JP2003146944A - 光応答性高分子およびカルボン酸アンモニウムの結晶の製造方法 - Google Patents

光応答性高分子およびカルボン酸アンモニウムの結晶の製造方法

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JP2003146944A JP2002201880A JP2002201880A JP2003146944A JP 2003146944 A JP2003146944 A JP 2003146944A JP 2002201880 A JP2002201880 A JP 2002201880A JP 2002201880 A JP2002201880 A JP 2002201880A JP 2003146944 A JP2003146944 A JP 2003146944A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な光応答性高分子、およびそれに適した
簡便なカルボン酸アンモニウムの結晶の製造方法を提供
する。 【解決手段】 カルボン酸の結晶とアミンおよびアンモ
ニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
を液体媒質の非存在下で混合する。上記カルボン酸とし
て、(Z,Z)−ムコン酸等のようなカルボキシル基を
有する共役ジエンを用い、アミンおよびアンモニアから
なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物として、式
RCH2NH2(式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル
基またはアリール基を表す)で表される第1級アミンを
用いる。また、−Ar−N=N−Ar’−(式中、Ar
およびAr’はそれぞれ独立して、芳香族炭化水素2価
基を表す)で表される2価基を持つアミンを、ポリムコ
ン酸等のようなカルボキシル基を有する共役ジエンの重
合体の層状結晶にインターカレートさせる。これによっ
て、新規な光応答性高分子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層状の結晶性高分
子中に光応答性基を含むゲスト化合物がインターカレー
トされた新規な光応答性高分子、およびその製造に適し
たカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法であっ
て、カルボン酸の結晶とアミンおよびアンモニアからな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを用いてカ
ルボン酸アンモニウムの結晶を製造する方法に関するも
のである。より詳細には、本発明は、カルボン酸を有す
る層状の結晶性高分子中にアゾ基を含むアミンがゲスト
化合物としてインターカレートされたものであって、光
照射によりアゾ基がシス−トランス異性化して吸収特性
や構造が変化しうる光応答性高分子、およびその製造に
適した簡便なカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方
法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、カルボン酸の結晶とアミンと
を用いてカルボン酸アンモニウムの結晶を製造する方法
が知られている。
【0003】例えば、本願発明者等は、ムコン酸の結晶
と直鎖アルキルアミンとをメタノールや水のような溶媒
に溶解させて混合した後、溶媒を除去し、得られた固体
を再結晶することにより、ムコン酸アルキルアンモニウ
ムの結晶が得られることを報告している。
【0004】また、本願発明者等は、上記の方法で得た
ムコン酸アルキルアンモニウムの結晶に光、X線、γ線
等を照射する固相重合により高分子結晶が生成するこ
と、この高分子結晶を酸を用いて加水分解した後に溶媒
を除去することによりポリムコン酸の層状結晶が得られ
ることを報告している。
【0005】さらに、本願発明者等は、上記の方法で得
たポリムコン酸の層状結晶を、メタノールや水のような
分散媒中に分散させた状態で、直鎖アルキルアミンと混
合すした後、分散媒を除去することにより、ポリムコン
酸の層状結晶の層間に直鎖アルキルアミンがインターカ
レートされることを報告している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
溶媒や分散媒を用いる方法では、溶媒や分散媒の分離操
作や再結晶を必要とするので、カルボン酸アンモニウム
の結晶を簡便に製造することができない。
【0007】また、上記従来の分散媒を用いてインター
カレートを行う方法では、アミンの種類によっては、重
合体結晶が反応中に分散媒によって膨潤したり溶解した
りするために、層状構造を有する高分子結晶を得ること
ができない場合があった。特に、分岐構造を持つアルキ
ル第1級アミンや官能基を含む第1級アミンを用いた場
合、ポリムコン酸の層状結晶が反応中に分散媒によって
膨潤したり溶解したりするため、層状結晶の層間に分岐
構造を持つアルキル第1級アミンや官能基を含む第1級
アミンがインターカレートされた高分子結晶を得ること
ができなかった。
【0008】また、従来より、光応答性の低分子化合物
や光応答性高分子、光応答性高分子材料が知られてい
る。例えば、アゾベンゼン誘導体(低分子化合物)が、
紫外光照射によりシス体に異性化する一方、可視光照射
あるいは加熱によりトランス体に異性化する性質(光応
答性)を持つことはよく知られている。また、高分子の
側鎖にアゾ基を含む置換基を化学的に結合させた光応答
性高分子や、高分子マトリックス中に低分子アゾ化合物
を分散した光応答性高分子材料が知られている。これら
は、溶液の状態あるいはフィルム状固体の状態にして使
用されている。
【0009】また、一般的な層状結晶にアゾ基等の光応
答性基を含むアミンをインターカレートする試みは、無
機の層状結晶では多くなされている。無機層状結晶の中
で、粘土鉱物、ケイ酸塩、金属酸化物は負電荷をもつた
め、陽イオン交換性を示す。そのため、粘土鉱物、ケイ
酸塩、金属酸化物の無機層状結晶は、アミンをインター
カレートしやすいことが知られている(季刊化学総説N
o.42、無機有機ナノ複合物質、日本化学会編、学会
出版センター(1999)、33〜44頁参照)。例え
ば、無機層状結晶にアゾ基を含むアミンをインターカレ
ートした例が報告されている(例えば、“Photocontrol
of the Basal Spacing of Azobenzene-Magadiite Inte
rcalation Compound", M. Ogawa, T. Ishii, N. Miyamo
to, K. Kuroda, Adv. Mater. 13, 1107-1109 (2001)
や、“Preparation of a Cationic Azobenzene Derivat
ive-Montmorillonite Intercalation Compound and the
Photochemical Behavior", M. Ogawa, Mater. Chem.,
8, 1347-1349 (1996))。
【0010】しかしながら、通常の(アミノ基を含まな
い)アゾベンゼン誘導体と結晶性高分子とを混合して
も、アゾベンゼン誘導体の光異性化によって結晶性高分
子の構造変化を誘起させることは困難である。また、高
分子に直接アゾ基を化学結合させるのは少なからず手間
を要するので、上記従来の光応答性高分子は、製造が難
しく、また、多様なものを製造することはさらに難し
い。また、単にマトリックス中に低分子アゾ化合物を分
散させるだけでは、安定性や機能(光応答性)が不十分
である。
【0011】また、無機層状結晶にアゾ基等の光応答性
基を含むアミンをインターカレーションした光応答性材
料は、溶液の状態あるいはフィルム状固体の状態で使用
することが困難であるため、汎用性が低いという欠点が
ある。
【0012】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、従来の光応答性材料の問題点
を解決しうる新規な光応答性高分子、およびこの光応答
性高分子の製造に適した、簡便なカルボン酸アンモニウ
ムの結晶の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のカルボン酸アン
モニウムの結晶の製造方法は、上記の課題を解決するた
めに、カルボン酸の結晶とアミンおよびアンモニアから
なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを液体媒
質の非存在下で混合することを特徴としている。
【0014】上記方法によれば、カルボン酸が結晶状態
でアミンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少な
くとも1種の化合物と反応する。結晶状態での反応は、
結晶という最も制御された反応場での反応であるため、
立体特異的な反応が進行し、単一の生成物を得ることが
できる。また、上記方法によれば、溶媒や分散媒のよう
な液体媒質を使用しないので、液体媒質の分離操作や再
結晶が不要である。したがって、上記方法によれば、カ
ルボン酸アンモニウムの結晶を簡便に製造することがで
きる。
【0015】また、上記方法は、こうした合成上の利点
のみならず、液体媒質を使用しないので、廃棄液体媒質
が発生することがなく、環境に優しいという利点もあ
る。
【0016】なお、本願明細書において、「液体媒質」
とは、液体の溶媒や液体の分散媒に代表される、化学反
応には直接的に関与せず、化学反応が行なわれる場(反
応場)を形成する液体物質を指すものとする。
【0017】上記方法では、上記カルボン酸として、カ
ルボキシル基を有する共役ジエン(共役ジエンカルボン
酸;少なくとも1つのカルボキシル基を有する共役ジエ
ン)を用い、上記アミンおよびアンモニアからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の化合物として、次式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
ール基を表す)で表される第1級アミンを用いると、固
相での重合により層状結晶を生成可能なカルボン酸アン
モニウムの結晶を得ることができる。
【0018】また、上記カルボン酸の結晶として、カル
ボキシル基を有する共役ジエンの重合体の結晶を用いる
と、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状
結晶に対して、アミンおよびアンモニアからなる群より
選ばれる少なくとも1種の化合物がゲスト化合物として
インターカレートされた(ポリ)カルボン酸アンモニウ
ムの結晶を得ることができる。
【0019】また、上記方法では、上記カルボン酸の結
晶として、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体
の層状結晶を用い、上記アミンおよびアンモニアからな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物として、次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
