JP2003147229A - 耐候性鋼材用塗料組成物とその塗装方法 - Google Patents
耐候性鋼材用塗料組成物とその塗装方法Info
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Abstract
定サビの垂れや飛散を防ぎ得ると共に、安定サビの生成
促進をはかることができる耐候性鋼材用塗料組成物を提
供する。 【解決手段】 本発明に係る耐候性鋼材用塗料組成物
は、可溶性珪酸リチウムとマイカとをバインダー成分と
する。これを硬化してなる塗膜は、耐候性鋼材との密着
性が良好であるので、サビの垂れやサビ飛散を効果的に
防止できる。この塗膜は水や水蒸気ガスが通過し得るほ
どに微細なクラックを有しており、また珪酸リチウムに
より鋼表面はアルカリ性に保たれている。従って、鋼表
面に安定サビの生成に適した条件を付与して、安定サビ
の生成促進を図ることができる。
Description
表面処理塗装に使用される塗料組成物に関する。
クロム、ニッケル等を少量含む耐候性鋼材と称せられる
低合金鋼が公知である。かかる耐候性鋼材を屋外に暴露
して、その表面に緻密で強固な連続サビが形成される
と、このサビが更なる腐食の進行を抑制して永続的な防
食性を発揮する。この特徴あるサビは、一般的に安定サ
ビと称せられている。
年月を必要とし、その間、特に暴露初期に発生する赤サ
ビや黄サビなどの不安定サビの垂れは、鋼表面の外観を
損ねるばかりか、周囲の構造物を汚染する。また、サビ
汁が落ちて通行人の衣服を汚したり、サビが飛散して洗
濯物等を汚すことも皆無とは言えない。さらに、塩分が
飛散するような腐食環境下においては、不安定サビから
安定サビへの移行がなされず、安定サビが形成されな
い。
226198号公報や特開2001−040280公報
では、硫酸クロム、硝酸クロム、リン酸クロム、硫酸
銅、酸化銅等を含む処理剤を耐候性鋼材に塗布してい
る。これらを塗布することにより、不安定サビの垂れや
飛散を防ぐことができる。また、安定サビの生成促進を
図ることができる。
処理剤に含まれるクロム、銅、リン等は有害物質であ
り、これらを処理剤に含ませると、土壌汚染や水質汚濁
などの環境破壊問題を招くおそれがある。また、上記処
理剤では、多量の有機溶剤を含ませており、これが気化
することによる大気汚染も問題である。
てなされたものであり、地球環境を汚染するおそれがな
く、また、耐候性鋼材の暴露初期に発生する不安定サビ
の垂れや飛散を抑制し得ると共に、安定サビの生成促進
を図ることができる耐候性鋼材用の塗料組成物を得るに
ある。
れる要件は、強固な塗膜を形成して、サビの発生を抑え
ることにある。これに対して、耐候性鋼材の防食表面処
理塗装に使用される塗料には、強固な塗膜を形成し
て、サビ垂れやサビ飛散を抑え得ること、雨水や水蒸
気ガスが通過できるほどに微細なクラックを有して、サ
ビの形成に好適な条件を与え得ること、耐候性鋼材の
表面をアルカリ性に保って、急速なサビの生成を抑え得
ることなどが求められる。これら、、は相反する
要件である。すなわち、全くクラックのない強固な塗膜
であると、の要件は満たされるが、安定サビが形成さ
れず、耐候性鋼材の本来の目的である永続的な防錆効果
が発揮されない。また、防錆性が強すぎると安定サビが
生成されず、逆に防錆性が弱いと、急速な腐食反応によ
り赤サビ等の不安定サビのみが生成することとなる。さ
らに上記〜の要件に加えて、環境保全の観点からす
ると、一切の有害物質を含まないものであることが望ま
れる。
ムをバインダー成分とする水性無機塗料組成物にマイカ
