JP2003147654A - 複合紡績糸 - Google Patents

複合紡績糸

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JP2003147654A
JP2003147654A JP2001346494A JP2001346494A JP2003147654A JP 2003147654 A JP2003147654 A JP 2003147654A JP 2001346494 A JP2001346494 A JP 2001346494A JP 2001346494 A JP2001346494 A JP 2001346494A JP 2003147654 A JP2003147654 A JP 2003147654A
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yarn
spun yarn
fiber
composite
composite spun
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JP2001346494A
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Yasunori Yuki
康式 結城
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短繊維の持つ風合いを損ねることなく、充分
な膨らみとソフトさ、寸法安定性、形態保持性等の高い
機能性を有する織編物を得るために有用な複合紡績糸を
提供する。 【解決手段】 実質的に無撚の短繊維束の周囲に、少な
くとも一種類の糸条が捲き付いた構造を有する複合紡績
糸であって、該糸条がポリトリメチレンテレフタレート
繊維からなり、該複合紡績糸中における該ポリトリメチ
レンテレフタレート繊維からなる糸条の含有率が5〜7
0wt%であることを特徴とする複合紡績糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実質的に無撚の短
繊維束の周囲に、少なくとも一種類の糸条が捲き付いた
構造を有する複合紡績糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレンテレフタレート繊維
やナイロン繊維等の合成長繊維と、綿、麻、ウール等の
天然繊維との長短複合糸、例えば、精紡工程において短
繊維束と長繊維をサイドバイサイド型に複合する精紡交
撚糸や、短繊維束の中心に長繊維を挿入するコアスパン
ヤーン、あるいは紡績糸と長繊維との交撚糸等は、天然
繊維が持っている優れた風合いと吸放湿性等の機能特性
に加えて、合成繊維フィラメントの持つ強度、寸法安定
性、形態保持性等の機能性を併せ持った糸として、その
織編物は幅広い用途に広く用いられている。ところが昨
今では、特に衣料用途において、よりソフトな風合いで
膨らみ感のある素材が要求されるようになってきてお
り、新たな複合素材が求められている。
【0003】例えば、特開2001−64839号公報
には、芯部が短繊維、鞘部がポリトリメチレンテレフタ
レート長繊維からなる2層構造の長短複合糸が提案され
ている。この複合糸は、長繊維としてヤング率の低いポ
リトリメチレンテレフタレート繊維を用いているため、
その織編物の表面の触感は、ポリエチレンテレフタレー
ト繊維を用いた場合と比べると確かにソフトである。し
かしこの複合糸は、芯部の短繊維は実撚りを有している
ために、膨らみや風合いのソフトさという点では依然と
して不充分であった。また、精紡交撚方式において、長
繊維を短繊維よりもオーバーフィードして巻き付ける方
法により製造されるため、染色後も短繊維は芯部に位置
し、短繊維の持つ風合いを充分に活かすことができな
い。
【0004】一方、より大きな膨らみとソフトな風合い
を実現するための方法の一つに、中空スピンドル精紡機
を用いて、実質的に無撚の短繊維束の周囲にナイロン繊
維やポリエステル繊維等の長繊維や紡績糸等の糸条を捲
き付けたラッピングヤーンが知られている。この糸は、
通常の短繊維100%からなる紡績糸や前記の長短複合
糸と違って短繊維束が無撚であるため、糸の膨らみは大
きくなり風合いもソフトになる方向である。
【0005】しかしながら、巻き付ける糸条としてポリ
エチレンテレフタレート繊維を用いた複合糸は、ポリエ
チレンテレフタレート繊維のヤング率が高すぎるため
に、その織編物の表面の触感は逆に硬くなると同時に、
短繊維の風合いを損ねてしまうという問題があった。
【0006】また、短繊維100%の紡績糸と比べて糸
段階では膨らみが大きくなるが、その糸を用いて織編物
を製造すると、特に先染めの織編物において膨らみが大
きく損なわれてしまい、ラッピングヤーンの長所を充分
に活かしきれないという問題があった。織物や編物を製
造する際、糸には大きな張力がかかって伸ばされた状態
で織られたり編まれたりするため、その後で糸が元に戻
ろうとすることによって初めて織編物は膨らみが大きな
ものとなる。糸が元に戻ろうとするためには、短繊維束
の周囲に捲き付けた糸条の弾性回復性が高いことが必要
となるが、ポリエチレンテレフタレート繊維は弾性回復
性が不充分なため、その複合糸は伸ばされた状態からあ
まり元に戻らず、その織編物は依然として膨らみが不充
分なものであった。
【0007】また、巻き付ける長繊維としてナイロン繊
維を用いた場合は、ポリエチレンテレフタレート繊維よ
りもヤング率が小さいために、風合いは確かにソフトに
はなるが、前記のポリエチレンテレフタレート繊維と同
様に弾性回復性が不充分なため、その織編物の膨らみは
やはり満足できるものではなかった。また、寸法安定性
や形態保持性等の機能性はポリエステルに比べると不充
分であり、耐光性もポリエステル繊維に比べて劣るとい
う欠点もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を解決し、短繊維の持つ風合いを損ねることな
