JP2003152449A - デジタル制御温度補償水晶発振器およびそれを用いた電子装置 - Google Patents

デジタル制御温度補償水晶発振器およびそれを用いた電子装置

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JP2003152449A JP2001344306A JP2001344306A JP2003152449A JP 2003152449 A JP2003152449 A JP 2003152449A JP 2001344306 A JP2001344306 A JP 2001344306A JP 2001344306 A JP2001344306 A JP 2001344306A JP 2003152449 A JP2003152449 A JP 2003152449A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 VCXOに印加する温度補償電圧をなだらか
に変化させることによって発振周波数の急峻な変化が起
きないデジタル制御温度補償水晶発振器およびそれを用
いた電子装置を提供する。 【解決手段】 D/A変換手段10として、最新のデジ
タル温度補償データとその直前のデジタル温度補償デー
タとの差からの1ビットD/A変換器6の駆動回数を計
算するパルス演算回路5と、その出力に基づいて制御さ
れる1ビットD/A変換器6と、その出力をそれ自身の
現在の出力に対して順次積算して新しい出力とするアナ
ログ積算器7とを備える 【効果】 発振周波数の急峻な変化を防止できるため、
それを用いた通信装置の位相変調誤差の発生を低減する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタル制御温度
補償水晶発振器、特にデジタル位相変調を用いた変調方
式を採用する通信装置に用いられるデジタル制御温度補
償水晶発振器およびそれを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、通信装置においては局部発振器
の周波数安定のための基準発振器としてTCXO(温度
補償水晶発振器)が用いられる。そして、TCXOには
バラクタダイオードを備えていて、それに印加される電
圧によって発振周波数を変更できるVCXO(電圧制御
水晶発振回路)を用いるものがある。温度補償の方法と
しては、サーミスタなどでネットワークを構成して、こ
れの発生する電圧を使うアナログ方式がある。その一方
で、温度に応じた補償データをあらかじめデジタル的に
記憶装置に記憶させておいて、周囲温度に応じて補償デ
ータを読み出してD/A変換器でアナログに変換してV
CXOに備わっているバラクタダイオードなどに印加し
て周波数の安定化を図るデジタル方式もある。
【0003】このような従来のデジタル方式において
は、周囲温度の検出が離散的にならざるを得ないため、
バラクタダイオードに印加される電圧の変化も段階的に
なる。そのため、VCXOの発振周波数変化も段階的に
なり、温度補償時には急峻な発振周波数変化が引き起こ
されることになる。そして、VCXOの急峻な発振周波
数変化は、それを基準周波数としている局部発振器にお
いても急峻な周波数変化を引き起こし、これによって通
信装置の位相変調に誤差が発生することがある。
【0004】これに対する対策としては、VCXOの温
度補償を行うときに急峻な周波数変化をしないようにす
ればよいということで、たとえば特開平7−20256
8号公報(以下、従来例1とする)や特開平6−297
42号公報(以下、従来例2とする)などに対策案が開
示されている。
【0005】従来例1においては、温度補償のための一
定間隔での周囲温度の検出に加えて、その間における温
度変化を短い時間間隔で電気的に記憶しておき、その記
憶した情報を適当な重み付けをして温度補償の信号に加
算することによって、バラクタダイオードに印加される
電圧が段階的でなくなるようにしている。すなわち、温
度補償電圧の不連続部を周囲温度の傾きに比例した電圧
変化で補間するというものである。
【0006】一方、従来例2においては、温度補償のた
めの電圧を遅延回路を介してバラクタダイオードに印加
することによって、電圧の変化をなだらかで連続的なも
のにするという構成が開示されている。なお、遅延回路
に代えて積分回路や平滑回路、LPFなどを利用すると
いう従来例も、列記は割愛するが多数開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的なV