を含ませてなる塗料が、耐候性鋼材の防食表面処理塗装
用の塗料として好適であることを見出して、本発明をす
るに至った。
マイカとを、バインダー成分として含有することを特徴
とする耐候性鋼材用塗料組成物である。本発明に係る塗
料組成物を耐候性鋼材に塗布すると、その水溶液中に存
在するポリ珪酸アルカリミセルがFe面に化学吸着し、
また(−)に帯電したシリケートミセルが(+)に帯電
したFe錆コロイドを中和しながFe面に吸着するの
で、強固な保護被膜を形成して、サビ垂れやサビ飛散な
どを抑制できる。
め、それのみをバインダー成分とした場合には、塗膜に
大きなクラックが発生して、基材である耐候性鋼材から
剥離し易い。その点本発明のごとくバインダー成分にマ
イカを添加してあると、この欠点をカバーできる。つま
り、基材からの剥離を招くような大きなクラックの発生
を防止して、雨水等が通過できるほどに微細なクラック
を形成できる。これは、マイカが、扁平粒子で塗膜面に
平行に累積し、塗膜の膜方向の収縮、膨張を拘束する働
きがあることに拠る。繰り返すと、上述のごとく、珪酸
リチウムを用いた塗料では、完全にクラックのない塗膜
を形成することは本発明の範囲(モル比3〜8の可溶性
珪酸カリウム)では難しい。一方、元来、塗料ではその
塗膜に如何なるクラックをも生成させないことが常識と
されている。ここに、本発明の耐候性鋼用塗料組成物と
従来に係る塗料との大きな差異がある。すなわち、本発
明の耐候性鋼用塗料組成物では、塗膜剥離につながるこ
とのない、しかも目視では観察し得ない微細なクラック
を塗膜に形成させることに特徴がある。かくして、本発
明に係る塗料組成物は、上述の及びの要件を満たす
ものとなる。
てあると、塗膜の表面が親水性となるために、雨水や水
蒸気ガスが接触し易く、この点においてもの要件を満た
し得る。つまり、鋼表面をサビの形成に好適な条件にで
きる。
と、赤サビ等の不安定サビが生成されるといった不具合
が生じる。つまり、永続的な防錆性を発揮する安定サビ
を生成させるには、適度な湿潤下で、いわばサビを熟成
させる必要がある。この点、本発明に係る耐候性鋼材用
塗料では、可溶性珪酸リチウムが耐候性鋼材の表面をア
ルカリ性に保つので、急速な腐食反応による不安定サビ
の生成を防ぐことができる。また、鋼の表面がアルカリ
性に保たれていると、グリーンラスト(緑錆)が生成し
やすく、このグリーンラストが緻密な層で防食性のある
マグネタイト、すなわち安定サビに移行し易い点でも有
利である。以上より、本発明に係る塗料組成物は、上記
〜の全ての要件を満たすものとなる。
クロム等のごとく土壌汚染の原因となる物質を一切含ま
ず、環境破壊問題の解決に大いに寄与し得る。水を溶媒
としているので、トルエン、キシレンなどの有機溶剤を
含まず、大気汚染を引き起こすおそれがない点でも有利
である。
は、SiO2 /Li2 Oのモル比(n)が3.0〜8.0で
あることが好ましい。これは、可溶性珪酸リチウムにお
いて、nが3未満或いは8を超えると、液の安定性に欠
き、結晶が析出する等の不具合が生じることに拠る。
3μm以上、150μm以下の範囲内にあることが好ま
しい。3μm未満の粒子径では、塗膜の安定性から、添
加量を多くする必要があり、その表面積の増加は塗料と
しての流動物性に不具合を生じさせる(顕著なチキソト
ロピー性)。さらに緻密で強固な塗膜が得られず、爪で
擦ると容易にキズが付くほどに脆くなる点でも不利があ
る。粒子径が150μmを超えると、その添加量が少な
くても所望の性能は得られるが、流動特性としてダイラ
タンシー挙動を示し、塗装作業性が悪くなる。
