JP2003154277A - 芳香族有機塩素系環境ホルモン分解・浄化用ホーランダイト型光触媒と該環境ホルモン分解・浄化方法 - Google Patents

芳香族有機塩素系環境ホルモン分解・浄化用ホーランダイト型光触媒と該環境ホルモン分解・浄化方法

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JP2003154277A
JP2003154277A JP2001357180A JP2001357180A JP2003154277A JP 2003154277 A JP2003154277 A JP 2003154277A JP 2001357180 A JP2001357180 A JP 2001357180A JP 2001357180 A JP2001357180 A JP 2001357180A JP 2003154277 A JP2003154277 A JP 2003154277A
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photocatalyst
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endocrine disrupter
decomposing
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JP2001357180A
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Toshiyuki Mori
利之 森
Masashi Awazu
賢史 粟津
Jun Suzuki
潤 鈴木
Kenjiro Fujimoto
憲次郎 藤本
Jun Watanabe
遵 渡辺
Yoshio Hasegawa
良雄 長谷川
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Kaken Co Ltd
National Institute for Materials Science
Original Assignee
Kaken Co Ltd
National Institute for Materials Science
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族有機塩素系環境ホルモンを、室温にお
いて、乾燥ガスから湿潤ガス中という幅広い環境下にお
いて、分解・浄化する。 【解決手段】 組成式がAxy8-y16(ここで、A
は、K、Na、Rbの中から選ばれる1種類の元素、M
は、Fe、Ga、Zn、In、Cr、Co、Mg、A
l、Niから選ばれる1種類又は2種類の元素、NはS
n、Tiから選ばれる1種類又は2種類の元素、1.5
<x≦2、1.5<y≦2)で表される、ホーランダイ
ト型結晶構造からなる光触媒と、触媒担体としての透明
基板上に成膜した薄膜状酸化チタンとの複合膜からなる
芳香族有機塩素系環境ホルモン分解・浄化用光触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族有機塩素系
環境ホルモン(内分泌攪乱物質)を光励起による触媒機
能により、二酸化炭素に分解するか、又は環境ホルモン
の炭素−塩素結合を切断し無害化する機能、いわゆる浄
化機能を有する光触媒とその光触媒を用いた環境ホルモ
ンの分解・浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族有機塩素系環境ホルモン(内分泌
攪乱物質)は、極めて微量であっても、生体の生殖機能
に悪影響を及ぼすことが懸念されており、その毒性発現
の機構、発生防止策、分解・浄化方法の検討が急務とさ
れている。なかでも芳香族系有機化合物からなる環境ホ
ルモンは毒性が強く、難分解性物質であることから、そ
の分解・浄化技術の確立は、環境浄化技術の中でも最重
要課題であるといえる。
【0003】しかし、小型焼却炉や中小企業の向上か
ら、広範囲にわたって発生する該環境ホルモンの分解・
浄化方法に有効な方法はなく、中小企業体などにおいて
も手軽に扱える、芳香族有機塩素系環境ホルモン浄化方
法の開発が強く望まれている。近年、微量の有害物質を
分解・浄化する方法として、微弱な紫外線を用いて、触
媒表面上において有害物質を分解する光触媒を用いた有
害物質の分解浄化方法が注目されている。
【0004】環境浄化用光触媒としては、酸化チタン
(TiO2)系光触媒を用いて、毒性の少ない有機化合
物(トリクロロエチレン)などを紫外線などの照射下に
より高効率に分解出来ることが知られている。また、ホ
ーランダイト型化合物は、水中に含まれる有機塩素化合
物(トリクロロエチレン)の光分解触媒としての機能を
持つことが知られている。(Photo- catAlytic decom
position of trichloro ethylene and Nitrate ion i
n water on hollandite type catAlysts, T.Mori, J.
Suzuki, K.Fujimoto, and M.Watanabe, J.MateriAls
Synthesis and Processing, 6[5], 329-333(1998).
)。
【0005】光触媒の代表例としてTiO2があげられ
るが、従来技術において開示されてきた酸化チタン光触
媒は、その強い酸化力のために、室温においては芳香族
有機塩素系環境ホルモンを炭素にまで容易に分解する
が、そのことが、かえって触媒表面に分解生成物である
炭素をコークとして沈積する現象(コーキング現象)を
引き起こし、該環境ホルモン分解・浄化機能を安定に発
現させることが難しい状況にあった。
【0006】また、特徴的な結晶構造を有するホーラン
ダイト型光触媒は、酸化チタン光触媒において見いだす
ことの出来ない、有害物質の還元的除去能力(水中の硝