を表す)で表される第1級アミンを用いた場合、カルボ
ン酸アンモニウムの重合体の層状結晶を得ることができ
る。
【0020】また、この場合、液体媒質を用いないこと
で、従来の分散媒に分散させる方法のように、重合体の
結晶が反応中に分散媒によって膨潤したり、溶解したり
することがない。それゆえ、従来の分散媒を用いた方法
では実現できなかった、分岐構造を持つアルキル第1級
アミンや官能基を含む第1級アミンをカルボン酸の重合
体の結晶の層間にインターカレートすることが可能とな
る。したがって、従来の分散媒を用いた方法では合成で
きない、分岐構造を持つアルキル第1級アミンや官能基
を含む第1級アミンが層状結晶の層間にインターカレー
トされた状態の新規なカルボン酸アンモニウムの重合体
の層状結晶の合成に応用できる。
【0021】なお、「官能基」とは、炭化水素基以外の
基を指すものとする。
【0022】また、本発明のカルボン酸アンモニウムの
結晶の製造方法は、上記の課題を解決するために、カル
ボキシル基を有する共役ジエンと、次式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
ール基を表す)で表される第1級アミンとを、液体媒質
の非存在下で混合し、アンモニウムカルボキシレート基
を有する共役ジエンの結晶を得る第1のステップと、ア
ンモニウムカルボキシレート基を有する共役ジエンの結
晶を固相で重合させ、アンモニウムカルボキシレート基
を有する共役ジエンの重合体の層状結晶を得る第2のス
テップと、アンモニウムカルボキシレート基を有する共
役ジエンの重合体の層状結晶を加熱することによりアン
モニウムイオンを脱離させ、カルボキシル基を有する共
役ジエンの重合体の層状結晶を得る第3のステップと、
カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶
と、次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
を表す)で表される第1級アミンとを、液体媒質の非存
在下で混合する第4のステップとを含むことを特徴とし
ている。
【0023】上記方法では、第4のステップで、カルボ
ン酸アンモニウムの重合体の層状結晶が生成する。
【0024】上記方法によれば、全てのステップで、結
晶状態で反応を行う。結晶状態での反応は、結晶という
最も制御された反応場での反応であるため、立体特異的
な反応が進行し、単一の生成物を得ることができる。
【0025】また、上記方法によれば、全てのステップ
で溶媒や分散媒のような液体媒質を反応に使用しないの
で、液体媒質の分離操作や再結晶が不要である。
【0026】したがって、上記方法によれば、カルボン
酸アンモニウムの重合体の層状結晶を簡便に製造するこ
とができる。
【0027】さらに、上記方法によれば、液体媒質を用
いないことで、従来の分散媒に分散させる方法のよう
に、重合体の結晶が反応中に分散媒によって膨潤した
り、溶解したりすることがない。それゆえ、上記方法に
よれば、従来の分散媒を用いた方法では実現できなかっ
た、分岐構造を持つアルキル第1級アミンや官能基を含
む第1級アミンをカルボン酸の重合体の結晶の層間にイ
ンターカレートすることが可能となる。したがって、上
記方法は、従来の分散媒を用いた方法では合成できな
い、分岐構造を持つアルキル第1級アミンや官能基を含
む第1級アミンが層状結晶の層間にインターカレートさ
れた状態の新規なカルボン酸アンモニウムの重合体の層
状結晶の合成に応用できる。
【0028】なお、第2のステップにおける固相での重
合は、アンモニウムカルボキシレート基を有する共役ジ
エンの結晶に対して固相で放射線を照射することにより
行ってもよく、アンモニウムカルボキシレート基を有す
る共役ジエンの結晶を、結晶状態を保持したまま熱重合
することにより行ってもよい。
【0029】また、本発明のカルボン酸アンモニウムの
結晶の製造方法は、上記の課題を解決するために、カル
ボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶と混
合する化合物として、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を光応
答性基として持つアミンを用い、このアミンをゲスト化
合物として層状結晶にインターカレートさせることを特
徴としている。
【0030】上記方法によれば、カルボキシル基を有す
る共役ジエンの重合体の層状結晶(層状の結晶性高分
子)に対して、上記2価基を持つアミンがゲスト化合物
としてインターカレートされたカルボン酸アンモニウム
の結晶、すなわち本発明にかかる光応答性高分子(後
述)を簡便に製造することができる。
【0031】本発明に係る光応答性高分子は、上記の課
題を解決するために、カルボキシル基を有する重合体
(特に、ポリムコン酸、ポリソルビン酸)の層状結晶
(層状の結晶性高分子)中に、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を光応
答性基として持つアミンがゲスト化合物としてインター
カレートされた層状の高分子であることを特徴としてい
る。
【0032】上記構成によれば、アゾ基(−N=N−)
を含む2価基を光応答性基として持つアミンをインター
カレートしているので、光照射によりアゾ基がシス−ト
ランス異性化して上記2価基が構造変化することを利用
して、層状の結晶性高分子に対して上記2価基の構造変
化に応じた結晶構造の変化、例えば層間距離の変化など
を起こさせることができる。したがって、本発明によれ
ば、光応答(光照射に対する応答)をして結晶構造が可
逆的に変化しうる新規な結晶性の光機能性高分子を提供
できる。本発明にかかるアゾ基を含む光機能性高分子
は、光照射条件に応じてその層間距離が可逆的に変化す
るので、光メモリー材料、記録材料に用いる光機能性材
料、電気・電子材料に用いる光機能性材料等として使用
できると考えられる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について説
明すれば、以下の通りである。
【0034】本発明のカルボン酸アンモニウムの結晶の
製造方法では、カルボン酸の結晶を、液体媒質の非存在
下で、すなわち溶媒で溶解させたり分散媒で分散させた
りすることなく結晶状態のままで、アミンおよびアンモ
ニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
混合する。
【0035】上記カルボン酸としては、常温で固体のも
のであればよく、ソルビン酸、クロトン酸、チグリン酸
等の一塩基性不飽和カルボン酸;ムコン酸、マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸
等の二塩基性不飽和カルボン酸;マロン酸、こはく酸、
アジピン酸、シュウ酸等の二塩基性飽和カルボン酸等が
挙げられる。さらに、上記カルボン酸として、カルボキ
シル基を有する重合体、例えばポリムコン酸やポリソル
ビン酸等を用いることも可能である。
【0036】アミンおよびアンモニアからなる群より選
ばれる少なくとも1種の化合物としては、特に限定され
るものではなく(常温で固体でも液体でも気体でもよ
い)、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミ
ン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、オクチルア
ミン、ベンジルアミン、ドデシルアミン、1−ナフチル
メチルアミン等の第1級アミン;第2級アミン;第3級
アミン;アンモニア等が挙げられる。
【0037】ここで、上記カルボン酸として、ソルビン
酸やムコン酸等のような、共役ジエン部分を有するカル
ボン酸(カルボキシル基を有する共役ジエン)を用い、
上記アミンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少
なくとも1種の化合物として、次式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
ール基を表す)で表される第1級アミン(以下、アミン
(A)と称する)を用いると、固相での重合により層状
結晶を生成可能なカルボン酸アンモニウムの結晶を得る
ことができる。
【0038】アミン(A)としては、液体でも固体でも
気体でもよく、特に限定されるものではない。上記アミ
ン(A)としては、オクチルアミン、ベンジルアミン、
ドデシルアミン、1−ナフチルメチルアミン、n−ペン
チルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミ
ン、デシルアミン等が挙げられる。これらのうち、アミ
ン(A)として、カラム構造を作り易い分子構造を持つ
アミン、具体的には、ベンジルアミン、ドデシルアミ
ン、および1−ナフチルメチルアミンからなる群より選
択される少なくとも1種の化合物が好ましく、1−ナフ
チルメチルアミンが特に好ましい。
【0039】また、Rで表される基は、炭素数7以上の
直鎖アルキル基、またはアリール基であることがより好
ましく、炭素数9以上の直鎖アルキル基、またはアリー
ル基であることがさらに好ましい。
【0040】また、上記カルボン酸の結晶として、ソル
ビン酸やムコン酸等のような、共役ジエン部分を有する
カルボン酸(カルボキシル基を有する共役ジエン)の重
合体の結晶を用いると、ホスト種としてのカルボキシル
基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶に対して、ア
ミンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少なくと
も1種の化合物がゲスト種(ゲスト化合物)として層状
結晶の層間にインターカレートされた構造の結晶(カル
ボン酸アンモニウムの重合体の結晶)を得ることができ
る。
【0041】カルボキシル基を有する共役ジエンの重合
体の層状結晶と混合する化合物としては、特に限定され
るものではなく、第1級アミン;N−メチルベンジルア
ミン等の第2級アミン;N,N−ジメチルドデシルアミ
ン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルベンジルア
ミン等の第3級アミン等が挙げられる。これらのうち、
次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
(炭素数1以上)を表す)で表される第1級アミンが好
ましい。
【0042】また、上記カルボン酸の結晶として、ソル
ビン酸やムコン酸等のような、共役ジエン部分を有する
カルボン酸(カルボキシル基を有する共役ジエン)の重
合体の結晶を用い、上記アミンおよびアンモニアからな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物として、次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
(炭素数1以上)を表す)で表される第1級アミン(以
下、アミン(B)と称する)を用いると、カルボン酸ア
ンモニウムの重合体の層状結晶を得ることができる。