対し、マイカは20重量部以上、250重量部以下含有
させることが好ましい。20重量部未満では造膜性が悪
く、塗膜表面に目視で確認できるようなクラックが入
り、さらには硬化が進むにつれ、鋼材から塗膜が剥離し
易くなる。250重量部を超えると、塗膜中の可溶性珪
酸リチウム被膜マトリクッス中にマイカが切れ目なく入
り込み、可溶性珪酸リチウムの架橋を妨げるため、その
塗膜は、爪で擦った程度で容易にキズが付くほどに脆く
なる。水に浸漬するだけで塗膜が溶解するほどに、塗膜
の耐久性が低下してしまう点でも不利がある。
の改善のために、別種無機充填剤等を添加することがで
きる。さらに着色塗料にするために、無機顔料やマイカ
系パール顔料等の各種着色剤を添加することができる。
これら着色剤および/又は充填剤の添加量は、可溶性珪
酸リチウム固形分100重量部に対して、マイカを含め
て250重量部以下で、それ自体では、80重量部以下
(0重量部を含む)にすることが好ましい。80重量部
を超えると、塗料に構造性が発現して流動性が悪くな
る。また、着色の目的で加える場合には、一般論として
これ以上添加する必要性もない。マイカ系パール顔料
が、本発明のマイカと同様の作用効果を生じさせること
は言うまでもないが、この材料は高価なため、塗料の着
色剤として、少量のみ用いることが、製造コストの観点
からして得策である。
期が遅いほど、より確実な安定さびが生成されやすい。
これは、下記の実施形態2に示すように、2コート、2
常温硬化、又は耐候性鋼材に対して予めリン酸塩処理被
膜を施した上に、本発明の耐候性鋼材用塗料組成物を1
コート、1常温硬化や2コート、2常温硬化させること
で実現できる。つまり、請求項4記載の本発明のごと
く、耐候性鋼材にリン酸亜鉛皮膜処理を施す工程と、こ
の耐候性鋼材上に、耐候性鋼材用塗料組成物を塗布し、
これを常温で乾燥硬化させて、複数層の塗膜を耐候性鋼
材上に形成する工程とを含む塗装方法を採ることが好ま
しい。
溶性珪酸リチウムの耐候性鋼材用塗料組成物の特性、お
よび各種数値の臨界的意義を明らかにする。
5の可溶性珪酸リチウム(商標名:リチウムシリケート
35,日本化学工業(株)製)120g(固形分28.8
重量部)に、酸化チタン白色顔料(商標名:TITAN
IX JR−600A,テイカ(株)製)5.76g(可
溶性珪酸リチウム固形分100重量部に対して20重量
部、以下同様に可溶性珪酸リチウム固形分100重量部
に対する重量比率で示す)と、分散媒体として2mmφの
チタニアビーズ100gを加え、この混合物を50ml
のポリ製容器に入れて、ペイントシェーカーで1時間分
散した。これに、表1のNo.1〜9の各種平均粒子径を
有するマイカ17.3g(60重量部)を加えて、さらに
ペイントシェーカーで5分間程度分散した。かくしてN
o.1〜9にかかる試験用塗料を得た。なお、マイカ添
加後のペイントシェーカーの作動時間を5分間程度とし
たのは、長時間ペイントシェーカーにかけると、マイカ
粒子が粉砕されて、粒径が変わってしまうことに拠る。
なお、No.1の塗料では、マイカを一切加えなかった。
にブラスト処理により清掃処理を施して、上述の各試験
用塗料を乾燥膜厚が30〜35μmになるようにスプレ
ー塗装し、屋外に3ヶ月間暴露して試験に供した。な
お、暴露期間中、降雨日が16日間あった。
らが塗布された試験片に対して、微小クラックの有無、
塗料の流動性、塗装性、サビの状態について評価した。
その評価結果を表1に示す。なお、評価は以下のごとく
とした。
塗膜表面にインクを垂らし、1時間後、濡れ布でインキ
を拭き取る。微細なクラックが存在するとインキが塗膜