酸イオン除去、窒素酸化物の選択還元触媒機能など)を
有することが知られていた(Reductive decomposition
of Nitrate ion to Nitrogen in water on a uNi
que hollandite photocatAlyst, T.Mori, J.Suzuki,
K.Fujimoto, and M.Watanabe, and Y.Hasegawa, Appli
ed CatAlysis B: EnvironmentAl, 23, 283-289(1
999).)。しかし、有害物質の酸化分解又は酸化的除去
反応においては、トリクロロエチレンなどの直鎖状の炭
化水素構造を有する低分子量の有機塩素化合物などに対
して、光触媒活性があることが認められていたものの、
その触媒活性は、酸化チタンなどの触媒に比して、十分
に優れたものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】難分解性芳香族有機塩
素化合物である、環境ホルモンを室温において、高効率
に分解・除去できる、安定性の高い光触媒を提供するこ
とは、出来ない状況にあった。本発明は、上記の課題に
鑑みてなされたものであり、その目的は、従来難しいと
されてきた芳香族有機塩素系環境ホルモンを、室温にお
いて、乾燥ガスから湿潤ガス中という幅広い環境下にお
いて、分解・浄化することが可能な光触媒材料を提供す
るとともに、あわせてその効率的な分解・浄化方法を提
供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芳香族有
機塩素系環境ホルモン(内分泌攪乱物質)を、紫外線な
どの光エネルギーを照射することにより、触媒表面上で
二酸化炭素にまで分解するか、又は炭素−塩素結合を切
断することで、毒性を著しく減少させ浄化する特性を有
する光触媒材料を開発するべく検討した結果、本発明を
完成するに至った。本願の請求項1の発明の要旨は、組
成式がAxy8-y16(ここで、Aは、K、Na、Rb
の中から選ばれる1種類の元素、Mは、Fe、Ga、Z
n、In、Cr、Co、Mg、Al、Niから選ばれる
1種類又は2種類の元素、NはSn、Tiから選ばれる
1種類又は2種類の元素、1.5<x≦2、1.5<y
≦2)で表されるホーランダイト型結晶構造からなり、
比面積1m2/g以上40m2/g以下でありかつ、290
〜300nmの波長を含む15W/cm2光源により光照射
を行うことで、環境ホルモンの転化速度が1(%/時
間)以上であり、単一の芳香族環からなる有機塩素系化
合物からなる環境ホルモンでは、二酸化炭素までの酸化
分解反応が、複数の芳香族環からなる有機塩素系化合物
(ダイオキシン類化合物)に対しては、炭素−塩素結合
を切断し、毒性を無くし浄化することを特徴とする芳香
族有機塩素系環境ホルモン分解・浄化用ホーランダイト
型光触媒である。
【0009】本願の請求項2の発明の要旨は、前記請求
項第1項記載の触媒と、触媒担体と薄膜状酸化チタンの
組み合わせからなる芳香族有機塩素系環境ホルモン分解
・浄化用光触媒に関するものである。
【0010】さらに、本願の請求項3の発明の要旨は、
請求項1及び2記載の光触媒上において、芳香族系環境
ホルモンを接触させ、乾燥ガス中から湿度90%までの
湿潤ガスまでの幅広い水蒸気分圧を有する環境中で、2
90〜300nmの波長を含む光を照射することで、室
温において、触媒表面上に触媒性能を劣化させるコーキ
ング物質などを残留させることなく、安定に芳香族有機
塩素系環境ホルモンを分解するか又は、該環境ホルモン
毒性発現の要因である塩素−炭素結合を切断し、該環境
ホルモンを浄化することを特徴とする、芳香族有機塩素
系環境ホルモン分解・浄化方法を提供するものである。
【0011】すなわち、本発明は、下記の一般式で表さ
れるホーランダイト型結晶相からなる触媒を使用して、
該触媒に芳香族有機塩素系環境ホルモンを、光照射しな
がら接触させることにより、高効率に該有害物質を分解
し二酸化炭素へと転化させるか又は、炭素−塩素結合を
切断し、無害化することによる浄化するものである。 一般式:Axy8-y16 (式中、Aは、K、Na、Rbの中から選ばれる1種類の
元素、Mは、Fe、Ga、Zn、In、Cr、Co、M
g、Al、Niから選ばれる1種類又は2種類の元素、
NはSn、Tiから選ばれる1種類又は2種類の元素、
1.5<x≦2、1.5<y≦2)
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、具体的且つ詳細に説明する。本発明における芳香族
系環境ホルモン分解・浄化用光触媒の組成は、 一般式:Axy8-y16 (式中、Aは、K、Na、Rbの中から選ばれる1種類の
元素、Mは、Fe、Ga、Zn、In、Cr、Co、M
g、Al、Niから選ばれる1種類又は2種類の元素、
NはSn、Tiから選ばれる1種類又は2種類の元素、
1.5<x≦2、1.5<y≦2)で表され、ホ−ラン
ダイト型結晶相からなる触媒でなければならない。
【0013】ホーランダイト化合物の組成は、組成式:
xy8-y16において、Aは、K、Na、Rbの中か
ら選ばれる1種類の元素、Mは、Fe、Ga、Zn、I
n、Cr、Co、Mg、Al、Niから選ばれる1種類
又は2種類の元素、NはSn、Tiから選ばれる1種類
又は2種類の元素、1.5<x≦2、1.5<y≦2)
で表され、ホ−ランダイト型結晶相からなる触媒でなけ
ればならない。
【0014】ホ−ランダイト型結晶は一次元トンネル構
造を有する化合物である。トンネルイオンとしてはK等
のアルカリ金属イオンあるいはBa等のアルカリ土類金
属イオンがある。Naの場合にはCrと組み合わせて用
いた場合のみホ−ランダイト型結晶構造をとることがで
きるが、その他の元素と組み合わせた場合には当該トン
ネル構造は失われ、フロイデンバ−ジャイト型結晶構造
等となるので好ましくない。
【0015】x及びyの値はそれぞれ1.5<x≦2.