く、充分な膨らみとソフトさ、寸法安定性、形態保持性
等の高い機能性を有する織編物を得るために有用な複合
紡績糸を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて鋭意検討した結果、特定の繊維を用いて特定の構
造を有する複合紡績糸とすることにより、上記課題が解
決される事を見出し、本発明に到達した。
【0010】即ち、本発明は下記の通りである。
【0011】1.実質的に無撚の短繊維束の周囲に、少
なくとも一種類の糸条が捲き付いた構造を有する複合紡
績糸であって、該糸条がポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維からなり、該複合紡績糸中における該ポリトリメ
チレンテレフタレート繊維からなる糸条の含有率が5〜
70wt%であることを特徴とする複合紡績糸。
【0012】2.実質的に無撚の短繊維束が少なくとも
一種類の糸条とサイドバイサイドの位置関係で捲回する
か、あるいは該短繊維束が糸条の周囲を捲回した構造を
有する複合紡績糸であって、該糸条がポリトリメチレン
テレフタレート繊維からなり、該複合紡績糸中における
該ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条の
含有率が5〜70wt%であることを特徴とする複合紡
績糸。
【0013】3.沸水収縮率が5〜16%、熱収縮応力
のピーク値が0.08〜0.5cN/dtexを満足す
る糸条を用いることを特徴とする上記1または2記載の
複合紡績糸。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明は、実質的に無撚の短繊維束の周囲
に、少なくとも一種類の糸条が捲き付いた構造を有する
複合紡績糸である。通常の短繊維100%の紡績糸は、
糸条としての充分な強度を保持するために適正な範囲の
実撚りが必須であり、そのために糸の膨らみをより大き
くしたり、風合いをよりソフトにしたりすることが困難
である。これに対し、本発明の複合紡績糸は、短繊維束
を実質的に無撚とすることにより、短繊維束はふっくら
とした膨らみのある構造になり、短繊維100%の紡績
糸よりも大きな膨らみとソフトな風合いを持つ紡績糸と
なる。
【0016】本発明において、短繊維束が実質的に無撚
とは、糸条との複合を行う工程ならびに後加工工程にお
いて、短繊維束を積極的に加撚することがないことを意
味している。しかしながら、巻き取りパッケージからの
解舒に伴う撚りが入る場合もあるため、短繊維束は10
回/m以下の撚り数であることが好ましい。
【0017】本発明において、実質的に無撚の短繊維束
の周囲に捲き付ける糸条は、その少なくとも一種類がポ
リトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条であ
る。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリエチ
レンテレフタレート繊維と比較してヤング率が非常に小
さいため、該繊維を捲き付けた複合紡績糸を用いた織編
物は、短繊維束が無撚であることと相まって、風合いお
よび織編物表面の触感が極めてソフトであり、かつ短繊
維の持つ風合いを極力損ねない織編物となる。
【0018】本発明においては、短繊維束の周囲に捲き
付ける前記糸条は、その少なくとも一種類がポリトリメ
チレンテレフタレート繊維からなる糸条であればよく、
したがって、さらに他の繊維からなる糸条を併用するこ
とも出来る。他の繊維としては特に限定されるものでは
なく、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル、アクリル等の合成繊
維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の化学繊維、ま
たは綿、麻、ウール、絹等の天然繊維と、公知の複合手
段(例えば、交撚、混繊、伸度差仮撚、フィード差仮
撚、位相差仮撚等)により複合したものでもよい。
【0019】本発明の複合紡績糸において、ポリトリメ
チレンテレフタレート繊維からなる糸条の含有率は5〜
70wt%であり、好ましくは10〜50%、さらに好
ましくは15〜35%である。含有率がこの範囲内であ
ると、複合紡績糸の強度が充分に保て、短繊維の持つ風
合いを損ねることなく、充分な膨らみとソフトさを持っ
た複合紡績糸が得られる。また、ポリトリメチレンテレ
フタレート繊維は弾性回復性に優れているため、本発明
の複合紡績糸からなる製品を長期間使用した時の寸法安
定性や形態保持性に優れた織編物が得られる複合紡績糸
となる。
【0020】なお、含有率が少なすぎると、複合紡績糸
の強度が不足するばかりでなく、織物に織り込まれたり
あるいは編物に編み込まれたりした後の糸の戻りが不充
分で、膨らみ感が不足し、また、寸法安定性や形態保持
性も不充分となる。含有率が多すぎると、複合相手であ
る短繊維の持つ風合いを充分に活かすことができない。
【0021】また、本発明の複合紡績糸において、ポリ
トリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条には、本
発明の目的を損なわない範囲内で、通常30wt%以下
の範囲内でウールに代表される天然繊維等、他の繊維を
混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高
収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差
仮撚等)、2フィード空気噴射加工等の手段で混用して
もよい。
【0022】本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維の好ましい特性としては、強度は2〜5c
N/dtexが好ましく、より好ましくは2.5〜4.