【0043】上記アミン(B)としては、前記の式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
ール基を表す)で表される第1級アミン以外に、メチル
アミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチ
ルアミン等のような炭素数5未満の直鎖アルキル第1級
アミン;イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、t
ert−ブチルアミン等のような分岐を持つ第1級アミ
ン;シクロヘキシルアミン等のような環状構造を持つ第
1級アミン;ヘキサメチレンジアミン等のジアミン;エ
タノールアミンやアミノ酸等のような官能基を含む第1
級アミンを使用することもできる。
【0044】カルボン酸とアミンとの使用量の比は、理
論量比、すなわちカルボン酸が有するカルボキシル基と
アミンが有するアミノ基の数が等しくなるようにするこ
とが好ましい。
【0045】カルボン酸の結晶と、常温で固体または液
体のアミンとの混合方法としては、乳鉢中ですりつぶし
ながら混合する方法が好ましい。混合時間は、特に限定
されるものではなく、例えば、乳鉢中ですりつぶしなが
ら混合する場合には30分間程度で十分である。
【0046】次に、本発明の方法を用いて、カルボキシ
ル基を有する共役ジエンと第1級アミンとから、各種の
第1級アミンが層間にインターカレートされたポリカル
ボン酸アンモニウムの層状結晶を得る方法について説明
する。ここでは、カルボキシル基を有する共役ジエンと
して、(Z,Z)−ムコン酸を用いた場合を例に挙げて
説明する。
【0047】まず、第1のステップでは、カルボキシル
基を有する共役ジエンとしての(Z,Z)−ムコン酸の
結晶と、前記のアミン(A)とを、液体媒質の非存在下
で混合する。これにより、次式
【0048】
【化1】
【0049】で示すように、アンモニウムカルボキシレ
ート基を有する共役ジエンとしての(Z,Z)−ムコン
酸アンモニウムの結晶が生成する。
【0050】(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムの結晶
は、図1の(a)に示すように、(Z,Z)−ムコン酸
アンモニウム分子1がスタッキングしてできるカラム構
造がみられる。すなわち、(Z,Z)−ムコン酸アンモ
ニウムの結晶は、(Z,Z)−ムコン酸アニオン分子3
と第2級アンモニウムイオン(RCH2NH3 +)分子2
とが層状に配列された状態でイオン結合することで、形
成されている。(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムの結
晶内では、互いに平行な複数の平面(層)上にそれぞれ
複数の(Z,Z)−ムコン酸アニオン分子3の中心が揃
い、共役π平面を形成する。また、各(Z,Z)−ムコ
ン酸アニオン分子3および各第2級アンモニウムイオン
分子2は、上記平面に対して垂直に配向する。
【0051】(Z,Z)−ムコン酸の結晶は、アミン
(A)との接触面積を大きくして反応速度を高めるため
に結晶サイズを小さくすることが望ましい。したがっ
て、(Z,Z)−ムコン酸の結晶と第1級アミンとの混
合方法としては、乳鉢中ですりつぶしながら混合する方
法が好ましい。混合時間は、特に限定されるものではな
く、例えば、乳鉢中ですりつぶしながら混合する場合に
は30分間程度で十分である。
【0052】(Z,Z)−ムコン酸とアミン(A)との
使用量の比は、理論量比、すなわちムコン酸1モル当た
りのアミン(A)の使用量が2モルとなるような比にす
ることが好ましい。
【0053】次に、第2のステップでは、次に、第2の
ステップでは、アンモニウムカルボキシレート基を有す
る共役ジエンとしての(Z,Z)−ムコン酸アンモニウ
ムの結晶を、結晶状態に保持しながら固相で重合させ
る。これにより、(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムが
ラジカル連鎖反応機構で重合し、次式
【0054】
【化2】
【0055】で示すように、2,5−ポリムコン酸アン
モニウムが生成する。なお、上記式中、nは繰り返し構
造単位の数を表す。nは、GPC(ゲル浸透クロマトグ
ラフィー)により確認でき、一般に10〜10,00
0,000の範囲内、典型的には、100〜100,0
00である。
【0056】このとき、(Z,Z)−ムコン酸アンモニ
ウムの結晶内では、前述したようにムコン酸アニオン分
子3が層状に配列されている。そのため、重合反応は、
この層状配列(結晶格子)の支配下で、単量体分子が結
晶内において最小限の動きを伴って重合するトポケミカ
ル(topochemical)重合となる。その結果、高分子量で、
かつ、繰り返し構造単位中の立体中心が全て制御され
た、高度な立体規則性を持つ2,5−ポリムコン酸アン
モニウムの層状結晶が生成する。したがって、上記固相
重合により得られる重合体(2,5−ポリムコン酸アン
モニウム)の結晶は、単量体((Z,Z)−ムコン酸ア
ンモニウム)の結晶と同一の空間対称性を持ち、また、
この重合体中の繰り返し構造単位の重心は、単量体の重
心とほぼ一致する。
【0057】上記の2,5−ポリムコン酸アンモニウム
の層状結晶は、図1の(b)に示すように、2,5−ポ
リムコン酸アニオン(カルボキシレートイオン)分子4
で形成された複数の層(ポリカルボン酸層)の間に第2
級アンモニウムイオン(カウンターアンモニウムカチオ
ン)分子2がインターカレートされ、第2級アンモニウ
ムイオン分子2が完全配向した構造を持つ。このとき、
2,5−ポリムコン酸アンモニウムの層状結晶の層間隔
d1は、アミン(A)の炭素鎖の長さに応じて変化す
る。
【0058】上記重合体の結晶中には、単量体の結晶構
造内に形成されている水素結合ネットワークと同様の規
則正しい水素結合ネットワークが形成される。この水素
結合ネットワークは、結晶構造解析の結果より確認され
ており、また、幾つかのパターンに分類できることが分
かっている(J. Am. Chem. Soc., 121(48), 11122-1112
9 (1999)参照)。
【0059】以上のように、分子間の相互作用を利用し
て、ジエン部分が重合に都合の良いようにスタッキング
するよう分子配列をデザインしたトポケミカル重合によ
り、立体規則性だけでなく二次元構造も制御された重合
体を合成できる。
【0060】上記固相重合はX線照射により非常に速く
進行するが、イメージプレートやCCD(電荷結合素
子)カメラシステムを搭載した迅速解X線結晶構造解析
により、固相重合前後の結晶構造の変化を解析すること
が可能である。この迅速解X線結晶構造解析とNMR
(核磁気共鳴)スペクトル測定の結果より、得られる重
合体は、メゾ−ジイソタクチックトランス−2,5−構
造を持つ立体規則性重合体であることが確認されてい
る。
【0061】上記固相重合は、アンモニウムカルボキシ
レート基を有する共役ジエンとしての(Z,Z)−ムコ
ン酸アンモニウムの結晶に対し、固相で放射線を照射す
る方法(以下、「放射線重合法」と称する)で行っても
よく、アンモニウムカルボキシレート基を有する共役ジ
エンとしての(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムの結晶
をその結晶状態を保ちながら熱重合させる方法(以下、
「熱重合法」と称する)で行ってもよく、これらを併用
してもよい。放射線重合法と熱重合法とを比較すると、
得られる結晶の純度の点では放射線重合法(特にX線や
γ線を用いた場合)が有利である。一方、熱重合法は、
放射線重合法と比べて、大掛かりな反応装置を必要とし
ない、X線やγ線等を用いた場合のような被爆の危険性
が全くなく安全性が高い、といった利点がある。
【0062】上記放射線重合法に用いる放射線として
は、紫外線、X線、γ線等が挙げられる。透過性の高い
X線やγ線を用いた場合、結晶全体で均一に開始反応が
起こり、歪みや欠陥が特に少ない重合体結晶が作成でき
る。
【0063】また、上記熱重合法における加熱温度は、
(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムが重合を開始する温
度であればよいが、(Z,Z)−ムコン酸アンモニウム
の融点または分解温度より低いことが好ましい。これに
より、(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムを結晶状態に
保持したまま熱重合を行うことができる。ここで、上記
モノマーの融点より低い温度は、(Z,Z)−ムコン酸
アンモニウムが融解を開始する温度より低いことが好ま
しい。さらに、(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムの分
解温度より低い温度は、(Z,Z)−ムコン酸アンモニ
ウムが分解を開始する温度より低いことが好ましい。さ
らに、熱重合における温度は、(Z,Z)−ムコン酸ア
ンモニウムが分解を開始する温度以上の場合には、
(Z,Z)−ムコン酸アンモニウムの重合の速度が速
く、かつ上記重合の速度と分解の速度と差が大きい温度
であることが好ましい。
【0064】次に、第3ステップでは、アンモニウムカ
ルボキシレート基を有する共役ジエンとしての2,5−
ポリムコン酸アンモニウムの結晶を加熱することにより
熱分解させる。これにより、次式
【0065】
【化3】
【0066】で示すように、アンモニウムイオンがアミ
ンとして脱離し、2,5−ポリムコン酸アンモニウムの
結晶が、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の
層状結晶としての2,5−ポリムコン酸の層状結晶に変
換される。
【0067】なお、2,5−ポリムコン酸アンモニウム
の結晶を2,5−ポリムコン酸の層状結晶に変換する方
法としては、塩酸等の酸を用いて加水分解する方法など
を採用してもよいが、液体媒質を使用しない点で、上記
の熱分解による方法が好ましい。酸を用いて加水分解す
る方法としては、例えば、2,5−ポリムコン酸アンモ
ニウムの結晶を塩酸のメタノール溶液(水を含む)また
は水溶液に含浸させる方法がある。
【0068】上記の変換により得られた2,5−ポリム
コン酸の層状結晶は、図1の(c)に示すように、多数
のポリマーシート4’からなり、アンモニウムイオンを
可逆的に出し入れできる有機インターカレーション化合
物として機能する。すなわち、2,5−ポリムコン酸の
層状結晶は、種々のアミンをゲストとして取り込むこと
ができる有機インターカレーションのホスト化合物(有
機インターカレーション化合物)として有用である。一
般的なインターカレート材料(インターカレーションに
用いられる材料)は、グラファイト、金属酸化物、粘度
鉱物等に代表される無機材料であるが、本発明に係る
2,5−ポリムコン酸の層状結晶は、そのような一般的
なインターカレート材料とは異なり、有機物質のみで構
成されたインターカレート材料である。
【0069】最後に、第4のステップでは、2,5−ポ
リムコン酸の層状結晶と、前記のアミン(B)とを、液
体媒質の非存在下で混合する。これにより、次式
【0070】
【化4】
【0071】で示すように、アンモニウムカルボキシレ
ート基を有する共役ジエンの重合体の結晶(アンモニウ
ムイオンを層間にインターカレートした層状結晶)とし