0及び1.5<y≦2.0でなければならず、この範囲
を上回るか又は下回る場合には、アルカリ金属の酸化物
又は炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物又は炭酸塩、2
価又は3価金属の酸化物及びSnの酸化物が析出し、活
性が著しく低下するために好ましくない。また、Baを
用いる場合には、化合物中の電気的中性条件からM=2
価ならy=xであり、M=3価ならy=2xとすること
が好ましい。
【0016】さらに好ましくは、上記組成式においてx
及びyの値をそれぞれ1.7<x≦2.0及び1.7<
y≦2.0とすることにより、芳香族有機塩素系環境ホ
ルモンの分解又は浄化速度を2%/時間以上に高めるこ
とができる。また、本発明の光触媒において用いられる
2価又3価金属元素としては、Al、Ga、Cr又はM
g等がホ−ランダイト型結晶構造を作る上で好ましい。
【0017】一般式:AxySn8-y16 (式中、AはK、Rb、Cs、Ca、Ba及びNaから
なる群より選ばれた1種又は2種以上の元素、Mは2価
又は3価金属元素を示す。ただし、Na元素はMがCr
の場合に限る。x及びyは、0.7<x≦2.0及び
0.7<y≦2.0を示す。)で表され、ホ−ランダイ
ト型結晶相は種々の方法により合成できることが知られ
ているが、本発明の光触媒を構成する ホ−ランダイト
型触媒の製造方法も特に限定されるものではない。
【0018】例えば、固相合成法としては、アルカリ金
属又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、酸化スズ及び2
価又は3価金属元素酸化物を混合後、1200度以上1
500度以下の温度で焼成する方法、液相法としては、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属元素の硝酸塩、塩化
スズ及び2価又は3価金属元素の硝酸塩などの無機塩水
溶液を用いて、この混合溶液をアンモニア水又はアンモ
ニア水とシュウ酸アンモニウム水溶液に滴下し、沈殿を
えて、その沈殿を水洗、ろ過、乾燥した後、500度以
上1200度以下の温度で焼成する共沈法、アルコキシ
ド法としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属元
素、スズ及び2価又は3価金属元素のメトキシド、エト
キシド、ブトキシドなどのアルコキシドを非水溶液中で
混合し、加水分解、乾燥した後、800度以上1200
度以下の温度で焼成してえることができる。
【0019】焼成温度については、1500度以上の焼
成温度でもホ−ランダイト型結晶構造は安定に生成する
が、高温での焼成は触媒の比表面積の低下を生じ、あま
り好ましくない。また、焼成時間はあまり長時間として
も比表面積の低下を生じることから好ましくない。さら
に焼成の際の昇温速度をあまり早くするとコーキングが
起こり、触媒活性を低下させるので、10度/分以下が
好ましく、さらに好ましくは、酸素気流中での焼成によ
り、コーキングを防止することが考えられる。
【0020】ホ−ランダイト型触媒の比表面積は0.1
2/g以上であれば大気中での窒素酸化物を還元剤共
存下において分解浄化することができる。この触媒の窒
素酸化物分解浄化効率は、比表面積が大きいほど大きく
なり、特に連続流通式で処理気体が多量となる処理装置
の場合には、比表面積が大きい方が好ましい。
【0021】また、この触媒は粉末として用いる他に、
多孔質の触媒担体や石英ガラス管又は石英ガラス基板上
などにホ−ランダイト型触媒をコ−ティングしてホ−ラ
ンダイト型結晶相の膜として用いることができる。膜と
して用いる場合には、ホ−ランダイト型触媒を分散させ
た水溶液又は非水溶液に多孔質の触媒担体や石英ガラス
管又は石英ガラス基板を漬けた後、焼成する方法や又
は、CVD、PVD又はスパッタリングにより、多孔質
の触媒担体や石英ガラス管又は石英ガラス基板上などの
表面にホ−ランダイト型結晶相の膜を形成する方法など
がとられる。
【0022】さらに好ましくは、請求項2項にあるよう
に、ホーランダイト型結晶構造からなる光触媒と、触媒
担体(ジルコニア、アルミナ基板などが例示される)と
薄膜状酸化チタンの組み合わせからなる複合触媒を作製
することにより、ホーランダイト触媒と酸化チタン薄膜
の界面において、分解・浄化反応がさらに加速されると
ともに、酸化チタン単独の膜を用いた場合には、その強
い酸化力から、環境ホルモンが炭素にまで分解し、かえ
って表面の触媒活性を低下させてしまう作用があるのに
対し、複合膜とすることで、その弊害を抑制することが
できるので、複合膜触媒を用いることで、高効率かつ安
定に環境ホルモンを分解・浄化することが可能になる。
この際、ホーランダイト触媒と酸化チタン粉末の混合粉
末を触媒として用いることも考えられるが、この複合触
媒を用いた場合、ホーランダイト触媒と酸化チタン界面
は増加するのでそれなりの効果は期待できるが、酸化チ
タンの影響が強く現れるため、室温においては、コーキ
ングが起こりやすくなり、触媒の安定性、寿命が低下す
る。このため、高温において酸素を流し、コーキング成
分を取り除くか、過剰な水分を流しながら、少しずつコ
ーキング成分を酸化分解させる行程が必要になるので、
工業的には好ましくない。
【0023】本発明における光照射方法についても特に
制限はなく、触媒を固定化した反応管の内側からでも、
外側からでも必要に応じて光照射を行う事が可能であ
る。また、照射する光の波長は、290〜310nmの
波長を含む光を用いればよく、蛍光灯又は太陽光を用い
ることも可能であるが、波長が長い分、反応速度が低下
するので、紫外線領域、特に290〜360nm近傍の
光を用いることが効果的である。
【0024】さらに、本発明の光触媒を用いた場合、芳
香族系環境ホルモンが単一の芳香族環からなる有機塩素
化合物の場合、該環境ホルモン中の炭素−塩素結合の切
断の後、速やかに、炭素−炭素結合の切断が進行し、酸
素が共存する環境では、容易に二酸化炭素に転化する。
一方、ダイオキシン類化合物に代表される、2種類の芳
香族環からなる化合物の場合は、ダイオキシン中の炭素
−塩素結合の切断までの反応が進んだところで反応が完
結するため、環境ホルモンの毒性発現要因である炭素−
塩素結合の切断による無害化(浄化)が可能になる。
【0025】大気中における芳香族有機塩素系環境ホル
モンは、室内、屋外とも1ppm程度で、人体に大きな
