JP2003147436A - 非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法 - Google Patents
非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法Info
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Abstract
る。 【解決手段】 C、Si、Mn、Al、N、V、Nb、
Mg、Zr、Cr、Ni、Mo、Cu、Ti、B、S、
Pb、Ca、Biの含有率を規定した鋼を棒鋼圧延後、
直ちにないしは再加熱して900〜1350℃から室温
から300℃まで15〜60℃/secで冷却して、マ
ルテンサイトを主体とする組織にした鍛造用鋼を用いて
熱間鍛造する際に、Ac3 点以上900℃以下の温度に
加熱し、対数歪みで0.3以上の加工を与える熱間鍛造
を未再結晶上限温度以下700℃以上で少なくとも1回
以上行い、Ar3 点以下300℃以上の温度域を下記
(1)式で示した冷速(CR)で冷却して、平均粒径1
0μm以下の微細マルテンサイト組織を得る。 (6ε+12)℃/sec≦CR≦60℃/sec …(1) (ε:未再結晶温度域で与えた対数歪み)
Description
し、さらに詳しくは、自動車、建設機械および各種産業
機械等の部品として使用される材料として、熱間鍛造後
に調質処理を行わずに優れた強度と靭性を有する鍛造品
の製造方法に関するものである。
に、中炭素鋼または低合金鋼素材を熱間鍛造した後、再
加熱し、焼入れ・焼戻し、すなわち調質処理を施し、目
的、用途に応じた強度および靭性を付与して、使用に供
されていた。しかし、上記調質処理には多大の熱エネル
ギー費用を要すると共に、処理工程の増加、仕掛品の増
大等のために製造費用が高くならざるを得ない。そこで
近年、機械構造用熱間鍛造品の製造において、製造工程
を簡略化、特に、熱間鍛造後の調質処理を省略するため
に、種々の非調質型熱間鍛造用鋼や、非調質熱間鍛造品
の製造方法が提案されている。このような従来の非調質
型熱間鍛造用鋼の多くは、中炭素鋼に微量のV、Nb、
Ti、Zr等のいわゆる析出硬化型合金元素を添加した
析出硬化型非調質鋼であって、熱間鍛造後の冷却工程に
おいてこれらを析出させ、その析出硬化によって高強度
を得ようとするものである。
は、中炭素鋼に微量のVを添加し、これを1100℃以
上の温度に加熱して型打鍛造し、この後、500℃まで
10〜100℃/分の冷却速度で空冷することにより、
フェライト中に微細なV炭窒化物を析出させたフェライ
ト・パーライト組織からなる非調質鍛造品の製造方法が
記載されている。しかし、このような析出硬化型非調質
鋼を用いる場合には、上記のように1000〜1100
℃またはそれ以上の高温に加熱することが必要であり、
そのまま通常の鍛造を行った場合、鍛造品においても結
晶粒が著しく粗大化するので、充分な靭性を得ることが
できない。
や鍛造方法に関して、析出硬化型元素の添加量を極力少
なくする(例えば、特開昭55−82750号公報)、
低C高Mn化する、(例えば特開昭54−121225
号公報)、析出物の種類を制御する、(例えば、特開昭
56−38448号公報)、制御冷却によって結晶粒を
微細化する、(例えば特開昭56−169723号公
報)等の方法が従来より提案されているが、いずれによ
っても、強度・靭性共に優れる非調質熱間鍛造品を得る
ことは、容易ではない。
に優れる非調質熱間鍛造品を提供することを目的とす
る。
決するため、その要旨とするところは、下記の通りであ
る。 (1) 質量%で、C:0.1〜0.6%、Si:0.
05〜2.5%、Mn:0.2〜3%、Al:0.00
5〜0.1%、N:0.001〜0.02%を含有し、
更に、V:0.05〜0.5%、Nb:0.005〜
0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなる鋼片を、棒鋼圧延後、直ちに又
は900〜1350℃に再加熱して900〜1350℃
から室温〜300℃まで15〜60℃/secで冷却
し、マルテンサイトを面積率で95〜100%生成さ
せ、次いでAc3 点以上950℃以下に加熱し、対数歪
みで0.3〜3の加工を与える熱間鍛造を未再結晶上限
温度以下700℃以上で少なくとも1回以上行い、平均
結晶粒径が10μm以下のマルテンサイトからなる鋼を
得ることを特徴とする非調質高強度・高靭性鍛造品の製
造方法。 (2)鍛造後、Ar3 点以下300℃以上の温度域を下
記(1)式で示した冷速(CR)で冷却することを特徴
とする前記(1)記載の非調質高強度・高靭性鍛造品の
製造方法。
Zr:0.0001〜0.005%の1種または2種を
含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の非調
質高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 (4)質量%で、Cr:0.05〜3%、Ni:0.0
5〜3%、Mo:0.05〜3%、Cu:0.01〜2
%、Ti:0.003〜0.05%、B:0.0005
〜0.005%の1種または2種以上を含有することを
特徴とする非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 (5)質量%で、S:0.01〜0.3%、Pb:0.
