dpi(ここで、dpiとは2.54cm当たりのドッ
トの数を表す)のピッチドットを形成し、インクジェッ
ト受像層組成物の吐出により得られるドット径、ドット
の重なり具合が図2(a)に示すように出力調整し、既
にドットが撃込まれた同じ箇所に次のドットを重ね20
g/m2の付量のインクジェット受像層を作製した。
【0229】被記録媒体上の前記インクジェット受像層
組成物の硬化(固形化ともいう)は、インクジェットヘ
ッドにより撃ち込み後、冷却ファンを用いて行った。
【0230】得られたインクジェット受像シート9は、
下記の記載のように、インクジェット受像層の空隙率と
ブリストー法による液体転移量の評価を行った。
【0231】(インクジェット受像層の空隙率、ブリス
トー法による液体転移量測定)得られたインクジェット
受像層の空隙率は10%であり、また、ブリストー法で
規定されるエチレングリコール25%水溶液の接触時間
1秒後の液体転移量は5.6ml/m2であった。
【0232】《インクジェット受像シート10の作製と
評価》インクジェット受像シート9の作製において、イ
ンクジェット受像層組成物の吐出により得られるドット
径、ドットの重なり具合が図2(b)に示すように出力
調整した以外は同様にして、インクジェット受像シート
10を作製し、評価は同様に行った。
【0233】インクジェット受像層の空隙率は21.5
%であり、また、ブリストー法による液体転移量は15
ml/m2であった。
【0234】《インクジェット受像シート11の作製と
評価》インクジェット受像シート9の作製において、イ
ンクジェット受像層組成物の吐出により得られるドット
径、ドットの重なり具合が図2(c)に示すように出力
調整した以外は同様にして、インクジェット受像シート
11を作製し、評価は同様に行った。
【0235】インクジェット受像層の空隙率は36.5
%であり、また、ブリストー法による液体転移量は26
ml/m2であった。
【0236】以上から、図2(a)〜図2(c)のよう
に、インクジェット受像層組成物のdot on do
tでの打ち出しを調製することにより、ブリストー法に
よる液体転移量を5.6ml/m2〜26ml/m2まで
広範囲に調製できることが判る。特に、インクジェット
受像層の空隙率を高めたインクジェット受像シート11
は顕著なインク吸収特性の向上が見られる。
【0237】実施例4 《インクジェット受像シート9aの作製》実施例3に記
載のインクジェット受像シート9の作製と全く同様にし
て、インクジェット受像シート9aを作製した。
【0238】《インクジェット受像シート12の作製》
インクジェット受像シート9aの作製において、図3
(c)に示すようなインクジェット受像シート作製装置
を用いた以外は同様にして、インクジェット受像シート
12を作製した。
【0239】得られたインクジェット受像シート9aと
12について下記のような評価を行った。
【0240】《インクジェット受像層の断面観察と液滴
の平均アスペクト比の算出》インクジェット受像シート
9a、12の各々のインクジェット受像層の断面観察は
市販の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察したも
のを、各々、図5(a)、(b)のように概略断面図と
して示す。また、液滴については、断面写真から100
個の液滴の観察(液滴の長辺−短辺の平均値をN=10
0で観察)し、平均アスペクト比を算出した。図6
(a)、(b)に、インクジェット受像シート9a、1
2のインクジェット受像層を形成する液滴の平均アスペ
クト比を有する液滴を模式図として示す。
【0241】得られた液滴の平均アスペクト比を下記に
示す。 インクジェット受像シート9aの受像層の液滴の平均ア
スペクト比:36 インクジェット受像シート12の受像層の液滴の平均ア
スペクト比: 8 《インクジェット受像層の空隙率の測定》空隙率の測定
は、実施例3に記載と同様に行った。
【0242】 インクジェット受像シート9aの空隙率:10% インクジェット受像シート12の空隙率:40% 以上から、本発明のインクジェット受像シート9a、1
2共に、10%、40%と高い空隙率を示し、好ましい
インク吸収特性を有することが判るが、特に、図3
(c)に示したインクジェット受像シート作製装置を用
いて作製した、インクジェット受像シート12において
は、インクジェットヘッドから吐出されたインクジェッ
ト受像層組成物が被記録媒体上に着弾する前に冷却ファ
ンを用いて増粘促進させ、液滴のアスペクト比を8(イ
ンクジェット受像シート9aの受像層の作製時の液滴の
平均アスペクト比:36)と比較的に小さく調整し、着
弾させることにより、更に大きな空隙率が得られている
ことが判る。
【0243】また、上記記載のインクジェット受像シー
ト9a、12の作製においては、最大径38.5μm、
720dpiピッチでのインクジェット受像層作製を行
ったが、より高精細な記録ピッチでより小粒系の受像層
組成液の吐出液滴を用いる作製も本発明においては、非
常に好ましい態様であり、その様な微小液滴で形成され
ることで、粒状性の良好な、高彩度の記録が出来る。
【0244】更に、上記のように、本実施例では、常温
固体の受像組成物を用いた例を用いて説明したが、従来
