JP3679969B2 - 複合光触媒および有機ハロゲン化合物の分解方法 - Google Patents

複合光触媒および有機ハロゲン化合物の分解方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合光触媒および有機ハロゲン化合物の分解方法に係り、有害な有機ハロゲン化合物を分解し、無害化する複合光触媒、およびそれを用いた分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年になって環境中の微量有害物質に対する関心は非常に高まっている。特にダイオキシン等の有機塩素化合物や環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)等の極微量で生物に影響があると思われる物質については分析技術や人体に対する影響評価技術も発展途上ではあるが、早急な対策が求められている。これには排出抑制技術のみではなくすでに環境中に蓄積されているものの除去・無害化技術が不可欠であると考えられている。
【0003】
一方、二酸化チタンなどの半導体光触媒は光照射により各種有機物の分解の効果があることが広く知られており、環境中の物質に対する分解技術の研究としては水中の有機化合物の分解(用水と廃水 vol.30, No.10, pp943-948(1988))や空気中の窒素酸化物の除去などの例がある。
【0004】
このような酸化物半導体による光触媒反応において、有機物の分解は光触媒表面上で水から発生するOHラジカルによる酸化分解の機構が一般的と考えられている。
【0005】
しかし例えばダイオキシン等の有機塩素化合物とOHラジカルとの反応性は必ずしも十分大きいとはいえず、有機塩素化合物の分解無害化処理の実用化のためには反応効率の向上が必要となっている。またOHラジカルによる酸化反応では目的物質より反応しやすい物質が存在すると、目的物質の分解効率は非常に低下してしまうため、その使用条件が限られてしまうという問題があった。
【0006】
一方、活性炭表面にパラジウムなどを担持した脱ハロゲン触媒が知られているが、この触媒を用いた脱ハロゲン化反応には水素源を必要とするために、通常アルコール溶液中で行われている。
【0007】
したがって、有機塩素化合物を完全に分解するためには、アルコール溶液中で脱ハロゲン化反応を行った後、脱ハロゲン化した有機化合物を抽出し、これを水または水蒸気の存在下で光触媒反応させなければならなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の光触媒はダイオキシンなどの有機塩素化合物の反応効率を十分に高めることができず、予め脱ハロゲン化反応を行う必要があり、処理工程を繁雑になるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みて為されたものであり、有機塩素化合物に代表される有機ハロゲン化合物を効率よく、簡便に分解できる水中での有機ハロゲン化合物分解用複合光触媒あるいは、この複合光触媒を用いた有機ハロゲン化合物の分解方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の複合光触媒は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、鉄、銅、銀および亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の金属が炭素材料に担持されてなる脱ハロゲン触媒と、前記金属表面に担持された半導体物質からなる二酸化チタン光触媒とを具備することを特徴とする。
【0011】
前記金属と光触媒とはそれぞれ粒子形状をしており、前記金属の平均粒子径は前記光触媒の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
前記光触媒は、二酸化チタンを用いることができる。
【0013】
本発明の有機ハロゲン化合物の分解方法は、炭素、およびパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、鉄、銅、銀ならびに亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の金属からなる脱ハロゲン触媒と、前記金属表面に担持された半導体物質からなる光触媒とを具備する複合触媒を、水中で有機ハロゲン化合物に接触させる工程と、前記複合光触媒に、光照射する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の複合光触媒は、以下のようにして有機ハロゲン化合物に作用する。