03〜0.3%、Ca:0.001〜0.05%、B
i:0.03〜0.3%の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載
の非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 (6)引張強さが1300〜1800MPa であることを
特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の非調質
高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 (7)降伏比が0.65〜0.95であることを特徴と
する(1)〜(6)の何れか1項に記載の非調質高強度
・高靭性鍛造品の製造方法。
する。本発明の根幹をなす技術思想は以下の通りであ
る。強度・靭性共に優れる鍛造品を得るためには、その
鍛造品の金属組織を微細にすれば良いことは知られてき
た。最終組織を微細化するには、その前組織であるγ
(オーステナイト)に熱間鍛造により歪みを与えて再結
晶により微細化する方法、および、より鍛造温度を低め
て未再結晶温度で鍛造することにより通常再結晶により
減少してしまう転位を変態時まで残留させ核生成速度を
増加させる方法がある。従来は、再結晶温度域での鍛
造、すなわち高温での鍛造の方が反力が少ないこと、お
よび反力が少ない方が鍛造精度を上げやすい等の理由
で、再結晶温度域の鍛造により組織を微細化することが
前提であった。本発明者等は、従来鍛造で用いられなか
った未再結晶温度域での鍛造を行うことにより、飛躍的
に組織が微細化し、材質も向上することを見いだした。
らは低温加熱の方がγ粒径が小さいため有利である。し
かし、通常の粗大なフェライト+パーライトの組織を持
つ鍛造用鋼を低温加熱にすると、前組織の影響により、
まずパーライト部がγ化しフェライト部は遅れてγ化す
るために粒径ばらつきが大きく、拡散が充分に行われな
いため濃度偏差も残留したままである。結果として鍛造
後の組織ばらつきが大きく材質もそれほど向上しない。
さらに低温加熱では炭窒化物を形成する元素があまり固
溶せず、本発明のように固溶V,Nbを用いた未再結晶
温度の拡大効果は期待できない。また同様に加工誘起析
出による強化も期待できない。これを打破する手段とし
て本発明者等は、鍛造前組織をマルテンサイト主体に調
整することにより、低温加熱でも均一かつ微細な組織が
えられることを見いだした。鍛造前組織を濃度偏差の無
い均一組織であるマルテンサイトを主体とする組織にす
ることにより低温加熱でも均一なγが得られ、鍛造後の
最終組織の微細化に有効である。またマルテンサイトで
は、炭窒化物を形成する元素が固溶ままの状態で残留し
ているため、これを低温加熱した場合、γ中の固溶量は
従来のフェライト−パーライト組織の鍛造用鋼を低温加
熱した場合に比べ格段に多い。このため、固溶V,Nb
を用いた未再結晶温度の拡大効果および加工誘起析出に
よる強化が可能である。これらの効果は、鍛造後の組織
によらず、鍛造後の組織がフェライト−パーライト、ベ
イナイトないしはマルテンサイトでも有効である。
が、0.1%未満では充分な強度が得られない。一方、
過多に添加すると靭性が低下するため、添加量の上限を
0.6%とする。
が、0.05%未満ではその効果がない。一方、過多に
添加すると靭性および被削性が低下するため、添加量の
上限を2.5%とする。
0.2%未満では充分な効果が得られない。一方、過多
に添加すると靭性および被削性が低下するため、添加量
の上限を3%とする。
ために有効な元素であるが、0.005%未満ではその
効果がない。一方、過多に添加すると被削性が低下する
ため、添加量の上限を0.1%とする。
析出強化のために必要な元素であるが、0.001%未
満では充分な効果が得られない。一方、過多に添加する
と靭性が劣化するため、添加量の上限を0.02%とす
る。
を遅らせる効果がある。すなわち未再結晶温度域を高温
側に広げ、未再結晶域鍛造を容易にする元素である。ま
た、未再結晶圧延後、転位のもつれた部分にVの炭窒化
物が微細に析出し、いわゆる加工誘起析出により、強度
が上昇するため有効な元素である。これらの効果を享受
するためには0.05%以上の添加が必要である。一
方、過多に添加すると靭性が劣化するため、添加量の上
限を0.5%とする。
出強化のために必要な元素であるが、0.005%未満