ての、2,5−ポリムコン酸アンモニウムの結晶が再度
生成する。
【0072】この2,5−ポリムコン酸アンモニウムの
結晶は、図1の(d)に示すように、2,5−ポリムコ
ン酸アニオン(カルボキシレートイオン)分子4で形成
された複数の層の間に、アミン(B)の分子5’が第2
級アンモニウムイオン分子5としてインターカレートさ
れた層状結晶構造を持つ。
【0073】2,5−ポリムコン酸の結晶とアミン
(B)との使用量の比は、収率の向上のためには2,5
−ポリムコン酸のカルボキシル基1モル当たりのアミン
(B)の使用量が2モル以上となるような比にすること
が好ましく、アミン(B)理論量比、すなわち2,5−
ポリムコン酸のカルボキシル基1モル当たりのアミン
(B)の使用量が2モルとなるような比にすることが最
も好ましい。
【0074】このとき、アミン(B)の炭素鎖の長さを
変えると、2,5−ポリムコン酸アンモニウムの層状結
晶の層間隔d2もそれに応じて変化する。したがって、
例えば、アミン(B)の炭素鎖の長さがアミン(A)の
炭素鎖の長さより短い場合、第4のステップで得られる
層状結晶の層間隔d2は、図1の(d)に示すように、
第2のステップで得られる層状結晶の層間隔d1より短
くなる。
【0075】上記の第4ステップのインターカレーショ
ンによれば、アミン(B)として、特定の機能を発現す
る官能基を有するアミンを使用することで、特定の機能
を発現する官能基を2,5−ポリムコン酸結晶(図2の
ポリマーシート4’)内に導入することができる。特定
の機能を発現する官能基を有するアミンを2,5−ポリ
ムコン酸の層状結晶内に導入した結晶は、様々な機能性
高分子結晶としての応用が考えられ、例えば、光学分
割、分子認識、有機磁性体、イオン伝導性材料、光応答
性材料、刺激応答性材料、光反応性材料などとしての展
開が期待できる。
【0076】具体的には、アミン(B)として、キラル
炭素を持つアミンを用いると、キラル炭素を持つアミン
が2,5−ポリムコン酸の層状結晶の層間にインターカ
レートされた機能性高分子結晶が得られる。例えば、図
2に示すように、式(1)(式中、R1およびR2は互い
に異なる炭化水素基、Xは炭化水素二価基を表す)で表
される、キラル炭素に結合した水酸基を持つアミンを用
いると、このアミンが層状結晶(図2の2,5−ポリム
コン酸アニオン分子4)の層間にインターカレートされ
た機能性高分子結晶が得られる。この機能性高分子結晶
は、(R)−アルコールと(S)−アルコールとの混合
物から、どちらか一方のアルコールのみを取り出す光学
分割や、分子認識などに使用できると考えられる。
【0077】また、アミン(B)として、大きな磁性モ
ーメントを持つアミン、例えば、図2に示すように、式
(2)(式中、Xは炭化水素二価基を表す)で表され
る、アミンオキシド部分を持つアミンを用いると、この
アミンが2,5−ポリムコン酸の層状結晶の層間にイン
ターカレートされた機能性高分子結晶が得られる。この
機能性高分子結晶は、有機磁性体として使用できると考
えられる。
【0078】また、アミン(B)として、ポリオキシエ
チレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を持つアミン、例
えば、図2に示すように、式(3)(式中、Xは炭化水
素二価基、nは2以上の整数を表す)で表される、ポリ
オキシエチレン鎖を持つ第1級アミンを用いると、この
アミンが2,5−ポリムコン酸の層状結晶の層間にイン
ターカレートされた機能性高分子結晶が得られる。この
機能性高分子結晶は、Liイオン等のイオンを伝導する
イオン伝導性材料や、導電性材料として使用できると考
えられる。
【0079】また、アミン(B)として、窒素−窒素二
重結合を持つアミン、例えば、図2に示すように、式
(4)(式中、Xは炭化水素二価基を表す)で表され
る、アゾ基を持つアミンを用いると、このアミンが2,
5−ポリムコン酸の層状結晶の層間にインターカレート
された機能性高分子結晶が得られる。この機能性高分子
結晶は、図2に示すように、光エネルギーによって、イ
ンターカレートされたアミン(アンモニウムイオン)の
配向が変化し、層間距離が変化すると考えられる。した
がって、機能性高分子結晶は、この光応答性材料や刺激
応答性材料として使用できると考えられる。すなわち、
アミン(B)として窒素−窒素二重結合を持つアミンを
用いることにより、光応答性材料や刺激応答性材料とし
て使用可能な機能性高分子結晶が得られる。この機能性
高分子結晶については、後段で詳細に説明する。
【0080】また、アミン(B)として、炭素−炭素不
飽和結合を持つアミン、例えば、図2に示すように、式
(5)(式中、Xは炭化水素二価基、R3は炭化水素基
を表す)で表される、ビニル基を持つアミンを用いる
と、このアミンが2,5−ポリムコン酸の層状結晶の層
間にインターカレートされた機能性高分子結晶が得られ
る。この機能性高分子結晶は、光反応性材料や、特異な
反応場を提供する材料として使用できると考えられる。
【0081】以上のようにして、単量体((Z,Z)−
ムコン酸アンモニウム)の合成から、単量体の重合、
2,5−ポリムコン酸アンモニウムから2,5−ポリム
コン酸への変換、2,5−ポリムコン酸へのアンモニウ
ムイオンのインターカレーション、と全てのステップに
おいて、液体媒質を反応に使用することなく、任意のア
ミン(B)が層間にインターカレートされた2,5−ポ
リムコン酸の層状結晶を得ることができる。
【0082】なお、ここでは、カルボキシル基を有する
共役ジエンとして(Z,Z)−ムコン酸を用いた場合に
ついて説明したが、(Z,Z)−ムコン酸に代えて、
(E,E)−ムコン酸や(E,Z)−ムコン酸等のよう
な他のα,β−不飽和二塩基性カルボン酸;ソルビン酸
等のようなα,β−不飽和一塩基性カルボン酸等を用い
ることもできる。
【0083】(Z,Z)−ムコン酸に代えて(E,E)
−ムコン酸を用いた場合、第2ステップにおいて、
(Z,Z)−ムコン酸を用いた場合と同一の構造の重合
体が得られる。これは、第1のステップで同じ方向を向
いた単量体がカラム状にスタッキングするためであり、
結晶構造のモデルから確認されている。
【0084】また、カルボキシル基を有する共役ジエン
として(Z,Z)−ムコン酸に代えて(E,E)−ムコ
ン酸またはソルビン酸を用いる場合、アミン(A)とし
て、1−ナフチルメチルアミンを用いることが好まし
い。
【0085】次に、前記の機能性高分子結晶、すなわち
本発明にかかる光応答性高分子について、詳細に説明す
る。
【0086】本発明に係る光応答性高分子は、前述した
カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶
と、アミンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少
なくとも1種の化合物とを液体媒質の非存在下で混合す
るカルボン酸アンモニウムの結晶の製造方法において、
カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶
と混合する化合物として、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− …(6) (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を持つ
アミンを用いる方法によって得ることができる。上記方
法によれば、上記カルボン酸アンモニウムの結晶とし
て、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状
結晶(層状の結晶性高分子)に対して、上記光応答性基
を持つアミンがゲスト化合物としてインターカレートさ
れた本発明にかかる光応答性高分子が得られる。
【0087】本発明に係る光応答性高分子は、カルボキ
シル基を有する高分子の層状結晶(層状の結晶性高分
子)に対して、前記一般式(6)で表される2価基を持
つアミン(以下、「光応答性基含有アミン」と称する)
がゲスト化合物としてインターカレートされたものであ
る。
【0088】上記のカルボン酸を有する層状の結晶性高
分子としては、層状構造をもち、カルボン酸を含む結晶
性高分子であれば、特に制限なく用いることができる。
すなわち、カルボン酸を有する層状の結晶性高分子は、
共役ジエンカルボン酸から誘導される結晶性高分子に限
らず、共役ジエンカルボン酸から誘導される結晶性高分
子以外の、層状構造をもち、カルボン酸を含む結晶性高
分子でもよい。ただし、カルボン酸を有する層状の結晶
性高分子としては、共役ジエンカルボン酸から誘導され
る結晶性高分子(カルボキシル基を有する共役ジエンの
重合体の層状結晶)、例えばポリムコン酸結晶やポリソ
ルビン酸結晶、ポリブタジエンカルボン酸結晶などが好
ましく、ポリムコン酸結晶およびポリソルビン酸結晶が
さらに好ましい。
【0089】上記光応答性基含有アミンとしては、イン
ターカレーション反応が起こり易いことから、1級アミ
ンが好ましい。
【0090】また、上記光応答性基含有アミンとして
は、芳香環に直接アミノ基が結合しているアミン等のよ
うな塩基性が低いアミンではインターカレーション反応
が起こりにくいことから、前記一般式(6)で表される
2価基とアミノ基との間に少なくとも1つの飽和炭化水
素二価基がスペーサーとして介在していることが好まし
い。これにより、光応答性基含有アミンが十分な塩基性
を持ち、インターカレーション反応が進行しやすくな
る。
【0091】また、前記一般式(6)においてArおよ
びAr’で示す芳香族炭化水素2価基としては、特に限
定されるものではなく、2個以上のベンゼン環がつなが
ったものでもよい。上記ArおよびAr’で示す芳香族
炭化水素2価基としては、具体的には、1,4−フェニ
レン基等のフェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン
基等が挙げられるが、1,4−フェニレン基が特に好ま
しい。
【0092】上記光応答性基含有アミンとしては、次の
一般式 Y−Ar−N=N−Ar−X1−R4−NH2 (上記式中、R4は、その位置に炭化水素2価基が存在
するか、あるいはその位置に置換基が存在しないことを
表し、X1は、その位置にヘテロ原子を含む2価基が存
在するか、あるいはその位置に置換基が存在しないこと
を表し、Yは、水素原子または任意の置換基を表す)で
表されるモノアミン(以下、「光応答性基含有モノアミ
ン」と称する)、または次の一般式 H2N−R4−X1−Ar−N=N−Ar−X1−R4−N
2 (上記式中、R4は、それぞれ独立して、その位置に炭
化水素2価基が存在するか、あるいはその位置に置換基
が存在しないことを表し、X1は、それぞれ独立して、
その位置にヘテロ原子を含む2価基が存在するか、ある
いはその位置に置換基が存在しないことを表す)で表さ
れるジアミン(以下、「光応答性基含有ジアミン」と称
する)が特に好ましい。
【0093】上記R4における飽和炭化水素2価基は、
直鎖の脂肪族飽和炭化水素2価基に代表される脂肪族炭
化水素2価基でもよく、シクロヘキシレン基に代表され
る脂環式炭化水素2価基でもよい。上記R4は、次の一
般式 −(CH2)n− (上記式中、nは0から18までの整数を表す)で表さ
れる2価基であることが好ましい。すなわち、上記R4