5cN/dtex、さらに好ましくは3〜4.5cN/
dtexである。伸度は30〜60%が好ましく、より
好ましくは35〜55%、さらに好ましくは40〜55
%である。ヤング率は30cN/dtex以下が好まし
く、より好ましくは10〜30cN/dtex、さらに
好ましくは12〜28cN/dtex、最も好ましくは
15〜25cN/dtexである。10%伸長時の弾性
回復率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%
以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは9
5%以上である。
【0023】本発明の複合紡績糸は、実質的に無撚の短
繊維束が相対的に芯部に位置し、少なくとも一種類の糸
条が捲き付いた構造を有する複合紡績糸であり、また別
の態様としては、実質的に無撚の短繊維束が少なくとも
一種類の糸条とサイドバイサイドの位置関係で捲回する
か、あるいは該短繊維束が糸条の周囲を捲回した構造を
有する複合紡績糸であって、該糸条がポリトリメチレン
テレフタレート繊維からなる。
【0024】即ち、好ましい態様として、精紡機等によ
り複合紡績糸を製造した段階では実質的に無撚の短繊維
束の周囲にポリトリメチレンテレフタレート繊維からな
る糸条が捲き付いた糸構造をしており、染色等の熱処理
を施した後では、実質的に無撚の短繊維束がポリトリメ
チレンテレフタレート繊維からなる糸条とサイドバイサ
イドの位置関係で捲回した構造であることがより好まし
く、鞘部と芯部がその位置関係を逆転して該短繊維束が
ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条の周
囲を捲回した構造であることがさらに好ましい。このよ
うな糸構造となることにより、無撚の短繊維束が複合紡
績糸の側面により張り出した形となり、その織編物の表
面の触感は短繊維そのものの触感がより強くなり、短繊
維の風合いを最大限活かした紡績糸となる。また、複合
紡績糸及び織編物の膨らみもより大きくなって風合いも
よりソフトになる。
【0025】上記のような糸構造の複合紡績糸とするた
めには、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる
糸条の沸水収縮率が、短繊維の沸水収縮率以上の大きさ
であることが好ましい。即ち、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維からなる糸条の沸水収縮率は、短繊維の沸
水収縮率よりも3〜15%ほど大きいことが好ましく、
5〜12%ほど大きいことがさらに好ましい。沸水収縮
率がこのような関係にあると、染色等の熱処理を行うこ
とによって、実質的に無撚の短繊維束がポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維からなる糸条とサイドバイサイド
の位置関係で捲回するか、あるいは該短繊維束が糸条の
周囲を捲回した構造となる。
【0026】染色時に鞘部と芯部が逆転するためには、
短繊維に捲き付ける糸条が、熱処理によって収縮する適
度な力と、収縮する適度な量を有していることが好まし
い。そのため、本発明で用いるポリトリメチレンテレフ
タレート繊維からなる糸条は、沸水収縮率が5〜16%
であることが好ましく、より好ましくは7〜15%、さ
らに好ましくは9〜13%である。また、熱収縮応力ピ
ーク値が0.08〜0.5cN/dtexであることが
好ましく、より好ましくは0.1〜0.4cN/dte
x、さらに好ましくは0.2〜0.35cN/dtex
である。
【0027】沸水収縮率及び熱収縮応力が前記の範囲内
であれば、染色時に鞘部と芯部が逆転しやすくなり、短
繊維の風合いを最大限に活かした、より大きな膨らみと
よりソフトな風合いを持つ複合紡績糸が得られる。沸水
収縮率あるいは熱収縮応力が小さすぎる場合は、染色時
に鞘部と芯部の逆転が起こりにくい傾向がある。沸水収
縮率あるいは熱収縮応力が大きすぎる場合は、短繊維束
が複合紡績糸側面へ飛び出す長さが大きくなりすぎるた
め、取り扱い性が難しくなる傾向がある。また、後染め
の織編物においては、収縮が大きすぎて風合いが硬くな
る傾向がある。
【0028】染色時に鞘部と芯部が逆転するためには、
綛染色等の紡績糸が比較的フリーな状態で染色するのが
好ましいが、捲き付ける糸条と短繊維との沸水収縮率の
差や捲き付ける糸条の熱収縮応力が適度な大きさであれ
ば、チーズ染色等の糸染めや織編物を作成した後での後
染めでも同様の効果が得られる。
【0029】本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を
主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、ト
リメチレンテレフタレート単位を、好ましくは約50モ
ル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ま
しくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上
のものをいう。従って、第三成分として、他の酸成分及
び/又はグリコール成分の合計量が、好ましくは約50
モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好
ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以
下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレート
を包含する。
【0030】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより合成される。こ
の合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。又、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエス
テルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレートと
をブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド
等)したりしてもよい。
【0031】複合紡糸に関しては、特公昭43−191
08号公報、特開平11−189923号公報、特開2
000−239927号公報、特開2000−2569
18号公報等に例示されるような、第一成分がポリトリ
メチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルあるいは
ナイロンを、並列的あるいは偏芯的に配置してサイドバ
イサイド型又は偏芯シースコア型に複合紡糸したものが
あり、なかでも、ポリトリメチレンテレフタレートと共
重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、
極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレ
ートの組み合わせが好ましく、特に、特開2000−2
39927号公報に例示されるような、極限粘度の異な
る二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低
粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲し
ているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度
のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ま
しい。
【0032】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキ
シ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上
のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又
はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内
で使用出来る。
【0033】さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸
等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外
線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等が含有されていてもよい。
【0034】本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維の紡糸については、例えば、特願2000
−522304号等があり、1500m/分程度の巻き
取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚
する方法、紡糸−延伸工程を直結した直延法(スピンド
ロー法)、巻き取り速度5000m/分以上の高速紡糸
法(スピンテイクアップ法)の何れを採用しても良い。
【0035】又、繊維の形態は、長繊維でも短繊維でも
よく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよ
く、断面においても、丸型、三角、L型、T型、Y型、
W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多
葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0036】さらに糸条の形態としては、リング紡績
糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、単糸繊度が0.
1〜5dtex程度のマルチフィラメント原糸(極細糸
を含む)、単糸繊度が5〜50dtex程度のモノフィ
ラメント、甘撚糸〜強撚糸、混繊糸、仮撚糸(POYの
延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸等のいずれでも良
いが、風合いのソフトさ、編織物の表面品位の高さ等か
らマルチフィラメントが好ましい。
【0037】本発明に用いる短繊維は、希望する布帛形
態や用途に応じて従来公知の繊維、繊維形態のものを適
宜選定すれば良く、特に限定されるものではない。例え
ば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコ
ース、ポリノジック、精製セルロース、アセテート、ポ
リエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレー
ト、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル
系繊維、ナイロン、アクリル等の各種合成繊維が挙げら
れ、さらにはこれらの共重合タイプや、同種又は異種ポ
リマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯
型等)等が挙げられる。さらには、繊維の太さ、繊維長
分布、繊維本数、繊維断面形状についても特に制限は無
い。
【0038】本発明の複合紡績糸は、ヤング率が、該複
合紡績糸を構成する短繊維100wt%からなる紡績糸
のヤング率よりも小さいことが好ましく、10%以上小
さいことがより好ましく、20%以上小さいことがさら
に好ましい。それと共に、短繊維束が無撚であることに
より、極めてソフトな風合いの織編物が得られる。ここ
で、短繊維100wt%からなる紡績糸とは、汎用的な
リング精紡法やオープンエンド精紡法等によって製造さ
れる標準的な撚数の実撚りを有する紡績糸である。標準