では充分な効果が得られない。一方、過多に添加すると
靭性が劣化するため、添加量の上限を0.1%とする。
あるいはこれらの複合物を形成し、加熱時のオーステナ
イトの粗大化を抑制する効果を持つ元素であるため組織
微細化に有効である。またこれらの酸化物はMnSの析
出核になるため被削性も向上する。いずれも、0.00
01%未満ではその効果はなく、0.005%を越える
と、靱性が劣化するため、添加量の上限を0.005%
とする。
添加においては靱性を損なうことなく強度を増大する元
素である。Cr,Ni,Moは、いずれも0.05%未
満ではその効果はなく、3%を越えると靱性が大きく劣
化するため、その添加量の下限をそれぞれ0.05%、
上限を3%とする。Cuは0.01%未満ではその効果
はなく、2%を越えると靱性が大きく劣化するため、そ
の添加量の下限をそれぞれ0.01%、上限を2%とす
る。
物は高温まで固溶せずに残るため、加熱時のオーステナ
イト粗大化を防止するのに有効である。また炭化物は微
細に分散して析出強化に有効である。0.003%未満
ではこれらの効果は現れず、0.05%を越えると靱性
が劣化するため、その添加量の下限を0.003%、上
限を0.05%とする。
き入れ性を増加することにより強度を増し、さらに粗大
な初析フェライトの生成を防止して組織の微細化を促進
するのに有効な元素である。0.0005%未満ではこ
れらの効果は現れず、0.005%を越えると靱性が劣
化するため、その添加量の下限を0.0005%、上限
を0.005%とする。
を向上する元素である。いずれも過小の添加はその効果
がなく、過大の添加は靱性を劣化させるため、Sは0.
01%以上0.3%以下に、Pbは0.03%以上0.
3%以下に、Caは0.001%以上0.05%以下
に、Biは0.03%以上0.3%以下に添加量を限定
する。
て述べる。
は、棒鋼圧延後、高温からの焼入が必要である。焼入開
始前の加熱温度を900℃以上としたのは900℃以上
の焼入開始温度を確保するためであり、一方、加熱温度
を1350℃以下としたのはそれ以上の加熱が困難だか
らである。焼入開始温度を1350℃以下としたのは、
それ以上の温度からの焼入が困難だからである。900
℃以上としたのは、それ以下の温度であると充分に焼き
が入らずフェライト、パーライト、ベイナイト等が面積
率で5%超生成するからである。
たのはそれより遅い冷速であると、フェライト、パーラ
イト、ベイナイト等が面積率で5%超生成するからであ
る。冷速上限値を60℃/secとしたのは、それより
速い冷速で冷却することが困難だからである。冷却方法
は水冷、油冷等考えられるが、限定しない。
が困難なために室温以上とし、300℃以下ではマルテ
ンサイト変態が終了しているため300℃以下とする。
サイトが面積率で95%より少ないと、再加熱時の組織
均一性および濃度均一性が充分でなく強度・靭性が低下
する。また、再加熱時のNb,Vの固溶量が減るため本
発明の効果を充分享受できない。以上の理由により、本
発明の鍛造用鋼はマルテンサイトを面積率で95%以上
含有するものとする。その他の組織として、フェライ
ト、パーライト、ベイナイトの1種又は2種以上を面積
率で5%以下含有しても本発明の効果を得ることができ
る。一方、マルテンサイトを面積率で100%含有する
ものは再加熱時の組織および濃度が均一であり、Nb,
Vの固溶量も充分確保できるため、最も好ましい。
からAc3点以上とする。また、過度の加熱はγ粒の粗
大化を促し、VないしはNbの加熱中の析出を促すた
め、その上限を950℃とした。尚、Ac3 点は(2)
式により求めた値と定義する。
る。(3)式は、加工フォーマスターを用い、V、Nb
含有成分の鋼について加工焼入試験を行い、組織観察を
行った結果得られた回帰式である。尚、(3)式は加工
度の影響を表す項を除いた簡易式である。
結晶温度域で与える歪みに依存する。対数歪みで0.3
未満の歪みでは、充分な組織微細化ができないため、そ
の下限を対数歪み0.3とする。でき得れば、0.8以
上の歪みが望ましい。一方、歪みを増加すれば組織は微
細化するが、その効果は飽和する傾向にある。歪みの増
加は鍛造反力の増加および金型寿命の低下によりコスト
上昇を招くため対数歪みは3以下とする。複数回の鍛造
で成形する場合には、再結晶温度域での鍛造と組み合わ
せてもよい。また、700℃以下の鍛造温度では鍛造前