【0015】
まず、光触媒に光照射し、電子と正孔とが発生する。電子は脱ハロゲン触媒の一部を構成する金属へ移動するため、電子と正孔との再結合が生じ難くなる。
【0016】
発生した電子は、複合光触媒表面に存在する水と反応し、水素を生成する。この水素が有機ハロゲン化合物のハロゲン原子と結合し、脱ハロゲン化反応を生じさせる。すなわち、有機ハロゲン化合物は、ハロゲンを含有しない有機化合物と、水素化ハロゲンとに分解される。
【0017】
一方、発生した正孔は、光触媒表面に存在する水と反応し、OHラジカルを発生させる。このOHラジカルは、主に分解されたハロゲンを含有しない有機化合物を分解し、最終的にはCO2とH2Oに分解することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
通常、二酸化チタンなどの半導体光触媒による有機物の分解においては水の分解によって発生するOHラジカルと有機物の反応が主であることが知られている。このような反応では、有機物の分解の容易性はOHラジカルとの反応性で違ってくると考えられる。このため有機ハロゲン化合物などのOHラジカルとの反応性の高くない物質は、光触媒のみで分解処理するにはあまり分解効率が高くない。また目的物質以外の物質でOHラジカルと反応しやすいものが存在すれば、より反応しやすい物質から分解していくこととなり有機ハロゲン化合物の分解処理の効率は低下してしまう。
【0019】
このようなことから、本発明者は触媒の光反応サイトの近傍に反応をアシストする反応促進サイトを配置することにより、目的とする物質の反応性を大きくすることを考え、例えば有機ハロゲン化合物からの脱ハロゲン能力を持つ金属担持活性炭などの触媒に光触媒を担持させることにより有機ハロゲン化合物の分解能力の高い触媒とすることができることを見い出した。
【0020】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の複合光触媒を模式的に示した断面図である。
【0022】
炭素材料1からなる担体表面に、所定の金属粒子2が担持された脱ハロゲン触媒と、金属粒子2表面に担持された二酸化チタンなどからなる光触媒粒子3とから複合光触媒が形成されている。また、この複合光触媒は、水に浸漬されており、この水には被分解物である有機ハロゲン化合物4が溶解あるいは分散されている。または水蒸気の存在下でガス状の有機ハロゲン化合物と接触させる。
【0023】
図1に示すように光触媒3表面では光が照射されると電子と正孔が生ずる。光触媒3表面にPd、Ptなどの金属粒子2が接しているため光照射により発生した電子は金属に移動し正孔との再結合が起こりにくくなり、電子と正孔は分離される。電子と正孔は再結合してしまうと反応には関与しないが、電子が金属粒子に移動するため再結合せずに分離され水と反応することにより正孔からはOHラジカルが生じ、また電子からは水素が生ずる。水素は主に光触媒と接した金属上で発生しスピルオーバーにより活性炭上を移動することが可能である。
【0024】
本発明においては、脱ハロゲン化反応を行うために必要な水素を、光触媒3によって生成できるため、水中で有機ハロゲン化合物からハロゲン元素を除去することが可能になる。
【0025】
通常活性炭などの炭素材料1からなる担体上にパラジウム粒子2などの金属を担持した触媒は有機ハロゲン化合物に対して脱ハロゲン能力を持つ。このような脱ハロゲン触媒は脱ハロゲン水素化反応のための水素源を必要とし、通常はアルコールなどの水素源となる溶媒中などで反応を行わなければならないが、本発明においては、上述したような光触媒の作用により、水素を生成し、脱ハロゲン化反応を可能にすることを特徴としている。
【0026】
ここで金属を担持する場所が光触媒上のみであった場合は、光触媒上で発生した電子と正孔の再結合を抑制し光触媒反応の効率を上げることはできるが、脱ハロゲン化反応に関しては光触媒上の金属と担体とが接触している場所でしか起きないため非常に効率が悪い。よって担体上に金属を担持してあることが脱ハロゲン化反応の促進には重要である。
【0027】