的な撚数は、紡績方式(すなわち短繊維の繊維長)によ
っておおよそ決まるものであり、例えば、次式で表され
る撚係数が、約105(綿紡方式)、約95(2インチ
紡績)、あるいは、約85(梳毛紡績)である。
【0039】撚係数=撚数(T/m)/(紡績糸の総繊
度(メートル番手))0.5 さらに、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は弾性回
復性が極めて優れているため、特に先染めの織編物にお
いて、該複合紡績糸を編み込んだり織り込んだりした時
に伸ばされた糸が、その後で元の長さに戻ろうとする回
復性が大きく、そのために織編物は膨らみ感の大きなも
のとなる。また、繰り返して応力がかかるような用途や
製品を長期間使用した後でも、糸の伸長回復性が優れて
いるために織編物の膨らみ感が大きく減少することがな
い。
【0040】本発明の複合紡績糸の総繊度は特に限定さ
れるものではないが、衣料用においては50〜1000
dtexが好ましい。また、捲き付ける糸条の単位長さ
あたりの捲き付け数(ラッピング数)は、短繊維の平均
繊維長によっても適正な範囲が異なるが、複合紡績糸の
総繊度(メートル番手)を用いた次式で表されるラッピ
ング係数αが40〜150が好ましく、50〜130が
より好ましく、60〜110がさらに好ましい。
【0041】ラッピング係数α=(ラッピング数(T/
m))/(複合紡績糸の総繊度(メートル番手))
0.5 また、本発明の複合紡績糸は、連続した糸条が短繊維束
の周囲に捲き付いているため、ラッピング係数は短繊維
100%からなる紡績糸の撚係数より多少小さくても、
糸の強度は充分に保つことができる。よりソフトな風合
いの複合糸とするためには、複合紡績糸のラッピング係
数は短繊維100%からなる紡績糸の標準的な撚係数よ
り10%以上小さいことが好ましく、20%以上小さい
ことがより好ましい。
【0042】本発明の複合紡績糸の製造方法は特に限定
されるものではないが、例えば、以下の方法で製造する
ことができる。
【0043】一般には、中空スピンドル精紡機と呼ばれ
る精紡機を用い、短繊維を通常の紡績前紡工程に通して
製造した粗糸をローラードラフト装置で所望の太さにな
るようにドラフトし、中空スピンドルの中空孔内に導入
する。一方、ポリトリメチレンテレフタレート繊維から
なる糸条はボビンに巻き取り、該ボビンを中空スピンド
ルと一体に回転するように中空スピンドルに装着し、中
空スピンドル内の中空孔上部から該糸条を導入して中空
スピンドルの中空孔内を走行する短繊維束に捲き付け、
紙管に巻き取って複合紡績糸とする。
【0044】中空スピンドル精紡機は、互いに反対方向
に回転する中空スピンドルが上下2段に設置された精紡
機を用いても良い。この場合は、少なくともどちらか一
方にポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条
を捲いたボビンを装着し、他方にはポリトリメチレンテ
レフタレート繊維からなる糸条あるいは他の糸条を巻い
たボビンを装着して、実質的に無撚の短繊維束の周囲に
糸条を巻き付けた後、さらにその上から押さえ糸となる
糸条を巻き付けても良い。
【0045】また、短繊維からなる粗糸をドラフトして
中空スピンドルの中空孔内に導入する際、ドラフト装置
のフロントローラーあるいは他の供給ローラーから他の
糸条を同時に導入し、その周囲にポリトリメチレンテレ
フタレート繊維からなる糸条を巻き付けても良い。
【0046】さらに、短繊維束とその周囲に巻きつける
糸条とを、インターレース装置等を用いて交絡させても
良い。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0048】なお、測定方法、評価方法等は以下の通り
である。
【0049】(1)強伸度、ヤング率 長繊維についてはJIS−L−1013(化学繊維フィ
ラメント糸試験方法)の引張強さ、伸び率及び初期引張
抵抗度の試験方法に従って測定を行った。
【0050】また、紡績糸についてはJIS−L−10
95(一般紡績糸試験方法)の引張強さ、伸び率及び初
期引張抵抗度の試験方法に従って測定を行った。
【0051】測定は各試料につき10回ずつ行い、その
平均値を算出した。
【0052】(2)10%伸長時の弾性回復率 繊維をチャック間距離10cmで引っ張り試験機に取り
付け、伸長率10%まで引っ張り速度20cm/分で伸
長して1分間放置した。その後、再び同じ速度で収縮さ
せ、応力−歪み曲線を描く。収縮中、応力がゼロになっ
た時の伸度を残留伸度(A)とする。10%伸長時の弾
性回復率(%)は以下の式に従って求めた。
【0053】10%伸長時の弾性回復率={(10−
A)/10}×100 (3)固有粘度[η] 固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて
求められる値である。
【0054】
【数1】
【0055】式中、ηrは純度98%以上のo−クロロ
フェノール溶媒で溶解したポリマーの稀釈溶液の35℃
での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除し
た値であり、相対粘度と定義されているものである。C
はg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0056】(4)沸水収縮率 長繊維についてはJIS−L−1013(化学繊維フィ
ラメント糸試験方法)の熱水収縮率(フィラメント収縮
率(B法))の試験方法に従って測定を行った。
【0057】短繊維についてはJIS−L−1015
(化学繊維ステープル試験方法)の熱水収縮率の試験方
法に従って測定を行った。
【0058】測定は各試料につき10回ずつ行い、その
平均値を算出した。
【0059】(5)熱収縮応力のピーク値 熱収縮応力測定装置(KE−2:カネボウエンジニアリ
ング社製)を用い、試料を20cmの長さに切り取り、
両端を結んで輪を作って測定装置に装填し、初荷重0.