は、その位置に炭素数0〜18の直鎖のアルキレン基
(脂肪族飽和炭化水素2価基)が存在するか、あるいは
その位置に置換基が存在しないことを表すことが好まし
い。さらに、上記nは、より好ましくは1以上12以下
である。すなわち、R4の位置には、スペーサー基とし
て直鎖のアルキレン基が存在することが好ましく、スペ
ーサー基の炭素数(メチレン炭素の数)nは、12以下
であることが好ましい。
【0094】上記X1におけるヘテロ原子を含む2価基
としては、主鎖にヘテロ原子を含む2価基、例えば、−
O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CONH
−、−NHCO−、−CONHCO−、−NHCONH
−、−OCONH−、−NHCOO−などが好ましい。
【0095】上記Yは、特に限定されるものではなく、
水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基(−C
N)などが挙げられる。上記アルキル基としては、例え
ば−(CH2nCH3(メチレン炭素の数nは、0〜1
8、より好ましくは1以上12以下)で表される直鎖の
アルキル基が挙げられ、上記アルコキシ基としては、例
えば−O(CH2nCH3(メチレン炭素の数nは、0
〜18、より好ましくは1以上12以下)で表される置
換基が挙げられる。また、上記Yは、−(OCH2
2nOCH3(メチレン炭素の数nは、0〜18、よ
り好ましくは1以上12以下)で表される置換基であっ
てもよい。
【0096】上記光応答性基含有アミンは、市販されて
いるアゾ基含有化合物から合成することができる。例え
ば、光応答性基含有モノアミンの1種である4−(フェ
ニルアゾ)ベンジルアミンは、市販のアゾベンゼン−4
−カルボニルクロリドから、次のスキーム(A)により
製造できる。
【0097】
【化5】
【0098】また、光応答性基含有モノアミンの1種で
ある4−(11−アミノウンデシルオキシ)アゾベンゼ
ン(別名「11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオキ
シ]ウンデシルアミン」)は、市販の4−フェニルアゾ
フェノールと市販の11−ブロモウンデカン酸とから、
次のスキーム(B)により製造できる。
【0099】
【化6】
【0100】また、光応答性基含有モノアミンの1種で
あるN−(6−アミノヘキシル)アゾベンゼンカルボキ
サミドは、次のスキーム(C)に示すように、市販のア
ゾベンゼン−4−カルボニルクロリドと市販のヘキサメ
チレンジアミンとを反応させることにより、製造でき
る。また、他のN−(アミノアルキル)アゾベンゼンカ
ルボキサミドも、同様の手法で、対応するアルキレンジ
アミンを用いて製造できる。
【0101】
【化7】
【0102】また、光応答性基含有ジアミンの1種であ
る4,4’−ジ(アミノメチル)アゾベンゼン(別名
「4,4’−アゾビス(ベンジルアミン)」)は、次の
スキーム(D)に示すように、市販のアゾベンゼン−
4,4’−ジカルボニルジクロリドとアンモニアとを反
応させた後、水素化リチウムアルミニウムで還元するこ
とにより、製造できる。
【0103】
【化8】
【0104】また、光応答性基含有ジアミンの1種であ
るN,N’−ジ(6−アミノヘキシル)−アゾベンゼン
−4,4’−ジカルボキサミド(別名「4,4’−アゾ
ビス[N−(6−アミノヘキシル)ベンズアミド]」)
は、次のスキーム(E)に示すように、市販のアゾベン
ゼン−4,4’−ジカルボニルジクロリドと市販のヘキ
サメチレンジアミンとを反応させることにより、製造で
きる。また、他の4,4’−アゾビス[N−(アミノア
ルキル)ベンズアミド]も、同様の手法で、対応するア
ルキレンジアミンを用いて製造できる。
【0105】
【化9】
【0106】なお、本発明に係る光応答性高分子は、前
述した製造方法(カルボキシル基を有する共役ジエンの
重合体の層状結晶と、光応答性基含有アミンとを液体媒
質の非存在下で混合する方法)で製造することが望まし
いが、他の方法で製造することも可能である。
【0107】例えば、前述した製造方法では、溶媒を用
いずに液体媒質の非存在下でインターカレーション反応
を行っていたが、結晶性高分子(カルボキシル基を有す
る共役ジエンの重合体の層状結晶)を分散させる分散剤
として溶媒を用いてインターカレーション反応を行って
もよい。分散剤として用いる溶媒としては、アミンが溶
解し、かつ、結晶性高分子が溶解や膨潤しないものであ
ればどのような溶媒を用いてよく、メタノールやイソプ
ロパノール等のアルコールをはじめとして、アセトンや
メチルエチルケトン等のケトン;tert−ブチルメチ
ルエーテル等のエーテル;1,2−ジクロロエタン等の
ハロゲン系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサ
ン等の脂肪族炭化水素等の有機溶媒を用いることがで
き、さらには水も用いることができる。
【0108】また、光応答性基含有アミンと、共役ジエ
ン部分を持つカルボン酸(特に、ムコン酸やソルビン
酸)とを反応させて、共役ジエン部分を持つカルボン酸
のアンモニウム塩をあらかじめ調整し、この共役ジエン
部分を持つカルボン酸アンモニウム結晶の固相重合によ
って、前述した製造方法で得られるのと同様の層状構造
を持つ結晶性高分子を得てもよい。ただし、固相重合反
応性(トポケミカル重合反応性)は、アンモニウム塩誘
導体モノマー(共役ジエン部分を持つカルボン酸アンモ
ニウム)の結晶構造、すなわち結晶中でのモノマー分子
のパッキング様式によって決まるので、全てのアンモニ
ウム塩誘導体モノマーがトポケミカル重合により層状構
造を形成可能なわけではない。したがって、予め調製し
たカルボン酸を有する層状の結晶性高分子に対して光応
答性基を含むアミンをインターカレートさせる前述の製
造方法は、本発明に係る光応答性高分子を得るためのよ
り確実な方法である。
【0109】
【実施例】〔実施例1〕本発明に係る製造方法を用い
て、光固相重合が可能な結晶である(Z、Z)−ムコン
酸ベンジルアンモニウムの結晶の合成を行った。
【0110】(Z、Z)−ムコン酸の結晶0.9291
g(6.54×10-3モル)と、常温で液体であるベン
ジルアミン1.4012g(1.31×10-2モル)と
を、常温で、乳鉢で30分すりつぶし反応させた。
【0111】反応により得られた生成物のIRスペクト
ル(赤外吸収スペクトル)は、カルボキシル基に基づく
1710cm-1の吸収ピークが確認されず、カルボキシ
レートに基づく1560cm-1の吸収ピークが確認され
た。また、反応により得られた生成物は、粉末X線回折
測定において、図3(a)に示すように、溶媒中での反
応後に再結晶によって単離を行う従来の方法で作成した
(Z、Z)−ムコン酸ベンジルアンモニウムの結晶の回
折パターン(図3(b))と同じ回折パターンを示し
た。これらにより、反応が定量的に進行し、(Z、Z)
−ムコン酸ベンジルアンモニウムの結晶が得られたこと
が分かった。
【0112】〔実施例2〕まず、実施例1で合成した
(Z、Z)−ムコン酸ベンジルアンモニウムの結晶に対
し、高圧水銀灯を用いて30℃で8時間、紫外線を照射
した。これにより、(Z、Z)−ムコン酸ベンジルアン
モニウムの光固相重合が進行し、溶媒に不溶の生成物が
得られた。照射終了後、メタノールで未反応の単量体
((Z、Z)−ムコン酸ベンジルアンモニウム)を抽出
し、生成物を単離した。
【0113】単離された生成物のIRスペクトルにおい
て、図4の曲線Aに示すように、共役ジエンによる15
80cm-1の吸収ピークが消失したことにより、(Z、
Z)−ムコン酸ベンジルアンモニウムが重合し、2,5
−ポリムコン酸ベンジルアンモニウムの結晶が生成した
ことが確認された。2,5−ポリムコン酸ベンジルアン
モニウムの収率は3%であった。なお、紫外線照射時間
を8時間から72時間に変更したところ、2,5−ポリ
ムコン酸ベンジルアンモニウムの収率は、30%まで向
上した。
【0114】次に、2,5−ポリムコン酸ベンジルアン
モニウムの結晶を、減圧(真空)下、250℃で2時間
加熱することにより熱分解させた。
【0115】熱分解により得られた生成物のIRスペク
トルは、図4の曲線Bに示すように、カルボキシレート
に基づく1560cm-1の吸収ピークが確認されず、カ
ルボキシル基に基づく1710cm-1の吸収ピークが確
認された。また、粉末X線回折測定において、生成物
は、従来の方法((Z、Z)−ムコン酸とベンジルアミ
ンとを溶媒中で混合した後に再結晶により(Z、Z)−
ムコン酸ベンジルアンモニウムを単離し、次いで、
(Z、Z)−ムコン酸ベンジルアンモニウムを光固相重
合し、塩酸を用いて加水分解する方法)で作成した2,
5−ポリムコン酸の結晶と同じ回折パターンを示した。
これにより、2,5−ポリムコン酸ベンジルアンモニウ
ムの結晶が2,5−ポリムコン酸の結晶に変換され、高
度に立体規制された2,5−ポリムコン酸結晶が得られ
たことが分かった。
【0116】次に、実施例1と同様にして、2,5−ポ
リムコン酸の結晶0.0687gに、ベンジルアミン
0.1036g(2,5−ポリムコン酸の繰り返し構造
単位1モル当たり2モルとなる量、つまり2,5−ポリ
ムコン酸のカルボキシル基1モル当たり1モルとなる
量)を加え、乳鉢で30分すりつぶし反応させた。
【0117】反応により得られた生成物のIRスペクト
ルは、図4の曲線Cに示すように、カルボキシル基に基
づく1710cm-1の吸収ピークが確認されず、カルボ
キシレートに基づく1560cm-1の吸収ピークが確認
された。また、反応により得られた生成物は、粉末X線
回折測定において、分散媒中でのインターカレート後に
再結晶によって単離を行う従来の方法で作成した、ベン
ジルアミンが層間にインターカレートされた2,5−ポ
リムコン酸結晶の回折パターンと同じ回折パターンを示
した。
【0118】これらにより、定量的にインターカレーシ
ョンが進行し、ベンジルアミンが層間にインターカレー
トされた2,5−ポリムコン酸の結晶、すなわち2,5
−ポリムコン酸ベンジルアンモニウムの結晶が得られた
ことが分かった。
【0119】〔実施例3〕本発明に係る製造方法を用い
て、光固相重合が可能な結晶である(Z、Z)−ムコン
酸ドデシルアンモニウム塩の合成を行った。
【0120】(Z、Z)−ムコン酸の結晶0.3256
g(2.29×10-3モル)と、常温で固体であるドデ
シルアミン0.8493g(4.58×10-3モル)と
を、常温で、乳鉢で30分すりつぶし反応させた。
【0121】反応により得られた生成物のIRスペクト
ルは、カルボキシル基に基づく1710cm-1の吸収ピ
ークが確認されず、カルボキシレートに基づく1560
cm -1の吸収ピークが確認された。また、粉末X線回折
測定において、溶媒中での反応後に再結晶によって単離
を行う従来の方法で作成した(Z、Z)−ムコン酸ドデ
シルアンモニウムの結晶の回折パターン(図2の
(b))と同じ回折パターンを示した。これらにより、
反応が定量的に進行し、(Z、Z)−ムコン酸ドデシル
アンモニウムの結晶が得られたことが分かった。
【0122】〔実施例4〕まず、実施例3で合成した
(Z、Z)−ムコン酸ドデシルアンモニウムの結晶に対
し、高圧水銀灯を用いて30℃で8時間、紫外線を照射