公知のインクジェット受像層組成物を用いても、上記の
ような構造制御は可能である。具体的には、光重合組成
物を用い、インクジェットヘッド出射後の液滴に活性光
線を照射し、被記録媒体着弾前に増粘させ、構造制御さ
せる事も非常に好ましい態様である。
【0245】実施例5 《インクジェット受像シート13の作製》実施例1のイ
ンクジェット受像シート6の作製において、被記録媒体
として、特菱アート(三菱製紙(株)製:127.9g
/m2)を用いた以外は同様にして、インクジェット受
像シート13を作製した。
【0246】《インクジェット受像シート14の作製》
実施例1のインクジェット受像シート6の作製におい
て、インクジェット受像層組成物を下記のインクジェッ
ト受像層組成物3に代えた以外は同様にして、インクジ
ェット受像シート14を作製した。
【0247】 (インクジェット受像層組成物3の調製) ステアリルステアリン酸アミド 40質量% デヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% アビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% フタル酸ジエステル化合物1 15質量% フタル酸ジエステル化合物2 5質量% テトラドアミン化合物(水素化したオレイン酸2量体とエチレンジアミン、及 びステアリン酸を1:2:2で反応した生成物) 10質量% シリカ粒子:A300[アエロジル社製] 4質量% 組成物の溶融粘度、固形分などの特性は、インクジェッ
ト受像層組成物2と同様であった。
【0248】《インクジェット受像シート15の作製》
実施例1のインクジェット受像シート6の作製におい
て、インクジェット受像層組成物を下記のインクジェッ
ト受像層組成物4に代えた以外は同様にして、インクジ
ェット受像シート15作製した。
【0249】 (インクジェット受像層組成物4の調製) ステアリルステアリン酸アミド 40質量% デヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% アビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% フタル酸ジエステル化合物1 15質量% フタル酸ジエステル化合物2 5質量% テトラドアミン化合物(水素化したオレイン酸2量体とエチレンジアミン、及 びステアリン酸を1:2:2で反応した生成物) 10質量% シリカ粒子:A300[アエロジル社製] 100質量% 組成物の溶融粘度、固形分などの特性は、インクジェッ
ト受像層組成物2と同様であった。
【0250】《インクジェット受像シート16の作製》
実施例1のインクジェット受像シート6の作製におい
て、インクジェット受像層組成物を下記のインクジェッ
ト受像層組成物5に代えた以外は同様にして、インクジ
ェット受像シート16を作製した。
【0251】 (インクジェット受像層組成物5の調製) ステアリルステアリン酸アミド 40質量% デヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% アビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% フタル酸ジエステル化合物1 15質量% フタル酸ジエステル化合物2 5質量% テトラドアミン化合物(水素化したオレイン酸2量体とエチレンジアミン、及 びステアリン酸を1:2:2で反応した生成物) 10質量% シリカ粒子:A300[アエロジル社製] 400質量% 組成物の溶融粘度、固形分などの特性は、インクジェッ
ト受像層組成物2と同様であった。
【0252】《インクジェット受像シート17の作製》
実施例1のインクジェット受像シート6の作製におい
て、インクジェット受像層組成物を下記のインクジェッ
ト受像層組成物6に代えた以外は同様にして、インクジ
ェット受像シート17を作製した。
【0253】 (インクジェット受像層組成物6の調製) ステアリルステアリン酸アミド 40質量% デヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% アビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% フタル酸ジエステル化合物1 15質量% フタル酸ジエステル化合物2 5質量% テトラドアミン化合物(水素化したオレイン酸2量体とエチレンジアミン、及 びステアリン酸を1:2:2で反応した生成物) 10質量% シリカ粒子:C803[グレースジャパン社製] 100質量% 組成物の溶融粘度、固形分などの特性は、インクジェッ
ト受像層組成物2と同様であった。
【0254】《インクジェット受像シート18の作製》
実施例1のインクジェット受像シート6の作製におい
て、インクジェット受像層組成物を下記のインクジェッ
ト受像層組成物7に代えた以外は同様にして、インクジ
ェット受像シート18を作製した。