にフェライトが生成し、鍛造時に加工フェライトとなり
靭性を劣化させるため、鍛造下限温度を700℃とす
る。
で定義した歪みである。元厚高さ平均とは、鍛造前素材
の鍛造方向を高さとしたときの平均値であり、仕上げ厚
高さ平均とは、鍛造後の高さの平均値である。ただし、
押し出し等の加工の場合は、(5)式に従うものとす
る。元断面積平均とは鍛造前素材の鍛造方向に垂直な面
の平均断面積であり、仕上げ断面積平均とは、鍛造後の
断面積平均である。
大しているため、T−T−Tノーズが短時間側にシフト
し、フェライトが生成しやすくなっている。このため、
マルテンサイトを生成するためには、Ar3 点以下30
0℃以上の温度域を(1)式に示した冷速で冷却すれば
よい。(1)式は図1の直線から求めた式である。冷却
速度の下限を(6ε+12)℃/secとしたのは、そ
れより遅い冷速であると、ベイナイト変態が生じてしま
うからである。一方、上限を60℃/secとしたの
は、これより速い冷速で冷却することが困難だからであ
る。また、冷却制御温度域をAr3 点以下としたのは、
変態が始まる温度だからである。一方、その下限を30
0℃としたのは、この温度ではすでにベイナイト変態が
終了しているからである。(1)式に示した冷速の冷却
制御温度域の冷却方法は水冷、油冷、強制空冷等が考え
られるが、特に限定しない。また、冷却後、焼戻しを行
うことにより降伏比、靭性が向上するので、焼戻し処理
を行ってもよい。
て述べる。
位は整理され転位密度は低い。このため、ほとんどの変
態はγ粒界を基点として始まり、粒内に向かって成長し
ていく。また再結晶γである限り、粒界単位面積当たり
の変態核生成数はほぼ一定の値をとる。このため変態後
の組織の粒数は単位体積当たりのγ粒界の面積にほぼ比
例し、再結晶後のγ粒径が小さいほど、変態後の組織は
細かくなる。一方、未再結晶γでは再結晶による転位の
整理が未だ行われていない状態であるので、粒内の転位
密度は高い。これにより、粒界のみならず粒内からも変
態が開始する。さらに粒界にも加工の影響が残ってお
り、粒界単位面積当たりの変態核生成数も再結晶γと比
べ大きい値をとる。このため粗大なγからでも、微細な
変態組織が得られる。未再結晶γからの変態によって得
られる変態組織は、加工後の冷速によってフェライト+
パーライト、ベイナイト、マルテンサイトに大別できる
が、いずれも平均結晶粒径が10μm以下となる。ただ
し、冷速によっては、これらの組織の混合組織となり、
靭性が著しく劣化するため、前述の冷速制御によりマル
テンサイト鋼とする。尚、ここで述べる平均結晶粒径と
は、破壊の単位となる結晶粒径であり、フェライト+パ
ーライトの場合はフェライトの平均粒径、ベイナイトお
よびマルテンサイトの場合は平均パケット・サイズを指
す。マルテンサイトを選定した理由は、組織強化により
強度が得やすく、合金コストの削減に有効だからであ
る。一方、粒径が微細になると強度、靭性、降伏比、伸
びが向上する事は知られているが、平均粒径が10μm
以下であると、これらの効果が顕著に現れてくる。さら
に効果を求めるのであれば、平均粒径が5μm 以下であ
ることが望ましい。一方、平均粒径の下限は特に定めな
いが、鍛造コストの面から、2μm 以上とすることが好
ましい。
により断面厚1/4t位置を200〜1000倍で3〜
5視野観察し、切断法により求めた値と定義する。
1300MPa に限定した。一方、1800MPa を越える
と、靭性が著しく低下し、切削寿命および金型寿命も著
しく低下するため、上限を1800MPa 以下にした。
65に下限を限定した。一方、0.95以上に降伏比を
上げても疲労強度の向上は飽和するので、上限は0.9
5に限定した。
の鍛造用試験片を切り出し、高周波で加熱して、第2表
に示す本発明方法および比較方法を適用して高さ方向の
平板圧縮鍛造を行った。第2表中の歪みは(4)式を適
用して求めた。さらに本発明方法を適用して冷却した場
合、第2表中に示したような粒径、強度、降伏比、靭性
となった。尚、冷却時の温度制御は衝風ないしは水スプ
レー冷却で行った。組織は鍛造品の中央から30mm離
れた場所の1/4t位置を光顕撮影し、切断法により平
均粒径(平均パケット・サイズ)を求めた。中央から3
0mm離したのはデッドメタル部を避けるためである。
機械特性はJISA3号引張試験片およびJIS3号シ
ャルピー試験片(幅5mm)を用いて測定した。第2表
