JP2003151574A - 燃料電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
燃料電池用セパレータ及びその製造方法Info
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Abstract
用セパレータの表面抵抗を小さくするとともに、 反り
量を改善するための製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 セパレータ4を、黒鉛と樹脂との混合物
1における樹脂の含有量が10〜30重量%で、両面よ
り当接する電極部との接触面5に含まれる樹脂の含有量
を、電極部との非接触面6に含まれる樹脂の含有量より
少なくした構成とし、黒鉛と樹脂との混合物1を金型2
を用いてガス流路10を有する形状に成形した後、この
成形品の両面より電極部との接触面5の表面層11を除
去することにより得る。
Description
合物の成形品及びその製造方法に関するものであり、特
に燃料電池に使用されるセパレータ及びその製造方法に
関するものである。
池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有
する燃料ガスとを、電気化学的に反応させることで、電
力と熱とを同時に発生させるものである。その構造は、
まず、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜の
両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主
成分とする触媒反応層を形成する。次に、この触媒反応
層の外面に、燃料ガスの通気性と、電子導電性を併せ持
つ拡散層を形成し、この拡散層と触媒反応層とを合わせ
て電極とする。
り、二種類の燃料ガスが互いに混合しないように、電極
の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガス
ケットを配置する。このシール材やガスケットは、電極
及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立て、
これを、MEA(電極電解質膜接合体)と呼ぶ。MEA
の外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接し
たMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性
のセパレータ板を配置する。セパレータ板のMEAと接
触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガス
や余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス
流路はセパレータ板と別に設けることもできるが、セパ
レータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的
である。このような固体高分子型の燃料電池では、セパ
レータは導電性が高く、かつ燃料ガスに対してガス気密
性が高く、更に水素/酸素を酸化還元する際の反応に対
して高い耐食性を持つ必要がある。
フェノール樹脂等の樹脂単独、あるいは炭素粉末との混
練物を平板に成形した後、非酸化雰囲気中で炭化、ある
いは黒鉛化処理することにより、炭素質あるいは黒鉛質
の平板を形成し、さらに切削加工等により表面にガス流
路となる溝を形成することにより製造されている。しか
しながら、このセパレータは2000℃以上の熱処理を
必要とし、さらにガス流路を切削加工により形成するた
め、製造コストがかかるという問題点を有している。
度の温度でガス流路を一体成形することにより、安価に
セパレータを製造する方法が提案されている。この方法
は、黒鉛粒子間を樹脂をバインダーとして結合させるこ
とにより、所定のセパレータ形状を得るものである。例
えば、黒鉛粒子とフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂との
混合物を圧縮成形、あるいは射出成形により、セパレー
タを製造する方法がある。
を成形したセパレータは、黒鉛焼結体に樹脂を含浸させ
て得られる不浸透黒鉛に比べて、セパレータに対し両面
より当接する電極との接触抵抗が高いため、電池に組ん
だときの内部抵抗が高くなり、出力が低くなるという問
題点がある。
38号公報に電極部との接触抵抗が低いセパレータ及び
その製造方法が記載されている。このセパレータは、前
述のように黒鉛粒子と樹脂との混合物を成形するととも
に、電極部と接触する面の表面粗さを、Ra=0.1〜
10μmとしたものであり、この表面粗さはセパレータ
を酸性溶液に浸すことにより実現するものである。
開平11−297338号公報に記載のセパレータで
は、電極部との接触抵抗が、黒鉛焼結体に樹脂を含浸さ
せて得られる不浸透黒鉛に比べて依然として高いレベル
にあり、実用上の課題を持っている。
り、黒鉛粒子と樹脂との混合物を成形したセパレータに
おいて、電極部との接触抵抗の低い燃料電池用セパレー
タ及びその製造方法を提供することを目的とする。
に、電極部との接触面の状態が接触抵抗に及ぼす影響に
ついて検討した結果、電極部との接触抵抗は、表面粗さ
よりも電極部との接触面の樹脂の割合に大きく関係して
いることを見いだした。更に、成形品の反り量を低減