影響が現れるとされており、この濃度の該環境ホルモン
を分解・浄化するために必要とされる化学量論量の還元
剤や酸素の濃度も必然的に同程度の濃度となる。そのた
め、過剰に共存する酸素は、分解・浄化反応の効率を低
下させる恐れがあるが、本発明によるホ−ランダイト型
結晶相からなる触媒は、光照射時に、触媒表面におい
て、該環境ホルモンの親和性が極端に高まり、例えば環
境ホルモンが水などの液体中に溶解している場合、その
接触角がほぼ0にまで低下し、薄く広く、触媒表面を覆
うようになるために、触媒表面における反応性が高ま
り、過剰量酸素が共存しても、芳香族有機塩素系環境ホ
ルモンを高い効率で分解・浄化することが可能となる。
【0026】また、本発明によるホ−ランダイト触媒
に、光触媒活性な白金等の金属や酸化ルテニウムなどの
酸化物を必要に応じて担持して光触媒として使用するこ
とも可能である。本発明における光照射方法についても
特に制限はなく、触媒を固定化した反応管の内側からで
も、外側からでも必要に応じて光照射を行う事が可能で
ある。
【0027】また、照射する光の波長は、290〜31
0nmの波長を含む光を用いればよく、蛍光灯又は太陽
光を用いることも可能であるが、波長が長い分、反応速
度が低下するので、紫外線領域、特に360nm近傍の
光を用いることが効果的である。本発明が対象とする芳
香族有機塩素系環境ホルモンの濃度については特に制限
はないが、本発明による触媒の能力を十分に発揮するう
えでは、0.1ppt以上1%以下の濃度領域において
使用することが効果的である。
【0028】ガス状芳香族有機塩素系環境ホルモンと酸
素からなる混合ガスと触媒の接触時間においても、特に
制限はないが、比表面積が小さいと接触時間は大きくと
らないと効果的ではないことから、0.1以上10m2/
g未満では、2g・s/cm程度が好ましく、それ以上
の比表面積を有する場合には、接触時間を短くしてもそ
の効果は十分に発揮できるので、比表面積に応じて選択
することが好ましい。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例とにより、さ
らに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例及び比較
例に限定されるものではない。 (実施例1)組成がK2.0Ga2.0Sn8.016になるよ
うに、スズエトキシド(高純度化学研究所製)、カリウ
ムプロポキシド(高純度化学研究所製)及びガリウムブ
トキシド(高純度化学研究所製)を秤量し、それぞれ2
0mlの脱水2−メトキシエタノールに溶解した後、室
温で3種類の溶液を混合し、ゾル溶液を作製した。この
混合溶液を8mol%イットリウム安定化ジルコニア基
板上に5000回転/分の回転速度でスピンコートし、
空気中の水分を用いて加水分解を行った。加水分解後7
00度で3時間焼成することにより、ホ−ランダイト型
2.0Ga2.0Sn8.016の単相薄膜を合成した。こう
して得られた触媒のX線回折図を図1に示す。「○」印
のピークは基板のものである。
【0030】芳香族有機塩素系環境ホルモン物質とし
て、ペンタクロロフェノール10mgをアセトン中に溶
解させ、これを薄膜の上に塗布したのち、乾燥すること
で、アセトンを除去した。作製した試料は、内径8mm
の石英ガラス管中に装填し、波長領域310から400
nmのブラックライト(1.3mW/cm2)照射下
で、実験を行った。キャリアガスは、ヘリウムベース
で、酸素を0.1ml/minで反応管に送り、実験を
行った。発生した二酸化炭素は、ガスクロマトグラフを
用いて分析し、出発のペンタクロロフェノールの完全酸
化により発生することが予想される二酸化炭素量を分母
に、発生した二酸化炭素量を分子にした式から二酸化炭
素生成率を算出した。また、実験終了後の触媒表面上の
ペンタクロロフェノールは、溶媒抽出法により、有機溶
媒中に抽出させたのち、GC/MSにより、残存ペンタ
クロロフェノールの濃度を確認した。
【0031】実験の結果、本発明の触媒は、光照射後急
速に二酸化炭素が発生し、光照射を止めると、二酸化炭
素の発生も減少するという、光触媒特有の現象が確認さ
れ、二酸化炭素の発生速度から、ペンタクロロフェノー
ルの転化速度は、1.8(%/h・g)であることが分
かった。また試験終了後、残存ペンタクロロフェノール
濃度は検出限界以下であった。この結果から、本発明に
よる光触媒を用いることで、芳香族有機塩素系環境ホル
モン物質であるペンタクロロフェノールを完全に二酸化
炭素に分解できることが確認された。
【0032】(実施例2)組成が上記実施例1と同じに
なるように、スズエトキシド(高純度化学研究所製)、
カリウムプロポキシド(高純度化学研究所製)及びガリ
ウムブトキシド(高純度化学研究所製)を秤量し、それ
ぞれ20mlの脱水2−メトキシエタノールに溶解した
後、室温で3種類の溶液を混合し、ゾル溶液を作製し
た。このゾル溶液に必要量の加水分解水(H2O/C2
5OH=5.2ml/120ml)を滴下して加水分解
を行った後、700度で3時間焼成することにより、ホ
−ランダイト型K2.0Ga2.0Sn8.016の単相粉末を
合成し、表面積は約27m2/gであり、メソポア領域の
細孔を有する試料であった。
【0033】こうして得られた触媒のX線回折図は図1
と同様なものであった。芳香族有機塩素化合物は実施例
1と同様に、ペンタクロロフェノールを用いて、実施例
1の方法に準拠し、触媒粉末(1g)上にペンタクロロ
フェノールを含浸させ、乾燥した後、石英反応管に装填
して、触媒活性評価を行った。
【0034】得られた結果は、実施例1同様に、触媒上
でのペンタクロロフェノールの分解反応が確認され、そ
の転化速度は1.2(%/h・g)であった。また、残
存ペンタクロロフェノール濃度も、実施例1同様に、実
験終了時では検出限界以下となっており、本発明による
光触媒を用いることで、芳香族有機塩素系環境ホルモン
物質であるペンタクロロフェノールを完全に二酸化炭素
に分解できることが確認された。
【0035】(実施例3)組成が上記実施例1と同じに
なるように、酸化スズ(和光純薬工業製)、酸化ガリウ
ム(和光純薬工業製)及び炭酸カリウム(和光純薬工業
製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混合した後、120
0度で2時間焼成して、粉末を得た。この得られた粉末
は、実施例1と同種のX線回折パターンを示し、ホーラ