そして、有機ハロゲン化合物から脱ハロゲン化した有機化合物は、光触媒3に光照射したことによって生じたOHラジカルによって速やかに分解され、十分な時間反応を行えば最終的にはCOとHOへの完全分解による無害化も可能となる。
【0028】
次に、本発明の複合光触媒の各成分の具体的な構成について説明する。
【0029】
本発明に係る脱ハロゲン触媒は、炭素材料と、所定の金属とからなる。
【0030】
炭素材料は、有機ハロゲン化合物に対する吸着力をもつものを使用することにより吸着による除去効果および濃縮効果を期待することもできる。水中においてダイオキシンなどの有機ハロゲン化合物は非常に濃度が希薄であるため通常は除去効率が悪くなってしまう。ここで有機ハロゲン化合物を炭素材料によって吸着することにより本来の水中もしくはガス中からの有機塩素化合物の除去の目的は達せられる。さらに、分解を行う効率も対象物を収集した上で行われるため高まることになる。このような効果を十分に出すためには、炭素材料として活性炭を使用することが好ましい。
【0031】
脱ハロゲン触媒に使用される所定の金属とは、炭素材料と接触配置することで脱ハロゲン能を発揮する金属であれば特に限定されず、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、鉄、銅、銀または亜鉛などから選ばれる少なくとも1種を用いればよい。特に、パラジウムや白金を用いると、脱ハロゲン能は高くなる。
【0032】
本発明に係る光触媒は、光照射によって分極し、電子と正孔を生じさせるものであれば特に限定されず、例えば二酸化チタン、SrTiO3あるいはCdS、SnO2、ZnS、ZnO、WO3、SiC、Fe23、GaP、CdSeなどの半導体光触媒などが使用できる。また、光触媒表面に、別途導電性粒子を担持させることもできる。光触媒は前記所定の金属のみと接触している場合、分極によって生じた電子は所定の金属にのみ移動するが、光触媒に別途導電性粒子を担持させることで、発生した電子が移動場所が増え、電子と正孔との再結合がより生じ難くなる。その結果、OHラジカルがより発生しやすくなり、有機化合物の分解をより速やかに進ませることができる。
【0033】
これら炭素材料、所定の金属および光触媒は、少なくとも炭素材料と所定の金属とが接触しており、所定の金属と光触媒とが接触して配置されなければならない。炭素材料と所定の金属とが接触していないと脱ハロゲン触媒として機能しなくなる。また、光触媒が所定の金属と接触していないと、前述したように光触媒によって生成された電子と正孔が再結合してしまう恐れがある。
【0034】
また、炭素材料、所定の金属および光触媒の形状は特に制限されるものではないが、特に光触媒と所定の金属は通常粒子状にして使用される。
【0035】
光触媒は、光触媒反応における量子サイズ効果を高めるためにその粒径をできるだけ小さくすることが望ましく、例えば平均粒径5nm〜50nm程度の粒子として使用すればよい。
【0036】
所定の金属は、炭素との接触面積を高める、さらには有機ハロゲン化合物との接触面積を高めるために、やはりその粒径を小さくすることが望ましく、例えば平均粒径5nm〜100nm程度の粒子として使用すればよい。
【0037】
炭素材料については特に粒子径は限定されないが、粉体で用いる場合は通常1μm〜200μm程度のものが用いられる。この複合光触媒は液中に懸濁して用いることも可能であるが分解処理後の触媒の分離を考えると、これを成型して数mm程度の球状もしくはペレット状にしたものやフィルム状、板状にしたものを用いるのもよい。また上記の粉体状の複合光触媒をスポンジ構造やハニカム構造などの他の担体に固定した触媒ユニットとして使用すると便利である。
【0038】
また、所定の金属粒子の平均粒径は光触媒の平均粒径よりも大きくすることが望ましい。すなわち、担体となる炭素材料、光触媒それぞれの粒径よりも所定の金属粒子の粒径が小さいと、炭素材料表面に、金属粒子および光触媒を担持させた際に、光触媒が直接炭素表面に担持され、金属を介して炭素材料に担持されなくなる恐れがある。
【0039】
脱ハロゲン触媒における炭素材料に対する所定の金属の重量比は、0.1%乃至20%、好ましくは5〜10%であることが望ましい。この範囲外になると脱ハロゲン化機能を十分に発揮することができない。
【0040】