した。これにより、(Z、Z)−ムコン酸ドデシルアン
モニウムの光固相重合が進行し、溶媒に不溶の生成物が
得られた。照射終了後、メタノールで未反応の単量体
((Z、Z)−ムコン酸ドデシルアンモニウム)を抽出
し、生成物を単離した。
【0123】単離された生成物のIRスペクトルにおい
て、共役ジエンによる1580cm -1の吸収ピークが消
失したことにより、(Z、Z)−ムコン酸ドデシルアン
モニウムが重合し、2,5−ポリムコン酸ドデシルアン
モニウムの結晶が生成したことが確認された。2,5−
ポリムコン酸ドデシルアンモニウムの収率は24%であ
った。なお、紫外線照射時間を8時間から72時間に変
更したところ、2,5−ポリムコン酸ドデシルアンモニ
ウムの収率は、81%まで向上した。
【0124】次に、2,5−ポリムコン酸ドデシルアン
モニウムの結晶を、減圧下、250℃で2時間加熱する
ことにより熱分解させた。
【0125】熱分解により得られた生成物のIRスペク
トルは、カルボキシレートに基づく1560cm-1の吸
収ピークが確認されず、カルボキシル基に基づく171
0cm-1の吸収ピークが確認された。また、粉末X線回
折測定において、生成物は、従来の方法((Z、Z)−
ムコン酸とドデシルアミンとを溶媒中で混合した後に再
結晶により(Z、Z)−ムコン酸ドデシルアンモニウム
を単離し、次いで、(Z、Z)−ムコン酸ドデシルアン
モニウムを光固相重合し、塩酸を用いて加水分解する方
法)で作成した2,5−ポリムコン酸結晶と同じ回折パ
ターンを示した。これにより、2,5−ポリムコン酸ド
デシルアンモニウムが2,5−ポリムコン酸に変換さ
れ、高度に立体規制された2,5−ポリムコン酸の結晶
が得られたことが分かった。
【0126】次に、実施例3と同様にして、2,5−ポ
リムコン酸の結晶0.0774gに、ドデシルアミン
0.2019g(2,5−ポリムコン酸の繰り返し構造
単位1モル当たり2モルとなる量、つまり2,5−ポリ
ムコン酸のカルボキシル基1モル当たり1モルとなる
量)を加え、乳鉢で30分すりつぶし反応させた。
【0127】反応により得られた生成物のIRスペクト
ルは、カルボキシル基に基づく1710cm-1の吸収ピ
ークが確認されず、カルボキシレートに基づく1560
cm -1の吸収ピークが確認された。また、反応により得
られた生成物は、粉末X線回折測定において、分散媒中
でのインターカレート後に再結晶によって単離を行う従
来の方法で作成した、ドデシルアミンがインターカレー
トされた2,5−ポリムコン酸結晶の回折パターンと同
じ回折パターンを示した。粉末X線回折測定の結果によ
れば、層状結晶(2,5−ポリムコン酸の結晶)の層間
距離dは、インターカレーション前は4.8Åであった
のに対し、ドデシルアミンがインターカレートされた後
は32.6Åであった。
【0128】これらにより、定量的にインターカレーシ
ョンが進行し、ドデシルアミンがインターカレートされ
た2,5−ポリムコン酸結晶、すなわち2,5−ポリム
コン酸ドデシルアンモニウムの結晶が得られたことが分
かった。
【0129】〔実施例5〕まず、実施例4と同様にし
て、2,5−ポリムコン酸の結晶を得た。
【0130】次に、実施例4と同様に、2,5−ポリム
コン酸の結晶に、2,5−ポリムコン酸のカルボキシル
基1モル当たり1モルとなる量のtert−ブチルアミ
ンを加え、乳鉢で30分すりつぶし反応させた。
【0131】反応により得られた生成物のIRスペクト
ルは、カルボキシル基に基づく1710cm-1の吸収ピ
ークが確認されず、カルボキシレートに基づく1560
cm -1の吸収ピークが確認された。このIRスペクトル
分析の結果と、粉末X線回折測定の結果とにより、定量
的にインターカレーションが進行し、tert−ブチル
アミンがインターカレートされた2,5−ポリムコン酸
結晶、すなわち2,5−ポリムコン酸tert−ブチル
アンモニウムの結晶が得られたことが分かった。
【0132】〔比較例1〕まず、実施例4と同様にし
て、2,5−ポリムコン酸の結晶を得た。
【0133】次に、従来法、すなわち、2,5−ポリム
コン酸の結晶をメタノールに分散させ、この分散液にt
ert−ブチルアミンを加える方法で、2,5−ポリム
コン酸の結晶へのtert−ブチルアミンのインターカ
レーションを試みた。
【0134】その結果、反応中にポリマーがメタノール
に膨潤あるいは溶解してしまうために目的のアンモニウ
ムの結晶を得ることができなかった。
【0135】以上の実施例5および比較例1から明らか
なように、本発明の方法では、従来法では不可能であっ
た2,5−ポリムコン酸の結晶へのtert−ブチルア
ミンのインターカレーションが可能となった。
【0136】〔実施例6〕 [4-(フェニルアゾ)ベンジルアミンの合成]4−(フ
ェニルアゾ)ベンジルアミンは、前述したように、市販
のアゾベンゼン−4−カルボニルクロリドから、前記ス
キーム(A)により製造できる。
【0137】具体的には、まず、市販品のアゾベンゼン
−4−カルボニルクロリド(東京化成工業株式会社製)
0.197gを15mLのジクロロメタンに溶解させた
溶液を、28重量%アンモニア水2mLに、室温下、ゆ
っくり加えた。一晩、撹拌した後、不溶部をろ別単離
し、水で洗浄した。得られた固体をアセトンから再結晶
することにより、85%の収率でアゾベンゼンカルボキ
サミド(アゾベンゼンカルボン酸アミド)を得た。アゾ
ベンゼンカルボキサミドの構造は、1H NMRスペクト
ルおよび13C NMRスペクトルで確認した。
【0138】アゾベンゼンカルボキサミドのNMRスペ
クトルデータを以下に示す。1 H NMR(アセトン−d6)δ 8.13−8.15
(m,Ar,2H),7.95−7.99(m,Ar,
4H),7.58−7.63(m,Ar,3H),6.
8(br,NH2,2H)13 C NMR(アセトン−d6)δ 168.42(C=
O),155.17,153.68,137.77,1
32.94,130.54,129.87,124.0
4,123.63(Ar)。
【0139】なお、アゾベンゼンカルボキサミドは、ア
ンモニア水のかわりにアンモニアガスを用いる反応によ
っても得られた。すなわち、過剰のアンモニアガスをク
ロロホルム中に吹き込みながら、アゾベンゼン−4−カ
ルボニルクロリドのクロロホルム溶液をゆっくり滴下す
ることによっても、同様の反応収率(85%)で目的と
するアゾベンゼンカルボキサミドが得られた。
【0140】次に、合成したアゾベンゼンカルボン酸ア
ミド0.078g、水素化リチウムアルミニウム0.1
19g、および乾燥したジエチルエーテル5mLをフラ
スコに入れ、34時間還流した。室温に戻し、10mL
の水を慎重にゆっくりと滴下して、過剰の水素化リチウ
ムアルミニウムと反応させた後、さらに一晩撹拌を行っ
た。100mLのジエチルエーテルで3回抽出し、エー
テルを減圧除去した。その後、残渣をシリカゲルクロマ
トグラフィ(展開溶媒:メタノール)により精製するこ
とにより、目的とする4−(フェニルアゾ)ベンジルア
ミンを0.021g(収率29%)得た。4−(フェニ
ルアゾ)ベンジルアミンの構造は、1HNMRスペクト
ルおよび13C NMRスペクトルで確認した。
【0141】4−(フェニルアゾ)ベンジルアミンのN
MRスペクトルデータを以下に示す。1 H NMR(クロロホルム−d)δ 7.89−7.9
2(m,Ar,4H),7.26−7.54(m,A
r,5H),3.94(s,CH2,2H).13 C NMR(クロロホルム−d)δ 152.62,1
51.58,146.42,130.85,129.0
6,127.66,123.08,122.75(A
r),46.21(CH2)。 [2,5−ポリムコン酸結晶の調製]実施例4と同様に
して、2,5−ポリムコン酸の結晶を得た。 [インターカレーション反応]次に、得られた2,5−
ポリムコン酸の結晶への4−(フェニルアゾ)ベンジル
アミンのインターカレーション反応を行った。
【0142】すなわち、実施例4と同様に、2,5−ポ
リムコン酸の結晶79mg(ムコン酸単位0.56mm
ol)と4−(フェニルアゾ)ベンジルアミン236m
g(1.12mmol;理論量比、すなわち[−N
2]/[−CO2H]=2)とを、乳鉢中で、30分間
すりつぶしながら混合、撹拌した。その後、50mLの
ジエチルエーテルで未反応の4−(フェニルアゾ)ベン
ジルアミンを洗浄除去すると、4−(フェニルアゾ)ベ
ンジルアミンをインターカレーションした2,5−ポリ
ムコン酸の結晶が48%収率で得られた。
【0143】インターカレーションの前後における2,
5−ポリムコン酸結晶のIRスペクトル(赤外吸収スペ
クトル)の変化を図5に示す(日本分光株式会社製のフ
ーリエ変換赤外分光光度計「JASCO Hersch
el FT−IR−430」を使用、KBr錠剤法によ
る測定)。図5においては、(a)が2,5−ポリムコ
ン酸結晶のIRスペクトル、(b)が4−(フェニルア
ゾ)ベンジルアミンをインターカレーションした2,5
−ポリムコン酸結晶のIRスペクトルを示す。
【0144】反応後、インターカレーションする前の
2,5−ポリムコン酸に見られた1710cm-1のカル
ボキシル基による吸収が消失し、かわりに1560cm
-1のカルボキシレート(カルボン酸アンモニウム)によ
る吸収が認められた。このことから、2,5−ポリムコ
ン酸結晶へのアミンのインターカレーションにより、カ
ルボキシル基がカルボキシレートに変化していることが
分かった。したがって、本発明に係る光応答性高分子と
してのポリムコン酸4−(フェニルアゾ)ベンジルアン
モニウムの結晶が生成していることがわかった。 [紫外光照射による紫外可視吸収スペルトルの変化]4
−(フェニルアゾ)ベンジルアミンをインターカレーシ
ョンした2,5−ポリムコン酸結晶に、高圧水銀灯(株
式会社東芝製のSHL−100−2型ランプ、100
W)を用いて、室温下、10cmの距離から紫外光照射
を行い、0分から300分まで照射時間を変化させたと
きの紫外可視吸収スペクトル(紫外可視拡散反射スペク
トル)の変化を測定した。この紫外可視吸収スペクトル
は、日本分光株式会社製の紫外可視分光光度計「V−5
50DS」に積分球装置を装備して、固体試料の拡散反
射を測定することにより行った。紫外可視吸収スペクト
ル変化の測定結果を図6に示す。図6に示す曲線は、下
から順に、照射時間0分、照射時間30分、照射時間9
0分、照射時間150分、照射時間300分の場合を示
している。
【0145】その結果、図6に示すように、紫外光照射
時間の増加と共に、450nm付近のシス型アゾベンゼ
ン構造に由来する吸収強度が増大していた。したがっ
て、4−(フェニルアゾ)ベンジルアミンは、紫外光照
射前にはアゾベンゼン部分がトランス体であるが、紫外
光照射によって、アゾベンゼン部分が一部トランス体か
らシス体へと変化していることがわかった。 [紫外光照射による粉末X線回折プロファイルの変化]
紫外光照射(3時間および10時間)による2,5−ポ
リムコン酸結晶の層状構造の変化を、粉末X線回折によ
り評価した。測定には、理学電機製粉末X線回折計「R
INT2100」(CuKα、λ=1.54178Å)
を用いた。粉末X線回折プロファイルを図7に示す。そ
の結果、照射前に見られた、18度付近の鋭い回折ピー
クが、照射後にはその強度が低下し、層状構造に変化の
生じたことがわかった。また、2θが3度付近のピーク