CXOにおいては、周囲温度の傾きと、その際の温度補
償電圧の傾きは必ずしも一致しない。たとえば0℃から
1℃に変化するときの周囲温度の傾きと30℃から31
℃に変化するときの周囲温度の傾きは同じであるが、そ
のときにバラクタダイオードに印加すべき温度補償電圧
の傾きは同じではない。そのため、従来例1において
は、VCXOに印加する温度補償電圧の変化を必ずしも
連続的なものにできない可能性がある。
【0008】一方、従来例2の場合は、周囲温度の変化
が急な場合には、たとえ遅延回路を用いてもVCXOに
印加する温度補償電圧の傾きは急なものになるため、通
信装置の位相変調に誤差が生じる可能性が残る。遅延回
路の時定数を大きくすれば傾きを緩やかなものにするこ
とができるが、逆に温度変化が少ないときには温度補償
に長い時間がかかるという問題がある。また、時定数を
大きくするためには時定数回路のコンデンサの容量を大
きくする必要があるが、これは遅延回路の大型化や高価
格化につながるという問題もある。
【0009】本発明は上記の問題点を解決することを目
的とするもので、VCXOに印加する温度補償電圧をな
だらかに変化させることによって発振周波数の急峻な変
化が起きないデジタル制御温度補償水晶発振器およびそ
れを用いた電子装置を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のデジタル制御温度補償水晶発振器は、測定
温度に対応したデジタル温度補償データを出力する記憶
手段と、該記憶手段から出力されたデジタル温度補償デ
ータをアナログ電圧に変換するD/A変換手段と、該D
/A変換手段から出力されるアナログ電圧に基づいて発
振周波数が変化する電圧制御水晶発振回路とを有するデ
ジタル制御温度補償水晶発振器において、前記D/A変
換手段は、パルス演算回路と、該パルス演算回路の出力
に基づいて制御される1ビットD/A変換器と、該1ビ
ットD/A変換器の出力をそれ自身の現在の出力に対し
て順次積算して新しい出力とするアナログ積算器とを備
えてなり、前記パルス演算回路は、最新のデジタル温度
補償データとその直前のデジタル温度補償データとの差
から前記1ビットD/A変換器の駆動回数を計算するこ
とを特徴とする。
【0011】また、本発明のデジタル制御温度補償水晶
発振器は、前記D/A変換手段が、前記アナログ積算器
の出力から高周波成分を取り除く低域濾波器を備えるこ
とを特徴とする。
【0012】また、本発明のデジタル制御温度補償水晶
発振器は、前記D/A変換手段のデジタル処理部を、論
理素子のみで実現したことを特徴とする。あるいは、前
記D/A変換手段のデジタル処理部を、MPUを利用し
たソフトウェア処理で実現したことを特徴とする。
【0013】また、本発明のデジタル制御温度補償水晶
発振器は、前記電圧制御水晶発振回路の水晶振動子を除
く部分と前記記憶手段と前記D/A変換手段とを1チッ
プ集積回路化したことを特徴とする。
【0014】また、本発明の電子装置は、上記のデジタ
ル制御温度補償水晶発振器を用いたことを特徴とする。
【0015】このように構成することにより、本発明の
デジタル制御温度補償水晶発振器においては、温度補償
時の発振周波数の急激な変化をなくし、これを用いた通
信装置における位相変調誤差の発生を大幅に低減するこ
とができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に、本発明のデジタル制御温
度補償水晶発振器の一実施例のブロック図を示す。図1
において、デジタル制御温度補償水晶発振器1は、周囲
温度を検出してアナログ電圧として出力する温度センサ
2、温度センサ2から出力された電圧をデジタル値に変
換するA/D変換器3、デジタル温度補償データを記憶
しているとともにA/D変換器3から出力される周囲温
度に対応するデジタル値に応じたデジタル温度補償デー
タを出力する記憶装置(ROM)4、直前に記憶装置4
から出力されたデジタル温度補償データを一時記憶する
とともに、それと記憶装置4から出力された最新のデジ
タル温度補償データとの差から後述の1ビットD/A変
換器6の駆動回数を計算して出力データ(ビット列)を
作成するパルス演算回路5と、パルス演算回路5から入
力されるデータ(ビット列)を所定のタイミングに合わ
せて所定の振幅値で1ビットD/A変換する1ビットD
/A変換器6、1ビットD/A変換器6から出力される
アナログ電圧をそれ自身の直前の出力に積算するアナロ