044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で
収縮応力を測定し、記録計にて記録する。得られた温度
−収縮応力曲線から収縮応力が最大値を示す点における
応力を読み取り、熱収縮応力のピーク値とする。
【0060】測定は各試料につき5回ずつ行い、その平
均値を算出した。
【0061】(6)織編物の風合い、膨らみ 5人のパネラーの官能評価により、織編物のソフト性、
表面の触感(短繊維の風合いの発現性)、膨らみ感につ
いて10段階で判定した。最高点が10級、最低点が1
級とし、5人の平均値を算出した。
【0062】(7)形態保持性 前記(6)の風合い評価を行った織編物の経方向に、織
編物の幅1cmあたり500gの荷重を1分間かけた
後、荷重を取り除いて3分間放置するのを1サイクルと
して、10サイクル繰り返した後の織編物について前記
(6)と同様の官能評価を行った。
【0063】〔実施例1〕固有粘度[η]0.92のポ
リトリメチレンテレフタレートを、紡糸温度265℃、
紡糸速度1200m/分で紡糸することにより未延伸糸
を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレー
ト温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分
で延撚して、56dtex/24fの延伸糸を得た。延
伸糸の強伸度、ヤング率並びに10%伸長時の弾性回復
率は、各々3.3cN/dtex、46%、20cN/
dtex並びに98%であった。また、沸水収縮率は1
3%、熱収縮応力のピーク値は0.26cN/dtex
であった。
【0064】得られた延伸糸を、つば付きのボビンに巻
き取り、中空スピンドル精紡機(トライスピナー:小関
登商店(株)製)の中空スピンドルに装着した。
【0065】一方、短繊維として、綿繊維(平均繊度
2.1dtex、平均繊維長30mm)を用い、コーマ
通しの工程で0.4g/mの太さの粗糸を製造した。
【0066】得られた粗糸をトライスピナーに仕掛け、
ローラードラフト装置でドラフトした後、中空スピンド
ルの中空孔に導入し、さらに、上記で得たポリトリメチ
レンテレフタレート延伸糸を、回転するボビンから供給
して中空孔に導入し、上記粗糸(綿)の周囲に巻き付か
せ、ワインダーで糸管に巻き取り、複合紡績糸を得た。
【0067】粗糸のドラフト比は、複合紡績糸の紡出番
手が英式綿番手で30/1’s(メートル番手で約1/
52Nm、テックス表示で約195dtex)になるよ
うに設定した。また、ラッピング数はメートル番手換算
の撚係数αが95(ラッピング数685T/m)に設定
し、スピンドルの回転数は7000rpmで生産を行っ
た。
【0068】得られた複合紡績糸を用いて、30インチ
(76.2cm)、18ゲージの丸編機に仕掛けて天竺
組織の丸編地を作成し、液流染色機で染色を行った後、
乾燥、仕上げ加工を行った。
【0069】得られた複合紡績糸の物性、及び丸編地の
評価結果を表1に示す。
【0070】〔実施例2〜4〕実施例1において、ポリ
トリメチレンテレフタレートの紡糸条件を変えて、ポリ
トリメチレンテレフタレート繊維糸条の繊度及びフィラ
メント数を変えたこと以外は、実施例1と同様にして綿
との複合紡績糸を得た。得られた複合紡績糸を用い、実
施例1と同様にして、天竺組織の丸編地を作成し、液流
染色機で染色を行った後、乾燥、仕上げ加工を行った。
【0071】得られた複合紡績糸の物性、及び丸編地の
評価結果を表1に示す。
【0072】〔実施例5〕綿の代わりにウール(平均繊
度4.1dtex、平均繊維長102mm)を用いたこ
と以外は実施例1と同様にして、メートル番手1/32
Nm(315dtex)、ラッピング数415T/m
(メートル番手換算の撚係数αが73)の複合紡績糸を
製造した。
【0073】得られた複合紡績糸を用い、綛染色を行っ
て綛染め糸を得た。得られた綛染め糸を用い、10ゲー
ジの横編機に2本取りで仕掛けて天竺組織の横編地を作
成した。
【0074】得られた複合紡績糸の物性、及び横編地の
評価結果を表1に示す。
【0075】〔実施例6〕綿の代わりに麻(ラミー、平
均繊度18.0dtex、平均繊維長95mm)を用い
たこと以外は実施例1と同様にして、メートル番手1/
36Nm(280dtex)、ラッピング数365T/
m(メートル番手換算の撚係数αが61)の複合紡績糸
を製造した。
【0076】得られた複合紡績糸を用い、チーズ染色を