し、電極部との接触圧をセパレータ全面で均等にするこ
とにより、接触抵抗を更に下げることが可能であること
を見出し、本発明を完成した。
電池用セパレータは、黒鉛と樹脂との混合物から成り、
樹脂の含有量が、前記混合物の総量に対して10〜30
重量%であり、両面より当接する電極部との接触面に含
まれる樹脂の含有量が、前記電極部との非接触面に含ま
れる樹脂の含有量より少ないことを特徴とする。
用セパレータは、請求項1に記載の構成において、反り
量が100μm以下であることを特徴とする。
用セパレータの製造方法は、黒鉛粒子と樹脂との混合物
を原料とし、これを用いて金型によりガス流路部を一体
成形した後、この成形品の両面より当接する電極部との
接触面の表面層を除去することを特徴とする。
用セパレータの製造方法は、請求項3に記載の製造方法
において、成形品の面全体を1〜30kgf/cm2で
加圧した状態で、成形品の両面より当接する電極部との
接触面を機械加工することを特徴とする。
用セパレータの製造方法は、請求項4に記載の製造方法
において、成形品を加熱した状態で機械加工することを
特徴とする。
て述べる。
樹脂との混合物から成る。前記黒鉛粒子は、黒鉛質、ま
たは炭素質を意味し、高い導電性を有する限り、黒鉛構
造を有する必要は無いが、高い結晶性の黒鉛構造を有す
ることが好ましい。このような黒鉛粒子として、例えば
人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛があげられる。黒鉛粒子
の粒径は特に規定されるものではないが、高導電性を得
るために平均粒径10μm〜200μm、好ましくは3
0μm〜100μmのものを用いることができる。
リイミドなどの熱硬化性樹脂、ポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホ
ン系樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂
が例示できる。これらの樹脂の中で耐薬品性、耐久性、
機械的強度の点から、ポリフェニレンスルフィド系樹脂
あるいは、フェノール樹脂が好ましい。
鉛粒子と樹脂の総量に対して、10〜30重量%であ
る。樹脂の含有量が総量に対して10重量%より少なく
なるとセパレータとしての強度が弱くなる。一方、総量
に対して30重量%より多くなると、導電性が低くな
り、セパレータとしての特性を確保することができなく
なる。
このセパレータの電極部との接触面において、黒鉛と樹
脂の総量に対する樹脂の含有量が、電極部との非接触面
における樹脂の含有量よりも小さいことが必要である。
あり、好ましくは50μm以下である。反り量が100
μmより大きくなると、電極部との接触性が悪くなり、
接触抵抗が高くなるとともに、セパレータを複数枚積層
した状態で機械的に固定したときに破損する可能性があ
る。
述べる。
混合物を原料として、ガス流路を一体成形できる工法で
あれば、特に規定されるものではない。例えば、プレス
成形、トランスファー成形、射出成形、シート成形等が
あげられる。
との接触面の表面層を除去する方法として、例えばサン
ドペーパー、ラッピングテープ、サンドブラスト等を用
いることができる。
極部との接触面全体を1〜50kgf/cm2で加圧し
た状態で、成形品の電極部との接触面を機械加工するこ
とにより、成形品の反り量が低減でき、その結果、電極
部との接触圧をセパレータ全面で均等に受けることとな
り、接触抵抗を更に下げることが可能である。圧力が1
kgf/cm2より小さいと成形品の反り量を改善する
ことができない。また、圧力が50kgf/cm2を超
えると成形品が破損することがある。
極部との接触面全体を1〜50kgf/cm2で加圧し
た状態で、成形品を100℃以上250℃以下に加熱し
ながら成形品の電極部との接触面を機械加工することに
より、成形品の反り量をより低減することが可能とな
る。
末(エスイーシー製、SGPグレード、平均粒径50μ
m)、樹脂として、ポリフェニレンスルフィド系樹脂P
PS粉末(東レ製、トレリナ粉末)を、人造黒鉛粉末8
0重量%、PPS粉末20重量%の割合でミキサーによ
り15分間混合し、セパレータの原料となる混合物を作
製した。
た状態を図1(a)に示す。次に、図1(b)に示す通
り、ホットプレス機3(コータキ製型締め力80to
n、熱盤温度330℃)により、金型2内の混合物1を
圧力700kgf/cm2で330℃まで加熱した後室
温まで冷却し、両面に図1(c)に示すようなガス流路
10を形成したセパレータ4を取り出した。
ータ4の電極部との接触面5を研磨機7(1500番サ
ンドペーパー)で研磨することにより、図1(d)に示
す表面層11を除去したセパレータ4を得ることができ
る。
触面5における樹脂の含有量と、電極部との非接触面6
における樹脂の含有量を比較するため、X線微小分析計
(日本電子製、JXM−8900)により、PPSに含
まれる硫黄の分布をマッピングした。この結果、セパレ
ータ4の電極部との接触面5における硫黄は、電極部と
の非接触面6における硫黄よりも30%少ないことが確
認できた。このことから、セパレータ4における電極部
との接触面5におけるPPSの割合が、電極部との非接
触面6におけるPPSの割合よりも少ないことがわか
る。
単電池特性を測定した。接触抵抗の測定は、セパレータ
4を30mm×30mmに切断し、その両面を同じサイ
ズのカーボンペーパー(東レ製TGPH−120)で挟
んだ状態で圧力をかけ、セパレータとカーボンペーパー