ンダイト単一相であり、比表面積は約0.3m2/gで
あることが分かった。
【0036】また、触媒活性評価は実施例1及び2に準
拠して行った結果、ペンタクロロフェノールの転化速度
は約1.1(%/h・g)であり、試験終了時の残存ペ
ンタクロロフェノール濃度は検出限界以下であることが
確認された。この結果から、本発明による触媒は、比表
面積が小さくても、実施例1と同様に、ペンタクロロフ
ェノールを二酸化炭素に分解する能力があることが確認
された。
【0037】(実施例4)組成がK1.5Ga1.5Sn6.5
16になるように、スズエトキシド(高純度化学研究所
製)、カリウムプロポキシド(高純度化学研究所製)及
びガリウムブトキシド(高純度化学研究所製)を秤量
し、それぞれ20mlの脱水2−メトキシエタノールに
溶解した後、室温で3種類の溶液を混合し、ゾル溶液を
作製した。この溶液に加水分解水(H2O/C25OH
=5.2ml/120ml)を滴下して加水分解を行っ
た。加水分解ゲルは乾燥・粉砕後700度で3時間焼成
することによりホ−ランダイト型K1.5Ga1.5Sn6.5
16の単相粉末を合成した。得られた化合物は図1に類
似したX線回折パターンを示し、さらに粉末の比表面積
は約30m2/gであり、メソポア領域の細孔を有する
試料であった。
【0038】また、触媒活性評価は実施例1及び2に準
拠して行った。その結果、ペンタクロロフェノールの転
化速度は約1.4(%/h・g)であり、試験終了時の
残存ペンタクロロフェノール濃度は検出限界以下である
ことが確認された。この結果から、本発明による触媒
は、実施例1と同様に、ペンタクロロフェノールを二酸
化炭素に分解する能力があることが確認された。
【0039】(実施例5)組成がK1.8Ga1.8Ti6.2
16になるように、チタンエトキシド(高純度化学研究
所製)、カリウムプロポキシド(高純度化学研究所製)
及びガリウムブトキシド(高純度化学研究所製)を秤量
し、それぞれ20mlの脱水2−メトキシエタノールに
溶解した後、室温で3種類の溶液を混合し、ゾル溶液を
作製した。この溶液に加水分解水(H2O/C25OH
=5.2ml/120ml)を滴下して加水分解を行っ
た。加水分解ゲルは乾燥・粉砕後700度で3時間焼成
することによりホ−ランダイト型K1.8Ga1.8Ti6.5
16の単相粉末を合成した。得られた化合物は図1に類
似したX線回折パターンを示し、さらに粉末の比表面積
は約28m2/gであり、メソポア領域の細孔を有する試料で
あった。
【0040】また、触媒活性評価は実施例1及び2に準
拠して行った。その結果、ペンタクロロフェノールの転
化速度は約1.8(%/h・g)であり、試験終了時の
残存ペンタクロロフェノール濃度は検出限界以下である
ことが確認された。この結果から、本発明による触媒
は、実施例1と同様に、ペンタクロロフェノールを二酸
化炭素に分解する能力があることが確認された。
【0041】(実施例6)組成が組成がK1.8In1.8
6.216になるように、酸化チタン(和光純薬工業
製)、酸化インジウム(和光純薬工業製)及び炭酸カリ
ウム(和光純薬工業製)を秤量し、メノー乳鉢で30分
混合した後、1200度で2時間焼成して、粉末を得
た。この得られた粉末は、実施例1と同種のX線回折パ
ターンを示し、ホーランダイト単一相であり、比表面積
は約0.6m2/gであることが分かった。
【0042】また、触媒活性評価は実施例1及び2に準
拠して行った結果、ペンタクロロフェノールの転化速度
は約1.0(%/h・g)であり、試験終了時の残存ペ
ンタクロロフェノール濃度は検出限界以下であることが
確認された。この結果から、本発明による触媒は、比表
面積が小さくても、実施例1と同様に、ペンタクロロフ
ェノールを二酸化炭素に分解する能力があることが確認
された。
【0043】(実施例7)組成が組成がK1.8Fe1.8
6.216になるように、酸化チタン(和光純薬工業
製)、酸化鉄(和光純薬工業製)及び炭酸カリウム(和
光純薬工業製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混合した
後、1200度で2時間焼成して、粉末を得た。この得
られた粉末は、実施例1と同種のX線回折パターンを示
し、ホーランダイト単一相であり、比表面積は約0.4
2/gであることが分かった。
【0044】また、触媒活性評価は実施例1及び2に準
拠して行った結果、ペンタクロロフェノールの転化速度
は約1.1(%/h・g)であり、試験終了時の残存ペ
ンタクロロフェノール濃度は検出限界以下であることが
確認された。この結果から、本発明による触媒は、比表
面積が小さくても、実施例1と同様に、ペンタクロロフ
ェノールを二酸化炭素に分解する能力があることが確認
された。
【0045】(実施例8)組成が組成がNa1.8Zna
1.8Ti6.216になるように、酸化チタン(和光純薬工
業製)、酸化亜鉛(和光純薬工業製)及び炭酸ナトリウ
ム(和光純薬工業製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混
合した後、1200度で2時間焼成して、粉末を得た。
この得られた粉末は、実施例1と同種のX線回折パター
ンを示し、ホーランダイト単一相であり、比表面積は約
0.3m2/gであることが分かった。
【0046】また、触媒活性評価は実施例1及び2に準
拠して行った結果、ペンタクロロフェノールの転化速度
は約0.8(%/h・g)であり、試験終了時の残存ペ
ンタクロロフェノール濃度は検出限界以下であることが
確認された。この結果から、本発明による触媒は、比表
面積が小さくても、実施例1と同様に、ペンタクロロフ
ェノールを二酸化炭素に分解する能力があることが確認
された。
【0047】(実施例9)組成が上記実施例1と同じに
なるように、スズエトキシド(高純度化学研究所製)、
カリウムプロポキシド(高純度化学研究所製)及びガリ
ウムブトキシド(高純度化学研究所製)を秤量し、実施
例1の方法に準拠し合成を行い、ホ−ランダイト型K
2.0Ga2.0Sn8.016の単相粉末を合成し、表面積は
約27m2/gであり、メソポア領域の細孔を有する試料を
得た。芳香族有機塩素化合物は、1,2,3,4,6,
7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシンを用いて、実
施例1の方法に準拠し、触媒粉末(1g)上に1,2,