に染み込み残存するので、この個所をルーペ(×10
倍)で観察して、亀甲状や点状のクラックの有無を調べ
た。
察した。また、塗料が過剰にパサパサするか否か(チク
ソトロッピク性)、あるいは力が加わると一層流動性が
乏しくなるか否か(ダイラタンシー性)について観察し
た。
したときの塗布のしやすさと、塗布面の仕上がり(塗布
ムラ)を観察した。当然、過剰なチクソトロッピク性を
示す塗料や強いダイラタンシー性を示す塗料は、塗布し
難く、しかも塗りムラが出やすい。 スプレー性塗装性:エアースプレーガンの口径2mmφで
スプレー圧1〜4kg/cまで順次変化させて、上記耐
候性鋼材に塗装したときの塗装性と塗装表面を観察し
た。当然、過剰なチクソトロッピク性を示す塗料や強い
ダイラタンシー性を示す塗料は、ガンノズルから吐出し
難く、吐出量を多くして塗装しても、塗膜表面に著しい
ムラができることは避けられない。
角度で暴露した。屋外暴露時において、降雨時にサビ垂
れが発生するか否かを観察した。サビ垂れが発生すると
塗膜表面にサビ汁が見られる。 サビの固着性:屋外暴露後、鋼表面に発生したサビをウ
エスで強く擦り、このウエスにサビが付着するか否かを
観察した。この試験は、発生したサビが鋼材にどの程度
強固に固着しているか、換言すれば、サビが強風などで
飛散するかどうか評価するものである。
径で3〜150μmの範囲、より好ましくは5〜100
μmの範囲にあるものが耐候性鋼材用塗料として良好で
あることがわかる。No.2より、マイカの平均粒子径が
3μm未満となると、チキソトロピー性が強く発現し、
塗料はパサパサ状態となって、塗装性に難が生じること
がわかる。No.9より、マイカの平均粒子径が150μ
mを超えると、ダイラタンシー性が強くなり、塗装性に
難が生じることがわかる。また、このNo.9の塗料で
は、スプレーノズルに粒子が詰まる事態も起こった。N
o.1より、マイカを一切添加しない場合には、塗膜が
試験片から剥離してしまい、耐候性鋼材用の塗料組成物
として用をなさないことが確認された。
比4.5の可溶性珪酸リチウム(商標名:リチウムシリケ
ート45,日本化学工業(株)製)120g(固形分2
8.8重量部)に、分散媒体として2mmφのチタニアビー
ズ100gを加え、これらの混合物を50mlのポリ製
容器に入れてペイントシェーカーで1時間分散した。次
に、この混合物にマイカ(商標名:クラライト・マイカ
300W、(株クラレ製)を、表2の各添加量(可溶性
珪酸リチウム固形分100重量部に対するマイカの重量
部)で加えた。そして、これらをペイントシェーカーで
5分間分散させて、No.10〜17に係る試験用塗料を
得た。試験材は、実験1と同様に処理した耐候性鋼材を
使用した。
5μmになるようにスプレー塗装し、屋外に3ヶ月間暴
露して試験に供した。なお、暴露期間中、降雨日が16
日間あった。なお、各試験方法、総合評価については、
上記実験1と同じであるが、本実験2では、さらに塗膜
の安定性について評価した。具体的には、塗装後、屋外
に1ヶ月暴露した各試験板の塗膜を目視で剥離の有無を
観察し、さらにその表面を爪で擦ったとき塗膜の傷付き
の有無を見た。その結果を表2に示す。
リチウムの固形分100重量部に対して20重量部以
上、250重量部以下、特に30重量部以上、240重
量部以下の範囲にあることが好ましいことがわかる。N
o.10より、マイカの添加量が20重量部未満では塗
膜安定性に欠き、基材から剥離することがわかる。ま
た、塗膜には、大きい亀甲状のクラックが生じていて、
これは、雨水や水蒸気ガスが通過できるほどの微細なク