強度が紫外光照射とともに低下し、かわりにさらに低角
側に別のピークが現れた。このことから、紫外光照射に
よって、層状構造の繰返し周期(層間距離d)が光照射
前後で変化していることが分かった。
【0146】〔実施例7〕 [4−(11−アミノウンデシルオキシ)アゾベンゼン
の合成]アゾベンゼンを含む別のアミンの合成例とし
て、4−(11−アミノウンデシルオキシ)アゾベンゼ
ンを、前記スキーム(B)により合成した。
【0147】合成の反応の詳細は以下の通りである。
【0148】まず、市販の11−ブロモウンデカン酸
(東京化成工業株式会社製)10.0gと3,4−ジヒ
ドロ−2H−ピラン(和光純薬株式会社製)3.17g
を20mLのジクロロメタンに溶かし、氷水で冷却しな
がら、0.95gのp−トルエンスルホン酸ピリジニウ
ムを加えた。0℃で30分間撹拌、さらに室温で2時間
撹拌した。重炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、水で洗
浄後、有機層を分離した。有機層からジクロロメタンを
減圧除去すると、3、4−ジヒドロ−2H−ピランで保
護された11−ブロモウンデカン酸エステル、すなわち
11−ブロモウンデカン酸3,4,5,6−テトラヒド
ロ−2H−ピラニル(Br(CH210COOR0;R0
は3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラニル基)
が収率59%で得られた。11−ブロモウンデカン酸
3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラニルの構造
は、1H NMRスペクトルで確認した。
【0149】11−ブロモウンデカン酸3,4,5,6
−テトラヒドロ−2H−ピラニルの 1H NMRスペクト
ルデータを以下に示す。1 H NMR(クロロホルム−d)δ 5.97(t,C
H,1H),3.90(t,OCH2,1H),3.7
0(t,OCH2,1H),3.40(t,BrCH2
2H),2.35(t,CH2CO2,2H),1.29
−1.88(m,CH2,24H)。
【0150】上記11−ブロモウンデカン酸3,4,
5,6−テトラヒドロ−2H−ピラニル7.03g、お
よび市販の4−(フェニルアゾ)フェノール(東京化成
工業株式会社製)2.62gを25mLの乾燥ジメチル
ホルムアミドに溶かした。得られた溶液に、炭酸カリウ
ム2.80gと触媒量のヨウ化カリウムとを加え、70
℃で2日間反応を行った。室温に戻した後、50mLの
エーテルで3回抽出し、エーテル溶液を水で洗浄した。
エーテルを減圧除去した後、50mLのテトラヒドロフ
ランと5mLの濃塩酸を加え、室温下、40分間撹拌し
た。テトラヒドロフランを減圧除去した後、100mL
のクロロホルムを用いてクロロホルム可溶部を3回抽出
し、飽和食塩水ならびに水で洗浄後、濃縮して黄色い固
体を得た。この固体を、クロロホルムとヘキサンとの混
合溶媒(混合比はクロロホルム/ヘキサンの比が2から
5)から再結晶することにより精製して、アゾベンゼン
部分とカルボキシル基との間にスペーサー基としてデカ
メチレンオキシ基(−O(CH210−)を持つ化合
物、11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオキシ]ウ
ンデカン酸(Azobenzene−O−(CH210
COOH)を収率82%で得た。11−[4−(フェニ
ルアゾ)フェニルオキシ]ウンデカン酸の構造は、1
NMRスペクトルおよび13C NMRスペクトルで確認
した。
【0151】11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオ
キシ]ウンデカン酸のNMRスペクトルデータを以下に
示す。1 H NMR(クロロホルム−d)δ 7.85−7.9
2(m,Ar,4H),7.49−7.51(m,A
r,3H),6.98−7.01(m,Ar,2H),
4.03(t,OCH2),2.35(t,CH2
2,2H),1.31−1.83(m,CH2,16
H)13 C NMR(クロロホルム−d)δ 179.10,1
61.70,152.78,146.84,130.2
7,129.01,124.73,122.51,11
4.69,68.34,64.39,33.92,2
9.44,29.31,29.18,29.01,2
8.62,25.99,25.00,24.00。
【0152】上記11−[4−(フェニルアゾ)フェニ
ルオキシ]ウンデカン酸1.494gを10mLの1,
2−ジクロロエタンに溶解させた。得られた溶液に、
0.5mLの塩化チオニルとN,N−ジメチルホルムア
ミド1滴を加え、3.5時間還流して、11−[4−
(フェニルアゾ)フェニルオキシ]ウンデカニルクロリ
ド(Azobenzene−O−(CH210COC
l)を合成した。別のフラスコに10mLの1,2−ジ
クロロエタンを入れ、ここにアンモニアガスを5分間吹
き込んで、飽和溶液とした。この飽和溶液に、11−
[4−(フェニルアゾ)フェニルオキシ]ウンデカニル
クロリドの溶液として、11−[4−(フェニルアゾ)
フェニルオキシ]ウンデカン酸と塩化チオニルとの反応
溶液をそのまま、室温に保つために水冷しながら、ゆっ
くりと滴下した。滴下終了後、アンモニアガスを2時間
吹き込み、アミドに変換する反応を行った。反応終了
後、反応溶液に少量の水を加えて撹拌後、不溶部をろ
別、乾燥して、スペーサー基を含むアゾベンゼンのアミ
ド誘導体、11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオキ
シ]ウンデカンアミド(Azobenzene−O−
(CH210CONH2)を黄色固体として得た(収率7
4%)。11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオキ
シ]ウンデカンアミドの構造は、1H NMRスペクトル
で確認した。
【0153】11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオ
キシ]ウンデカンアミドの1H NMRスペクトルデータ
を以下に示す。1 H NMR(クロロホルム−d)δ 7.86−7.9
2(m,Ar,4H),7.43−7.51(m,A
r,3H),6.99−7.01(m,Ar,2H),
4.04(t,OCH2),2.22(t,CH2CON
2,2H),1.31−1.82(m,CH2,16
H)。
【0154】11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオ
キシ]ウンデカンアミドを1.008g、水素化リチウ
ムアルミニウム0.624g、乾燥したジエチルエーテ
ル40mLをフラスコに入れ、12時間還流した。室温
に戻し、20mLの水をゆっくりと滴下して、過剰の水
素化リチウムアルミニウムと反応させた後、さらに一日
撹拌を行った。反応溶液から200mLのジエチルエー
テルで抽出を3回行い、ジエチルエーテルを減圧除去し
た。その後、残渣をクロロホルムとヘキサンとの混合溶
媒より再結晶して精製することにより、目的とするスペ
ーサー基を含む4−(フェニルアゾ)ベンゼンのアミン
誘導体、4−(11−アミノウンデシルオキシ)アゾベ
ンゼン(Azobenzene−O−(CH211
2)を収率76%で得た。4−(11−アミノウンデ
シルオキシ)アゾベンゼンの構造は、 1H NMRスペク
トルおよび13C NMRスペクトルで確認した。
【0155】4−(11−アミノウンデシルオキシ)ア
ゾベンゼンのNMRスペクトルデータを以下に示す。1 H NMR(クロロホルム−d)δ 7.86−7.9
1(m,Ar,4H),7.42−7.51(m,A
r,3H),6.99−7.00(m,Ar,2H),
4.03(t,OCH2),2.73(t,CH2
2,2H),1.29−1.81(m,CH2,18
H).13 C NMR(クロロホルム−d)δ 161.70,1
52.78,146.84,130.27,12.0
1,124.73,122.51,114.68,6
8.34,41.26,31.86,29.53,2
9.36,29.18,26.79,26.00。 [2,5−ポリムコン酸結晶の調製]実施例4と同様に
して、2,5−ポリムコン酸の結晶を得た。 [インターカレーション反応]次に、得られた2,5−
ポリムコン酸の結晶への4−(11−アミノウンデシル
オキシ)アゾベンゼンのインターカレーション反応を行
った。
【0156】すなわち、2,5−ポリムコン酸の結晶8
0mg(ムコン酸単位0.56mmol)と4−(11
−アミノウンデシルオキシ)アゾベンゼン545mg
(1.12mmol;理論量比、すなわち[−NH2
/[−CO2H]=2)とを、乳鉢中で、30分間すり
つぶしながら混合、撹拌した。その後、50mLのジエ
チルエーテルで未反応の4−(11−アミノウンデシル
オキシ)アゾベンゼンを洗浄除去すると、4−(11−
アミノウンデシルオキシ)アゾベンゼンをインターカレ
ーションした2,5−ポリムコン酸の結晶が50%収率
で得られた。
【0157】実施例6と同様のインターカレーションの
前後における2,5−ポリムコン酸結晶のIRスペクト
ルから、本発明に係る光応答性高分子としての2,5−
ポリムコン酸11−[4−(フェニルアゾ)フェニルオ
キシ]ウンデシルアンモニウムの結晶が生成しているこ
とがわかった。 [光応答性]得られた2,5−ポリムコン酸11−[4
−(フェニルアゾ)フェニルオキシ]ウンデシルアンモ
ニウムの結晶について、実施例6と同様に、紫外線照射
による紫外可視吸収スペルトルの変化を観測したとこ
ろ、光照射前後で層状構造の繰返し周期が変化してお
り、光応答性を持っていることが分かった。
【0158】
【発明の効果】本発明のカルボン酸アンモニウムの結晶
の製造方法は、以上のように、カルボン酸の結晶とアミ
ンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少なくとも
1種の化合物とを液体媒質の非存在下で混合する方法で
ある。
【0159】上記方法によれば、カルボン酸が結晶状態
でアミンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少な
くとも1種の化合物と反応するため、立体特異的な反応
が進行し、単一の生成物を得ることができる。また、上
記方法によれば、溶媒や分散媒のような液体媒質を使用
しないので、液体媒質の分離操作や再結晶が不要であ
る。したがって、上記方法は、カルボン酸アンモニウム
の結晶を簡便に製造することができるという効果を奏す
る。
【0160】上記方法では、上記カルボン酸として、カ
ルボキシル基を有する共役ジエンを用い、上記アミンお
よびアンモニアからなる群より選ばれる少なくとも1種
の化合物として、次式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
ール基を表す)で表される第1級アミンを用いると、固
相での放射線重合により層状結晶を生成可能なカルボン
酸アンモニウムの結晶を得ることができる。
【0161】また、上記カルボン酸の結晶として、カル
ボキシル基を有する共役ジエンの重合体の結晶を用いる
と、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状