3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシン
を含浸させ、乾燥した後、石英反応管に装填して、触媒
活性評価を行った。
【0048】得られた結果は、実施例1同様に、触媒上
での1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾ
ダイオキシンの転化反応が確認され、ベンゼンなどの塩
素を持たない芳香族化合物に転化していることが確認さ
れた。また、その転化速度は0.25(%/h・g)で
あった。
【0049】また、400時間程度の光照射実験後の残
存1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダ
イオキシン濃度も、実施例1同様に、実験終了時では検
出限界以下となっており、本発明による光触媒を用いる
ことで、芳香族有機塩素系環境ホルモン物質である1,
2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキ
シンの化合物中の炭素-塩素結合をすべて切断し、完全
に芳香族化合物に転化させることで無害化できることが
確認された。
【0050】(実施例10)組成がK2.0Ga2.0Ti
8.016になるように、チタンエトキシド(高純度化学
研究所製)、カリウムプロポキシド(高純度化学研究所
製)及びガリウムブトキシド(高純度化学研究所製)を
秤量し、実施例1の方法に準拠し合成を行い、ホ−ラン
ダイト型K2.0Ga2.0 Ti 8.016の単相粉末を合成
し、表面積は約30m2/gであり、メソポア領域の細孔
を有する試料を得た。芳香族有機塩素化合物として、
1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイ
オキシンを用いて、実施例1の方法に準拠し、触媒粉末
(1g)上に1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロ
ロベンゾダイオキシンを含浸させ、乾燥した後、石英反
応管に装填して、触媒活性評価を行った。
【0051】得られた結果は、実施例1同様に、触媒上
での1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾ
ダイオキシンの転化反応が確認され、ベンゼンなどの塩
素を持たない芳香族化合物に転化していることが確認さ
れた。また、その転化速度は0.31(%/h・g)で
あった。
【0052】また、400時間程度の光照射実験終了後の
残存1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾ
ダイオキシン濃度も、実施例1同様に、実験終了時では
検出限界以下となっており、本発明による光触媒を用い
ることで、芳香族有機塩素系環境ホルモン物質である
1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイ
オキシンの化合物中の炭素-塩素結合をすべて切断し、
完全に芳香族化合物に転化させることで無害化できるこ
とが確認された。
【0053】(実施例11)組成が上記実施例1と同じ
になるように、スズエトキシド(高純度化学研究所
製)、カリウムプロポキシド(高純度化学研究所製)及
びガリウムブトキシド(高純度化学研究所製)を秤量
し、実施例1の方法に準拠し合成を行い、ホ−ランダイ
ト型K2.0Ga2.0Sn8.016の前駆体溶液を合成した
のち、炭素繊維(化研株式会社製)上にコーティングし
た後、800度2時間仮焼することによりホ−ランダイ
ト型K2.0Ga2.0Sn8.016と炭素繊維複合体を合成
した。芳香族有機塩素化合物は、ペンタクロロフェノー
ルを用いて、実施例1の方法に準拠し、触媒粉末(1
g)上にペンタクロロフェノールを含浸させ、乾燥した
後、石英反応管に装填して、触媒活性評価を行った。
【0054】得られた結果は、実施例1同様に、触媒上
でのペンタクロロフェノールの転化反応が確認され、二
酸化炭素に完全に分解されることが分かり、その転化速
度は3.1(%/h・g)であった。また、400時間
程度の光照射実験後の残存1,2,3,4,6,7,
8,ペンタクロロベンゾダイオキシン濃度も、実施例1
同様に、実験終了時では検出限界以下となっており、本
発明による光触媒を用いることで、芳香族有機塩素系環
境ホルモン物質である1,2,3,4,6,7,8,ペ
ンタクロロベンゾダイオキシンの化合物中の炭素-塩素
結合をすべて切断し、完全に芳香族化合物に転化させる
ことで無害化できることが確認された。
【0055】(実施例12)組成が上記実施例1と同じ
になるように、スズエトキシド(高純度化学研究所
製)、カリウムプロポキシド(高純度化学研究所製)及
びガリウムブトキシド(高純度化学研究所製)を秤量
し、実施例1の方法に準拠し合成を行い、ホ−ランダイ
ト型K2.0Ga2.0Sn8.016の前駆体溶液を合成した
のち、炭素繊維(化研株式会社製)上にコーティングし
た後、800度2時間仮焼することによりホ−ランダイ
ト型K2.0Ga2.0Sn8.016と炭素繊維複合体を合成
した。芳香族有機塩素化合物は、1,2,3,4,6,
7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシンを用いて、実
施例1の方法に準拠し、触媒粉末(1g)上に1,2,
3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシン
を含浸させ、乾燥した後、石英反応管に装填して、触媒
活性評価を行った。
【0056】得られた結果は、実施例1同様に、触媒上
での1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾ
ダイオキシンの転化反応が確認され、ベンゼンなどの塩
素を持たない芳香族化合物に転化していることが確認さ
れた。また、その転化速度は2.4(%/h・g)であ
った。
【0057】また、400時間程度の光照射実験後の残
存1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダ
イオキシン濃度も、実施例1同様に、実験終了時では検
出限界以下となっており、本発明による光触媒を用いる
ことで、芳香族有機塩素系環境ホルモン物質である1,
2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキ
シンの化合物中の炭素-塩素結合をすべて切断し、完全
に芳香族化合物に転化させることで無害化できることが
確認された。
【0058】(比較例1)組成がK0.3Ga0.3Sn7.7
16になるように、酸化スズ(キシダ化学株式会社
製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)及び炭酸
カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノ−乳
鉢で30分混合した後、1200度で2時間焼成して、
粉末を得た。この得られた粉末は極微量のホ−ランダイ
ト型結晶相と酸化スズ及び酸化ガリウムからなる混相で
あった。触媒の活性評価は実施例1に準拠して行った。
その結果、ペンタクロロフェノールの転化速度は、0.
01(%/h・g)と低い結果となった。この比較例1
の組成の粉末では光の照射時間が400時間後において
も、残存ペンタクロロフェノールが触媒上に確認され、
ペンタクロロフェノールの分解効果が不十分であること
が分かった。
【0059】(比較例2)組成がK0.3Ga0.3Sn7.7
16になるように、酸化スズ(キシダ化学株式会社
製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)及び炭酸
カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノ−乳
鉢で30分混合した後、1200度で2時間焼成して、
粉末を得た。この得られた粉末は極微量のホ−ランダイ
ト型結晶相と酸化スズ及び酸化ガリウムからなる混相で
あった。環境ホルモン物質としては、1,2,3,4,
6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシンを用い
て、触媒の活性評価は実施例1に準拠して行った。その
結果、1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベン
ゾダイオキシンの転化速度は、0.005(%/h・
g)と低い結果となった。
【0060】この比較例2の組成の粉末では光の照射時
間が400時間後においても、残存1,2,3,4,6,
7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシンが触媒上に確
認され、1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベ
ンゾダイオキシンの無害化効果が不十分であることが分
かった。
【0061】(比較例3)組成がK0.1Ga0.1Ti7.9
16になるように、酸化チタン(キシダ化学株式会社
製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)及び炭酸
カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノ−乳
鉢で30分混合した後、1200度で2時間焼成して、
粉末を得た。この得られた粉末は極微量のホ−ランダイ
ト型結晶相酸化ガリウムと酸化チタンからなる混相であ
った。触媒の活性評価は実施例1に準拠して行った。そ
の結果、ペンタクロロフェノールの転化速度は、0.0
3(%/h・g)と低い結果となり、触媒表面も茶色に
変色し、コーキング現象が確認された。この比較例3の
組成の粉末では光の照射時間が400時間後において
も、残存ペンタクロロフェノールが触媒上に確認され、
ペンタクロロフェノールの分解効果が不十分であること
が分かった。
【0062】(比較例4)組成がK0.1Ga0.1Ti7.9
16になるように、酸化チタン(キシダ化学株式会社
製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)及び炭酸
カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノ−乳
鉢で30分混合した後、1200度で2時間焼成して、
粉末を得た。この得られた粉末は極微量のホ−ランダイ
ト型結晶相酸化ガリウムと酸化チタンからなる混相であ
った。触媒の活性評価は実施例1に準拠して行った。そ
の結果、1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベ
ンゾダイオキシンの転化速度は、0.003(%/h・
g)と低い結果となり、触媒表面も茶色に変色し、コー
キング現象が確認された。
【0063】この比較例4の組成の粉末では光の照射時
間が400時間後においても、残存1,2,3,4,
6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシンが触媒上
に確認され、1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロ
ロベンゾダイオキシンの無害化効果が不十分であること
が分かった。
【0064】(比較例5)組成がK0.1Ga0.1Ti7.9
16になるように、酸化チタン(キシダ化学株式会社
製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)及び炭酸
カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノ−乳
鉢で30分混合した後、1200度で2時間焼成して、
粉末を得た。この得られた粉末は極微量のホ−ランダイ
ト型結晶相酸化ガリウムと酸化チタンからなる混相であ
った。この粉末をエタノール中に分散させたのち、炭素
繊維(化研株式会社製)表面上に含浸させた触媒の活性
評価は実施例1に準拠して行った。その結果、ペンタク
ロロフェノールの転化速度は、0.01(%/h・g)
と低い結果となり、触媒表面も茶色に変色し、コーキン
グ現象が確認された。この比較例5の組成の粉末では光
の照射時間が400時間後においても、残存ペンタクロロ
フェノールが触媒上に確認され、ペンタクロロフェノー
ルの分解効果が不十分であることが分かった。
【0065】(比較例6)組成がK0.1Ga0.1Ti7.9
16になるように、酸化チタン(キシダ化学株式会社
製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)及び炭酸
カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノ−乳
鉢で30分混合した後、1200度で2時間焼成して、