脱ハロゲン触媒と光触媒との比率は、重量比で脱ハロゲン触媒:光触媒=50:50〜5:95の範囲内とすることが望ましく、さらには30:70〜10:90の範囲内とすることが望ましい。光触媒の比率が低すぎると脱ハロゲン反応に供される水素量が十分でなくなったり、脱ハロゲン化された有機化合物の分解速度が低下する恐れがあり、光触媒の比率が高すぎると、光触媒によって覆われてしまい脱ハロゲン触媒と有機ハロゲン化合物との接触面積が少なくなり、分解速度が低下する恐れがあるためである。
【0041】
このような複合光触媒は、あらかじめ炭素表面に所定の金属を担持させた脱ハロゲン触媒と、光触媒とを乳鉢などで機械的によく混合することで簡便に作ることができる。
【0042】
他にも、脱ハロゲン触媒に、含浸法などにより光触媒の前駆体を吸着させた後に焼成することで得ることもできるし、含浸させるかわりにスプレーで前駆体を塗布し焼成してもよい。またゾル−ゲル法、CVD法やバインダーを使用して必要に応じ熱処理を行うことで光触媒を所定の金属表面に固定する方法を採用しても良い。
【0043】
光触媒を励起するためのエネルギー源としては、例えば二酸化チタンを光触媒として使用する場合、通常高圧水銀灯やブラックランプなどの紫外線ランプが用いられる。また紫外線ランプの代わりに太陽光を使用することも可能であり、この場合エネルギーコストを小さくすることができる。
【0044】
また、本発明の複合光触媒は、上述したようにOHラジカルおよび水素の供給源としての水の存在下で利用されるが、必要に応じ、過酸化水素水を添加することで、OHラジカルの発生量を増加させ、有機化合物の分解を促進させることもできる。
【0045】
このようにして、本発明の複合光触媒は、光触媒を励起するエネルギーの照射により、p−クロロフェノール、ダイオキシン、PCB(ポリクロロビフェニル)、DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、CNP(クロロニトロフェン)などの有機ハロゲン化合物を効率よく分解することが可能になる。
【0046】
【実施例】
本発明の実施例を以下に示す。
【0047】
実施例1
平均粒径10μmの活性炭表面に、平均粒径20nmのパラジウム粒子を活性炭に対して10wt%担持させた脱ハロゲン触媒と、平均粒径 10nmの二酸化チタンからなる光触媒を準備し、重量比で、脱ハロゲン触媒:光触媒=2:8となる比率で乳鉢により機械的に混合し、複合光触媒を得た。
【0048】
400W高圧水銀灯を内部に有する光反応容器に、濃度50ppmのp−クロロフェノール(有機ハロゲン化合物)水溶液500mLを注入した。
【0049】
この水溶液中に得られた複合光触媒0.3gを懸濁させ攪拌しながら水銀灯による紫外線照射を行い、有機ハロゲン化合物を分解した。
このときの紫外線照射時間に対する有機ハロゲン化合物の分解量をイオンクロマトによる塩化物イオン濃度測定により調べた。その結果を図2に示す(図中黒丸示す)。
【0050】
比較例1
比較のために実施例1で使用した二酸化チタンを単体で0.3g水溶液溶液中に入れたことを除けば実施例1と全く同様にして有機ハロゲン化合物の分解を行った。
【0051】
このときの紫外線照射時間に対する有機ハロゲン化合物の分解量図2に併記する(図中白丸で示す)。
【0052】
この結果、二酸化チタンのみで分解を行った比較例1では2時間で6.3ppmの塩化物イオンが生成した。これに対して二酸化チタンをPd/C触媒に担持させた複合光触媒を用いた実施例1では2時間で12.6ppmの塩化物イオンが生成した。50ppmのp−クロロフェノールがすべて分解した場合に発生する塩化物イオンは14ppmである。よって比較例1の場合にはp−クロロフェノールの2時間での分解率は45%であるのに対し、実施例1では90%分解することができたことになる。
【0053】
実施例2〜8
パラジウム粒子に代えて白金、ロジウム、ルテニウム、鉄、銅、銀、亜鉛粒子を用い、それぞれ複合光触媒を作成し、実施例1と同様にして有機ハロゲン化合物の分解を行い、2時間分解した時の分解率を調べたところ、それぞれ85%、62%、54%、65%、60%、73%、47%であり、光触媒単体で分解した場合に比べ、いずれの実施例においても高分解能を有することが確認できた。
【0054】
実施例9
分解する有機ハロゲン化合物をダイオキシンに代えて、実施例1と全く同様にして得られた複合光触媒によって、有機ハロゲン化合物の分解を行い、またその分解量を調べた。
【0055】