結晶に対して、アミンおよびアンモニアからなる群より
選ばれる少なくとも1種の化合物がゲスト化合物として
インターカレートされた(ポリ)カルボン酸アンモニウ
ムの結晶を得ることができる。
【0162】また、上記方法では、上記カルボン酸の結
晶として、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体
の層状結晶を用い、上記アミンおよびアンモニアからな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物として、次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
を表す)で表される第1級アミンを用いた場合、カルボ
ン酸アンモニウムの重合体の層状結晶を得ることができ
る。
【0163】また、この場合、液体媒質を用いないこと
で、従来の分散媒に分散させる方法のように、重合体の
結晶が反応中に分散媒によって膨潤したり、溶解したり
することがない。それゆえ、従来の分散媒を用いた方法
では実現できなかった、分岐構造を持つアルキル第1級
アミンや官能基を含む第1級アミンをカルボン酸の重合
体の結晶の層間にインターカレートすることが可能とな
る。したがって、従来の分散媒を用いた方法では合成で
きない、分岐構造を持つアルキル第1級アミンや官能基
を含む第1級アミンが層状結晶の層間にインターカレー
トされた状態の新規なカルボン酸アンモニウムの重合体
の層状結晶の合成に応用できる。
【0164】また、本発明のカルボン酸アンモニウムの
結晶の製造方法は、以上のように、カルボキシル基を有
する共役ジエンと、次式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
ール基を表す)で表される第1級アミンとを、液体媒質
の非存在下で混合し、アンモニウムカルボキシレート基
を有する共役ジエンの結晶を得る第1のステップと、ア
ンモニウムカルボキシレート基を有する共役ジエンを固
相で重合させ、アンモニウムカルボキシレート基を有す
る共役ジエンの重合体の層状結晶を得る第2のステップ
と、アンモニウムカルボキシレート基を有する共役ジエ
ンの重合体の層状結晶を加熱することによりアンモニウ
ムイオンを脱離させ、カルボキシル基を有する共役ジエ
ンの重合体の層状結晶を得る第3のステップと、カルボ
キシル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶と、次
式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
を表す)で表される第1級アミンとを、液体媒質の非存
在下で混合する第4のステップとを含む方法である。
【0165】上記方法では、第4のステップで、カルボ
ン酸アンモニウムの重合体の層状結晶が生成する。
【0166】上記方法によれば、全てのステップで、結
晶状態で反応を行うため、立体特異的な反応が進行し、
単一の生成物を得ることができる。また、上記方法によ
れば、全てのステップで溶媒や分散媒のような液体媒質
を反応に使用しないので、液体媒質の分離操作や再結晶
が不要である。したがって、上記方法は、カルボン酸ア
ンモニウムの重合体の層状結晶を簡便に製造することが
できるという効果を奏する。
【0167】さらに、上記方法によれば、液体媒質を用
いないことで、従来の分散媒に分散させる方法のよう
に、重合体の結晶が反応中に分散媒によって膨潤した
り、溶解したりすることがないので、分岐構造を持つア
ルキル第1級アミンや官能基を含む第1級アミンをカル
ボン酸の重合体の結晶の層間にインターカレートするこ
とが可能となる。したがって、上記方法は、従来の分散
媒を用いた方法では合成できない、分岐構造を持つアル
キル第1級アミンや官能基を含む第1級アミンが層状結
晶の層間にインターカレートされた状態の新規なカルボ
ン酸アンモニウムの重合体の層状結晶の合成に応用でき
るという効果も奏する。
【0168】また、本発明の製造方法は、以上のよう
に、カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状
結晶を用いる上記各方法において、カルボキシル基を有
する共役ジエンの重合体の層状結晶と混合する化合物と
して、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を持つ
アミンを用い、このアミンを層状結晶にインターカレー
トさせる方法である。これにより、本発明にかかる光応
答性高分子を簡便に製造することができる。
【0169】本発明に係る光応答性高分子は、以上のよ
うに、カルボキシル基を有する重合体の層状結晶に対し
て、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を持つ
アミンがインターカレートされたものである。
【0170】上記構成によれば、光応答(光照射に対す
る応答)をして結晶構造が可逆的に変化しうる新規な結
晶性の光機能性高分子を提供できるという効果が得られ
る。本発明にかかる光機能性高分子は、光照射条件に応
じてその層間距離が可逆的に変化するので、光メモリー
材料、記録材料に用いる光機能性材料、電気・電子材料
に用いる光機能性材料等への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の実施の一形態に係
るカルボン酸アンモニウムの重合体の層状結晶の製造工
程を模式的に示す図である。
【図2】本発明の製造方法によって得られるカルボン酸
アンモニウムの重合体の層状結晶の応用例を模式的に示
す図である。
【図3】2,5−ポリムコン酸ベンジルアンモニウムの
結晶のX線回折スペクトルを表す図であり、(a)は本
発明の製造方法の一実施例で得られる2,5−ポリムコ
ン酸ベンジルアンモニウムの結晶のX線回折スペクト
ル、(a)は従来の製造方法で得られる2,5−ポリム
コン酸ベンジルアンモニウムの結晶のX線回折スペクト
ルを表す。
【図4】本発明の製造方法の一実施例で得られる2,5
−ポリムコン酸ベンジルアンモニウムおよび2,5−ポ
リムコン酸のIRスペクトルを表す図である。
【図5】本発明の製造方法の一実施例における、光応答
性基を有するアミンをインターカレートする前後で2,
5−ポリムコン酸の層状結晶のIRスペクトルがどのよ
うに変化するかを表す図である。
【図6】本発明の一実施例にかかる光応答性高分子を紫
外線照射したときの紫外可視吸収スペクトルの変化を表
す図である。
【図7】本発明の一実施例にかかる光応答性高分子を紫
外線照射したときの粉末X線回折の変化を表す図であ
る。
【符号の説明】
1 (Z,Z)−ムコン酸アンモニウム分子 2 第2級アンモニウムイオン分子 3 (Z,Z)−ムコン酸アニオン分子 4 2,5−ポリムコン酸アニオン分子 4’ ポリマーシート 5 第2級アンモニウムイオン分子 5’ アミン(B)の分子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 47/00 C08L 47/00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボン酸の結晶と、アミンおよびアンモ
    ニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
    を、液体媒質の非存在下で混合することを特徴とするカ
    ルボン酸アンモニウムの結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】上記カルボン酸として、カルボキシル基を
    有する共役ジエンを用い、 上記アミンおよびアンモニアからなる群より選ばれる少
    なくとも1種の化合物として、次式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
    ール基を表す)で表される第1級アミンを用いることを
    特徴とする請求項1記載のカルボン酸アンモニウムの結
    晶の製造方法。
  3. 【請求項3】上記カルボン酸の結晶として、カルボキシ
    ル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載のカルボン酸アンモニウム
    の結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】上記アミンおよびアンモニアからなる群よ
    り選ばれる少なくとも1種の化合物として、次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
    を表す)で表される第1級アミンを用いることを特徴と
    する請求項3記載のカルボン酸アンモニウムの結晶の製
    造方法。
  5. 【請求項5】カルボキシル基を有する共役ジエンと、次
    式 RCH2NH2 (式中、Rは炭素数5以上の直鎖アルキル基またはアリ
    ール基を表す)で表される第1級アミンとを、液体媒質
    の非存在下で混合し、アンモニウムカルボキシレート基
    を有する共役ジエンの結晶を得る第1のステップと、ア
    ンモニウムカルボキシレート基を有する共役ジエンの結
    晶を固相で重合させ、アンモニウムカルボキシレート基
    を有する共役ジエンの重合体の層状結晶を得る第2のス
    テップと、アンモニウムカルボキシレート基を有する共
    役ジエンの重合体の層状結晶を加熱することによりアン
    モニウムイオンを脱離させ、カルボキシル基を有する共
    役ジエンの重合体の層状結晶を得る第3のステップと、
    カルボキシル基を有する共役ジエンの重合体の層状結晶
    と、次式 R’NH2 (式中、R’は、官能基を有していてもよい炭化水素基
    を表す)で表される第1級アミンとを、液体媒質の非存
    在下で混合する第4のステップとを含むことを特徴とす
    るカルボン酸アンモニウムの結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】カルボキシル基を有する共役ジエンの重合
    体の層状結晶と混合する化合物として、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
    芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を持つ
    アミンを用い、このアミンを層状結晶にインターカレー
    トさせることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか
    1項に記載のカルボン酸アンモニウムの結晶の製造方
    法。
  7. 【請求項7】カルボキシル基を有する重合体の層状結晶
    に対して、次の一般式 −Ar−N=N−Ar’− (上記式中、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、
    芳香族炭化水素2価基を表す)で表される2価基を持つ
    アミンがインターカレートされたものであることを特徴
    とする光応答性高分子。
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