グ積算器7、アナログ積算器7から出力される信号から
高周波成分を取り除く低域濾波器(LPF)8、および
低域濾波器8から出力される電圧で周波数制御される電
圧制御水晶発振回路であるVCXO9から構成されてい
る。このうち、記憶装置4が記憶手段を構成しており、
パルス演算回路5、1ビットD/A変換器6、アナログ
積算器7、および低域濾波器8の4つででD/A変換手
段10を構成している。なお、このデジタル制御温度補
償水晶発振器1においては、D/A変換手段10のデジ
タル処理部は全て論理素子で構成されており、MPU
(Micro Processing Unit)など
は用いられていない。
【0017】ここで、パルス演算回路5について説明す
る。パルス演算回路5は、直前に記憶装置4から出力さ
れたデジタル温度補償データを記憶する記憶部を備えて
いる。そして、記憶装置4から新しいデジタル温度補償
データが出力されると、記憶部に記憶されている直前の
デジタル温度補償データとの差を計算する。そして、そ
れと同時に新しいデジタル温度補償データを、次のデジ
タル温度補償データが入力されるときのために直前のデ
ジタル温度補償データに替えて記憶部に記憶する。な
お、直前のデジタル温度補償データはこの時点で消去さ
れる。このようにして、新しいデジタル温度補償データ
が入力されるたびに、直前のデジタル温度補償データと
の差が計算される。さらに、デジタル温度補償データの
差はVCXO9に印加すべき電圧の差を意味しているの
で、その電圧差を1ビットD/A変換器6の出力電圧の
振幅(ΔT)で割って、1ビットD/A変換器6を駆動
する回数(パルス数)を計算する。そして、その数だけ
1または0の1ビットデータを連続して出力する。出力
されるデータが1になるか0になるかは、周囲温度が上
昇したか下降したかで決まる。
【0018】次に、1ビットD/A変換器6について説
明する。1ビットD/A変換器6は、パルス演算回路5
から入力された1ビットのデータに基づいて、所定の時
間(ΔT)だけ所定の電圧(+ΔVもしくは−ΔV)を
出力する。仮に、入力された1ビットのデータが1であ
れば、1ビットD/A変換器6はΔTの時間だけ+ΔV
を出力する。逆に入力された1ビットのデータが0であ
れば、1ビットD/A変換器6はΔTの時間だけ−ΔV
を出力する。そして、図2に示すように、これをパルス
演算回路5で計算されたパルス数だけ繰り返す。この繰
り返しが終わった後は、ΔT毎に所定の回数だけ+ΔV
と−ΔVを交互に出力する。なお、温度補償を連続させ
るために、次の周囲温度の測定とパルス数の計算は、1
ビットD/A変換器6からの最後の出力が終わるまでに
行っておき、最後の出力が終わると同時に次の1ビット
D/A変換器6を駆動するサイクルが開始される。
【0019】このように、1ビットD/A変換器6から
は1回の周囲温度の測定毎にパルス演算回路5から入力
されるデータに相当するパルス数に応じた時間だけ+Δ
Vもしくは−ΔVの電圧が連続して出力され、その後は
一定回数だけ+ΔVと−ΔVの電圧が交互に出力され
る。そのため、1ビットD/A変換器6の出力電圧を積
算するとパルス演算回路5で計算したVCXO9に印加
すべき電圧に相当するアナログ電圧が得られることにな
る。
【0020】次に、アナログ積算器7について説明す
る。アナログ積算器7はそれ自身の現在の出力電圧を内
部に保持しており、1ビットD/A変換器6からΔT毎
に+ΔVもしくは−ΔVの電圧が出力されると、その電
圧をその都度内部に保持している電圧に加算するように
して積算して新しい出力とする。そのため、アナログ積
算器7の出力電圧は、図2に示すように、D/A変換器
6から+ΔVが連続して出ているときには一定の傾きで
上昇し、D/A変換器6から+ΔVと−ΔVが交互に出
ているときには互いにうち消し合うためにほぼ一定レベ
ルを保ち、D/A変換器6から−ΔVが連続して出てい
るときには一定の傾きで下降する。たとえば上記のよう
に1ビットD/A変換器6から+ΔVの出力が6×ΔT
の時間だけ出力され、その後+ΔVと−ΔVが交互に合
計6×ΔTの時間だけ出力された場合には、アナログ積
算器7の出力は最初の6×ΔTの間は一定の傾きで上昇
し、その後6×ΔTの間はほぼ一定レベルを保つことに
なる。
【0021】なお、図2の例では、最初に1ビットD/
A変換器6から+ΔVの出力が6×ΔTの時間だけ出力
され、その後+ΔVと−ΔVが交互に合計6×ΔTの時
間だけ出力され、次に+ΔVの出力が4×ΔTの時間だ