中、比較鋼1,2,13は本発明必須元素のNb,Vを
必要量含んでいないため再結晶が生じ、粗大な組織とな
っている。このため強度・降伏比・靭性が低値である。
比較鋼12,14は、Nb,Vを必要以上含んでいるた
め、靭性が低値である。比較鋼3,4,5は、鍛造前組
織がマルテンサイトを含有しないか、その面積率が低い
ため、鍛造後の組織が粗大となり、強度・降伏比・靭性
が低値である。比較鋼6は、鍛造時の加熱温度が高すぎ
たため、前組織をマルテンサイトにした効果が薄れ、組
織が粗大となったため、強度・降伏比・靭性が低値であ
る。比較鋼7は、加熱温度が低すぎたため加熱時にγ単
相とならず、γ+α二相状態で鍛造したため、αが加工
されて降伏比・靭性が低値である。比較鋼8は加工温度
が高く再結晶が生じたため、粗大な組織となり強度・降
伏比・靭性が低値である。比較鋼9は加工度が少ないた
め、充分な核生成速度が得られず、粗大な組織となり強
度・降伏比・靭性が低値である。比較鋼10は加工後の
冷速が遅すぎたため、一部ベイナイトが生成し、強度・
降伏比・靭性が低値である。比較鋼11は加工温度が低
すぎ、加工時に一部αが生成した状態で加工したため、
αが加工されて降伏比・靭性が低値である。
靭性が向上しており、本発明は有効である。
歪みと500℃〜Ar3 の温度域の冷速の影響を示す図
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 質量%で C 0.1〜0.6% Si 0.05〜2.5% Mn 0.2〜3% Al 0.005〜0.1% N 0.001〜0.02% を含有し、更に V 0.05〜0.5% Nb 0.005〜0.1% の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼片を、熱間圧延後、直ちに又は900
〜1350℃に再加熱して、900〜1350℃から室
温〜300℃まで15〜60℃で冷却し、マルテンサイ
トを面積率で95〜100%生成させ、次いでAc3 点
以上950℃以下に加熱し、対数歪みで0.3〜3の加
工を与える熱間鍛造を未再結晶上限温度以下700℃以
上で少なくとも1回以上行い、平均結晶粒径が10μm
以下のマルテンサイトからなる鋼を得ることを特徴とす
る非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 - 【請求項2】 鍛造後、Ar3 点以下300℃以上の温
度域を下記(1)式で示した冷速(CR)で冷却するこ
とを特徴とする請求項1記載の非調質高強度・高靭性鍛
造品の製造方法。 (6ε+12)℃/sec≦CR≦60℃/sec …(1) (ε:未再結晶温度域で与えた対数歪み) - 【請求項3】 質量%で Mg 0.0001〜0.005% Zr 0.0001〜0.005% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
又は2記載の非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 - 【請求項4】 質量%で Cr 0.05〜3% Ni 0.05〜3% Mo 0.05〜3% Cu 0.01〜2% Ti 0.003〜0.05% B 0.0005〜0.005% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
項1〜3の何れか1項に記載の非調質高強度・高靭性鍛
造品の製造方法。 - 【請求項5】 質量%で S 0.01〜0.3% Pb 0.03〜0.3% Ca 0.001〜0.05% Bi 0.03〜0.3% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
項1〜4の何れか1項に記載の非調質高強度・高靭性鍛
造品の製造方法。 - 【請求項6】 引張強さが1300〜1800MPa であ
ることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の
非調質高強度・高靭性鍛造品の製造方法。 - 【請求項7】 降伏比が0.65〜0.95であること
を特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の非調質
高強度・高靭性鍛造品の製造方法。
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