行って先染め糸を得た。得られた先染め糸を用い、12
ゲージの横編機に2本取りで仕掛けて天竺組織の横編地
を作成した。
【0077】得られた複合紡績糸の物性、及び横編地の
評価結果を表1に示す。
【0078】〔比較例1〕実施例1において、ポリトリ
メチレンテレフタレート繊維糸条の繊度及びフィラメン
ト数を変えたこと以外は、実施例1と同様にして綿との
複合紡績糸を得た。得られた複合紡績糸を用い、実施例
1と同様にして、天竺組織の丸編地を作成し、液流染色
機で染色を行った後、乾燥、仕上げ加工を行った。
【0079】得られた複合紡績糸の物性、及び丸編地の
評価結果を表2に示す。
【0080】〔比較例2〕実施例2において、複合紡績
糸の紡出番手を英式綿番手で10/1’s(メートル番
手で約1/17Nm、テックス表示で約590dte
x)としたこと以外は、実施例2と同様にして綿との複
合紡績糸を得た。得られた複合紡績糸を用いて、30イ
ンチ(76.2cm)、10ゲージの丸編機で天竺組織
の丸編地を作成し、液流染色機で染色を行った後、乾
燥、仕上げ加工を行った。
【0081】得られた複合紡績糸の物性、及び丸編地の
評価結果を表2に示す。
【0082】〔比較例3及び4〕実施例1において、ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維糸条に代えて、それ
ぞれポリエチレンテレフタレート繊維糸条及びナイロン
繊維糸条を用いたこと以外は、実施例1と同様にして綿
との複合紡績糸を得た。得られた複合紡績糸を用い、実
施例1と同様にして、天竺組織の丸編地を作成し、液流
染色機で染色を行った後、乾燥、仕上げ加工を行った。
【0083】得られた複合紡績糸の物性、及び丸編地の
評価結果を表2に示す。
【0084】〔比較例5及び6〕実施例5において、ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維糸条に代えて、それ
ぞれポリエチレンテレフタレート繊維糸条及びナイロン
繊維糸条を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてウ
ールとの複合紡績糸を得た。得られた複合紡績糸を用
い、実施例5と同様にして、綛染めを行った後、天竺組
織の横編地を作成した。
【0085】得られた複合紡績糸の物性、及び横編地の
評価結果を表2に示す。
【0086】〔比較例7〕実施例1で用いた綿の粗糸を
リング精紡機に仕掛け、ローラードラフト装置のフロン
トローラーから、実施例1で用いたポリトリメチレンテ
レフタレート繊維糸条を供給して、綿及びポリトリメチ
レンテレフタレート繊維糸条に同時に実撚りを掛けなが
らボビンに巻き取り、精紡交撚糸を得た。
【0087】精紡交撚糸の紡出番手は英式綿番手で30
/1’s(メートル番手で約1/52Nm、テックス表
示で198dtex、撚数は675T/m(撚係数9
4)とした。
【0088】得られた精紡交撚糸を用いて、実施例1と
同様にして天竺組織の丸編地を作成し、液流染色機で染
色を行った後、乾燥、仕上げ加工を行った。
【0089】得られた複合紡績糸の物性、及び丸編地の
評価結果を表2に示す。
【0090】〔比較例8〜10〕リング紡績機を用い
て、それぞれ綿、ウール、麻(ラミー)100%からな
る紡績糸を、表3に示す総繊度、撚係数で製造した。得
られた紡績糸を用いて、それぞれ実施例1、5、6と同
様にして丸編地あるいは横編地を得た。
【0091】得られた複合紡績糸の物性、及び編地の評
価結果を表3に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】なお、表1〜3において、PTTはポリト
リメチレンテレフタレート繊維、PETはポリエチレン
テレフタレート繊維、NY6はナイロン6繊維を表す。
【0096】以上の結果より、以下のようなことが判明
した。
【0097】実施例の複合紡績糸はいずれも短繊維10
0%からなる紡績糸よりもヤング率が小さく、該複合紡
績糸を用いた編地は、いずれも充分な膨らみ感とソフト
な風合いを有し、表面の触感もソフトで、短繊維が本来
持っている風合いや表面触感が充分に発現した編地であ
った。また、繰り返し伸長した後の編地についても、膨
らみ感や風合いがほとんど損なわれることなく、形態保
持性に優れた編地であった。
【0098】なお、実施例1〜4において、複合紡績糸
中のポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条の含有率