粉末を得た。この得られた粉末は極微量のホ−ランダイ
ト型結晶相酸化ガリウムと酸化チタンからなる混相であ
った。この粉末をエタノール中に分散させたのち、炭素
繊維(化研株式会社製)表面上に含浸させた触媒の活性
評価は実施例1に準拠して行った。その結果、1,2,
3,4,6,7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシン
の転化速度は、0.001(%/h・g)と低い結果と
なり、触媒表面も茶色に変色し、コーキング現象が確認
された。
【0066】この比較例6の組成の粉末では光の照射時
間が400時間後においても、残存1,2,3,4,6,
7,8,ペンタクロロベンゾダイオキシンが触媒上に確
認され、1,2,3,4,6,7,8,ペンタクロロベ
ンゾダイオキシンの無害化効果が不十分であることが分
かった。
【0067】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、芳
香族有機塩素系環境ホルモンを、室温において、乾燥ガ
スから湿潤ガス中という幅広い環境下において、分解・
浄化することが可能な光触媒材料を提供するとともに、
あわせてその効率的な分解・浄化方法を提供することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で調製された触媒のX線回折図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/14 B01J 23/78 A 4H006 23/78 35/10 301J 35/10 301 37/02 301L 37/02 301 C01G 19/00 A C01G 19/00 23/00 C 23/00 49/00 A 49/00 C07B 37/06 C07B 37/06 C07C 39/36 C07C 39/36 C07D 319/24 // C07D 319/24 B01D 53/36 J G (72)発明者 粟津 賢史 茨城県つくば市並木1−1 独立行政法人 物質・材料研究機構物質研究所内 (72)発明者 鈴木 潤 茨城県つくば市並木1−1 独立行政法人 物質・材料研究機構物質研究所内 (72)発明者 藤本 憲次郎 茨城県つくば市並木1−1 独立行政法人 物質・材料研究機構物質研究所内 (72)発明者 渡辺 遵 茨城県つくば市並木1−1 独立行政法人 物質・材料研究機構物質研究所内 (72)発明者 長谷川 良雄 茨城県水戸市堀町1044番地 株式会社化研 内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BD13 BD17 4D048 AA11 AB01 AB03 BA01Y BA03Y BA07X BA14X BA16X BA17X BA21X BA25Y BA36X BA37Y BA38Y BA41X BA42X BB01 BB17 CC36 CC46 EA01 4G002 AA06 AB01 AD04 AE05 4G047 CA06 CB04 CB06 CC03 CD03 CD07 4G069 AA02 AA03 AA08 BA04A BA48A BB06A BB06B BC02A BC02B BC03A BC03B BC05A BC10A BC16A BC17A BC17B BC18A BC18B BC22A BC22B BC35A BC35B BC50A BC50B BC58A BC66A BC66B BC67A BC68A CA01 CA07 CA10 CA19 DA05 EA02Y EA08 EC02X EC22X EC22Y EE06 EE09 FA01 FA03 FB08 FB19 FB30 FC08 4H006 AA05 AC26 BA02 BA07 BA09 BA14 BA19 BA20 BA21 BA30 BA55 BA85 BA95 BB62

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式がAxy8-y16(ここで、A
    は、K、Na、Rbの中から選ばれる1種類の元素、M
    は、Fe、Ga、Zn、In、Cr、Co、Mg、A
    l、Niから選ばれる1種類又は2種類の元素、NはS
    n、Tiから選ばれる1種類又は2種類の元素、1.5
    <x≦2、1.5<y≦2)で表されるホーランダイト
    型結晶構造からなり、比面積1m2/g以上40m2/g
    以下でありかつ、290〜310nmの波長を含む15
    W/cm2光源により光照射を行うことで、環境ホルモン
    の転化速度が触媒1g当たり0.1(%/時間)以上で
    あり、単一の芳香族環からなる有機塩素系化合物でから
    なる環境ホルモンでは、二酸化炭素までの酸化分解反応
    が、複数の芳香族環からなる有機塩素系化合物(ダイオ
    キシン類化合物)に対しては、炭素−塩素結合を切断
    し、毒性を無くし浄化することを特徴とする芳香族有機
    塩素系環境ホルモン分解・浄化用ホーランダイト型光触
    媒。
  2. 【請求項2】 組成式がAxy8-y16(ここで、A
    は、K、Na、Rbの中から選ばれる1種類の元素、M
    は、Fe、Ga、Zn、In、Cr、Co、Mg、A
    l、Niから選ばれる1種類又は2種類の元素、NはS
    n、Tiから選ばれる1種類又は2種類の元素、1.5
    <x≦2、1.5<y≦2)で表される、ホーランダイ
    ト型結晶構造からなる光触媒と、触媒担体としての透明
    基板上に成膜した薄膜状酸化チタンとの複合膜からなる
    芳香族有機塩素系環境ホルモン分解・浄化用光触媒。
  3. 【請求項3】 請求項1及び2記載の光触媒上におい
    て、環境ホルモンを接触させ、乾燥ガス中から湿度90
    %までの湿潤ガスまでの幅広い水蒸気分圧を有する環境
    中で、290〜310nmの波長を含む光を照射するこ
    とで、室温において、触媒表面上に触媒性能を劣化させ
    るコーキング物質などを残留させることなく、安定に環
    境ホルモンを分解するか又は、環境ホルモン毒性発現の
    要因である塩素−炭素結合を切断し、環境ホルモンを浄
    化することを特徴とする、芳香族有機塩素系環境ホルモ
    ン分解・浄化方法。
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