【0255】 (インクジェット受像層組成物7の調製) ステアリルステアリン酸アミド 40質量% デヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% アビエチン酸のグリセリンエステル 15質量% フタル酸ジエステル化合物1 15質量% フタル酸ジエステル化合物2 5質量% テトラドアミン化合物(水素化したオレイン酸2量体とエチレンジアミン、及 びステアリン酸を1:2:2で反応した生成物) 10質量% シリカ粒子:R812[アエロジル社製] 100質量% 組成物の溶融粘度、固形分などの特性は、インクジェッ
ト受像層組成物2と同様であった。
【0256】得られたインクジェット受像シート13〜
18の速乾性、付量分布、臭気については実施例1に記
載と同様に評価した。溢れ特性については、実施例2に
記載と同様に評価した。また、膜強度の評価を下記のよ
うに行った。
【0257】《膜強度》上記で得られたインクジェット
受像シート13〜18の各々を10cmφの筒に丸めた
状態で、23℃、50%RHの条件下で、1日放置後、
筒から取り出した後、平らに広げ、膜のヒビを目視で観
察し、下記のようにランク評価した。
【0258】 ○:膜にヒビが全くない △:膜に僅かにヒビが入っている ×:膜に全面的にヒビが入っている 得られた結果を表3に示す。
【0259】
【表3】
【0260】表3から、インクジェット受像層組成物中
での粒子の含有量を5質量%〜75質量%に調整した試
料14、15、17、18は、作製時の速乾性に優れ、
付量分布の偏差が低減し、臭気もなく、且つ、フルモー
ドでの画像出力でも溢れがない等、画像形成時の印字特
性も良好であるが、更に膜強度も良好であり耐久性にも
優れていることが判る。
【0261】
【発明の効果】本発明により、速乾性に優れ、受像層組
成物の付量分布の偏差が少なく、受像層形成時の臭気が
低減されたインクジェット受像層組成物、インク吸収性
が高く、且つ、画像品質の高いインクジェット受像シー
ト、インクジェット受像シートの製造方法、インクジェ
ット受像シート作製装置及び、インクジェット記録方法
を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット受像シートの一例を示
す。
【図2】本発明に係るインクジェット受像層表面を部分
拡大した模式図を示す。
【図3】本発明のインクジェット受像シート作製装置の
一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のインクジェット記録方法の一態様を示
す概略断面図である。
【図5】本発明のインクジェット受像シートの一例を示
す概略断面図である。
【図6】インクジェット受像層の形成に用いられる液滴
を示す模式図である。
【符号の説明】
1 被記録媒体 2 インクジェットヘッドから打ち出された1つのdo
t 3 インクジェット受像層 4 インクジェット受像シート 4a 冷却ファン 5 中間転写ドラム 6 加熱ヒータ 7 ニップローラ 8 搬送ローラ 9a dot on dotで吐出されたインクジェッ
ト受像層組成物 9b インクジェット受像層 10、10a、10b インクジェットヘッド 11 搬送ベルト

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温で固体であり、熱溶融により粘度が
    100mPa・s以下の液状組成物に相変化することを
    特徴とするインクジェット受像層組成物。
  2. 【請求項2】 熱溶融前の体積Aと、熱溶融後、次いで
    固形化後の体積Bとの差が50体積%以下であることを
    特徴とする請求項1に記載のインクジェット受像層組成
    物。
  3. 【請求項3】 粒子を含有することを特徴とする請求項
    1または2に記載のインクジェット受像層組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット受像層組成物の固形分の付量が5g/m2
    〜100g/m2になるように調整しながら被記録媒体
    上に付与してインクジェット受像層を形成する工程を有
    することを特徴とするインクジェット受像シートの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 常温で固体のインクジェット受像層組成
    物を融解する工程、該インクジェット受像層組成物を被
    記録媒体に付与する工程、該被記録媒体上に付与された
    前記インクジェット受像層組成物を固形化してインクジ
    ェット受像層を形成させる工程を有することを特徴とす
    る請求項4に記載のインクジェット受像シートの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 被記録媒体上にインクジェットヘッドに
    よりインクジェット受像層組成物を付与することを特徴
    とする請求項4または5に記載のインクジェット受像シ
    ートの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット受像層組成物を融解する工程、中間転写媒
    体に該組成物を付与する工程、該中間転写媒体上に付与
    された前記組成物を被記録媒体に転写してインクジェッ
    ト受像層を形成する工程を有することを特徴とするイン
    クジェット受像シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 中間転写媒体表面がエンボス加工されて
    いることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット
    受像シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 中間転写媒体上にインクジェットヘッド
    によりインクジェット受像層組成物を付与することを特
    徴とする請求項7または8に記載のインクジェット受像
    シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 インクジェット受像層組成物の固形化
    促進手段が冷却手段であることを特徴とする請求項4〜
    9のいずれか1項に記載のインクジェット受像シートの
    製造方法。
  11. 【請求項11】 インクジェット受像層の空隙率が20
    %〜80%であることを特徴とする請求項4〜10のい
    ずれか1項に記載のインクジェット受像シートの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 インクジェット受像層の、ブリストー
    法で規定されるエチレングリコール25%水溶液の接触
    時間1秒後の液体転移量が5ml/m2〜200ml/
    2であることを特徴とする請求項4〜11のいずれか
    1項に記載のインクジェット受像シートの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項4〜12のいずれか1項に記載
    のインクジェット受像シートの製造方法を用いて製造さ
    れたことを特徴とするインクジェット受像シート。
  14. 【請求項14】 被記録媒体にインクジェットヘッドに
    よりインクジェット受像層組成物を付与する手段、該イ
    ンクジェット受像層組成物の増粘促進手段を有するイン
    クジェット受像シート作製装置において、 該インクジェット受像層組成物がインクジェットヘッド
    を出射後、該被記録媒体へ着弾する前に該増粘促進手段
    により前記インクジェット受像層組成物の増粘促進処理
    を行うことを特徴とするインクジェット受像シート作製
    装置。
  15. 【請求項15】 インクジェット受像層組成物がインク
    ジェットヘッドから出射される際の液滴サイズが1液滴
    当たり、200pl以下であることを特徴とする請求項
    14に記載のインクジェット受像シート作製装置。
  16. 【請求項16】 dot on dotの複数の液滴に
    よりインクジェット受像層を形成する手段を有すること
    を特徴とする請求項14または15に記載のインクジェ
    ット受像シート作製装置。
  17. 【請求項17】 被記録媒体にインクジェットヘッドに
    よりインクジェット受像層組成物を付与する手段、該イ
    ンクジェット受像層組成物の増粘促進手段を有するイン
    クジェット受像シート作製装置において、 該インクジェット受像層組成物を1液滴当たり、200
    pl以下の液滴サイズでdot on dotで形成す
    る手段を有し、且つ、前記インクジェット受像層組成物
    がインクジェットヘッドを出射後、該被記録媒体へ着弾
    する前に該増粘促進手段により前記インクジェット受像
    層組成物の増粘促進処理を行うことを特徴とするインク
    ジェット受像シート作製装置。
  18. 【請求項18】 被記録媒体に着弾される液滴のアスペ
    クト比を1〜25に調整する手段を有することを特徴と
    する請求項14〜17のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット受像シート作製装置。
  19. 【請求項19】 請求項14〜18のいずれか1項に記
    載のインクジェット受像シート作製装置を用いて被記録
    媒体上にインクジェット受像層を設けた後、該受像層上
    に該インクジェット受像シート作製装置のインクジェッ
    トヘッドを用いて有色画像を形成することを特徴とする
    インクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006272732A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法
JP2009107186A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Toshiba Tec Corp インクジェット記録ヘッドの評価装置
JP2012020580A (ja) * 2010-07-13 2012-02-02 Xerox Corp 固体インクジェットの望ましい画像ドラム表面トポグラフィを生成する材料と方法
JP2016150456A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 セイコーエプソン株式会社 記録装置

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