ダイオキシンは2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ダイオキシン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾ−p−ダイオキシン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾ−p−ダイオキシン、1,2,3,6,7,8−ヘキサクロロジベンゾ−p−ダイオキシン、1,2,3,7,8,9−ヘキサクロロジベンゾ−p−ダイオキシン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロロジベンゾ−p−ダイオキシン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジベンゾ−p−ダイオキシンの各成分の濃度が1μg/mLである標準液を150μL反応容器中に入れ、溶媒を蒸発させた後水500mLおよび複合光触媒0.3gを入れて攪拌した。高圧水銀灯による2時間の紫外線照射の後、水中、容器、触媒それぞれに残留したダイオキシンを抽出、濃縮してガスクロマトグラフ質量分析器により測定した。
【0056】
この結果を図3に示す。
【0057】
比較例2
比較例として触媒をいれずに紫外線照射を行った紫外線分解の結果を図3にあわせて示した。
【0058】
この結果、実施例2においてはほとんどのダイオキシン成分で初期量150ngに対して2時間の光触媒反応後には10ng程度まで減少していた。五塩化物の濃度が高いのは測定において妨害成分が検出されたためである。この結果に対して光触媒を使用せずに紫外線分解を行った比較例では2時間の紫外線照射で各成分約70〜80ngのダイオキシンが残留した。なお複合光触媒を使用した場合には水中からはダイオキシンは検出されず(1ng以下)ほとんどすべて触媒および容器に吸着していたことが確認された。
【0059】
実施例10
二酸化チタンからなる光触媒表面に平均粒径1nmの白金粒子を、光触媒に対して5wt%光還元法により担持させたことを除けば、実施例1と全く同様にして有機ハロゲン化合物を分解し、その分解量を調べた。その結果を図4に三角印で示す。なお、比較のために実施例1の結果を丸印で併記する。
【0060】
光触媒に白金を担持した場合、光照射時に二酸化チタン上で発生する電子は白金に移動することにより正孔と分離しやすくなる。光触媒の効率低下の大きな原因が電荷の再結合であり、電荷分離を促進し再結合が起こりにくくすることは、より効率よく電子と正孔が反応に使われるため反応効率が向上することになる。図4に示した結果においても白金担持の効果によりクロロフェノール分解速度が向上することが確認された。
【0061】
実施例11
光触媒として、二酸化チタンに代えてSrTiO3を用いたことを除けば、実施例1と全く同様にして有機ハロゲン化合物の分解を行い、その分解量を調べた。
【0062】
この結果図5に示すように分解効率は光触媒として二酸化チタンを使用した場合に比較して向上した。
【0063】
実施例12
p−クロロフェノール水溶液に、20%過酸化水素水溶液を0.5mL加えたことを除いて、実施例1と全く同様にして有機ハロゲン化合物の分解を行い、その分解量を調べた。その結果を図6に示す。
【0064】
図6に示すように、実施例1に比べてその反応速度は大きく向上した。
【0065】
実施例13
実施例1と同様にして得られた複合光触媒によりPCBの分解試験を行った。
【0066】
複合光触媒0.3gを入れた反応容器中に三塩素化物のPCB(鐘淵化学社製;KC300)のIPA(イソプロピルアルコール)溶液(1mg/mL)を150μL滴下し触媒に吸着させ溶媒を蒸発させた後、水500mLを加えて攪拌した。高圧水銀灯による3時間の紫外線照射の後、水中、容器、触媒それぞれに残留したPCBを抽出、すべてを合わせて濃縮してガスクロマトグラフ質量分析器により測定した。
【0067】
この結果、PCBは0.5μgまで減少した。
【0068】
実施例14
実施例1と同様にして得られた複合光触媒によりDDTの分解試験を行った。
【0069】
複合光触媒0.3gを入れた反応容器中にDDTのIPA溶液(1μg/mL)を150μL滴下し触媒に吸着させ、溶媒を蒸発させた後水500mLを加えて攪拌した。高圧水銀灯による3時間の紫外線照射の後、水中、容器、触媒それぞれに残留したDDTをベンゼンで抽出、すべてを合わせて濃縮してガスクロマトグラフ質量分析器により測定した。
【0070】