ラックとは言えない点でも不利がある。No.17より、
マイカの添加量が250重量部を超えると、その塗膜
は、爪を擦っただけで傷付くほどに脆くなることがわか
る。これは、可溶性珪酸リチウムの固形分に対するマイ
カの含有分の占める割合が過剰となると、珪酸リチウム
の繋がりが阻害されることに拠る。
しく説明する。なお本発明は、これらの実施形態により
限定されるものではない。
チウム(商標名:リチウムシリケート75,日本化学工
業(株)製)120g(固形分27.6重量部)に、no
n−Cr系黒顔料(商標名:ブラック#3078,アサ
ヒ化成工業(株)製)9g(32.6重量部)、酸化鉄系
茶色顔料(商標名:トダカラー100ED,戸田工業
(株)製)1g(3.6重量部)、分散媒体として2mmφ
のチタニアビーズ100gを50mlのポリ製容器に入
れて、ペイントシェーカーで1時間分散した。次に、平
均粒子径18μmのマイカ(商標名:クラライト・マイ
カ400W、(株)クラレ製)25g(90.6重量部)
を加えて、さらに10分間ペイントシェーカーで分散さ
せて耐候性鋼材用塗料を作成した。
固定した形鋼(高さ1000mm、厚さ38mm)を2本用
意し、両者を屋外に置き、清掃表面にするためにブラス
ト処理を行った。その後、直ちに一方の形鋼に対して上
記塗料を乾燥膜厚でおよそ50μmとなるようにスプレ
ー塗装した。もう一方の形鋼は無処理(ブラスト処理の
み)のままにした。屋外暴露3ヶ月経過後に、両者の比
較を行った結果を表3に示す。
が見受けられる。すなわち、無処理の形材では、不安定
サビの生成が見受けられ、コンクリートへのサビ垂れも
見られ、サビの固着も不十分である。これに対して塗料
を塗装した形材では、均一な黒みを帯びた茶褐色のサビ
が生成しており、サビ垂れなどの不具合もなく、サビの
固着性も良好である。以上より、本発明に係る耐候性鋼
材用塗料組成物が、耐候性鋼材表面のサビ垂れ抑制効果
およびサビ飛散抑制効果に優れた特性を備えていること
が判る。また、安定サビの形成促進効果も備えているこ
とが、生成したサビ色からも推察できる。
チウム(商標名:リチウムシリケート35,日本化学工
業(株)製)120g(固形分27.6重量部)に、酸化
鉄系黒顔料(商標名:トダカラーKN−320、戸田工
業(株)製)9g(32.6重量部)、酸化鉄系茶色顔料
(商標名:トダカラー100ED,戸田工業(株)製)
1g(3.6重量部)、分散媒体として2mmφのチタニア
ビーズ100gを500mlのポリ製容器に入れて、ペ
イントシェーカーで1時間分散した。次に、平均粒子径
30μmのマイカ(商標名:クラライト・マイカ300
W、(株)クラレ製)20g(69.4重量部)を加え
て、さらに、10分間ペイントシェーカーで分散させて
耐候性鋼材用塗料を作成した。
枚用意し、1枚を通常の方法でリン酸亜鉛被膜処理を2
μm施し(A)、もう1枚は、酸洗、水洗乾燥した
(B)。次に、これら(A)・(B)に対して、直ちに
上記塗料を乾燥膜厚でおよそ30μmになるようにスプ
レー塗装して室温で1時間乾燥硬化後、さらに同塗料を
同様におよそ20μmスプレー塗装(2コート、2常温
硬化)した。合計膜厚はおよそ50μmとなった。この
両塗装板を水平角30度の角度で屋外暴露した。3ヶ月
後、6ヶ月後、1年後の追跡調査の結果を表4に示す。
遅らせるには、耐候性鋼材を予めリン酸塩被膜処理を施
すことが極めて有効な手段であり、また、2コート、2
常温硬化によっても多少、効果が認められた。いずれに
しても、本発明に係る耐候性鋼材用塗料は、本発明の核
心であるサビ垂れ、サビ固着性に関しても優れた成果を
発揮していることが判った。