が小さいほど膨らみ感やソフト感はやや大きくなる傾向
にあり、逆に含有率が大きいほど繰り返し伸長後の膨ら
み感や風合いの変化は小さくなる傾向であった。
【0099】また、実施例5及び6の先染め糸は、ポリ
トリメチレンテレフタレート繊維糸条が収縮して相対的
に芯部に位置し、その周囲にウールあるいは麻の短繊維
束が無撚で捲き付いた構造の糸であり、その表面触感は
短繊維の風合いがよく発現したものであった。
【0100】比較例1は、ポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維糸条の混率が大きすぎるため、その編地はソフ
トさや膨らみ感がやや劣り、短繊維の風合いがやや損な
われた編地であった。
【0101】比較例2は、ポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維糸条の混率が小さすぎるため、複合紡績糸の強
伸度がやや低く、丸編地の編み立て時に糸切れがやや多
かった。また、その編地は初期のソフトさや膨らみ感が
やや小さく、繰り返し伸長後にはさらにソフトさや膨ら
み感が大きく減少した。
【0102】比較例3は、ポリエチレンテレフタレート
のヤング率が高いため、その複合紡績糸は実施例1の複
合紡績糸よりもヤング率が高く、その編地はソフト性に
欠け、編地表面の触感も粗硬感が強く、短繊維の風合い
を損ねるものであった。また、繰り返し伸長後には編地
の膨らみ感も大きく減少し、ペーパーライクになった。
【0103】比較例4は、編地の初期のソフト性や膨ら
み感はまずまずであったが、繰り返し伸長後には特に膨
らみ感が大きく減少した。
【0104】比較例5及び6は、複合糸を先染めした後
に編地を作成したため、編地のソフト性や膨らみ感は初
期、繰り返し伸長後とも、実施例5や比較例3、4と比
べて劣るものであった。
【0105】また、比較例5は、ポリエチレンテレフタ
レートのヤング率が高いため、その複合紡績糸は実施例
1の複合紡績糸や、比較例9のウール100%からなる
紡績糸よりもヤング率が高く、その編地はソフト性に欠
け、編地表面の触感も粗硬感が強く、短繊維の風合いを
損ねるものであった。
【0106】比較例7は、短繊維束が有撚であるため、
実施例1と比較するとソフト性や膨らみ感に劣るもので
あった。
【0107】
【発明の効果】本発明の複合紡績糸は、ソフト性と膨ら
み感、及び伸長回復性に優れた紡績糸であり、該紡績糸
を用いた織編物は、膨らみ感が大きく、ソフト性と表面
の触感が優れ、短繊維の持つ風合いを充分に発現したも
のである。また、繰り返して応力がかかるような用途や
長期間使用後でも、ソフト性や膨らみ感が大きく減少す
ることなく、形態保持性や寸法安定性に優れたものであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に無撚の短繊維束の周囲に、少な
    くとも一種類の糸条が捲き付いた構造を有する複合紡績
    糸であって、該糸条がポリトリメチレンテレフタレート
    繊維からなり、該複合紡績糸中における該ポリトリメチ
    レンテレフタレート繊維からなる糸条の含有率が5〜7
    0wt%であることを特徴とする複合紡績糸。
  2. 【請求項2】 実質的に無撚の短繊維束が少なくとも一
    種類の糸条とサイドバイサイドの位置関係で捲回する
    か、あるいは該短繊維束が糸条の周囲を捲回した構造を
    有する複合紡績糸であって、該糸条がポリトリメチレン
    テレフタレート繊維からなり、該複合紡績糸中における
    該ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条の
    含有率が5〜70wt%であることを特徴とする複合紡
    績糸。
  3. 【請求項3】 沸水収縮率が5〜16%、熱収縮応力の
    ピーク値が0.08〜0.5cN/dtexを満足する
    糸条を用いることを特徴とする請求項1または2記載の
    複合紡績糸。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101283948B1 (ko) 2011-05-20 2013-07-09 경희대학교 산학협력단 링 코어사 제조가 가능한 링 정방기 및 링 코어사의 제조방법

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