との接触抵抗を測定した。その結果を図3に示す。
子型の燃料電池を組み、単電池特性を測定した。測定条
件は燃料を水素、酸化剤を空気とし、燃料利用率70
%、酸化剤利用率40%、セル温度70℃とした。この
ときの単電池特性を図4に示す。後述の比較例1に示す
セパレータを用いた燃料電池より、接触抵抗が低く、ま
た、単電池特性も向上していることが確認できた。
として、人造黒鉛粉末(エスイーシー製、SGPグレー
ド、平均粒径50μm)、樹脂として、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂PPS粉末(東レ製、トレリナ粉末)
を、人造黒鉛粉末80重量%、PPS粉末20重量%の
割合でミキサーにより15分間混合し、セパレータの原
料となる混合物を作製した。
た状態を図2(a)に示す。次に、図2(b)に示す通
り、ホットプレス機3(コータキ製型締め力80to
n、熱盤温度300℃)により、金型2内の混合物1を
圧力400kgf/cm2で300℃まで加熱した後室
温まで冷却し、両面に図2(c)に示すようなガス流路
10を形成したセパレータ4を取り出した。
ータ4の電極部との接触面5をラッピングテープ8を貼
った円盤9により10kgf/cm2で加圧しながら回
転させ、図2(d)に示すセパレータ4を得る。
触面5における樹脂の含有量と、電極部との非接触面6
における樹脂の含有量を比較するため、X線微小分析計
(日本電子製、JXM−8900)により、PPSに含
まれる硫黄の分布をマッピングした。この結果、セパレ
ータ4の電極部との接触面5における硫黄は、電極部と
の非接触面6における硫黄よりも30%少ないことが確
認できた。このことから、セパレータ4における電極部
との接触面5におけるPPSの割合が、電極部との非接
触面6におけるPPSの割合よりも少ないことがわか
る。
電池特性を測定した。反り量の測定は、レーザフォーカ
ス変位計(キーエンス製、LT−8100)を使用し
た。その結果、セパレータ4の反り量は、最大50μm
であった。
子型の燃料電池を組み、単電池特性と電池内部の抵抗を
測定した。測定条件は燃料を水素、酸化剤を空気とし、
燃料利用率70%、酸化剤利用率40%、セル温度70
℃とした。この単電池性能を図5に、電池内部の抵抗を
図6に示す。後術の比較例2に示すセパレータと比較し
て、反り量が小さいため、電池内部の抵抗が低減し、電
池特性が向上することが確認できた。
の接触面が研磨前の状態であるセパレータについて、実
施例1と同様に電極部との接触面における樹脂量と電極
部との非接触面における樹脂量、接触抵抗、電池性能を
測定した。
る樹脂量は、電極部との非接触面における樹脂量と同等
であった。また、接触抵抗は図3、電池性能は図4に示
す。
の接触面が研磨前の状態であるセパレータについて、電
極部との接触面における樹脂量と電極部との非接触面に
おける樹脂量、反り量、電池性能、及び電池内部の抵抗
を測定した。
る樹脂量は、電極部との非接触面における樹脂量と同等
であり、反り量は、120μmであった。また、電池性
能は図5、電池内部の抵抗は図6に示す。
合物を成形したセパレータにおいて、電極部との接触面
の接触抵抗が小さい燃料電池用セパレータ及びその製造
方法、電極部との接触抵抗が小さく且つセパレータの反
り量を低減した燃料電池用セパレータ及びその製造方法
を提供することができる。
型内に供給した状態を示す図 (b)金型内の混合物を加圧し、セパレータを成形する
状態を示す図 (c)セパレータの電極部との接触面を研磨する状態を
示す図 (d)研磨により表面層を除去されたセパレータを示す
図
型内に供給した状態を示す図 (b)金型内の混合物を加圧し、セパレータを成形する
状態を示す図 (c)セパレータの電極部との接触面を加圧しながら研
磨する状態を示す図 (d)研磨されたセパレータを示す図
抗の測定データを示す図
固体高分子型燃料電池の電池性能測定データを示す図
固体高分子型燃料電池の電池性能測定データを示す図
固体高分子型燃料電池の内部抵抗測定データを示す図
Claims (5)
- 【請求項1】 黒鉛と樹脂との混合物から成り、樹脂の
含有量が、前記混合物の総量に対して10〜30重量%
であり、両面より当接する電極部との接触面に含まれる
樹脂の含有量が、前記電極部との非接触面に含まれる樹
脂の含有量より少ないことを特徴とする燃料電池用セパ
レータ。 - 【請求項2】 反り量が100μm以下であることを特
徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。 - 【請求項3】 黒鉛と樹脂との混合物を原料とし、これ
を用いて金型によりガス流路部を一体成形した後、この
成形品の両面より当接する電極部との接触面の表面層を
除去することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造
方法。 - 【請求項4】 成形品の面全体を1〜30kgf/cm
2で加圧した状態で、成形品の両面より当接する電極部
との接触面を機械加工することを特徴とする請求項3に
記載の燃料電池用セパレータの製造方法。 - 【請求項5】 成形品を加熱した状態で機械加工するこ
とを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータ
の製造方法。
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