この結果、DDTは13ngまで減少した。
【0071】
実施例15
実施例1と同様にして得た複合光触媒によりペンタクロロフェノールの分解試験を行った。400W高圧水銀灯を内部に有する光反応容器に濃度20ppmのペンタクロロフェノール水溶液500mLを入れ、実施例1と同様の複合光触媒を0.3g懸濁させ撹拌しながら水銀灯による紫外線照射を行った。このときのペンタクロロフェノールの分解量をイオンクロマトによる塩化物イオン濃度測定により調べた。この結果図7に示すように、2時間の紫外線照射で10.6ppmの塩化物イオンが生成した。20ppmのペンタクロロフェノールがすべて分解した場合の塩化物イオン濃度は13.3ppmである。よって80%のペンタクロロフェノールを分解することができた。
【0072】
実施例16
実施例1と同様の複合光触媒によりCNP(クロロニトロフェン)の分解試験を行った。400W高圧水銀灯を内部に有する光反応容器に濃度20ppmのCNP水溶液500mLを入れ、実施例1と同様の複合光触媒を0.3g懸濁させ撹拌しながら水銀灯による紫外線照射を行った。このときのCNPの分解量をイオンクロマトによる塩化物イオン濃度測定により調べた。この結果図8に示す。
【0073】
図8に示すように、4時間の紫外線照射で5.1ppmの塩化物イオンが生成した。20ppmのCNPがすべて分解した場合の塩化物イオン濃度は6.7ppmである。よって76%のCNPを分解することができた。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、有機ハロゲン化合物を簡便な処理により、効率よく分解することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の複合光触媒による有機ハロゲン化合物の概念図。
【図2】 実施例1における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【図3】 実施例9における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【図4】 実施例10における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【図5】 実施例11における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【図6】 実施例12における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【図7】 実施例15における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【図8】 実施例16における有機ハロゲン化合物の分解量を示す図。
【符号の説明】
1…… 活性炭
2…… パラジウム
3…… 二酸化チタン
4…… 有機ハロゲン化合物

Claims (3)

  1. パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、鉄、銅、銀および亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の金属が炭素材料に担持されてなる脱ハロゲン触媒と、前記金属表面に担持された二酸化チタン光触媒とを具備することを特徴とする水中での有機ハロゲン化合物の分解用複合光触媒
  2. 前記金属と前記光触媒とはそれぞれ粒子形状をしており、前記金属の平均粒子径は前記光触媒の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の複合光触媒。
  3. パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、鉄、銅、銀および亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の金属と炭素材料とからなる脱ハロゲン触媒と、前記金属表面に担持された半導体物質からなる光触媒とを具備する複合触媒を、水中で有機ハロゲン化合物に接触させる工程と、前記複合触媒に、光照射する工程と、を有することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解方法。
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