け出力され、その後+ΔVと−ΔVが交互に合計6×Δ
Tの時間だけ出力され、さらに−ΔVの出力が8×ΔT
の時間だけ出力され、その後+ΔVと−ΔVが交互に合
計6×ΔTの時間だけ出力されていることを示してい
る。
【0022】ここで、図3に、アナログ積算器7の内部
構成例のブロック図を示す。図3において、アナログ積
算器7は、入力側に設けられた第1のスイッチ11、第
1のスイッチと後述の第2の電圧保持器の出力が入力側
に接続される電圧加算器12、電圧加算器12の出力を
保持する第1の電圧保持器13、第1の電圧保持器13
の出力と後述の第2の電圧保持器15の入力との間に設
けられた第2のスイッチ14、および第2のスイッチ1
4と電圧加算器12の入力側との間に設けられた第2の
電圧保持器15から構成されている。アナログ積算器7
の出力には第1の電圧保持器13の出力が用いられる。
なお、第1のスイッチ11や第2のスイッチ14は、た
とえばMOSFETなどの半導体を用いて実現すること
ができる。
【0023】さらに、図4に、電圧加算器12の具体的
例の回路図を示す。図4において、電圧加算器12は抵
抗R1、R2およびR3とオペアンプQ1からなる反転
加算器と、抵抗R4およびR5とオペアンプQ2からな
る反転増幅器とを組み合わせたもので、抵抗R1〜R5
を全て同じ値にすることによって2つの入力端子IN
1、IN2から入力された電圧の加算値が出力端子OU
Tから出力される。なお、反転加算器と反転増幅器の構
成はオペアンプを用いた回路として一般的なものである
ため、動作説明については省略する。
【0024】図3に戻って、このように構成されたアナ
ログ積算器7の動作について説明する。まず、第1の電
圧保持器13と第2の電圧保持器15には同じ電圧値が
保持されているものとする。ここで、1ビットD/A変
換器6からΔTの時間だけ+ΔVまたは−ΔVの電圧が
出力されると、まず第1のスイッチ11をオンする。こ
のとき第2のスイッチ14はオフのままである。1ビッ
トD/A変換器6の出力は第1のスイッチ11を介して
電圧加算器12に入力され、そこで第2の電圧保持器1
5から出力されている電圧に加算され、第1の電圧保持
器13に入力される。第1の電圧保持器13はそれまで
保持していた電圧に代えて新しく入力されている電圧を
保持して出力する。その後で第1のスイッチ11はオフ
にされる。次に第1のスイッチ11と同時にはオンにな
らないように時間をずらせて第2のスイッチ14がオン
され、第一の電圧保持器13の出力が第2の電圧保持器
15に入力される。第2の電圧保持器15はこの入力さ
れた電圧、すなわち現在のアナログ積算器7の出力電圧
を保持する。そして、第2のスイッチ14がオフにされ
る。この一連の動作が1ビットD/A変換器6から電圧
が出力されているΔTの時間内に行われ、積算が行われ
る。そして、1ビットD/A変換器6からの電圧が更新
されるたびに同じ動作が行われ、積算が継続する。
【0025】アナログ積算器7の出力は、巨視的には急
峻で大きな電圧変化は無いものの、微視的には+ΔVあ
るいは−ΔVの急峻な電圧変化は存在するため、高周波
成分を含んでいる。そこで、アナログ積算器7の出力は
高周波成分除去用の低域濾波器8を介してVCXO9に
入力される。
【0026】このように、本発明のデジタル制御温度補
償水晶発振器1においては、温度補償時におけるVCX
O9に印加される電圧の変化が上昇時も下降時も一定の
傾きを有する。そこで、1ビットD/A変換器6の出力
の時間間隔(ΔT)と1ビットあたりの出力電圧の振幅
(ΔV)の関係を、通信装置の位相変調に誤差が発生し
ない程度の傾きになるように設定することによって、V
CXO9の発振周波数が急峻な変化をすることがなくな
り、デジタル制御温度補償水晶発振器1を用いた通信装
置の位相変調誤差の発生を大幅に低減することができ
る。また、D/A変換手段10のデジタル処理部を、論
理素子のみで実現しているため、回路の集積度を下が
り、比較的素早く、しかも小型かつ安価にデジタル制御
温度補償水晶発振器を構成することができる。
【0027】なお、上記の実施例において、1ビットD
/A変換器6は、たとえば+ΔVを何回か連続して出力
した後に+ΔVと−ΔVを交互に6×ΔTの時間だけ出
力しているが、この交互に出力する部分の長さは自由に
設定できる。
【0028】また、この部分はなくても構わないもので
ある。この場合は周囲温度の測定の間隔が短くなるが、
その頻度が高まることになり、発振周波数の安定性が高
まる。