マイカ系パール顔料を用いた点が、上述の実施形態2と
相違する。すなわち、モル比4.5の可溶性珪酸リチウム
(商標名:リチウムシリケート45,日本化学工業
(株)製)120g(固形分27.6重量部)に、粒子径
10〜60μmのマイカ系パール顔料(商標名:Iri
odin100,メルク・ジャパン(株)製)8.6g
(30重量部)、分散媒体として2mmφのチタニアビー
ズ100gを500mlのポリ製容器に入れてペイント
シェーカーで20時間分散し、耐候性鋼材用塗料を作成
した。
めて固定した形鋼(高さ1000mm、厚さ38mm)を屋
外に置き、清掃表面にするためにブラスト処理を行っ
た。その後、直ちに形鋼に対して上記塗料を乾燥膜厚で
およそ30μmとなるようにスプレー塗装した。屋外暴
露6ヶ月経過後、表面を観察した。
た場合においても、コンクリートを汚染するようなサビ
垂れはなく、生成したサビを白い布で擦っても殆どサビ
が付かず、サビの固着性も良好であることが確認され
た。
用塗料組成物では、有害物質であるリン系、クロム系等
の化合物に替えて、無公害で水性である可溶性珪酸リチ
ウム、マイカを構成要素としている。従って、本発明に
係る塗料組成物は、環境汚染問題の解決に大いに寄与し
得るものとなる。
物によれば、ポリ珪酸リチウムミセルがFe面に化学吸
着し、また(−)に帯電したシリケートミセルが(+)
に帯電したFe錆コロイドを中和しながFe面に吸着す
るので、強固な保護被膜を形成して、サビ垂れやサビ飛
散を抑制する効果を発揮する。
てなる塗膜は、雨水や水蒸気ガスが通過できる程の微細
なクラックや孔を有している。また、珪酸リチウムによ
り、鋼表面をアルカリ性に保つことができる。従って、
鋼表面に安定サビの生成に適した条件を付与して、安定
サビの生成促進を図ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 可溶性珪酸リチウムとマイカとを、バイ
ンダー成分として含有することを特徴とする耐候性鋼材
用塗料組成物。 - 【請求項2】 前記マイカが、平均粒子径で3〜150
μmの範囲内にあり、 可溶性珪酸リチウム固形分100重量部に対し、マイカ
を20〜250重量部含有する請求項1記載の耐候性鋼
材用塗料組成物。 - 【請求項3】 可溶性珪酸リチウム固形分100重量部
に対し、着色剤および/又は充填剤を80重量部以下含
有する請求項1又は2記載の耐候性鋼材用塗料組成物。 - 【請求項4】 耐候性鋼材の表面にリン酸亜鉛皮膜処理
を施す工程と、 この耐候性鋼材上に、前記請求項1乃至3のいずれかに
記載の耐候性鋼材用塗料組成物を塗布し、これを常温で
乾燥硬化させて、複数層の塗膜を耐候性鋼材上に形成す
る工程とを含む耐候性鋼材用塗料組成物の塗装方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102925884A (zh) * | 2012-11-29 | 2013-02-13 | 北京科技大学 | 一种加速耐候钢表面锈层稳定化的喷液预处理方法 |
-
2001
- 2001-11-16 JP JP2001350906A patent/JP3796579B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN102925884A (zh) * | 2012-11-29 | 2013-02-13 | 北京科技大学 | 一种加速耐候钢表面锈层稳定化的喷液预处理方法 |
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