【0029】あるいはさらに、たとえば+ΔVを6回出
力した場合には+ΔVと−ΔVを交互に6×ΔTの時間
だけ出力し、+ΔVを2回出力した場合には+ΔVと−
ΔVを交互に10×ΔTの時間だけ出力するというよう
に、1回の周囲温度の測定における1ビットD/A変換
器6の合計駆動パルス数が同じになるように制御しても
構わないものである。この場合は、周囲温度の測定とそ
れによる温度補償の時間間隔は一定となる。
【0030】また、上記の実施例においては、1ビット
D/A変換器6を、入力される1ビットのデータに基づ
いて+ΔVもしくは−ΔVを出力するという狭い意味で
の1ビットD/A変換器であると定義した。しかしなが
ら、パルス演算回路5におけるパルス数を計算する部分
を取り込んで、複数ビットの入力データに対して内部で
パルス数を計算して所定回数+ΔVまたは−ΔVを出力
するような1ビットD/A変換器を用いても構わないも
ので、実質的な違いはないものである。
【0031】また、上記の実施例においては、アナログ
積算器7とVCXO9の間に高周波成分除去用の低域濾
波器8を備えているが、1ビットD/A変換器6の1ビ
ットあたりの出力電圧の振幅(ΔV)が小さい場合には
高周波の発生が少なくなるため、必ずしも備えていなく
ても構わないものである。
【0032】図5に、本発明のデジタル温度補償水晶発
振器の別の実施例のブロック図を示す。図5において、
図1と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、そ
の説明を省略する。
【0033】図5において、デジタル温度補償水晶発振
器20は、パルス演算回路5に替えてMPU21を備え
ており、A/D変換器3と記憶装置4、および1ビット
D/A変換器6はMPU21に接続されている。MPU
21の中には、パルス演算を行ったり1ビットD/A変
換器6を制御するためのソフトウェアやデータの一次記
憶のための記憶装置が備わっている。デジタル温度補償
水晶発振器20においては、MPU21、1ビットD/
A変換器7、アナログ積算器8、および低域濾波器8の
4つでD/A変換手段22を構成している。
【0034】このように構成されたデジタル温度補償水
晶発振器20においては、MPU21がA/D変換器3
から出力される周囲温度に対応するデジタル値を取り込
み、記憶装置4に記憶されているデジタル温度補償デー
タに基づいて、最新のデジタル温度補償データと直前の
デジタル温度補償データの差を計算し、さらに1ビット
D/A変換器6を駆動するパルス数を計算して駆動用の
データを作成し、それを用いて1ビットD/A変換器6
を駆動する。
【0035】このように、D/A変換手段のデジタル処
理部をMPUを利用したソフトウェア処理で実現する場
合、MPUや記憶装置として携帯電話などの通信装置に
別の用途で組み込まれたMPUと記憶装置を利用するこ
とができるため、部品点数の削減によるデジタル温度補
償水晶発振器の低コスト化を実現することができる。
【0036】なお、上記の各実施例では各回路要素を個
別に構成していたが、VCXO9の水晶振動子を除く部
分と記憶手段とD/A変換手段は、デジタル・アナログ
混在回路ではあるが1チップに集積化することもでき
る。そして、これによって大幅な小型化を実現すること
ができる。
【0037】ところで、本発明においては、上記の各実
施例に示したように、入力された数値情報を1ビット毎
の時系列情報に変換する回路をパルス演算回路と称し、
入力された1ビット毎の時系列情報に対して、その各ビ
ット毎に+ΔVもしくは−ΔVの電圧を出力する装置を
1ビットD/A変換器と称している。この点において、
例えば入力された数値情報をパルス演算回路で複数ビッ
ト毎の時系列情報に変換するものであって、その各複数
ビット毎に、それがたとえ3通り以上の数値を表すもの
であっても敢えて2通りの意味しか持たないものと判断
して+ΔVもしくは−ΔVの2値の電圧を出力するよう
な構成が考えられる。しかしながら、このような場合
も、たとえ複数ビットといえども実質的に1ビットの情
報しか有していないことは明白であり、本発明の範囲を
逸脱するものではない。
【0038】図6に、本発明の電子装置の一実施例の斜
視図を示す。図6において、電子装置の1つである携帯
電話30は、筐体31と、その中に配置されたプリント
基板32と、プリント基板32上に実装された本発明の
デジタル制御温度補償水晶発振器1を備えている。
【0039】このように構成された携帯電話30におい
ては、本発明のデジタル制御温度補償水晶発振器1を用
いているため、温度補償時の位相変調誤差の発生を低減
することができる。
【0040】なお、図4においては電子装置として携帯
電話を示したが、電子装置としては携帯電話に限るもの
ではなく、本発明のデジタル制御温度補償水晶発振器を
用いたものであれば何でも構わないものである。
【0041】
【発明の効果】本発明のデジタル制御温度補償水晶発振
器によれば、D/A変換手段として、最新のデジタル温
度補償データとその直前のデジタル温度補償データとの
差から後述の1ビットD/A変換器の駆動回数を計算す
るパルス演算回路と、その出力に基づいて制御される1
ビットD/A変換器と、その出力をそれ自身の現在の出
力に対して順次積算して新しい出力とするアナログ積算
器とを備えることによって、温度補償時の発振周波数の
急峻な変化が起きないようにできる。
【0042】また、本発明の電子装置によれば、本発明
のデジタル制御温度補償水晶発振器を用いることによっ
て、位相変調誤差の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタル制御温度補償水晶発振器の一
実施例を示すブロック図である。
【図2】図1のデジタル制御温度補償水晶発振器におけ
る1ビットD/A変換器とアナログ積算器の出力を示す
波形図である。
【図3】図1のデジタル制御温度補償水晶発振器におけ
るアナログ積算器の構成を示すブロック図である。
【図4】図3のアナログ積算器における電圧加算器を示
す回路図である。
【図5】本発明のデジタル制御温度補償水晶発振器の別
の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明の電子装置の一実施例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1、20…デジタル制御温度補償水晶発振器 2…温度センサ 3…A/D変換器 4…記憶装置 5…パルス演算回路 6…1ビットD/A変換器 7…アナログ積算器 8…低域濾波器 9…VCXO 10、22…D/A変換手段 21…MPU 30…携帯電話

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定温度に対応したデジタル温度補償デ
    ータを出力する記憶手段と、該記憶手段から出力された
    デジタル温度補償データをアナログ電圧に変換するD/
    A変換手段と、該D/A変換手段から出力されるアナロ
    グ電圧に基づいて発振周波数が変化する電圧制御水晶発
    振回路とを有するデジタル制御温度補償水晶発振器にお
    いて、 前記D/A変換手段は、パルス演算回路と、該パルス演
    算回路の出力に基づいて制御される1ビットD/A変換
    器と、該1ビットD/A変換器の出力をそれ自身の現在
    の出力に対して順次積算して新しい出力とするアナログ
    積算器とを備えてなり、 前記パルス演算回路は、最新のデジタル温度補償データ
    とその直前のデジタル温度補償データとの差から前記1
    ビットD/A変換器の駆動回数を計算することを特徴と
    するデジタル制御温度補償水晶発振器。
  2. 【請求項2】 前記D/A変換手段が、前記アナログ積
    算器の出力から高周波成分を取り除く低域濾波器を備え
    ることを特徴とする、請求項1に記載のデジタル制御温
    度補償水晶発振器。
  3. 【請求項3】 前記D/A変換手段のデジタル処理部
    を、論理素子のみで実現したことを特徴とする、請求項
    1または2に記載のデジタル制御温度補償水晶発振器。
  4. 【請求項4】 前記D/A変換手段のデジタル処理部
    を、MPUを利用したソフトウェア処理で実現したこと
    を特徴とする、、請求項1または2に記載のデジタル制
    御温度補償水晶発振器。
  5. 【請求項5】 前記電圧制御水晶発振回路の水晶振動子
    を除く部分と前記記憶手段と前記D/A変換手段とを1
    チップ集積回路化したことを特徴とする、請求項1ない
    し4のいずれかに記載のデジタル制御温度補償水晶発振
    器。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のデ
    ジタル制御温度補償水晶発振器を用いたことを特徴とす
    る電子装置。
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